(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961445
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】業務成果トレードオフ・シミュレータ
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20160719BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-116829(P2012-116829)
(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公開番号】特開2013-30156(P2013-30156A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】61/510,992
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510290957
【氏名又は名称】アクセンチュア グローバル サービスィズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,ウィリアム ポール
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェフリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】フェリオラ,ロバート エドワード
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,ジェームズ ヘンドリー
(72)【発明者】
【氏名】ワイズベッカー,ブリジッド マクヒュー
【審査官】
佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−253512(JP,A)
【文献】
特開平11−296611(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0083123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のコンピュータにより、所定の予測可能性戦略のグループを受領するステップであって、各予測可能性戦略は、(1)サプライチェーン管理システム内の複数の品目のうちの各品目が予測可能または予測不可能のいずれに分類されるか、(2)予測可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の予測モデル、および(3)予測不可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の非予測ルールを判断するために使用されるルールの種々のセットを表す、前記ステップと、
前記1つ以上のコンピュータにより、前記サプライチェーン管理システム内の前記複数の品目から選択された少なくとも2つの品目に関連する、サプライチェーンにおける過去のイベントを表すサプライチェーン管理履歴データを受領するステップと、
前記1つ以上のコンピュータにより、前記予測可能性戦略それぞれの複数の業務成果を生成するために、前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用するステップであって、各業務成果は、前記所定の予測可能性戦略のグループの中の特定の予測可能性戦略に関して選択された特定の品目に関する2つ以上の業務特性を示し、
前記履歴データへの前記予測可能性戦略の適用は、前記予測可能性戦略それぞれに関して、
前記選択された品目それぞれを前記予測可能性戦略に従って予測可能または予測不可能のいずれかに分類すること、
予測可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための予測モデルを選択すること、
予測不可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための非予測ルールを選択すること、
前記履歴データによって表される或る期間にわたって、1つ以上の選択された予測モデルまたは非予測ルールに従って前記選択された品目の在庫管理をシミュレートすること、および
前記選択された品目の前記シミュレートされた在庫管理に基づき前記複数の業務成果を生成することを含む、前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用するステップと、
前記複数の業務成果に関する前記業務特性それぞれに関して、前記複数の業務成果の対応する業務特性に基づき前記業務特性を正規化するステップと、
前記1つ以上のコンピュータにより、前記複数の業務成果のスコアを生成するステップであって、業務成果の各スコアは、前記業務成果の2つ以上の正規化された業務特性の重み付き平均を表す、前記ステップと、
前記1つ以上のコンピュータにより、前記複数の業務成果に関する前記スコアの比較に基づき、前記予測可能性戦略のグループの中から予測可能性戦略を選択するステップと、
前記選択された予測可能性戦略を、前記サプライチェーン管理システム内の前記複数の品目それぞれを管理するために実装するステップと、
を含む、コンピュータで実装される方法。
【請求項2】
前記在庫管理をシミュレートすることは、複数の管理サイクルにわたって前記在庫管理を反復して、各サイクルの前記シミュレートされた結果を使用して次のサイクルの結果をシミュレートすることを含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項3】
在庫管理をシミュレートする前記期間は、少なくとも1年である、請求項2に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項4】
前記2つ以上の業務特性は、平均在庫、バックオーダーの数、平均顧客待ち時間、購買要求の数および購買要求の価値のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項5】
