(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マーク形成手段は、前記ステージに載置された前記プリント配線基板の何れか1辺を基準として予め定められた方向、および当該予め定められた方向に交差する方向の少なくとも一方の方向に対して移動可能に設けられている
請求項1記載の露光描画装置。
前記マーク形成手段は、前記マーク形成手段に対して既知の相対位置にある校正用マークが前記ステージにプリント配線基板が載置された状態であっても前記計測手段により撮影可能な位置に形成されていて、
前記計測手段は、前記校正用マークの各々が撮影されるように前記マーク形成手段を撮影する撮影手段を備え、当該撮影手段による撮影画像を用いて前記マーク形成手段の各々の位置を計測する
請求項1乃至4の何れか1項記載の露光描画装置。
ステージに載置されたプリント配線基板の第1面を露光することにより前記第1面に回路パターンを描画する第1露光手段と、前記ステージに対して相対的に移動可能に設けられ、前記第1面と反対の第2面に予め定められた複数のマークを形成するマーク形成手段と、前記マーク形成手段の位置を計測する計測手段と、前記マーク形成手段により前記プリント配線基板の前記第2面に形成された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記プリント配線基板の前記第2面を露光することにより前記第2面に回路パターンを描画する第2露光手段とを備えた露光描画装置における露光描画方法であって、
前記マーク形成手段の位置が計測されるように前記計測手段を制御する第1ステップと、
前記マーク形成手段を予め定められた位置へ移動させる第2ステップと、
前記プリント配線基板の前記第1面に第1面用の回路パターンが描画され、かつ該回路パターンの描画処理中に、前記第1面用の回路パターンに対応させて前記第2面に複数のマークが形成されるように前記第1露光手段及び前記マーク形成手段を制御する第3ステップと、
前記計測手段により計測された前記マーク形成手段の位置及び前記検出手段により検出された前記複数のマークの位置を基準として、前記第2面に、前記第2面用の回路パターンが描画されるように前記第2露光手段を制御する第4ステップと、
を備えた露光描画方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている露光描画装置では、描画処理前にアライメント用のマークを形成する必要があるため、焼き出し時間によりサイクルタイムに影響してしまうこと、第1面及び第2面間のアライメント用のマーク計測の位置ずれを補正する必要があること、及び第1面及び第2面の双方にアライメント用のマークを形成する装置構成が必要であること等の問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている露光描画装置では、被露光基板に対してアライメント用のマークを描画する位置が固定されているため、サイズの異なる複数の基板の各々に対して露光する場合には、被露光基板のサイズに応じた最適な位置にアライメント用のマークを描画することができず、基板のサイズによってはアライメント精度が低下する可能性がある、という問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、被露光基板のサイズに依存することなく、被露光基板の表裏におけるアライメント精度を向上させることができる露光描画装置及び露光描画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る露光描画装置は、ステージに載置されたプリント配線基板の第1面を露光することにより前記第1面に回路パターンを描画する第1露光手段と、前記ステージに対して相対的に移動可能に設けられ、前記プリント配線基板の前記第1面に第1面用の回路パターンの描画処理中に前記第1面と反対の第2面に予め定められた複数のマークを形成するマーク形成手段と、前記マーク形成手段の位置を計測する計測手段と、前記マーク形成手段により前記プリント配線基板の前記第2面に形成された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記計測手段により計測された前記マーク形成手段の位置及び前記検出手段により検出された前記複数のマークの位置を基準として、前記プリント配線基板の前記第2面を露光することにより前記第2面に回路パターンを描画する第2露光手段と、を備えている。
【0009】
この露光描画装置によれば、第1露光手段により、ステージに載置されたプリント配線基板の第1面を露光することにより前記第1面に回路パターンが描画され、前記ステージに対して相対的に移動可能に設けられたマーク形成手段により、前記プリント配線基板の前記第1面に第1面用の回路パターンの描画処理中に前記第1面と反対の第2面に予め定められた複数のマークが形成され、計測手段により、前記マーク形成手段の位置が計測され、検出手段により、前記マーク形成手段により前記プリント配線基板の前記第2面に形成された複数のマークの位置が検出される。
【0010】
ここで、本発明では、第2露光手段により、前記計測手段により計測された前記マーク形成手段の位置及び前記検出手段により検出された前記複数のマークの位置を基準として、プリント配線基板の前記第2面を露光することにより前記第2面に回路パターンが描画される。
【0011】
すなわち、マーク形成手段の位置を計測し、第1面用の回路パターンの露光位置と既知の関係にある第2面の位置にマーク形成手段によって複数のマークを形成しておき、第2面に第2面用の回路パターンを露光する際に、マーク形成手段の位置及び複数のマークの位置を基準として第2面用の回路パターンを描画することで、第1面及び第2面に描画される回路パターンの位置を対応させることができる。なお、上記「描画処理」とは、プリント配線基板がステージに載置されてから、回路パターンの描画が終了してプリント配線基板が排出されるまでの一連の処理をいう。
【0012】
このように、本発明に係る露光描画装置によれば、第1面に描画される回路パターンと既知の位置関係にある複数のマークの位置を基準として第2面に描画される回路パターンの位置を第1面に描画される回路パターンの位置に対応させることができる結果、被露光基板のサイズに依存することなく、被露光基板の表裏におけるアライメント精度を向上させることができる。
【0013】
なお、本発明において、前記マーク形成手段は、前記ステージに載置された前記プリント配線基板の何れか1辺を基準として予め定められた方向、および当該予め定められた方向に交差する方向の少なくとも一方の方向に対して移動可能に設けられているようにしても良い。これにより、適切な位置に複数のマークを形成する位置を調整することができる。
【0014】
また、本発明において、前記マーク形成手段は、移動可能範囲が、サイズの異なる複数種類のプリント配線基板に対して当該マークを形成可能な範囲とされているようにしても良い。これにより、基板のサイズに依存せずに適切な位置に複数のマークを形成することができる。
