(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
巻取方向に回転することでウェビングを巻取るスプールを有すると共に、作動することで前記巻取方向とは反対の引出方向への前記スプールの回転を規制するロック機構を有し、車両用シートを構成するシートクッションに対してシート幅方向を軸方向とする軸周りに傾動可能なシートバックに設けられた巻取装置本体と、
慣性移動することで前記ロック機構を作動させる慣性質量体が載置されると共に、前記巻取装置本体に対して所定の回動軸周りに回動可能に前記巻取装置本体に設けられたハウジングを有する加速度センサと、
前記シートバックに設けられた支持体を有すると共に、前記支持体に設けられて前記シートクッションに対する前記シートバックの傾動に伴い前記支持体に対して移動する移動体を有する傾動検出手段と、
長手方向先端が前記加速度センサの前記ハウジングに係止されると共に長手方向基端が前記傾動検出手段の前記移動体に係止され、前記移動体と共に移動することによって前記加速度センサの前記ハウジングを前記巻取装置本体に対して回動させる長尺の連結部材と、
先端が前記巻取装置本体に一体的に直接又は間接的に係止されると共に、基端が前記傾動検出手段の前記支持体に対して前記連結部材の長手方向基端側及び長手方向先端側の少なくとも一方に移動可能に前記支持体に直接又は間接的に保持され、内側を前記連結部材がその長手方向に移動可能に貫通した筒状のチューブと、
前記チューブの基端が係止されると共に前記傾動検出手段の前記支持体に保持され、前記支持体に弾性的に圧接することにより前記支持体との摩擦で前記連結部材の長手方向に沿った前記支持体に対する移動が規制されるように構成され、操作されることで前記支持体に対して前記連結部材の長手方向基端側及び長手方向先端側の少なくとも一方に移動する保持手段と、
を備えるウェビング巻取装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<本実施の形態の構成>
図11には本発明の一実施の形態に係るウェビング巻取装置10を搭載したシート16が側面図により示されている。
この図に示されるように、シート16を構成するシートクッション18の後方にはシート16の背凭れを構成するシートバック20が設けられている。このシートバック20の下端側には軸方向がシート16の幅方向に沿ったシャフト22が設けられており、このシャフト22周りにシートバック20は上端側が後方や前方へ倒れるように傾動可能とされている。
【0025】
シート16の上端側における幅方向一端側(車両幅方向外側)ではウェビング巻取装置10を構成する巻取装置本体12がシート16の内側に設けられている。
【0026】
(巻取装置本体12の全体構成の概略>
図7には巻取装置本体12の構成の概略分解斜視図により示されている。この図に示されるように、巻取装置本体12はフレーム14を備えている。フレーム14は上述したシートバック20のフレーム(シートバックの骨格)等にボルト等により一体的に締結固定されている。
【0027】
このフレーム14は一対の脚板32、34を備えている。脚板32、34の各々は厚さ方向がシートバックの幅方向に沿った板状に形成されていると共にシートバックの幅方向に互いに対向している。この脚板32と脚板34との間にはスプール36が設けられている。スプール36は軸方向が脚板32と脚板34との対向方向に沿った中空の軸部材とされている。
【0028】
このスプール36にはウェビング38の長手方向基端側が係止されている。ウェビング38は幅方向がスプール36の軸方向に沿った長尺帯状に形成されており、スプール36がその中心軸線周りの一方である巻取方向に回転するとウェビング38がその長手方向基端側からスプール36の外周部に巻取られて格納され、ウェビング38をその先端側へ引っ張ると、スプール36に巻取られているウェビング38が引出されると共にスプール36が巻取方向とは反対の引出方向に回転する。
【0029】
スプール36の内側には、例えば、トーションシャフト等と称される棒状のエネルギー吸収手段が設けられている。このエネルギー吸収手段はスプール36における脚板34側でスプール36に対する相対回転が規制された状態でスプール36に繋がっている。さらに、このエネルギー吸収手段の脚板34側は脚板34に形成された透孔44を通過して脚板34の外側(脚板34の脚板32とは反対側)に突出している。
【0030】
この脚板34の外側(脚板34の脚板32とは反対側)ではスプリングケース46が脚板34に取り付けられている。スプリングケース46の内側には、スプール付勢手段としての渦巻きばねが収容されている。この渦巻きばねの渦巻き方向外側端はスプリングケース46に係止され、渦巻き方向内側端は上述したエネルギー吸収手段に直接又は間接的に係止されている。スプール36と共にエネルギー吸収手段が引出方向に回転すると、渦巻きばねが巻き締められ、エネルギー吸収手段を介してスプール36を巻取方向に付勢する。