前記複数の業務成果に関する前記業務特性それぞれに関して、前記複数の業務成果の対応する業務特性に基づき前記業務特性を正規化するステップは、前記複数の業務成果に関する前記業務特性それぞれに関して、前記業務特性の中央値に従って前記業務特性を正規化するステップを含む、請求項4に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項6】
各業務特性に対して使用する前記重みを指定するユーザ入力を受領するステップと、
前記指定された重みを使用して、前記重み付き平均を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項7】
前記予測可能性戦略を選択するステップは、
前記予測可能性戦略それぞれに関連する前記複数の業務成果を、ユーザにレポートするステップと、
前記予測可能性戦略のグループの中からの予測可能性戦略の選択を表すユーザ入力を受領するステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項8】
前記選択された予測可能性戦略を実装するステップは、前記複数の品目それぞれに関して、当該品目の在庫管理のために、予測モデルまたは非予測ルールを、前記選択された予測可能性戦略に従って選択するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項9】
前記選択された予測可能性戦略は、第1の基準を満たす品目が第1の予測モデルに従って評価されるよう、前記第1の予測モデルに関連する前記第1の基準を含み、第2の基準を満たす品目が第2の予測モデルに従って評価されるよう、前記第2の予測モデルに関連する前記第2の基準を含み、前記第1の基準も第2の基準も満たさない少なくともいくつかの品目が非予測ルールに従って評価されるよう、前記非予測ルールを含む、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項10】
前記第2の予測モデルは、単純移動平均統計的モデルである、請求項9に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項11】
各予測可能性戦略の前記複数の業務成果は、1つ以上の非予測ルールを使用するベースライン戦略の複数の業務成果と比較される、請求項1に記載のコンピュータで実装される方法。
【請求項12】
サプライチェーン管理システム内の複数の品目に関連する過去のイベントを表すサプライチェーン管理履歴データを記憶するデータ・リポジトリと、
所定の予測可能性戦略のグループを受領し、前記管理履歴データにアクセスし、前記予測可能性戦略それぞれの複数の業務成果を生成するために前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用する、シミュレーション・エンジンであって、
各業務成果は、所定の予測可能性戦略のグループの中の特定の予測可能性戦略に関して選択された特定の品目に関する2つ以上の業務特性を示し、
各予測可能性戦略は、(1)サプライチェーン管理システム内の複数の品目のうちの各品目が予測可能または予測不可能のいずれに分類されるか、(2)予測可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の予測モデル、および(3)予測不可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の非予測ルールを判断するために使用されるルールの種々のセットを表し、
前記予測可能性戦略それぞれに関して、
前記選択された品目それぞれを前記予測可能性戦略に従って予測可能または予測不可能のいずれかに分類し、
予測可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための予測モデルを選択し、
予測不可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための非予測ルールを選択し、
前記履歴データによって表される或る期間にわたって、1つ以上の選択された予測モデルまたは非予測ルールに従って前記選択された品目の在庫管理をシミュレートし、
前記選択された品目の前記シミュレートされた在庫管理に基づき前記複数の業務成果を生成する、
前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用する前記シミュレーション・エンジンと、
1つ以上のコンピュータおよび1つ以上のストレージ・デバイスと、
を含むシステムであって、前記1つ以上のストレージ・デバイスは、命令を記憶し、前記命令は、前記1つ以上のコンピュータによって実行されると、前記1つ以上のコンピュータに、
前記複数の業務成果に関する前記業務特性それぞれに関して、前記複数の業務成果の対応する業務特性に基づき前記業務特性を正規化すること、
前記複数の業務成果のスコアを生成することであって、業務成果の各スコアは、前記業務成果の2つ以上の正規化された業務特性の重み付き平均を表す、前記生成すること、
前記シミュレーション・エンジンによって生成された前記複数の業務成果に関する前記スコアの比較に基づき、前記予測可能性戦略のグループの中から予測可能性戦略を選択すること、および
前記選択された予測可能性戦略を、前記サプライチェーン管理システム内の前記複数の品目それぞれを管理するために実装すること、
を含む動作を実行させるよう動作可能である、システム。
【請求項13】
前記2つ以上の業務特性は、平均在庫、バックオーダーの数、平均顧客待ち時間、購買要求の数および購買要求の価値のうちの少なくとも2つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
シミュレーション・エンジンは、各業務特性に対して使用する前記重みを指定するユーザ入力を受領し、前記指定された重みを使用して、前記重み付き平均を生成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
