(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のタッチパネルを適用した実施の形態について説明する。
【0011】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のタッチパネル100を示す平面図である。
図2は、
図1のA−A矢視断面を示す図である。
図1及び
図2では、説明の便宜上、タッチパネル100の構成を分かり易くするために、一部の構成要素のみを示す。説明の便宜上、
図1、2では、X軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0012】
図1に示すように、タッチパネル100は、静電パネル110、マルチプレクサ(MUX)120、マルチプレクサ(MUX)130、駆動源140、キャパシタ150、ADC(Analog to Digital Converter)160、及びインダクタ170を含む。
【0013】
静電パネル110は、タッチパネル100の入力部となる部分であり、利用者が指等で触れることによって操作入力が行われる。静電パネル110は、パネルの一例である。静電パネル110は、透明なフィルム111と、X軸方向に配列される複数の電極Tx1〜Txm(mは任意の整数)と、Y軸方向に配列される複数の電極Rx1〜Rxn(nは任意の整数)とを含む。ここで、電極Tx1〜Txmの数(m)と、電極Rx1〜Rxnの数(n)とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0014】
電極Rxnは、
図2に示すように、透明なフィルム111の表面側(Z軸正方向側)に形成される。
図2には、電極Rx1〜Rxn−1が現れないが、電極Rx1〜Rxn−1も電極Rxnと同様にフィルム111の表面側に形成される。電極Rx1〜Rxnは、
図1に示すように、マルチプレクサ130に接続される。
【0015】
また、
図2に示すように、電極Tx1〜Txmは、フィルム111の裏面側(Z軸負方向側)に形成される。
図1に示すように、電極Tx1〜Txmは、マルチプレクサ120に接続される。
【0016】
フィルム111は、例えば、ポリカーボネート製又はPET(Polyethylene terephthalate)製の透明なフィルムである。電極Tx1〜Txmと電極Rx1〜Rxnは、フィルム111の表面と裏面にそれぞれ形成されるITO(Indium Tin Oxide)である。
【0017】
なお、
図2に示すように、静電パネル110の裏面側(Z軸負方向側)には、透明なフィルム112が配設されており、表面側(Z軸正方向側)には、加飾フィルム113が配設されている。フィルム112と加飾フィルム113は、例えば、ポリカーボネート製又はPET(Polyethylene terephthalate)製のフィルムである。
【0018】
マルチプレクサ120は、電極Tx1〜Txmが接続されるとともに、インダクタ170を介して、駆動源140が接続されている。マルチプレクサ120は、第1選択部の一例である。マルチプレクサ120は、インダクタ170を介して駆動源140から入力される矩形波状の電圧を電極Tx1〜Txmを選択的に出力するように構成されている。マルチプレクサ120は、電極Tx1〜Txmを1つずつ順番に選択し、矩形波状の電圧を印加する。
【0019】
マルチプレクサ130は、電極Rx〜Rxnが接続されるとともに、キャパシタ150とADC160が接続されている。マルチプレクサ130は、第2選択部の一例である。マルチプレクサ130は、電極Rx1〜Rxnを1つずつ順番に選択し、電極Rx1〜Rxnの各々の電圧をキャパシタ150及びADC160に入力する。
【0020】
駆動源140は、矩形波状の電圧を出力する電圧源である。矩形波状の電圧は、クロック状の電圧であり、所定の周波数を有する。
【0021】
キャパシタ150は、マルチプレクサ130の端子とADC160の入力端子との間に一端が接続され、他端は接地されている。
【0022】
ADC160は、マルチプレクサ130から入力される電圧を検出し、デジタル信号に変換して出力する。
【0023】
インダクタ170は、駆動源140とマルチプレクサ120の間に接続されている。
【0024】
以上のようなタッチパネルに100おいて、マルチプレクサ130がRx1〜Rxnのうちの1つを選択している間に、マルチプレクサ120は電極Tx1〜Txmを順番に選択し、各電極に矩形波状の電圧を印加する。この処理をRx1〜Rxnの各々について繰り返し行う。
【0025】
この場合に、利用者が静電パネル110に触れていない場合は、電極Tx1〜Txmと、電極Rx1〜Rxnとの間の静電容量は初期値で一定であるため、ADC160が出力するデジタル信号の値は一定である。すなわち、利用者の指の接触がない場合には、電極Tx1〜Txmと、電極Rx1〜Rxnとで検出する静電容量は一定値である。