【0031】
これにスプール36の脚板32側にはロック機構52を構成するロックベース54が設けられている。ロックベース54はスプール36に対して同軸的に相対回転可能にスプール36の脚板32側の端部に装着されている。但し、ロックベース54は上述したエネルギー吸収手段の脚板32側の部分にエネルギー吸収手段に対して相対回転が規制された状態で繋がっている。したがって、ロックベース54はスプール36に対し、エネルギー吸収手段を介して相対回転が規制された状態で繋がっていることになる。
【0032】
このロックベース54には外周面にて開口したパウル収容部56が形成されている。このパウル収容部56の内側にはロックパウル58が設けられている。また、ロックベース54は脚板32に形成されたラチェット孔60を貫通しており、パウル収容部56からロックパウル58の一部が抜け出ると、ロックパウル58の先端側に形成されたラチェット歯がラチェット孔60のラチェット歯に噛み合う。この状態では、ロックベース54の引出方向への回転が規制され、間接的にはスプール36の引出方向への回転が規制される。
【0033】
一方、脚板32の外側(脚板32の脚板34とは反対側)では脚板32にセンサホルダ62が取り付けられている。センサホルダ62は一部が脚板32側へ向けて開口した有底形状に形成されており、その内側にはVギヤ64が設けられている。Vギヤ64に対応して上述したエネルギー吸収手段から軸部66がセンサホルダ62側へ向けて延出されている。軸部66はスプール36に対して同軸的に設けられており、この軸部66にVギヤ64が回転自在に支持されている。
【0034】
Vギヤ64には図示しないスプリングが設けられている。このスプリングの一部はロックベース54に係合しており、ロックベース54が引出方向に回転するとロックベース54にスプリングが押圧されて、更にこのスプリングがVギヤ64を引出方向に押圧する。このため、Vギヤ64はロックベース54に追従して引出方向に回転できる。但し、スプリングを弾性変形させることでロックベース54はVギヤ64に対して相対的に引出方向に回転できる。また、上記のロックパウル58は一部がVギヤ64に係合しており、Vギヤ64に対するロックベース54の引出方向への相対回転に連動してパウル収容部56から抜け出る方向にロックパウル58が移動してラチェット孔60のラチェット歯に噛み合うようになっている。
【0035】
センサホルダ62の脚板32とは反対側にはセンサカバー78が設けられている。センサカバー78は脚板32側へ向けて開口した有底形状とされ、脚板32に取り付けられている。このセンサカバー78の内側には加速度センサ82が設けられている。加速度センサ82はハンガ84を備えている。ハンガ84は支持壁86、87を備えている。支持壁86と支持壁87とは、スプール36の軸方向と同じ向き、又は、スプール36の軸方向に対してシート前後方向を軸方向とする軸周りにシート上下方向へ傾斜した向きに互いに対向した板状に形成されている。
【0036】
これらの支持壁86、87の間には周壁88が形成されている。周壁88は支持壁86、87の外周一部に沿って形成されている。このため、ハンガ84は周壁88が形成されていない部分にて開口した中空箱形状とされ、支持壁87が脚板32に固定されることでハンガ84がフレーム14に取り付けられる。
【0037】
ハンガ84の支持壁86と支持壁87との間には、例えば、全体的に合成樹脂材を成形することにより形成されたセンサハウジング102が設けられている。センサハウジング102は載置部104を備えている。載置部104は厚さ方向上側に平面視略円形で上方へ向けて開口するように湾曲した凹形状の湾曲面106が形成されており、この湾曲面106上に慣性質量体としての球体110が載置されている。
【0038】
また、載置部104の支持壁87側の端部からは縦壁114が上方へ向けて立設されている。これに対して、載置部104の支持壁86側には支持壁116が設けられている。支持壁116は縦壁118を備えている。縦壁118は載置部104の支持壁86側の端部から上方へ向けて立設されており、支持壁86、87の対向方向に縦壁114と対向している。
【0039】
縦壁118の幅方向一端からは縦壁114側へ向けて横壁120が延出されており、縦壁118の幅方向他端からは縦壁114側へ向けて横壁122が延出されている。このため、支持壁116は平面視で縦壁114側へ向けて開口した凹形状とされている。支持壁116の上端部近傍には支持シャフト124が設けられている。支持シャフト124は軸方向が横壁120と横壁122との対向方向に沿った軸部材で、その一端は横壁120に支持されて他端は横壁122に支持されている。
【0040】