【0015】
また、本発明において、前記プリント配線基板のサイズを特定する特定手段をさらに備え、前記マーク形成手段は、前記特定手段によって特定されたサイズに応じて前記複数のマークの各々を形成するようにしても良い。これにより、基板のサイズに応じた適切な位置に複数のマークを形成することができる。
【0016】
また、本発明において、前記計測手段は、前記マーク形成手段を撮影する撮影手段を備え、当該撮影手段による撮影画像を用いて前記マーク形成手段の各々の位置を計測するようにしても良い。これにより、マーク形成手段の位置を簡易に計測することができる。
【0017】
また、本発明において、前記マーク形成手段は、前記マーク形成手段に対して既知の相対位置にある校正用マークが前記ステージにプリント配線基板が載置された状態であっても前記計測手段により撮影可能な位置に形成されていて、前記計測手段は、前記校正用マークの各々が撮影されるように前記マーク形成手段を撮影する撮影手段を備え、当該撮影手段による撮影画像を用いて前記マーク形成手段の各々の位置を計測するようにしても良い。
また、本発明において、前記マーク形成手段は、前記マーク形成手段に対して既知の相対位置にある複数の校正用マークが前記ステージにプリント配線基板が載置された状態であっても前記計測手段により撮影可能な位置に形成されていて、前記計測手段は、前記複数の校正用マークの各々が撮影されるように前記マーク形成手段を撮影する撮影手段を備え、当該撮影手段による撮影画像を用いて前記マーク形成手段の各々の位置を計測するようにしても良い。これにより、マーク形成手段を撮影できない場合であっても、マーク形成手段の位置を計測することができる。
【0018】
また、この発明において、前記撮影手段は複数設けられ、前記撮影手段の各々が、前記マーク形成手段のうちの1つ以上を撮影するようにしても良い。これにより、マーク形成手段の位置を簡易に計測することができる。
【0019】
また、この発明において、前記撮影手段は、回路パターンが描画される位置と既知の関係にあり、前記ステージに対して移動可能に設けられているようにしても良い。これにより、マーク形成手段の位置に依存せずに、マーク形成手段の位置を計測することができる。
【0020】
また、本発明において、前記マーク形成手段は、前記プリント配線基板の前記第2面に対して短波長の光で露光することにより前記マークを形成するようにしても良い。これにより、適切な位置に精度よく複数のマークを形成することができる。
【0021】
また、本発明において、前記マーク形成手段は、前記プリント配線基板の第2面に対してインクを付着させることにより前記複数のマークを形成するようにしても良い。これにより、簡易に複数のマークを形成することができる。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る露光描画方法は、ステージに載置されたプリント配線基板の第1面を露光することにより前記第1面に回路パターンを描画する第1露光手段と、前記ステージに対して相対的に移動可能に設けられ、前記第1面と反対の第2面に予め定められた複数のマークを形成するマーク形成手段と、前記マーク形成手段の位置を計測する計測手段と、前記マーク形成手段により前記プリント配線基板の前記第2面に形成された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記プリント配線基板の前記第2面を露光することにより前記第2面に回路パターンを描画する第2露光手段とを備えた露光描画装置における露光描画方法であって、前記マーク形成手段の位置が計測されるように前記計測手段を制御する第1ステップと、前記マーク形成手段を予め定められた位置へ移動させる第2ステップと、前記プリント配線基板の前記第1面に第1面用の回路パターンが描画され、かつ該回路パターンの描画処理中に、前記第1面用の回路パターンに対応させて前記第2面に複数のマークが形成されるように前記露光手段及び前記マーク形成手段を制御する第3ステップと、前記計測手段により計測された前記マーク形成手段の位置及び前記検出手段により検出された前記複数のマークの位置を基準として、前記第2面に、前記第2面用の回路パターンが描画されるように前記第2露光手段を制御する第4ステップと、を備えている。
【0023】
従って、この露光描画方法によれば、本発明に係る露光描画装置と同様に作用するので、本発明に係る露光描画装置と同様に、被露光基板のサイズに依存することなく、被露光基板の表裏におけるアライメント精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被露光基板のサイズに依存することなく、被露光基板の表裏におけるアライメント精度を向上させることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態に係る露光描画システムについて添付図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態では、露光描画システム1として、プリント配線基板やプリント基板及びフラットパネルディスプレイ用ガラス基板等の平板基板を被露光基板Cとして、被露光基板Cの第1面(以下、「表面」ともいう。)C1及び第2面(以下、「裏面」ともいう。)C2の双方に対して露光描画を行うシステムを例として説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る露光描画システム1の全体の構成を示す構成図である。また、
図2は、本実施形態に係る露光描画システム1の機能を示すブロック図である。
図1及び
図2に示すように、露光描画システム1は、後述する紫外線光源51の位置を計測した後に、被露光基板Cの表面C1に対して露光を行うとともに被露光基板Cの裏面C2にアライメント用のマークMを形成する第1露光描画装置2、被露光基板Cの表裏を反転する反転装置3、被露光基板Cの裏面C2に対して露光を行う第2露光描画装置4、被露光基板Cを第1露光描画装置2に搬送する第1搬送部5、被露光基板Cを第1露光描画装置2から反転装置3に搬送する第2搬送部6、被露光基板Cを反転装置3から第2露光描画装置4に搬送する第3搬送部7、及び、被露光基板Cを第2露光描画装置4から搬送する第4搬送部8を備えている。
【0028】
図3(A)は、被露光基板Cの表面C1に露光を行った場合の当該表面C1の一例を示す正面図であり、
図3(B)は、被露光基板Cの裏面C2に露光を行った場合の当該裏面C2の一例を示す正面図である。
【0029】
図3(A)に示すように、被露光基板Cの表面C1には、第1露光描画装置2により表面用画像(本実施形態では、「F」の形状の画像)P1が描画される。また、
