特許第5961459号(P5961459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961459ロール加圧装置及び加圧ロールの清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961459
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ロール加圧装置及び加圧ロールの清掃方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/12 20060101AFI20160719BHJP
   B28B 11/08 20060101ALI20160719BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20160719BHJP
   B05C 19/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B28B3/12
   B28B11/08
   B08B1/04
   B05C19/00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-140976(P2012-140976)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-4730(P2014-4730A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】松岡 庸介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光比古
(72)【発明者】
【氏名】中田 良治
(72)【発明者】
【氏名】徳永 剛志
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−007581(JP,A)
【文献】 特開平01−180269(JP,A)
【文献】 特開2002−086036(JP,A)
【文献】 実開昭57−111368(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/12,11/00−11/24
B05C 19/00−19/06
B08B 1/00−1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に着色材が散布された外装建材を加圧するための略円筒状の加圧ロールと、この加圧ロール表面を清掃するための複数の清掃部材とを具備してなり、外装建材の製造工程内に設けられるロール加圧装置であって、
前記外装建材はセメント成形品であり、
前記加圧ロールは、この加圧ロールのロール軸を中心として回転自在に設けられ
記複数の清掃部材は、少なくとも略円筒状のロール状ブラシと、板状の清掃ブラシと、前記加圧ロールの表面を加熱するための加熱手段とで構成され
前記加圧ロールと前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、前記加熱手段、前記清掃ブラシ、前記ロール状ブラシがこの順に、前記加圧ロールの周面に沿いながら対向するように配置されていることを特徴とするロール加圧装置。
【請求項2】
前記清掃ブラシは、前記ロール軸に対して略平行に往復移動しながら前記加圧ロール表面を摺動可能に設けられ、
前記ロール状ブラシは、前記加圧ロールと略平行に対向して配置されていると共に、前記加圧ロール表面に接触しながら回転自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロール加圧装置。
【請求項3】
前記加圧ロールのロール径方向には、さらに温風発生手段が周設されており、この温風発生手段は加圧ロールの表面に温風を吹き付け可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール加圧装置。
【請求項4】
前記加圧ロールの前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、前記加熱手段、前記清掃ブラシ、前記温風発生手段及び前記ロール状ブラシがこの順に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のロール加圧装置。
【請求項5】
表面に着色材が散布された外装建材を加圧するための略円筒状の加圧ロールの清掃方法であって、
前記外装建材はセメント成形品であり、