【0026】
また、
図1に示すように、利用者の指が(加飾フィルム113を介して)静電パネル110に触れると、指で触れた部分で静電容量が変化する。
図1には、擬似的に、利用者の指の接触によって静電容量がΔCだけ変化した様子を示す。
【0027】
このため、Rx1〜Rxnの各々について電極Tx1〜Txmを順番に選択して静電容量を繰り返し検出しているときに、利用者の指の接触によって静電容量の変化が生じると、電極Tx1〜Txmと電極Rx1〜Rxnとの組み合わせで静電容量の変化が生じた場所を特定でき、この結果、操作入力のあった位置を特定することができる。これにより、タッチパネル100は、操作入力のあった座標位置を検出することができる。
【0028】
ところで、静電パネル110には、ある程度大きな静電容量があるため、矩形波状の電圧をマルチプレクサ120から電極Tx1〜Txmに入力しても、電極Rx1〜Rxnを介してマルチプレクサ130で検出する電圧の立ち上がりと立ち下がりは鈍ってしまう。
【0029】
図3は、マルチプレクサ130で検出する電圧の立ち上がりの波形の一例を示す図であり、実線は、実施の形態1のタッチパネル100における電圧の立ち上がりの波形を示し、破線は、比較用にインダクタンス170を含まないタッチパネルにおける電圧の立ち上がりの波形を示す。
図3では、縦軸が電極Rx1〜Rxnで検出する電圧を示し、横軸は時間を示す。
【0030】
図3に示すように、破線で示す立ち上がりの波形は鈍っているが、実線で示す立ち上がりの波形は、破線の波形よりも急峻に立ち上がっている。
【0031】
実施の形態1では、静電パネル110の静電容量をC1、静電パネル110の抵抗値をR1とすると、インダクタ170のインダクタンスL1は、式(1)が成立するように設定する。
【0032】
L1≧C1×(R1/2)
2・・・(1)
式(1)の等号が成り立つ場合は、静電パネル110の電極Tx1〜Txmと、電極Rx1〜Rxnとの間に印加される電圧が単振動を起こす振動解を表す。このため、式(1)のように、インダクタ170のインダクタンスL1を、振動解を与えるインダクタンス以上の値に設定することにより、
図3に実線で示すように、鋭い立ち上がりを実現することができる。
【0033】
なお、インダクタ170のインダクタンスL1を式(1)を満たす値に設定することにより、
図3に実線で示すように、電圧の振動が生じる場合があることが考えられるが、ADC160で電圧を検出する時間を
図3に示すT1(時刻t0から時刻t1の間の時間)に設定することにより、時刻t1以降の振動は検出に関係なくなるので、検出に問題は生じない。
【0034】
例えば、静電パネル110が7インチである場合に、静電パネル110の静電容量が50pF、抵抗値が15kΩであるとすると、インダクタ170のインダクタンスL1は、L1≧2.8mHとなる。
【0035】
以上、実施の形態1によれば、インダクタ170を駆動源140とマルチプレクサ120との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くすることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル100を提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル100を提供できる。
【0036】
<実施の形態2>
図4は、実施の形態2のタッチパネル200を示す図である。
図4では、理解しやすくするために、タッチパネル200の主要な構成要素のみを概略的に示す。なお、実施の形態1のタッチパネル100と同様の構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0037】
タッチパネル200は、静電パネル110、マルチプレクサ120、マルチプレクサ130、駆動源240、バンドパスフィルタ250、アンプ251、位相差検出部260、制御部261、及びインダクタ270を含む。
【0038】
駆動源240は、正弦波状の電圧を出力する電圧源である。駆動源240は、制御部261によって制御され、インダクタ270を介して電圧をマルチプレクサ120に出力する。
【0039】
バンドパスフィルタ250は、マルチプレクサ130が出力する電圧の所定の帯域のみを出力する。バンドパスフィルタ250により、例えば、タッチパネル200の裏面側に配設されるLCD(Liquid Crystal Display)等のノイズ等が除去される。
【0040】
アンプ251は、バンドパスフィルタ250から出力される電圧を増幅して位相差検出部に出力する。
【0041】
位相差検出部260は、駆動源240が出力する正弦波状の電圧と、アンプ251から入力される正弦波状の電圧との位相差を検出する。
【0042】
制御部261は、位相差検出部260で検出される位相差を表す信号に波形整形等に施し、座標を表すデータとともにホストインターフェイス(I/F)に出力する。ホストインターフェイスの先には、タッチパネル100を含む端末機等の制御部が接続される。