図3(B)に示すように、被露光基板Cの裏面C2には、第2露光描画装置4により裏面用画像(本実施形態では、上記表面C1における「F」の形状の画像に対応する裏面C2の領域を囲う、矩形の枠の形状の画像)P2が、表面C1の表面用画像P1が描画される座標系(以下、「画像座標系」という。)に対応する画像座標系で描画される。また、被露光基板Cの裏面C2には、正面視上部中央側及び正面視下部中央側に、第1露光描画装置2により複数(本実施形態では、2つ)のアライメント用のマークMが描画される。このアライメント用のマークMは、被露光基板Cの表面C1及び裏面C2にそれぞれ描画される表面用画像P1の位置と裏面用画像P2の位置とを相互に対応させるためのマークである。
【0030】
本実施形態に係る露光描画システム1において、被露光基板Cの搬送方向の上流側に、第1露光描画装置2が設けられている。第1露光描画装置2は、第1搬送部5により搬送された未露光の被露光基板Cが装置内に搬入されると、上述したように、被露光基板Cの表面C1に対して露光を行い表面に表面用画像P1を描画するとともに被露光基板Cの裏面C2にアライメント用のマークMを形成する。
【0031】
本実施形態に係る露光描画システム1では、アライメント用のマークMは、φ0.5mmからφ1mm程度の円形で描画されるが、大きさや形状はこれに限定されず、大きさは表面用画像P1及び裏面用画像P2の描画と重ならない大きさであればよく、形状は、十字型の形状や矩形型の形状等、任意に設定されて良い。
【0032】
第1露光描画装置2の被露光基板Cの搬送方向の下流側には、被露光基板Cの表裏を反転する反転装置3が設けられている。反転装置3は、第1露光描画装置2により表面C1が露光されかつアライメント用のマークMが描画された被露光基板Cが搬入されると、次のプロセスで被露光基板Cの裏面C2に露光を行うために、被露光基板Cの表裏を反転させる。
【0033】
反転装置3の被露光基板Cの搬送方向の下流側には、被露光基板Cの裏面C2に対して露光を行う第2露光描画装置4が設けられている。第2露光描画装置4は、反転装置3により反転された被露光基板Cが装置内に搬入されると、被露光基板Cの裏面C2に対して露光を行い裏面用画像P2を描画する。この際、第2露光描画装置4は、第1露光描画装置2により被露光基板Cに描画されたアライメント用のマークMを用いて位置合わせを行った上で裏面C2に対して露光を行う。
【0034】
また、本実施形態に係る露光描画システム1は、第1露光描画装置2まで被露光基板Cを搬送して第1露光描画装置2に搬入するする第1搬送装置5、第1露光描画装置2から排出された被露光基板Cを反転装置3まで搬送して反転装置3に搬入する第2搬送装置6、反転装置3から排出された被露光基板Cを第2露光描画装置4まで搬送して第2露光描画装置4に搬送する第3搬送装置7、及び、第2露光描画装置4から排出された被露光基板Cを搬送する第4搬送装置8を備えている。
【0035】
上記各搬送装置は、複数の回転ローラと回転ローラを回転する駆動モータとを有している。回転ローラは複数本が平行に敷設され、回転ローラの一端にはベルト又はワイヤーによって伝達される回転力を受けるスプロケット又は滑車が取り付けられる。回転ローラを回転する駆動モータの回転力を伝達する手段としては、ベルト又はワイヤー以外に円筒状のマグネットによる伝達方法も採用できる。
【0036】
なお、本実施形態では、被露光基板Cのスループット(時間当たりの生産量)を高めるために、第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4の2台の露光描画装置を用いて第1露光描画装置2が被露光基板Cの表面C1を露光し第2露光描画装置4が被露光基板Cの裏面C2を露光するが、これに限定されず、被露光基板Cを表面C1から裏面C2へと反転して第1露光描画装置2のみで被露光基板Cの両面を描画することも可能である。
【0037】
次に、第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4の構成について説明する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2描画露光描画装置4の構成を示す斜視図である。以下では、ステージ10が移動する方向をY方向と定め、このY方向に対して水平面で直交する方向をX方向と定め、Y方向に鉛直面で直交する方向をZ方向と定め、さらにZ軸を中心とする回転方向をθ方向と定める。
【0039】
図4に示すように、第1露光描画装置2は、被露光基板Cを固定するための平板状のステージ10を備えている。ステージ10は移動可能に構成されていて、ステージ10に固定された被露光基板Cは、ステージ10の移動に伴って被露光基板Cを露光位置まで移動し、後述する露光部16により光ビームを照射されて被露光基板Cに表面用画像C1が描画される。
【0040】
ステージ10は、卓状の基体11の上面に移動可能に設けられた平板状の基台12に支持されている。また、基台12とステージ10との間にモータ等により構成された移動駆動機構(図示省略)を有する移動機構部13が設けられていて、ステージ10は、移動機構部13により、基台12に対して、ステージ10の中央部における垂線を中心軸としてθ方向に回転移動する。
【0041】
基体11の上面には、1本または複数本(本実施形態では、2本)のガイドレール14が設けられている。基台12は、ガードレール14により往復自在に移動可能に支持されていて、モータ等により構成されたステージ駆動部(後述するステージ駆動部71)により移動する。そして、ステージ10は、この移動可能な基台12の上面に支持されることにより、ガイドレール14に沿って移動する。
【0042】
基体11の上面には、ガイドレール14を跨ぐように門型のゲート15が立設されており、このゲート15には、露光部16が取り付けられている。露光部16は、複数個(本実施形態では、16個)の露光ヘッド16aで構成されていて、ステージ10の移動経路上に固定配置されている。露光部16には、光源ユニット17から引き出された光ファイバ18と、画像処理ユニット19から引き出された信号ケーブル20とがそれぞれ接続されている。
【0043】
各露光ヘッド17は、反射型の空間光変調素子としてのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有し、画像処理ユニット19から入力される画像データに基づいてDMDを制御して光源ユニット17からの光ビームを変調し、この光ビームをステージ10に載置された被露光基板Cに照射することにより、第1露光描画装置2による露光が行われる。なお、空間光変調素子として、液晶等の透過型の空間光変調素子を用いても良い。
【0044】
基体11の上面には、さらにガイドレール14を跨ぐように、ゲート22が設けられている。ゲート22には、ステージ10に載置された被露光基板Cを撮影するための1個または複数個(本実施形態では、2個)の撮像部23が取り付けられている。撮影部23は、1回の発光時間が極めて短いストロボを内蔵したCCDカメラ等である。各々の撮影部23は、水平面においてステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)に移動可能に設置されており、後述するマーク形成部52、及び被露光基板Cに描画されたアライメント用のマークMを撮影するために設置される。また、撮影部23のステージ10に対する相対位置は、ステージ10または撮影部23の移動に応じて計測されてシステム制御部70が有する記憶手段に記憶される。なお、マーク形成部52のうちの紫外線光源51を撮影する場合には、被露光基板Cが載置されていない状態で行われる。
