特許第5961452号(P5961452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961452
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20160719BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 41/02 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 51/16 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B65D77/04 F
   B65D47/20 W
   B65D41/02 Z
   B65D51/16 Z
   B65D83/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-125087(P2012-125087)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-249099(P2013-249099A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−246182(JP,A)
【文献】 特開2002−080055(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0153386(US,A1)
【文献】 特開2007−320644(JP,A)
【文献】 特開2002−046761(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0089735(US,A1)
【文献】 特開平06−321248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 41/02
B65D 47/20
B65D 51/16
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備えた容器本体と、
該容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出栓と、
該吐出栓内に配設され、前記吐出口と前記内容器の内部との連通およびその遮断を切り替える吐出弁と、
前記吐出栓に着脱自在に装着されて前記吐出口を覆うキャップと、を備え、
前記外容器に、前記内容器との間に外気を吸入可能とする吸気孔が形成された吐出容器であって、
前記外容器のうち、前記吸気孔が形成された部分に、弾性変形可能に形成されるとともに前記吸気孔を閉塞可能な外嵌筒体が外嵌され、
前記外嵌筒体のうち、前記吸気孔を閉塞する閉塞部には、前記キャップの係合部に係合することで該閉塞部を弾性変形させて前記吸気孔を前記外容器の外部に開放させる被係合部が形成されることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記閉塞部のうち、前記外嵌筒体における前記口部の先端側の部位に一対の切り込みが形成されるとともに、これら切り込み同士の間の部位に前記被係合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記閉塞部のうち、前記一対の切り込みよりも前記口部の基端側の部位が前記吸気孔を閉塞することを特徴とする請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記キャップが、前記外嵌筒体の外周を間隔を空けて覆う被覆部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性に富む内容器を外容器に内装した吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備えた容器本体と、容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出栓と、該吐出栓に着脱自在に装着されて吐出口を覆うキャップとを備えた構成が知られている。
外容器には、内容器との間に外気を吸入可能とする吸気孔が形成される。吐出栓には、吸気孔と容器外部との連通および遮断を切り替える吸気弁と、吐出口と内容器の内部とを連通する連通路を吐出口側から開閉自在に閉塞する吐出弁とが備えられる。
【0003】
上記吐出容器において、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際には、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させることで、内容器が外容器とともに変形して減容され、この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となって、吐出弁が内容器の内部から吐出口側へ向けて開作動し、内容器に収容された内容物が連通路を通って吐出口から吐出される。
