(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
横方向に延びる軸線を回転中心とする筒状体の軸線方向両端に開口部が形成され、該筒状体が外周面で加熱されて該筒状体内部の可燃物含有原料が軸線方向一端から他端に向けた移動中に熱分解して炭化物を含む固形分と可燃ガスを含む気体分とを生成する可燃物含有原料の熱分解装置において、
筒状体の軸線方向一端に原料供給口がそして他端に固形分排出口と気体分排出口が設けられていて、該気体分排出口が触媒塔に接続されており、該触媒塔は水蒸気改質用の固定触媒を内蔵していると共に該固定触媒を加熱する高温気体を外部から受けるようになっていて、上記気体排出口からの気体分が上記固定触媒と直接接触した後に触媒塔から排出され、高温気体が固定触媒を間接加熱した後に筒状体の外周面の加熱に供するようになっていることを特徴とする可燃物含有原料の熱分解装置。
可燃物含有原料の熱分解装置は、燃焼器をさらに有し、該燃焼器が燃料として筒状体の固形分排出口からの固形分を受けてこれを燃焼し、燃焼後の排ガスが高温気体として触媒塔へ供給されることとする請求項1に記載の可燃物含有原料の熱分解装置。
横方向に延びる軸線を回転中心とする筒状体の軸線方向両端に開口部が形成され、該筒状体内部の可燃物含有原料が軸線方向一端から他端に向けた移動中に自燃により熱分解して炭化物を含む固形分と可燃ガスを含む気体分とを生成する可燃物含有原料の熱分解装置において、
筒状体の軸線方向一端に原料供給口と気体分排出口が設けられていて、該気体分排出口が触媒塔に接続されており、該触媒塔は水蒸気改質用の固定触媒を内蔵していて、上記気体排出口からの気体分が上記固定触媒と直接接触した後に触媒塔から排出されるようになっており、そして筒状体の他端には固形分排出口と高温気体排出口が設けられ、該高温気体排出口からの高温気体が触媒塔へ送られて固定触媒を間接加熱するようになっていることを特徴とする可燃物含有原料の熱分解装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
<第一実施形態>
図1に示される本実施形態の可燃物含有原料の熱分解装置は、加熱装置10と触媒塔30とを備えている。
【0018】
加熱装置10は、水平面上に位置しあるいは水平面に対し5°以内の傾斜角をもって一端側(図にて左端側)から他端側に向けて下方に傾斜する軸線11を中心とする横型で金属製の筒状体12と、これと同心で外側に位置し該筒状体12との間に環状空間13を形成する断熱性を有する耐熱材製の外筒体14とを有している。
【0019】
上記筒状体12は、軸線方向両端で上記外筒体14よりも突出しており、上記筒状体12の端部をなす端壁部15,16の外周には被支持リング17,18が取り付けられている。軸線11方向で一端側の端壁部15は該軸線11上で該軸線11方向に貫通する円筒孔状の開口部15Aが原料供給口として形成され、該開口部15A内には、若干の半径方向隙間をもって原料供給管19が進入している。軸線11方向で他端側の端壁部16は、段状の小径部が形成されていてこの段状部分に位置して上記被支持リング18が取り付けられている。該端壁部16は、軸線11上に位置して他端に向け内径が拡がるテーパ孔状の開口部16Aが軸線11方向に貫通形成されている。該開口部16Aは原料の熱分解後に生成される気体分そして固形分を排出するための共通の排出口として機能する。上記筒状体12に取り付けられている両端側の被支持リング17,18は、被支持リング17,18の外周面下部でローラ等の軸受部材17A,18Aによりそれぞれ支持されていて、筒状体12の自重及び内部の原料の重量が上記軸受部材17A,18Aにより支持された状態で上記軸線11まわりに回転可能となっている。かかる被支持リング17,18が取り付けられた筒状体12は、図示しない駆動手段により上記軸線11まわりにゆっくりと回転駆動を受けている。通常、その回転数は0.5〜10rpmである。回転中上記一端側の開口部15Aは、静止せる原料供給管19に対し、回転シール等(図示せず)によりシール状態を保ちつつ相対回転する。