【0045】
第1露光描画装置2は、撮影部23によりマーク形成部52が撮影された画像から、紫外線光源51の被露光基板Cにおける位置を導出する。なお、第2露光描画装置4は、撮影部23によりアライメント用のマークMが撮影された画像から、第1露光描画装置2における紫外線光源51の位置と比較してその位置ずれ量(X,Y,θ方向のずれ量)を検出する。このアライメント用のマークMの位置ずれ量の情報は、被露光基板Cの表面C1に描画される表面用画像P1と、裏面C2に描画される裏面用画像P2との位置の補正に用いられる。
【0046】
なお、撮影部23は、マーク形成部52の個数(またはアライメント用のマークMの個数)に応じた個数で設けられることが理想的であるが、これに限定されず、1つの撮影部23が設けられるとともに、この撮影部23を移動させることにより複数のマーク形成部52または複数のアライメント用のマークMを撮影するようにしても良い。
【0047】
また、ステージ10の上面には、被露光基板Cの端部をステージ10に固定するための基板クランプ機構部30が設けられている。
【0048】
図5は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4の基板クランプ機構部30の分解斜視図である。
図5に示すように、基板クランプ機構部30は、被露光基板Cの一方向における両端部を上方からクランプする一対のクランプバー31a,31bと、被露光基板Cの水平面において上記一方向に対して垂直な方向における両端部を上方からクランプする一対のクランプバー31c,31dと、これらのクランプバー31a乃至31dをそれぞれ水平方向に平行移動させる移動ユニット32a乃至32dとを有している。クランプバー31a乃至31dはそれぞれステージ10の上面に配置されており、移動ユニット32a乃至32dはステージ10の下方に配置されている。
【0049】
クランプバー31a、31bは、Y方向に長尺であってX方向で対向しており、クランプバー31c、31dは、X方向に長尺であってY方向で対向している。クランプバー31a、31bは、クランプバー31c、31dよりも長さが短く形成されており、被露光基板Cのサイズが小さい場合であっても、互いに干渉しないよう構成されている。
【0050】
クランプバー31aは、金属製(例えばアルミニウム)のクランプホルダ33と、クランプホルダ33の下面の内側領域(ステージ10の中心側領域)に固定され、被露光基板Cの表面C1に接触する樹脂製のクランプブレード34と、クランプホルダ33の下面の外側領域(ステージ10の外側領域)に設けられた2本の支持柱35とからなる。ステージ10には、表裏方向に貫通し、かつステージ10の端部から中央に向かうようにしてY方向またはX方向に延びた挿通孔37が各辺に所定間隔で1つまたは複数(本実施形態では、各辺に3つ(計12個))形成されており、クランプバー31aの2本の支持柱35は、各辺における3つの挿通孔37のうちの2つの挿通孔37に挿通される。クランプバー31b乃至31dも、クランプバー31aと同様の構成である。
【0051】
移動ユニット32aは、2本の支持柱35を支持する支持板40と、この支持板40をZ方向にスライド移動させるエアシリンダ41とを有する。エアシリンダ41のピストンロッド42の先端は、支持板40の下面に固定されている。エアシリンダ41は、モータ等により構成される駆動部によりピストンロッド42を下降及び上昇させる。ピストンロッド42の可動範囲は制限されており、下降したときも上昇したときも所定位置で停止する。
【0052】
ピストンロッド42が下降したときには、ピストンロッド42と共にクランプバー43aが下降し、クランプバー31aがステージ10に押し付けられる。ここで、ステージ10に被露光基板Cが載置されている場合には、被露光基板Cがクランプバー31aによってクランプされる。一方、ピストンロッド42が上昇したときには、ピストンロッド42と共にクランプバー31aが上昇し、クランプバー31aがステージ10からZ方向に離れる。クランプバー31aがステージ10から離れる距離は被露光基板Cの厚みよりも大きくなっている。クランプバー31aがステージ10に押し付けられるときのクランプバー31aの状態を閉状態(閉位置)と称し、ステージ10から離れるときのクランプバー31aの状態を開状態(開位置)と称する。
【0053】
移動ユニット32aは、さらに、X方向に並べられた駆動プーリ44及び従動プーリ45と、これらのプーリ44,45に掛け渡されたタイミングベルト46と、駆動プーリ44を回転させるベルト駆動モータ47とを有する。ベルト駆動モータ47は正転及び逆転が可能である。タイミングベルト46には取付部48を介してエアシリンダ41が取り付けられており、タイミングベルト46が駆動すると、エアシリンダ41及び支持板40がX方向に移動し、これによりクランプバー31aがX方向に移動する。クランプバー31aは、支持柱35を挿通孔37に沿わせながらスライド移動し、支持柱35が挿通孔37の外側の端部に位置する退避位置と、支持柱35が挿通孔37の内側の端部に位置する中央位置との間で移動する。なお、クランプバー31aが被露光基板Cの周縁部をクランプするときのクランプバー31aの位置(退避位置と中央位置との間のいずれかの位置)をクランプ位置という。
【0054】
移動ユニット32b,32c,32dは、移動ユニット32aと同様の構成である。ただし、移動ユニット32bは、クランプバー31bをZ方向及びX方向で移動させ、移動ユニット32cは、クランプバー31cをZ方向及びY方向で移動させ、移動ユニット32dは、クランプバー31dをZ方向及びY方向で移動させる。
【0055】
図6は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4のフォトセンサ49の機能について説明するための拡大断面図である。
図5及び
図6に示すように、移動ユニット32aの支持板40には、被露光基板Cの有無を検出するための反射型のフォトセンサ(基板端縁センサ)49が設けられている。フォトセンサ49は、支持板40に取り付けられており、挿通孔37に対応する位置、すなわち、上方から見てフォトセンサ49が挿通孔37から露呈する位置に設けられている。フォトセンサ49は、上方に向けて検査光を発する投光部と、被露光基板Cの裏面C2に反射した検査光を受光する受光部とを有し、受光部が検査光を受光した場合には基板有り信号を出力し、受光部が検査光を受光しなかった場合には基板無し信号を出力する。
【0056】
