特許第5961489号(P5961489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961489沈殿池の補修工事方法及び補修工事用補助装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961489
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】沈殿池の補修工事方法及び補修工事用補助装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20160719BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20160719BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20160719BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20160719BHJP
   E03F 11/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B01D21/02 P
   B01D21/24 D
   B01D21/00 D
   B01D21/24 T
   E03F7/00
   E03F11/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-187801(P2012-187801)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-42895(P2014-42895A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504036291
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101306
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−290847(JP,A)
【文献】 特開平8−132087(JP,A)
【文献】 特開2011−27129(JP,A)
【文献】 特開2000−87383(JP,A)
【文献】 特開2005−180569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/02−34
E03F 1/00−11/00
E02D 5/00−20
C02F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導水渠の原水の流れ方向に沿ってその導水渠に隣接して多数の池を配置して構成される沈殿池の補修工事方法であって、
前記多数の池のうち、補修工事対象の池に対応した導水渠の上流側及び下流側にその導水渠の水流を閉止する仮止水壁をそれぞれ設置した後、それら仮止水壁間の導水渠内及びその補修工事対象の池から水を抜き、次いで、それら仮止水壁間に設けられた連絡管を開通させてその補修工事対象の池の下流側に位置する池に原水を供給しながら補修工事を行うことを特徴とする沈殿池の補修工事方法。
【請求項2】
導水渠の原水の流れ方向に沿ってその導水渠に隣接して多数の池を配置して構成される沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置であって、
前記多数の池のうち、補修工事対象の池に対応した導水渠の上流側及び下流側にそれぞれ設置され、その導水渠の水流を閉止する一組の仮止水壁と、
前記一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁と、
前記一組の仮止水壁のそれぞれに取り付けられている開閉弁間に接続される連絡管と、を有することを特徴とする沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置。
【請求項3】
前記一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁は複数個であり、それら開閉弁間に接続される連絡管も複数個であることを特徴とする請求項2に記載の沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置。
【請求項4】
前記一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁は、それら一組の仮止水壁が前記導水渠に設置されたときに、前記補修工事対象の池側から離れた側に寄って設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理施設の最初沈殿池や最終沈殿池等の沈殿池の補修工事方法及びその補修工事で使用される補修工事用補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の沈殿池内には、沈殿した汚泥を沈殿池底面の一端側に設けられているピットに移動して排出するためのブレード付きの無端チェーン機構や、浮上スカムを排出するための回転するパイプスキマ機構等の機器類が設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、沈殿池が下水処理施設に設けられる場合は、多数の池の集合体で構成されているとともに、各池には、上述の機器類がそれぞれ設けられている。そして、各池は、被処理水に当たる下水(原水)の流れる導水渠に隣接して配置されている。すなわち、各池は、導水渠の水流に沿う方向でその導水渠に隣接して多数配置して構成されていて、導水渠からそれぞれの池に原水が供給されるように構成されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185625号公報
【特許文献2】特開平11−290847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の導水渠に多数の池を接続して構成される沈殿池においては、各池に設けられている機器類の交換や修理、あるいは池本体の修理等の補修工事時には池から水を抜いて行われる。この補修工事の際は、補修工事対象池の導水渠に設けられている流入扉等の機器類も補修対象とされるため、補修工事には、補修工事対象池に対応する箇所の導水渠を止水し、そしてその止水部分の導水渠からの水抜きも行われるので、その補修工事対象の池以外の下流側の全ての池に対する原水の供給が停止され、沈殿池の稼働効率が低下するという欠点を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、沈殿池の補修工事時に沈殿池の稼働効率低下を極力防止することのできる沈殿池の補修工事方法及びその補修工事で使用される補修工事用補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、課題を解決する一手段として例えば以下の沈殿池の補修工事方法とする。
即ち、上記目的を達成するために、導水渠の原水の流れ方向に沿ってその導水渠に隣接して多数の池を配置して構成される沈殿池の補修工事方法であって、前記多数の池のうち、補修工事対象の池に対応した導水渠の上流側及び下流側にその導水渠の水流を閉止する仮止水壁をそれぞれ設置した後、それら仮止水壁間の導水渠内及びその補修工事対象の池から水を抜き、次いで、それら仮止水壁間に設けられた連絡管を開通させてその補修工事対象の池の下流側に位置する池に原水を供給しながら補修工事を行うことを特徴としている。
【0008】
上記構成からなる沈殿池の補修工事方法は、補修工事対象の池に対応した導水渠部分が仮止水壁により区切られるとともに、その区切られた導水渠及び補修工事対象の池の水が抜き取られる。そして、仮止水壁間に設けられた連絡管を介してその補修工事対象の池の下流側に位置する池に原水が供給される。したがって、補修工事対象の池の下流側に位置する池を稼働することができるので、補修工事時における沈殿池の稼働効率低下を極力防止することができる。
【0009】
更に、上記課題を解決する一手段として、補修工事で使用される補修工事用補助装置は、導水渠の原水の流れ方向に沿ってその導水渠に隣接して多数の池を配置して構成される沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置であって、前記多数の池のうち、補修工事対象の池に対応した導水渠の上流側及び下流側にそれぞれ設置され、その導水渠の水流を閉止する一組の仮止水壁と、前記一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁と、前記一組の仮止水壁のそれぞれに取り付けられている開閉弁間に接続される連絡管とを有することを特徴としている。
【0010】
上記構成からなる補修工事用補助装置は、一組の仮止水壁、開閉弁及び連絡管で構成されるので、簡単な構成であるため容易に、かつ安価に実施することができる。また、この補修工事用補助装置一式を用意しておけば各池の補修工事に対処することができる。
【0011】
または、上記課題を解決するための補修工事で使用される補修工事用補助装置は、一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁は複数個であり、それら開閉弁間に接続される連絡管も複数個であることを特徴としている。
【0012】
上記構成からなる補修工事用補助装置は、開閉弁及び連絡管が複数個からなるので、補修工事対象の池の下流側に位置する池に対する原水供給量を容易に調整することができる。
【0013】
または、上記課題を解決する補修工事で使用される補修工事用補助装置は、一組の仮止水壁のそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁は、それら一組の仮止水壁が導水渠に設置されたときに、補修工事対象の池側から離れた側に寄って設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記構成からなる補修工事用補助装置は、開閉弁は補修工事対象の池側から離れた側に寄って設けられているので、導水渠に設けられている機器類の補修工事の作業スペースを十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る沈殿池の補修工事方法は、沈殿池の補修工事時における沈殿池の稼働効率低下を極力防止することができ、また、本発明に係る補修工事で使用される補修工事用補助装置は、構造が簡単で容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る一実施の形態に係る沈殿池の補修工事方法を実施する前の下水処理施設を説明するための図であり、図1(a)は本実施の形態に係る沈殿池の補修工事方法を実施する前の下水処理施設の一部の平面図、図1(b)は(a)のX1−X1線断面図である。
図2図2(a)は沈殿池の2号池の補修工事時の平面図、図2(b)は図2(a)のX2−X2線断面図である。
【0017】
図3図3(a)は沈殿池の2号池の補修工事時の平面図、図3(b)は図3(a)のX3−X3線断面図である。