【0020】
上記筒状体12は
図1にて軸線11に沿って延び紙面と平行に位置する仕切壁20を有していて該仕切壁20によって該筒状体12内を複数の内部空間に区分し、図示の場合、
図2(A)に見られるように、一つの仕切壁20によって二つの内部空間に区分している。筒状体12の内部空間は二つに限らずそれ以上の複数に仕切られていてもよい。
【0021】
上記仕切壁20は、
図1のごとく、軸線方向では両端の開口部15A,16Aの位置にまでは及んでおらず、両端部で仕切壁20の両面側の空間を連通する連通部20A,20Bが形成され、また、中間部には貫通窓部20Cが形成されていて、ここでも仕切壁20の両面側の空間を局部的に連通している。
【0022】
上記仕切壁20の両面には、軸線11方向で間隔をもった複数位置にガイド板21が上記仕切壁20の面から立設されている。ガイド板21は、
図1に見られるように、仕切壁20の面が紙面に平行となる位置にきたときに、
図1で仕切壁20の片面側、例えば紙面の手前側の面に設けられたガイド板21が上方から下方に向かうにしたがい軸線11方向一端側から他端側に位置するように傾斜している。
図1で仕切壁20の他面側、すなわち背面側に設けられたガイド板21は、筒状体12が半回転して該他面側が紙面の手前側にきたときに、上記片面側のガイド板21とは逆方向の傾斜をもって設けられている。換言すると、この他面側のガイド板21は背面側にあるときには、紙面に対して直角な方向で透視すると手前側に位置する片面側のガイド板21と同傾斜をもっている。したがって、両面側のガイド板21は、同じ一方の側の位置にきたとき、すなわち、ガイド板21が設けられている仕切壁20の面が上方に向いている位置から下方に向かって回転するときに、原料は、片面側と他面側では仕切壁20の面に沿って落下しながらガイド板に案内されて軸線11方向に互いに逆方向に搬送されることとなる。その結果、軸線11方向で一端側の開口部15Aに近接する連通部20Aと貫通窓部20Cとの間の領域では、原料は該連通部20Aと貫通窓部20Cを経て仕切壁20の両側の空間で上流側循環流を生じ、該貫通窓部20Cと他端側の開口部16Aに近接する連通部20Bとの間の領域では、原料は該貫通窓部20Cと連通部20Bを経て仕切壁20の両側の空間で下流側循環流を生ずる。かくして、仕切壁20により筒状体12内で転動し攪拌される原料は、上記上流側循環流と下流側循環流を生じながら、原料供給管19から供給される原料の量に相当する量が一端側の開口部15Aから他端側の開口部16Aへと搬送される。
【0023】
回転する上記筒状体12の外周に静止して位置している外筒体14は、軸線11方向両端部の内周面にフランジ部14A,14Bが設けられていて、外筒体14と筒状体12との間に形成された環状空間13を回転シール(図示せず)によりシールしつつ上記筒状体12の回転を許容している。この外筒体14には、軸線11方向他端側に送気管22がそして一端側に排気管23が接続されている。
【0024】
上記筒状体12の他端側の端壁部16に形成された開口部16Aの出口部には、該出口部を覆うフード24が設けられている。該フード24は、上記端壁部16の他端外周面を受け入れる孔状の受部24Aが形成されており、該受部24Aと上記他端外周面との間に配された回転シール(図示せず)によりシール状態で上記筒状体12の回転を許容している。
【0025】