また、横壁120と横壁122との間にはセンサレバー130が設けられているセンサレバー130は基部132を備えており、この基部132を上記の支持シャフト124が貫通している。これにより、センサレバー130が支持シャフト124周りに回動可能に支持されている。また、センサレバー130は笠部134を備えている。笠部134は外観が扁平の円錐形状に形成されている。この笠部134の底面は円錐の頂部とは反対側へ向けて開口した凹形状の湾曲面又は斜面とされており、この底面が載置部104における湾曲面106上に載置された球体110に覆い被さっている。
【0041】
このため、球体110が湾曲面106の縁部へ向かって湾曲面106上を昇り上がると、笠部134が支持シャフト124周りに上昇するように回動する。この笠部134には押圧突起136が略上方(すなわち、笠部134の底面とは反対側)へ突出形成されており、笠部134が支持シャフト124周りに上昇するように回動すると押圧突起136が後述するVパウル180を上方へ押し上げる。
【0042】
一方、支持壁116の縦壁118の上端部近傍には回動軸142が形成されている。回動軸142は縦壁118の縦壁114とは反対側の面からスプール36の軸方向と同じ向きに突出形成されており、ハンガ84の支持壁86に形成された軸受孔144に回動自在に支持されている。縦壁118における回動軸142の形成位置よりも下側では縦壁118からガイドピン146が突出形成されている。縦壁118からのガイドピン146の突出方向は縦壁118からの回動軸142の突出方向と同じ向きとされており、ハンガ84の支持壁86に形成されたガイド孔148に入り込んでいる。
【0043】
ガイド孔148は軸受孔144を曲率の中心として湾曲した長孔とされている。このガイド孔148の内側にガイドピン146が入り込んでいることによりガイド孔148の長手方向一端にガイドピン146が当接する位置からガイド孔148の長手方向他端にガイドピン146が当接する位置までの間に回動軸142周りのセンサハウジング102の回動範囲が限定されている。
【0044】
また、
図10に示されるように、縦壁114には回動軸150が形成されている。回動軸150は縦壁114の縦壁118とは反対側の面から上記の回動軸142に対して同軸的に突出形成されている。この回動軸150はハンガ84の支持壁87に形成された軸受孔152に回動自在に支持されている。ここで、支持壁116の縦壁118における回動軸142の形成位置、及び、縦壁114における回動軸150の形成位置は、支持壁116にセンサレバー130を装着し、更に、載置部104の湾曲面106上に球体110を載置した状態でのセンサハウジング102の重心位置よりも上方に設定されている。
【0045】
一方、センサホルダ62からは脚板32とは反対側へ向けて支持シャフト178が突出形成されている。支持シャフト178は軸方向がスプール36の軸方向と同じ向きに設定されており、Vパウル180の基部182が支持シャフト178周りに回動自在に支持されている。このVパウル180は板状の受圧板184を備えている。この受圧板184はセンサレバー130の押圧突起136の上側に位置していると共に、ガイド孔148の一端にガイドピン146が当接した状態からガイド孔148の他端にガイドピン146が当接した状態の間の回動軸142周りのセンサハウジング102の回動範囲内で受圧板184の下側の面が押圧突起136と対向するように
受圧板184の大きさが設定されている。
【0046】
また、Vパウル180は係合爪186を備えている。この係合爪186に対応してセンサホルダ62には図示しない開口が形成されており、この開口を介してセンサホルダ62においてVギヤ64を収容する部分とセンサホルダ62の外側とが連通している。支持シャフト124周りに上昇するようにセンサレバー130が回動して、押圧突起136が受圧板184を上方へ押圧すると、係合爪186がVギヤ64の外周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。このように係合爪186がVギヤ64のラチェット歯に噛み合うとVギヤ64の引出方向への回転が規制される。
【0047】
(リクライニングセンサ210の構成)
一方、
図11に示されるように、本ウェビング巻取装置10は巻取装置本体12と共にウェビング巻取装置10を構成する傾動検出手段としてのリクライニングセンサ210を備えている。この図に示されるように、リクライニングセンサ210はシートバック20の下端側における幅方向他端側(車両幅方向中央側)でシートバック20の内側に設けられている。
【0048】
図1にはリクライニングセンサ210の構成の概略が分解斜視図により示されている。この図に示されるように、リクライニングセンサ210はケース212を備えている。ケース212は厚さ方向がシート16の幅方向に沿った板状の底壁214を備えている。この底壁214の外周部からは、底壁214の厚さ方向一方へ向けて周壁216が立設されており、ケース212は全体的に底壁214の厚さ方向一方へ向けて開口した有底箱形状とされている。
