(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータは、前記筒状部の前部に回転自在に支持され、前部に形成された前壁と、前記前壁の内周部に形成され外周部に前記回転部材が装着されるボス部とを有する円筒部を備え、
前記第1リップ部は、前記ボス部の外周部に向けて径方向に延び、
前記第2リップ部は、前記前壁の後面に向けて軸方向に延びる、請求項1又は2に記載のスピニングリールの防水構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のスピニングリールのシール部材は、内周部がロータのボス部外周面と接触するように径方向に突出するように配置されているので、ローラクラッチ内部に浸水するのを防止できる。しかし、筒状部の前部に設けられたロータの後面とシール部材の前面との間の隙間に大量の水が流入すると、シール部材の内周部にかかる水圧が増大し、シール部材の防水性能が低下するおそれが生じる。
【0006】
本発明の課題は、スピニングリールの防水部材において、防水性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係るスピニングリールの防水部材は、スピニングリールのリール本体の前端に設けられた筒状部と、筒状部の内周部及び筒状部の前部に設けられたロータとの間を防水するスピニングリールの防水部材であって、本体部と、第1リップ部と、第2リップ部と
、第3リップ部とを、備えている。本体部は、筒状部の内周部に固定され、先端部が内周側に延びている。第1リップ部は、本体部の内周側先端部が筒状部の内周部に設けられたロータと一体回転する回転部材の外周部に接触するように径方向に延びている。第2リップ部は、第1リップ部の前面から筒状部の前部に設けられたロータの後面に向けて軸方向に延びている。
第3リップ部は、本体部の内周側先端部が第1リップ部と前後方向に異なる位置で回転部材の外周部に向けて径方向に延びている。第3リップ部は、回転部材の外周部との間に隙間を有する。
【0008】
この防水部材は、ロータの外周部に向けて径方向に延びる第1リップ部と、第1リップ部の前面からロータの後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部とを有している。ここでは、筒状部の前部に設けられたロータの後面と防水部材の前面との間の隙間に大量の水が流入しても、第1リップ部の前面からロータの後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部によって、第1リップ部にかかる水圧を減少させることができるので、防水部材の防水性能を向上できる。
【0009】
発明2に係る防水部材は、発明1の防水部材において、第2リップ部は、ロータの後面との間に隙間を有する。
【0010】
発明
3に係る防水部材は、発明1
又は2の防水部材において、ロータは、筒状部の前部に回転自在に支持され、前部に形成された前壁と、前壁の内周部に形成され外周部に回転部材が装着されるボス部とを有する円筒部を備えている。第1リップ部は、ボス部の外周部に向けて径方向に延びている。第2リップ部は、前壁の後面に向けて軸方向に延びている。この場合、ボス部の外周部に向けて径方向に延びる第1リップ部と、第1リップ部の前面から前壁の後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部とを有している。ここでは、前壁の後面と防水部材の前面との間の隙間に大量の水が流入しても、第1リップ部の前面から前壁の後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部によって、第1リップ部の内周部にかかる水圧を減少させることができるので、防水部材の防水性能を向上できる。
【0011】
発明
4に係る防水部材は、発明1
から3のいずれかの防水部材において、本体部は、筒状部の前側内周部に設けられロータの回転方向を規制するローラクラッチの前側近傍に固定されている。この場合、ローラクラッチの防水性能を向上できる。
【0012】
発明
5に係る防水部材は、発明1から
4のいずれかの防水部材において、本体部、第1リップ部及び第2リップ部は、一体形成されている。この場合、本体部、第1リップ部及び第2リップ部が一体成形されているので、全体の部品点数を減少できるので、組立工程を簡素化できる。
【0013】
発明
6に係る防水部材は、発明1から
5のいずれかの防水部材におい
て、ロータの外周部の第1リップ部と第3リップ部との間に設けられグリスが保持されるグリス保持
部を、さらに備えている。この場合、第3リップ部が回転部材の外周部に接触していないときには、従来の構成に比して、回転部材の回転摩擦が増加しにくくなる。さらに、ここでは、ロータの外周部の第1リップ部と第3リップ部との間に設けられたグリス保持部に、グリスが保持されているので、防水性能を向上できる。
【0014】