図4図4(a)は沈殿池の2号池の補修工事時の平面図、図4(b)は図4(a)のX4−X4線断面図である。
図5図5(a)は沈殿池の2号池の補修工事時の平面図、図5(b)は図5(a)のX5−X5線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施の形態例に係る沈殿池の補修工事方法及びその補修工事で使用される補修工事用補助装置を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明に係る一実施の形態例の沈殿池の補修工事方法を実施する前の下水処理施設の一部の平面図、図1(b)は同図(a)のX1−X1線断面図である。
【0019】
下水処理施設は、導水渠a、沈殿池b及び曝気槽cを含んで構成されている。実際の下水処理施設には、これら構成要素以外に汚泥処理装置等の多くの処理装置が含まれているが、本発明の説明に直接関係しないので省略されている。
【0020】
導水渠aは直線状の水路からなり、その一端側から他端側に向けて原水が流れるように構成されている。図1(a)の例では、右端側から左端側に向けて原水が流れるように構成されている。
【0021】
沈殿池bは、多数の池b1,b2…の集合体で構成されている。そして、各池b1,b2…は、導水渠aに隣接して配置されている。すなわち、各池b1,b2…は、導水渠aの水流方向に沿ってその導水渠aに隣接して配置されていて、各池b1,b2…に対応して開口されている開口部1,1…を介して導水渠aからそれぞれの池b1,b2…に原水が供給されるように構成されている。
【0022】
各開口部1,1…の導水渠a側には、流入扉2,2…がそれぞれ設けられている。これら流入扉2,2…は、図示しない上下動機構により上下動できるように構成されていて、流入扉2が降下されたときには、池への原水の供給が停止できるように構成されている(図1(b)の2点鎖線で示される流入扉2参照)。なお、図2(a),(b)以降の図面においては、図面を簡略化するために流入扉2は省略されている。
【0023】
各池b1,b2…には、周知の池と同様に、図示しないが、沈殿した汚泥を池底面の一端側(導水渠a側)に設けられているピットに移動して排出するためのブレード付きの無端チェーン機構や、浮上スカムを排出するための回転するパイプスキマ機構等の機器類が設けられている。また、各池b1,b2…自体の構造は、沈殿部を一段とした通常の形式の他に、敷地面積を有効に利用するために沈殿部を上下に二段にした形式のものを採用することもできる。
【0024】
なお、図1(a)の例では、沈殿池bは導水渠aの流れ方向の一方側(図1(a)の例では下側)に並設されているが、実際の沈殿池では、導水渠aの流れ方向の他方側(図1(a)の例では上側)にも並設され、一つの導水渠aに対して池数が数十に及ぶことがある。以下、説明の便宜上、「池b1」を「1号池」、「池b2」を「2号池」、「池b3」を「3号池」として説明する場合もある。
【0025】
曝気槽cは、周知の曝気槽と同様に、沈殿池bの処理水である上澄水を受け入れて生物処理できるように構成されている。この曝気槽cで処理された処理水は、図示しない最終沈殿池で処理された後、塩素滅菌処理等の処理を受けて放流される。
【0026】
以下、図2(a),(b)〜図5(a),(b)を用いて本発明の沈殿池の補修工事で使用される補修工事用補助装置について説明する。
【0027】
補修工事用補助装置は、一組の仮止水壁10a,10bと、それら仮止水壁10a,10bに取り付けられている開閉弁20a,20bと、それら開閉弁20a,20b間に取り付けられる連絡管30とから構成されている。
【0028】
仮止水壁10a,10bは、その幅は導水渠aの水路幅よりも少し小さく、高さはその導水渠aの深さに略等しい所定の肉厚を有する鋼板で構成されていて、導水渠aに装着されたときに導水渠aの水流を閉止できるとともに、パッキン部材等により水密が保てるように構成されている。
【0029】
また、各仮止水壁10a,10bは、後述する図2(a),(b)〜図5(a),(b)に示されるように、仮止水壁10a,10b間内の水が抜かれたときにも水圧に十分に耐えるよう構成されている。
【0030】
開閉弁20a,20bのうち、開閉弁20aは、仮止水壁10aに設けられている開孔に取り付けられ、開閉弁20bは、仮止水壁10bに設けられている開孔に取り付けられる。そして、開閉弁20aは、仮止水壁10aが導水渠aに装着されたときに沈殿池b側と反対側寄りに設けられるとともに、上下方向に所定の距離を保って複数個(図示の例では3個)設けられ、開閉弁20bは、仮止水壁10bが導水渠aに装着されたときに沈殿池b側と反対側寄りに設けられるとともに、上下方向に所定の距離を保って複数個(図示の例では3個)設けられている。
【0031】
連絡管30は、仮止水壁10aに設けられている開閉弁20aと、仮止水壁10bに設けられている開閉弁20bとの間に設けられ、合成樹脂管等の管材で構成されている。この連絡管30は、開閉弁20a,20bの数に合わせて用意され、後述する通水量に合わせて使用本数が決められる。
【0032】
上記構成からなる補修工事用補助装置の使用方法については、後述の補修工事方法で説明するが、簡単な構成で容易に、かつ安価に実施することができる特長を有している。また、この補修工事用補助装置一式を用意しておけば各池の補修工事に対処できる特長を有している。さらに、この補修工事用補助装置は、開閉弁20a,20b及び連絡管30が複数個からなるので、補修工事対象の池の下流側に位置する池に対する原水供給量を容易に調整することができ、しかも、一組の仮止水壁10a,10bのそれぞれに設けられている開孔に取り付けられる開閉弁20a,20bは、それら一組の仮止水壁10a,10bが導水渠aに設置されたときに、補修工事対象池側から離れた側に寄って設けられているので、導水渠aに設けられている流入扉2等の機器類の補修工事の作業スペースを十分に確保することができる。