【0043】
インダクタ270は、駆動源240とマルチプレクサ120の間に接続されている。
【0044】
このようなタッチパネル200において、駆動源240から出力される正弦波状の電圧は、インダクタ270、マルチプレクサ120、静電パネル110、マルチプレクサ130、バンドパスフィルタ250、及びアンプ251を経て位相差検出部260に入力される際に、主に静電パネル110の静電容量によって位相が遅れる。位相差検出部260は、駆動源240から直接入力される正弦波状の電圧と、アンプ251から入力される正弦波状の電圧との位相差を検出する。
【0045】
利用者の操作入力がない場合は、位相差検出部260で検出される位相差は所定の値である。
【0046】
また、利用者の操作入力があると、利用者の指が静電パネル110に触れることによって指で触れた部分で静電容量が変化する。これは、実施の形態1で
図1に示した場合と同様である。
【0047】
このように静電容量が変化すると、正弦波状の電圧の位相が変わるため、位相差の変化を検出することにより、操作入力のあった位置を特定することができる。これにより、タッチパネル200は、操作入力のあった座標位置を検出することができる。
【0048】
ところで、2つの正弦波状の電圧の位相差を検出する際には、位相が0度又は180度の位置で検出するのが最も効率的である。これは、正弦波の0度と180度の位置は、波形の変化率が最も大きな部分であるからである。
【0049】
図5は、実施の形態2のタッチパネル200におけるインピーダンスを直交座標形式で示す図である。
図5に示すインピーダンスは、駆動源240からインダクタ270、マルチプレクサ120、静電パネル110、マルチプレクサ130、バンドパスフィルタ250、アンプ251、位相差検出部260までの間のインピーダンスを示す。
図5では横軸が実数成分で、縦軸が虚数成分を示す。
【0050】
ただし、ここでは、静電パネル110のインピーダンスが支配的であるため、インダクタ270と静電パネル110との合成インピーダンスと、比較用にインダクタ270を含まない場合(すなわち、静電パネル110のみ)のインピーダンスとを比較する。
【0051】
図5では、横軸正方向(
図5における右方向)は、駆動源240から出力される正弦波状の電圧の位相(0度)を表す。
【0052】
静電パネル110は、比較的大きな静電容量を有するが、インダクタンスは比較的小さいため、インダクタ270を含まないタッチパネルのマルチプレクサ130が出力する正弦波状の電圧の位相は、破線で示すように、駆動源240から出力される正弦波の電圧の位相(0度)に比べて、θだけ位相が変化する。
【0053】
これは、静電パネル110は、比較的大きな静電容量を有するが、インダクタンスは比較的小さいため、負の虚数成分(キャパシタンス)が絶対値で比較的大きくなるからである。
【0054】
これに対して、実施の形態1では、インダクタ270を駆動源240とマルチプレクサ120との間に挿入することにより、実線で示すように、位相は微少であり、駆動源240から出力される正弦波状の電圧の位相(0度)にかなり近くなっている。
【0055】
ここで、静電パネル110が7インチである場合に、キャパシタンスC2が50pF、抵抗値R2が15kΩ、駆動源240が出力する正弦波状の電圧の周波数が500kHzであるとすると、静電パネル110のインピーダンスは、約6.4kΩ分の負の虚数成分を含むことになる。
【0056】
このため、インダクタ270を含まない場合のθは、
図5に破線で示すように、−22.99°となる。
【0057】
ここで、人間の指が静電パネル110に触れることにより、5pFの静電容量の変化が生じると考えると、人間の指が静電パネル110に触れているときの位相θは−21.10°になる。すなわち、位相差は、1.89°である。
【0058】
一方、実施の形態2のタッチパネル200は、インダクタ270のインダクタンスを約6.3kΩ分の正の虚数成分が得られる値に設定している。具体的には、インダクタ270のインダクタンスL2は、2.0mHである。
【0059】
このようなインダクタ270のインダクタンスL2は、式(2)に基づいて設定する。
【0060】
L2=1/{C2×(2πf)
2}・・・(2)
ここで、静電パネル110が7インチである場合のキャパシタンスC2が50pF、抵抗値R2が15kΩ、駆動源240が出力する正弦波状の電圧の周波数が500kHzであるとすると、L2=2.0mHと求まる。
【0061】
従って、人間の指が静電パネル110に触れていない場合の位相は−0.317°であり、人間の指が静電パネル110に触れて5pFの静電容量の変化があると考えると、人間の指が静電パネル110に触れているときの位相θは+1.893°になる。すなわち、位相差は、2.21°である。
【0062】