その後、内容器の内圧が低下すると、吐出弁が復元変形して通路を閉塞して内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形が解除されると、外容器が復元変形しようとする。このとき、外容器と内容器との間に発生した負圧が吸気孔を通して吸気弁に作用することにより、吸気弁が開作動して吸気孔と容器外部とが連通され、該吸気孔から外気が外容器と内容器との間に吸入される。
【0004】
外気が吸入されることにより、外容器と内容器との間の内圧が大気圧まで上昇すると、吸気弁が復元変形して吸気孔と容器外部とを遮断する。このように、外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。
この状態から、再び容器本体の外容器をスクイズ変形させると、吸気弁は遮断状態とされていることから、外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形する。内容器が減容変形すると、前述同様の作用で内容物が吐出され、その後にスクイズ変形が解除されると、前述同様の作用で外容器と内容器との間に外気が吸入される。
このように、スクイズ変形された外容器が復元変形しても、内容器は内容物の減少と共に減容されていき、しかも内容器の内部に外気が流入することが防止されることで、内容物の劣化が防止されて保存性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−059131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の構成では、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合に、外容器と内容器との間に生じる負圧では吸気弁を弾性変形させることができず、内外容器間に吸気ができなくなるという虞がある。
また、このような問題を解決するための手段として、吸気弁を変形し易くすることも考えられるが、この場合、例えば内容物を吐出するときに吸気弁が変形して吸気孔が容器外部と連通し易くなるという虞がある。
【0007】
そこで本発明は、可撓性に富む内容器を外容器に内装した吐出容器において、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合でも内外容器間への吸気を確実にし、かつ内容物の吐出時における内外容器間の気密性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決手段として、本発明は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備えた容器本体と、該容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出栓と、該吐出栓内に配設され、前記吐出口と前記内容器の内部との連通およびその遮断を切り替える吐出弁と、前記吐出栓に着脱自在に装着されて前記吐出口を覆うキャップと、を備え、前記外容器に、前記内容器との間に外気を吸入可能とする吸気孔が形成された吐出容器であって、前記外容器のうち、前記吸気孔が形成された部分に、弾性変形可能に形成されるとともに前記吸気孔を閉塞可能な外嵌筒体が外嵌され、前記外嵌筒体のうち、前記吸気孔を閉塞する閉塞部には、前記キャップの係合部に係合することで該閉塞部を弾性変形させて前記吸気孔を前記外容器の外部に開放させる被係合部が形成されることを特徴とする。

【0009】
この構成によれば、キャップを取り外して内容物を吐出する際には、外嵌筒体の弾性により吸気孔を閉塞したままとし、内容物の吐出後にキャップを装着した際には、キャップの装着動作により外嵌筒体の閉塞部を強制的に弾性変形させて吸気孔を容器外部に開放させる。これにより、内容物の吐出量が少なく内外容器間に充分な負圧が発生しなくても、キャップを装着することで吸気孔を強制的に開放することができ、内容物の吐出量によらず内外容器間への吸気を確実に行うことができる。また、キャップを取り外して内容物を吐出する際には、外容器の吸気孔は外嵌筒体の外嵌により確実に閉塞でき、内容物の吐出時における内外容器間の気密性を確保することができる。
【0010】
本発明において、前記閉塞部のうち、前記外嵌筒体における前記口部の先端側の部位に一対の切り込みが形成されるとともに、これら切り込み同士の間の部位に前記被係合部が形成されることで、被係合部を起点とした閉塞部の弾性変形をし易くすることができる。
このとき、前記閉塞部のうち、前記一対の切り込みよりも前記口部の基端側の部位が前記吸気孔を閉塞することで、閉塞部を弾性変形し易くしながら、吸気孔の閉塞に対する被係合部への外部からの影響を抑えることができる。
【0011】
