特許第5961441号(P5961441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961441鋼矢板埋設用掘削装置、及び鋼矢板の埋設方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961441
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】鋼矢板埋設用掘削装置、及び鋼矢板の埋設方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/20 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   E02D7/20
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-105018(P2012-105018)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-231335(P2013-231335A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北村 精男
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−146536(JP,U)
【文献】 特開昭57−058725(JP,A)
【文献】 特開平07−150562(JP,A)
【文献】 特開平08−193327(JP,A)
【文献】 特開2007−255148(JP,A)
【文献】 特開平11−158871(JP,A)
【文献】 特開平07−011645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00〜 13/10
E02D 5/00〜 5/20
E02D 5/22〜 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドルから垂下した既設鋼矢板の上端を挟持するクランプと、サドル上に旋回自在に載置されたマストに昇降自在に備えられたチャック部を備えた杭圧入機を用い、新たな鋼矢板をチャック部で挟持して静荷重で地盤に圧入する杭圧入工法において、
圧入する鋼矢板の先端に装着され、地盤を掘削する鋼矢板埋設用掘削装置であって、
地盤を掘削して排土する掘削部材を垂下した頭部と、
前記頭部の上に設けられ、前記鋼矢板の先端に係止する杭材係止部と、を備え、
前記杭材係止部は、前記鋼矢板の軸線周りに回転自在であるとともに、
前記掘削部材の平面上の可動範囲が矩形であることを特徴とする鋼矢板埋設用掘削装置。
【請求項2】
前記頭部の端部に、既設鋼矢板の開放側継手部に当接するガイドを備えることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板埋設用掘削装置。
【請求項3】
前記掘削部材の平面上の可動範囲は、前記圧入する鋼矢板の横断面と略同等であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼矢板埋設用掘削装置。
【請求項4】
サドルから垂下した既設鋼矢板の上端を挟持するクランプと、サドル上に旋回自在に載置されたマストに昇降自在に備えられたチャック部を備えた杭圧入機を用い、新たな鋼矢板をチャック部で挟持して静荷重で地盤に圧入する杭圧入工法において、
請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼矢板埋設用掘削装置を、
圧入する鋼矢板のフランジの向きに合わせて前記杭材係止部を回転させて前記鋼矢板の先端に固定し、
杭圧入機により前記鋼矢板をチャックして前記鋼矢板埋設用掘削装置を地盤に押し込んで、前記掘削部材により掘削してから、
前記鋼矢板を前記杭圧入機のチャック部下まで引き抜いて、前記掘削部材で掘削した掘削土を排土した後、
前記鋼矢板の先端から前記鋼矢板埋設用掘削装置を外し、杭圧入機により前記鋼矢板を掘削穴に圧入して埋設することを特徴とする鋼矢板の埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼矢板圧入時に障害となる障害物を鋼矢板の圧入の際に除去する鋼矢板埋設用掘削装置と、鋼矢板の埋設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼矢板を地盤に圧入する場合、地盤の状況に応じて、単独圧入、ウォータジェット併用圧入、及びオーガ併用圧入が選択される。
しかしながら、事前の地盤情報より単独圧入で施工可能とされた地盤において、稀に、圧入中に予期せぬ障害物に遭遇することがあり、その場合、施工困難になることが多い。
だからと言って、このような不測の事態に備え、予めオーガ装置やウォータジェットを備えておくことは不経済であり実用にそぐわない。