1つ以上のコンピュータによって実行可能な命令を含むプログラムを記憶している、コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、上記の実行が行われると、前記1つ以上のコンピュータに、
所定の予測可能性戦略のグループを受領することであって、各予測可能性戦略は、(1)サプライチェーン管理システム内の複数の品目のうちの各品目が予測可能または予測不可能のいずれに分類されるか、(2)予測可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の予測モデル、および(3)予測不可能と分類された各品目に関して、当該品目の管理のための特定の非予測ルールを判断するために使用されるルールの種々のセットを表す、前記受領すること、
前記サプライチェーン管理システム内の前記複数の品目から選択された少なくとも2つの品目に関連する、サプライチェーンにおける過去のイベントを表すサプライチェーン管理履歴データを受領すること、
前記予測可能性戦略それぞれの複数の業務成果を生成するために、前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用することであって、
各業務成果は、前記所定の予測可能性戦略のグループの中の特定の予測可能性戦略に関して選択された特定の品目に関する2つ以上の業務特性を示し、
前記履歴データへの前記予測可能性戦略の適用は、前記予測可能性戦略それぞれに関して、
前記選択された品目それぞれを前記予測可能性戦略に従って予測可能または予測不可能のいずれかに分類すること、
予測可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための予測モデルを選択すること、
予測不可能と分類された前記選択された品目それぞれに関して、前記予測可能性戦略に従って当該品目の在庫管理のための非予測ルールを選択すること、
前記履歴データによって表される或る期間にわたって、1つ以上の選択された予測モデルまたは非予測ルールに従って前記選択された品目の在庫管理をシミュレートすること、および
前記選択された品目の前記シミュレートされた在庫管理に基づき前記複数の業務成果を生成すること
を含む、前記履歴データに前記予測可能性戦略それぞれを適用すること、
前記複数の業務成果に関する前記業務特性それぞれに関して、前記複数の業務成果の対応する業務特性に基づき前記業務特性を正規化すること、
前記複数の業務成果のスコアを生成することであって、業務成果の各スコアは、前記業務成果の2つ以上の正規化された業務特性の重み付き平均を表す、前記生成すること、
前記複数の業務成果に関する前記スコアの比較に基づき、前記予測可能性戦略のグループの中から予測可能性戦略を選択すること、および
前記選択された予測可能性戦略を、前記サプライチェーン管理システム内の前記複数の品目それぞれを管理するために実装すること、
を含む動作を実行させる、前記プログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記非予測ルールは、品目の在庫水準が規定の最小水準まで下がると、規定の最大水準まで当該品目の前記在庫水準を補充するために、一定量の当該品目が注文されることを定義するルールを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サプライチェーン管理システムと、このシステムによって管理される品目が統計的予測モデルを使用して予測されるべきであるかどうかを判断するプロセスとに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2011年7月22日に提出された、米国特許仮出願第61/510,992号の利益を主張するものであり、その内容全体を参照によって本願明細書に事実上引用したものとする。
【0003】
政府ライセンス権
本発明は、米国国防兵站局(DLA:Defense Logistics Agency)により与えられたSP4701−07−A−0001の下、政府支援によりなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
サプライチェーン管理(SCM:Supply chain management)システムは、品目を注文する最適なタイミングを、ルールを使用して判断し、それらの品目は通常、在庫に入れられる。SCMシステムが実装する特徴の1つは、管理されている特定の品目に関する購買基準を予測することである。システムにより管理される品目は、予測可能または予測不可能と判断される。現在のSCMシステムにおける品目の予測可能性は、品目が予測可能であるかどうかをテストするために品目に関連する特性を分析する、いくつかのテクニックのうちの1つに基づき判断され得る。そのような従来のテクニックの1つに、数ヶ月の需要および需要の総数量を利用する、「10対4手法(4 for 10 approach)」がある。品目は、テストを通過すると予測可能と見なされ、高度な統計的予測モデルを使用して将来の需要および将来の補充計画が予想される。予測可能性を判断するために使用される特定のテストを品目が通過しなければ、品目は予測不可能と見なされ、例えば最小/最大水準に基づき管理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の予測可能性ルールは、業務成果(business outcome)との明確なつながりを提供しない。さらに、現実の世界のサプライチェーン管理作業における実用では、月によって予測に大きな変動があることが示されている。業務成果との相関がより高く、品目管理に対し、より高水準な正確さを可能にし、品目が予測可能と見なされるべきか否かを判断する新たな手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