本発明において、前記キャップが、前記外嵌筒体の外周を間隔を空けて覆う被覆部を有する構成であれば、外嵌筒体の吸気弁としての機能に対する外部からの影響を抑止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可撓性に富む内容器を外容器に内装した吐出容器において、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合でも内外容器間への吸気を確実にし、かつ内容物の吐出時における内外容器間の気密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における吐出容器の要部を示す縦断面図である。
図2】上記吐出容器のキャップを取り外し内容物を吐出する際の図1に相当する縦断面図である。
図3】上記吐出容器の内容物を吐出した後にキャップを装着した際の図1に相当する縦断面図である。
図4】上記吐出容器の外嵌筒体の縦断面図である。
図5図4のV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の吐出容器10は、例えば目薬等の液状の内容物を微量ずつ吐出する場合に好適に採用される。
【0015】
図1に示すように、吐出容器10は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器(内層)11、および内容器11が内装されるとともに弾性変形可能な外容器(外層)12を備えた容器本体13と、容器本体13の口部14に装着され、内容物を吐出する吐出口16が形成された吐出栓17と、容器本体13における口部14下方の首部15の外周に外嵌された外嵌筒体18と、吐出口16を覆うように口部14に着脱自在に螺着されたキャップ19とを備える。
【0016】
容器本体13は有底筒状に形成され、キャップ19は有頂筒状に形成される。容器本体13、吐出栓17、外嵌筒体18およびキャップ19は中心軸線を共有し、以下、これらの共有軸線を容器軸線O、容器軸線Oに沿う方向を容器軸方向、容器軸方向でキャップ19側を上側、その反対側を下側とする。また、容器軸線Oに直交する方向を容器径方向、容器軸線O回りに周回する方向を容器周方向とする。
【0017】
容器本体13は、外容器12に対して内容器11が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされる。外容器12、キャップ19および後述する弁筒部材28はPP、PETG等の合成樹脂から比較的硬質に形成され、内容器11はPE、ナイロン、エチレンビニルアルコール等の合成樹脂から比較的軟質に形成される。
【0018】
容器本体13は、主に内容物を収容する本体胴部21と、本体胴部21よりも小径をなしてその上方に断面円弧状の肩部22を介して連なる円筒状の首部15と、首部15よりも小径をなしてその上方に段差部23を介して連なる円筒状の口部14とを一体に有する。口部14の外周には、キャップ19内周の雌ねじ25を螺合させる雄ねじ24が形成される。首部15には、その容器周方向の一部を容器径方向で貫通して内外容器11,12間に外気を吸入可能とする吸気孔26が形成される。吸気孔26の容器径方向外側の端部には座刳り26aが形成される。
【0019】
吐出栓17は、有頂円筒状をなして天板部27aに吐出口16を形成した吐出筒部材27と、吐出筒部材27内に保持された弁筒部材28とを備える。吐出筒部材27および弁筒部材28は互いに別体に設けられる。
【0020】
吐出筒部材27の天板部27aには、これを容器軸方向で貫通して上端部を吐出口16とする吐出開口29が形成される。吐出開口29における吐出口16よりも下方に位置する部位には、下方に向けて突出する係止柱29aが設けられる。係止柱29aは、吐出開口29の内周から容器径方向内側に向けて突出する複数の支持リブ29bを介して、上端部を吐出開口29内に支持される。
【0021】
吐出筒部材27の周壁部27bは容器本体13の口部14よりも小径であり、その下端縁部には、容器本体13の口部14の上端縁部に上方から当接するフランジ部31が形成される。フランジ部31の下方には、周壁部27bよりも大径であり容器本体13の口部14内に液密に嵌入されるシール筒部32が下方に向けて突設される。
【0022】
弁筒部材28は、有頂円筒状の本体部33と、本体部33の下部外周に設けられる拡径部34と、本体部33の上端部の容器径方向内側から外側へ延びるリップ状の吐出弁35とを一体に有する。弁筒部材28は、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー、ウレタン等の弾性変形可能な軟材質で形成される。
【0023】
弁筒部材28は、吐出筒部材27内にその下方から挿入され、頂面を係止柱29aの下端面に圧接させつつ、拡径部34を周壁部27bの下部内周の係止突起27cよりも上方に押し込むことで、下方への抜け止めがなされた状態で吐出筒部材27内に保持される。このとき、吐出弁35の外周縁部は、周壁部27bの上部内周に突設された吐出弁座27dにその上方から液密かつ気密状態に密接する。
【0024】
弁筒部材28の本体部33は、これを容器径方向で貫通する複数の連通孔36を有する。これら複数の連通孔36等を介して、容器本体13内の内容物が吐出弁35の直下まで至る。各連通孔36は容器径方向内側から外側に向かうにつれて拡径するように形成される。