以上より、実施の形態2のタッチパネル200によれば、インダクタ270を駆動源240とマルチプレクサ120との間に挿入することにより、操作入力があったときの位相差を、インダクタ270を含まない場合の1.89°から、2.21°にまで、約17%程改善することができる。
【0063】
また、実施の形態2のタッチパネル200では、位相検出部260で、正弦波状の電圧の位相が0度付近の部分で、駆動源240から直接入力される正弦波状の電圧と、インダクタ270と静電パネル110を経てアンプ251から入力される正弦波状の電圧との位相差を検出できるので、位相差をより確実に検出できる。
【0064】
従って、実施の形態2によれば、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル200を提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル200を提供できる。
【0065】
なお、以上では、式(2)の等号が成り立つインダクタンスL2を求める形態について説明したが、インダクタ270のインダクタンスL2を厳密に等号が成り立つ値に設定することが困難な場合は、式(2)を次式(2A)のように変形してもよい。
【0066】
L2≒1/{C2×(2πf)
2}・・・(2A)
すなわち、インダクタ270のインダクタンスL2は、式(2A)が成り立つように、値を微調整してもよい。この場合に、式(2)で得られる値に対する許容範囲を、例えば、±5%以内というように設定すればよい。
【0067】
なお、正弦波状の電圧の代わりに、実施の形態1のように矩形波状の波形を用いてもよい。
【0068】
<実施の形態3>
実施の形態3におけるタッチパネルについて説明する。
図6に示されるように、本実施の形態におけるタッチパネルは、4線式のタッチパネルであって、透明フィルム等により形成される上部電極基板の表面に形成された上部透明導電膜310とガラス等により形成された下部電極基板の表面に形成された下部透明導電膜320とを有するものであり、上部透明導電膜310と下部透明導電膜320とが対向するように配置されている。尚、
図6等では説明の便宜上、上部透明導電膜310及び下部透明導電膜320のみを記載している。
【0069】
上部透明導電膜310には、例えば、X軸方向に電位勾配を発生させるためのスイッチ331及び332と、下部透明導電膜320と接触した際の電位を検出するための電位検出部341と、上部透明導電膜310に所定の電位を印加するための電源342、スイッチ333及び電流検出部343が接続されている。尚、スイッチ331は、電源電位(Vcc)に接続されており、スイッチ332は接地電位に接続されている。また、電位検出部341は第1の抵抗膜方式検出部となるものであり、電流検出部343は静電容量方式検出部となるものである。
【0070】
また、下部透明導電膜320には、例えば、Y軸方向に電位勾配を発生させるためのスイッチ351及び352と、上部透明導電膜310と接触した際の電位を検出するための電位検出部361が接続されている。尚、スイッチ351は、電源電位(Vcc)に接続されており、スイッチ352は接地電位に接続されている。また、電位検出部361は第2の抵抗膜方式検出部となるものである。
【0071】
本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、抵抗膜方式により接触位置の位置検出を行なう場合には、
図7に示すように、スイッチ351及び352を閉じ下部透明導電膜320のY軸方向に電位勾配を発生させる。この際、上部透明導電膜310に接続されているスイッチ331及び332は開いている。この状態でタッチパネルに指等が接触した場合には、タッチパネルの接触位置においては、下部透明導電膜320と上部透明導電膜310とが接触し、上部透明導電膜310は下部透明導電膜320の接触位置における電位となり、上部透明導電膜310に接続されている電位検出部341により電位が検出され、この電位に基づき不図示の制御部等においてタッチパネルの接触位置におけるY座標を算出することができる。
【0072】
次に、
図8に示すように、スイッチ331及び332を閉じ上部透明導電膜310のX軸方向に電位勾配を発生させる。この際、下部透明導電膜320に接続されているスイッチ351及び352は開いている。この状態でタッチパネルに指等が接触した場合には、タッチパネルの接触位置においては、下部透明導電膜320と上部透明導電膜310とが接触し、下部透明導電膜320は上部透明導電膜310の接触位置における電位となり、下部透明導電膜320に接続されている電位検出部361により電位が検出され、この電位に基づき不図示の制御部等においてタッチパネルの接触位置におけるX座標を算出することができる。
【0073】
以上により、抵抗膜方式によりタッチパネルの接触位置の位置検出を行なうことができる。
【0074】
