特許第5961493号(P5961493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961493
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/518 20060101AFI20160719BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01R13/518
   H01R13/629
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-194484(P2012-194484)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-49429(P2014-49429A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】池元 進一
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−21992(JP,A)
【文献】 特開平10−172653(JP,A)
【文献】 特開平11−273804(JP,A)
【文献】 特開2008−27691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/518
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体ケースに収容される基板に実装され、前記筐体ケースの開口部に配置された複数の基板実装コネクタと、
前記基板実装コネクタにそれぞれ嵌合される相手側コネクタと、
前記相手側コネクタに回動自在に取り付けられたレバーと、
前記基板実装コネクタに対応して前記相手側コネクタを挿入案内する複数のコネクタ嵌合部を有し、前記筐体ケースの開口部に装着される案内フードと、を備え、
前記コネクタ嵌合部に係合した前記レバーが回動されることで前記基板実装コネクタと前記相手側コネクタとが嵌合されるコネクタ装置であって、
前記案内フードが、前記基板実装コネクタのそれぞれの係止部と前記基板実装コネクタの併設方向に弾性係合することによりそれぞれの前記基板実装コネクタにロック係合可能なロック手段を有することを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記ロック手段が、コネクタ嵌合方向に延びる可撓性のロックアームを備え、
前記係止部が、前記ロックアームの先端部を係止するビーク部を備え、
前記ビーク部に係止された前記ロックアームのアーム基部と前記係止部との間には間隙が形成されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ECU等の電子機器にはSMT(Surface Mounting Technology)コネクタが実装されることがある。この種のSMTコネクタ(基板実装コネクタ)では、多数の信号電線を接続するために多極コネクタがしばしば使用される。このような多極コネクタでは、結合されるコネクタ同士の挿入力及び抜去力の増加に伴う作業性の低下を生じるおそれがある。この欠点を解消するためのものに、回転レバーによるてこの原理を利用して挿抜力の低減を図るものがある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたコネクタ装置は、図7に示すように、雌ハウジング501と、雌ハウジング501に嵌合可能な雄ハウジング503と、両ハウジングが収容されるケーシング505と、ケーシング505に対して進退可能に装着されるスライド部材507と、スライド部材507の操作力を軽減させるとともに両ハウジングの嵌合動作を助勢するレバー509と、雄ハウジング503に装着されるムービングプレート(不図示)とを備えて構成される。スライド部材507は、例えば、自動車のダッシュボード側取付面511の近傍に配され、雄ハウジング503はこれと対向するエンジンルーム側取付面513に固定されており、あらかじめ雌ハウジング501の収容されたケーシング505に対して雄ハウジング503を装着させ、その状態でスライド部材507をエンジンルーム側へ押し込むことにより、その押し込み方向と略直交する方向に両ハウジングを接近させて、両ハウジング同士を正規嵌合するようになっている。
【0004】
レバー509は、カム部515をカム受け部517の入り口に臨ませた状態で、スライド部材507をケーシング側へ押し込むと、操作カム部519が操作カム受け部521に沿って相対的に移動し、これに伴ってレバー509が支持ピンを回動中心として回動する。そして、レバー509が回動すると、カム部515がカム受け部517に沿って相対的に移動して、雄ハウジング503がケーシング505に対して下方へ相対変位して正規装着されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−286577号公報
