(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から構成されるプラスチック基材と、該プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、特定波長域の光を吸収する色素を含む染色液を塗布し、加熱することにより形成された前記色素を含有する染色層と、を備えてなるプラスチック眼鏡レンズであって、
前記染色層は、前記プラスチック基材の少なくとも一方の表面およびその表面から均一な深さの範囲において、前記プラスチック基材と、前記プラスチック基材中に分散した前記色素とから構成される層であり、
前記色素は、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長380nm〜650nmの間に、半値幅が40nm〜140nmの主吸収ピークを有することを特徴とするプラスチック眼鏡レンズ。
前記色素は、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長380nm〜480nmの間に、半値幅が40nm〜60nmの主吸収ピークを有する、請求項1または2に記載のプラスチック眼鏡レンズ。
前記色素は、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長500nm〜560nmの間に、半値幅が40nm〜90nmの主吸収ピークを有する、請求項1または2に記載のプラスチック眼鏡レンズ。
前記色素は、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長590nm〜650nmの間に、半値幅が40nm〜140nmの主吸収ピークを有する、請求項1または2に記載のプラスチック眼鏡レンズ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
プラスチック眼鏡レンズの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
[第一実施形態]
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、プラスチック基材と、プラスチック基材の少なくとも一方の表面(プラスチック基材の一方の表面または両方の表面)に形成され、特定波長域の光を吸収する色素を含有する染色層とから概略構成されている。
【0022】
プラスチック基材は、眼鏡の使用者に応じて調整された所定の屈折率や度数を有し、プラスチック眼鏡レンズ光学的特性を決定するものである。
プラスチック基材を構成する材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、アクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ハロゲン含有共重合体、イオウ含有共重合体などが挙げられる。
【0023】
プラスチック基材の屈折率(nd)は、例えば、1.50、1.60、1.67および1.74から選択される。なお、プラスチック基材の屈折率を1.60以上にする場合、プラスチック基材としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、エピスルフィド系樹脂などが好適に用いられる。
【0024】
プラスチック基材の厚さは、特に限定されるものではなく、通常、中心厚0.7mm〜17.0mmである。
【0025】
染色層は、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、特定波長域の光を吸収する色素を含む染色液を塗布し、加熱することにより形成されたものであり、詳細には、プラスチック基材の少なくとも一方の表面およびその表面から均一な深さの範囲に、色素が分散してなる層である。すなわち、染色層は、プラスチック基材の少なくとも一方の表面およびその表面から均一な深さの範囲において、主材としてプラスチック基材と、そのプラスチック基材中に分散した色素とから構成される層である。
【0026】
染色層に含まれる特定波長域の光を吸収する色素は、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長380nm〜650nmの間に、半値幅が40nm〜140nmの主吸収ピークを有するものが用いられる。なお、色素をクロロホルム溶液またはトルエン溶液とするとは、クロロホルムまたはトルエンに色素を溶解して、色素のクロロホルム溶液またはトルエン溶液を調製することを言う。
詳細には、染色層に含まれる色素としては、クロロホルム溶液またはトルエン溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、(a)波長380nm〜480nmの間に、半値幅が40nm〜60nmの主吸収ピークを有するもの(以下「色素(a)」と言う。)、(b)波長500nm〜560nmの間に、半値幅が40nm〜90nmの主吸収ピークを有するもの(以下「色素(b)」と言う。)、(c)波長590nm〜650nmの間に、半値幅が40nm〜140nmの主吸収ピークを有するもの(以下「色素(c)」と言う。)が用いられる。