前記加圧ロールと前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、加熱手段、板状の清掃ブラシ、温風発生手段及び略円筒状のロール状ブラシをこの順に、前記加圧ロールのロール径方向に周設し、前記ロール状ブラシは前記加圧ロールと略平行に配置させ、
前記加圧ロールのロール軸を中心として前記加圧ロールを回転させつつ、前記加熱手段による加熱によって前記加圧ロール表面に付着した付着物中の水分を乾燥させる加熱動作と、前記清掃ブラシを前記ロール軸方向に対して略平行に往復移動させて前記加圧ロールの表面を摺動させて前記付着物を除去する第1の清掃動作と、前記温風発生手段によって前記加圧ロール表面に温風を吹きつけることで前記付着物を吹き飛ばすようにする送風動作と、前記ロール状ブラシをこのロール状ブラシのロール軸を中心に回転させながら前記加圧ロール表面に接触させることで前記付着物を除去する第2の清掃動作とによって、前記加圧ロールを清掃することを特徴とする加圧ロールの清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材等の外装建材の製造工程に組み込まれるロール加圧装置及びこのロール加圧装置に設けられる加圧ロールの清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントを主成分とする無機質板を、屋根材等の外装建材として用いることが行なわれている。このような外装建材は、例えば、次のような方法で製造できることが知られている。まず、搬送式の成形ベルトの上にセメント成形材料を層状に供給し、このセメント成形材料に水を散布して供給しつつ、プレス機等で加圧することによってグリーンシート(湿潤シートともいう)に成形させる。次いで、上記グリーンシートを所定の温度でオートクレーブ養生して硬化させることによって、セメント板としてのセメント成形品(外装建材)が得られる。
【0003】
ところで、上記のような外装建材では、着色セメント等の無機化粧材料などによって表面を着色させるなどして、デザインを付与させることが多い。そのため、外装建材の表面に着色材をより正確な位置に着色させて、意匠性の高い外装建材を得る方法も種々提案されている。例えば、特許文献1に記載の方法では、外装建材の製造ライン中にロール加圧装置を設置し、加圧ロールによるプレスによって外装建材と、着色セメント等の着色材との一体性を高めると共に、着色材を散布するタイミングを調整して、デザイン性の高い外装建材を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−7581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の方法のように、加圧ロールで外装建材を加圧すると、着色材が加圧ロールに付着してしまうことがある。そのため、加圧ロールに付着した着色材の影響で、外装建材の着色ムラ等が発生することがあり、外装建材の品質が損なわれてしまうおそれがあった。このような場合、一般的には加圧ロールを清掃するための洗浄用のブラシ等の清掃部材を加圧ロールの周辺に設け、加圧処理を行いつつ、加圧ロール表面を清掃部材で清掃し、加圧ロールに付着する着色材を除去することが行われる。しかし、無機質板を製造するにあたっては、上述のように原材料に水分が含まれるので、洗浄用のブラシ等では清掃が不十分になることが多い。そのため、外装建材を連続生産する場合、製造時間が長くなるほど、着色ムラ等が生じる外装建材の発生確率が高くなり、その度に製造を中断して別途、加圧ロールの清掃を行う必要があり、生産性が低下してしまうという問題も生じていた。以上のような観点から、外装建材の製造工程に組み込まれるロール加圧装置において、加圧ロールに着色材等が付着しても容易に除去可能であり、色ムラ等の品質の低下を起こしにくいロール加圧装置が望まれていた。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、加圧ロールに付着した着色材等の付着物の除去効率が非常に高く、得られる外装建材に着色ムラ等の品質低下を引き起こしにくいロール加圧装置、及び加圧ロールの清掃方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るロール加圧装置は、表面に着色材が散布された外装建材を加圧するための略円筒状の加圧ロールと、この加圧ロール表面を清掃するための複数の清掃部材とを具備してなり、外装建材の製造工程内に設けられるロール加圧装置であって、前記外装建材はセメント成形品であり、前記加圧ロールは、この加圧ロールのロール軸を中心として回転自在に設けられ、前記複数の清掃部材は、少なくとも略円筒状のロール状ブラシと、板状の清掃ブラシと、前記加圧ロールの表面を加熱するための加熱手段とで構成され、前記加圧ロールと前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、前記加熱手段、前記清掃ブラシ、前記ロール状ブラシがこの順に、前記加圧ロールの周面に沿いながら対向するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、上記のロール加圧装置において、前記清掃ブラシは、前記ロール軸に対して略平行に往復移動しながら前記加圧ロール表面を摺動可能に設けられ、前記ロール状ブラシは、前記加圧ロールと略平行に対向して配置されていると共に、前記加圧ロール表面に接触しながら回転自在に設けられていることが好ましい。
【0009】
また、上記のロール加圧装置において、前記加圧ロールのロール径方向には、さらに温風発生手段が周設されており、この温風発生手段は加圧ロールの表面に温風を吹き付け可能に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、上記のロール加圧装置において、前記加圧ロールの前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、前記加熱手段、前記清掃ブラシ、前記温風発生手段及び前記ロール状ブラシがこの順に配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る加圧ロールの清掃方法は、表面に着色材が散布された外装建材を加圧するための略円筒状の加圧ロールの清掃方法であって、前記外装建材はセメント成形品であり、前記加圧ロールと前記外装建材との接触部から前記加圧ロールの回転方向に沿って、加熱手段、板状の清掃ブラシ、温風発生手段及び略円筒状のロール状ブラシをこの順に、前記加圧ロールのロール径方向に周設し、前記ロール状ブラシは前記加圧ロールと略平行に配置させ、前記加圧ロールのロール軸を中心として前記加圧ロールを回転させつつ、前記加熱手段による加熱によって前記加圧ロール表面に付着した付着物中の水分を乾燥させる加熱動作と、前記清掃ブラシを前記ロール軸方向に対して略平行に往復移動させて前記加圧ロールの表面を摺動させて前記付着物を除去する第1の清掃動作と、前記温風発生手段によって前記加圧ロール表面に温風を吹きつけることで前記付着物を吹き飛ばすようにする送風動作と、前記ロール状ブラシをこのロール状ブラシのロール軸を中心に回転させながら前記加圧ロール表面に接触させることで前記付着物を除去する第2の清掃動作とによって、前記加圧ロールを清掃することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のロール加圧装置は、略円筒状のロール状ブラシと、板状の清掃ブラシと、加熱手段とを備える清掃部材を具備するものである。そのため、加熱手段により加圧ロールに付着した付着物中の水分を蒸発させることができ、略円筒状のロール状ブラシと、板状の清掃ブラシとによって、付着物を容易に洗い落とせることができる。よって、加圧ロールに着色材等の付着物が残存しにくいため、得られる外装建材に着色ムラ等の品質低下を引き起こしにくく、また、生産効率も向上させることができるものである。
【0013】
また、本発明の加圧ロールの清掃方法によれば、加熱動作と、第1の清掃動作と、送風動作と、第2の清掃動作を有して加圧ロールを清掃するものであるので、加圧ロールに付着した着色材等の付着物の除去効率が非常に高く、得られる外装建材において着色ムラ等の品質低下を引き起こしにくくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のロール加圧装置の実施の形態の一例を示し、(a)はその概略図、(b)は(a)における一方の側面視概略図、(c)は(a)における他方の側面視概略図である。
図2】同上のロール加圧装置における加圧ロールに付着した付着物の清掃の様子を説明する概略図である。
図3】本発明のロール加圧装置の参考の形態の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明のロール加圧装置Aの実施の形態の一例を示す概略図である。本実施の形態のように、ロール加圧装置Aは少なくとも、加圧ロール1と、複数の清掃部材2とを具備するものである。また、図1(a)においては、ロール加圧装置Aにより加圧処理される外装建材50もあわせて示している。外装建材50は、ベルトコンベア、搬送ベルト、成形ベルト等の搬送手段40によって搬送されるものであり、図中のブロック矢印の方向は、外装建材50の搬送方向を示す。また、図1(b)は、図1(a)における一方の側面図を示すものであって、外装建材50の搬送方向の前方側(すなわち、外装建材50の進行方向側)からの側面図を示している。また、図1(c)は、図1(a)における他方の側面図を示すものであって、外装建材50の搬送方向の後方側からの側面図を示している。尚、外装建材50は、セメント等の無機質材料が硬化して形成されるものであり、必要に応じて公知の添加剤、例えば、充填材、骨材、顔料などが配合されたものである。
