(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1及び第2の2枚のシート状物が部分的に接合されて接合部が形成されており、第1のシート状物が該接合部以外の部分において突出して、内部が空洞となっている複数の凸状部を形成している複合シートの製造方法であって、
周面が凹凸形状となっている第1のロールと、該第1のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2のロールとを用い、両ロール間の噛み合わせ部に前記第1のシート状物を噛み込ませて該第1のシート状物に凹凸を賦形する凹凸賦形工程と、
前記第1のロールの周面に前記第1のシート状物を凹凸賦形された状態のまま保持しつつ、該第1のシート状物に前記第2のシート状物を重ね合わせ、該第2のシート状物を、該第1のシート状物における該第1のロールの凸部に対応する部分にて接合して第1接合部を複数形成し、複合シート中間体を得る中間体製造工程と、
前記第1のロールの凹凸形状とは異なる凹凸形状を周面に有する第3のロールを用い、前記複合シート中間体の前記第1のシート状物側を該第3のロールの周面に保持させた状態で、該複合シート中間体を構成する前記両シート状物を、該第3のロールの凸部に対応する部分にて接合して、該複合シート中間体に第2接合部を形成する接合工程と、を有し、
前記第2接合部は、1個の前記第1接合部とこれに隣接している他の1個の前記第1接合部とを繋ぐパターンで形成されている、複合シートの製造方法。
前記第1のロール及び前記第3のロールそれぞれと周面どうしが対向するように配された第4のロールを用い、前記中間体製造工程で得られた該複合シート中間体を、該第1のロールの周面から該第4のロールの周面へ直接転写して該第4のロールの周面で保持し、更に、該第4のロールの周面から該第3のロールの周面へ直接転写する請求項1記載の複合シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の複合シートの製造方法の実施によって製造される本発明の複合シートの一例について、
図1及び
図2を参照して説明する。本実施態様の複合シート1においては、
図1及び
図2に示すように、第1及び第2の2枚のシート状物(上層2及び下層3)が部分的に接合されて接合部4,5(第1接合部4及び第2接合部5)が形成されている。第1のシート状物(上層2)が接合部4,5以外の部分において突出して、内部が空洞となっている複数の凸状部6を形成している。上層2と下層3とは、接合部4,5において部分的に接合されており、凸状部6では接合されていない。尚、
図1及び
図2のX方向は、複合シート1の製造時におけるシートの搬送方向(MD;Machine Direction)と直交する方向(CD;Cross machine Direction)に一致し、Y方向は、該シートの搬送方向(MD)に一致する。
【0012】
複合シート1について更に説明すると、複合シート1は、第1のシート状物としての上層2と第2のシート状物としての下層3とを含んで構成されており、上層2は、複合シート1の上面1aを形成し、下層3は、複合シート1の下面1bを形成する。また、複合シート1が吸収性物品用の表面シートとして用いられる場合、上面1a(第1のシート状物)は、該吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面(肌対向面)となり、下面1b(第2のシート状物)は、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面(非肌対向面)となる。
【0013】
上層2及び下層3は、それぞれ、典型的には各種不織布あるいはフィルムから形成されている。不織布としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等が挙げられる。上層2及び下層3としてフィルムを使用する場合において、特に複合シート1を吸収性物品用の表面シートとして用いる場合は、上層2及び下層3としてのフィルムを穿孔して多数の開孔を設け液透過可能とすることが好ましい。
【0014】
複合シート1には、パターンの異なる2種類の接合部4,5が形成されている。接合部4,5においては、上層2(第1のシート状物)及び下層3(第2のシート状物)が融着され一体化されている。本実施態様においては、平面視四角形形状の複数の第1接合部4が散点状に規則的なパターンで形成されていると共に、第2接合部5が、1個の第1接合部4とこれに隣接している他の1個の第1接合部4とを繋ぐパターン(互いに隣接する複数の第1接合部4,4どうしを繋ぐパターン)で形成されている。
【0015】
本実施形態における第1接合部4の規則的なパターンは、複合シート1の一面に複数の仮想的な多角形を隙間無く配置し且つ複数の該多角形それぞれの全ての頂部に所定形状の第1接合部4を配置したパターンである。より具体的には、
図2に示すように、複合シート1の一面に複数の仮想的な六角形(略正六角形)をハニカム状に配置し且つ複数の該六角形それぞれの6つの頂部に平面視四角形形状の第1接合部4を配置したパターンである。斯かるパターンにおいては、複数の仮想的な同形状の六角形(6個の第1接合部4によって形作られた六角形)がY方向(MD)に隙間を置かずに連なって六角形の列を形成し、該六角形の列がX方向(CD)に隙間を置かずに複数配置されている。複数の六角形の列は、X方向に隣り合う2列における六角形のピッチをずらして配されており、本実施態様においては、X方向に隣り合う2列は、六角形がY方向に半ピッチ(1個の仮想的な六角形のMDの長さの半分)ずれている。複数の第1接合部4それぞれの周囲には、3個の仮想的な六角形が存し、1個の第1接合部4は、その周囲に存する3個の仮想的な六角形の頂部を兼ねている。このような規則的なパターンで形成されている複数の第1接合部4は、
図2に示すように、Y方向に千鳥状に配置された複数の第1接合部4からなる接合部列を形成しており、該接合部列がX方向に所定間隔を置いて複数列配置されている。