【0033】
上述の下水処理施設においては、各池b1,b2…の各開口部1,1…が開かれていて導水渠aから各池b1,b2…に原水が供給されて所定の沈殿処理が行われる(図1(a),(b)参照)。なお、図1(a)中の矢印は水の流れを示している。図2(a)、図3(a)、図4(a)及び図5(a),(b)中の矢印も同様である。
【0034】
次に、上述した補修工事用補助装置を用いた沈殿池の補修工事方法について、図2(a),(b)〜図5(a),(b)を用いて説明する。
【0035】
図2(a),(b)]
今、2号池b2が補修工事対象の池とされたとする。この場合、先ず、2号池b2の開口部1が流入扉2で閉止される(図1(b)の2点鎖線で示される流入扉2参照)。次いで、仮止水壁10a,10bが導水渠aに設置される。これにより、1号池b1及び2号池b2は稼働停止され、3号池b3及びこの3号池b3よりも上流側の池は稼働状態に保たれている。
【0036】
仮止水壁10aは、1号池b1及び2号池b2の境界を画す壁位置に対応する位置に設置され、そして仮止水壁10bは、2号池b2及び3号池b3の境界を画す壁位置に対応する位置に設置される。すなわち、仮止水壁10aは、補修工事対象の池の2号池b2に対応した導水渠aの下流側に設置され、仮止水壁10bは、補修工事対象の池の2号池b2に対応した導水渠aの上流側に設置される。この状態における各仮止水壁10a,10bに取り付けられている開閉弁20a,20bは、閉止状態とされている。なお、図中の黒塗りのバルブ記号は閉止状態を示し、白抜きのバルブ記号(後述する図5(a),(b)参照)は開放状態を示している。
【0037】
図3(a),(b)]
導水渠aに仮止水壁10a,10bが設置された後、2号池b2及び仮止水壁10a,10b間に位置する導水渠a内の水抜きが行われる。この水抜きは、2号池b2の排泥用のピットに設けられている図示しない水抜き用弁を開放して行われる。この水抜き用弁を介して仮止水壁10a,10b間に位置する導水渠a内の水抜きも行われる。なお、必要に応じて流入扉2が開放されて仮止水壁10a,10b間に位置する導水渠a内の水抜きが行われる。
【0038】
図4(a),(b)]
上述の水抜き終了後、仮止水壁10aに設けられている開閉弁20aと、仮止水壁10bに設けられている開閉弁20bとの間に連絡管30が取り付けられる。取り付けられる連絡管30の数は、補修工事対象の池の下流側に位置する池で必要とする原水量によってきめられる。図示の例では、全ての開閉弁20a,20bに連絡管30が取り付けられることを示すために3本の連絡管30が取り付けられているが、補修工事対象の池の下流側に位置する池数が少ないときは連絡管30の取り付け本数は少なくてよい。
【0039】
図5(a),(b)]
上述の連絡管30の取り付け終了後、開閉弁20a,20bが開放される。これにより、補修工事対象の池である2号池b2の下流側に位置する1号池b1に連絡管30を介して原水の供給が再開されて1号池b1の沈殿処理が再開される。したがって、沈殿池の補修工事時に沈殿池の稼働効率低下を極力防止することができる。
【0040】
上述の連絡管30を介して2号池b2の下流側に位置する1号池b1をも稼働させつつ2号池b2内に設けられている機器類の修理や交換等の補修工事が行われるとともに、必要に応じて2号池b2の槽本体の補修が行われる。また、必要に応じて2号池b2の開口部1を開閉する導水渠a内に設けられる流入扉2の修理や交換等の補修工事が行われる。したがって、本発明で「沈殿池の補修工事」というときは、池内の補修工事だけでなく、その池に対応した導水渠a内の補修工事も含まれている。
【0041】
上述の補修工事終了後は、上述した順序と逆の作業が行われて2号池b2の沈殿処理が再開される。すなわち、2号池b2の開口部1の流入扉2が閉止された状態で開閉弁20a,20bが閉止された後、連絡管30が取り外され、次いで、導水渠aから仮止水壁10a,10bが引き出される。そして、2号池b2の開口部1の流入扉2が開放されて2号池b2内に原水が供給される。
【0042】
以上、本発明に係る一発明の実施の形態例の沈殿池の補修工事方法及びその補修工事で使用される補修工事用補助装置について図面を参照して詳説したが、具体的な構成は、上記実施の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において設計変更等が可能である。
【0043】
例えば、上述の説明では、仮止水壁10a,10bを導水渠a内に設置後、それら仮止水壁10a,10b間に連絡管30を接続したが、これを陸上で行うようにしてもよい。すなわち、予め陸上で連絡管30を接続した仮止水壁10a,10bを導水渠a内に設置するようにしてもよい。また、このように予め陸上で連絡管30を接続する場合は、開閉弁20a,20bを省略することができる。したがって、本実施の形態例では、予め陸上で仮止水壁10a,10間に連絡管30を接続する場合、及び開閉弁20a,20bを省略する場合をも含んでいる。
【符号の説明】
【0044】
a……導水渠
b……沈殿池
b1……池(1号池)
b2……池(2号池)
b3……池(3号池)
c……曝気槽
1……開口部
2……流入扉
10a,10b……仮止水壁
20a,20b……開閉弁
30……連絡管
図1
図2
図3
図4
図5