【0017】
加圧ロール1は、図1の実施の形態に示すように、略円筒状に形成され、両端に平面部として形成されているロール側部1a、1aと、両者の間で延伸する筒状のロール胴体部1bとで構成される。
【0018】
上記加圧ロール1は、搬送手段40で搬送されてくる外装建材50を、この上方から外装建材50の厚み方向に、ロール胴体部1bで加圧できるように配設されている。また、図1の実施形態では、補助加圧ロール10も設置されており、この補助加圧ロール10は、加圧ロール1の下方であって、搬送手段40で搬送されてくる外装建材50を、加圧ロール1とで挟み込みながら加圧できるように設けられている。すなわち、補助加圧ロール10は、加圧ロール1と対向するように設けられている。もちろん、本発明において、補助加圧ロール10は必ずしも設ける必要はなく、ロール加圧装置Aは加圧ロール1のみを有するものであっても問題ない。補助加圧ロール10を設けない場合は、加圧ロール1と、搬送手段40とで外装建材50を挟み込みながら加圧することができる。
【0019】
加圧ロール1は、この加圧ロール1のロール軸を回転軸として、例えば駆動モーター等により回転できるように構成されているものであり、図1(a)の実施形態の場合では、加圧ロール1に表記されている曲線ブロック矢印の方向に沿って加圧ロール1が回転できるように形成されている。ここで、加圧ロール1のロール軸とは、一対のロール側部1a、1aの円中心もしくはその近傍を通る直線のことをいう。加圧ロール1の回転方向は、図1(a)に示す回転方向とは逆向きであってもよく、この場合、外装建材50の搬送方向も逆方向となるようにすればよい。尚、補助加圧ロール10を設ける場合、補助加圧ロール10の回転方向は、加圧ロール1と逆方向である。
【0020】
加圧ロール1は、そのプレス時に、外装建築板50の表面に模様(例えば、凹凸柄)を付すことができるように、加圧ロール表面には外装建築板50表面に模様を転写可能にするための柄が形成されていてもよい。また、加圧ロール表面は、異物が付着しにくいように表面処理がされていてもよい。
【0021】
清掃部材2は、加圧ロール1の表面、具体的にはロール胴体部1bの表面に付着した着色材等の付着物を清掃して除去するために設けられるものである。本発明では、清掃部材2は、ロール状ブラシ22(2)と、清掃ブラシ21(2)と、加圧ロール1(ロール胴体部1b)の表面を加熱するための加熱手段23(2)とを備える。
【0022】
これらの清掃部材2はそれぞれ、加圧ロール1の周辺、すなわち、加圧ロール1のロール径方向の所定の位置に配置されている。具体的には、各々の清掃部材2は、搬送手段の上方側(外装建材50の載置面側)であって、ロール胴体部1bの周面に沿いながら近接して対向するように配置されている。以下、このように加圧ロール1に周設されている清掃部材2の構成、並びに配設位置について詳述する。
【0023】
清掃ブラシ21は、板状に形成されたものである。本実施形態では、清掃ブラシ21は、ロール胴体部1bの延伸方向に長尺に形成されており、ロール胴体部1bの延伸方向すなわち、加圧ロール1のロール軸方向の長さ(以下、加圧ロール幅ともいう)よりもやや短く形成されている。清掃ブラシ21の長尺方向の長さは特に限定されるものではないが、清掃効率の点や装置内での収まりの点を考慮して、ロール胴体部1bの延伸方向の長さの1/2以上であれば問題ない。
【0024】
清掃ブラシ21は、清掃ブラシ本体21bと、この清掃ブラシ本体21b表面からロール胴体部1b方向に突出するように植設されている(植えられている)無数の清掃ブラシ毛部21aとで構成される。清掃ブラシ本体21bの材質は、木質製、樹脂製、金属製などであり、特に制限されない。また、清掃ブラシ毛部21aは、鋼線、針金、繊維、動物毛などを使用できるが、加圧ロール1に対する清掃効率が良好であるという点で、鋼線が好ましい。特に、後述するように清掃ブラシ21は、ロール胴体部1bの付着物が最も多い状態のときに作動するものであるので、鋼線の中でも比較的硬い鋼線であることが好ましく、例えば、真鍮ブラシ等を好適に採用することができる。
【0025】