発明7に係る防水部材は、発明1から6のいずれかの防水部材において、筒状部の前部を覆うカバー部材及び筒状部によって挟持される本体部と、カバー部材との間を防水するリング部材を、さらに備える。
【0015】
発明
8に係るスピニングリールは、釣竿に装着され釣り糸を前方に繰り出し可能なスピニングリールであって、釣竿に装着され前端に筒状部を有するリール本体と、リール本体に前後方向に沿って移動可能に装着されたスプール軸と、スプール軸の前端に装着され外周に釣り糸が巻き付けられるスプールと、スプールの外周側に回転可能に設けられ釣り糸をスプールに巻き付けるロータと、発明1から
7に記載された防水部材とを備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スピニングリールの防水部材において、防水部材は、ロータの外周部に向けて径方向に延びる第1リップ部と、第1リップ部の前面からロータの後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部とを有しているので、防水部材の防水性能を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、
図1及び
図2に示すように、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、
図1及び図2では、ハンドル1がリール本体2の
右側に装着されている。
ハンドル1はリール本体2の左右いずれにも装着可能である。
【0019】
ハンドル1は、T字状のハンドル把手1aと、先端にハンドル把手1aが回転自在に装着されたハンドルアーム1bとを有している。ハンドルアーム1bの基端部には、ハンドルアーム1bと交差する方向に延びて形成され、後述するハンドル軸10に回転不能に装着されるハンドル軸部1cをさらに有している。
【0020】
リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。
【0021】
リールボディ2aは、たとえばアルミニウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。
図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eとが形成されている。円筒部2eには、断面が円形状に切り欠かれた装着溝2fが形成されている。
【0022】
リールボディ2aの側部には、
図2及び
図3に示すように、後述するスプール軸15が貫通し、かつ後述する第2軸受14bを前方から収納可能な有底筒状の取付凹部2gが形成されている。取付凹部2gは、前部が開口し、後部中央にスプール軸15が貫通する貫通孔が形成された底部を有するボス部であって、リールボディ2aの側方に突出した部分をTスロットによる切削加工によって形成されている。また、リールボディ2a及び蓋部材2bの側部には、ハンドル軸10が挿通可能な図示しない円形の貫通孔がそれぞれ形成されている。リールボディ2a及び蓋部材2bの内側面の貫通孔の周囲には、ハンドル軸10を回転自在に支持する図示しない転がり軸受が収納可能な装着凹部2hがそれぞれ凹んで形成されている。ここでは、取付凹部2gは、Tスロットによる切削加工によって形成されているので、装着凹部2hは、側面から見て取付凹部2gの後端部の一部がオーバーラップする位置に配置することができる。このため、従来のように取付凹部2gの後端部の一部を切り欠く加工を施す必要がなくなるとともに、装着凹部2hを大径化できるのでハンドル軸10を支持する転がり軸受を大きくできるので、転がり軸受にかかる耐荷重を増加できる。
【0023】
蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金製の部材であり、たとえば3箇所でリールボディ2aにビス止めされている。
【0024】
ロータ3は、
図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻き取り姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻き取り姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。
【0025】
ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり、一体成形されている。
【0026】
円筒部30の前部には、前壁33が形成されており、前壁33の中央部には、ボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には、貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット部材13が配置されている。
【0027】