フォトセンサ49の上方にはクランプバー31aのクランプブレード34が位置するが、フォトセンサ49からの検査光がクランプブレード34に反射してフォトセンサ49に向かって戻ることを防ぐために、クランプブレード34の挿通孔37に対応する部位には傾斜面50が形成されている。各移動ユニット32b,32c,32dの支持板40にも、移動ユニット32aと同様のフォトセンサ49が設けられている。
【0057】
また、各々の支持板40には、ステージ10に載置された被露光基板Cに対してアライメント用のマークMを形成するマーク形成部52が設けられている。
図7(A)は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4のマーク形成部52について説明するための要部拡大断面図であり、
図7(B)は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4のマーク形成部52について説明するための要部拡大上面図である。なお、
図7(B)においては紫外線光源51の構成を説明するために被露光基板Cを省略している。
【0058】
図5、
図7(A)及び(B)に示すように、各々のマーク形成部52は、各辺において複数設けられた挿通孔37のうちの中央に設けられた挿通孔37に対応するようにして、挿通孔37に沿った方向に伸びた板状に形成されている。マーク形成部52には、ステージ10における中央の側に、ステージ10の方向に向けて紫外線ビーム(短波長の光ビーム)UVを発生させる紫外線光源51が設けられている。この紫外線光源51により発生した紫外線ビームUVを挿通孔37を通過させながら被露光基板Cに照射することによって被露光基板Cの第2面(ステージ10に接している側の面)C2にアライメント用のマークMが描画される。
【0059】
また、マーク形成部52には、ステージ10における端部の側に、複数(本実施形態では、2つ)の校正用マーク53がステージ10の上方から視認可能な同一面上に設けられている。また、これらの校正用マーク53は、被露光基板Cがステージ10に載置され、基板クランプ機構30に固定されている状態において、被露光基板Cに遮られることなく挿通孔37を通して外部から視認可能な位置に形成されている。よって、各々の校正用マーク53は撮影部23で得られた撮影画像において認識することができる。
【0060】
各々のマーク形成部52は、それぞれ移動ユニット32a乃至32dの移動に連動して移動する。各々のマーク形成部52に対応する挿通孔37は、それぞれのマーク形成部25の移動経路を含む領域に設けられていて、紫外線光源51は、露光部16により被露光基板Cの表面C1に露光が行われている間にも、支持柱35が挿通していない挿通孔37を貫通するように紫外線ビームUVを発生させることができる。なお、紫外線ビームUVの照射時間は、被露光基板Cに塗布されている感光材料に応じて各々最適な時間が設定されると良い。
【0061】
また、各々のマーク形成部52において、紫外線光源51と校正用マーク53とが相互に既知の位置関係になるように設けられるとともに、各々の位置関係が予め計測されてシステム制御部70が有する記憶手段に記憶されている。これにより、紫外線光源51が被露光基板Cの背部に位置している場合等に、撮影部23によって紫外線光源51を撮影できない場合であっても、各々の校正用マーク53を撮影することにより位置を計測し、計測した各々の校正用マーク53の位置と、記憶された紫外線光源51と校正用マーク53との位置関係とから、紫外線光源51の位置を導出することができる。
【0062】
なお、第1露光描画装置2は複数の紫外線光源51を備えているが、第2露光描画装置4は必ずしも複数の紫外線光源51を備えている必要はない。第1露光描画装置2には、複数の紫外線光源が設けられるとともに、この紫外線光源を移動させることにより複数のアライメント用のマークMを描画するようにしても良い。
【0063】
第1露光描画装置2は、第1搬送装置5により搬送されてきた被露光基板Cを第1露光描画装置2の内部に搬入するオートキャリアハンド(以下、ACハンド)62を備えている。ACハンド62は平板状に形成されるとともに、水平面と平行に水平方向及び鉛直方向に移動可能に設けられている。また、ACハンド62の下面には、エアを吸引することにより被露光基板Cを真空吸着により吸着保持する吸着部63を有する吸着機構と、被露光基板Cを下方に向けて押し付ける上下移動自在な押付部64を有する押付機構とが設けられている。
【0064】
ACハンド62は、第1搬送装置5に載置された未露光の被露光基板Cを吸着機構により吸着保持することにより上方に吊り上げ、吊り上げた被露光基板Cをステージ10の上面の予め定められた位置に載置する。被露光基板Cを載置させる際には、押付機構により被露光基板Cをステージ10に押し付けながら吸着部63による吸着を解除することにより、ステージ10の真空吸着が働き、被露光基板Cはステージ10にしっかり固定される。
【0065】
また、ACハンド62は、ステージ10の上面に載置された露光済みの被露光基板Cを吸着機構により吸着保持することにより上方に吊り上げ、吊り上げた被露光基板Cを吸着保持した状態で第2搬送装置6まで移動させた上で、吸着機構による吸着を解除することにより、被露光基板Cを第2搬送装置6に移動させる。
【0066】
本実施形態に係る露光描画システム1の基板クランプ機構部30によれば、被露光基板Cの周縁部を確実にクランプして、被露光基板Cの反り及び歪みを矯正することができるとともに、紫外線光源51及びフォトセンサ59をクランプバー31a乃至31dと共に移動させる構成であり、紫外線光源51及びフォトセンサ59のための移動機構が必要ないことから基板クランプ機構部30の製造コストを抑えることができる。
【0067】
図8は、本実施形態に係る露光描画システム1の反転装置4における反転機構の構成を示す概略側正面図である。
図7に示すように、反転装置4は、被露光基板Cを挟み込む複数のローラ4aを有するローラユニット4bを備えている。ローラユニット4bは、支持棒4cにより支持されていて、被露光基板Cが挟み込まれた際、支持棒4cにより持ち上げられた状態でローラユニット4bの中央部に設けられた回転軸5dを中心として回転する。ローラユニット4bが180度回転した後に、被露光基板Cがローラユニット4bから解放されることにより、被露光基板Cの表裏が反転する。なお、反転機構の構成は上述した構成に限定されず、被露光基板Cの一端を持ち上げて被露光基板Cを180度回転させて被露光基板Cの表裏を反転させる方法や、その他の従来既知の方法を用いても良い。
【0068】
図9は、本実施形態に係る第1露光描画装置2及び第2露光描画装置4の電気系統を示す構成図である。
【0069】
図9に示すように、第1露光描画装置2には、装置各部にそれぞれ電気的に接続されるシステム制御部70が設けられており、このシステム制御部70が各部を統括的に制御している。システム制御部70は、ACハンド62を制御して被露光基板Cのステージ10への搬入動作及び排出動作を行わせる。また、システム制御部70は、ステージ駆動部71を制御してステージ10の移動を行わせながら、撮影部23によりアライメント用のマークMの撮影を行って画像の描画位置を調整するとともに、光源ユニット17及び画像処理ユニット19を制御して露光ヘッド16aに露光処理を行わせる。操作装置73は、表示部と入力部とを有し、例えば、被露光基板Cの外形サイズを入力するときに操作される。