全般的な一側面において、方法は、所定の予測可能性戦略(forecastability strategy)のグループおよびサプライチェーン管理履歴データ(historical supply chain management data)を受領することを含む。各予測可能性戦略は、サプライチェーン管理システム内の複数の品目の各品目が統計的予測を使用して管理されるべきであるかどうかを判断するためのルールのセットを表す。サプライチェーン管理履歴データは、サプライチェーン管理システム内の複数の品目から選択された少なくとも2つの品目に関連する、サプライチェーンにおける過去のイベントを表す。予測可能性戦略それぞれの業務成果を生成するために、履歴データに予測可能性戦略それぞれが適用される。業務成果に基づき、予測可能性戦略が、予測可能性戦略のグループの中から選択され、複数の品目それぞれを管理するためにサプライチェーン管理システム内で実装される。
【0007】
一部の実装では、各予測可能性戦略に関して各品目の在庫管理をシミュレートすることによって、予測可能性戦略それぞれが履歴データに適用されるとよい。各品目に関して、当該品目の在庫管理のために、予測モデル(forecasting model)または非予測ルール(non−forecasting rule)が、特定の予測可能性戦略に従って選択されるとよい。履歴データによって表される或る期間にわたって、選択されたモデルまたはルールに従って当該品目の在庫管理がシミュレートされ、1つ以上の業務成果が生成されるとよい。
【0008】
予測可能性戦略それぞれの業務成果の生成は、選択された品目それぞれのシミュレートされた在庫管理に基づく業務成果を、各予測可能性戦略に関して、特定の予測可能性戦略に従って集約する(aggregate)ことを伴ってもよい。
【0009】
或る期間にわたる在庫管理のシミュレートは、複数の管理サイクルにわたって在庫管理を反復して、各サイクルのシミュレートされた結果を使用して次のサイクルの結果をシミュレートすることを表してもよい。在庫管理をシミュレートする期間は、少なくとも1年としてもよい。
【0010】
一部の実装では、業務成果の生成は、2つ以上の業務特性の重み付き平均を表すスコアを生成することを含み、生成されたスコアは、予測可能性戦略を選択するために比較される。
【0011】
業務成果特性は、平均在庫、バックオーダーの数、平均顧客待ち時間、購買要求(purchase requisition)の数および購買要求の価値(value of purchase requisition)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。各業務成果特性は、当該特性の中央値に従って正規化されてもよい。
【0012】
本方法はさらに、各業務成果特性に対して使用する重みを指定するユーザ入力を受領することを含んでもよく、その結果、重みは、重み付き平均を生成するために使用される。
【0013】
一部の実装では、予測可能性戦略の選択は、予測可能性戦略それぞれに関連する業務をユーザにレポートすること、および予測可能性戦略の選択を表すユーザ入力を受領することをさらに含んでもよい。
【0014】
選択された戦略の実装は、各品目に関して、当該品目の在庫管理のために、予測モデルまたは非予測ルールを、選択された予測可能性戦略に従って選択することを含んでもよい。選択された予測可能性戦略は、第1および第2の基準を含んでもよい。第1の基準を満たす品目は、第1の予測モデルに従って評価されてもよく、第2の基準を満たす品目は、第2の予測モデルに従って評価されてもよく、いずれの基準も満たさない少なくともいくつかの品目は、非予測ルールに従って評価されてもよい。第2の予測モデルは、単純移動平均統計的モデルであってもよい。
【0015】
一部の実装では、各予測可能性戦略の業務成果が、1つ以上の非予測ルールを使用するベースライン戦略の業務成果と比較されてもよい
【0016】
別の全般的な側面において、システムは、データ・リポジトリ、シミュレーション・エンジン、1つ以上のコンピュータおよび1つ以上のストレージ・デバイスを含む。データ・リポジトリは、サプライチェーン管理システム内の複数の品目に関連する過去のイベントを表すサプライチェーン管理履歴データを記憶する。シミュレーション・エンジンは、所定の予測可能性戦略のグループを受領し、管理履歴データにアクセスし、予測可能性戦略それぞれの業務成果を生成するために履歴データに予測可能性戦略それぞれを適用する。該1つ以上のストレージ・デバイスは、命令を記憶し、命令は、該1つ以上のコンピュータによって実行されると、該1つ以上のコンピュータに、シミュレーション・エンジンによって生成された業務成果に基づき、予測可能性戦略のグループの中から予測可能性戦略を選択すること、および選択された予測可能性戦略を、サプライチェーン管理システム内の複数の品目それぞれを管理するために実装すること、を含む動作を実行させるよう動作可能である。
【0017】
一部の実装では、シミュレーション・エンジンは、各予測可能性戦略に関して、複数の品目からの少なくとも2つの品目の在庫管理をシミュレートすることによって、予測可能性戦略それぞれを履歴データに適用してもよい。シミュレーション・エンジンは、各品目に関して、当該品目の在庫管理のために、予測モデルまたは非予測ルールを、特定の予測可能性戦略に従って選択する。エンジンは、履歴データによって表される或る期間にわたって、選択されたモデルまたはルールに従って当該品目の在庫管理をシミュレートし、1つ以上の業務成果を生成する。
【0018】
一部の実装において、シミュレーション・エンジンは、2つ以上の業務特性の重み付き平均を表すスコアを生成してもよく、該1つ以上のコンピュータは、生成されたスコアを比較することによって、予測可能性戦略を選択してもよい。
【0019】
業務成果特性は、平均在庫、バックオーダーの数、平均顧客待ち時間、購買要求の数および購買要求の価値のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0020】
シミュレーションは、各業務成果特性に対して使用する重みを指定するユーザ入力を受領してもよく、指定された重みを使用して重み付き平均を生成してもよい。
【0021】