上記フード24は、上下に開口していて、上部開口側には下述の触媒塔30が接続されており、下部開口側からは固形分排出管25が垂下している。したがって、筒状体12の他端側の開口部16Aから排出される気体分は上記触媒塔30へ導引され、同時に上記開口部16Aから排出される固形分は上記固形分排出管25から落下排出される。上記フード24には、上記軸線11上に、外部から水蒸気を該フード24内に供給する水蒸気供給管26が突入して位置している。
【0026】
触媒塔30は、縦長筒状をなして下部に流入口31Aそして上部に流出口31Bを有する塔本体31内に、触媒収容部32を有していると共に、該触媒収容部32の周囲に気体通路部33を形成している。塔本体31には、その側部に、外部から高温気体(破線矢印で図示)を上記気体通路部33へ供給する高温気体供給管34接続されていると共に、既述の外筒体14に一端が接続されている送気管22の他端が上記気体通路部33に連通するように接続されている。上記触媒収容部32は、例えば、横断面を示す
図3(A)に見られるように、上下方向(
図3(A)では紙面に対して直角方向)に延びる複数の収容管32Aの中に触媒32Bが収容されており、該収容管32Aは上下端が開口しているものの触媒が漏出しないように上下の開口が網状部材が設けられていて、気体が下方の開口から流入して触媒32B内を透過上昇し上方の開口から流出できるようになっている。上記複数の収容管32Aと塔本体31との間は連接板35(
図1参照)で連接されていて、収容管32Aの外周囲に形成される上記気体通路部33と収容管32A内部とは連通していない。したがって、塔本体31の下部の流入口31Aから流入する筒状体12からの気体は上記収容管32A内の触媒32Bと直接接触しながら触媒32B中を透過上昇して上部の流出口31Bから流出する。これに対して、外部から高温気体供給管34から上記気体通路部33へ供給された高温気体は、該気体通路部33を流通中に、触媒32Bとは接触することなく収容管32Aの外面を介して触媒32Bを間接的に高温とし、上記送気管22を経て筒状体12の周囲の環状空間13へ送入される。
【0027】
塔本体31の横断面形状及び触媒収容部32と気体通路部33の位置関係等は、
図3(A)の形態に限らず、
図3(B)〜(D)のように変形が可能である。
図3において、塔本体31は
図3(A),(B)では角筒型、
図3(C),(D)では円筒型をなしており、また、触媒32Bは、
図3(A),(C)では収容管32A内に、そして
図3(B),(D)では収容管32A外に収められている。また、上記触媒収容部32と気体通路部33の縦断面における形態も、断面図を示す
図4(A)〜(C)のように変形が可能である。
図4(A)では、気体通路部33が上方から下方に向け波形屈曲を繰り返す管路により形成され、
図4(B)では、上方から下方に向く並列管路を分岐して設け管路外に触媒32Bを配することとしており、さらには
図4(C)では、上方に開口し下端が底壁で閉じられた複数の縦管33Aのそれぞれへ細管33Bを該底壁近傍にまで延ばすとともに、該細管の下端を開口させ、細管33Bの上端同士を遮壁33Cで連結することで、該遮壁33Cの下側と上側との間に折り返し屈曲する気体通路部33としての流路を形成し縦管33A外に触媒32Bを配することとしている。こうすることで、流路長を大きくすることができ、流路を流れる高温気体は管壁を介して触媒32Bを効果的に間接加熱する。いずれの場合も、塔本体31の下部の流入口31Aから流入する筒状体12からの気体分が十分な面積で触媒32Bと直接接触して触媒収容部32内を上昇し、また、外部からの高温気体が十分な面積で触媒収容部32の外面と接触して触媒32Bを間接加熱するようになっていることが求められる。
【0028】
本発明においては、筒状体12へ供給される原料が可燃物を含有していて、筒状体12内で加熱されることで、熱分解して、炭化物を含む固形分と、可燃ガス、タール蒸気、水蒸気を含む気体分とを生成し、触媒塔30では、この気体分を受けて触媒32Bのもとでタール蒸気と水蒸気との間で水蒸気改質反応を行うこととしている関係で、上記触媒32Bはこれに好適な水蒸気改質用固定触媒を用いる。本発明では、多孔質アルミナ、シリカの担体に、ニッケル、鉄等を沈着させたものを用いるのが良く、その粒径は5〜30mm程度である。
