特許第5961446号(P5961446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961446
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/18 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   B62D1/18
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-117830(P2012-117830)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-244762(P2013-244762A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112082
【氏名又は名称】ヒルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126697
【弁理士】
【氏名又は名称】池岡 瑞枝
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳二
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】市成 浩典
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−082273(JP,U)
【文献】 特開2004−284386(JP,A)
【文献】 特開2004−136870(JP,A)
【文献】 特表平10−512826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムの保持側操舵軸は、固定側操舵軸に進退自在に嵌合させ、
前記固定側操舵軸は、揺動ブラケットに自転自在に支持させ、
前記揺動ブラケットは、車体に固定される支持ブラケットに前後方向の垂直面内で揺動自在に軸着し、揺動軸を中心とする円弧状長孔を支持ブラケットから後方に延びる車体側摩擦板に設け、前記固定側操舵軸と平行に左右のコラム側揺動摩擦板を突出させ、
前記左右のコラム側揺動摩擦板は、左右方向の同軸線から覗く雌ネジが刻設された基準ブロックを挟み、
左右のコラム側進退摩擦板は、前記固定側操舵軸と平行に延びる直線状長孔を有し、ステアリングコラムの保持側操舵軸に外嵌した保持筒に固着され、
雄ネジであるテレスコ軸は、右のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通して右のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合し、
前記テレスコ軸に設けたテレスコ用押圧部と基準ブロックとは、前記右のコラム側揺動摩擦板及び右のコラム側進退摩擦板を一体に挟み、
雄ネジであるチルト軸は、車体側摩擦板の円弧状長孔に通し、前記車体側摩擦板と左のコラム側進退摩擦板との間に介装して左のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通したチルト用中間ブロックに貫通させて左のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合し、
前記チルト軸に設けたチルト用押圧部とチルト用中間ブロックとは、車体側摩擦板を挟み、前記チルト用中間ブロックと基準ブロックとにより左のコラム側揺動摩擦板を挟み、
前記テレスコ軸及びチルト軸は、軸芯を一致させたステアリング装置。
【請求項2】
左右のコラム側揺動摩擦板は、ステアリングコラムの固定側操舵軸と平行に延びるチャンネル構造の基準ブラケットが有する左右一対のフランジであり、
前記基準ブラケットは、左右のコラム側進退摩擦板により挟む請求項1記載のステアリング装置。
【請求項3】
左右のコラム側進退摩擦板は、ステアリングコラムの固定側操舵軸と平行に延びるチャンネル構造の移動ブラケットが有する左右一対のフランジであり、
前記移動ブラケットは、左右のコラム側揺動摩擦板に被せる請求項1又は2いずれか記載のステアリング装置。
【請求項4】
テレスコ軸は、テレスコ用外ブロックに貫通させてから右のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通して右のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合され、
