特許第5961491号(P5961491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961491
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】プレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/32 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   B30B1/32 Z
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-191793(P2012-191793)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-46343(P2014-46343A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】503145062
【氏名又は名称】享栄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智和
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−253598(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3077589(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ロッドをクラウンに接続し、下ロッドをベッドに対して位置固定させた両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置において、
上下に連通する貫通孔をそれぞれ設け、上下に離れて上から順に並んだチューブ当接部、使用時固定部及び運搬時固定部を有するロッド受け部をベッドに設け、
プレス作業時に、チューブ当接部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを使用時固定部に着脱自在に位置固定させ、
運搬作業時に、両ロッドシリンダのチューブの下端をチューブ当接部に当接させ、前記チューブ当接部及び使用時固定部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを運搬時固定部に着脱自在に位置固定させる
ことを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
ロッド受け部は、上下に連通する貫通孔をそれぞれ設け、上下に離れて上から順に並んだ複数の使用時固定部を有し、
プレス作業時に、チューブ当接部と選択した使用時固定部より上層の使用時固定部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを前記選択した使用時固定部に着脱自在に位置固定させる請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
ロッド受け部は、使用時固定部に設けた貫通孔に両ロッドシリンダの下ロッドを貫通させ、前記下ロッドに着脱自在に装着した上下一対の拘束具で前記使用時固定部を挟むことにより、前記下ロッドを前記使用時固定部に位置固定させる請求項1又は2いずれか記載のプレス装置。
【請求項4】
ロッド受け部は、両ロッドシリンダの下ロッドに装着した上の拘束具と、前記下ロッドを位置固定した使用時固定部より上層のチューブ当接部又は使用時固定部との間に、スペーサを着脱自在に介装させる請求項3記載のプレス装置。
【請求項5】
ロッド受け部は、チューブ当接部及び運搬時固定部に設けた貫通孔に両ロッドシリンダの下ロッドを貫通させ、チューブ当接部にチューブの下端を当接させ、前記下ロッドに着脱自在に装着した拘束具を前記運搬時固定部に下方から掛合させることにより、前記下ロッドを運搬時固定部に位置固定させる請求項1〜4いずれか記載のプレス装置。
【請求項6】
ロッド受け部は、両ロッドシリンダの下ロッドに装着した拘束具と、前記下ロッドを位置固定した運搬時固定部との間に、スペーサを着脱自在に介装させる請求項5記載のプレス装置。
【請求項7】
ロッド受け部は、一対の垂直面に架け渡した複数の水平面の最上層をチューブ当接部、前記水平面の最下層を運搬時固定部、前記水平面の残余を使用時固定部とした請求項1〜6いずれか記載のプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置は、特許文献1又は特許文献2に見られるように、ポストに代えて両ロッドシリンダでクラウンを支持する。両ロッドシリンダは、チューブから下方に突出する下ロッドをベッドに対して位置固定し、前記チューブから上方に突出する上ロッドをクラウンに接続し、互いの位置関係を拘束する。このように、クラウンは、両ロッドシリンダの位置関係を拘束する働きだけで済むことから、旧来のプレス装置と比べて小型化できる。こうして、両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置は、クラウンの小型化により、全高を低くできる(特許文献1・[0033]、特許文献2・[0021])。
【0003】