【0029】
このように構成される本実施形態装置では、
図1に見られるように、可燃物を含有する原料Mは原料供給管19から筒状体12内へ投入され、ガイド板21付きの仕切壁20の作動のもとで、筒状体12内を転動すると共に仕切壁20の一端側の連通部20Aと貫通窓部20Cの間の上流側循環流を形成して、環状空間13内の500〜800℃の高温気体により筒状体12を介して間接的に400〜800℃の温度に加熱されながら下流側へ搬送され、下流側では、筒状体12内で転動すると共に貫通窓部20Cと他端側の連通部20Bとの間の下流側循環流を形成して上記高温気体で間接加熱を受けながら他端側の開口部16Aへ至る。上記原料Mは、他端側の開口部16Aへ至るまでの間に、十分に加熱されて熱分解し、気体分Gと固形分Sとを生じ、気体分Gはフード24を経て触媒塔30へ送られ、固形分Sは固形分排出管25から排出される。上記固形分Sには、炭化物(チャー)に加え灰分も含まれ、気体分Gには可燃ガスに加え、タール蒸気そして水蒸気が含まれている。固形分Sは炭化物が選別され、燃料用製品として取り出され、灰分は適宜処分される。一方、上記気体分Gは、フード24内で水蒸気供給管26から水蒸気が補給された状態で、上記触媒塔30へ送られる。
【0030】
触媒塔30では、高温気体供給管34を経て900〜1000℃の高温気体が気体通路部33内に供給されており、この高温気体によって触媒収容部32の収容管32A内の触媒32Bは該収容管32Aを介して、反応に必要な700〜900℃の温度(反応温度)にまで間接加熱されている。触媒32Bを加熱した後の高温気体は、500〜800℃の温度となって上記送気管22を経て、環状空間13へ供給され筒状体12をその外周面で加熱し降温後、排気管23から排出される。一方、塔本体31の下部をなす流入口31Aへ流入した筒状体12からの気体分は、触媒収容部32の収容管32A内の触媒32Bと直接接触して該収容管32A内を上昇し、流出口31Bから流出する。上記気体分は、当初からの可燃ガスに加え、タール蒸気と水蒸気とを含んでおり、水蒸気供給管26からの水蒸気と相俟って上記触媒32Bとの接触状態のもとで、タール蒸気と水蒸気は水蒸気改質反応を生じ完全にガス化され、タール蒸気を含まない新たな可燃ガスを生ずる。かくして、当初の可燃ガスと新たな可燃ガスが一体となって上記流出口31Bから、タール蒸気がガス化された燃料製品として取り出されることとなる。
【0031】
<第二実施形態>
図1の第一実施形態装置では、触媒塔30へ供給される高温気体には、特に限定がなかったが、
図5に示される第二実施形態装置では、加熱装置10の筒状体12内で生成された固形分を燃料として燃焼器で燃焼させ、その燃焼による排ガスを高温気体として用いて触媒塔30へ供給している。この第二実施形態装置を示す
図5では、
図1装置をそのまま使用しこれに上記燃焼器を加えた構成となっており、
図1と共通部位には同一符号を付し、その説明は省略する。なお、
図5において、筒状体12は
図1のものと全く同じであるし、また、該筒状体12の内部構成は第二実施形態では要部をなしていないので、その内部構成を図示せず筒状体の外観のみを示すに留めている。
【0032】
図5に示される第二実施形態装置は、
図1に図示と同じな筒状体12及び外筒体14と、触媒塔30とを有していると共に、これらに加え、燃焼器40をも有している。該燃焼器40は、横型の回転筒状体形式となっているが、本実施形態ではこれに限定されず他の形式のものでもよい。燃焼器40は筒状の燃焼器本体41の外周面に被支持リング42,43が設けられ、ここで軸受42A,42Aに回転自在に支持され、図示せぬ駆動手段により横方向に延びる回転軸線まわりに回転駆動を受けている。燃焼器本体41は、軸線方向の両端に開口部(図示せず)が形成され、