また、本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、静電容量方式の位置検出を行なう場合には、
図9に示すように、上部透明導電膜310に接続されているスイッチ331及び332を開き、スイッチ333を閉じ、上部透明導電膜310の電位を電源342から供給される電位とする。この状態で、タッチパネルに指等が接触した場合、接触により静電容量が変化するため、電源342から上部透明導電膜310に流れ込む電流量が変化し、この電流量は電流検出部343により検出される。このような電流検出部343は図示しないが複数設けられており(例えば、4隅等に設けられており)、各々の電流検出部343により検出される電流値に基づき不図示の制御部等において、指等がタッチパネルに接触した接触位置を検出することができる。尚、
図9に示す状態においては、スイッチ351は開いており、スイッチ352は閉じていることが好ましい。スイッチ352を閉じることにより、下部透明導電膜320の全面を接地電位にすることができ、背面からのノイズ等による影響を防ぐことができるからである。
【0075】
図10は、実施の形態3におけるタッチパネルを制御するための制御回路のブロック図である。
図10(A)に示すように、この制御回路は、制御部380、電圧印加部381及び382、静電容量方式検出部383、抵抗膜方式検出部384、選択部385を有している。上部透明導電膜310は、選択部385と接続されており、選択部385は静電容量方式検出部383及び抵抗膜方式検出部384と接続されており、制御部380により制御により、静電容量方式検出部383または抵抗膜方式検出部384のいずれか一方が上部透明導電膜310と接続される。また、下部透明導電膜320は、抵抗膜方式検出部384と接続されている。
【0076】
また、上部透明導電膜310と、電圧印加部381との間には、インダクタ370が接続されている。インダクタ370は、実施の形態1のインダクタ170と同様のものであり、式(1)を満たすインダクタンスを有する。なお、実施の形態3では、式(1)におけるキャパシタンスは、上部透明導電膜310と下部透明導電膜320とのキャパシタンスであり、抵抗は、上部透明導電膜310と下部透明導電膜320との間の抵抗である。
【0077】
静電容量方式検出部383は、上部透明導電膜310を用いて静電容量方式により位置検出を行なうためのものであり、例えば、電源342、スイッチ333及び電流検出部343を含むものである。また、抵抗膜方式検出部384は、上部透明導電膜310及び下部透明導電膜320を用いて抵抗膜方式による位置検出を行なうためのものであり、例えば、電位検出部341及び361を有するものである。電圧印加部381は、抵抗膜方式による位置検出を行う際に、上部透明導電膜310に電位分布を生じさせるためのものであり、電源及びスイッチ331及び332等を有している。また、電圧印加部382は、抵抗膜方式による位置検出を行う際に、下部透明導電膜320に電位分布を生じさせるためのものであり、電源及びスイッチ351及び352等を有している。
【0078】
制御部380は、タッチパネルの制御、即ち、電圧印加部381による上部透明導電膜310への電圧印加、電圧印加部382による下部透明導電膜320への電圧印加等の制御及び静電容量方式検出部383、抵抗膜方式検出部384からの情報に基づきタッチパネルにおける接触位置の位置検出を行なう処理等を行なうものであり、ホストI/Fを介し不図示のホストコンピュータ等に接続されている。
【0079】
実施の形態3のタッチパネルによれば、インダクタ370を上部透明導電膜310と、電圧印加部381との間に挿入することにより、静電容量方式検出部383で検出する電圧の立ち上がりを鋭くすることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネルを提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネルを提供できる。
【0080】
なお、
図10(B)に示すように、インダクタ370に、逆起電力を抑制するためのダイオード371を並列に接続してもよい。このようなダイオード371を用いれば、立ち下がり際に生じる逆起電力をダイオード371で早く収束させることができ、回路系の破損を未然に防ぐことができる。
【0081】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態は、実施の形態1、2における静電パネル110の電極Tx1〜Txm及びRx1〜Rxnと、実施の形態3の上部透明導電膜310をメッシュ状に分割した構造に変更したものである。具体的には、
図11及び
