【実施例】
【0048】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いたフィラーとそれを用いて作製したフィルムの特性は、次のようにして評価した。
【0049】
〔平均粒径〕
島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて、平均粒径を算出し、平均粒径とした。
【0050】
〔比表面積〕
島津製作所社製 トライスターII 3020(BET法)を用いて、比表面積を測定し、その値を比表面積とした。
【0051】
〔全光線透過率〕
日本電色工業社製のヘーズメーター、NDH 5000を用いて、ASTM D 1003に従って全光線透過率(%)を全光線透過率とした。全光線透過率が0.6%未満を「○」とし、0.6%以上を「×」とした。
【0052】
〔光沢度〕
日本電色工業社製の光沢度計、V−7000を用いて、入射角60°での光沢度(%)測定した値を光沢度とした。光沢度が50%以下を「○」、50%より大きく100%未満を「△」、100%以上を「×」とした。
【0053】
〔絶縁破壊電圧〕
JIS C 2110−7.1にしたがって測定し、絶縁破壊した電圧の値を測定サンプルの厚みで除した値V/μmを絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧は、常態と吸水後の2水準実施している。常態での測定は、23℃(±3℃)/55%RH(±5%RH)の環境で48時間放置した後に測定した。吸水後での測定は、バットに蒸留水を入れ、フィルムが蒸留水に浮かないようにして48時間浸した。その後、フィルムを取り出した後、フィルム表面の水滴を拭き取り、フィルムを取り出した後3分以内に測定した。
【0054】
常態時の絶縁破壊電圧が、150V/μm以上を「○」、100V/μm以上150V/μm未満を「△」、100V/μm未満を「×」とした。
【0055】
また、吸湿時の絶縁破壊電圧が、80V/μm以上を「○」、80V/μm未満を「△」とした。
【0056】
〔吸湿率〕
200℃×2時間乾燥させた後、23℃(±3℃)/55%RH(±5%RH)の環境で48時間放置した。ティー・エイ・インスツルメント社製の熱重量測定装置 SDT Q600も用いて、120℃×2時間での重量減少割合を吸湿率とした。
【0057】
吸湿率が、2.0%未満を「○」とし、2.0%以上を「×」とした。
【0058】
〔外観〕
フィルム化後、目視で、フィルムにフィラーの凝集物が発生しているかどうかで判定した。凝集物が発生していないものを「無」、凝集物が発生しているものを「有」とした。
【0059】
〔製膜性〕
フィルム化操作中に、フィルムが脆いために裂けてしまったものを「×」、裂けずにフィルムが得られたものを「○」とした。
【0060】
(合成例1:ポリアミド酸溶液Aの合成)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)805.9gにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1g、及び4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(4,4´−ODA)を56.2g添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2g添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45g/DMF31.6g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約15重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸溶液Aを得た。
【0061】
(調合例1:顔料分散液の調合)
顔料30gをDMF470gに混合した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形成分濃度6%の顔料分散液を得た。分散状態は、グラインドゲージで1μm以上の粗粒子が含まれないことを確認した。
【0062】
(調合例2:フィラー分散液の調合)
フィラー50gをDMF450gに混合した後、ホモジナイザーで分散させ、固形成分濃度10%のフィラー分散液を得た。
【0063】
(合成例2:ポリアミド酸溶液Bの合成)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)805.9kgにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1kg、及び4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(4,4´−ODA)を56.2kg添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2kg添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45kg/DMF31.6kg)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約15重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸溶液Bを得た。
【0064】
(調合例3:顔料フィラー分散液の調合)
顔料30kgをDMF470kgに混合した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形成分濃度6%の顔料分散液を得た。分散状態は、グラインドゲージで1μm以上の粗粒子が含まれないことを確認し、実験に用いた。また、フィラー48kgをDMF432kgに混合した後、ホモジナイザーで分散させ、固形成分濃度10%のフィラー分散液を得た。得られた顔料の分散液500kgとフィラーの分散液480kgを混合し、顔料フィラー分散液を得た。
【0065】
(調合例4:イミド化剤の調合)
DMF175.6kgに、イソキリン56.8kg、無水酢酸127.6kgを混合し、イミド化剤を調合した。
【0066】
(実施例1)
顔料としてベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4280:350℃×20分間後の加熱減量率が6%)を用い、調合例1と同様にして調合した顔料分散液15.4gと、フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g)を用い、調合例2と同様にして調合したフィラー分散液2.8gを混合して、顔料フィラー分散液を調合した。その後、合成例1で得たポリアミド酸溶液Aを135.6gと前記顔料フィラー分散液を混合しドープを調合し、0℃以下の温度で冷却した。前記ドープに、イミド化剤(無水酢酸/イソキノリン/DMF=19.1g/8.5g/26.0g)を添加し、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂100重量部に対して、顔料が5重量部、フィラーが1.5重量部含有している。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(実施例2〜8)