【0049】
このケース212の底壁214の略中央には円孔218が形成されており、上述したシャフト22が通過する。ケース212の内側には円筒形状の筒状部220が設けられている。筒状部220は大径筒部222を備えている。大径筒部222は内径寸法が上記の円孔218の内径寸法に略等しい円筒形状に形成されており、円孔218に対して同軸的に底壁214から周壁216の立設方向と同じ向きに立設されている。また、筒状部220は小径筒部224を備えている。小径筒部224は内径寸法が円孔218や大径筒部222の内径寸法に略等しく、外径寸法が大径筒部222の外径寸法よりも小さな円筒形状とされ、円孔218や大径筒部222に対して同軸的に大径筒部222の先端(大径筒部222における底壁214とは反対側の端部)から連続して形成されている。
【0050】
ケース212の内側には回転体としてのプーリ232が設けられている。プーリ232は厚さ方向が底壁214の厚さ方向(すなわち、シャフト22の軸方向)に沿った板状とされている。プーリ232には円孔234が形成されている。円孔234は内径寸法が筒状部220の大径筒部222の外径寸法よりも僅かに大きな円形とされ、プーリ232を貫通している。プーリ232は円孔234を大径筒部222が貫通した状態でケース212内に配置され、プーリ232は大径筒部222を中心に回転できるようになっている。
【0051】
このプーリ232にはワイヤ係止部236が形成されている。このワイヤ係止部236にはワイヤ係止孔237が形成されている。ワイヤ係止孔237は底壁214からの周壁216の立設方向へ向けて開口した有底孔とされている。このワイヤ係止孔237の内側には係止片244が収容されている。この係止片244には連結部材としてのワイヤ242の長手方向基端部が係止されている。このワイヤ242の長手方向基端側に対応してワイヤ係止部236には通過溝248が形成されており、係止片244が収容された状態でワイヤ242の基端側が通過溝248を通過している。
【0052】
プーリ232において通過溝248を介してワイヤ係止孔237の形成位置とは反対側のプーリ232の外周部は巻付部250とされ、通過溝248を通過したワイヤ242を巻付部250に巻付けることができるようになっている。この巻付部250におけるプーリ232の回転軸方向両側には脱落防止片252がプーリ232の回転半径方向外側へ延出されている。巻付部250に巻付けられたワイヤ242はプーリ232の軸方向両側から脱落防止片252に干渉されることでプーリ232の軸方向への変位が規制され、これにより、巻付部250からのワイヤ242の脱落が防止される。
【0053】
一方、ワイヤ242はチューブ254を通過している。このチューブ254は可撓性を有する長尺紐状に形成されており、その中心軸線に沿って両端が開口した筒形状とされている。チューブ254の長手方向基端部には金属筒体256が取り付けられている。金属筒体256は内径寸法がチューブ254の外径寸法よりも僅かに大きな筒形状に形成されており、この金属筒体256にチューブ254の長手方向基端側が挿し込まれている。
【0054】
金属筒体256におけるチューブ254の長手方向基端側の端部は底部により閉止されており、チューブ254は金属筒体256の底部に当接することで金属筒体256に対してその長手方向基端側へ相対的に変位することが規制されている。但し、この金属筒体256の底部には透孔が形成されており、チューブ254の長手方向基端部から延び出たワイヤ242が金属筒体256の底部に形成された透孔を通過して、金属筒体256の外側に延び出ている。
【0055】
金属筒体256に対応してケース212には、詳細については後述する保持スプリング装着孔258が形成されており、金属筒体256はこの保持スプリング装着孔258の内側に配置されている。保持スプリング装着孔258はケース212に形成された切欠部260を介してケース212の内側に連通している。この切欠部260の幅寸法は金属筒体256の外径寸法よりも小さく、ワイヤ242の外径寸法よりも大きく形成されている。金属筒体256の底部の透孔から延び出たワイヤ242は、切欠部260を通過してケース212の内側に延びている。
【0056】
このようなチューブ254の長手方向先端は、
図10に示されるセンサハウジング操作部272に下端部に係止され、チューブ254を通過したワイヤ242の先端側はセンサハウジング操作部272の内側に入り込んでいる。センサハウジング操作部272の内部では図示しない巻取プーリがフレーム14に対するセンサハウジング102の回転軸方向と同じ向きを軸方向とする軸周りに回転可能に支持されている。この巻取プーリにはワイヤ242の先端側が巻取られ、更に、ワイヤ242の先端が係止されている。
【0057】