上記の清掃ブラシ21は、ロール胴体部1bに対向しつつ、前記ロール軸方向と略平行に配置されていると共に、少なくとも加圧ロール1の清掃時においては、清掃ブラシ毛部21aの先端と、ロール胴体部1bとが接触するように配置されている。
【0026】
そして、清掃ブラシ21は、清掃時において、加圧ロール1のロール軸方向に対して略平行に往復移動しつつ、ロール胴体部1bの表面を、清掃ブラシ毛部21aで摩擦(摺動ということもある)できるようになっている。加圧ロール1の上記往復移動(以下、横ストロークということがある)における移動距離は、少なくともロール胴体部1bのロール軸方向の略全長にわたって、清掃ブラシ毛部21aがロール胴体部1b表面を摩擦できるのであれば、特に制限されるものではない。清掃ブラシ21の横ストロークは、例えば、ロール加圧装置A内もしくは外部からの電力供給によって駆動させることができ、また、起動スイッチ等によって駆動のオン−オフが自在になっている。尚、図1(b)において、加圧ロール1の横ストロークの方向をブロック矢印で示している。
【0027】
ロール状ブラシ22は、略円筒状に形成されたロール状ブラシ本体22bと、このロール状ブラシ本体22bの曲表面から突出するように植設されている無数のロール状ブラシ毛部22aとで構成されている。
【0028】
ロール状ブラシ22のロール軸方向の長さ(すなわち、一対の円平面間の長さ)は、加圧ロール幅と略同一の長さとなるように形成することができる。もちろん、それよりも長くても、あるいは短くても問題はなく、少なくともロール胴体部1bの清掃が必要な範囲よりも大きく形成されていればよい。
【0029】
ロール状ブラシ22は、加圧ロール1と対向しつつ、互いに略平行となるように、すなわち、ロール状ブラシ22及び加圧ロール1のそれぞれのロール軸が互いに略平行になるように配置されるものである。さらに、ロール状ブラシ22は、少なくとも加圧ロール1の清掃時においては、ロール状ブラシ毛部22aの先端と、ロール胴体部1bとが接触する位置に配置されている。
【0030】
そして、ロール状ブラシ22は、このロール状ブラシ22のロール軸を回転軸として、例えば駆動モーター等により回転できるように構成されている。回転方向は時計回り、反時計回りのいずれにも回転できるようになっているが、ロール胴体部1bの付着物を除去しやすいという点で、清掃時には加圧ロール1の回転方向と同じ方向に回転することが好ましい。ロール状ブラシ22の回転は、例えば、ロール加圧装置A内もしくは外部からの電力供給によって駆動させることができ、また、起動スイッチ等によって駆動のオン−オフが自在になっている。
【0031】
ロール状ブラシ22が上記のように構成されていることで、加圧ロール1の清掃時においては、ロール状ブラシ22が回転しつつ、ロール状ブラシ毛部22aがロール胴体部1bに接触するようになる。そのため、ロール胴体部1bの表面の付着物を掃き飛ばすように除去することが可能となる。
【0032】
ロール状ブラシ本体22b及びロール状ブラシ毛部22aの材質は、上記清掃ブラシ21の場合と同様にすることができる。特に、上記のようにロール状ブラシ22は、回転しつつ付着物を除去させるものであることを考慮すると、ロール状ブラシ毛部22aの材質は、比較的柔らかい鋼線であることが好ましく、このような鋼線として、例えば、真鍮ブラシ等を好適に採用することができる。このロール状ブラシ22により、加圧ロール1の表面に凹凸が形成されている場合にも、凹部の隅々にまでロール状ブラシ毛部22aが届きやすくなり洗浄効果が向上するものである。
【0033】
加熱手段23は、ロール胴体部1bの表面を加熱するためのものである。加熱手段23としては、例えば、火炎(フレーム)や熱風等の熱23aを発生させることができるものを使用することができ、例えば、ガスバーナーや電熱ヒーター等が挙げられる。
【0034】
加熱手段23は、ロール胴体部1bに対向しつつ、ロール胴体部1bと近接して配置されるものである。加熱手段23とロール胴体部1bとの距離は適宜設定すればよく、少なくともロール胴体部1bの表面を所望の温度に加熱できるような位置に加熱手段23が配置されていれば良い。図1の実施の形態では、加熱手段23は、加圧ロール幅と略同一の長さに形成され、ロール胴体部1bの幅方向の略全長にわたって加熱できるように形成されている。
【0035】
上記のように、加熱手段23により熱23aを発生させて、ロール胴体部1bの表面を加熱することで、ロール胴体部1bに付着した着色材等の付着物の水分を蒸発乾燥させることができ、その付着物の除去をより容易に行うことができるようになる。特に、ロール胴体部1bの表面の温度が40〜80℃となるように加熱させることが好ましく、加熱温度がこの範囲であれば、充分に水分を蒸発乾燥させることができる。加熱手段23は、例えば、ロール加圧装置A内もしくは外部からの電力供給によって駆動させることができ、また、起動スイッチ等によって駆動のオン−オフが自在になっている。