【0027】
色素(a)としては、例えば、ベンジリデン化合物(オリヱント化学工業社製、SOM−5−0098)、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、インドール化合物、アゾメチン系化合物などが挙げられる。
色素(b)としては、例えば、油溶性フタレイン系染料と、その他の混合物(オリヱント化学工業社製、SOC−5−0002)、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、キサンテン系化合物などが挙げられる。
色素(c)としては、例えば、油溶性トリアリルメタン系染料誘導体(オリヱント化学工業社製、SOM−5−0100)、フタロシアニン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、アントラキノン系化合物などが挙げられる。
【0028】
染色層の厚さ、すなわち、プラスチック基材の表面からの深さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、0.2μm〜130μmであることがより好ましい。
染色層の厚さが0.1μm未満では、染色層において、目的とする波長域の可視光線の吸収性能が得られないことがある。一方、染色層の厚さが200μmを超えると、染色層における可視光線の透過率が低下し過ぎて、眼鏡レンズとしての使用に適さなくなることがある。
【0029】
また、染色層は、上記の色素以外に染料を含有してもよい。
染料としては、特に限定されるものではなく、例えば、分散染料、反応染料、直接染料、複合染料、酸性染料、金属錯塩染料、建染染料、硫化染料、アゾ染料、蛍光染料、樹脂着色用染料、その他機能性染料などが挙げられる。これらの染料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。染料を2種以上混合して用いる場合、その組み合わせおよび比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0030】
また、染色層は、上記の特定波長域の光を吸収する色素とは異なる有機系色素を少なくとも1種含有してもよい。
有機系色素としては、例えば、有機シアン系、シアニン系、クマリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、ポリメチン系、オキサジン系、アゾ系、スチリル系、ポルフィリン系、ピロメテン系、オキソノール系、スクアリリウム系の化合物などが挙げられる。
【0031】
染色層の形成に用いられる染色液としては、上記の特定波長域の光を吸収する色素と、バインダー樹脂と、溶媒とを少なくとも含んでなるものが用いられる。さらに、染色液には、上記の染料が含まれていてもよい。
【0032】
染色液中の色素の含有量は、特に限定されるものではなく、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.005〜5質量%であることがより好ましい。
染色液中の色素の含有量が0.001質量%未満では、最終的に得られる染色層において、目的とする波長域の可視光線の吸収性能が得られないことがある。一方、染色液中の色素の含有量が10質量%を超えると、最終的に得られる染色層における可視光線の透過率が低下し過ぎて、眼鏡レンズとしての使用に適さなくなることがある。
【0033】
バインダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、フェノール樹脂、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。さらに、これらの樹脂の共重合体を使用することもできる。
【0034】
染色液中のバインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
染色液中のバインダー樹脂の含有量を上記の範囲とすることにより、レンズ基材となるプラスチック基材の少なくとも一方の表面を染色する際、すなわち、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色層を形成する際の作業性が向上する。
【0035】
染色液中の染料の含有量は、特に限定されるものではなく、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.005〜5質量%であることがより好ましい。
染色液中の染料の含有量が0.001質量%未満では、十分に染色された染色層が得られ難くなることがある。一方、染色液中の染料の含有量が5質量%を超えると、染料によっては凝集などを生じて、使用困難となることがある。
【0036】