テレスコ用押圧部に押されるテレスコ用外ブロックと基準ブロックとは、前記右のコラム側揺動摩擦板及び右のコラム側進退摩擦板を一体に挟む請求項1〜3いずれか記載のステアリング装置。
【請求項5】
チルト軸は、チルト用外ブロックに貫通させてから車体側摩擦板の円弧状長孔に通して前記車体側摩擦板と左のコラム側進退摩擦板との間に介装され、左のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通したチルト用中間ブロックに貫通させて左コラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合し、
チルト用押圧部に押されるチルト用外ブロックとテレスコ用中間ブロックとは、車体側摩擦板を挟み、前記テレスコ用中間ブロックと基準ブロックとにより左のコラム側揺動摩擦板を挟む請求項1〜4いずれか記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングコラムのテレスコ機構(伸縮機構)とチルト機構(揺動機構)とを備えたステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置は、ハンドルの回転操作を操舵輪へ伝達するステアリングコラムを車体に支持して構成される。近年のステアリング装置は、運転者の姿勢に合わせてハンドルまでの距離やハンドルの傾きが調整できるように、ステアリングコラムのテレスコ機構とチルト機構とが設けられる。テレスコ機構は、例えば固定側操舵軸に対して進退自在に保持側操舵軸を嵌合させたステアリングコラムの前記固定側操舵軸に対して保持側操舵軸を進退させる構成で、保持側操舵軸を進退可能にして位置を調整し、進退禁止にして位置を固定する。また、チルト機構は、例えば固定側操舵軸に対して進退自在に保持側操舵軸を嵌合させたステアリングコラムを、固定側操舵軸及び保持側操舵軸を一体にして揺動させる構成で、固定側操舵軸及び保持側操舵軸を一体に揺動可能にして傾きを調整し、揺動禁止して傾きを固定する。固定側操舵軸は固定筒が外嵌されたり、保持側操舵軸は保持筒が外嵌される場合があり、固定筒及び保持筒が共にある場合、両者は嵌合関係にある。
【0003】
ステアリングコラムのテレスコ機構とチルト機構とを備えた従来のステアリング装置は、車体側摩擦板とコラム側摩擦板との圧接及び弛緩を切り換える雄雄ネジ軸として、テレスコ軸及びチルト軸を1本の操作軸で兼用する構成が多い。この場合、前記操作軸の締め付けを緩めると、テレスコ機構及びチルト機構それぞれの車体側摩擦板とコラム側摩擦板とが弛緩するので、同時にテレスコ調整及びチルト調整できる。しかし、テレスコ調整のみ、又はチルト調整のみしたい場合も少なくなく、この場合、テレスコ軸とチルト軸とを別体にする必要がある。特許文献1が開示するステアリング装置は、こうした要望に応え、テレスコ軸とチルト軸とを別体にした構成である。
【0004】
特許文献1が開示するステアリング装置は、ハンドルに連結した保持側操舵軸(摺動内筒4)を固定側操舵軸に外嵌した固定筒(ステアリングコラム3)に対して進退自在としたステアリングコラムの前記固定筒に昇降用ブラケットを固着し、チルト用固定ブラケット間で昇降可能とし、チルト軸(チルト調整螺子杆)の締め付けにより昇降用ブラケットをチルト用固定ブラケット間で挟持固定可能とし、ステアリングコラムの保持側操舵軸の軸方向に略直交させて上下方向に移動可能かつ前記保持側操舵軸を押圧可能な押圧片に前記チルト軸(チルト調整螺子杆)を貫設すると共に、テレスコ軸(テレスコピック調整螺子杆)の回動により、水平方向に移動可能な傾斜ガイドを前記押圧片が上下動可能に配置し、チルト軸(チルト調整螺子杆)とテレスコ軸(テレスコピック調整螺子杆)とを、保持側操舵軸に略直交した上下方向位置に揃えて昇降用ブラケットに設けている(特許文献1・[請求項1])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05-178218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステアリング装置において、テレスコ機構とチルト機構とを個別に働かせるには、特許文献1見られるように、それぞれの操作手段であるテレスコ軸とチルト軸とを別体で構成することになる。ここで、従来のように、テレスコ軸とチルト軸とを兼用の操作軸にしていた場合、前記操作軸をステアリングコラム又は周辺部材にしっかりと支持させれば済んでいたところ、テレスコ軸とチルト軸とを別体にすると、両者が離れてステアリングコラム又は周辺部材(例えばチルト軸を支持するブラケット)に支持されることから、例えばテレスコ軸に外力が加わると、チルト軸を中心とした曲げ負荷が前記チルト軸や周辺部材に加わり、変形させる問題が発生する。