図1に示されている固形分排出管25からの固形分を該燃焼器本体41の右端側の開口部を経て該燃焼器本体41の内部に受入れ、該固形分の燃焼後の灰分を左端側の該燃焼器本体41の開口部を経て排出管44から排出するようになっている。上記燃焼器本体41にはその左端部から燃焼器本体41内に突入する送気管45が該燃焼器本体41と一緒に回転するように取り付けられており、外部に設けられた空気供給管46から、相対回転を許容する回転継手47を経て、燃焼用の空気を受け燃焼器本体41内に供給するようになっている。
【0033】
上記燃焼器本体41の右端側は、燃焼器本体41の回転を許容するフード49で覆われており、該フード49は延出管50によりサイクロン50Aに接続されている。該サイクロン50Aは、燃焼器本体41での固形分の炭化物の燃焼により生じた排ガスを受け、純粋ガス成分としての高温気体と、排ガス中に含まれている灰分とを分離し、高温気体をサイクロン50Aの上部から高温気体供給管34を経て触媒塔30へ送り、灰分はサイクロン50Aの下部から落下排出する。
【0034】
かくして、第二実施形態装置では、筒状体12内で原料の熱分解により生じた炭化物を含む固形分を燃焼器40で燃焼させ、その燃焼で生ずる排ガスが高温気体として触媒塔30へ送られて触媒の加熱に供することとなり、可燃ガスを得るために筒状体12内で熱分解された原料から生じた固形分を燃料として用いるので、触媒の加熱用としての高温気体を得るのに必要な燃料を自己の装置内で賄うことができ外部から別途の燃料を供給する必要がない。
【0035】
次に、本実施形態で用いられる燃焼器40について好ましい変形例を
図6にもとづき説明する。
図6に図示の燃焼器40の燃焼器本体41は、横型の筒状をなし、右半部51が右端に向け若干先細りテーパをもつ筒状、左半部52が円筒状である。右半部51は断熱材で形成されている。
【0036】
かかる燃焼器本体41は、右端壁に開口51Aが形成されており、該右端壁の部分がフード49内に突入している。該フード49には、固形分排出管25の下端部分が突入しており、この固形分排出管25の下端開口から、筒状体12で生成された固形分が燃料として上記燃焼器本体41内に供給されるようになっている。
【0037】
テーパ筒状の左半部52は、断熱材の外周壁53と、透気性を有する多孔材の内周壁54と、さらには、
図7(A),(B)に見られるように、上記外周壁53の外面を覆う保護壁55とを有している。上記外周壁53には、周方向の複数位置で半径方向に貫通し軸線方向(
図7(A),(B)にて紙面に対して直角方向)に延びる溝部56が形成されている。該溝部56には空気等の燃焼用酸化剤を送気する送気管57が軸線方向に延びるように配されている。この送気管57には、空気等を噴出する噴出小孔57Aが多数穿設されている。この送気管57については、再度後述する。
【0038】
上記左半部52の左端部は、
図6に見られるように、保護壁55(
図7(B)参照)の軸線方向端部で燃焼器本体41の回転を許容するようにシールされた排出筒58により覆われている。該排出筒58は、その内部が燃焼器本体41の左半部52の開口部52Aと連通していて、該排出筒58からは下方に向け灰分排出管59が延びている。上記左半部52は、開口部52Aの位置から左方へ段状に小径に形成された筒状の延出部52Bが延びており、その延出部52Bの外面に沿って上記送気管57が延びている。上記延出部52Bの先端には、摺動壁60が設けられており、該摺動壁60は上記延出部52Bよりも半径方向外方にまで及んでいる。上記摺動壁60は軸線方向端面が凸球状面をなしており、送気管57が上記左半部52の端壁、延出部52Bそして摺動壁60の外周面に沿うようにクランク状に屈曲されて上記摺動壁60を貫通して摺動壁60の凸球状面に開口している。