溶媒としては、上記の色素、バインダーおよび染料を十分に溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、イソブチルアルコール、エチルエーテル、クロロベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロロエタン(メチルクロロホルム)、トルエン、1−ブタノール、2−ブタノール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、安息香酸エステル、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
染色液には、必要に応じて、pH調整剤、粘度調整剤、レベリング剤、つや消し剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0038】
このような特定波長域の光を吸収する色素を含む染色液を用いて、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色層を形成する方法としては、例えば、下記の2つの方法が挙げられる。
(1)プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色液を塗布してコート層を形成した後、加熱することにより、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色層を形成する方法(コート法)
(2)加熱した染色液中にプラスチック基材を浸漬して、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色層を形成する方法(ディップ法)
これら2つの方法のうち、染色液の使用量が少なく、生産コストを抑えられる点から、(1)のコート法が好ましい。
【0039】
コート法において、プラスチック基材の表面に対する染色液の塗布(コーティング)方法としては、刷毛塗り、ディップ、スピンコート、ロール塗り、スプレー塗装、流し塗り、インクジェット型塗布などの通常の塗布方法が用いられる。
染色液は、プラスチック基材の一方の表面に塗布してもよいが、染色濃度をより高くするためには、プラスチック基材の両方の表面に塗布してもよい。
プラスチック基材の表面に対する染色液の塗布厚は、特に限定されるものではなく、適宜調整可能であり、例えば、0.01μm〜500μmの範囲とすることができる。
【0040】
コート法において、プラスチック基材の少なくとも一方の表面全面に、均一な染色濃度で染色(染色層の形成)を行う場合、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、染色液を塗布してコート層を形成した後、加熱処理を行うことにより、染色液(コート層)中の色素および染料を、プラスチック基材の表面から内部に浸透、拡散させる。
染色液を塗布してコート層を形成した後のプラスチック基材の加熱条件は、加熱温度が70〜180℃であることが好ましく、加熱時間が10分間〜180分間であることが好ましい。
加熱方法としては、エアオーブンによる加熱、遠赤外線照射による加熱、UV照射による加熱などが用いられる。
【0041】
また、コート法において、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に沿って、なだらかな濃度勾配をもった染色(染色層の形成)を行う場合、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、染色液を塗布してコート層を形成した後、コート層を形成した面を、加熱領域が徐々に変化するようにしながら加熱することにより、プラスチック基材の内部に、なだらかな濃度勾配を形成するように染料を浸透させることができる。
【0042】
プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、染色液を塗布してコート層を形成し、加熱処理を行った後、プラスチック基材を洗浄して、プラスチック基材の少なくとも一方の表面上のコート層(塗布された染色液)を除去することにより、プラスチック基材と、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に形成された染色層とから構成される、本実施形態のプラスチック眼鏡レンズが得られる。
【0043】
加熱処理後のプラスチック基材の洗浄方法は、プラスチック基材の少なくとも一方の表面上のコート層を除去することができれば、特に限定されるものではなく、有機溶剤により拭き取る方法、または、アルカリ洗浄剤により洗浄する方法が好ましい。これらのなかでも、有機溶剤として、アセトンまたはメチルエチルケトンを用いて拭き取る方法がより好ましい。
【0044】
ディップ法において、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に染色層を形成する場合は、加熱した染色液中に、プラスチック基材を浸漬して、染色液中の色素および染料を、プラスチック基材の表面から内部に浸透、拡散させる。
ディップ法において、染色液中の色素および染料を、プラスチック基材の表面から内部に浸透、拡散させるには、80〜95℃に加熱した染色液にプラスチック基材を浸漬することが好ましい。