【0007】
この点、特許文献1が開示するステアリング装置は、テレスコ軸とチルト軸とが非常に接近しているものの、やはり上下二段に分かれて位置していることから、上述のようなテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材の変形と言った問題を解決できてないと考えられる。また、単純にテレスコ軸とチルト軸とを分けた構成であると、テレスコ軸は調整範囲より長い長孔を設ける観点から、またチルト軸は揺動軸からできるだけ離れた位置に設ける観点からそれぞれ位置決定されるため、どうしても両者が位置ズレしやすくなり、テレスコ軸又はチルト軸や周辺部材の変形を招く虞が高くなる。
【0008】
このほか、特許文献1が開示するステアリング装置に限ると、ステアリングコラムの保持側操舵軸の軸方向に略直交させて上下方向に移動可能かつ前記保持側操舵軸を押圧可能な押圧片を保持筒に貫設させた専用のステアリングコラムが必要になることから、製造コストが高くなりやすく、また仕様変更に対応しにくい問題がある、と考えられる。これらから、ステアリングコラムのテレスコ機構とチルト機構とを備えたステアリング装置において、各機構を個別に操作できるようにテレスコ軸とチルト軸とを分けるに際して、汎用のステアリングコラムを用い、テレスコ軸又はチルト軸の一方に加わる外力により、他方のテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材が変形しないステアリング装置を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
検討の結果開発したものが、ステアリングコラムの保持側操舵軸は、固定側操舵軸に進退自在に嵌合させ、前記固定側操舵軸は、揺動ブラケットに自転自在に支持させ、前記揺動ブラケットは、車体に固定される支持ブラケットに前後方向の垂直面内で揺動自在に軸着し、揺動軸を中心とする円弧状長孔を支持ブラケットから後方に延びる車体側摩擦板に設け、前記固定側操舵軸と平行に左右のコラム側揺動摩擦板を突出させ、前記左右のコラム側揺動摩擦板は、左右方向の同軸線から覗く雌ネジが刻設された基準ブロックを挟み、左右のコラム側進退摩擦板は、前記固定側操舵軸と平行に延びる直線状長孔を有し、ステアリングコラムの保持側操舵軸に外嵌した保持筒に固着され、雄ネジであるテレスコ軸は、右のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通して右のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合し、前記テレスコ軸に設けたテレスコ用押圧部と基準ブロックとは、前記右のコラム側揺動摩擦板及び右のコラム側進退摩擦板を一体に挟み、雄ネジであるチルト軸は、車体側摩擦板の円弧状長孔に通し、前記車体側摩擦板と左のコラム側進退摩擦板との間に介装して左のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通したチルト用中間ブロックに貫通させて左のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合し、前記チルト軸に設けたチルト用押圧部とチルト用中間ブロックとは、車体側摩擦板を挟み、前記チルト用中間ブロックと基準ブロックとにより左のコラム側揺動摩擦板を挟み、前記テレスコ軸及びチルト軸は、軸芯を一致させたステアリング装置である。
【0010】
本発明に言う前後左右は、説明の便宜上のもので、自動車の前後左右に合わせた方向を意味する。これから、上記ステアリング装置は、右方にテレスコ軸が突出し、左方にチルト軸が突出した構成となる。ここで、本発明のステアリング装置は、テレスコ軸が左方に突出し、チルト軸が右方に突出した構成、すなわち上記ステアリング装置が運転席側から見て左右反転した構成も含む。揺動ブラケットが「前後方向の垂直面内で揺動自在に」支持ブラケットに軸着されるとは、揺動ブラケットの揺動する軌道が前後方向を向いた垂直面に含まれることを意味する。また、車体側摩擦板が支持ブラケットから「後方」に延びるとは、平面視において車体側摩擦板の延びる方向が後方であれば足り、揺動するステアリングコラムの特定の角度に一致して、垂直方向に若干傾斜しても構わない。
【0011】