【0070】
基板載置位置決定部72は、ステージ10に対する被露光基板Cの載置位置(この載置位置を適正載置位置と称する)を決定するものである。なお、Y方向においては撮影部23の撮像タイミングを調整することによりアライメント用のマークMを撮影領域の中央に位置させることができるため、Y方向における適正載置位置はステージ10上のいずれの位置に設定してもよく、本実施形態ではX方向における適正載置位置は被露光基板Cの中心とステージ10の中心が一致する位置に設定している。
【0071】
基板載置位置決定部72では、被露光基板Cへの露光動作を行う前に行われる準備動作によって得た情報に基づいて、X方向における基板の適正載置位置(アライメント用のマークMの適正位置)を算出している。この準備動作では、X方向において被露光基板Cをステージ10の適当な位置に載置(Y方向においては被露光基板Cの中心とステージ10の中心を一致させて、ステージ10の一方の対向する辺と被露光基板Cの一方の対向する辺とが各々平行になるように載置)した上で撮影部23によってアライメント用のマークMを撮影して、X方向における撮影領域の中心位置とアライメント用のマークMの位置とのずれ量を算出し、このずれ量に基づいてX方向における基板の適正載置位置を算出している。準備動作では、複数枚(例えば5枚)の基板に対してこの処理を行うことで、適正な載置位置をより正確に求めることができる。なお、この準備動作では、撮影部23の撮影タイミングも決定している。算出された基板の適正載置位置情報、及び撮影タイミング情報は、システム制御部70に送られてシステム制御部70が有する記憶手段に記憶される。
【0072】
移動制御部74は、システム制御部70の指示に基づいて、ステージ10の移動時に、複数のマーク形成部52、または被露光基板Cに描画された複数のアライメント用のマークMが、複数の撮影部23の各々の撮影領域を通過するように、撮影部23の移動駆動を制御している。
【0073】
移動制御部74は、システム制御部70の指示に基づいて、移動ユニット32a乃至32dの駆動をそれぞれ制御している。移動制御部74は、移動ユニット32a乃至32dのフォトセンサ49からの信号(基板有り信号または基板無し信号)を監視しており、この信号に基づいて移動ユニット32a乃至32dのエアシリンダ41及びベルト駆動モータ75の駆動を制御して、クランプバー31a乃至31dにクランプ動作を行わせる。
【0074】
移動制御部74では、操作装置73から入力された基板サイズ情報、及び準備動作によって算出された基板の適正載置位置情報に基づいて、ステージ10上の領域のうち被露光基板Cが載置されている領域を推測し、この推測した領域に基づいてクランプバー31a乃至31dの移動速度を高速/低速の間で切り替えている。具体的には、ステージ10上において、被露光基板Cの周縁から距離L1(例えば40mm)離れた位置(
図6参照)よりも外側では高速移動に設定し、その位置よりも内側では低速移動に設定している。これにより、低速移動時に被露光基板Cの検出が行われるため、被露光基板Cを確実に検出することができる。なお、被露光基板Cの周縁から距離L1離れた位置を減速位置(切替点)と称する。クランプバー31a乃至31dは、被露光基板Cを検出した位置から内側に所定距離(例えば5mm)入り込んだクランプ位置に停止し、このクランプ位置でクランプを行う。このクランプ位置は、クランプバー31a乃至31dの支持柱35が被露光基板Cの端縁に当接しない位置になっている。
【0075】
移動制御部74は、クランプバー31a乃至31dが高速移動しているときに被露光基板Cが検出された場合には、入力された基板サイズよりも実際の基板サイズが大きいと判断して、クランプバー31a乃至31dの移動を即停止するとともにシステム制御部70に異常信号を出力する。システム制御部70は異常信号を受けて、操作装置73の表示部に、基板サイズが大きい旨のエラー情報を表示させる。なお、エラー情報を表示させる替わりに、警告音を発生させても良い。
【0076】
また、移動制御部74は、クランプバー31a乃至31dが低速移動し、被露光基板Cが検出されずに低速移動が所定時間継続された場合には、入力された基板サイズよりも実際の基板サイズが小さい、または、基板が載置されていないと判断して、クランプバー31a乃至31dの移動を即停止するとともにシステム制御部70に異常信号を出力する。システム制御部70は異常信号を受けて、操作装置73の表示部に、基板サイズが小さい、または、被露光基板Cが載置されていない旨のエラー情報を表示させる。
【0077】
図10は、本実施形態に係る露光描画システム1においてステージ10の移動方向と撮影部23の移動方向との関係を示す図である。
図10に示すように、撮影部23の移動方向は、水平方向においてステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)である。複数の紫外線光源51または被露光基板Cに描画されたアライメント用のマークMを撮影部23で撮影する際に、ステージ10を移動させることによりY方向の位置を制御し、撮影部23を移動させることによりX方向の位置を制御することで、複数のマーク形成部52またはアライメント用のマークMが撮影部23の撮影領域に含まれるように各々の相対位置が制御される。なお、撮影部23の移動方向はX方向に限定されず、マーク形成部52または被露光基板Cに描画されたアライメント用のマークMを撮影可能であれば良く、X方向及びY方向の双方に移動可能でも良く、あるいは、X方向及びY方向以外の他の方向に移動可能であっても良い。
【0078】
図11は、本実施形態に係る露光描画システム1の紫外線光源51の可動範囲Rを示す図である。
図11に示すように、紫外線光源51は、ステージ10の端部(本実施形態では、ステージ10の辺部の中央部)から中央部に向けて直線状に所定距離だけ移動できるように構成されている。紫外線光源51が被露光基板Cにアライメント用のマークMを描画する場合には、ステージ10に被露光基板Cが載置された状態において、紫外線光源51が紫外線ビームUVを発生させた際に、被露光基板Cの端部にアライメント用のマークMが描画される位置に紫外線光源51が移動する。紫外線光源51の可動範囲Rは、これに限定されず、露光の対象とする最小サイズの基板に対してアライメント用のマークMを描画できる位置から最大サイズの基板の端面の位置までが含まれる範囲とすると良い。露光対象とする全てのサイズの基板に対してアライメント用のマークMを描画できる最小の範囲であることが望ましい。
【0080】
図12は、本実施形態に係る露光前処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは第1露光描画装置2のシステム制御部70に備えられた記録媒体であるROMの所定領域に予め記憶されている。また、