【0016】
第2接合部5は、連続する線状をなし、このように散点状に規則的なパターンで形成された複数の第1接合部4の全てと重なるように連続しており、その連続する第2接合部5よって包囲された領域は、平面視六角形をなしている。このように、第2接合部5は、X方向及びY方向の両方向に交差する方向に延びる直線状部を含んで構成されている。第2接合部5の幅(線状部分の延びる方向と直交する方向の長さ)は、変化せずに一定に保たれている。
【0017】
複数の凸状部6(即ち上層2と下層3との非接合部)は、それぞれ、
図1及び
図2に示すように、平面視六角形を形作る6個の第1接合部4とこれら6個の第1接合部4を繋ぐように連続する平面視六角形形状の第2接合部5とによって包囲されている。複数の凸状部6は、それぞれ、平面視して略六角形形状をなし、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な略六角柱をなしている。つまり、複合シート1の上面1aには、平面視して略六角形形状の複数の凸状部6が、隣り合う凸状部6,6の対向する辺どうしが間隔をあけて平行となるように配置、即ち略ハニカム状に配置されており、該間隔が第2接合部5となっている。
【0018】
複数の凸状部6は、
図1及び
図2に示すように、千鳥状に配置されている。ここで千鳥状とは、複数の凸状部6が一方向に等間隔に配置されてなる列が、該一方向と直交する方向に複数列配置され、且つ該一方向と直交する方向において、隣り合う2列どうしで互いに凸状部6がずれている(好ましくは半ピッチずれている)配置をいう。更に詳述すれば、複数の凸状部6が一方向に等間隔に配置されてなる複数の列を、それぞれ、該一方向と直交する方向に投影したときに、特定の列の各凸状部6の投影像の間に(好ましくは中間に)、該特定の列と隣り合う別の列の凸状部6の投影像が配置される場合、複数の凸状部6は千鳥状に配置されていると言える。尚、本発明でいう「千鳥状に配置」には、複数の凸状部6が前記の説明通りに完璧に配置されている形態のみならず、製造上不可避的なずれなど、意図しないわずかな配置のずれが生じている形態も含まれる。このように、複数の凸状部6が千鳥状に配置されていると、例えば、複合シート1を吸収性物品用の表面シートとして用いた場合に、吸収性物品の着用者の肌に当接する圧力が均一に分散され良好なクッション性が実現され、また、液体の吸収保持においても均一に複合シート1全体においてその作用が発揮されるようになる。
【0019】
本実施態様の複合シート1は、このように接合部4,5が形成されているため、凸状部6の視認性が高く且つ凸状部6の形状が際立ち、外観に優れる。また、接合部4に加えて接合部5で2枚のシート状物(上層2及び下層3)が接合されているため強度に優れ、凸状部6の維持が良好である。また、このように接合部4,5及び凸状部6からなる凹凸形状を上面1aに有しているため、例えば、複合シート1を使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品用の表面シートとして用いる場合に、凹凸形状を有する上面1aを肌対向面とすることにより、吸収性物品の着用者の肌と表面シート(複合シート1)との接触面積が低減し、通気性が向上し、それによってムレ、カブレ等の不都合が効果的に防止される。また、接合部4,5においては、複合シート1を構成する上層2及び下層3の構成繊維が溶融してフィルム状をなし、液を複合シート1の厚み方向に透過させ難い液不透過部を形成している。従って、例えば、複合シート1を吸収性物品用の表面シートとして用いた場合において、接合部4,5に尿等の排泄液が入り込んでも、その接合部4,5における排泄液は、複合シート1を厚み方向に透過せずに、接合部4,5、特に連続線状の第2接合部5に沿って上面1a(肌対向面)上を流れる。このように、接合部4,5は、液の面方向における流れを制御し、液の面方向の拡散を促す導液路として機能し得る。また、凸状部6はその内部が空洞であることから、吸収性物品において、表面シート(複合シート1)の非肌対向面側に配置された吸収体に吸収された排泄物の色が、該表面シート側から見て減殺されるという隠蔽効果もある。
【0020】
前述した作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、複合シート1における各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
複数の第1接合部4それぞれの面積は、好ましくは0.6mm
2以上、更に好ましくは0.8mm
2以上、そして、好ましくは1.4mm
2以下、更に好ましくは1.2mm
2以下、より具体的には、好ましくは0.6〜1.4mm
2、更に好ましくは0.8〜1.2mm
2である。
第2接合部5の幅(線状部分の延びる方向と直交する方向の長さ)は、該接合部5の視認性の向上の観点、並びに該接合部5の接合強度確保及び該接合部5を形成する際に使用するロール(後述する第1及び第2のロール)の耐久性確保の観点から、好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。また、第2接合部5の幅は、第1接合部4と重なったときに該第1接合部4からはみ出さない程度の幅である、即ち、第1接合部4よりも幅狭であることが好ましい。
0.36kPaの加圧下での複合シート1の見掛け厚み(凸部6の形成領域における複合シート1の厚み)は、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.0mm以下、より具体的には、好ましくは0.5〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜4.0mmである。
【0021】
次に、本発明の複合シートの製造方法について、前述した複合シート1の製造方法を例にとり、
図3〜
図7に示す複合シートの製造装置を参照しながら説明する。