【特許文献2】特開2004−319140号公報
【特許文献3】特開2008−34336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の基板実装コネクタは、嵌合時、車載組立環境によっては目視できない状態で手探りで挿入されることが多く、特に多極コネクタの場合、位置決めが容易でない。
また、従来の基板実装コネクタは、DIP(Dual Inline Package)コネクタに比べて実装基板との半田付け部での信頼性が低い。特に、車載組立環境では、相手側コネクタと基板実装コネクタとのドツキによる外力が加わる。更に、相手側コネクタがレバー式コネクタの場合は、レバー509の操作力が基板実装コネクタに加わる。このため、従来の基板実装コネクタでは、半田付け部の信頼性低下の要因となっている。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、基板実装コネクタに対する相手側コネクタの位置決めが容易で、且つ基板実装コネクタにおいて半田付け部の信頼性低下がないコネクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 筐体ケースに収容される基板に実装され、前記筐体ケースの開口部に配置された複数の基板実装コネクタと、前記基板実装コネクタにそれぞれ嵌合される相手側コネクタと、前記相手側コネクタに回動自在に取り付けられたレバーと、前記基板実装コネクタに対応して前記相手側コネクタを挿入案内する複数のコネクタ嵌合部を有し、前記筐体ケースの開口部に装着される案内フードと、を備え、前記コネクタ嵌合部に係合した前記レバーが回動されることで前記基板実装コネクタと前記相手側コネクタとが嵌合されるコネクタ装置であって、前記案内フードが、前記基板実装コネクタのそれぞれの係止部と前記基板実装コネクタの併設方向に弾性係合することによりそれぞれの前記基板実装コネクタにロック係合可能なロック手段を有することを特徴とするコネクタ装置。
【0009】
上記(1)の構成のコネクタ装置によれば、筐体ケースに基板が収容され、筐体ケースの開口部に配置された基板には、複数の基板実装コネクタが並んで実装される。従って、筐体ケースの開口部には、複数の基板実装コネクタが並ぶ。案内フードが筐体ケースの開口部に装着されると、案内フードのコネクタ嵌合部がそれぞれの基板実装コネクタに対応して配置される。この際、案内フードのロック手段は、基板実装コネクタのそれぞれの係止部と基板実装コネクタの併設方向に弾性係合することにより、それぞれの基板実装コネクタにロック係合可能である。そこで、基板実装コネクタのハウジング及び案内フードの成形誤差や、基板実装コネクタの実装誤差などにより、基板実装コネクタに対してコネクタ嵌合部が一致しないときであっても、基板に実装された基板実装コネクタに対する案内フードの位置決めが容易となる。
更に、相手側コネクタは、基板実装コネクタとの嵌合に先立ち、この案内フードのコネクタ嵌合部に対して挿入される。即ち、相手側コネクタは、基板実装コネクタへ直接嵌合される前に、基板実装コネクタよりも開口部が大きな案内フードのコネクタ嵌合部へ挿入され、基板実装コネクタへ誘導される。これにより、基板実装コネクタに対する相手側コネクタの位置決めも容易となる。
また、基板実装コネクタと相手側コネクタとは、相手側コネクタに設けられるレバーが回動されることにより、相手側コネクタがコネクタ嵌合部に係合して引き寄せられ、レバーのてこ作用により低挿入力で結合される。このときの引き寄せにより生じる外力は、案内フードを介して筐体ケースによって支持され、基板実装コネクタには伝わらないので、基板実装コネクタの半田付け部の信頼性低下がない。
【0010】
(2) 上記(1)の構成のコネクタ装置であって、前記ロック手段が、コネクタ嵌合方向に延びる可撓性のロックアームを備え、前記係止部が、前記ロックアームの先端部を係止するビーク部を備え、前記ビーク部に係止された前記ロックアームのアーム基部と前記係止部との間には間隙が形成されることを特徴とするコネクタ装置。
【0011】