図13は、本実施形態に係る露光前処理の説明に供する概略正面図である
【0081】
第1露光描画装置2のシステム制御部70は、予め定められたタイミング(本実施形態では、被露光基板Cがステージ10に載置されたタイミング)で、当該露光前処理プログラムを実行する。
【0082】
被露光基板Cがステージ10に載置されると、ステップS101において、システム制御部70は、被露光基板Cに対する紫外線光源51の位置を移動させる。本実施形態では、紫外線光源51は、基板クランプ機構部30の移動ユニット32a乃至32dの移動に連動して移動する。そのため、システム制御部70は、移動ユニット32aを制御することで、開状態のクランプバー31a乃至31dのステージ10の端部から中央部への移動を開始させて紫外線光源51の位置を移動させるとともに、フォトセンサ49から基板有り信号を受信した場合、受信した位置または受信してからそのまま所定距離だけ移動させた位置で、クランプバー31a乃至31dを閉状態に移行させる。これにより、クランプバー31a乃至31dがステージ10との間に被露光基板Cを挟み込んだ状態で固定され、これに伴って紫外線光源51の位置も固定される。
【0083】
なお、クランプバー31a乃至31dによる非露光基板Cの挟み込みを行わない場合やクランプバー31a乃至31dとは別の移動機構により紫外線光源51を移動させる場合には、非露光基板Cがステージ10に載置される前に所定位置に移動させる。
【0084】
ステップS103において、システム制御部70は、複数の紫外線光源51に対応する校正用マーク53の各々を撮影部23によって撮影し、その撮影画像から上述した手法で紫外線光源51の位置を導出する。なお、位置を計測する方法は上述した方法に限定されず、被露光基板Cがステージ10に載置される前等、撮影部23によって紫外線光源51を撮影できる場合には、紫外線光源51を撮影し、その撮影画像から紫外線光源51の位置を計測する方法であっても良い。
【0085】
また、ステップS105において、システム制御部70は、ステージ10上に対応する座標系(以下、「ステージ座標系」という。)を設定して、露光前処理プログラムを終了する。
図13に示すように、露光前処理の段階では、ステージ座標系において既知の位置に各々の紫外線光源51が配置されている。
【0086】
第1露光描画装置2のシステム制御部70は、露光前処理が完了し、被露光基板Cがステージ10に載置された後に第1露光処理を実行する。
図14は、本実施形態に係る第1露光処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは第1露光描画装置2のシステム制御部70に備えられた記録媒体であるROMの所定領域に予め記憶されている。また、
図15は、本実施形態に係る第1露光処理の説明に供する概略正面図である。
【0087】
ステップS201において、システム制御部70は、ステップS103において計測された紫外線光源51の位置に基づいて、被露光基板Cに対して表面用画像P1を描画するための座標系である画像座標系を設定する。
図15に示すように、第1露光処理の段階では、ステージ座標系に対する紫外線光源51の位置に応じて画像座標系が設定される。任意の画像座標系に紫外線光源51の位置を導入しても良い。
【0088】
ステップS203において、システム制御部70は、ステップS201において設定した画像座標系に基づいて、ステージ10を露光位置に移動させる。この際、システム制御部70は、ステージ10をガイドレール14に沿ってY方向に移動させるとともに、ステージ10を露光ヘッド16aによる露光対象位置が、被露光基板Cにおいて表面用画像P1を描画する際の開始位置と一致する位置までステージ10を移動させる。
【0089】
ステップS205において、システム制御部70は、各露光ヘッド16aによる露光を開始し、被露光基板Cの表面C1における、ステップS201において設定された画像座標系に基づいた位置に表面用画像P1を描画する。また、ステップS207において、システム制御部20は、紫外線光源51から紫外線ビームUVを発生させ、被露光基板Cの裏面C2にアライメント用のマークMを描画する。なお、ステップ205の被露光基板Cの表面C1に対する処理とステップS207の被露光基板Cの裏面C2に対する処理は、相互の処理を妨げるものではなく、同時並行して行うことができるため、ステップS205及びステップS207の処理を同時に行っても良く、あるいは、ステップS205の処理の前にステップS207の処理を行っても良い。
図15に示すように、画像座標系に基づいて、被露光基板Cの表面C1に表面用画像P1が描画され、裏面C2にアライメント用のマークMが描画される。
【0090】
このように、被露光基板Cの表面C1に対する表面用画像P1の描画処理中に裏面C2にアライメント用のマークMを描画することにより、アライメント用のマークMを描画する処理を別途行う必要がないため、露光描画処理のサイクルタイムに影響を及ぼすことなく、アライメント用のマークMの焼き出しのホールディングタイムを長く確保でき、裏面C2に対する描画処理における、アライメント用のマークMの撮影画像のコントラストを向上させることができるため、アライメント用のマークMの認識ずれを抑制できる。
【0091】
なお、アライメント用のマークMは、紫外線ビームUVで照射された後に焼き出されることにより被露光基板Cにおいて視認可能に表示されるため、撮影部23で撮影することにより、その位置や形状を確認することができる。
【0092】
ステップS209において、システム制御部70は、ステージ10を被露光基板Cが載置された位置まで移動させて、第1露光処理プログラムを終了する。ステージ10が被露光基板Cの載置位置まで移動すると、被露光基板Cは、ACハンド62に吸着保持されることにより第2搬送装置6に移動し、第2搬送装置6により反転装置3に搬送され、反転装置3により表裏が反転された上で第3搬送装置7により第2露光描画装置4に搬送される。
【0093】
第2露光描画装置4のシステム制御部70は、予め定められたタイミング(本実施形態では、被露光基板Cがステージ10に載置されたタイミング)で、当該露光前処理プログラムを実行する。
【0094】
図16は、本実施形態に係る第2露光処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは第2露光描画装置4のシステム制御部70に備えられた記録媒体であるROMの所定領域に予め記憶されている。また、
図17は、本実施形態に係る第2露光処理の説明に供する概略正面図である
【0095】
ステップS301において、システム制御部70は、被露光基板Cが載置されたステージ10を、ステップS207において描画されたアライメント用のマークMの全体が、撮像装置23による撮像画像に含まれる位置に移動させる。この際、システム制御部70は、ステージ10をガイドレール14に沿ってY方向に移動させるとともに、撮影部23が設けられている位置とアライメント用のマークMが設けられている位置とがY方向において略一致する位置までステージ10を移動させる。