【0036】
複数の清掃部材2には、さらに温風発生手段24を含んでいてもよい。温風発生手段24は、ロール胴体部1bに温風を吹き付けるものであり、例えば、市販の熱風発生装置等を使用することができる。
【0037】
温風発生手段24は、ロール胴体部1bに対向しつつ、ロール胴体部1bと近接して配置されるものである。温風発生手段24とロール胴体部1bとの距離は適宜設定すればよく、少なくともロール胴体部1bの表面に温風を吹きつけることができる位置に温風発生手段24が配置されていればよい。図1の実施の形態では、温風発生手段24は、加圧ロール1のロール幅と略同一の長さに形成され、ロール胴体部1bの幅方向の略全長にわたって加熱できるように形成されている。
【0038】
上記の温風発生手段24を備える場合、ロール胴体部1bの表面に温風を吹きつけることができるようになるので、ロール胴体部1bに付着した着色材等の付着物を温風により吹き飛ばすことが可能になり、より清掃効率が向上するものとなる。また、温風により、付着物中の水分を蒸発させる作用も期待できるものである。上記の温風の温度や風量は適宜設定すれば問題なく、例えば、温風温度は20〜80℃とすればよい。温風発生手段24からの温風発生は、例えば、ロール加圧装置A内もしくは外部からの電力供給によって駆動させることができ、また、起動スイッチ等によって駆動のオン−オフが自在になっている。
【0039】
ロール状ブラシ22、清掃ブラシ21及び加熱手段23等の各清掃部材2を加圧ロール1に周設するにあたって、以下に説明するように配置させることがより好ましい。
【0040】
すなわち、図1の実施形態のように、ロール胴体部1bの接触部Fから、加圧ロール1の回転方向に沿って、加熱手段23と、清掃ブラシ21がこの順に配置されていることが好ましい。ロール胴体部1bの接触部Fとは、ロール胴体部1bが外装建材50を加圧する際に、ロール胴体部1bが外装建材50と接触する部分のことをいう。尚、図示では各境界部分を明確に表現するためにロール胴体部1bと外装建材50との間に隙間を有するように表記しているが、実際の加圧時には両者は接触した状態である。
【0041】
加熱手段23及び清掃ブラシ21の設置する位置は、上記の配置順であれば特に制限はされないが、加熱手段23は、接触部Fにできるだけ近接するように配置させることが好ましい。この場合、加熱手段23によるロール胴体部1bをより早く加熱させることができるので、付着物中の水分等の乾燥をより確実に行えるようになり、付着物の除去がさらに容易になる。
【0042】
そして、加熱手段23に対して加圧ロール1の回転方向側に配置されている清掃ブラシ21によって、加熱処理された付着物が除去される。加熱処理された付着物は水分等をほとんど含まないので、付着物のロール胴体部1bへの付着力が低下しており(すなわち、液架橋力の影響が小さくなっており)、付着物の剥離や除去がさらに容易に行える。
【0043】
ロール状ブラシ22は、清掃ブラシ21よりもさらに加圧ロール1の回転方向側に配置されていることが好ましい。この場合、仮に、清掃ブラシ21により除去しきれなかった付着物がロール胴体部1bに残存していた場合であっても、このロール状ブラシ22による清掃によって除去することが可能であり、加圧ロール1に対する清掃効率がより優れるものとなる。
【0044】
また、上記の温風発生手段24を設ける場合、この設置位置は特に限定されるものではないが、清掃ブラシ21よりもさらに加圧ロール1の回転方向側に配置されていることが好ましい。そして、特に、ロール胴体部1b表面に沿って清掃ブラシ21とロール状ブラシ22との間に配置されていることが特に好ましい。この場合、清掃ブラシ21により除去しきれなかった付着物がロール胴体部1bに残存していた場合であっても、温風発生手段24による温風で付着物を吹き飛ばすことができ、また、温風により付着物中に残存していた水分、あるいは、回転途中で新たに吸湿した水分を除去することができる。そして、温風ですべての付着物を吹き飛ばしきれない場合であったとしても、その先にあるロール状ブラシ22によって、充分に乾燥された付着物を除去することができる。
【0045】
以上より、各々の清掃部材2の配置は、接触部Fを起点として加圧ロール1が1周するまでに、加圧ロール1の回転方向に沿って、加熱手段23、清掃ブラシ21、温風発生手段24、及びロール状ブラシ22がこの順に周設されていることが最も好ましいロール加圧装置Aの態様である。