別の全般的な側面において、一時的でないコンピュータ可読媒体は、1つ以上のコンピュータによって実行可能な命令を含むソフトウェアを記憶する。命令を実行すると、該1つ以上のコンピュータは、所定の予測可能性戦略のグループと、サプライチェーン管理履歴データとを受領する。各予測可能性戦略は、サプライチェーン管理システム内の複数の品目の各品目が統計的予測を使用して管理されるべきであるかどうかを判断するためのルールのセットを表す。サプライチェーン管理履歴データは、サプライチェーン管理システム内の複数の品目から選択された少なくとも2つの品目に関連する、サプライチェーンにおける過去のイベントを表す。該1つ以上のコンピュータは、予測可能性戦略それぞれの業務成果を生成するために、履歴データに予測可能性戦略それぞれを適用する。業務成果に基づき、予測可能性戦略が、予測可能性戦略のグループの中から選択され、複数の品目それぞれを管理するためにサプライチェーン管理システム内で実装される。
【0022】
本願明細書に記載される実装および例はそれぞれ、コンピュータ・ストレージ媒体上にコード化されたコンピュータ・プログラムを含む方法、システムおよび装置において具現化され得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面および以下の説明に、1つ以上の実装の詳細が記載される。本開示の他の可能な特徴および利点が、説明および図面から明らかになる。
【0025】
品目に関する統計的予測の生成は、かなりの人的およびデータ処理リソースを消費し得る。したがって、組織は通常、統計的予測が実行される品目の数を減らすために、予測可能または予測不可能のいずれかに品目を分類する。予測可能と分類された品目には統計的予測が生成されることが可能であり、予測不可能と分類された品目は、統計的予測に比べより少ないデータ処理およびより少ない人間との相互作用を必要とする単純な業務ルールを使用してなど、異なる方法で管理されることが可能である。単純な業務ルールの例は、品目の手持ち数量が6単位になると、20単位の数量の品目を注文することである。
【0026】
そのような業務ルールは、「最小/最大」ルールと呼ぶことができる。「最小/最大」ルールでは、品目の在庫水準が規定の最低水準まで下がると、品目を補充するために、所定の単位の数量が注文される。数量は、購買費用と、在庫維持費との両方を最も好ましい形で最小限に抑える、バランスのとれた数量を提供するよう選択されることが可能である。「最大」は、品目の最大数量などの最大数量を指す。「最大」とは、補充注文の受領後に在庫として望まれる数量を表す。
【0027】
別の例として、品目が予測可能であるかどうかの判断は、単純な業務ルールまたは単純な統計に基づくことができる。例えば、品目の注文アクティビティ履歴を調べてもよく、品目に関して過去12ヶ月間に少なくとも4の需要(例えば注文)があり、品目に対する需要の総数量が少なくとも10単位であれば、品目は予測可能と分類可能である。品目に関して需要の発生が4回未満であった、または需要が10単位未満であった場合、品目は、予測不可能と分類可能である。別の例として、品目が予測可能であるかどうかの判断は、変動統計の係数の計算に基づくことができる。係数が閾値未満であれば、品目は予測可能と分類可能であり、係数が閾値以上であれば、品目は予測不可能と分類可能である。
【0028】
予測可能性を判断する別の例として、各戦略が組織の業務成果にどのように影響するかの測定に基づき、いくつかある戦略の中から、予測可能性を判断する戦略を選択することができる。例えば、
図1のシステム100において示されているように、第1のステップであるステップ1 102において、比較される種々の予測可能性戦略104が選択されることが可能である。予測可能性戦略104は、例えば、複雑な予測モデル、単純な予測モデル、単純な最小/最大ルールおよびその他の業務ルールを含むことができる。各予測可能性戦略は、複数の予測モデルおよび非予測ルールを含んでもよく、各品目にどの予測モデルまたは非予測ルールを適用するかを判断するために、いくつかのルールを適用してもよい。各予測可能性戦略に関して、アルゴリズムおよび/またはソフトウェア・ベンダにより提供されるソフトウェアを使用するなどして、モデルまたはルールが適用されて品目に関する予測が生成される。
【0029】
品目を管理するために適用されるモデルまたはルールにかかわらず、当該品目の管理用に当該モデルまたはルールを選択する決定に、業務成果を関連させることができる。例えば、
図2に示されているように、業務成果200は、いくつかの業務成果特性の関数として定義されることが可能である。平均在庫特性202は、品目の平均在庫水準を表す。生成された総補充注文特性204は、品目に関連する注文を組織がベンダに行った回数のカウントを表す。ベンダ補充注文に関連する総数量特性206は、ベンダに注文した総数量を表す。生成された総バックオーダー特性208は、特定の期間中にバックオーダーの状態である品目の数を表す。顧客待ち時間特性210は、バックオーダーの品目に関して、品目に対する顧客の注文に応じるまでの平均顧客待ち時間を、月単位で表す。業務成果200は、特性202〜210それぞれの値の組み合わせとすることができる。
【0030】
図1に戻る。予測可能性戦略104はそれぞれ、ソフトウェアとしてシミュレータ(またはシミュレーション・エンジン)106にプログラムされる1つ以上の分析プロセスおよび/または統計的プロセスにおいて構成されることが可能である。シミュレータ106は、複数の品目のセットに関して戦略104それぞれをシミュレートし、どの戦略104が最もよく機能するかを、業務成果特性に基づき各品目に関して判断するために使用可能である。各品目に関して、予測のために単純な業務ルールを使用するのと比較してよりよい業務成果を予測モデルがもたらすかどうか(またはどの予測モデルがもたらすか)が、判断されることが可能である。シミュレータ106は、経時的に反復し、その結果、「時間の経過をシミュレート」する。そのようにすることで、静的な時間軸上の影響のみをシミュレートするのと比較して、はるかに包括的で信頼性のある分析が可能になる。
【0031】