プレス装置は、大型化が過ぎると運搬に際して分解することが多くなったり、屋根の低い工場に設置できなかったりする問題が起きていたので、低くできる特許文献1又は特許文献2が開示するプレス装置は好ましい。このほか、特許文献1が開示するプレス装置は、小型化できる利点を活かし、ラムの下面に2段でプレス型を取り付ける構成にしている。また、特許文献2が開示するプレス装置は、ラムが上方及び下方それぞれに等しくプレス圧を加えることを利用して、前記ラムの上面及び下面にそれぞれプレス型を割り当て、2段でプレス型を取り付ける構成にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-071493号公報
【特許文献2】特開2012-020304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置は、クラウンを小型化することにより、全高を低くしていた。しかし、例えばラムの下面にプレス型の上型を取り付け、前記プレス型の下型をベッドに固定し、前記上型を下型に対して接近離反されるプレス作業の必要上、どうしてもプレス型を設置する高さや下型に対して上型が接近離反する昇降距離の確保が必要となり、クラウンを小型化するだけでは、プレス装置を低くするには限界があった。これが、今なお次のような問題を起こしていた。
【0006】
上述のように、両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置でも、なお全高の抑制が不十分なため、製造工場からの出荷、運搬に際して横倒しにし、設置工場に到着後に再び引き起こす設置作業が必要であった。こうした出荷、運搬及び設置に際する横倒し及び引きが、思いのほか労力及び費用を要し、これが問題となっていた。プレス装置は、一度設置されると移設されることが少ないが、例えば工場移転等があれば、こうした出荷、運搬及び設置に掛かる労力及び費用の高騰という問題が再び現れる。
【0007】
このように、プレス装置の全高を低くする要望は、両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置が提供されている現在も、なお強くある。そこで、プレス装置の出荷、運搬及び設置に掛かる労力及び費用を低減することを目的として前記プレス装置の全高を低くするため、旧来のプレス装置に比べて全高の低い特許文献1又は特許文献2が開示するプレス装置、すなわち両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置を改良すべく、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、上ロッドをクラウンに接続し、下ロッドをベッドに対して位置固定させた両ロッドシリンダのチューブにラムを支持させたプレス装置において、上下に連通する貫通孔をそれぞれ設け、上下に離れて上から順に並んだチューブ当接部、使用時固定部及び運搬時固定部を有するロッド受け部をベッドに設け、プレス作業時に、チューブ当接部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを使用時固定部に着脱自在に位置固定させ、運搬作業時に、両ロッドシリンダのチューブの下端をチューブ当接部に当接させ、前記チューブ当接部及び使用時固定部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを運搬時固定部に着脱自在に位置固定させることを特徴とするプレス装置である。
【0009】
本発明のプレス装置は、ベッドに設けたロッド受け部が有する使用時固定部又は運搬時固定部のいずれかに下ロッドを着脱自在に位置固定する、すなわち下ロッドが上下に移動できないようにする。下ロッドは、ロッド受け部を介してベッドに間接的に位置固定される。また、下ロッドは、高さの異なる使用時固定部又は運搬時固定部から選択して適宜位置固定できる。本発明のプレス装置は、運搬時固定部が使用時固定部より低い位置に設けられているため、プレス作業時に、クラウンを高くする使用時固定部に下ロッドを位置固定しながら、運搬作業時に、下ロッドを運搬時固定部に位置固定し直し、使用時固定部及び運搬時固定部の高さの差だけクラウンを低くできる。
【0010】
ロッド受け部は、上下に連通する貫通孔をそれぞれ設け、上下に離れて上から順に並んだ複数の使用時固定部を有し、プレス作業時に、チューブ当接部と選択した使用時固定部より上層の使用時固定部の貫通孔を貫通させた両ロッドシリンダの下ロッドを前記選択した使用時固定部に着脱自在に位置固定させれば、プレス作業に際し、下ロッドを位置固定する使用時固定部の高さに応じて、クラウンの高さを調整できる。複数の使用時固定部の間隔は、等間隔又は不等間隔のいずれでもよい。また、使用時固定部の高さを調整自在にすると、前記使用時固定部の高さの調整に応じて、クラウンの高さを更に細かく調整できる。
【0011】
ロッド受け部は、使用時固定部に設けた貫通孔に両ロッドシリンダの下ロッドを貫通させ、前記下ロッドに着脱自在に装着した上下一対の拘束具で前記使用時固定部を挟むことにより、前記下ロッドを前記使用時固定部に位置固定させるとよい。下ロッドは、装着した上下一対の拘束具で使用時固定部を挟むことにより、上下いずれにも動かないように前記使用時固定部に位置固定される。拘束具は、下ロッドに対して着脱自在に装着できて位置ズレしなければ、構成を問わない。下ロッドは、チューブから出没するロッド本体から段差を介して縮径したロッド端部に雄ネジを形成した構成が一般的であり、上の拘束具は、下ロッドの先端部に形成された段差に下方から掛合させる環状部材、下の拘束具は、下ロッドの前記段差より下方に形成された雄ネジに螺着する雌ネジ部材として構成できる。