図3に示すように、本実施態様の製造装置10は、周面が凹凸形状となっている第1のロール11と、第1のロール11の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2のロール21と、第1のロール11と周面どうしが対向するように配されたアンビルロール22(第1接合部4を形成する接合手段)と、第1のロール11の凹凸形状とは異なる凹凸形状を周面に有する第3のロール31と、第3のロール31と共同して被加工シート(複合シート中間体1’)に第2接合部5を形成する接合手段40と、第1のロール11及び第3のロール31それぞれと周面どうしが対向するように配された第4のロール41とを備えている。
【0022】
第1のロール11と第2のロール21とは、それぞれのロール周面の凹凸部が噛み合うように配置されている。また第1のロール11とアンビルロール22とは、第1のロール11の周面の凸部14の頂部がアンビルロール22の周面と当接するように配置されている。
【0023】
図4には第1のロール11の要部斜視図が示されており、
図5にはその一部の分解斜視図が示されている。第1のロール11は、同じモジュールの平歯車からなる歯車11a及びスペーサー11bをそれぞれ複数枚組み合わせ、これらの部材11a,11bを回転軸12に同心状に取り付けてロール状に形成したものである。スペーサー11bの厚みは、歯車11aの厚みの0.5〜2.0倍が好ましく、0.8〜1.2倍が更に好ましい。本実施態様では、歯車11aとスペーサー11bとは同じ幅を有している。歯車11a及びスペーサー11bはその中心が開口しており、その開口部に回転軸12が挿入される。歯車11a及びスペーサー11b並びに回転軸12にはそれぞれ切り欠き部(図示せず)が形成されており、該切り欠き部にキー(図示せず)が挿入される。これによって各歯車11a及びスペーサー11bの空回りが防止される。
【0024】
図5に示すように、歯車11aとスペーサー11bとは歯先円直径が異なっており、スペーサー11bの歯先円直径は、歯車11aにおける歯を除く円盤状部分の直径と略同じであり、歯車11aの方がスペーサー11bよりも歯先円直径が大きい。
【0025】
第1のロール11においては、1枚のスペーサー11bに対してその両側にそれぞれ1枚ずつの歯車11aが配されて、これらの3枚の部材を一組とした歯車群13が複数組配されている。各歯車群13においては、2枚の歯車11a,11aは、
図4に示すように、両歯車11a,11aの歯がロール11の回転軸方向に並列するように、即ち、両歯車11a,11aの歯が所定の間隔(1枚のスペーサー11bの厚みに相当する間隔)をおいてロール11の回転軸方向に相対向するように、配されている。ここで、「ロール11の回転軸方向」は、回転軸12の延びる方向であり、
図1及び
図2のX方向に一致する。
【0026】
2枚の歯車11a,11aと1枚のスペーサー11bとがこのように組み付けられることによって、第1のロール11(各歯車群13)の周面には、被加工シート(第1のシート状物2’)に凹凸を賦形する際に利用される凸部(凸部14)が形成されている、凸部形成領域13Aと、そのような凸部が形成されていない凸部非形成領域13Bとが、ロール11の回転軸方向に交互に形成される。凸部形成領域13Aは、歯車11aの周面からなり、凸部14は、歯車11aの歯からなる。凸部14(歯車11aの歯)の先端面の平面視形状は、複合シート1の第1接合部4の平面視形状に対応しており、本実施態様では四角形形状である。一方、凸部非形成領域13Bは、スペーサー11bの周面からなる。スペーサー11bは周面に歯を有しているが、前述したように、その歯先円直径は、歯車11aにおける歯を除く円盤状部分の直径と略同じであるため(
図5参照)、スペーサー11bの歯は、被加工シート(第1のシート状物2’)に凹凸を賦形する際には利用されない。
【0027】
歯車群13は二組以上用いられる。各歯車群13は、隣り合う歯車群13,13における凹凸部のピッチをずらして配される。本実施態様においては、隣り合う歯車群13,13は、凹凸部の位置がロール11の回転方向に半ピッチずれている。
【0028】
各歯車群13においては、
図5に示すように、2枚の歯車11a,11a間(凸部非形成領域13B)に、ロール11の回転方向に沿って、一定の間隔を置いて空隙部16が複数形成されている。各空隙部16は、2枚の歯車11a,11aと、これらの間に位置するスペーサー11bとで形成されている。更に詳細には、各空隙部16は、2枚の歯車11a,11aの相対向する側面と、スペーサー11bにおける隣り合う2つの歯によって画定される。従って、空隙部16は、スペーサー11bの歯数と同数形成されることになる。空隙部16は、凸部非形成領域13Bにおいて外部に向かって開口している。
【0029】
歯車11aには、回転軸12が挿入される中心の開口部を取り囲むように複数の開口部17が形成されている。各開口部17は同径であり、歯車の中心からそれぞれ等距離の位置に形成されている。隣り合う開口部17,17と歯車の中心とがなす角度は何れも等しくなっている。各歯車11aにおける開口部17の個数は、スペーサー11bの歯数と同数になっている。そして、各歯車群13を組み付ける場合には、各開口部17が、スペーサー11bにおける隣り合う歯間にそれぞれ位置するように、歯車11a及びスペーサー11bを配置する。このように各歯車群13を組み付け、更にそれぞれの歯車群13を凹凸部のピッチが互いに異なるように配した状態においては、それぞれの歯車11aの開口部17が、ロール11の回転軸方向に連なって、該回転軸方向に延びる複数の吸引路18がロール11の内部に形成される。そして各吸引路18は、先に述べた空隙部16と連通する。
【0030】
吸引路18の少なくとも一端は、ブロワ、真空ポンプ等の吸引源(図示せず)に通じている。従って、吸引源を作動させて吸引操作を行うと、凸部非形成領域13Bにおける空隙部16から吸引路18を通じて空気が吸引される。第1のロール11は、このような空隙部16からの空気の吸引機構を具備していることにより、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されている。