上記(2)の構成のコネクタ装置によれば、それぞれの基板実装コネクタに設けられる係止部に対して、案内フードに設けられたそれぞれのロックアームが係止される。係止部とロックアームとの係止は、係止部のビーク部にロックアームの先端部が係止されて行われる。係止部のビーク部に先端部が係止されたロックアームは、アーム基部と係止部との間に間隙が形成される。これにより、案内フードは、基板実装コネクタの併設方向へ、ロックアームの先端部の撓み量に加えて間隙の距離だけ更に移動可能となる。そこで、基板実装コネクタに対してコネクタ嵌合部の嵌合中心が大きくずれているときであっても、間隙分、案内フードが移動できることにより、基板に実装された基板実装コネクタに対する案内フードの位置決めが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコネクタ装置によれば、基板実装コネクタに対する相手側コネクタの位置決めが容易で、且つ基板実装コネクタにおいて半田付け部の信頼性低下がない。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ装置の分解斜視図である。
図2】(a)は図1に示した案内フードの正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図3図1に示した筐体ケースに装着された案内フードに対して相手側コネクタが離間された状態の斜視図である。
図4図3に示した案内フードが装着された筐体ケースの要部水平断面図である。
図5図4のB部拡大図である。
図6図3に示した案内フードを介して基板実装コネクタに相手側コネクタが結合されたコネクタ装置の要部水平断面図である。
図7】従来のコネクタ装置において、スライド部材を取付具に仮保持させた状態を示す要部破断側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ装置11は、複数の基板実装コネクタ13と、複数の相手側コネクタであるハーネス側コネクタ15と、案内フード17と、を有する。基板実装コネクタ13は、所謂SMTコネクタである。本実施形態において、基板実装コネクタ13は雄端子19(図6参照)を収容する雄コネクタであり、ハーネス側コネクタ15は雌端子21(図6参照)を収容する雌コネクタである。なお、本発明のコネクタ装置11は、基板実装コネクタ13とハーネス側コネクタ15とに収容される端子が本実施形態と逆の雌雄であってもよい。
【0016】
基板実装コネクタ13は、偏平な直方体状の筐体ケース23に収容される基板25に、半田付け部27(図4参照)が半田付けされることにより表面実装される。このように、本実施形態に係るコネクタ装置11では、スルーホールを使用しないことで実装構造の低背化を可能としている。筐体ケース23としては、例えばECU等の機器の外殻が挙げられる。この筐体ケース23は、車体にボルト・ナット等の締結具によって固定される。また、基板25も筐体ケース23の内方でビス等の締結具によって筐体ケース23に固定される。
筐体ケース23には偏平な矩形状の開口部29(図1参照)が形成され、基板実装コネクタ13はこの開口部29の長手方向に沿って複数(本実施形態では3つ)が、ハーネス側コネクタ15との結合開口部31を正面に向けて並んで配置される。
【0017】
基板実装コネクタ13は、絶縁性の合成樹脂で構成される実装コネクタハウジング33に、複数の雄端子19が圧入固定される。圧入固定された雄端子19は、先端側の電気接触部35が結合開口部31に並んで配置され、雌端子21と接触可能となる。雄端子19は、圧入部37(図6参照)を挟んで先端側と反対側が基板固定部39となって実装コネクタハウジング33の後方から導出される。導出された基板固定部39は、基板25に対して垂直な方向へ折り曲げられた後、基板25に沿って曲げられ、基板表面41(図6参照)の導体に半田付けされることで固定される。即ち、基板実装コネクタ13は、この半田付け部27によって基板25に固定される。
【0018】
ハーネス側コネクタ15は、それぞれの基板実装コネクタ13に応じて複数(本実施形態では3つ)設けられている。それぞれのハーネス側コネクタ15は、同一構成のものとすることができる。
本実施形態では、同一の3つのハーネス側コネクタ15のうち、図1の左端のものが左右反転して使用されている。ハーネス側コネクタ15は、絶縁性の合成樹脂で構成されるハーネス側コネクタハウジング43と、このハーネス側コネクタハウジング43に収容される雌端子21と、レバーである挿入離脱レバー45と、を有している。
ハーネス側コネクタハウジング43は、互いに相対する両側面47を有している。両側面47の長手方向の中央部には、円柱状の第1ボス部49と、第2ボス部51とが、離間して設けられている。
【0019】
挿入離脱レバー45は、絶縁性の合成樹脂で構成され、互いに平行に配され、且つ一端同士が間隔をあけて互いに分離された一対の側板53と、この一対の側板53の他端同士を連結した操作部55と、を有している。この操作部55は、挿入離脱レバー45を回転させる際の力点となる。側板53は、その一端部に係合突起57が設けられている。この係合突起57は、案内フード17に設けられた後述の係合突起収容溝59に進入することにより、案内フード17に引っ掛かる。この係合突起57は、挿入離脱レバー45の支点となる。また、係合突起57よりも他端側には、上記の第1ボス部49及び第2ボス部51とそれぞれ嵌合する一対の第1ボス収容穴61及び第2ボス収容穴63が形成されている。これら第1ボス収容穴61及び第2ボス収容穴63は、挿入離脱レバー45を回転させる際の作用点となる。