【0012】
更に、ロッド受け部は、両ロッドシリンダの下ロッドに装着した上の拘束具と、前記下ロッドを位置固定した使用時固定部より上層のチューブ当接部又は使用時固定部との間に、スペーサを着脱自在に介装させることが好ましい。これにより、下ロッドは、上の拘束具と上層のチューブ当接部又は使用時固定部との空間をスペーサが埋めることにより、ロッド受け部に対してがたつきなく、安定に位置固定できる。スペーサは、単体で構成してもよいが、上の拘束具と上層のチューブ当接部又は使用時固定部との空間の大半を満たすスペーサに加えて、前記空間とスペーサとの隙間を埋める多数の薄板であるシムを併用する構成がよい。
【0013】
また、ロッド受け部は、チューブ当接部及び運搬時固定部に設けた貫通孔に両ロッドシリンダの下ロッドを貫通させ、チューブ当接部にチューブの下端を当接させ、前記下ロッドに着脱自在に装着した拘束具を前記運搬時固定部に下方から掛合させることにより、前記下ロッドを運搬時固定部に位置固定させるとよい。下ロッドは、チューブ当接部にチューブの下端を当接させ、装着した拘束具を運搬時固定部に下方から掛合させることにより、上下いずれにも動かないように前記運搬時固定部に位置固定される。特に、チューブ当接部にチューブの下端を当接させることにより、両ロッドシリンダ全体が、ロッド受け部に対して安定に位置固定される。上述同様、下ロッドの一般的な構成を利用し、拘束具は、下ロッドの先端部に形成された段差に下方から掛合させる環状部材、又は下ロッドの前記段差より下方に形成された雄ネジに螺着する雌ネジ部材として構成できる。
【0014】
そして、ロッド受け部は、両ロッドシリンダの下ロッドに装着した拘束具と、前記下ロッドを位置固定した運搬時固定部との間に、スペーサを着脱自在に介装させることが好ましい。これにより、下ロッドは、拘束具と運搬時時固定部との空間をスペーサが埋めることにより、ロッド受け部に対してがたつきなく、安定に位置固定できる。スペーサは、単体で構成してもよいが、拘束具と運搬時時固定部との空間の大半を満たすスペーサに加えて、前記空間とスペーサとの隙間を埋める多数の薄板であるシムを併用する構成がよい。
【0015】
具体的なロッド受け部は、一対の垂直面に架け渡した複数の水平面の最上層をチューブ当接部、前記水平面の最下層を運搬時固定部、前記水平面の残余を使用時固定部とした構成を例示できる。垂直面及び水平面は、枠体又は板体で構成される。チューブ当接部、使用時固定部部又は運搬時固定部となる水平面は、一対の垂直面により両端支持され、下ロッドを安定して支持させる。ロッド受け部は、4枚の垂直面に水平面を架け渡して箱体構成にすると、全体の剛性を向上させ、下ロッドを更に安定に位置固定させる。4枚の垂直面のうち、少なくとも1枚を着脱自在にすれば、使用時固定部部又は運搬時固定部となる水平面に下ロッドを位置固定する作業が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプレス装置は、運搬作業時のクラウンの高さをプレス作業時に比べて低くすることにより、運搬作業に際する労力及び費用を低減できる効果を得る。これは、ロッド受け部の使用時固定部及び運搬時固定部から選択して、下ロッドを位置固定できるようにした効果である。従来のプレス装置は、クラウンが高いことから、トラックやコンテナに載せるため、製造工場からの搬出時に横倒しにし、設置工場への搬入時に再び引き起こす必要があったところ、この横倒し及び引き起こしに多大の労力及び費用を要していた。本発明のプレス装置は、運搬作業に際する労力及び費用を低減することにより、結果として設置に掛かる労力及び費用を低減する。
【0017】
また、複数の使用時固定部から選択して下ロッドを位置固定させることにより、プレス作業や設置工場の屋内高さに合わせてクラウンの高さを調整できる効果を得る。これは、下ロッドを使用時固定部及び運搬時固定部に着脱自在としたことを利用し、使用時固定部を複数にしたことの効果である。プレス装置は、一度設置すればクラウンの高さを調整することがほとんどないが、設置工場への搬入時や工場移転時に際し、プレス作業や設置工場の屋内高さの制約から、クラウンを低くしなければならなくなることもある。本発明のプレス装置は、クラウンの高さ調整ができることを利用し、結果として設置に掛かる労力及び費用を低減する。
【0018】
そして、上下一対の拘束具で使用時固定部を挟んで、上下いずれにも動かないように下ロッドを使用時固定部に位置固定することにより、ラムを支持させたチューブの昇降による下ロッドのガタツキを抑制又は防止し、プレス作業に際してラムを安定して昇降させる効果を得る。また、下ロッドの一般的な構成を利用して、上の拘束具を環状部材、下の拘束具を雌ネジ部材とすれば、雌ネジ部材である下の拘束具を締め付け、上下一対の拘束具で使用時固定部を強固に挟む込むことができる。更に、上の拘束具と上層のチューブ当接部又は使用時固定部との空間にスペーサを介装してロッド受け部に下ロッドを位置固定すれば、チューブに支持させたラムの安定した昇降をより確実にする。