【0025】
吐出弁35は、吐出口16側から吐出筒部材27内側への流体の流れを制限し、その逆方向の流れは許可する逆止弁とされる。
すなわち、吐出弁35は、その外周縁部が吐出筒部材27内の吐出弁座27dに上方から離間可能に着座するとともに、上方に向けて弾性変形可能とされる。詳細には、吐出弁35は、上方に向けて弾性変形した状態で、外周縁部を吐出弁座27dに着座させることで、弾性復元力により外周縁部を吐出弁座27dに上方から密接させる。
【0026】
キャップ19は、上側から順に、吐出筒部材27の外周を覆う有頂円筒状のキャップ部41と、キャップ部41の下端縁部から断面円弧状のキャップ肩部42を介して拡径して下方に延び、雌ねじ25を介して口部14の雄ねじ24に螺合する円筒状の螺合部43と、螺合部43の下端縁部から上キャップ段差部44を介して拡径するとともに、下側ほど拡径するようにテーパ状に下方に延びるテーパ部45と、テーパ部45の下端縁部から下キャップ段差部46を介して拡径するとともに、容器本体13の肩部22に近接するまで下方に延びる下方延出部47とを一体に有する。キャップ19は、口部14に螺合するネジキャップに限らずアンダーカット嵌合するオーバーキャップであってもよい。
【0027】
図4,5を併せて参照し、外嵌筒体18は、容器本体13の首部15に外嵌する筒状をなし、この外嵌筒体18により外容器12の吸気孔26が閉塞可能である。外嵌筒体18は、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー、ウレタン等の弾性変形可能な軟材質で形成される。外嵌筒体18は、内容物の通常の吐出後に内外容器11,12間に負圧が発生した場合にも、該負圧による弾性変形を抑えて吸気孔26を開放させないように、ある程度の肉厚をもって形成される。
【0028】
外嵌筒体18は、容器本体13の首部15の外周面に沿う円筒状の筒本体51と、筒本体51の上端縁部に連なり段差部23の外面に沿うように容器径方向内側へ屈曲する上端縮径部52と、容器本体13の下端縁部に連なり肩部22の外面に沿うように容器径方向外側へ屈曲する下端拡径部53とを一体に有する。
【0029】
そして、外嵌筒体18は、その容器周方向の一部を、吸気孔26および座刳り26aに容器径方向外側から重なってこれらを閉塞する閉塞部54とする。
閉塞部54のうち、外嵌筒体18の上端側(口部14の先端側)で容器周方向に並ぶ一対の切り込み56(図5参照)の間に形成される部位を弾性片55とすると、この弾性片55の下端部(口部14の基端側の端部)には、外嵌筒体18の容器径方向外側に向けて突出し、キャップ19の装着時に該キャップ19のテーパ部45の下端縁部に相当する係合部48に係合する板状の被係合部57が形成される。
【0030】
閉塞部54は、弾性片55よりも下方の部位によって吸気孔26および座刳り26aを閉塞する。閉塞部54は、キャップ19の装着に伴い弾性片55とともにその下方部位を弾性変形させて、吸気孔26を容器外部に開放させる。
【0031】
図2に示すように、容器本体13からキャップ19を取り外した状態において、外嵌筒体18は、その弾性により内周面を首部15の外周面に密着させるように、首部15に外嵌される。この状態で、外嵌筒体18は、閉塞部54により吸気孔26を座刳り26aごと気密に封止する。これにより、容器本体13からキャップ19を取り外した状態では、内容物の吐出後に内外容器11,12間に負圧が発生したとしても、吸気孔26から内外容器11,12間に外気が吸入されることはない。
【0032】
一方、図1に示すように、容器本体13にキャップ19を装着した状態において、外嵌筒体18は、キャップ19の係合部48が被係合部57に上方から当接してこれを下方へ押圧することで、閉塞部54の弾性片55をその下端部回りに容器径方向外側へ回動させるように弾性変形する。このとき、弾性片55の弾性変形に伴いその下方部位も容器径方向外側へ弾性変形し、吸気孔26の座刳り26aの上部を容器外部に開放させる隙間Sを形成する。これにより、内外容器11,12間に生じる僅かな負圧でも吸気孔26を経て外気が内外容器11,12間に吸入され、内容器11が減容変形したままで外容器12が復元変形可能となる。
【0033】
外嵌筒体18の外周方は、キャップ19のテーパ部45および下方延出部47により覆われる。詳細には、キャップ19のテーパ部45は外嵌筒体18の上端縮径部52を間隔を空けて覆い、キャップ19の下方延出部47は外嵌筒体18の筒本体51および下端拡径部53を間隔を空けて覆う。下方延出部47は、その下端縁部を容器本体13の肩部22の外面に近接させる。キャップ19は、外嵌筒体18とともに吸気孔26の露出を防ぎ、容器外部に開放した吸気孔26の水滴やゴミ等の浸入を抑える。下方延出部47は、軟材質で形成される外嵌筒体18の容器外部への露出も抑えている。
【0034】