【0031】
第2のロール21は、第1のロール11に比して直径(歯先円直径)が短い点以外は、第1のロール11と同様に構成されており、その周面に、第1のロール11の周面の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を有している。但し、第2のロール21は、第1のロール11が具備しているような空気の吸引機構を具備しておらず、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されていない。
【0032】
アンビルロール22は、回転軸回りに回転可能に支持された円筒形状の回転体を備え、該回転体の周面が、第1のロール11の周面と対向するように配されている。アンビルロール22の周面は、凹凸形状を有しておらず、実質的に(巨視的に)平滑である。アンビルロール22には、加熱手段(図示せず)が付設されており、該加熱手段からの熱伝導によって、被加工シート(第2のシート状物3’)と接触する周面に熱が伝達されるようになされている。尚、第1のシート状物への凹凸形状の賦形性及び第1接合部の形成性を向上させるため、第1のロール11にも、これと同様の加熱手段が付設されていても良い。
【0033】
第3のロール31は、
図6に示すように、回転軸32回りに回転可能に支持された円筒形状の回転体33を備え、回転体33の周面に、第1のロール11の周面の凹凸形状とは異なる凹凸形状を有している。回転体33の周面の凹凸形状は、複合シート1の上層2側の凹凸形状に対応しており、平面視六角形形状の複数の凹部34が、隣り合う凹部34,34の対向する辺どうしが間隔をあけて平行となるように配置(即ち略ハニカム状に配置)されていると共に、該間隔に凸部35が形成されている。ここで、「平面視」とは、ロール31の周面の凹凸形状を、該周面の法線方向(ロール31の回転軸方向と直交する方向)の外方から見た場合を意味する。
【0034】
第3のロール31(回転体33)の周面の凹凸形状は、後述するように、第1のロール11の周面の凹凸形状(複数の凸部14)による押圧によって凹凸賦形された被加工シート(複合シート中間体1’における第1のシート状物2’側)と噛み合い形状となっている。要するに、第3のロール31の周面の凹凸形状は、その周面に複合シート中間体1’における第1のシート状物2’の凹凸を受け入れ可能な形状となっている。このような、ロールと被加工シートとの噛み合い形状の実現のため、本実施態様においては、第1のロール11及び第3のロール31それぞれの周面を仮想的に平面状に展開して重ね合わせた場合に、第1のロール11の周面における、該ロール11の凹凸形状による押圧によって被加工シートに形成される複数の凸状部(本実施態様では最終的に複合シート1の凸状部6となる部分)それぞれを画定する、複数(本実施態様では6個)の凸部14(歯車11aの歯)で囲まれた領域の中心と、第3のロール31の周面における凹部34の中心とが一致するようになされている。従って、第3のロール31の周面の凹凸形状と第1のロール11の周面の凹凸形状とは異なる形状ではあるが、第3のロール31の周面の凹凸形状は、複合シート中間体1’における第1のシート状物2’の凹凸を受け入れ可能となっているため、複合シート中間体1’の凹凸賦形された第1のシート状物2’が、第3のロール31の周面の凹凸形状と噛み合った状態で該周面に保持される。
【0035】
第3のロール31の周面における各凹部34の形成領域には、微細な通気孔(図示せず)が複数形成されていると共に、第3のロール31の内部には、該通気孔とブロワ、真空ポンプ等の吸引源(図示せず)とに連通している吸引路(図示せず)が形成されており、該吸引源を作動させて吸引操作を行うと、該通気孔から該吸引路を通じて空気が吸引される。第3のロール31は、このような周面の通気孔からの空気の吸引機構を具備していることにより、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されている。
【0036】
接合手段40は、第3のロール31の周面に対向配置されており、第3のロール31と共同して、両者31,32間を通過する被加工シート(複合シート中間体1’)に接合部(第2接合部5)を形成する。本実施態様においては、接合手段40として、公知の超音波シール装置を用いている。
【0037】
第4のロール41は、アンビルロール22と同様の基本構成を有しており、回転軸回りに回転可能に支持された円筒形状の回転体を備え、該回転体の周面は、凹凸形状を有しておらず、実質的に(巨視的に)平滑である。また、第4のロール41の周面には、微細な通気孔(図示せず)が複数形成されていると共に、第4のロール41の内部には、該通気孔とブロワ、真空ポンプ等の吸引源(図示せず)とに連通している吸引路(図示せず)が形成されており、該吸引源を作動させて吸引操作を行うと、該通気孔から該吸引路を通じて空気が吸引される。第4のロール41は、このような周面の通気孔からの空気の吸引機構を具備していることにより、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されている。
【0038】
製造装置10においては、前述したように、第1のロール11、第3のロール31及び第4のロール41が、それぞれ、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されていることにより、後述する複合シート1の製造方法において、第1接合部4を形成する工程(中間体製造工程)と第2接合部5を形成する工程(接合工程)との間で、被加工シート(複合シート中間体1’)における凹凸パターンの位相をずらさずに該被加工シートを搬送することが可能であり、それによって、第1接合部4が形成された複合シート中間体1’の所定部位に第2接合部5をより高精度で形成することが可能となる。
【0039】