【0020】
また、挿入離脱レバー45の側板53には、第1ボス収容穴61及び第2ボス収容穴63を挟んで、係合突起57と反対側に摺接爪65が設けられている。この摺接爪65は、案内フード17に設けられる後述のガイド溝67に進入する。
【0021】
案内フード17は、基板実装コネクタ13に対応して、ハーネス側コネクタ15を挿入案内する複数のコネクタ嵌合部69を有する。即ち、案内フード17は、フード本体71(図2参照)が、両端を開放された角筒状に形成される。このフード本体71が、筐体ケース23の開口部29に挿入される。フード本体71には、それぞれの基板実装コネクタ13を内方に収容するとともに、ハーネス側コネクタ15を受入可能とするコネクタ嵌合部69が、隔壁73によってそれぞれの基板実装コネクタ13に応じて仕切られている。即ち、案内フード17は、複数の基板実装コネクタ13のスロット(差し込み)を一体のフード構造で行えるように構成されている。
【0022】
それぞれのコネクタ嵌合部69のフード内壁75(図2参照)には、挿入離脱レバー45の操作機構部77が設けられている。操作機構部77は、係合突起案内溝79と、係合突起収容溝59と、テーパ壁81と、ガイド溝67と、を有する。係合突起案内溝79は、コネクタ嵌合方向に沿ってコネクタ嵌合部69の奥側に延びる。係合突起収容溝59は、係合突起案内溝79の端部に連なり、この係合突起案内溝79と交差する方向に延びる。テーパ壁81は、係合突起案内溝79と係合突起収容溝59の連結部に、コネクタ嵌合方向に対し傾斜して形成される。ガイド溝67は、係合突起案内溝79と略平行に設けられ、コネクタ嵌合方向に沿ってコネクタ嵌合部69の奥側に延びる。
コネクタ装置11は、コネクタ嵌合部69の操作機構部77に係合したハーネス側コネクタ15の挿入離脱レバー45が回動されることで、基板実装コネクタ13とハーネス側コネクタ15が嵌合される。
【0023】
フード本体71の角筒軸線方向の一端側には、外側に全周で張り出すフランジ部83(図2参照)が設けられ、フランジ部83はフード本体71が筐体ケース23の開口部29に挿入されることで、開口部29の周縁に当接される。コネクタ嵌合部69にハーネス側コネクタ15が挿入された案内フード17は、ハーネス側コネクタ15と開口部29との間がフランジ部83によって塞がれることになる。つまり、案内フード17は、筐体ケース23の開口部29を塞ぐ蓋を兼ねている。フランジ部83のそれぞれ4つの辺部中央には枠状ロック部85が設けられ、枠状ロック部85は筐体ケース23の外周面から突出した楔状ロック87に係止される。これにより、案内フード17は、開口部29から離脱が規制されて筐体ケース23に装着される。
【0024】
ところで、基板実装コネクタ13の実装コネクタハウジング33には、結合開口部31の上壁上面89(図1及び図4参照)に、結合開口部31の長手方向左右に沿って一対の係止部91が突設されている。係止部91は、四角枠状に形成され、相互に対面する辺部の奧側角部にはビーク部93が突設されている(図5参照)。
【0025】
一方、案内フード17には、基板実装コネクタ13のそれぞれの係止部91と基板実装コネクタ13の併設方向に弾性係合することによりそれぞれの基板実装コネクタ13にロック係合可能なロック手段が設けられている。本実施形態において、ロック手段は、コネクタ嵌合方向に延びる可撓性のロックアーム95として形成されている。即ち、ロックアーム95は、図4に示すように、一対の係止部91の内側に一対ずつ配設され、一対の係止部91の内側から係止部91のビーク部93にそれぞれ先端部が係止されることにより、基板実装コネクタ13にロック係合されるように形成されている。
【0026】
ここで、図5に示すように、ロックアーム95が、コネクタ嵌合方向と平行に延在するのに対し、係止部91の対向辺部は、ビーク部93に向かって相互に接近する方向に傾斜している。即ち、一対の係止部91の対向辺部同士は、ハの字状に傾斜している。これにより、ビーク部93に先端部が係止されたロックアーム95のアーム基部97と、係止部91との間には間隙99が形成されている。
【0027】
次に、上記構成を有するコネクタ装置11の作用を説明する。