【0019】
また、チューブ当接部にチューブの下端を当接させ、拘束具を運搬時固定部に下方から掛合させることにより、チューブ及び下ロッドそれぞれのガタツキを抑制又は防止し、運搬作業に際して両ロッドシリンダを安定して位置固定させる効果を得る。また、下ロッドの一般的な構成を利用して、例えば拘束具を雌ネジ部材とすれば、上述した使用時固定部に下ロッドを位置固定する下の拘束具と共用できるほか、雌ネジ部材である下の拘束具を締め付け、チューブ及び拘束具でロッド受け部のチューブ当接部から運搬時固定部を一体に強固に挟む込むことができる。更に、拘束具と運搬時固定部との空間にスペーサを介装してロッド受け部に下ロッドを位置固定すれば、両ロッドシリンダをロッド受け部に対してより安定して位置固定できる。
【0020】
一対の垂直面に水平面を架け渡して構成されるロッド受け部は、下ロッドを水平面に安定に位置固定できるほか、使用時固定部又は運搬時固定部に下ロッドを位置固定する拘束具を前記一対の垂直面に挟まれた範囲に収め、前記拘束具が外力を受けにくくする効果を有する。これから、垂直面が4枚となる箱体構成のロッド受け部は、前記4枚の垂直面により拘束具を完全に囲ってしまい、外力からの保護がより十分なものとなる。また、前記箱体構成のロッド受け部は、両ロッドシリンダから漏れ出す油を貯留し、外部へ漏らさない働きを持たせることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】下ロッドを上段の使用時固定部に固定した状態の本発明を適用したプレス装置の一例を表す正面図である。
図2】下ロッドを上段の使用時固定部に固定した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す斜視図である。
図3】下ロッドを上段の使用時固定部に固定した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図4】スペーサ、シム及び下の拘束具を外した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図5】スペーサ及びシムを表す斜視図である。
図6】下の拘束具を表す斜視図である。
図7】両ロッドシリンダを上方に引き上げた状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す斜視図である。
図8】両ロッドシリンダを上方に引き上げた状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図9】上の拘束具を表す斜視図である。
図10】両ロッドシリンダを降ろしてチューブをチューブ当接部に当接させた状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図11】下ロッドの下端に上及び下の拘束具を装着した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図12】下ロッドを運搬時固定部に掛合させた状態の本例のプレス装置を表す正面図である。
図13】下ロッドを運搬時固定部に掛合させた状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す斜視図である。
図14】下ロッドを運搬時固定部に掛合させた状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
図15】下ロッドを下段の使用時固定部に固定した状態の本例のプレス装置を表す正面図である。
図16】下ロッドを下段の使用時固定部に固定した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す斜視図である。
図17】下ロッドを下段の使用時固定部に固定した状態の両ロッドシリンダ及びロッド受け部を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明を適用したプレス装置1は、図1に見られるように、上端に設けたクラウン接続フランジ211をボルト止めすることにより上ロッド21(各図は、図示の便宜上、上ロッド21を覆うカバーを指している)をクラウン11に接続し、下ロッド22をベッド12に設けたロッド受け部3に位置固定させた4基の両ロッドシリンダ2の各チューブ23に、前記チューブ23の上縁に設けたラム接続フランジ232をボルト止めすることによりラム13を接続、支持させている。これにより、下ロッド22を伸長させると相対的にチューブ23が上昇し、前記チューブ23に支持されたラム23が上昇する。逆に、下ロッド22を縮短させると相対的にチューブ23が下降し、前記チューブ23に支持されたラム23が下降する。
【0023】