第1ロータアーム31の先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第2ロータアーム32の先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端には、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端が尖った変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U字状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により、釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。
【0028】
ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻き取り姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持するために設けられている。
【0029】
ロータ3の円筒部30の内部には、
図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止、解除するための逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、円筒部2eの内周部に装着されるローラ型のワンウェイクラッチであるローラクラッチ51と、リールボディ2aの下部に配置されローラクラッチ51を作用状態と非作用状態とに切り換えるストッパつまみ52とを有している。ローラクラッチ51は、外輪が円筒部2eの内周側に装着され、内輪がピニオンギア12の外周部に装着されている。ここでは、ストッパつまみ52を左右に揺動操作することにより、ローラクラッチ51の作動状態と非作動状態とを切り換える。
【0030】
ローラクラッチ51は、
図3及び
図4に示すように、円筒部2eの内周部である第1前側内周部2lに装着され、第1前側内周部2lの前方(
図4左側)に配置され第1前側内周部2lより大径の段付き凹部となる円筒部2eの前端内周部である第2前側内周部2mには、ローラクラッチ51を防水するための第1防水部材70が装着されている。円筒部2eの前端部外周には、ローラクラッチ51の前側を覆うための有底筒状のカバー部材2iが装着されており、カバー部材2iの底部後面と、第1前側内周部2l及び第2前側内周部2mの間の段部の前面とで、第1防水部材70を挟持することによって、第1防水部材70を円筒部2eに固定している。
【0031】
カバー部材2iは、
図4に示すように、底部前面から前方に突出する円筒状の突出部2jと、第1防水部材70の前面が接触する底部後面が環状に凹んで形成された凹部2kとを有している。突出部2jは、ロータ3の円筒部30の前壁33の後面に突出するようにねじ止めされたラバーゴム製のラバー部材33dの後面が環状に凹んで形成された凹部33bに挿入されている。ここでは、凹部33bと突出部2jとでラビリンス構造を成しているので、内部に浸水しにくい構造になっている。さらに、ここでは、前壁33と別体のラバー部材33dを設けることによって、組み付け誤差や巻上げ時の荷重による変形や変位が原因でラバー部材33dとカバー部材2iが接触しても、回転抵抗がさほど増えず、違和感が生じない。これによって、ラバー部材33dとカバー部材2iのクリアランスを詰めることができ、防水性能をさらに向上させることができる。また、凹部2kには、合成樹脂製のOリング92が装着されており、カバー部材2iと第1防水部材70との間に浸水するのを防止できる。
【0032】
第1防水部材70は、たとえば、NBR等の弾性を有する合成樹脂製のリップ部材である。第1防水部材70は、
図4に示すように、円筒部2eの第2前側内周部2mに固定され先端部が内周側に延びる本体部71と、本体部71の内周側先端部がロータ3の円筒部30のボス部33a外周に装着されたキャップ部材33cの外周部に向けてキャップ部材33cの外周部と隙間75をあけて径方向に延びる第3リップ部73と、本体部71の内周側先端部が第3リップ部73の後方位置(
図4右側)でキャップ部材33cの外周部に接触する第1リップ部72と、キャップ部材33cの外周部の第1リップ部72と第3リップ部73との間に設けられグリス90が保持されるグリス保持部74と、第1リップ部72の前面からロータ3の円筒部30の前壁33の後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部76とを有している。
【0033】
本体部71の外周部は、
図4に示すように、円筒部2eの第2前側内周部2mに接触するように配置され、カバー部材2iの底部後面と、第1前側内周部2l及び第2前側内周部2mの間の段部の前面とで挟持されている。本体部71は、ローラクラッチ51の前側全体を覆っている。本体部71の内周側先端部は、前後に2又に分岐してそれぞれが内側に延びた第3リップ部73及び第1リップ部72となるように一体成形されている。
【0034】
第1リップ部72及び第3リップ部73は、