図12に示されるように、上部電極基板となる透明基板430の表面に形成されている上部透明導電膜410をX軸及びY軸に対し45°となる直線に略平行に分割したものである。上部透明導電膜を分割した各々の領域は、X軸方向に沿った領域411同士が接続部412により相互に電気的に接続されており、引出し線413と接続されている。また、Y軸方向に沿った領域421同士が接続部422により相互に電気的に接続されており、引出し線423と接続されている。また、図に示されるように、下部透明導電膜320は、下部電極基板となるガラス等の透明基板440上に形成されている。尚、
図11は本実施の形態における上部透明導電膜410を有するタッチパネルの上面図であり、
図12は、
図11における一点鎖線11A−11Bにおいて切断した断面図である。
【0082】
また、本実施の形態では、
図13及び
図14に示されるように、上部電極基板となる透明基板450の両面に上部透明導電膜が分割された領域を各々形成したものであってもよい。具体的には、透明基板450において下部透明導電膜320と対向する一方の面には、上部透明導電膜を分割したY軸方向に沿った領域461が形成されており、X軸方向に沿った領域461同士が接続部462により相互に電気的に接続されており、引出し線463と接続されている。また、透明基板450における他方の面には、上部透明導電膜を分割したX軸方向に沿った領域471が形成されており、Y軸方向に沿った領域471同士が接続部472により相互に電気的に接続されており、引出し線473と接続されている。尚、
図13は本実施の形態における上部透明導電膜を有するタッチパネルの上面図であり、
図14は、
図13における一点鎖線13A−13Bにおいて切断した断面図である。
【0083】
<実施の形態5>
図15は、実施の形態5のタッチパネル500の断面を示す図である。実施の形態5のタッチパネル500は、静電パネル110(
図2参照)の裏面側に、グランド層501が表面に形成されたフィルム502を介して、抵抗膜方式のパネル503を配設したものである。グランド層501は、例えば、ITO膜であり、フィルム502は、例えば、透明なポリカーボネート製又はPET(Polyethylene terephthalate)製のフィルムである。グランド層501は、接地されており、抵抗膜方式のパネル503の電位等の影響が静電容量方式のパネル110に生じることを抑制するために設けられている。
【0084】
抵抗膜方式のパネル503は、フィルム504、上部透明導電膜505、下部透明導電膜506、フィルム507を含む。上部透明導電膜505は、フィルム504の表面(
図15では下面)に形成されており、下部透明導電膜506は、フィルム507の表面(
図15では上面)に形成されている。上部透明導電膜505と、下部透明導電膜506とは、所定の間隔を隔てて対向している。
【0085】
なお、静電容量方式の静電パネル110と、抵抗膜方式のパネル503とは、選択的に用いてもよいし、両方で座標位置を検出してもよい。
【0086】
実施の形態5によれば、静電容量方式のパネル110と、抵抗膜方式のパネル503との間にグランド層を設けたので、静電容量方式のパネル110が抵抗膜方式のパネル503の電位等の影響を受けることを抑制することができる。
【0087】
なお、この場合に、グランド層501は、抵抗膜方式のパネル503側を向くように、フィルム502の下面側に位置する方が、フィルム502の上面側に位置する場合よりも好ましい。
【0088】
<実施の形態6>
図16は、実施の形態6のタッチパネル600を示す平面図である。
図16では、説明の便宜上、タッチパネル600の構成を分かり易くするために、一部の構成要素のみを示す。説明の便宜上、
図16では、X軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0089】
図16に示すように、タッチパネル600は、静電パネル110、マルチプレクサ(MUX)120、マルチプレクサ(MUX)130、駆動源140、キャパシタ150、ADC(Analog to Digital Converter)160、グランド層601、及びインダクタ670を含む。
【0090】
静電パネル110、マルチプレクサ120、マルチプレクサ130、駆動源140、キャパシタ150、及びADC160は、実施の形態1のものと同様であるため、説明を省略する。
【0091】
グランド層601は、静電パネル110の裏面側(操作入力が行われる表面側とは反対側)に配設される。グランド層601は、グランド電位又は所定の基準電位に保持される。グランド層601は、例えば、銅箔等の金属膜、又は、ITOのような透明導電膜であってもよい。例えば、静電パネル110の裏面側に抵抗膜方式のパネルを設置する場合は、グランド層601として透明な導電膜を用いることが好ましい。
【0092】
静電パネル110は、周囲の電子部品等が発するノイズ等による影響を受ける場合があるため、ノイズの影響が大きい環境で静電パネル110を用いる場合には、グランド層601を用いて、ノイズを遮断することが有効的である。
【0093】
インダクタ670は、グランド層601と基準電位点(