ステップ2 108に示されているように、シミュレータ106は、データ・リポジトリ110から取得される履歴データを使用することができる。リポジトリ110は、例えば、ERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)またはAPS(Advanced Planning and Scheduling:高度計画・スケジューリング)システムに関連し得る。履歴データは、例えば、多数の個別品目に関する、需要履歴データ、ベースライン在庫水準および再注文要求情報を含むことができる。シミュレータ106は、リポジトリ110から取得された履歴データを使用して、時間の経過をシミュレートし、シミュレータ106を形成するソフトウェア・ルーチンによって分析される各品目に対して戦略104それぞれを実装する効果を分析することができる。シミュレータ106は、例えば、以前の36ヶ月の期間からの履歴データを使用して、12の月毎の期間をシミュレートすることができる。その結果例えば、シミュレータ106において戦略104それぞれが構成されるとよく、シミュレータ106は、実際の需要履歴を使用して個々の戦略104の実装をシミュレートでき、個々の戦略104の実装から生じる業務成果特性を算出することができる。
【0032】
さらに詳細には、他の例として、シミュレータ106は、需要履歴データのモデル適合期間を使用して戦略104を定義し、適切なパラメータを設定することができる。各戦略104に対して、需要が実際に生じているかのように期間ごとに、シミュレータ106に需要量履歴を経験させることによって、予測の生成が可能である。続いて予測は、必要になると予想されるときよりも、あるリードタイム分、前もって資材のシミュレートされた購入を生成するなど、生産APSシステムにおいて適用されると考えられるのとまったく同じように適用されることが可能である。再注文要求は、再注文の関連するドル値とともに記録されることが可能である。例えば、ホールドアウト期間の実際の需要を、予測精度統計の生成、在庫状況の変更、手持注文の記録および顧客待ち時間の測定のために使用可能である。
【0033】
シミュレーションが完了した後、各品目に関して、各戦略104からの結果のスコアを付けるためにスコアリング・プロセスが実行されることが可能である。例えば、
図3は、結果のスコアを付けるプロセス300の例を示す。プロセス300は、例えばシミュレータ106によって実行可能である。各予測可能性戦略および各品目に関して、各業務成果特性のスコアが算出される(302)。業務成果特性は、例えば、平均在庫特性202、生成された総補充注文特性204、ベンダ補充注文に関連する総数量特性206、生成された総バックオーダー特性208および顧客待ち時間特性210を含むことができる。その他の業務成果特性を使用することができ、より多いまたはより少ない業務成果特性を使用することができる。予測可能性戦略は、1つ以上の複雑な予測モデルと、1つ以上の補充ルールなどの1つ以上の業務ルールとを含むことができる。例えば、シミュレータ106などを使用して戦略の実装をシミュレートすることによって、各業務成果特性のスコアが、戦略に関して算出されることが可能である。
【0034】
各予測可能性戦略および各品目に関して、各業務成果特性のスコアが正規化される(304)。スコアの正規化は、各戦略および業務成果特性にわたるスコアの比較を促進することができる。正規化されたスコアを算出するために、例えば、各業務成果特性に対して、その業務成果特性のスコアの中央値が算出されることが可能である。戦略、品目および業務成果特性の組み合わせそれぞれに関して、戦略および品目に対する業務成果特性のスコアを、業務成果特性の中央値スコアで割り、続いてその比から1を減じることによって、正規化された比を算出可能である。例えば、5つの戦略のシミュレートからの、平均在庫特性に関する品目の中央値スコアが、40であると仮定する。さらに、第1の戦略については、品目の平均在庫スコアが40であり、第2の戦略については、品目の平均在庫スコアが60であると仮定する。平均在庫特性に関して、第1および第2の戦略に関するこの品目の正規化された比は、それぞれ「0」((40/40)−1)および「0.5」((60/40)−1)と計算可能である。
【0035】
各戦略および各品目に関して、各業務成果特性の正規化された比が重み付けされる(306)。例えば組織は、組織にとっての業務成果特性の重要性に基づき、各業務成果特性に重みを割り当てることができる。各業務成果特性の正規化された比に、業務成果特性に割り当てられた重みを乗じて、各戦略および各品目に関して、重み付きスコアのセットを算出することができる。
【0036】
例えば
図4は、業務成果特性の重みの組み合わせを各行に含み、列によって特性が表されている、テーブル400を示す。例えば、列402〜410(例えば、平均在庫(「Avg Inv:average inventory」)列402、補充カウント(「PR CT:replenishment count」)列404、補充数量(「PR Qty:replenishment quantity」)列406、バックオーダー・カウント(「BO CT:back order count」)列408および顧客待ち時間(「CWT:customer wait time」)列410)が、それぞれ業務成果特性202〜210に対応する。
【0037】
組織は例えば、1の識別子を備える行(分析されている品目1に関連する)によって示されているように、各業務成果特性に等しい重みを割り当てることができる。別の例として、組織は、10および15〜23の識別子を備える行によって示されているように、1つの業務成果特性により高い重みを割り当て、他の業務成果特性により低い重みを割り当てることができる。さらに別の例として、組織は、2〜9、11〜14および24の識別子を備える行によって示されているように、1つ以上の業務成果特性に0の重みを割り当てることができる。組織は、1つのみの業務成果特性に関心がある場合、その業務成果特性に、2〜6の識別子を備える行によって示されているように100パーセントの重みを割り当てることができる。例えば、識別子3を備える行によって示されているように、組織は、平均在庫特性に100パーセントの重みを割り当てることができる。そのような重みの割り当ては、過去により小さな平均在庫をもたらした戦略の選択をもたらす傾向となり得る。