図4に示すように、リップ先端が前方側(
図4左側)に向くように装着されている。第1リップ部72は、第2前側内周部2mの開口側と逆側(
図4右側)内周部に配置されている。第3リップ部73は、円筒部2eの第2前側内周部2mの開口側(
図4左側)内周部に配置されている。第1リップ部72の内周側先端部は、キャップ部材33cの外周部に接触している。第3リップ部73の内周側先端部は、ロータ3のキャップ部材33cの外周部との間に隙間75が形成されている。
【0035】
グリス保持部74は、
図4に示すように、キャップ部材33cの外周部の第1リップ部72と第3リップ部73との間の空間であって、第3リップ部73の内周側先端部からグリス90が注入されている。なお、グリス保持部74には、グリス90を含浸させたフエルト製の環状部材91が装着されており、環状部材91を装着した後にグリス90を注入している。グリス90は、グリス保持部74全体にわたって充填されており、その一部は、第3リップ部73の内周側先端部とキャップ部材33cの外周部との間に隙間75にも充填されている。
【0036】
キャップ部材33cは、
図3及び
図4に示すように、ボス部33aの外周部に装着された筒状のカラー部材である。キャップ部材33cは、第3リップ部73が延びる開口側(
図4左側)外周面かららグリス保持部74となる外周面にわたる外周面の表面粗さが、第1リップ部72が接触する開口側と逆側(
図4右側)外周面の表面粗さより大きくなる(粗くなる)ように加工されている。
【0037】
第2リップ部76は、
図4に示すように、リップ先端が前方側(
図4左側)に向けてスプール軸15と平行な軸に沿って延びている。第2リップ部76は、第1リップ部72の外周部の前面からロータ3の円筒部30の前壁33の後面に向けて軸方向に延びている。第2リップ部76の先端部(
図4左側端部)は、前壁33の後面に接触している。第2リップ部76は、第1リップ部72と一体成形されている。第2リップ部76は、第1リップ部72の内周側先端部の外周面を完全に覆うように配置されている。
【0038】
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構60を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
【0039】
ロータ駆動機構5は、
図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するドライブギア11と、このドライブギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。
【0040】
ピニオンギア12は、ステンレス合金製の筒状部材であって、ピニオンギア12の前部12aはロータ3の中心部を貫通し、ナット部材13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、
図2及び
図3に示すように、中間部12iと後部12fとが、それぞれ転がり軸受からなる第1軸受14a及び第2軸受14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0041】
ピニオンギア12は、
図3に示すように、釣竿の軸方向に沿う軸回りに回転自在にリール本体2に装着されており、ピニオンギア12の前部12aはロータ3の中心部を貫通し、ナット部材13によりロータ3に固定されている。ピニオンギア12は、内周部にスプール軸15が隙間12eをあけて貫通する筒状部12bと、筒状部12bの後部12f外周に設けられドライブギア11に噛み合う歯部12cと、筒状部12bの前部12a外周に設けられロータ3に回転不能に装着される装着部12dを有している。
【0042】
筒状部12bは、
図3に示すように、ステンレス合金製の筒状の部材であり、中間部12iと後部12fとが、それぞれ第1軸受14a及び第2軸受14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。筒状部12bの内部には、スプール軸15が貫通しており、筒状部12bとスプール軸15との間には、隙間12eが生成されている。
【0043】
歯部12cは、
図3に示すように、筒状部12bの中間部12iと後部12fとの間の外周にはす歯状に形成されており、ドライブギア11に噛み合っている。歯部12cは、後述するオシレーティング機構6の中間ギア20にも噛み合っている。
【0044】
装着部12dは、
図3に示すように、筒状部12bの前部12a外周に面取り形成された対向する平坦面からなる面取り部12hと、面取り部12hの前側に形成された雄ねじ部12gとにより構成され、ロータ3に回転不能に装着される。雄ねじ部12gは、装着部12dの前側外周面に形成されており、雄ねじ部12gにナット部材13が螺合する。ナット部材13は、
図2及び
図3に示すように、リテーナ13aにより回り止めされている。リテーナ13aは、ロータ3の前壁33に前方から装着される複数のねじ部材13bにより固定されている。