上記吐出容器10において、容器本体13の内容器11に収容された内容物を吐出させる際には、まず、図2に示すように、キャップ19を取り外し、例えば容器本体13を図中矢印Qで示す如くスクイズ変形(弾性変形)させる。このとき、内容物が正圧状態で吐出筒部材27内に流入する。なお、容器本体13を上下反転して内容物を自重により吐出筒部材27内に流入させてもよい。吐出筒部材27内に流入した内容物の正圧により、吐出弁35が弾性変形して吐出弁座27dから上方に離間し、図中矢印Tで示す如く内容物が吐出口16から吐出する。
【0035】
その後、例えば容器本体13のスクイズ変形を停止させる等により吐出筒部材27内の正圧が無くなると、吐出弁35が復元変形して吐出口16と吐出筒部材27内との連通を遮断し、内容器11が減容変形した状態で密封される。このとき、内容器11とともに減容変形した外容器12は復元変形しようとするが、外嵌筒体18の閉塞部54が吸気孔26を閉塞することで、内外容器11,12間に外気が吸入されず、外容器12も減容変形したままとなる。
【0036】
なお、外嵌筒体18ではなく吐出弁35と同様の柔軟な吸気弁で吸気孔26が閉塞される構成であっても、内容物の吐出量が少なく内外容器11,12間に生じる負圧が小さい場合には、前記同様に吸気孔26が開放せず外容器12が減容変形したままとなる。
【0037】
図3に示すように、内容物の吐出後にキャップ19を装着すると、この装着動作に伴いキャップ19の係合部48が外嵌筒体18の被係合部57に係合し、被係合部57を下方に押圧して閉塞部54を弾性変形させる。これにより、内外容器11,12間の負圧によらず吸気孔26が強制的に開放し、図中矢印Kで示す如く内外容器11,12間に外気が吸入され、内容器11が減容変形したままで外容器12が図中矢印Rで示す如く復元変形可能となる。
【0038】
この状態から再びキャップ19を取り外し、容器本体13の外容器12をスクイズ変形させると、吸気孔26は外嵌筒体18により閉塞されていることから、内外容器11,12間の加圧がリークすることなく正圧となり、この正圧により内容器11が減容変形されて前記同様に内容物が吐出される。なお、容器本体13を上下反転して内容物を自重により滴下させる場合は、内外容器11,12が受動的に減容変形することとなる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、容器本体13の外容器12における吸気孔26が形成された首部15に、弾性変形可能に形成されるとともに吸気孔26を閉塞可能な外嵌筒体18を外嵌させ、外嵌筒体18のうち、吸気孔26を閉塞する閉塞部54には、キャップ19の係合部48に係合することで吸気孔26を容器外部に開放させる被係合部57を形成することで、キャップ19を取り外して内容物を吐出する際には、外嵌筒体18の弾性により吸気孔26を閉塞したままとし、内容物の吐出後にキャップ19を装着した際には、キャップ19の装着動作により外嵌筒体18の閉塞部54を強制的に弾性変形させて吸気孔26を容器外部に開放させる。これにより、内容物の吐出量が少なく内外容器11,12間に充分な負圧が発生しなくても、キャップ19を装着することで吸気孔26を強制的に開放することができ、内容物の吐出量によらず内外容器11,12間への吸気を確実に行うことができる。また、キャップ19を取り外して内容物を吐出する際には、外容器12の吸気孔26は外嵌筒体18の外嵌により確実に閉塞でき、内容物の吐出時における内外容器11,12間の気密性を確保することができる。
【0040】
また、上記吐出容器10によれば、閉塞部54のうち、外嵌筒体18の上側に一対の切り込み56を形成するとともに、これら切り込み56同士の間に被係合部57を形成することで、被係合部57を起点とした閉塞部54の弾性変形をし易くするとともに、閉塞部54のうち、一対の切り込み56よりも下側の部位が吸気孔26を閉塞することで、閉塞部54を弾性変形し易くしながら、吸気孔26の閉塞に対する被係合部57への外部からの影響を抑えることができる。
【0041】
また、上記吐出容器10によれば、キャップ19が外嵌筒体18を覆うテーパ部45および下方延出部47を有することで、外嵌筒体18の吸気弁としての機能に対する外部からの影響を抑止することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、一対の切り込み56間の弾性片55の少なくとも一部が吸気孔26を閉塞する構成であってもよい。係合部48および被係合部57は、閉塞部54を弾性変形させて吸気孔26を開放するものであればその形状等は問わない。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 吐出容器
11 内容器
12 外容器
13 容器本体
14 口部
15 首部(吸気孔が形成された部分)
16 吐出口
17 吐出栓
18 外嵌筒体
19 キャップ
26 吸気孔
35 吐出弁
45 テーパ部(被覆部)
47 下方延出部(被覆部)
48 係合部
54 閉塞部
56 切り込み
57 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5