また、後述する複合シート1の製造方法において、第1接合部4を形成する工程(中間体製造工程)と第2接合部5を形成する工程(接合工程)との間で、被加工シート(複合シート中間体1’)における凹凸パターンの位相をずらさないようにする観点から、製造装置10は下記構成A又はBを具備していることが好ましい。
・構成A:製造装置10における各ロール11,21,22,31,41は、同一の駆動源からの駆動力が公知のギアや歯付ベルト転動体等により伝達されることによって、同期して回転するように設けられている。
・構成B:製造装置10は、各ロール11,21,22,31,41と同数のサーボモーターを備え、各ロールと各サーボモーターとが1対1で接続されており、各ロールの回転を該ロールに接続されたサーボモーターで制御可能になされている。
【0040】
以上の構成を有する製造装置10を用いた複合シート1の製造方法について説明する。先ず、図示しないロール状の原反から、上層2の形成材料である帯状の第1のシート状物2’を繰り出し、また、図示しない別のロール状の原反から、下層3の形成材料である帯状の第2のシート状物3’を繰り出す。そして、
図3に示すように、繰り出された第1のシート状物2’を、第1のロール11と第2のロール21との噛み合わせ部に噛み込ませて、第1のシート状物2’に凹凸を賦形する(凹凸賦形工程)。
【0041】
斯かる第1のシート状物2’の凹凸賦形により、第1のシート状物2’には、両ロール11,21を噛み合わせたときのロール11の複数の凸部14による押圧によって形成された複数の凹部(被押圧部)が、前述した複合シート1における第1接合部4の規則的なパターン、即ち、「シートの一面に複数の仮想的な六角形をハニカム状に配置し且つ複数の該六角形それぞれの6つの頂部に所定形状(平面視四角形形状)の第1接合部4を配置したパターン」と同じパターンで形成されると共に、6個の前記凹部(被押圧部)によって包囲された平面視六角形形状の複数の領域それぞれに、凸状部が形成される。こうして凹凸賦形された第1のシート状物2’において、複数の前記凹部(被押圧部)の底部、即ち、第1のロール11の凸部14の先端部との接触部は、次工程(中間体製造工程)で複合シート1における第1接合部4となる部位であり、また、前記平面視六角形形状の領域に形成された凸状部は、最終的に複合シート1における凸状部6となる部位である。
【0042】
前記凹凸賦形工程においては、第1のロール11を先に述べたように吸引しておく。吸引は、第1のロール11と第2のロール21との噛み合い部から、第1のシート状物2’と第2のシート状物3’との合流部を越えて、第1のロール11と第4のロール41との最近接部(複合シート中間体1’の転写部)までの間で行われるように制御されている。従って、第1のロール11と第2のロール21との噛み合いによって凹凸賦形された第1のシート状物2’は、第1のロール11における凸部非形成領域13Bに形成された空隙部16に働く吸引力によって、該ロール11の周面に密着し、その凹凸賦形された状態が保持される。吸引を行わない場合には、第1のシート状物2’が第1のロール11の周面から浮き上がってしまい、結果として所望の凹凸形状を有するシートを得ることができない。
【0043】
次いで、
図3に示すように、第1のロール11の周面に第1のシート状物2’を凹凸賦形された状態のまま保持しつつ、該第1のシート状物2’に、別途繰り出されている第2のシート状物3’を重ね合わせ、該第2のシート状物3’を、該第1のシート状物2’における第1のロール11の凸部14に対応する部分〔前記凹部(被押圧部)の底部〕にて接合して第1接合部4(
図2参照)を複数形成し、複合シート中間体1’を得る(中間体製造工程)。
【0044】
本実施態様においては、前記中間体製造工程において第2のシート状物3’を第1のシート状物2’に接合させる方法として、
図3に示すように、第1のシート状物2’に第2のシート状物3’を重ね合わせたものを、第1のロール11とアンビルロール22との間で挟圧する方法を採用している。第1のロール11及びアンビルロール22の両方又はアンビルロール22のみは、予め所定温度に加熱されており、斯かるロール11,22間の挟圧によって、第1のロール11における凸部形成領域13A(
図4参照)の凸部14上(即ち各歯車11aの歯の上)に位置する第1のシート状物2’が、第2のシート状物3’と熱融着によって接合され、その熱融着部が第1接合部4となる。
【0045】
尚、
図2には、複合シート1の複数の第1接合部4と第1のロール11(歯車群13)の各部との対応関係が示されている。
図2に示すように、複合シート1は、Y方向(MD)に延びる列13’がX方向(CD)に3列連なっている部分を有しているところ、この複合シート1の列13’は、それぞれ、前記凹凸賦形工程及び前記中間体製造工程において、第1のロール11の一組の歯車群13を用いて形成された領域である。また、複合シート1の各列13’は、Y方向に延びる列13A’,13B’がX方向に3列連なって形成されているところ、列13A’は、前記凹凸賦形工程及び前記中間体製造工程において、第1のロール11の凸部形成領域13Aを用いて形成された領域であり、列13B’は、前記凹凸賦形工程及び前記中間体製造工程において、第1のロール11の凸部非形成領域13Bを用いて形成された領域である。複合シート1の列13A’には、凸部形成領域13Aの凸部14(歯車11aの歯)に対応して、複数の第1接合部4がY方向に所定間隔(ロール11の回転方向に隣接する2個の凸部14,14の間隔に相当する間隔)をおいて複数形成されている。一方、前述したように、凸部非形成領域13Bには凸部14が形成されていないため、複合シート1の列13B’には、第1接合部4は形成されない。また、複合シート1の複数の凸状部6は、それぞれ、前記凹凸賦形工程及び前記中間体製造工程において、第1のロール11の一組の歯車群13と、該一組の歯車群13とロール11の回転軸方向に隣接する他の二組の歯車群13それぞれの該一組の歯車群13寄りの凸部形成領域13Aとで画定される。
【0046】
本実施態様においては、第1のロール11及び第3のロール31それぞれと周面どうしが対向するように配された第4のロール41を用い、