【0045】
加熱した染色液中に、プラスチック基材を浸漬した後、プラスチック基材を洗浄して、プラスチック基材の少なくとも一方の表面上の染色液を除去することにより、プラスチック基材と、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に形成された染色層とから構成される、本実施形態のプラスチック眼鏡レンズが得られる。
【0046】
染色液中へのプラスチック基材の浸漬終了後のプラスチック基材の洗浄方法としては、プラスチック基材の少なくとも一方の表面上の染色液を除去することができれば、特に限定されるものではなく、水により洗浄する方法、または、有機溶剤により拭き取る方法が好ましい。
【0047】
このように、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に、特定波長域の光を吸収する色素を含む染色液を塗布し、加熱することによって製造されたプラスチック眼鏡レンズでは、プラスチック基材の少なくとも一方の表面およびその表面から均一な深さの範囲において、色素が浸透、拡散し、染色層が形成されている。
【0048】
[第二実施形態]
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、プラスチック基材と、プラスチック基材の少なくとも一方の表面に形成された1層または2層以上の成分層と、プラスチック基材および成分層の少なくとも一方の表面に形成され、特定波長域の光を吸収する色素を含有する染色層とから概略構成されている。
すなわち、本実施形態のプラスチック眼鏡レンズでは、プラスチック基材の一方の表面に成分層が形成されている場合、プラスチック基材の一方の表面(プラスチック基材と成分層の界面)、プラスチック基材の他方の表面(成分層が形成されていない表面)、および、成分層の表面(成分層におけるプラスチック基材と接していない面)の少なくとも1つに、染色層が形成される。また、プラスチック基材の両方の表面に成分層が形成されている場合、プラスチック基材の一方の表面(プラスチック基材と成分層の界面)、プラスチック基材の他方の表面(プラスチック基材と成分層の界面)、プラスチック基材の一方の表面上の成分層の表面、および、プラスチック基材の他方の表面上の成分層の表面の少なくとも1つに、染色層が形成される。
【0049】
成分層の少なくとも1層は、有機樹脂コート剤から形成されていてもよい。
有機樹脂コート剤としては、熱可塑性有機樹脂コート剤または熱硬化性有機樹脂コート剤が用いられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられる。この有機樹脂コート剤は、例えば、プラスチック基材が脆弱な場合に、耐衝撃性などを向上させることを目的として用いられる。
【0050】
また、成分層の少なくとも1層は、ハードコート層から構成されていてもよい。
ハードコート層を形成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられる。
ハードコート層は、光学レンズの表面に、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性などを付与するために、酸化チタンを主成分とする複合酸化物粒子と、有機ケイ素化合物とを主成分として含有する。
上記の複合酸化物粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの高屈折率の無機酸化物微粒子などから構成される。
【0051】
また、成分層の少なくとも1層は、ハードコート層に接するプライマー層から構成されていてもよい。これにより、ハードコート層のプラスチック基材などの他の部材(層)に対する接着強度を高めることができる。
プライマー層を形成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、メラミン系樹脂、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
上記のプライマー層を形成する材料には、さらに、塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤、あるいは、耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤、さらに、染料や顔料、その他、膜性能を高めるなどの機能を付加するための公知の添加剤を併用することができる。
【0052】
また、成分層の少なくとも層は、反射防止コート層から構成されていてもよい。
反射防止コート層を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、眼鏡レンズに用いられる公知の材料が挙げられる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
「実施例1」