本例のプレス装置1は、クレーンにより全体を吊り上げるためのフック掛けフランジ121をベッド12の四隅に設けている。これにより、クレーンのフック(図示略)を前記フック掛けフランジ121に掛けると、ラム13の高さに関係なく、プレス装置1全体がクレーンに持ち上げられる。また、前記ベッド12を除いて、クレーンによりクラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2を一体に吊り上げるためのフック掛けフランジ131をラム13の四隅に設けている。これにより、クレーンのフック(図示略)を前記フック掛けフランジ131に掛けると、ラム接続フランジ232を介してラム13にチューブ23が接続された両ロッドシリンダ2と、またクラウン接続フランジ211を介して両ロッドシリンダ2の上ロッド21に接続されたクラウン11とがラム13に連れて昇降し、ベッド12に設けたロッド受け部に対して下ロッド22を抜き差しできる。
【0024】
ロッド受け部3は、左右の側面板36,36の間に、上から順に、チューブ当接部31、上段の使用時固定部32、下段の使用時固定部33、運搬時固定部34及び底板38を、間隔を空けて架け渡し、前記側面板36,36に挟まれた背面側を背面板37で塞ぎ、前記側面板36,36に挟まれた前面側を着脱自在な前面板35で塞いだ箱体である。本例のロッド受け部3は、左右の側面板36の一方と背面板37とを、ベッド12の四隅に設けた平面視方形の切欠に宛てがい、前記ベッド12にボルト止めにより固定している。また、本例のロッド受け部3は、垂直面である前面板35、側面板36及び背面板37と、水平面であるチューブ当接部31、上段の使用時固定部32、下段の使用時固定部33、運搬時固定部34及び底板38とを互いに直交させ、下ロッド22を支持する基礎としての剛性を高めている。
【0025】
チューブ当接部31は、平面視中央に貫通孔311を設けた平面視方形の金属板で、ロッド受け部3の上面を構成し、前記貫通孔311に下ロッド22を上方から貫通させた両ロッドシリンダ2のチューブ23の下端面を当接、支持する。貫通孔311は、下ロッド22のロッド本体の外径に等しく、後述する貫通孔321,331,341と同径である。本例のチューブ当接部31は、両ロッドシリンダ2を介して加えられるクラウン11やラム13の荷重に対抗するため、貫通孔311を囲む金属製の当接環312を設けて補強し、前記当接環312にチューブ23の下端面を当接させている。当接環312は、内径がチューブ23から突出する下ロッド22を囲む金属製の嵌合環231の外径に等しく、当接環312にチューブ23の下端面を当接させた際、前記嵌合環231を嵌合させ、ロッド受け部3に対する両ロッドシリンダ2の水平方向の位置ズレを防止する働きもある。
【0026】
上段の使用時固定部32は、平面視中央に貫通孔321を設けた平面視方形の金属板で、チューブ当接部31を貫通して下方に延びる両ロッドシリンダ2の下ロッド22を位置固定させる。貫通孔321は、下ロッド22のロッド本体の外径に等しく、上記貫通孔311や後述する貫通孔331,341と同径である。上段の使用時固定部32に下ロッド22を位置固定した場合、クラウン11が高い位置になり、ラム12の昇降代が大きくなる(図1参照)。下ロッド22は、ロッド本体から段差221を介して縮径したロッド端部を貫通孔321に上方から貫通させ、前記貫通孔321に嵌合させた上の拘束具4に前記段差211を上方から掛合させ、前記上の拘束具4とチューブ当接部31との間にスペーサ6及びシム7を介装させると共に、前記ロッド端部に形成した雄ネジ222に下の拘束具5を螺合して、上の拘束具4及び下の拘束具5で挟むように、上段の使用時固定部32に位置固定される。
【0027】
下段の使用時固定部33は、平面視中央に貫通孔331を設けた平面視方形の金属板で、チューブ当接部31と上段の使用時固定部32とを貫通して下方に延びる両ロッドシリンダ2の下ロッド22を位置固定させる。貫通孔331は、下ロッド22のロッド本体の外径に等しく、上記貫通孔311,321や後述する貫通孔341と同径である。下段の使用時固定部33に下ロッド22を位置固定した場合、クラウン11が低い位置になり、ラム12の昇降代が小さくなる(後掲図15参照)。下ロッド22は、上述同様、ロッド本体から段差221を介して縮径したロッド端部を貫通孔331に上方から貫通させ、前記貫通孔331に嵌合させた上の拘束具4に前記段差211を上方から掛合させ、前記上の拘束具4と上段の使用時固定部32との間にスペーサ6及びシム7を介装させると共に、前記ロッド端部に形成した雄ネジ222に下の拘束具5を螺合して、上の拘束具4及び下の拘束具5で挟むように、下段の使用時固定部33に位置固定される。
【0028】
運搬時固定部34は、平面視中央に貫通孔341を設けた平面視方形の金属板で、チューブ当接部31、上段の使用時固定部32及び下段の使用時固定部33を貫通して下方に延びる両ロッドシリンダ2の下ロッド22を位置固定させる。貫通孔341は、下ロッド22のロッド本体の外径に等しく、上記貫通孔311,321,331と同径である運搬時固定部34に下ロッド22を位置固定した場合、クラウン11が最も低い位置になり、ラム12の昇降代がなくなる(後掲図12参照)。下ロッド22は、ロッド本体を貫通孔341に上方から貫通させ、前記ロッド本体から段差221を介して縮径したロッド端部に上の拘束具4を外嵌させ、上の拘束具4と下段の使用時固定部33との間にスペーサ6及びシム7を介装させると共に、前記ロッド端部に形成した雄ネジ222に下の拘束具5を螺合して、スペーサ6、シム7、上の拘束具4及び下の拘束具5を一体に、下段の使用時固定部33に下方から掛合させることにより、運搬時固定部34に位置固定させる。
【0029】