図16では接地点)の間に接続されている。
【0094】
以上のようなタッチパネルに600おいて、マルチプレクサ130がRx1〜Rxnのうちの1つを選択している間に、マルチプレクサ120は電極Tx1〜Txmを順番に選択し、各電極に矩形波状の電圧を印加する。この処理をRx1〜Rxnの各々について繰り返し行う。
【0095】
この場合に、利用者が静電パネル110に触れていない場合は、電極Tx1〜Txmと、電極Rx1〜Rxnとの間の静電容量は初期値であるため、ADC160が出力するデジタル信号の値は一定である。
【0096】
また、
図16に示すように、利用者の指が(加飾フィルム113を介して)静電パネル110に触れると、指で触れた部分で静電容量が変化する。
図16には、擬似的に、利用者の指の接触によって静電容量がΔCだけ変化した様子を示す。このように静電容量が変化すると、電極Tx1〜Txmと、電極Rx1〜Rxnとの組み合わせで、操作入力のあった位置を特定することができる。これにより、タッチパネル600は、操作入力のあった座標位置を検出することができる。
【0097】
ところで、静電パネル110には、ある程度大きな静電容量があるため、矩形波状の電圧をマルチプレクサ120から電極Tx1〜Txmに入力しても、電極Rx1〜Rxnを介してマルチプレクサ130で検出する電圧の立ち上がりと立ち下がりは鈍ってしまう。
【0098】
また、グランド層601が配設されているため、静電パネル110を単独で用いる場合(グランド層601を配設しない場合)に比べて、静電パネル110の見かけ上の静電容量は増大する。このため、マルチプレクサ130で検出する電圧の立ち上がりと立ち下がりは、静電パネル110を単独で用いる場合(グランド層601を配設しない場合)に比べて、さらに鈍ってしまう。
【0099】
また、静電パネル110に蓄えられる電荷の量が一定の場合、静電容量が増大すると、電圧値は低下する。このため、グランド層601を用いると、グランド層601を用いない場合に比べてADC160で検出する電圧値が低下することになる。
【0100】
ここで、
図17を用いて、インダクタ670を用いることの効果について説明する。
【0101】
図17は、実施の形態6のタッチパネル600のマルチプレクサ130で検出する電圧の波形の一例を示す図である。
図17(A)は、比較用に、インダクタ670を含まずに、グランド層601を直接接地した場合の波形を示し、
図17(B)は、比較用に、インダクタ670を含まずに、かつ、グランド層601を浮遊させた場合の波形を示す。
図17(C)は、実施の形態6のタッチパネル600のマルチプレクサ130で検出する電圧の波形の一例を示す図である。
【0102】
なお、
図17には、静電パネル110とグランド層601との間に、フィルム602を挿入した断面を示す。フィルム602は、例えば、ポリカーボネート、又は、PET(Polyethylene terephthalate)を用いることができる。グランド層601は、例えば、フィルム602の一方の面に形成されるITO(Indium Tin Oxide)膜であればよい。
【0103】
図17(A)では、電圧のピーク値は0.32Vであり、立ち上がりの波形は比較的鈍っている。また、
図17(B)では、電圧のピーク値は0.44Vに上昇するが、立ち上がりの波形は比較的鈍っている。なお、
図17(B)の方が
図17(A)よりも電圧値が高かったのは、グランド層601を浮遊電位にしたことにより、静電パネル110の静電容量が
図17(A)の場合よりも小さくなったためと考えられる。
【0104】
図17(C)では、電圧のピーク値は0.49Vであり、立ち上がりの波形は、
図17(A),(B)に比べると鋭くなっている。
【0105】
以上、実施の形態6によれば、インダクタ670をグランド層601と接地点との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くするとともに、検出する電圧値を上昇させることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル600を提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル600を提供できる。
【0106】
なお、インダクタ670と並列に抵抗器を接続してもよい。
【0107】
<実施の形態7>
図18は、実施の形態7のタッチパネルのマルチプレクサ130で検出する電圧の波形の一例を示す図である。
【0108】
実施の形態7のタッチパネルは、実施の形態6のタッチパネルのインダクタ670の代わりに、抵抗器770を用いたものである。このため、実施の形態6のタッチパネル600と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、
図16を援用する。
【0109】