図3に示すように、前記中間体製造工程で得られた複合シート中間体1’を、第1のロール11の周面から第4のロール41の周面へ直接転写して第4のロール41の周面で保持し、更に、第4のロール41の周面から第3のロール31の周面へ直接転写する。
【0047】
即ち、帯状の複合シート中間体1’は、先ず、その第1のシート状物2’側が第1のロール11の周面に吸引保持された状態のまま、第1のロール11の回転により、第4のロール41との最近接部まで搬送され、該最近接部にて第4のロール41の周面上に転写される。こうして第4のロール41の周面上に転写された帯状の複合シート中間体1’は、その第2のシート状物3’側が第4のロール41の周面に吸引保持された状態のまま、第4のロール41の回転により、第3のロール31との最近接部まで搬送され、該最近接部にて第3のロール31の周面上に転写される。第4のロール41から第3のロール31への転写は、複合シート中間体1’の凹凸のある第1のシート状物2’側が第3のロール31の周面側になるよう行われる。
【0048】
第3のロール31(回転体33)の周面の凹凸形状は、複合シート中間体1’における、前記凹凸賦形工程にて凹凸賦形された第1のシート状物2’側と噛み合い形状となっている。そのため、第3のロール31の周面上に転写された帯状の複合シート中間体1’は、
図3に示すように、その凹凸賦形された第1のシート状物2’側が、第3のロール31の周面に吸引保持された状態となる。斯かる複合シート中間体1’の保持状態において、該複合シート中間体1’の第1のシート状物2’における複数の前記凸状部、即ち、6個の第1接合部4によって包囲された平面視六角形形状の複数の領域に形成された複数の凸状部は、それぞれ、第3のロール31の周面における、凸部35で包囲された平面視六角形形状の複数の凹部34内に挿入された状態となる。複合シート中間体1’の前記凸状部が第3のロール31の凹部34内に挿入されたときに潰れないようにする観点から、凹部34の深さは、該凸状部の高さ、即ち、第1のロール11の凸部14(歯車11aの歯)の高さと同じか、該高さよりも大きいことが好ましい。
【0049】
次いで、複合シート中間体1’の第1のシート状物2’側を第3のロール31の周面に保持させた状態で、該複合シート中間体1’を構成する両シート状物2’,3’を、第3のロール31の凸部35に対応する部分にて接合して、該複合シート中間体1’に第2接合部5(
図2参照)を形成する(接合工程)。この接合工程において、複合シート中間体1’は、その凹凸賦形された第1のシート状物2’側と第3のロール31(回転体33)の周面の凹凸形状とが噛み合った状態で該周面に保持される。
【0050】
本実施態様においては、第3のロール31の周面に保持された状態の複合シート中間体1’に対し、該周面に対向配置された超音波シール装置としての接合手段40により、複合シート中間体1’の第2のシート状物3’側から超音波シールを行うことによって、両シート状物2’,3’それぞれにおける、第3のロール31の凸部35に対応する部分を融着させて接合し、予め形成されている複数の第1接合部4の全てと重なるように連続する、第2接合部5を形成する。要するに、全ての第1接合部4は、第2接合部5と重なっている。尚、第1接合部4及び第2接合部5の配置によって、シートの側部や端部において、第2接合部5と重ならない第1接合部4が存在することがあるが、それ以外の箇所において第1接合部4が必ず第2接合部5と重なっている場合には、「全ての第1接合部4は、第2接合部5と重なっている。」と言える。
【0051】
以上の方法によって、
図1及び
図3に示す複合シート1が得られる。本実施態様の複合シートの製造方法は、前述したように、本出願人の先の出願に係る特許文献4に記載の複合シートの製造方法の改良に関するものであり、本実施態様の製造方法の実施により得られた複合シート1は、特に、外観及び強度が改良されている。即ち、本実施態様の製造方法においては、前記中間体製造工程で得られた、一面側(第1のシート状物2’側)に複数の第1接合部4が散点状に規則的なパターンで形成された複合シート中間体1’の該一面側に、該中間体製造工程の後工程である前記接合工程にて、第1接合部4のパターンとは異なる別のパターン(1個の第1接合部4とこれに隣接している他の1個の第1接合部4とを繋ぐパターン)を有する第2接合部5を追加形成しているため、最終的に得られた複合シート1は、その中間体である複合シート中間体1’(特許文献4に記載の製造方法の実施により得られる複合シート)に比して、外観(見映え)が変化・向上していると共に、接合面積の増加、及び第1接合部4と第2接合部5との重なり領域に対する2回にわたる接合処理(シール加工)の実施により、強度も向上している。
【0052】
また、複合シート1は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に好適に用いられる。吸収性物品は一般に、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を含んで構成されている。複合シート1は、吸収性物品の構成部材、例えば、表面シート、裏面シート、ファスニングテープを備えた使い捨ておむつ(いわゆる展開型の使い捨ておむつ)における該ファスニングテープの基材シート、該ファスニングテープが係合するランディングテープ用シート、ウイングを備えた生理用ナプキンにおける該ウイングの基材シートの他、メカニカルファスナのループ部材用パネル材、清掃用シート、清拭シート等としても好適に用いられる。
【0053】
また、本実施態様の製造装置10によれば特許文献1に記載の技術と異なり、凸状部6の如き複合シートの凸状部を、所望のピッチで且つ一定の大きさで再現性良く形成できるという利点がある。また、歯車11a間に空隙部16を設けることにより使用する凹凸ロールの周面形状を損なわないため、特に小ピッチで多数の小さな凸状部を確実に形成できるという利点もある。更に、歯車の組み合わせや幅を変更するだけの簡単な操作で、凸状部のピッチや大きさを自由に変更できる。小ピッチの小凸状部を多数形成できることは、肌触りが良好で、クッション感が高く、視覚的な印象の良い表面シートを得る点から有利である。