本例のロッド受け部3は、前面板35、側面板36,36、背面板37及び底板38に囲まれた箱体で、前面板35のみが着脱自在となっている。これから、下ロッド22を位置固定する対象を変更する場合、前記前面板35を取り外して作業し、下ロッド22を位置固定する作業が終われば、前面板35を取り付ける。これにより、下ロッド22を伝って漏れ落ちる油は、ロッド受け部3の内部に溜まり、外部に漏れ出す虞がなくなる。例えば下ロッド22を上段の使用時固定部32に位置固定した場合、下段の使用時固定部33に油受けパンを載せておけば、下ロッド22を伝って漏れ落ちる油が前記油受けパンに溜まり、回収も容易になる。ロッド受け部3の内部の余剰空間は、下ロッド22の位置固定の作業に要する工具の収納空間としても利用できる。
【0030】
プレス装置1を運搬するため、下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業について説明する。本例のプレス装置1は、設置工場の屋内高さによる制約のない限り、図1に見られるように、下ロッド22を上段の使用時固定部32に位置固定し、クラウン11を最も高くし、ラム12の昇降代を最大にして、プレス作業に供される。下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業は、図2及び図3に見られるように、両ロッドシリンダ2が下ロッド22を最大に伸長させた状態(チューブ23をチューブ当接部31から最も遠ざけた状態)で、ロッド受け部3の前面板35を外して始まる。油受けパン等を下段の使用時固定部33に載せていたり、ロッド受け部3の内部の余剰空間に工具等を収納したりしていれば、この段階で取り除いておく。
【0031】
まず、図4に見られるように、下ロッド22のロッド端部の雄ネジ222に螺合して下ロッド22に装着させた下の拘束具5と、上の拘束具4とチューブ当接部31との間に介装させたスペーサ6及びシム7とを、四隅に配置された両ロッドシリンダ2すべてについて順次取り外す。この段階でも、下ロッド22は、上段の使用時固定部32の貫通孔321に嵌合させた上の拘束具4に段差221を上方から掛合させているので、前記上段の使用時固定部32を貫通して下方に落ちることがない。これに対し、下ロッド22から下の拘束具5、スペーサ6及びシム7を取り外した両ロッドシリンダ2は、上方に持ち上げることが自由にできる状態にある。
【0032】
本例のスペーサ6は、図5に見られるように、下ロッド22のロッド本体に外嵌できる孔明き円柱を半割して得られる一対の金属ブロックから構成される。半割された一方の金属ブロックは、他方の金属ブロックに向けて延びる水平な結合ボルト挿通孔62を設け、前記他方の金属ブロックは、前記結合ボルト挿通孔62に連通する結合ナット孔63を設けている。本例のスペーサ6は、下ロッド22のロッド本体を一対の金属ブロックで挟み、結合ボルト挿通孔62から差し込んだ結合ボルト61を結合ナット孔63に螺合させて前記金属ブロックを一体にすることにより下ロッド22に外嵌され、上の拘束具4とチューブ当接部31との間に介装される。
【0033】
本例のシム7は、下ロッド22のロッド本体に外嵌できる平面視半円弧状である一対の金属板である。シム7は、厚みの等しいものを基本とするが、厚みの異なるものを組み合わせて積層することにより、積層した際の厚みを調整できる。枚数やそれぞれの厚みで積層した厚みを調整したシム7は、その後調整が不要であり、積層した状態で取り扱う。例えばスペーサ6の高さとシム7の積層高さとの合計が上の拘束具4とチューブ当接部31との距離に等しくなるようにシム7個々の厚みや積層枚数を調整する。これにより、上の拘束具4とチューブ当接部31との間にスペーサ6及びシム7を介装すると、上の拘束具4が上段の使用時固定部32に隙間なく押さえつけられ、両ロッドシリンダ2のガタツキを防止又は抑制できる。積層されるシム7相互は接合されていないが、スペーサ6及び上の拘束具4に挟まれるため、外れたり、ずれたりする虞はない。
【0034】
スペーサ6及びシム7は、上の拘束具4により上段の使用時固定部32に上方から掛合した下ロッド22に対し、まず平面視半円弧状の金属板である一対のシム7を、それぞれの両端が突き合うように下ロッド22のロッド本体を挟んで上の拘束具4に載せ、次にスペーサ6を構成する金属ブロックを、それぞれの端面が突き合うように下ロッド22のロッド本体を挟んで前記シム7に載せ、結合ボルト61により一体化して、上の拘束具4とチューブ当接部31との間に介装される。下ロッド22からスペーサ6及びシム7を取り外す場合(図4参照)、結合ボルト61を抜きさって一対の金属ブロックを分解してスペーサ6を下ロッド22から取り外し、その後一対のシム7を下ロッド22から取り外す。
【0035】
本例の下の拘束具5は、図6に見られるように、内周面に雌ネジ51を形成し、外周面に回転操作用のハンドル(図示略)を差し込むハンドル孔52を周方向に複数設けた肉厚な円筒状の金属ブロックである(図6以外はハンドル孔52等を図示略)。ハンドルは、ロッド受け部3の余剰空間に収納すれば、紛失しない。金属ブロックは、周方向に分断するスリ割り56を挟む締付ボルト挿通孔54から締付ナット孔55に締付ボルト53を螺合させる構成で、締付ボルト53を締め付けると雌ネジ51の内径を小さくでき、逆に締付ボルト53を緩めると雌ネジ51の内径を大きくできる。このほか、本例の下の拘束具5は、締付ボルト挿通孔54の間に押出ナット孔57を設けてある。