【0038】
図3に戻る。各戦略および各品目に関して、集計スコアが算出される(308)。例えば、戦略および品目の組み合わせそれぞれに関して、関連する重み付きスコアそれぞれを合計することによって、集計スコアの算出が可能である。一部の実装では、より低い集計スコアを有する戦略が、より高い集計スコアを有する戦略と比較して、品目に関してよりよく機能していると分類される。
【0039】
図1に戻る。ステップ3 112において、各戦略からの、シミュレータ106の出力として受領された業務成果の結果が確認される。例えば、各品目に関して、各戦略の集計スコアが比較されることが可能である。品目に関して、シミュレーションにより最低の集計スコアが生じた戦略など、品目に対し「最良の」戦略が、各品目に関して判断されることが可能である。
【0040】
ステップ4 114において、最もよく機能している予測可能性戦略104が承認機構およびプロセス(例えば、プロジェクト管理)にレポートされ、それよって承認されることが可能である。ステップ5 116において、各品目の選択された予測可能性戦略を適用し、予測モデル、補充モデルまたは品目に対して使用する他の業務ルールを出力する品目分類データ・セット117を、シミュレータ106が出力することができる。ステップ6 118において、品目分類データ・セット117が、リポジトリ110など、生産EPRまたはAPSシステムにロードされ、品目の継続的な管理に使用される。
【0041】
図5は、シミュレーション・システム500のコンポーネントを示す。シミュレーション・システム500は、1つ以上の予測モデル、補充モデルまたはその他の業務ルールの定義(例えばモデル入力504によって示されている)を受け取る、モデル・コンポーネント502を含む。シミュレーション・コンポーネント506は、履歴データを使用してモデルの実装をシミュレートするために使用可能である。シミュレーション・コンポーネント506は、各モデルに関して、業務成果特性(例えば、
図2に関する特性202〜210を含み得る特性508)を測定することができる。
【0042】
例えば、スコアリング・コンポーネント510は、各モデルに関して、複数の品目それぞれの集計スコアを算出することができる。組織は、特性の1つ以上に重み512を割り当てることができる。スコアリング・コンポーネント510は、
図3に関して上述したように、スコアを正規化、重み付けおよび集計することができる。
【0043】
分析者は、評価コンポーネント514を使用して、シミュレーション・コンポーネント506によってもたらされた業務成果の結果および他の結果を評価することができる。例えば、数例を挙げれば、最良の需要計画精度、最低需要計画精度切捨て、最少バックオーダー、財務管理トレードオフ、平均絶対誤差率(MAPE:mean absolute percent error)、予測バイアスまたは手持注文の最小化に基づき、モデルを比較可能である。
【0044】
決定コンポーネント516は、各品目のモデルを選択するため、または選択を確認するために使用可能である。例えば、一部の品目は、予測可能と分類され、指定された特定の予測モデルを伴うことがあり得る。他の品目は、予測不可能と分類され、指定された特定の補充または他の業務ルールを伴うことがあり得る。品目の分類は、システム500から出力されることが可能であり、個々の品目に対する選択された予測または補充モデルの実装のために、例えば生産システムへとロードされることが可能である。
【0045】
レポーティング・コンポーネント518は、1つ以上のレポートを作成するために使用可能である。例えば、予測可能/予測不可能の分類に従い、かつ関連する予測または補充モデルに従い、品目を色分けする品目レポートがもたらされ得る。比較コンポーネント520は、各戦略にわたり品目に関する結果を比較するために使用可能であり、各戦略は、種々の予測モデルを種々の品目に適用するとよい。例えば比較コンポーネント520は、複数のモデルをシミュレートすることから取得された結果に関して、サービスおよび費用のトレードオフ情報を図表で示すために使用されることが可能である。
【0046】
図6は、汎用コンピュータ・システム600の例の概略図である。システム600は、一部の実装により、プロセス300に関連して記載された動作のために使用可能である。システム600は、システム100および500に含まれてもよい。
【0047】
システム600は、プロセッサ610、メモリ620、ストレージ・デバイス630および入出力デバイス640を含む。コンポーネント610、620、630および640はそれぞれ、システム・バス650を使用して相互接続されている。プロセッサ610は、システム600内で実行される命令を処理できる。一実装では、プロセッサ610は、シングルスレッド・プロセッサである。別の実装では、プロセッサ610は、マルチスレッド・プロセッサである。プロセッサ610は、メモリ620内またはストレージ・デバイス630上に記憶された命令を処理して、入出力デバイス640上にユーザ・インターフェイスのグラフィック情報を表示できる。
【0048】
メモリ620は、情報をシステム600内で記憶する。一実装では、メモリ620は、コンピュータ可読媒体である。一実装では、メモリ620は、揮発性メモリ・ユニットである。別の実施形態では、メモリ620は、不揮発性メモリ・ユニットである。
【0049】
ストレージ・デバイス630は、システム600の大容量ストレージを提供できる。一実装では、ストレージ・デバイス630は、コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装において、ストレージ・デバイス630は、フロッピー・ディスク・デバイス、ハード・ディスク・デバイス、光ディスク・デバイスまたはテープ・デバイスとしてもよい。
【0050】
入出力デバイス640は、システム600に入出力動作を提供する。一実装では、入出力デバイス640は、キーボードおよび/またはポインティング・デバイスを含む。別の実装では、入出力デバイス640は、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスを表示するディスプレイ・ユニットを含む。