【0045】
第1軸受14a及び第2軸受14bは、
図3に示すように、筒状部12bの中間部12iと後部12f外周に装着された転がり軸受である。第1軸受14aは、外輪が円筒部2eの内周部に装着され、内輪が筒状部12bの面取り部12h形成部分の後側に形成された中間部12iに装着されている。第2軸受14bは、有底筒状の取付凹部2gに前方から収納されており、外輪が取付凹部2gの内周部に装着され、内輪が歯部12cより後側の筒状部12bの後部12fに装着されている。
【0046】
第1軸受14aの外輪は、
図3及び
図5に示すように、円筒部2eの内周部である第1後側内周部2nに装着されている。また、第1後側内周部2nの後方(
図5右側)には、第1後側内周部2nより小径の第2後側内周部2oと、第2後側内周部2oより小径の円筒部2eの後端内周部である第3後側内周部2pとの間に段部が生成されており、第1軸受14aの外輪の後面と、第2後側内周部2o及び第3後側内周部2pの間の段部の前面との間には、第1軸受14aを防水するための第2防水部材80が装着されている。
【0047】
第2防水部材80は、たとえば、NBR等の弾性を有する合成樹脂製のリップ部材である。第2防水部材80は、第1軸受14aの外輪の後面と、第2後側内周部2o及び第3後側内周部2pの間の段部の前面とで挟持されている。第2防水部材80の外周部は、
図5に示すように、円筒部2eの内周部である第2後側内周部2oに装着され、第2防水部材80の内周部は、ピニオンギア12の中間部12iの後部外周部に凹んで形成された凹部12jに接触している。
【0048】
第2防水部材80は、
図5に示すように、円筒部2eの第2後側内周部2oの後側(
図5右側)に固定され先端部が内周側に延びる第1本体部81と、第1本体部81の前面が接触するように第1本体部81と別体で設けられ円筒部2eの第2後側内周部2oの前側(
図5左側)に固定され先端部が内周側に延びる第2本体部82と、第1本体部81と一体成形され第1本体部81の内周側先端部がピニオンギア12の凹部12jの外周部に接触するように延びる第1リップ部83と、第2本体部82と一体成形され第2本体部82の内周側先端部がピニオンギア12の凹部12jの外周部に接触するように延びる第2リップ部84と、ピニオンギア12の凹部12jの外周部の第1リップ部83と第2リップ部84との間に設けられグリス90が保持されるグリス保持部85とを有している。第2防水部材80は、第1本体部81及び第1リップ部83からなるリップ部材と、第2本体部82及び第2リップ部84からなるリップ部材との2つのリップ部材で構成されている。
【0049】
第1本体部81の前面は、
図5に示すように、第2本体部82の後面に接触するように配置されている。第1本体部81の後面は、第2後側内周部2o及び第3後側内周部2pの間の段部の前面に接触している。第2本体部82の前面は、第1軸受14aの外輪の後面と接触している。
【0050】
第1リップ部83は、
図5に示すように、円筒部2eの第2後側内周部2oの開口側(
図5右側)内周部に配置されている。第2リップ部84は、第2後側内周部2oの開口側と逆側(
図5左側)内周部に配置されている。第1リップ部83はリップ先端が後方側(
図5右側)に向くように装着されている。第2リップ部84は、リップ先端が前方側(
図5左側)に向くように装着されている。第1リップ部83は、ピニオンギア12の凹部12jの外周部及び後側段部に接触している。第2リップ部84は、ピニオンギア12の凹部12jの外周部及び前側段部に接触している。
【0051】
グリス保持部85は、
図5に示すように、ピニオンギア12の凹部12jの外周部の第1リップ部83と第2リップ部84との間の空間であって、第1リップ部83の内周側先端部からグリス90が注入されている。
【0052】
第2軸受14bの外輪は、取付凹部2g内周部及び底部の一部のみに接触しており、第2軸受14bの内輪は、前側部分において筒状部12bの後部12f外周を支持し後側部分において後述するスプール軸15支持用の第4軸受14d外周を支持している。なお、第2軸受14bの内輪は、取付凹部2gの底部との間に僅かな隙間が生成されており、このため取付凹部2gの底部と接触しないようになっている。
【0053】
スプール軸15は、
図2及び
図3に示すように、ステンレス合金製の軸部材であり、前端部にはドラグ機構60を介してスプール4が連結され、後端部には後述するオシレーティング機構6のスライダ22が固定されている。スプール軸15は、ピニオンギア12の内周部を貫通しており、筒状部12bの前部12aより前方及び筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周は、それぞれ第3軸受14c及び第4軸受14dによって回転自在に支持されている。
【0054】
第3軸受14cは、