【0054】
図7には、本発明の製造方法の実施によって得られる複合シートの変形例が示されている。これらの変形例については、前述した複合シート1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、複合シート1についての説明が適宜適用される。
図7に示す複合シート1A〜1Dは、何れも、第2接合部5が、1個の第1接合部4とこれに隣接している他の1個の第1接合部4とを繋ぐパターンで形成されている点で、前述した複合シート1と共通している。複合シート1A〜1Dと複合シート1とは、第2接合部5のパターン以外は同様に構成されている。また、
図7に示す複合シート1A〜1Dにおける第2接合部5は、X方向(CD)及びY方向(MD)の両方向に交差する方向に延びる直線状部を含んで構成されている点で共通している。また、前述した複合シート1における第2接合部5は、複数の第1接合部4の全てと重なるように連続していたが、
図7に示す複合シート1A〜1Dにおける第2接合部5は何れもそのようには連続しておらず、複合シート1A〜1Dにおいては、複数の第1接合部4のうちの一部のみと重なる第2接合部5が複数形成されている。
図7に示す複合シート1A〜1Dによっても、前述した複合シート1と同様の効果が奏される。
【0055】
図7(a)に示す複合シート1Aにおいては、第2接合部5は、X方向及びY方向の両方向に交差する方向に隣接する、2個の第1接合部4,4間に亘って形成された直線状部51を複数本含んで構成されている。複数本の直線状部51は、何れも同一方向に延びていて長さが同じであり、また、1個の第1接合部4からは1本の直線状部51のみが延びていて、2本以上の直線状部51は延びていない。
【0056】
図7(b)に示す複合シート1Bにおいては、第2接合部5は、複数本の直線状部51に加えて更に、2個の第1接合部4,4間に亘って形成された直線状部52を複数本含んで構成されている。直線状部52と重なる2個の第1接合部4,4は、X方向及びY方向並びに直線状部51の延びる方向の3方向に交差する方向に、互いに隣接している。また、複合シート1Bにおいては、直線状部51がY方向に所定間隔を置いて複数本形成されている領域Pと、直線状部52がY方向に所定間隔を置いて複数本形成されている領域Qとが、X方向に交互に形成されている。X方向に隣接する直線状部51と直線状部52とはY方向と平行な仮想直線(図示せず)を基準に線対称の関係にある。
【0057】
図7(c)に示す複合シート1Cにおいては、第2接合部5は、Y方向に千鳥状に配置された複数の第1接合部4からなる接合部列において、複数の該第1接合部4を通ってY方向に延びる連続線状部53を複数本含んで構成されている。各連続線状部53は、X方向及びY方向の両方向に交差する方向に延びる2種類の直線状部53a,53bがY方向に間隔を置かずに連なって形成されており、平面視ジグザグ状をなしている。X方向に隣り合う2本の連続線状部53,53は、2本の該連続線状部53,53間の中央を通ってY方向に延びる1本の仮想直線(図示せず)を介して線対称の関係にある。
【0058】
図7(d)に示す複合シート1Dにおいては、第2接合部5は、複数の第1接合部4を通ってX方向に延びる連続線状部54を複数本含んで構成されている。各連続線状部54は、X方向及びY方向の両方向に交差する方向に延びる2種類の直線状部54a,54b並びにX方向に延びる直線状部54cがX方向に間隔を置かずに連なって形成されている。
【0059】
本発明は前記実施態様に制限されない。例えば、第1のロール11の構成(歯車群の構成、周面の凹凸形状等)は前記実施態様に制限されず、製造目的物である複合シートにおける凹凸形状に応じて適宜変更可能である。また、第2のロール21は、第1のロール11と噛み合い形状であれば良く、第1のロール11と同様に構成されていなくても良い。本発明には、特許文献4に記載の製造装置に関する技術を適宜適用することができる。
【0060】
また、前記実施態様において、接合手段40は超音波シール装置であったが、本発明に係る接合手段はこれに制限されず、アンビルロール22と同様の構成のロール(ヒートロール)であっても良い。また、アンビルロール22に代えて、接合手段40と同様の構成の超音波シール装置を用いても良い。
【0061】
前述した本発明の実施態様に関し、更に以下の付記(複合シートの製造方法及び複合シート)を開示する。
【0062】
<1> 第1及び第2の2枚のシート状物が部分的に接合されて接合部が形成されており、第1のシート状物が該接合部以外の部分において突出して、内部が空洞となっている複数の凸状部を形成している複合シートの製造方法であって、
周面が凹凸形状となっている第1のロールと、該第1のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2のロールとを用い、両ロール間の噛み合わせ部に前記第1のシート状物を噛み込ませて該第1のシート状物に凹凸を賦形する凹凸賦形工程と、
前記第1のロールの周面に前記第1のシート状物を凹凸賦形された状態のまま保持しつつ、該第1のシート状物に前記第2のシート状物を重ね合わせ、該第2のシート状物を、該第1のシート状物における該第1のロールの凸部に対応する部分にて接合して第1接合部を複数形成し、複合シート中間体を得る中間体製造工程と、
前記第1のロールの凹凸形状とは異なる凹凸形状を周面に有する第3のロールを用い、前記複合シート中間体の前記第1のシート状物側を該第3のロールの周面に保持させた状態で、該複合シート中間体を構成する前記両シート状物を、該第3のロールの凸部に対応する部分にて接合して、該複合シート中間体に第2接合部を形成する接合工程と、を有し、
前記第2接合部は、1個の前記第1接合部とこれに隣接している他の1個の前記第1接合部とを繋ぐパターンで形成されている、複合シートの製造方法。
【0063】