これに対し、特許文献1において、サドルの側部に形成され、圧入杭を挟持するチャックの前方に延設された取付腕の先端に削孔装置を載置した杭圧入機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07‐11645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法によれば、杭材の圧入に先立って予め障害物を撤去することなく、圧入の直前に障害物を破砕し、または破砕片を撤去しつつ杭を圧入していくことができる。
しかしながら、既設杭材上に載架した杭圧入機のサドルに延設した取付腕上に削孔装置が載置されるので、曲線施工や直角方向への施工に際しては適用が困難である。また、装置重量が嵩む。
【0005】
本発明の課題は、予め障害物の除去するための装置を揃えることもなく、圧入作業と並行して礫などの障害物を除去して効率良く施工できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
サドルから垂下した既設鋼矢板の上端を挟持するクランプと、サドル上に旋回自在に載置されたマストに昇降自在に備えられたチャック部を備えた杭圧入機を用い、新たな鋼矢板をチャック部で挟持して静荷重で地盤に圧入する杭圧入工法において、圧入する鋼矢板の先端に装着され、地盤を掘削する鋼矢板埋設用掘削装置であって、地盤を掘削して排土する掘削部材を垂下した頭部と、前記頭部の上に設けられ、前記鋼矢板の先端に係止する杭材係止部と、を備え、前記杭材係止部は、前記鋼矢板の軸線周りに回転自在であるとともに、前記掘削部材の平面上の可動範囲が矩形であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の鋼矢板埋設用掘削装置であって、
前記頭部の端部に、既設鋼矢板の開放側継手部に当接するガイドを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または2に記載の鋼矢板埋設用掘削装置であって、
前記掘削部材の平面上の可動範囲は、前記圧入する鋼矢板の横断面と略同等であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
サドルから垂下した既設鋼矢板の上端を挟持するクランプと、サドル上に旋回自在に載置されたマストに昇降自在に備えられたチャック部を備えた杭圧入機を用い、新たな鋼矢板をチャック部で挟持して静荷重で地盤に圧入する杭圧入工法において、
請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼矢板埋設用掘削装置を、
圧入する鋼矢板のフランジの向きに合わせて前記杭材係止部を回転させて前記鋼矢板の先端に固定し、
杭圧入機により前記鋼矢板をチャックして前記鋼矢板埋設用掘削装置を地盤に押し込んで、前記掘削部材により掘削してから、
前記鋼矢板を前記杭圧入機のチャック部下まで引き抜いて、前記掘削部材で掘削した掘削土を排土した後、
前記鋼矢板の先端から前記鋼矢板埋設用掘削装置を外し、杭圧入機により前記鋼矢板を掘削穴に圧入して埋設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圧入中の鋼矢板先端に取り付けるだけで、鋼矢板の断面に見合う最小の掘削面積で圧入作業と並行して礫などの障害物を除去できるため、予め障害物の除去するための装置を揃えることもなく、効率良い施工を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した杭材埋設用掘削装置の一実施形態の構成を示すもので、杭材を仮想線で示した平面図である。
図2図1の杭材埋設用掘削装置の上半部の側面図である。
図3】杭圧入機による杭材圧入を示した側面図である。
図4図3の圧入中の杭材をチャック部下までクレーンで引き抜いて、杭材埋設用掘削装置を装着した状態を示した図である。
図5図4の杭材及び杭材埋設用掘削装置を下降させて地盤の掘削状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1及び図2は本発明を適用した杭材埋設用掘削装置の一実施形態の構成を示すもので、P0は既設杭材、P1は圧入する杭材、1は杭材埋設用掘削装置である。
【0013】
杭材埋設用掘削装置1は、既設杭材P0に続いて圧入する杭材P1の先端に装着されるもので、図示のように、頭部2の上に回転自在な一対の杭材係止部3及びその廻り止め4を備え、頭部2の両端部にガイド5を備え、頭部2の下にアーム6及びシリンダユニット7を介して、図4及び図5に示すように、掘削部材であるバケット8を備えている。
【0014】
すなわち、頭部2の上に垂直軸線廻りにそれぞれ回転自在に備えられた一対の杭材係止部3は、仮想線で示されるU形鋼矢板による杭材P1のウェブの両側に斜めのフランジを挿入するスリット3aを有している。
このスリット3aに杭材P1のフランジを挿入し、そのフランジを挟んで杭材係止部3を貫通する図示しないボルトにより接合して係止する。