揺動ブラケットが固定側操舵軸に対して進退自在に保持側操舵軸を嵌合させたステアリングコラムの前記固定側操舵軸を自転自在に支持するとは、固定側操舵軸が揺動ブラケットに対して自転自在であり、かつ揺動ブラケットに従った固定側操舵軸の揺動する軌道が前後方向を向いた垂直面に含まれることを意味する。固定側操舵軸は、例えば揺動ブラケットを自転自在に貫通して支持されるが、固定側操舵軸に外嵌した固定筒を前記揺動ブラケットに支持させてもよい。この場合、保持側操舵軸に外嵌した保持筒は、前記固定筒に外嵌する又は前記固定筒に外嵌され、外嵌される側(例えば固定筒)を内筒、外嵌する側(例えば保持筒)を外筒と呼ぶ。
【0012】
本発明のステアリング装置は、左右のコラム側揺動摩擦板に挟まれた基準ブロックに対して右側からテレスコ軸を螺着し、左側からチルト軸を螺着することにより、テレスコ軸及びチルト軸の軸芯を一致させ、テレスコ軸又はチルト軸の一方に加わる外力により、他方のテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材を変形させる虞をなくしている。テレスコ軸及びチルト軸は、それぞれ基準ブロックに片持ち支持された格好になる。ここで、基準ブロックは、揺動ブラケットから延びる左右のコラム側揺動摩擦板に挟まれることにより、揺動ブラケットに対して強固に位置固定されるため、テレスコ軸又はチルト軸に外力が加わっても位置ズレする虞がない。
【0013】
テレスコ機構は、左右のコラム側揺動摩擦板をテレスコ軸で締付及び解放する構成である。ステアリングコラムの保持側操舵軸は、テレスコ軸を基準ブロックに締め込んでいくと、揺動ブラケットを介してステアリングコラムの固定側操舵軸に連動する右のコラム側揺動摩擦板と保持側操舵軸に固着した右のコラム側進退摩擦板とを、前記基準ブロックとテレスコ用押圧部とにより挟持し、右のコラム側揺動摩擦板に右のコラム側進退摩擦板を押し付けて変位不能にして、固定側操舵軸に対して伸縮できないようにする。
【0014】
固定側操舵軸に対して伸縮できなくしたステアリングコラムの保持側操舵軸は、テレスコ軸を基準ブロックから緩めると、前記右のコラム側揺動摩擦板に対して右のコラム側進退摩擦板を摺動自在にし、固定側操舵軸に対して伸縮できるようになる。保持側操舵軸の伸縮範囲は、テレスコ軸を通した右のコラム側進退摩擦板の直線状長孔の範囲である。基準ブロックは、内部に雌ネジを刻設した筒体である。テレスコ用押圧部は、テレスコ軸を自転操作するレバーやハンドル又はノブのほか、テレスコ軸に設けられた押圧ブロック等を例示できる。
【0015】
チルト機構は、車体側摩擦板、チルト用中間ブロック及び左のコラム側揺動摩擦板を一体にチルト軸で締付及び解放する構成である。ステアリングコラムの保持側操舵軸は、チルト軸を基準ブロックに締め込んでいくと、揺動ブラケットを介してステアリングコラムの固定側操舵軸に連動する左のコラム側揺動摩擦板、チルト用中間ブロック、そして車体側摩擦板を、前記基準ブロックとチルト用押圧部とにより一体に挟持し、車体側摩擦板に対して左のコラム側揺動摩擦板及び揺動ブラケットを変位不能にして、揺動できないようにする。揺動できなくしたステアリングコラムの保持側操舵軸は、チルト軸を基準ブロックから緩めると、車体側摩擦板に対して揺動ブラケットを摺動自在にして、姿勢を調整できるようにする。
【0016】
ステアリングコラムの揺動範囲は、チルト軸を通した車体側摩擦板の円弧状長孔の範囲である。チルト用中間ブロックは、チルト軸を貫通させる筒体で、左のコラム側移動摩擦板の直線状長孔に通すことにより、チルト軸の締付力を車体側摩擦板から左のコラム側揺動摩擦板に伝達させる。チルト用押圧部は、上記テレスコ軸と同様で、チルト軸を自転操作するレバーやハンドル又はノブのほか、テレスコ軸に設けられた押圧ブロック等を例示できる。
【0017】
左右のコラム側揺動摩擦板やコラム側進退摩擦板は、それぞれ独立した板材で構成してもよいが、各板の強度又は剛性を確保する観点から、一体のチャンネル材を利用して構成するとよい。すなわち、左右のコラム側揺動摩擦板は、ステアリングコラムの固定側操舵軸と平行に延びるチャンネル構造の基準ブラケットが有する左右一対のフランジであり、前記基準ブラケットは、左右のコラム側進退摩擦板により挟む。また、左右のコラム側進退摩擦板は、ステアリングコラムの固定側操舵軸と平行に延びるチャンネル構造の移動ブラケットが有する左右一対のフランジであり、前記移動ブラケットは、左右のコラム側揺動摩擦板に被せる。
【0018】