色素として、クロロホルム溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長430nm〜440nmの間に、半値幅が45nmの主吸収ピークを有するベンジリデン化合物(オリヱント化学工業社製、SOM−5−0098)を0.05質量%と、バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを20質量%と、溶媒として、メチルエチルケトンを79.95質量%とを配合し、これらを一昼夜撹拌することにより、染色液を調製した。
【0055】
次に、スピンコーティング法により、屈折率1.60のプラスチックレンズ(ニコン・エシロール社製、ニコンライト3AS、サイズ80φ、中心厚2mm)の片面全面に、上記の染色液を塗布し、膜厚約0.3mmのコート層を形成した。
次に、エアオーブンにより、表面にコート層が形成されたプラスチックレンズを、140℃にて1時間加熱し、染色液(コート層)中に含まれているベンジリデン化合物を、プラスチックレンズの表面から内部に浸透、拡散させて、プラスチックレンズの表面を染色した。
次に、プラスチックレンズを冷却し、コート層が形成された面をアセトンで拭き取ることにより、プラスチックレンズの表面のコート層を取り除いた。
【0056】
次に、浸漬法により、染色されたプラスチックレンズの表面に、塗液を塗布、加熱硬化させて、厚さ約1μmのウレタン系耐衝撃性向上コートと、厚さ約2μmのシリコーン系耐擦傷性向上ハードコートとを、この順に積層した。
次に、真空蒸着法により、シリコーン系耐擦傷性向上ハードコートの上に、厚さ約0.3μmの無機酸化物からなる多層膜反射防止コートを成膜し、実施例1のプラスチック眼鏡レンズを得た。
【0057】
実施例1のプラスチック眼鏡レンズの中心部における分光透過率を測定し、その透過率曲線を、後述する比較例1とともに
図1に示した。
なお、分光透過率の測定方法は、日立ハイテクノロジーズ社製U−4100分光光度計を用いて、スリット幅5nm、スキャンスピード300nm/分とした。
その結果、実施例1のプラスチック眼鏡レンズは、波長380nm〜460nmの短波長光を効果的にカットしていた。
【0058】
また、実施例1のプラスチック眼鏡レンズを通して、濃淡の異なる単語63語を読み取る時間を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1のプラスチック眼鏡レンズを通して対象物(単語)を見た場合、視認性やコントラストが向上することが確認された。
【0059】
「実施例2」
色素として、クロロホルム溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長540nm〜550nmの間に、半値幅が48nmの主吸収ピークを有する油溶性フタレイン系染料と、その他の混合物(オリヱント化学工業社製、SOC−5−0002)を0.3質量%と、バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを20質量%と、溶媒として、メチルエチルケトンを79.7質量%とを配合し、これらを一昼夜撹拌することにより、染色液を調製した。
【0060】
次に、スピンコーティング法により、屈折率1.60のプラスチックレンズ(ニコン・エシロール社製、ニコンライト3AS、サイズ80φ、中心厚2mm)の片面全面に、上記の染色液を塗布し、膜厚約0.3mmのコート層を形成した。
次に、エアオーブンにより、表面にコート層が形成されたプラスチックレンズを、140℃にて1時間加熱し、染色液(コート層)中に含まれている油溶性フタレイン系染料と、その他の混合物を、プラスチックレンズの表面から内部に浸透、拡散させて、プラスチックレンズの表面を染色した。
次に、プラスチックレンズを冷却し、コート層が形成された面をアセトンで拭き取ることにより、プラスチックレンズの表面のコート層を取り除いた。
【0061】
次に、浸漬法により、染色されたプラスチックレンズの表面に、塗液を塗布、加熱硬化させて、厚さ約1μmのウレタン系耐衝撃性向上コートと、厚さ約2μmのシリコーン系耐擦傷性向上ハードコートとを、この順に積層し、実施例2のプラスチック眼鏡レンズを得た。
次に、真空蒸着法により、シリコーン系耐擦傷性向上ハードコートの上に、厚さ約0.3μmの無機酸化物からなる多層膜反射防止コートを成膜し、実施例2のプラスチック眼鏡レンズを得た。
【0062】
実施例2のプラスチック眼鏡レンズの中心部における分光透過率を測定し、その透過率曲線を、後述する比較例1とともに
図1に示した。
分光透過率の測定方法は、実施例1と同様とした。
その結果、実施例2のプラスチック眼鏡レンズは、波長540nm〜580nmの短波長光を効果的にカットしていた。
【0063】
また、実施例2のプラスチック眼鏡レンズを通して、濃淡の異なる単語63語を読み取る時間を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例2のプラスチック眼鏡レンズを通して対象物(単語)を見た場合、視認性やコントラストが向上することが確認された。