図3に示すように、スプール軸15の外周に装着された転がり軸受である。第3軸受14cは、外輪がナット部材13の前端側内周部に装着され、内輪が筒状部12bの前部12aより前方のスプール軸15外周に装着されている。
【0055】
第4軸受14dは、
図3に示すように、合成樹脂製の筒状部材であって、ブッシュ部材等の汎用の滑り軸受である。第4軸受14dは、外周が第2軸受14bの後端内周部に装着され、内周が筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周に装着されている。ここでは、第2軸受14bが、筒状部12bの後部12fと第4軸受14dとをともに支持しているので、スプール軸15の支持構造が簡素になる。また、第4軸受14dは、後端部が第2軸受14bの後端部より前側に位置するように配置されている。このため、第4軸受14dを前方に配置することができるので、スプール軸15の支持構造全体の前後長さを短くできる。
【0056】
オシレーティング機構6は、
図2に示すように、スプール4の中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、トラバースカム式のものであり、ピニオンギア12の歯部12cに噛み合う中間ギア20と、リールボディ2aにスプール軸15と平行な軸回りに回転自在に装着された螺軸21と、螺軸21の回転により前後移動するスライダ22とを有している。スライダ22にスプール軸15の後端部が回転不能かつ軸方向移動不能に取り付けられている。
【0057】
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
【0058】
キャスティング時には図示しない逆転防止機構によりロータ3を逆転禁止状態にして手でベールアームを持ってベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
【0059】
この状態で釣竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っ掛けながら釣竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。
【0060】
キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻き取り方向に回転する。ロータ3が糸巻き取り方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻き取り姿勢に復帰する。
【0061】
このようなスピニングリールでは、第1防水部材70は、ロータ3の円筒部30のボス部33a外周に装着されたキャップ部材33cの外周部に接触するように径方向に延びる第1リップ部72と、第1リップ部72の前面からロータ3の円筒部30の前壁33の後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部76とを有している。ここでは、円筒部2eの前部に設けられたロータ3の円筒部30の前壁33の後面と第1防水部材70の前面との間の隙間に大量の水が流入しても、第1リップ部72の前面から前壁33の後面に向けて軸方向に延びる第2リップ部76によって、第1リップ部72にかかる水圧を減少させることができるので、第1防水部材70の防水性能を向上させることができる。
【0062】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ式のスピニングリールを例に説明したが、あらゆる形式のスピニングリールに本発明を適用できる。
【0063】
(b) 前記実施形態では、第1防水部材70は、第3リップ部73、グリス保持部74、隙間75、グリス90及び環状部材91を設けていたが、
図6に示すように、第3リップ部73、グリス保持部74、隙間75、グリス90及び環状部材91を設けないで、本体部71、第1リップ部72及び第2リップ部76を設ける構成にしてもよい。なお、
図6では、第1防水部材70の第1リップ部72は、ロータ3のキャップ部材33cの外周部に接触させていたが、ロータ3のキャップ部材33cの外周部との間に隙間を設ける構成にしてもよい。
【0064】
(c) 前記実施形態では、第2リップ部76は、スプール軸15と平行な軸に沿って延びていたが、これに限定されるものではなく、前壁33の後面に向けて軸方向に延びていればよい。また、第2リップ部76の先端部は、前壁33の後面に接触させていたが、前壁33の後面との間に隙間を設ける構成にしてもよい。
【0065】
(d) 前記実施形態では、前壁33と別体のラバー部材33dを設け、ラバー部材33dに凹部33bを形成していたが、
図7に示すように、前壁33に凹部33bを形成してもよい。また、ラバー部材33dの形状は、前記実施形態に限定されるものではなく、突出部2jが挿入されてラビリンス構造を構成可能な形状であれば、任意の形状に形成できる。また、ラバー部材33dの材質は、ラバーゴムに限定されるものではない。また、ラバー部材33dの固定方法は、ねじ止めに限定されるものではない。