【0046】
尚、ロール加圧装置Aでは、吸引ダクト等、図1には示されていないその他の周辺機材や付設物が設けられていてもよい。
【0047】
上記のようなロール加圧装置Aは、外装建材50を製造する工程の一部に組み込んで使用することができ、例えば、既述した方法によって外装建材50を製造する場合に特に好適である。すなわち、搬送手段40にセメント成形材料を層状供給し、水を散布して供給しつつ、加圧してグリーンシートに成形させ、この養生・硬化によって、外装建材50を得るような製造ラインに、ロール加圧装置Aを組み込むことができる。このような製造ラインでは、ロール加圧装置Aの他、図示はしていないが、散布装置、養生装置、塗装装置等が所定の位置に設置される。
【0048】
ロール加圧装置Aは、加圧ロール1に対する清掃機能に優れているものであるため、特に、表面に着色模様を有するような外装建材50を上記製造ラインで製造する場合に、ロール加圧装置Aを好適に用いることができる。例えば、塗装等により表面化粧を施してなる外装建材50は、無機質板等の外装建材50(ベース層)の表面にさらに塗装等と略同一色の着色材を散布し、これを加圧ロール1でプレスして着色層(ベニヤ層)を一体的に形成させるものであり、このようなプレスをする際に、ロール加圧装置Aを使用することが好適である。以下、着色層を有する外装建材50の製造ラインにロール加圧装置Aを導入した場合の、加圧ロール1の清掃について説明する。
【0049】
図2は、上記のように表面に着色材が散布された外装建材50(無機質板)に対するロール加圧装置Aによる加圧、並びに加圧ロール1の清掃を説明する概略図を示している。この実施の形態におけるロール加圧装置Aは、図1の実施の形態のロール加圧装置Aと同様の構成である。尚、この概略図では、着色材の散布から加圧ロール1の清掃が終了するまでの工程をP1、P2、・・・、P6の6工程に分けて説明している。
【0050】
まず、工程P1で、外装建材50表面に着色材、例えば、無機系化粧材51が散布装置等によって散布され、搬送手段40によって、ロール加圧装置Aまで搬送される。尚、図2では、散布装置や搬送手段40は省略している。
【0051】
工程P2〜P6は、無機系化粧材51が表面に散布されている外装建材50が、回転している加圧ロール1で加圧されている状態である。上記のように外装建材50が加圧されると、工程P2で示すように、外装建材50表面からロール胴体部1b表面への無機系化粧材51が転写されて、ロール胴体部1b表面に無機系化粧材51が付着することがある。そして、付着した無機系化粧材51(以下、付着物ということもある)は、加圧ロール1の回転に伴って加熱手段23による加熱領域まで到達し、無機系化粧材51の水分(溶剤が含まれることもある)が、加熱によって蒸発し、付着物は乾燥状態となる(これを加熱動作という)。
【0052】
このように乾燥された無機系化粧材51は、さらに加圧ロール1の回転によって、工程P3で示すように、清掃ブラシ21の清掃領域に到達する。清掃ブラシ21は横ストロークしながらロール胴体部1b表面を摺動しているので、ロール胴体部1bに付着している無機系化粧材51は、擦り落とすように除去される(これを第1の清掃動作という)。
【0053】
ここで、無機系化粧材51の種類、加熱温度や清掃ブラシ21の種類、あるいは回転速度等によっては、清掃ブラシ21ですべての付着物が除去されない場合がある。このように除去されずに残っている無機系化粧材51は、工程P4のように、温風発生手段24による温風の吹きつけられる領域に到達する。ここで、残存していた付着物は、温風により吹き飛ばされるように除去される(これを送風動作という)。
【0054】
上記のように温風発生手段24による温風によって、すべての無機系化粧材51が除去されず、一部が残ってしまったとしても、この付着物は、加圧ロール1の回転によって、やがてロール状ブラシ22の清掃領域まで到達する(工程P5)。そして、回転するロール状ブラシ22によって、付着物が掃き飛ばされるように清掃除去される(これを第2の清掃動作という)。この段階において、加圧時に加圧ロール1に付着した無機系化粧材51が除去され、少なくとも目視では、無機系化粧材51の付着が確認できない程度にまで清掃されている(工程P6)。尚、ロール加圧装置Aで処理された外装建材50は、この後、必要に応じて養生・硬化等の処理が施されて、製品としての外装建材50が製造されることになる。
【0055】