なお、ボルトに代えて、ジャッキにより挟持してもよい。
【0015】
そして、頭部2の上には、二つの杭材係止部3の回転をそれぞれ止めるピンなどによる一対の廻り止め4が固定されている。
【0016】
また、頭部2の両端部には、既設杭材P0の継手が挿入されるコ字状溝を有する一対のガイド5が固定されている。
前述したように、杭材P1のフランジの向きに合わせて杭材係止部3を回転させ、既設杭P0の継手にガイド5を当接させる。
【0017】
さらに、頭部2の下には、アーム6が固定して垂下されて、シリンダユニット7がピン結合して揺動自在に垂下されている。そして、アーム6の下端にバケット8がピン結合して回動自在に取り付けられて、そのバケット8にシリンダユニット7の下端が連結されている。
以上により、バケット8は、シリンダユニット7の伸縮駆動でアーム6下端のピン結合部を支点に回動動作して、地盤を掘削し、その掘削土を排土する。
【0018】
ここで、バケット8の平面形状を、図1に仮想線による掘削部材可動範囲Aで示すように、杭材P1の断面に見合うサイズ(図示例では、頭部2及び一方のガイド5を含む範囲)とすることで、従来のケーシングオーガよりも掘削面積を縮小できる。
【0019】
図3は杭圧入機11による杭材圧入を示したもので、図示のように、杭圧入機11は、サドル12から垂下したクランプ13で既設杭材P0の上端を挟持して、既設杭材P0上に設置される。
そして、サドル12の上のマスト14に昇降自在に備えられたチャック15により杭材P1を挟持して、杭材P1を地盤に圧入する。
【0020】
以上において、杭材圧入中に障害物に出くわせば、圧入中の杭材P1を引き抜き、その杭材P1の先端に杭材埋設用掘削装置1を取り付けて掘削し、障害物を除去する。
なお、杭材埋設用掘削装置1の位置は、圧入する杭材P1の位置に合うように、図4に示すように、杭圧入機11のマスト14及びチャック15を適宜回転調整する。
【0021】
次に、杭材埋設用掘削装置1の使用手順を説明する。
【0022】
まず、杭材圧入中に障害物に出くわすと、図示しないクレーンにより、図4に示すように、圧入中の杭材P1を杭圧入機11のチャック15の下まで引き抜く。
【0023】
続いて、杭材P1のフランジの向きに合わせて、杭材埋設用掘削装置1の頭部2の杭材係止部3を回転させ、廻り止め4を施す。
その後、既設杭材P0の継手にガイド5が当接するよう杭圧入機11のマスト14を前進させる。
【0024】
そして、前述したように、杭材P0の先端に一対の杭材係止部3を係止して杭材埋設用掘削装置1を固定し、杭圧入機11のマスト14及びチャック15をそれぞれ回転調整して掘削位置を設定する。
【0025】
続いて、杭圧入機11のチャック15を下降させて、バケット8で地盤を掘削する。
その後、チャック15を開放し、クレーンにより杭材P1をチャック15の下まで引き上げ、バケット8の掘削土を排土する。
以上を繰り返すことで、図5に示すように、バケット8で掘削していって障害物を除去する。
【0026】
その後、杭材P1の先端から杭材埋設用掘削装置1を外して、図3に示すように、杭圧入機11により杭材P1を掘削穴に圧入して埋設する。
【0027】
以上、実施形態の杭材埋設用掘削装置1によれば、杭材P1の先端に脱着自在に固設し、その頭部2に回転自在とした杭材係止部3を配しているので、杭材圧入中に障害物に出くわした場合であっても、圧入中の杭材P1を引き抜き、杭材P1の先端に杭材埋設用掘削装置1を取り付けて掘削し、障害物を容易に除去できる。
また、杭材係止部3を回転することで、杭材P1のフランジの向きに容易に対応できる。
【0028】
そして、杭材埋設用掘削装置1の頭部2の端部に既設杭材P0の継手に当接するガイド5を備えるので、バケット8の掘削動作の反力を既設杭材P0から得るとともに、推進時の精度(掘削精度)を容易に確保できる。
【0029】
さらに、バケット8の平面上の可動範囲を杭材P1の断面と略同等にしたことで、従来のケーシングオーガよりも掘削面積を縮小できる。
【0030】
(変形例)
以上の実施形態においては、U形鋼矢板による杭材としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハット形鋼矢板であってもよい。
また、実施形態では、杭材埋設用掘削装置の掘削部材をバケットとしたが、ブレーカ、やグラブでもよく、あるいは状況に応じて、ブレーカ、バケット、グラブを取り換え使用してもよい。
さらに、杭材埋設用掘削装置の頭部、杭材係止部、廻り止め、ガイドの形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
P0 既設杭材
P1 圧入する杭材
1 杭材埋設用掘削装置
2 頭部
3 杭材係止部
3a スリット
4 廻り止め
5 ガイド
6 アーム
7 シリンダユニット
8 掘削部材
11 杭圧入機
12 サドル
13 クランプ
14 マスト
15 チャック
図1
図2
図3
図4
図5