【0036】
下の拘束具5は、締付ボルト53を緩めて開いた状態で、ハンドル孔52にハンドルを差し込んで回転操作することにより、下ロッド22のロッド端部に設けられた雄ネジ222に螺合して前記ロッド端部に装着する。そして、例えば下の拘束具5の上面が上段の使用時固定部32に下方から密着した後、締付ボルト53を締め付ければ、下の拘束具5の雌ネジ51の内径が小さくなり、前記雌ネジ51が下ロッド22の雄ネジ222に噛み合い、緩みにくくなる。下ロッド22から下の拘束具5を取り外す場合(図4参照)、雌ネジ51が下ロッド22の雄ネジ222に噛み込んでいるため、押出ナット孔57に螺合させた締付ボルト53で対向するスリ割り56の端面を押し、前記スリ割り56を押し開いてから、締付ナット孔55に螺合させていた締付ボルト53を緩めて雌ネジ51の内径を大きくし、そしてハンドル孔52にハンドルを差し込んで回転操作して、下ロッド22の雄ネジ222から取り外す。
【0037】
下の拘束具5、スペーサ6及びシム7を取り除いた下ロッド22から上の拘束具4を取り外すため、ラム13に設けたフック掛けフランジ131にフックを引っ掛けたクレーン(図示略)により、クラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2を一体に吊り上げ、図7及び図8に見られるように、下ロッド22を上方へ引き上げる。これにより、下ロッド22の段差221から上の拘束具4が解放され、上段の使用時固定部32の貫通孔321から上の拘束具4を容易に取り出せる。そして、上の拘束具4を取り除くことで、チューブ当接部31、上段の使用時固定部32、下段の使用時固定部33及び運搬時固定部34の各貫通孔311,321,331,341がすべて同径で連通し、下ロッド22を運搬時固定部34の貫通孔341まで降ろすことができる(後掲図10参照)。
【0038】
本例の上の拘束具4は、図9に見られるように、下ロッド22のロッド端部の外径に等しい下段内周面の上周縁から半径外向きに形成される段差と、前記下ロッド22のロッド本体の外径に等しい上段内周面とから構成される掛合凹部41が上半分に、例えば上段の使用時固定部32の貫通孔321より外径の大きい上段外周面の下周縁から半径内向きに形成される段差と、前記貫通孔321に内接する外径の下段外周面とから構成される嵌合凸部42が下半分に設けられた金属ブロックである。このように、本例の上の拘束具4は、上段内周面が下ロッド22のロッド本体の外径に等しい貫通孔を掛合凹部41に、下段内周面が前記したロッド22のロッド端部の外径に等しい貫通孔を嵌合凸部42にそれぞれ有し、上下に貫通している。
【0039】
上の拘束具4は、下ロッド22に位置固定で装着されるのではなく、例えば下ロッド22の段差221と上段の使用時固定部32との間に挟まれ、下ロッド22に外嵌されて装着される。具体的には、上段の使用時固定部32に設けた貫通孔321に嵌合させ、掛合凹部41及び嵌合凸部42にロッド端部を貫通させた下ロッド22の段差221を前記掛合凹部41に掛合させることにより、ロッド本体に外嵌した状態で下ロッド22を上段の使用時固定部32に上方から掛合させる。上の拘束具4を下ロッド22から取り外す場合(図8参照)、既述したように、下ロッド22を上方に引き上げて掛合凹部41からロッド本体を引き抜いて、前記下ロッド22による拘束から解放することにより、上段の使用時固定部32の貫通孔321から簡単に取り去ることができる。
【0040】
こうして下ロッド22から上の拘束具4、下の拘束具5、スペーサ6及びシム7を取り外したプレス装置1は、図10に見られるように、下ロッド22が運搬時固定部34の貫通孔341まで貫通し、チューブ23の下端面に設けられた嵌合環231がチューブ当接部31の当接環311に嵌合し、かつ前記チューブ23の下端面を前記当接環311に当接するまで、クラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2を一体に降ろす。この状態では、クラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2は、チューブ23に当接させたチューブ当接部31を最上段とするロッド受け部3に支持されている。下ロッド22は、ロッド端部が底板38に達しない宙づり状態にある。
【0041】
チューブ23をチューブ当接部31に当接させた下ロッド22に対し、まずロッド端部から上の拘束具4を外嵌する。そして、下の拘束具5をロッド端部の雄ネジ222に螺合して前記上の拘束具4を押し上げていき、図11に見られるように、前記上の拘束具4の掛合凹部41に下ロッド22の段差221が密に掛合させる。このように、下ロッド22の段差221が上の拘束具4の掛合凹部41に密に掛合させると、上段の使用時固定部32の貫通孔321に嵌合した上の拘束具4とチューブ当接部31との間に等しい長さで、上の拘束具4と下段の使用時固定部33との間が形成される。下の拘束具5は、下ロッド22の雄ネジ222に螺合した後、締付ボルト53を締めて固定する。下の拘束具5の螺合量は、上段の使用時固定部32の板厚分だけ多くなっている。
【0042】