図18(A)は、比較用に、抵抗器770を含まずに、グランド層601を直接接地した場合に、マルチプレクサ130で検出する電圧の波形を示す。
図18(B)は、抵抗器770の抵抗値を1.6kΩに設定した場合にマルチプレクサ130で検出する電圧の波形の一例を示す図であり、
図18(C)は抵抗器770の抵抗値を16kΩに設定した場合の電圧の波形の一例を示す図である。
図18(D)は、抵抗器770にインダクタ670を並列に接続したタッチパネルを示す図である。
【0110】
図18(A)では、電圧のピーク値は0.33Vであり、立ち上がりの波形は比較的鈍っている。また、
図18(B)では、電圧のピーク値は0.40Vであり、立ち上がりの波形は、
図18(A)に比べると鋭くなっている。また、
図18(C)では、電圧のピーク値は0.44Vであり、立ち上がりの波形は、
図18(A)に比べると鋭くなっている。これは、抵抗器770を挿入したことにより、インダクタ670(
図17(C)参照)を挿入した場合と同様にインピーダンスが調整され、静電パネル110の静電容量の影響が緩和されたために、電圧値が上昇し、立ち上がりが鋭くなったためと考えられる。
【0111】
以上、実施の形態7によれば、抵抗器770をグランド層601と接地点との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くするとともに、検出する電圧値を上昇させることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネルを提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネルを提供できる。
【0112】
なお、
図18(D)に示すように、抵抗器770にインダクタ670を並列に接続してもよい。
【0113】
<実施の形態8>
図19は、実施の形態8のタッチパネル800の断面を示す図である。
図19(A)に示す実施の形態8のタッチパネル800は、実施の形態5のタッチパネル500のグランド層501にインダクタ870を接続したものである。その他の構成は、実施の形態5のタッチパネル500と同一であるため、重複説明を省略する。
【0114】
インダクタ870は、一端がグランド層501に接続され、他端は接地されている。このため、実施の形態6と同様に、インダクタ870をグランド層501と接地点との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くするとともに、検出する電圧値を上昇させることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル800を提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル800を提供できる。
【0115】
なお、
図19(B)に示すタッチパネル800Aのように、インダクタ870の代わりに、タッチパネル500のグランド層501に、抵抗器870Aを接続してもよい。このような場合にも、抵抗器870Aをグランド層601と接地点との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くするとともに、検出する電圧値を上昇させることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル800Aを提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル800Aを提供できる。
【0116】
なお、
図19(C)は、
図19(B)の抵抗器870Aに相当する部分を抜き出して示す図である。
図19(C)に示すように、インダクタ870と抵抗器870Aを並列に接続してもよい。
【0117】
<実施の形態9>
図20は、実施の形態9のタッチパネル900の構成を示す図である。実施の形態9のタッチパネル900は、実施の形態2のタッチパネル200のインダクタ270を取り除き、その代わりに、グランド層901とインダクタ970を追加したものである。
【0118】
グランド層901とインダクタ970は、実施の形態6のグランド層601とインダクタ670(
図16参照)と同様である。
【0119】
インダクタ970は、一端がグランド層901に接続され、他端は接地されている。このため、実施の形態6と同様に、インダクタ970をグランド層901と接地点との間に挿入することにより、ADC160で検出する電圧の立ち上がりを鋭くするとともに、検出する電圧値を上昇させることができるので、利用者の操作入力を検出する際の応答性(レスポンス)の良いタッチパネル900を提供することができる。すなわち、操作入力の検出感度の良好なタッチパネル900を提供できる。
【0120】
以上、本発明の例示的な実施の形態のタッチパネルについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。