この巻取プーリには外歯ギヤが同軸的且つ一体的に設けられている。この外歯ギヤの側方にはセクタギヤが回動可能に支持されている。セクタギヤは回動の軸方向が外歯ギヤの回転軸方向と同じ向きとされ、外歯ギヤにセクタギヤが噛み合っている。セクタギヤの回転軸はセンサハウジング102の回転軸に繋がっており、少なくとも所定の範囲内でのセクタギヤの回動に連動してセンサハウジング102がフレーム14に対して回転できるようになっている。
【0058】
また、センサハウジング操作部272の内側には捩じりコイルばね等により構成された図示しない付勢手段が設けられており、ワイヤ242を巻取る方向へセンサハウジング操作部272内の巻取プーリを付勢している。
【0059】
一方、
図1に示されるように、ケース212の開口側には蓋302が設けられる。この蓋302は厚さ方向が底壁214の厚さ方向に沿った板状に形成されており、この蓋302によりケース212の開口端が閉止される。この蓋302には透孔304が形成されており、ケース212の筒状部220を通過したシャフト22が透孔304を通過する。
【0060】
また、透孔304の周囲には3箇所の透孔306が形成されている。これらの透孔306に対応してケース212には3箇所のボス312が形成されている。これらのボス312には底壁214の厚さ方向に貫通した透孔が形成されており、蓋302を介してケース212とは反対側から透孔306を貫通したねじやボルト等の締結部材322によってケース212に蓋302が一体的に締結固定される。
【0061】
一方、蓋302とプーリ232との間には回転伝達部材としての操作プレート342の操作部344が設けられている。操作部344は厚さ方向が底壁214の厚さ方向に沿った板状に形成されている。この操作部344には円孔346が形成されており、大径筒部222を通過したシャフト22が円孔346を通過する。
【0062】
この操作部344の外周一部からは固定片348が延出されている。この固定片348の先端側はシートクッション18のフレーム(骨格等)に固定される。このため、本実施の形態では、シートクッション18に対してシートバック20が傾動すると、操作プレート342に対してケース212が回動する。
【0063】
また、操作プレート342の外周一部には押圧片350が形成されている。押圧片350はケース212の底壁214側へ延出されている。この押圧片350に対応してプーリ232にはスリット孔352が形成されている。スリット孔352はプーリ232の回転中心を曲率中心として湾曲したスリット状に形成されており、押圧片350の先端側がスリット孔352の内側に入り込んでいる。
【0064】
上記のように、ワイヤ242はセンサハウジング操作部272に設けられたワイヤ付勢手段の付勢力で常にその長手方向先端側に付勢されている。このため、プーリ232は常に
図2の矢印後傾方向に付勢され、スリット孔352における長手方向矢印前傾方向側の端部354が押圧片350に圧接している。
【0065】
したがって、シートバック20と一体のケース212が
図2の矢印後傾(リクライニング)方向に回転し、ケース212と共にプーリ232が矢印後傾(リクライニング)方向に回転しようとすると、シートクッション18と一体の操作プレート342に形成された押圧片350がスリット孔352の端部354に当接してプーリ232の矢印後傾(リクライニング)方向への回転を規制する。これにより、ケース212がプーリ232に対して矢印後傾(リクライニング)方向へ相対回転すると、プーリ232によってワイヤ242の長手方向基端が引っ張られて移動する。
【0066】
一方、ケース212の内側には規制部326が形成されており、この規制部326にワイヤ係止部236が当接すると、プーリ232はそれ以上
図2の矢印前傾方向に回転することができない。このような状態でケース212が
図2の矢印前傾方向に回転すると、操作プレート342の押圧片350は端部354から離間して端部354とは反対側の端部356へ接近するようにスリット孔352内を相対移動する。
【0067】
一方、上述した保持スプリング装着孔258には金属筒体256と共に保持手段を構成する弾性圧接部材としてのばね392を備えている。
図1、
図2、及び
図5に示されるように、ばね392は幅方向がプーリ232の回転軸方向に沿った板状とされ、長手方向の適宜位置で幅方向を軸方向とする軸周りに適宜に屈曲又は湾曲させることで形成されている。このばね392の長手方向中間部にはばね392の厚さ方向に貫通する孔形状、又は、ばね392の厚さ方向に貫通し且つ幅方向一端にて開口した切欠状の嵌め込み部394が形成されている。
【0068】
この嵌め込み部394に対応して上記の金属筒体256には嵌め込み溝396が形成されている。嵌め込み溝396は金属筒体256の外周部にて開口した環状の溝とされている。ばね392は嵌め込み
部394が嵌め込み溝396の内側に入り込むことでばね392が金属筒体256に取り付けられ、これにより、金属筒体256に対してばね392が金属筒体256の開口方向側や底部286側への向きへ相対移動することが規制されている。