【0051】
記載された特徴は、デジタル電子回路において、またはコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、またはその組み合わせにおいて実装可能である。装置は、プログラマブル・プロセッサによる実行のために、例えば機械可読ストレージ・デバイスなどの情報担体において有形に具現化された、コンピュータ・プログラム製品において実装可能であり、方法ステップは、入力データに作用し出力を生成することにより記載された実装の機能を実行するための命令のプログラムを実行するプログラマブル・プロセッサにより実行可能である。記載された特徴は、データ・ストレージ・システムからデータおよび命令を受信し、データ・ストレージ・システムにデータおよび命令を伝送するよう結合された、少なくとも1つのプログラマブル・プロセッサと、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスとを含むプログラマブル・システム上で実行可能な1つ以上のコンピュータ・プログラムにおいて有効に実装可能である。コンピュータ・プログラムは、特定のアクティビティを実行するため、または特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接または間接的に使用可能な命令のセットである。コンピュータ・プログラムは、コンパイル型またはインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれることが可能であり、スタンドアロン・プログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたはコンピューティング環境用に適した他の単位としてなど、任意の形態で展開されることが可能である。
【0052】
命令のプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のコンピュータの単一プロセッサ、または複数プロセッサのうちの1つを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダム・アクセス・メモリまたは両方から命令およびデータを受領する。コンピュータの要素は、命令を実行するプロセッサ、ならびに命令およびデータを格納する1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータはさらに、データ・ファイルを記憶する1つ以上の大容量ストレージ・デバイスを含むか、またはそれと通信するよう動作可能なように結合されており、そのようなデバイスは、内蔵ハードディスクおよびリムーバブル・ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスクおよび光ディスクを含む。コンピュータ・プログラム命令およびデータを有形に具現化するのに適したストレージ・デバイスには、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれ、例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュ・メモリ・デバイスなどの半導体メモリ・デバイス、例えば内蔵ハードディスクおよびリムーバブル・ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスクならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクなどが含まれる。プロセッサおよびメモリは、ASIC(application−specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)により補完されること、またはそれに組み込まれることが可能である。
【0053】
ユーザとの相互作用を提供するために、情報をユーザに表示するCRT(cathode ray tube:陰極線管)またはLCD(liquid crystal display:液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ・デバイス、ならびにユーザがコンピュータに入力を提供することができる、キーボードおよびマウスまたはトラックボールなどのポインティング・デバイスを有するコンピュータ上で、各特徴が実装されることが可能である。
【0054】
各特徴は、データサーバなどのバックエンド・コンポーネントを含む、またはアプリケーション・サーバもしくはインターネット・サーバなどのミドルウェア・コンポーネントを含む、またはグラフィカル・ユーザ・インターフェイスもしくはインターネット・ブラウザを有するクライアント・コンピュータなどのフロントエンド・コンポーネントを含む、またはその任意の組み合わせを含むコンピュータ・システムにおいて実装可能である。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなど、任意の形態または媒体のデジタル・データ通信により接続可能である。通信ネットワークの例には、例えばLAN、WAN、ならびにインターネットを形成するコンピュータおよびネットワークが含まれる。
【0055】
コンピュータ・システムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、典型的には、記載されたネットワークなどのネットワークを介して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、各コンピュータ上で実行され互いにクライアント−サーバ関係を有するコンピュータ・プログラムにより生じる。
【0056】
いくつかの実装について記載したが、当然のことながら、本開示の意図および範囲から逸脱することなく、様々な変更が加えられ得る。
【符号の説明】
【0057】
100 システム
106 シミュレータ(シミュレーション・エンジン)
110 データ・リポジトリ
500 シミュレーション・システム
600 汎用コンピュータ・システム