テレスコ軸は、テレスコ用外ブロックに貫通させてから右のコラム側進退摩擦板の直線状長孔に通して右のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺合され、テレスコ用押圧部に押されるテレスコ用外ブロックと基準ブロックとは、前記右のコラム側揺動摩擦板及び右のコラム側進退摩擦板を一体に挟む構成により、テレスコ用外ブロックの長さにより右方の突出量を大きくできる。同様に、チルト軸は、チルト用外ブロックに貫通させてから車体側摩擦板の円弧状長孔に通し前記車体側摩擦板と左のコラム側進退摩擦板との間に介装され、直線状長孔に通したチルト用中間ブロックに貫通させて左のコラム側揺動摩擦板から覗く基準ブロックの雌ネジに螺し、チルト用押圧部に押されるチルト用外ブロックとテレスコ用中間ブロックとは、車体側摩擦板を挟み、前記テレスコ用中間ブロックと基準ブロックとにより左のコラム側揺動摩擦板を挟む構成により、チルト用外ブロックの長さにより左方の突出量を大きくできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のステアリング装置は、テレスコ機構とチルト機構とを個別に働かせるため、テレスコ軸及びチルト軸を独立させながら、左右のコラム側揺動摩擦板に挟まれた基準ブロックの点対称な位置関係にある雌ネジにテレスコ軸及びチルト軸を螺着させる構成にしたことにより前記テレスコ軸及びチルト軸の軸芯を一致させて、テレスコ軸又はチルト軸の一方に加わる外力により、他方のテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材を変形させる虞をなくす。これにより、テレスコ軸又はチルト軸や周辺部材(例えば左右のコラム側揺動摩擦板やコラム側進退摩擦板等)の変形を招く虞がなくなる効果を得る。また、本発明のステアリング装置は、固定側操舵軸に対して進退自在に保持側操舵軸を嵌合させた汎用のステアリングコラムにより構成できる利点を有する。
【0020】
左右のコラム側揺動摩擦板をチャンネル構造の基準ブラケットのフランジで構成すると、前記コラム側揺動摩擦板の強度又は剛性が向上させて変形を抑制又は防止できるほか、前記コラム側揺動摩擦板が挟む基準ブロックを安定して保持し、テレスコ軸又はチルト軸の一方に加わる外力により対抗できるようにして、他方のテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材を変形させる虞をより低減できる。同様に、左右のコラム側進退摩擦板をチャンネル構造の移動ブラケットのフランジで構成すると、前記コラム側進退摩擦板の強度又は剛性が向上させて変形を抑制又は防止できるほか、前記基準ブラケットを補して、基準ブラケットがテレスコ軸又はチルト軸の一方に加わる外力により対抗しやすくして、他方のテレスコ軸又はチルト軸や周辺部材を変形させる虞をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したステアリング装置の一例を左斜め前から見た斜視図である。
図2】本例のステアリング装置を左斜め前上から見た分解斜視図である。
図3】本例のステアリング装置の平面図である。
図4】本例のステアリング装置の正面図である。
図5】チルト軸及びテレスコ軸を含む切断面による本例のステアリング装置の断面図である。
図6】チルト機構によりステアリングコラムを下向きにした状態の本例のステアリング装置の左側面図である。
図7】チルト機構によりステアリングコラムを上向きにした状態の本例のステアリング装置の左側面図である。
図8】テレスコ機構によりステアリングコラムを伸長させた状態の本例のステアリング装置の右側面図である。
図9】テレスコ機構によりステアリングコラムを短縮させた状態の本例のステアリング装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明のステアリング装置は、例えば図1図4に見られるように、支持ブラケット2に対して揺動自在に軸着させた揺動ブラケット3にステアリングコラム1の固定側操舵軸11を支持させ、前記揺動ブラケット3に設けた基準ブラケット4に、ステアリングコラム1の保持側操舵軸13に外嵌した保持筒12に設けた移動ブラケット5を外嵌し、基準ブラケット4が内蔵する基準ブロックに対して、左方から車体側摩擦板21、左のコラム側進退摩擦板51、左のコラム側揺動摩擦板41に貫通させたチルト軸6を捩じ込み、また右方から右のコラム側進退摩擦板52、右のコラム側揺動摩擦板42に貫通させたテレスコ軸7を捩じ込んで構成される。本例のステアリングコラム1は、固定筒が省略された構成である。
【0023】