本実施形態に係るコネクタ装置11では、図1に示すように、筐体ケース23に基板25が収容され、筐体ケース23の開口部29に配置された基板25には、複数の基板実装コネクタ13が並んで実装される。従って、筐体ケース23の開口部29には、複数の基板実装コネクタ13が並ぶ。図3に示すように、案内フード17が筐体ケース23の開口部29に装着されると、案内フード17のコネクタ嵌合部69がそれぞれの基板実装コネクタ13に対応して配置される。
【0028】
この際、案内フード17のロック手段であるロックアーム95は、基板実装コネクタ13のそれぞれの係止部91と基板実装コネクタ13の併設方向に弾性係合することにより、それぞれの基板実装コネクタ13にロック係合可能である。そこで、基板実装コネクタ13の実装コネクタハウジング33グ及び案内フード17の成形誤差や、基板実装コネクタ13の実装誤差などにより、基板実装コネクタ13に対してコネクタ嵌合部69の嵌合中心が一致しないときであっても、基板25に実装された基板実装コネクタ13に対する案内フード17の位置決めが容易となる。
【0029】
更に、ハーネス側コネクタ15は、基板実装コネクタ13との嵌合に先立ち、この案内フード17のコネクタ嵌合部69に対して挿入される。即ち、ハーネス側コネクタ15は、最終的には、基板実装コネクタ13へ挿入されるが(図6参照)、基板実装コネクタ13へ直接挿入される前に、基板実装コネクタ13の結合開口部31よりも開口部が大きな案内フード17のコネクタ嵌合部69へ挿入され、基板実装コネクタ13の結合開口部31内へ誘導される。これにより、基板実装コネクタ13に対するハーネス側コネクタ15の位置決めも容易となっている。
【0030】
また、基板実装コネクタ13とハーネス側コネクタ15とは、ハーネス側コネクタ15に設けられる挿入離脱レバー45が回動されることにより、ハーネス側コネクタ15がコネクタ嵌合部69に係合して引き寄せられ、挿入離脱レバー45のてこ作用により低挿入力で結合される。
【0031】
即ち、ハーネス側コネクタ15が案内フード17のコネクタ嵌合部69に挿入され、挿入離脱レバー45の係合突起57が係合突起案内溝79に配置される。この際、挿入離脱レバー45の摺接爪65も同時にコネクタ嵌合部69のガイド溝67に配置される。この状態で雄端子19と雌端子21とは導通していない。そして、挿入離脱レバー45が回動されると、係合突起57がテーパ壁81に拾われて係合突起収容溝59に引き込まれる。第1ボス収容穴61及び第2ボス収容穴63は、挿入離脱レバー45の作用点をなして、第1ボス部49及び第2ボス部51をコネクタ嵌合方向の奥側に押し込む。これにより、雌端子21が雄端子19に導通して、ハーネス側コネクタ15と基板実装コネクタ13との結合が完了する。
【0032】
このときの引き寄せにより生じる外力は、係合突起57によって案内フード17の操作機構部77へ伝わる。これにより、外力は、案内フード17を介して筐体ケース23に支持され、基板実装コネクタ13には伝わらない。また、ハーネス側コネクタ15と基板実装コネクタ13とのドツキによる外力も基板実装コネクタ13には伝わらない。そこで、これら外力が基板実装コネクタ13の半田付け部27に加わり、基板実装コネクタ13の半田付け部27の信頼性低下を招くおそれがなくなる。
【0033】
また、本実施形態のコネクタ装置11では、それぞれの基板実装コネクタ13に設けられる係止部91に対して、案内フード17に設けられたそれぞれのロックアーム95が係止される。係止部91とロックアーム95との係止は、係止部91のビーク部93にロックアーム95の先端部が係止されて行われる。係止部91のビーク部93に先端部が係止されたロックアーム95は、アーム基部97と係止部91との間に間隙99が形成される。これにより、案内フード17は、基板実装コネクタ13の併設方向へ、ロックアーム95の先端部の撓み量に加えて間隙99の距離だけ更に移動可能となる。そこで、基板実装コネクタ13に対してコネクタ嵌合部69の嵌合中心が大きくずれているときであっても、間隙99分、案内フード17が移動できることにより、基板25に実装された基板実装コネクタ13に対する案内フード17の位置決めが可能となる。
【0034】
従って、本実施形態に係るコネクタ装置11によれば、基板実装コネクタ13に対するハーネス側コネクタ15の位置決めが容易で、且つ基板実装コネクタ13において半田付け部27の信頼性低下がない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0035】
11…コネクタ装置
13…基板実装コネクタ
15…ハーネス側コネクタ(相手側コネクタ)
17…案内フード
23…筐体ケース
25…基板
29…開口部
45…挿入離脱レバー(レバー)
69…コネクタ嵌合部
91…係止部
93…ビーク部
95…ロックアーム(ロック手段)
97…アーム基部
99…間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7