上記のように、加圧ロール1が清掃されることで、無機系化粧材51の付着していた箇所で外装建材50を再度加圧する時には、その部分に付着物がない状態で加圧をすることができる。そのため、加圧ロール1から外装建材50へ無機系化粧材51が付着することを防止することができる。すなわち、加圧ロールが1度周回した後、無機系化粧材51の付着していた箇所で再度の加圧したとしても、加圧ロール1から外装建材50へ無機系化粧材51の付着が起こるおそれが小さいものであり、外装建材50の品質にほとんど影響を与えることはない。
【0056】
以上のように、加圧ロール1に着色材等の付着物が付着したとしても、加熱動作、第1の清掃動作、送風動作、第2の清掃動作をこの順に経て清掃されることで、付着物が容易に除去され、その結果、加圧ロール1から外装建材50への付着物の転写を抑制しやすい。そのため、ロール加圧装置Aによれば、外装建材50に不要な着色がされたり、色ムラ等が発生したりするのを防止し易くすることができ、外装建材50の品質の低下が起こりにくく、より意匠性に優れる外装建材50(例えば、屋根材)を得ることができる。
【0057】
また、加圧ロール1は清掃部材2によって容易に清掃されるので、外装建材50を製造ラインで連続的に長時間にわたって製造したとしても、加圧ロール1に付着物が堆積しにくい。そのため、定期的に製造ラインを停止させて、別途、加圧ロール1を手作業等で清掃する手間が省けるものであり、生産効率を大きく向上させることが可能となる。
【0058】
そして、加圧ロール1の清掃部材2による清掃は、外装建材50を加圧処理するのと同時に行うことができるので、加圧ロール1の清掃の時間を別途設ける必要がなく、このことも生産効率に向上に大きく寄与するものである。もちろん、加圧ロール1の清掃は必ずしも外装建材50の加圧処理と同時に行う必要はなく、場合によっては加圧ロール1を清掃するためだけの工程を別途有するようにしてもよい。
【0059】
加圧ロール装置Aにおいて、各清掃部材2は、清掃時にすべてが同時に作動している必要はなく、一部の清掃部材2、例えば、清掃ブラシ21とロール状ブラシ22のみが作動するように構成されていてもよい。すなわち、各清掃部材2は、それぞれが独立して作動できるように構成されていてもよい。また、清掃ブラシ21は加圧ロール1に常時周設されていなくてもよく、少なくとも清掃時に加圧ロール1に周設されるように、各清掃部材2が移動可能(移動式)に構成されるものであってもよい。また、加圧ロール1は上下方向(外装建材50表面に対して垂直方向)に往復移動できるように構成されるものであってもよい。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0061】
(実施例)
図1の実施の形態のロール加圧装置Aを外装建材50の製造ラインに導入して、表面に着色のベニヤ層(着色層)を有する外装建材50を16000枚連続生産するテストを行った。ロール加圧装置Aでは、あらかじめ表面に着色材を散布した外装建材50の表面を加圧するようにした。
【0062】
その結果、生産されたすべての外装建材50において、表面に色ムラや着色不良が発生したものは確認されなかった。また、加圧ロール1に付着した着色材は、清掃部材2によって除去されており、連続生産中も清浄な状態に保たれていた。
【0063】
(参考例)
上記実施例で使用したロール加圧装置Aの代わりに、図3に示すロール加圧装置(参考形態)で、同様に外装建材50の連続生産テストを行った。この参考形態のロール加圧装置は、図3に示すように、接触部Fから加圧ロール1の回転方向に沿って、温風発生手段24、清掃ブラシ21及び加熱手段23が設けられたものである。
【0064】
その結果、生産されたすべての外装建材50において、着色不良等の多数の不良品が発生するものであった。そして、不良品が発生を確認する度に、製造ラインを一旦停止させ、加圧ロール1の表面を確認すると、着色材等の付着の堆積が多く見られるものであった。そのため、加圧ロール1を手作業で清掃して清浄にした後、製造ラインを再稼動させたが、しばらくすると、再び同様の不良品が発生した。このように、加圧ロール1の付着物の除去作業を頻繁に行う必要があるものであり、製造効率の低下を招くものであった(上記実施例よりも約2時間のロスが生じた)。
【0065】
以上のように、本発明のロール加圧装置Aでは、清掃部材2として、少なくともロール状ブラシ22と、清掃ブラシ21と、加熱手段23とを備えるものであるので、加圧ロールに着色材が残存しにくいため、得られる外装建材50に着色ムラ等の品質低下を引き起こしにくく、生産効率を向上させることができるものであることが明らかである。
【符号の説明】
【0066】
A ロール加圧装置
1 加圧ロール
2 清掃部材
21 清掃ブラシ
22 ロール状ブラシ
23 加熱手段
24 温風発生手段
40 搬送手段
50 外装建材
図1
図2
図3