支持ブラケット2は、後方(例えば図2中右斜め下方向)に向けて延びる左の車体摩擦板21と、前記車体摩擦板21の半分の前後方向長さである補助板22とを平行に並べ、面直交方向に屈曲した介装板23の両端縁に前記車体摩擦板21及び補助板22をそれぞれ接面させて一体化した構成の板金部材である。揺動ブラケット3の揺動軸31を軸着する支持孔24,24は、車体摩擦板21の中間付近、補助板22の後端近傍に、左右対称位置に一対設けられている。ステアリングコラム1は、固定側操舵軸11を自転自在に保持する揺動ブラケット3を介して支持ブラケット2に支持されており、支持ブラケット2を車体(図示略)に固定することにより、車体に支持される。ステアリングコラム1のチルト調整範囲を特定する円弧状長孔211は、揺動軸31から後方に離れた車体摩擦板21の後端近傍に設けられる。
【0024】
揺動ブラケット3は、支持ブラケット2の車体摩擦板21及び補助板22の幅の平面板の左右縁部を後方に折り曲げて一対の左右のフランジを設けた構成の板金部材で、前記フランジの上端近傍に、左右一対の揺動軸31,31を取り付けている。揺動軸31は、前記車体摩擦板21及び補助板22の間に揺動ブラケット3を挿入し、左のフランジを車体摩擦板21の右面に摺接させて支持孔24から左方に突出させて、軸止めワッシャ32を装着する。ステアリングコラム1は、揺動ブラケット2の平面部分に直交して、固定側操舵軸11を自転自在に取り付けて支持される。保持側操舵軸13は、前記固定側操舵軸11に外嵌され、外嵌された保持筒12と共に固定側操舵軸11に対して進退自在である。ハンドル(図示略)は、保持筒12から延びる保持側操舵軸13に装着される。
【0025】
基準ブラケット4は、揺動ブラケット3の平面部分と平行な断面が下向きに開いたコ字状であるチャンネル構造の板金部材で、前記揺動ブラケット3からステアリングコラム1の固定側操舵軸11と平行に突出させている。基準ブラケット4の左のフランジが左のコラム側揺動摩擦板41、右のフランジが右のコラム側揺動摩擦板42となる。左のコラム側揺動摩擦板41は、チルト軸6を貫通させるチルト軸貫通孔411を、右のコラム側揺動摩擦板42は、テレスコ軸7を貫通させるテレスコ軸貫通孔421を、左右対称位置にそれぞれ設けている。左右のコラム側揺動摩擦板41,42は、前記チルト軸貫通孔411及びテレスコ軸貫通孔421から雌ネジ431が覗く基準ブロック43を挟んで固定している。本例の基準ブロック43は金属パイプで、両端を結ぶ貫通孔に雌ネジ431を刻設している。
【0026】
移動ブラケット5は、基準ブラケット4と相似なチャンネル構造の板金部材で、ステアリングコラム1の固定側操舵軸11と平行に延びる左右のフランジを下方に延ばし、各フランジの下縁をステアリングコラム1の保持筒12の上面側に当接させ、固着している。移動ブラケット5の左のフランジが左のコラム側進退摩擦板51、右のフランジが右のコラム側進退摩擦板52となる。左のコラム側進退摩擦板51は、チルト軸6を貫通させたチルト用中間ブロック62の幅でステアリングコラム1の固定側操舵軸11と平行に延びる直線状長孔511を、右のコラム側進退摩擦板52は、テレスコ軸7の幅でステアリングコラム1の固定側操舵軸11と平行に延びる直線状長孔521を、それぞれ左右対称位置に設けている。
【0027】
基準ブラケット4は、移動ブラケット5に内嵌して、左のコラム側揺動摩擦板41の左面を左のコラム側進退摩擦板51の右面に摺接させ、右のコラム側揺動摩擦板42の右面を右のコラム側進退摩擦板52の左面に摺接させる。左のコラム側揺動摩擦板41に設けたチルト軸貫通孔411は、左のコラム側進退摩擦板51に設けた直線状長孔511に連通し、右のコラム側揺動摩擦板42に設けたテレスコ軸貫通孔421は、右のコラム側進退摩擦板52に設けた直線状長孔521に連通する(図4参照)。これにより、基準ブロック43に捩じ込んだチルト軸6及びテレスコ軸7は、それぞれ直線状長孔511,521に沿って前後に移動できる。
【0028】
チルト軸6は、左端に操作レバー61を取り付け、右端に雄ネジを設けた金属棒である。本例のチルト軸6は、操作レバー61をステアリング装置から左方に張り出させるため、車体側摩擦板21の左方にチルト用外ブロック63を介装しているので、前記チルト用外ブロック63、車体側摩擦板21の円弧状長孔211、チルト用中間ブロック62、左のコラム側進退摩擦板51の直線状長孔511、左のコラム側揺動摩擦板41のチルト軸貫通孔411を経て、基準ブロック43の雌ネジ431に先端の雄ネジを螺合する(図4参照)。チルト用外ブロック63及びチルト用中間ブロック62は、両端面が平坦な金属パイプである。
【0029】