【0039】
上記摺動壁60に対しては、該摺動壁60の凸球状面との相対摺動を許容する凹球状面をもつ摺動支持部材61が設けられている。上記摺動壁60と摺動支持部材61との球面形状は、燃焼器本体41が熱の影響を受けて正規位置に対して傾いても、支障ないように自動調心性を与えている。摺動壁60の凸球状面と摺動支持部材61の凹球状面には、複数の上記送気管57の開口に連通する送気路(図示せず)が形成されている。さらに、この摺動支持部材61には、空気等の送気管62が接続されていて、図示しない空気供給源からの空気が上記送気管62と送気路を経て送気管57に供給できるようになっている。この送気管57を経て供給される空気は噴出小孔57Aから噴出され、多孔材の内周壁54を透過して燃焼器本体41に入り、燃焼に寄与する。
【0040】
次に、
図8にもとづき第三実施形態装置を説明する。
【0041】
<第三実施形態>
図1の第一実施形態では、筒状体内の原料は筒状体の外部から高温気体により間接加熱されていたが、
図8の第三実施形態では、原料に含有される可燃物自体の燃焼、いわゆる自燃により原料を加熱する形態である。したがって、筒状体内部は
図6に示した燃焼器と類似した構成を示している。なお、
図8において、
図1そして
図6と共通部位には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図8において、加熱装置10の筒状体12は、軸線方向での中間域そして左側域(断面でハッチングされている範囲)が耐熱材で作られていて(右側域については後述する)、その内部には、左側域にガイド板21が取り付けられた仕切壁20が設けられ、中間域には螺旋搬送体70が設けられている。本実施形態では、上記筒状体12の外側には
図1の場合とは異なり外筒体は設けられていない。
【0043】
上記ガイド板21付きの仕切壁20は、
図1の場合と同様の形態で、ガイド板21は仕切壁20の両面で互いに逆方向の搬送を行う傾斜をなし、仕切壁20は原料に上流側(図にて左側)循環流を生じさせるための連通部20A,20Bが形成されている(
図9(A)をも参照)。
【0044】
上記筒状体12の一端側の開口部15Aには、原料供給管19が進入している。さらに
、上記開口部15Aには、フード24が設けられ、該フード24を原料供給管15が貫通している。該フード24には、その上方位置に配された
図1と同様の触媒塔30が接続されている。
【0045】
筒状体12の軸線方向における中間域には、複数(図示の例では、
図9(B)にも見られるように四つ)の螺旋搬送体70が設けられている。螺旋搬送体70は、左右に開口する円筒部材内に配された軸体の周囲に螺旋板が取り付けられている形態をなし、筒状体12と共に回転することで、原料を螺旋板で軸線方向に搬送するようになっている。螺旋搬送体70は二種が配されていて、一種と他種は螺旋方向が反対となっていて搬送方向が互いに逆向きとなっている。例えば、
図9(B)では上下に位置するのが一種で、左右に位置するのが他種である。
図9(B)にて、四つの螺旋搬送体70同士間の空間は、軸線方向で螺旋搬送体70の両端位置に設けられた遮板71により、螺旋搬送体以外での軸線方向での原料の流通を阻止している。
【0046】
したがって、原料は一種の螺旋搬送体70で軸線方向で一方に向け搬送されると共に他種の螺旋搬送体70に進入して軸線方向で他方に向け搬送される結果、原料は中間域循環流を形成する。既述した連通部20Bと後述の連通部80Aとが上記中間域循環流の形成のために、二種の螺旋搬送体70の一端側開口同士と他端側開口同士のそれぞれの連通している。
【0047】
上記筒状体12の右側域そして延出部52B等は、