【0064】
「実施例3」
色素として、クロロホルム溶液として測定された可視光線吸収分光スペクトルにおいて、波長620nm〜630nmの間に、半値幅が139nmの主吸収ピークを有する油溶性トリアリルメタン系染料誘導体(オリヱント化学工業社製SOM−5−0100)を0.1質量%と、バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを20質量%と、溶媒として、メチルエチルケトンを79.9質量%とを配合し、これらを一昼夜撹拌することにより、染色液を調製した。
【0065】
次に、スピンコーティング法により、屈折率1.60のプラスチックレンズ(ニコン・エシロール社製、ニコンライト3AS、サイズ80φ、中心厚2mm)の片面全面に、上記の染色液を塗布し、膜厚約0.3mmのコート層を形成した。
次に、エアオーブンにより、表面にコート層が形成されたプラスチックレンズを、140℃にて1時間加熱し、染色液(コート層)中に含まれているベンジリデン化合物を、プラスチックレンズの表面から内部に浸透、拡散させて、プラスチックレンズの表面を染色した。
次に、プラスチックレンズを冷却し、コート層が形成された面をアセトンで拭き取ることにより、プラスチックレンズの表面のコート層を取り除いた。
【0066】
次に、浸漬法により、染色されたプラスチックレンズの表面に、塗液を塗布、加熱硬化させて、厚さ約1μmのウレタン系耐衝撃性向上コートと、厚さ約2μmのシリコーン系耐擦傷性向上ハードコートとを、この順に積層した。
次に、真空蒸着法により、シリコーン系耐擦傷性向上ハードコートの上に、厚さ約0.3μmの無機酸化物からなる多層膜反射防止コートを成膜し、実施例3のプラスチック眼鏡レンズを得た。
【0067】
実施例3のプラスチック眼鏡レンズの中心部における分光透過率を測定し、その透過率曲線を、後述する比較例1とともに
図1に示した。
分光透過率の測定方法は、実施例1と同様とした。
その結果、実施例3のプラスチック眼鏡レンズは、波長560nm〜660nmの短波長光を効果的にカットしていた。
【0068】
また、実施例3のプラスチック眼鏡レンズを通して、濃淡の異なる単語63語を読み取る時間を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例3のプラスチック眼鏡レンズを通して対象物(単語)を見た場合、視認性やコントラストが向上することが確認された。
【0069】
「比較例1」
染色を行わずに、屈折率1.60のプラスチックレンズ(ニコン・エシロール社製、ニコンライト3AS、サイズ80φ、中心厚2mm)の表面(両面全面)に、実施例1と同様にして、厚さ約1μmのウレタン系耐衝撃性向上コート、厚さ約2μmのシリコーン系耐擦傷性向上ハードコート、および、厚さ約0.3μmの無機酸化物からなる多層膜反射防止コートを形成し、比較例1のプラスチック眼鏡レンズを得た。
【0070】
比較例1のプラスチック眼鏡レンズの中心部における分光透過率を測定し、その透過率曲線を
図1に示した。
分光透過率の測定方法は、実施例1と同様とした。
その結果、比較例1のプラスチック眼鏡レンズは、波長380nm〜650nmの光をほとんどカットしていなかった。
【0071】
また、比較例1のプラスチック眼鏡レンズを通して、濃淡の異なる単語63語を読み取る時間を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例1のプラスチック眼鏡レンズを通して対象物(単語)を見た場合、視認性やコントラストにほとんど変化がないことが確認された。
【0072】
「比較例2」
染色を行わずに、屈折率1.67のプラスチックレンズ(ホプニック研究所社製、NEO−4、サイズ75φ、中心厚2mm)の表面(両面全面)に、実施例1と同様にして、厚さ約1μmのウレタン系耐衝撃性向上コート、厚さ約2μmのシリコーン系耐擦傷性向上ハードコート、および、厚さ約0.3μmの無機酸化物からなる多層膜反射防止コートを形成し、比較例2のプラスチック眼鏡レンズを得た。
なお、比較例2のプラスチック眼鏡レンズは、上記の特許文献3において、防眩性に優れるだけでなく、明るい視野で像や色の識別性に優れており、晴天下における樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えるとされているレンズである。
【0073】
比較例2のプラスチック眼鏡レンズの中心部における分光透過率を測定し、その透過率曲線を
図1に示した。
分光透過率の測定方法は、実施例1と同様とした。
その結果、比較例2のプラスチック眼鏡レンズは、波長570nm〜605nmの光をカットしていた。
【0074】
また、比較例2のプラスチック眼鏡レンズを通して、濃淡の異なる単語63語を読み取る時間を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例2のプラスチック眼鏡レンズを通して対象物(単語)を見た場合、視認性やコントラストがあまり改善しないことが確認された。
【0075】
【表1】