【0096】
なお、撮影部23による撮影領域は、被露光基板Cの裏面C2においてアライメント用のマークMが設けられている領域であって、被露光基板Cの設置誤差を含めた領域より大きいものとする。これにより、被露光基板Cの設置位置が予め設定されている設置位置からずれた場合であっても、アライメント用のマークMの中心部が位置するように設定されている位置を中心に撮影していれば、領域撮影部23の撮影領域に含まれる。
【0097】
ステップS303において、システム制御部70は、撮像部23によりアライメント用のマークMが撮像されている撮像画像から、アライメント用のマークMの位置を計測する。また、ステップS305において、システム制御部70は、ステップS303において計測されたアライメント用のマークMの位置に基づいて、被露光基板Cの裏面C2に対して裏面用画像P2を描画する位置を決定するための画像座標系を設定する。この際、画像座標系は、ステップS201において設定された画像座標系に対応するように、すなわちステップS103において計測された紫外線光源51の位置と表面用画像C1の描画位置との相対位置と、アライメント用のマークMの位置と裏面用画像C2の描画位置との相対位置とが相互に対応するように設定される。
図17に示すように、第2露光処理の段階では、アライメント用のマークMの位置に基づいて、画像座標系が設定されるため、ステージ座標系と画像座標系との相対位置が第1露光処理の段階とは異なっている場合もある。
【0098】
ステップS307において、システム制御部70は、ステップS305において設定した画像座標系に基づいて、ステージ10を露光位置に移動させる。この際、システム制御部70は、ステージ10をガイドレール14に沿ってY方向に移動させるとともに、ステージ10を露光ヘッド16aによる露光対象位置が、被露光基板Cにおいて裏面用画像P2を描画する際の開始位置と一致する位置までステージ10を移動させる。
【0099】
ステップS309において、システム制御部70は、各露光ヘッド16aによる露光を開始し、被露光基板Cの裏面C2に裏面用画像P2を描画する。
図17に示すように、画像座標系に基づいて、被露光基板Cの裏面C2に裏面用画像P2が描画される。
【0100】
ステップS311において、システム制御部70は、ステージ10を被露光基板Cが載置された位置まで移動させて、第2露光処理プログラムを終了する。ステージ10が被露光基板Cの載置位置まで移動すると、表面C1及び裏面C2の両面に画像が描画された被露光基板Cは、ACハンド62に吸着保持されることにより第4搬送装置8に移動し、第4搬送装置8により搬送される。
【0101】
図18は、本実施形態に係る露光描画システム1において、被露光基板Cのサイズとアライメント用のマークMの描画位置との関係を示す概略正面図である。本実施形態では、基板クランプ機構部30の移動ユニット32a乃至32dによりクランプバー31a乃至31dが移動した際に、その移動に連動して紫外線光源51が移動する。そのため、
図18に示すように、フォトセンサ49が被露光基板Cの端部を検知してクランプバー31a乃至31dが被露光基板Cの端部を固定することにより、自動的に、紫外線光源51が被露光基板Cの端部に紫外線ビームUVを照射する位置に固定される。また、クランプバー31a乃至31dの位置と紫外線光源51との位置関係は、自由に設計することができる。よって、本実施形態では、被露光基板Cのサイズに依存することなく、被露光基板Cの予め定められた位置にアライメント用のマークMを描画することができる。
【0102】
なお、ステップS103において紫外線光源51の位置を計測する方法は求められる計測精度により異なり、基板クランプ機構部30の移動ユニット32a乃至32dがステッピングモータを備えていて、当該ステッピングモータのパルスによって計測しても良い。または、移動ユニット32a乃至32dがロータリーエンコーダを備えていて、ロータリーエンコーダのパルスにより位置を計測しても良い。あるいは、第1露光描画装置2の何れかの箇所に光学式の距離センサまたは超音波を利用した距離センサを設けておき、これらの距離センサにより位置を計測しても良い。
【0103】
また、本実施形態では、円状の校正用マーク53が2つ以上設けられていて、当該2つ以上の校正用マーク53と紫外線光源51との位置関係によって紫外線光源51の位置を導出するが、校正用マーク53の形状や個数はこれに限定されず、校正用マークの形状は任意に設定することができる。また、校正用マーク53の形状が矢印型のマーク等の位置及び紫外線光源51の方向を示すマークであった場合には、設けられている校正用マーク53が1つであっても当該校正用のマーク53の位置及び方向から紫外線光源51の位置を導出することができる。
【0104】
また、紫外線光源51の位置を撮影画像における紫外線光源51の位置の理論値からのずれ量で計測する場合、紫外線光源51が撮像部23の焦点深度内にあることが好ましいが、紫外線光源51が撮像部23の焦点深度内にない場合には、紫外線光源51が撮像部23の焦点深度内に位置するようにステージ10の高さ(Z方向における位置)を変更すると良い。
【0105】
また、本実施形態では、2つのアライメント用のマークMを描画するが、これに限定されず、アライメント用のマークMの数は、2つ以上であれば任意に設定して良い。アライメント用のマークMの数が多いほど、被露光基板Cの表裏におけるアライメント精度を向上させることができる。
【0106】
また、本実施形態では、被露光基板Cにアライメント用のマークMを紫外線光源51を用いて描画するが、これに限定されず、インクを吹き付けたり転写させたりすることにより描画しても良い。
【0107】
また、本実施形態では、紫外線光源51は、X方向またはY方向に移動可能に設けられているが、これに限定されず、任意な方向に移動可能な紫外線光源を用いても良い。また、紫外線光源の移動経路は、被露光基板Cの中央部を横切る経路であっても、被露光基板Cの任意の位置を横切る経路であっても良い。
【0108】
本実施形態では、紫外線光源51はクランプ機構部30の移動ユニット32a乃至32dに連動して移動させるが、これに限定されず、モータ等により構成される移動機構により紫外線光源51を各々単独で移動させても良い。この場合には、被露光基板Cのサイズ及びステージ10のおける載置位置を予め記憶していて、紫外線光源51は、記憶されたサイズ及び載置位置に応じて予め定められた位置に移動するように設定されると良い。
【0109】
また、ステップS205において表面用画像P1の描画に失敗した場合には、ステップS207の処理(アライメント用のマークMの描画処理)を行わずに、ステップS209の処理に移行すると良い。この場合には、表面用画像P1の描画に失敗した被露光基板Cにはアライメント用のマークMが描画されていないため、ユーザが各々の被露光基板Cについてアライメント用のマークMの有無を確認することで、表面用画像P1の描画に成功したか失敗したかを判別することができる。