【0069】
ばね392における嵌め込み部394よりも一端側には屈曲部400が形成され、この屈曲部400よりも一端側(すなわち、嵌め込み部394とは反対側)は金属筒体256から離間する向きに付勢されている。屈曲部400よりもばね392の長手方向一端側にはばね側段部402が形成されている。このばね側段部402はばね392の長手方向一端部近傍が幅方向を軸方向とする軸周りに鉤状に屈曲させることにより形成されている。
【0070】
保持スプリング装着孔258の内壁のうち、このばね側段部402の金属筒体256とは反対側ではばね側段部402と対向する部分には装着部側段部404が形成されている。装着部側段部404はばね側段部402が当接可能に形成されている。但し、段数はばね側段部402よりも多く設定されている。
【0071】
一方、ばね392において嵌め込み部394よりも他端側はロール部412とされ、ばね392がその幅方向を軸方向とする軸周りに渦巻き状に湾曲され、保持スプリング装着孔258における装着部側段部404とは反対側の内壁に形成された収容孔414に収容されている。
【0072】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0073】
本ウェビング巻取装置10では、車両が急減速すると加速度センサ82におけるセンサハウジング102の載置部104に形成された湾曲面106上を球体110が湾曲面106の縁部側へ向けて転動しつつ昇り上がる。このように転動した球体110は笠部134の底面を上方へ押圧し、支持シャフト124周りにセンサレバー130を上方へ向けて回動させる。
【0074】
このようにセンサレバー130が回動すると笠部134に形成された押圧突起136がVパウル180の受圧板184の下面を上方へ押圧し、支持シャフト178周りにVパウル180を回動させる。このように回動したVパウル180は係合爪186が上昇して、Vギヤ64の外周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。これにより、Vギヤ64の引出方向への回転が規制される。
【0075】
一方、車両が急減速することでウェビング38を装着した乗員が車両前方へ慣性移動するとウェビング38が引っ張られる。ウェビング38が引っ張られるとスプール36が引出方向へ回転する。スプール36には上述したエネルギー吸収手段を介してロックベース54が繋がっている。ロックベース54はスプール36に対する相対回転が規制されているので、スプール36が引出方向に回転することでロックベース54が引出方向に回転する。
【0076】
ここで、上記のようにVパウル180の係合爪186がVギヤ64のラチェット歯に噛み合うことでVギヤ64の引出方向への相対回転が規制された状態でスプール36と共にロックベース54が引出方向に回転すると、Vギヤ64に対するロックベース54の相対的な引出方向への回転が生じる。このような相対回転がVギヤ64とロックベース54との間で生じると、ロックベース54に形成されたパウル収容部56からロックパウル58の一部が突出するようにロックパウル58が移動し、これにより、脚板32に形成されたラチェット孔60のラチェット歯にロックパウル58の先端側のラチェット歯が噛み合う。
【0077】
このようにラチェット孔60のラチェット歯に
ロックパウル58のラチェット歯が噛み合うことでロックベース54の引出方向への回転、ひいては、スプール36の引出方向への回転が規制される。これによってスプール36からのウェビング38の引出しが規制され、ウェビング38によって車両前方へ慣性移動する乗員の身体を効果的に拘束できる。
【0078】
ところで、本ウェビング巻取装置10を構成する巻取装置本体12は上述したようにシート16のシートバック20に内蔵される。シート16はシートクッション18に対してシートバック20がシャフト22周りに傾動する所謂「リクライニング機構」が設けられている。シートバック20がシートクッション18に対して傾動すると、シートバック20に内蔵された巻取装置本体12がシャフト22周りに回動して傾く。
【0079】
ここで、本ウェビング巻取装置10では、シートバック20の上端側がシート16の後方へ倒れるようにシートバック20が傾動すると、
図2に示される状態から、シートバック20のフレームに固定されたケース212が
図2の矢印後傾(リクライニング)方向に回転する。これに対して、リクライニングセンサ210の操作プレート342は固定片348がシートクッション18のフレームに固定されているので、シートバック20が傾動しても操作プレート342は回動しない。このため、この状態では、操作プレート342に対してケース212が
図1の矢印後傾(リクライニング)方向に相対回転する。
【0080】