チルト軸6を基準ブロック43に捩じ込んでいくと、車体側摩擦板21がチルト用外ブロック63及びチルト用中間ブロック62に挟まれ、左のコラム側進退摩擦板51に設けた直線状長孔511を貫通する前記チルト用中間ブロック62が左のコラム側揺動摩擦板41に押し付けられ、車体側摩擦板21と左のコラム側揺動摩擦板41との位置関係が拘束される結果、ステアリングコラム1が揺動を規制され、位置固定される。このとき、チルト用中間ブロック62は、前記直線状長孔511に沿って前後に移動自在であるため、ステアリングコラム1の揺動が規制された状態であっても、前後動が規制されていなければテレスコ調整できる。すなわち、本発明のステアリング装置では、チルト調整した角度で、ステアリングコラム1のテレスコ調整ができる。
【0030】
逆にチルト軸6を基準ブロック43から緩めると、車体側摩擦板21がチルト用外ブロック63及びチルト用中間ブロック62から解放され、車体側摩擦板21に対して左のコラム側揺動摩擦板41が自由になる結果、ステアリングコラム1が揺動を許される。これにより、ステアリングコラム1は、図6に見られるように、円弧状長孔211の下端にチルト軸6が当接するまで揺動ブラケット3の揺動軸31を中心として下向きに傾けたり、図7に見られるように、逆に円弧状長孔211の上端にチルト軸6が当接するまで揺動ブラケット3の揺動軸31を中心として上向きに傾けたりして、姿勢を変化させることができる。こうしたステアリングコラム1のチルト調整は、テレスコ調整と無関係にできる。
【0031】
テレスコ軸7は、右端に操作ノブ71を取り付け、左端に雄ネジを設けた金属棒である。本例のテレスコ軸7は、操作ノブ71をステアリング装置から右方に張り出させるため、長尺なテレスコ用外ブロック72を、操作ノブ71と右のコラム側進退摩擦板52との間に介装しており、前記テレスコ用外ブロック72、右のコラム側進退摩擦板52の直線状長孔521、右のコラム側揺動摩擦板51のテレスコ軸貫通孔511を経て、基準ブロック43の雌ネジ431に先端の雄ネジを螺合する(図4参照)。テレスコ用外ブロック72は、両端面が平坦な金属パイプである。
【0032】
テレスコ軸7を基準ブロック43に捩じ込んでいくと、右のコラム側進退摩擦板52と右のコラム側揺動摩擦板42とがテレスコ用外ブロック72及び基準ブロック43により一体に挟まれることにより、右のコラム側進退摩擦板52と右のコラム側揺動摩擦板42との位置関係が拘束される結果、ステアリングコラム1が前後動を規制され、位置固定される。このとき、テレスコ軸7は、ステアリングコラム1に一体となっていて、前記テレスコ軸7と共にステアリングコラム1が揺動することを妨げないため、ステアリングコラム1の前後動が規制された状態でも、揺動が規制されていなければチルト調整できる。
【0033】
逆にテレスコ軸7を基準ブロック43から緩めると、右のコラム側進退摩擦板52と右のコラム側揺動摩擦板42とがテレスコ用外ブロック72及び基準ブロック43から解放され、右のコラム側進退摩擦板52と右のコラム側揺動摩擦板42とが相対的に自由になる結果、ステアリングコラム1が前後動を許される。これにより、ステアリングコラム1は、図8に見られるように、右の直線状長孔521の後端がテレスコ軸7に当接する(左の直線状長孔511の後端がチルト用中間ブロック63に当接する)まで保持筒12を前進させたり、図9に見られるように、直線状長孔521の前端がテレスコ軸7に当接する(左の直線状長孔511の前端がチルト用中間ブロック63に当接する)まで保持筒12を後退させたりして、全長を調整できる。こうしたステアリングコラム1のテレスコ調整は、チルト調整と無関係にできる。
【0034】
本発明のステアリング装置は、チルト軸6及びテレスコ軸7を分離独立して、個別にチルト調整及びテレスコ調整できる。このとき、チルト軸6及びテレスコ軸7の一方に加わった外力が他方に大きなモーメント力を与えて変形させる虞をなくすため、左右のコラム側揺動摩擦板41,42に挟まれた基準ブロック43に右側からテレスコ軸7を螺着し、左側からチルト軸6を螺着して、テレスコ軸7及びチルト軸6の軸芯を一致させ(図3及び図4参照)、テレスコ軸7(又はチルト軸6)に加わる外力がチルト軸6(又はテレスコ軸7)に大きなモーメント力を働かせないようにして、チルト軸(又はテレスコ軸7)や周辺部材を変形させる虞をなくしている。
【符号の説明】
【0035】
1 ステアリングコラム
2 支持ブラケット
3 揺動ブラケット
4 基準ブラケット
5 移動ブラケット
6 チルト軸
7 テレスコ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9