こうして長さが調整された上の拘束具4と下段の使用時固定部33との間に、スペーサ6及びシム7を介装すれば、下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業が完了する。具体的には、シム7を上の拘束具4の上に載せ、前記シム7の上にスペーサ6を構成する金属ブロックを載せて結合ボルト61で一体化すれば、図12図14に見られるように、上の拘束具4と下段の使用時固定部33との間にスペーサ6及びシム7が介装される。下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業を終えたプレス装置1は、ラム13の昇降代がなく、全高(クラウン12の高さ)が最大限低く抑えられる(図1及び図12比較対照)。
【0043】
上の拘束具4は、下の拘束具4に下方から押し上げられて段差221に下方から掛合しながら下ロッド22に外嵌され、前記下の拘束具5は、下ロッド22の雄ネジ222に螺合しているため、いずれも下ロッド22から外れる虞がない。また、スペーサ6は、下ロッド22を挟み込む一対の金属ブロックが結合ボルト61により一体化されているため、同じく下ロッド22から外れる虞がない。そして、シム7は、下ロッド22を左右から挟んでいるだけであるが、スペーサ6と上の拘束具4とに挟まれて保持されているため、やはり下ロッド22から外れる虞がない。こうして、下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業を終えた状態で、上の拘束具4、下の拘束具5、スペーサ6及びシム7は、いずれも下ロッド22に安定に装着される。
【0044】
下ロッド22の固定対象を上段の使用時固定部32から運搬時固定部34へ移す作業を終えたプレス装置1の両ロッドシリンダ2は、チューブ23の下端面をチューブ当接部31の当接環311に上方から当接させ、下ロッド22に安定に装着されたスペーサ6を下方から掛合させて、運搬時固定部34に対して安定に位置固定される。特に、チューブ23の下端面をチューブ当接部31の当接環311に上方から当接させて両ロッドシリンダ2全体のガタツキを抑制できるため、プレス装置1の運搬に際して、振動による両ロッドシリンダ2の破損が防止できる。プレス装置1は、ベッド12に設けたフック掛けフランジ121にクレーンのフック(図示略)を掛けて持ち上げ、例えば製造工場から搬出され、また設置工場に搬入される。
【0045】
運搬作業を終えたプレス装置1は、上述までの逆の手順により、下ロッド22の固定対象を運搬時固定部34から上段の使用時固定部32に移せば、プレス作業ができるようになる。具体的には、次の通りである。まず運搬時固定部34に下方から掛合させたスペーサ6及びシム7を下ロッド22から取り外し、また下の拘束具5を緩めてロッド端部から取り外し、上の拘束具4を下ロッド22から下方に抜き去る。次に、ラム13に設けたフック掛けフランジ131にクレーンのフック(図示略)を掛けて、クラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2を一体に吊り上げ、下ロッド22のロッド端部がチューブ当接部31と上段の使用時固定部32との間に位置するまで引き上げ、上の拘束具4を運搬時固定部34の貫通孔341から取り外す。
【0046】
そして、上段の使用時固定部32に設けた貫通孔321に、先に運搬時固定部34の貫通孔341から取り外した上の拘束具4(正確には嵌合凸部42)を嵌合させた後、クレーンに吊り下げたクラウン11、ラム13及び両ロッドシリンダ2を一体にゆっくりと降ろして、前記上の拘束具4の掛合凹部41に下ロッド22のロッド端部を差し込み、段差221を前記掛合凹部41に掛合させる。最後に、上段の使用時固定部32から下方に突出する下ロッド22のロッド端部に設けた雄ネジ222に下の拘束具5を螺合させ、上の拘束具4とチューブ当接部31との間にスペーサ6及びシム7を介装し直せば、下ロッド22の固定対象を運搬時固定部34から上段の使用時固定部32へ移す作業が完了する。
【0047】
本例のプレス装置1は、上段の使用時固定部32下方に下段の使用時固定部33を設けており、運搬作業を終えて使用状態にする際、図15図17に見られるように、下ロッド22を前記下段の使用時固定部33に位置固定させれば、クラウン12の高さを抑え、天井の低い設置工場に適した全高にできる。下ロッド22の固定対象を運搬時固定部34から下段の使用時固定部33へ移す作業は、上の拘束具4及び下の拘束具5で下段の使用時固定部33を挟み、前記上の拘束具4と上段の使用時固定部32との間にスペーサ6及びシム7を介装するほか、下ロッド22の固定対象を運搬時固定部34から上段の使用時固定部32へ移す作業と同様なので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0048】
1 プレス装置
11 クラウン
12 ベッド
13 ラム
2 両ロッドシリンダ
21 上ロッド
22 下ロッド
221 段差
222 雄ネジ
23 チューブ
231 嵌合環
3 ロッド受け部
31 チューブ当接部
32 上段の使用時固定部
33 下段の使用時固定部
34 運搬時固定部
4 上の拘束具
41 掛合凹部
42 嵌合凸部
5 下の拘束具
51 雌ネジ
6 スペーサ
7 シム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17