この状態で、ケース212と共にプーリ232が回動しようとすると、操作プレート342の押圧片350がスリット孔352の端部354に干渉して、プーリ232の矢印後傾(リクライニング)方向への回転を規制する。このため、この状態では、プーリ232に対してケース212が
図2の矢印後傾(リクライニング)方向へ相対的に回転する。このような相対回転が生じると、
図3に示されるように、ケース212の保持スプリング装着孔258に対してプーリ232のワイヤ係止部236が矢印前傾方向(すなわち、プーリ232に対するケース212の回転方向とは反対方向)へ離間する。
【0081】
ケース212の保持スプリング装着孔258にはチューブ254の長手方向基端部に設けられた金属筒体256が係止され、プーリ232のワイヤ係止部236にはワイヤ242の長手方向基端部に設けられた係止片244が係止される。このため、プーリ232のワイヤ係止部236がケース212の保持スプリング装着孔258から
図2の矢印前傾方向へ離間すると、センサハウジング操作部272内のワイヤ付勢手段の付勢力に抗してワイヤ242がチューブ254の内側をその長手方向基端側へ移動する。
【0082】
これにより、センサハウジング操作部272内ではワイヤ242の長手方向先端が基端側へ移動すると、センサハウジング操作部272内でワイヤ242の先端側を巻取っている巻取プーリが回転し、この巻取プーリと一体のセクタギヤが回動する。このようにセクタギヤが回動することによって、
図8に示される状態から
図9に示されるように、加速度センサ82のセンサハウジング102がフレーム14に対し、フレーム14の傾動を相殺するように回動する。このように、フレーム14に対してセンサハウジング102が回動することでセンサハウジング102は元の姿勢(載置部104の上面が鉛直上方を向いた姿勢)を維持する。これにより、シートバック20と共に巻取装置本体12が傾いても、不用意に(車両が急減速していないのに)球体110が転動することを防止できる。
【0083】
一方、シートバック20の上端側がシート16の前方へ倒れるようにシートバック20が傾動して、シート16が折り畳まれると、
図2に示される状態から、シートバック20のフレームに固定されたケース212が操作プレート342に対して
図2の矢印前傾方向に相対回転する。この状態で、ケース212の内側に形成された規制部326にワイヤ係止部236が当接すると、プーリ232はそれ以上
図2の矢印前傾方向に回転することができない。
【0084】
この状態でケース212が更に
図2の矢印前傾方向に回転すると、
図4に示されるように、操作プレート342の押圧片350は端部354から離間して端部354とは反対側の端部356へ接近するようにスリット孔352内を相対移動する。このため、シートバック20が前傾してケース212が前傾方向に回転した場合には、ケース212は回転するが、プーリ232は回転しない。したがって、この場合にはワイヤ242が操作されず、センサハウジング102がシートバック20と共に傾く。
【0085】
ところで、本ウェビング巻取装置10では、
図5に示されるように、ばね392のばね側段部402が付勢力により保持スプリング装着孔258の装着部側段部404に圧接しており、ばね側段部402と装着部側段部404との摩擦によって金属筒体256、ひいては、チューブ254の長手方向他端部がケース212に保持されている。
図5に示される状態から、ばね側段部402と装着部側段部404との間の摩擦に抗する力でチューブ254や金属筒体256をチューブ254の長手方向一端側へ引っ張ると、金属筒体256がばね392を伴って保持スプリング装着孔258の開口側へ移動する。
【0086】
このように金属筒体256と共にばね392が移動して、装着部側段部404においてばね側段部402がそれまで当接していた段よりも保持スプリング装着孔258の開口側の段にばね側段部402が対向すると、ばね392の付勢力でばね側段部402が金属筒体256から離間する向きに移動し、
図6に示されるように、装着部側段部404における新たな段に圧接する。この状態で、チューブ254や金属筒体256の引っ張りを解消すると、金属筒体256の長手方向他端はばね側段部402と装着部側段部404との摩擦によって再びケース212に保持される。
【0087】
このように、チューブ254の長手方向他端が保持スプリング装着孔258の開口側へ移動した際に、プーリ232が回転せず、係止片244の位置に変化がなければ、チューブ254の他端からワイヤ242が引出されることになる。このようにチューブ254の他端から引出されたワイヤ242の長さ分だけワイヤ242の長手方向先端側はチューブ254に引き込まれ、これにより、センサハウジング102が回動する。したがって、シート16のシートバック20に対するウェビング巻取装置10の組み付けの際に、このようにしてチューブ254の長手方向他端を保持スプリング装着孔258から引き抜くように移動させることにより、センサハウジング102の回動位置を調整できる。