<2> 前記第1のロール及び前記第3のロールそれぞれと周面どうしが対向するように配された第4のロールを用い、前記中間体製造工程で得られた該複合シート中間体を、該第1のロールの周面から該第4のロールの周面へ直接転写して該第4のロールの周面で保持し、更に、該第4のロールの周面から該第3のロールの周面へ直接転写する前記<1>記載の複合シートの製造方法。
<3> 前記第1、第3及び第4のロールは、それぞれ、ロール内部側からの吸引によってその周面にシートを保持可能に構成されている前記<2>記載の複合シートの製造方法。
<4> 前記第3のロールの周面の凹凸形状は、その周面に前記複合シート中間体における前記第1のシート状物の凹凸を受け入れ可能な形状となっており、
前記接合工程において、前記複合シート中間体は、その凹凸賦形された前記第1のシート状物側と前記第3のロールの周面の凹凸形状とが噛み合った状態で該周面に保持される前記<1>〜<3>の何れか一項に記載の複合シートの製造方法。
【0064】
<5> 前記第1のロール及び前記第3のロールそれぞれの周面を仮想的に平面状に展開して重ね合わせた場合に、該第1のロールの周面における、該第1のロールの凹凸形状による押圧によって被加工シートに形成される複数の凸状部それぞれを画定する、複数の凸部で囲まれた領域の中心と、該第3のロールの周面における凹部の中心とが一致するようになされている前記<4>記載の複合シートの製造方法。
<6> 前記第1のロールは、同じモジュールの平歯車からなる歯車及びスペーサーをそれぞれ複数枚組み合わせ、これらの歯車及びスペーサーを該ロールの回転軸に同心状に取り付けてロール状に形成したものである前記<1>〜<5>の何れか一項に記載の複合シートの製造方法。
<7> 前記第1のロールと周面どうしが対向するように配されたアンビルロールを用い、且つ該第1のロール及び該アンビルロールの両方又は該アンビルロールのみを予め所定温度に加熱しておき、前記中間体製造工程において、前記第1のシート状物に前記第2のシート状物を重ね合わせたものを、該第1のロールと該アンビルロールとの間で挟圧する前記<1>〜<6>の何れか一項に記載の複合シートの製造方法。
<8> 前記接合工程において、前記第3のロールの周面に保持された状態の前記複合シート中間体に対し、該複合シート中間体の前記第2のシート状物側から超音波シールを行う前記<1>〜<7>の何れか一項に記載の複合シートの製造方法。
【0065】
<9> 第1及び第2の2枚のシート状物が部分的に接合されて接合部が形成されており、第1のシート状物が該接合部以外の部分において突出して、内部が空洞となっている複数の凸状部を形成している複合シートであって、
前記接合部として、散点状に規則的なパターンで形成されている複数の第1接合部と、互いに隣接する複数の該第1接合部どうしを繋ぐ第2接合部とを有する複合シート。
【0066】
<10> 複数の前記凸状部は千鳥状に配置されている前記<9>記載の複合シート。
<11> 前記第1接合部の規則的なパターンは、前記複合シートの一面に複数の仮想的な多角形を隙間無く配置し且つ複数の該多角形それぞれの全ての頂部に所定形状の該第1接合部を配置したパターンである前記<9>又は<10>記載の複合シート。
<12> 全ての前記第1接合部は、前記第2接合部と重なっている前記<11>記載の複合シート。
<13> 前記第2接合部は、前記複合シートの製造時におけるシートの搬送方向及び該搬送方向と直交する方向の両方向に交差する方向に延びる直線状部を含んで構成されている前記<11>又は<12>記載の複合シート。
【0067】
<14> 前記パターンは、前記複合シートの一面に複数の仮想的な六角形(略正六角形)をハニカム状に配置し且つ複数の該六角形それぞれの6つの頂部に平面視四角形形状の前記第1接合部を配置したパターンである前記<11>〜<13>の何れか一項に記載の複合シート。
<15> 前記第2接合部よって包囲された領域は、平面視六角形をなしている前記<11>〜<14>の何れか一項に記載の複合シート。
<16> 前記凸状部は、平面視六角形を形作る6個の前記第1接合部とこれら6個の第1接合部を繋ぐように連続する平面視六角形形状の前記第2接合部とによって包囲されており、平面視して略六角形形状の略六角柱をなしている前記<11>〜<15>の何れか一項に記載の複合シート。
【0068】
<17> 前記第2接合部を構成する複数本の前記直線状部は、何れも同一方向に延びていて長さが同じであり、また、1個の前記第1接合部からは1本の該直線状部のみが延びていて、2本以上の該直線状部は延びていない前記<13>記載の複合シート。
<18> 前記直線状部がMD(前記複合シートの製造時におけるシートの搬送方向)に所定間隔を置いて複数本形成されている領域Pと、該領域Pにおける該直線状部とは異なる方向に延びる、他の前記直線状部がMDに所定間隔を置いて複数本形成されている領域Qとが、CD(MDと直交する方向)に交互に形成されており、CDに隣接する該直線状部と他の該直線状部とは、MDと平行な仮想直線を基準に線対称の関係にある前記<13>記載の複合シート。
<19> 前記第2接合部は、MDに千鳥状に配置された複数の前記第1接合部からなる接合部列において、複数の該第1接合部を通ってMDに延びる連続線状部を複数本含んで構成されている前記<13>記載の複合シート。
<20> 前記連続線状部は平面視ジグザグ状をなしている前記<19>記載の複合シート。
<21> 前記第2接合部は、複数の前記第1接合部を通ってCDに延びる連続線状部を複数本含んで構成されている前記<13>記載の複合シート。
【0069】
<22> 前記複合シートは吸収性物品用の表面シートとして用いられる前記<9>〜<21>の何れか一項に記載の複合シート。
<23> 前記複合シートには、パターンの異なる2種類の前記接合部として、前記第1接合部及び前記第2接合部が形成されている前記<9>〜<22>の何れか一項に記載の複合シート。
<24> 前記第1接合部及び前記第2接合部においては、前記第1及び第2のシート状物それぞれの構成繊維が溶融してフィルム状をなしている前記<9>〜<23>の何れか一項に記載の複合シート。