図6に示された第二実施形態装置の左半部と同様で、左右反転した対称構造となっている。
図6のものとの差異は、筒状体12の内部に、ガイド板81を有する燃焼室用仕切壁80が設けられていることである。この燃焼室用仕切壁80は、既述のガイド板21と比較すると、ガイド板81を有している点、両端に連通部80A,80Bを有している点で共通している。かくして、上記燃焼室用仕切壁80では、上記連通部80A,80Bを経て燃焼室用仕切壁80の両面側の空間に原料の下流側循環流を生ずる。原料は、この下流側循環流を形成する。
【0048】
筒状体12の右側域は、上述したように
図6の左半部(
図7(B)をも参照)と同様に、断熱材の外周壁53と、透気性を有する多孔材の内周壁54と、さらには、上記外周壁53の外面を覆う保護壁55とを有している。上記外周壁53には、周方向の複数位置で半径方向に貫通し軸線方向に延びる溝部56が形成されている。該溝部56には空気等の燃焼用酸化剤を送気する送気管57が配されている。この送気管57には、空気等を噴出する噴出小孔57Aが多数穿設されている。以上の構造は、
図8では明確には表われていないが、
図7(B)と同じになっている。かくして、下流側循環流を形成する原料は、上記送気管57からの空気等を多孔材の内周壁54を通して受け、該原料に含有されている可燃物が燃焼する。すなわち、原料の一部は自燃し、上記筒状体12の右端壁までの右側域は燃焼室を形成することとなる。
【0049】
上記筒状体12の右側域の右端部は、保護壁55の軸線方向端部で筒状体12の回転を許容するようにシールされた排出筒90により覆われている。該排出筒90は、その内部が筒状体12の連通部80Bと連通していて、該排出筒90からは上方に向け排ガス管91そして下方に向けチャー含有の固形分排出管92が延びている。排ガス管91は排ガスを高温気体として触媒塔30へ供給するように、サイクロン(図示せず)を経て、該触媒塔30の高温気体供給管34に接続されている。上記筒状体12の延出部52Bの先端には、
図6における場合と同様の摺動壁60が設けられていて、送気管62からの空気が上記連通部80Bへ供給される。
【0050】
このような本実施形態において、可燃物を含有する原料が原料供給管19から筒状体12の一(左)端側に投入されると、原料は軸線方向で上流側の仕切壁20の範囲で、連通部20A,20Bを経て上流側循環流を形成し、連通部20Bの位置から中間域の螺旋搬送体へ搬送されて該中間域で上記仕切壁20の連通部20Bと燃焼室用仕切壁80の連通部80Aを経て中間域循環流を形成した後、燃焼室となる筒状体12の右側域にもたらされる。この右側域では、原料が上記連通部80Aと連通部80Bを経て下流側循環流を形成しながら送気管62からの酸化剤としての空気を多孔性の内周壁54を透して受けて、この原料の一部が燃焼する。すなわち、原料は該原料の一部に含有される可燃物により自燃する。自燃により生じた排ガスは上記排ガス管91を経て触媒塔30の高温気体供給管34へ送られて、触媒32Bの間接加熱に供する。
【0051】
上記下流側循環流を形成する原料の一部が燃焼することで、その熱量は、連通部80Aにて、中間域循環流の原料と混合してこの中間域循環流の原料に伝達される。同様にして、上記中間域循環流の原料は連通部80Bにて上流側循環流の原料と混合するので、上記熱量は上流側循環流の原料へ伝達される。この熱量により、上流側循環流の原料は熱分解され、気体分とチャー含有の固形分とを生ずる。上記気体分は、触媒塔30へ送られ、
図1の場合と同様に、水蒸気改質反応のもとでガス化されてタール蒸気を含まない可燃ガスとして取り出される。
【0052】
このように熱量は軸線方向の他(右)端側から一(左)端側へ伝達されるが原料自体は一端側から他端側へ搬送されるので、上記チャー含有の固形分は、他端側の固形分排出管92から排出される。