【0088】
しかも、このような初期位置の調整では、チューブ254の他端の位置を移動させるだけで、係止片244の位置は変化しない。このため、係止片収容部274は係止片244を収容できるスペースが得られればよく、初期位置調整の係止片244の移動分等を考慮しなくてもよい。このため、プーリ232の小型化が可能となる。
【0089】
また、チューブ254や金属筒体256はケース212の外側から引っ張ることができるので、蓋体によってケース212を閉止した後にも上記のような調整が可能である。このため、上記の調整を行なうために蓋体の開閉が不要で、調整作業が容易になる。
【0090】
(変形例1)
なお、本実施の形態では、ばね392の長手方向一端側にのみ屈曲部400やばね側段部402を形成したが、例えば、
図12に示される第1の変形例のように、ばね392の長手方向両端側に屈曲部400やばね側段部402を形成し、これら両側のばね側段部402に対応して保持スプリング装着孔258の内壁に装着部側段部404を形成してもよい。
【0091】
また、本実施の形態は、ばね392のばね側段部402が保持スプリング装着孔258の装着部側段部404に弾性的に圧接することで生じるばね側段部402と装着部側段部404との間の摩擦で金属筒体256、ひいては、チューブ254の他端を間接的にケース212に保持させる構成であった。しかしながら、以下の変形例に示されるように、
チューブ254の長手方向基端をワイヤ242の長手方向に沿って移動可能にケース212に保持させる構成がこのような構成に限定されるものではない。
【0092】
(変形例2)
図13及び
図14には本実施の形態の第2の変形例が
図5及び
図6に対応した図により示されている。これの図に示されるように、この変形例では、金属筒体256の外周部に保持手段を構成する雄ねじ部452が形成されている。この雄ねじ部452に対応してケース212の保持スプリング装着孔258には雄ねじ部452と共に保持手段を構成する雌ねじ部としての雌ねじ孔454が代わり形成されている。
【0093】
雌ねじ孔454は一端がケース212の外周部にて開口し、他端が切欠部260を介してケース212の内側に連通している。この雌ねじ孔454の一端と他端との間では雌ねじ孔454の内周部の少なくとも一部に雌ねじが形成されており、この雌ねじ孔454の雌ねじに雄ねじ部452が螺合している。
【0094】
したがって、金属筒体256をその中心軸線周りに回転させると、
図13に示されるように、金属筒体256はその中心軸線に沿って(すなわち、ワイヤ242の長手方向)に移動し、これにより、チューブ254の他端がワイヤ242の長手方向先端側又は他端側に移動する。このような構成としても上述した本実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(変形例3)
図15及び
図16には本実施の形態の第3の変形例が
図7及び
図8に対応した断面図により示されている。これらの図に示されるように、この変形例では、ケース212に装着部側段部404を有する保持スプリング装着孔258が形成されておらず、代わりに干渉ブロック装着孔が形成されている。干渉ブロック装着孔460には、例えば、ゴム材又はゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材により形成された干渉ブロック462が装着されている。
【0096】
干渉ブロック462の内周形状は外周形状が金属筒体256の外周形状よりも大きな筒状に形成されている。この干渉ブロック462の内周部には保持手段を構成する弾性干渉部464が金属筒体256の軸方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。これらの弾性干渉部464は干渉ブロック462の内方へ向けて突出形成されており、金属筒体256の外周部から突出形成された当接部としての環状の当接突起466に対して金属筒体256の軸方向に対向している。
【0097】
このような構成では、弾性干渉部464が当接突起466に当接して干渉することによりワイヤ242の長手方向先端側への金属筒体256の移動、ひいては、ワイヤ242の長手方向先端側へのチューブ254の他端の移動が規制される。
【0098】
但し、干渉ブロック装着孔460の開口側で弾性干渉部464が当接突起466に当接した状態で、弾性干渉部464の弾性に抗する力で金属筒体256をワイヤ242の長手方向先端側へ引っ張ると、弾性干渉部464が弾性変形する。これにより、
図16に示されるように、弾性干渉部464を越えて当接突起466が干渉ブロック装着孔460の開口側へ移動し、これにより、チューブ254の他端がワイヤ242の長手方向先端側へ移動する。このような構成としても上述した本実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。