フィラーの添加量変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0069】
(実施例9)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア310P:平均粒径2.7μm、比表面積300m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
(実施例10)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア380:平均粒径9.0μm、比表面積300m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0072】
(実施例11)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア430:平均粒径4.1μm、比表面積350m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0073】
(実施例12)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア550:平均粒径3.9μm、比表面積500m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0074】
(実施例13)
フィラーを酸化ケイ素(AGCエスアイテック社製サンスフェアH−32:平均粒径3.0μm、比表面積700m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0075】
(実施例14)
顔料をベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4281:350℃×20分間後の加熱減量率1%)に変更した以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0076】
(実施例15)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック100:平均粒径2.7μm、比表面積300m
2/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0077】
(実施例16)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0078】
(実施例17)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック704:平均粒径6.2μm、比表面積350m
2/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例18)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して2重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0081】
(実施例19)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0082】
(実施例20〜22)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア550:平均粒径3.9μm、比表面積500m
2/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部とした。顔料の添加量と、フィルムの厚みを変更し、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性3を表に示す。
【0083】
(実施例23)
イミド化剤を使用しないことと、樹脂膜の乾燥条件を120℃×300秒に変更したこと以外は、実施例5と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0084】
(実施例24)
イミド化剤を使用しないことと、樹脂膜の乾燥条件を120℃×300秒に変更したこと以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0085】
(実施例25)
顔料としてベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4280:350℃×20分間後の加熱減量率が6%)を用い、フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g)を用いて調合例3と同様にして、顔料フィラー分散液を調合した。合成例2で合成したポリアミド酸溶液Bの吐出量を27.5kg/hとし、調合例4で調合したイミド化剤の吐出量を12.5kg/hとし、ミキサーで混合した直後に、前記顔料フィラー分散液の吐出量を6.1kg/hとし、続いてミキサーで混合し、ドープを得た。得られたドープは、単層ダイからエンドレスベルトに流延し、120℃×60秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして、金属ピンでゲル膜の両端を固定した。ゲル膜は顔料及びフィラーが多量に含有しているため、含有していないゲル膜と比較して脆いため、金属ピンは複数列配置し、ゲル膜を複数列の金属ピンで固定した。その後、ゲル膜をテンター炉に入れ、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12μmで、フィルム幅500mmのポリイミドフィルムを10000m取得した。なお、エンドレスベルトとテンター炉の速度は、吐出量に対して、得られるフィルムの厚みが12μmとなるように調整した。得られたポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂100重量部に対して、顔料が5重量部、フィラーが8重量部含有している。得られたフィルムの特性は、実施例6と同様であった。また、加熱炉を確認したところ、フィルムの特性に差が生じない程度で、顔料に含まれる成分が昇華・再結晶化して、炉内を汚していることが分かった。炉内の汚れをIRで分析し、その汚れが顔料に含まれる成分であることを確認した。
【0086】
(実施例26)
顔料をイミダゾール含有のペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4281:350℃×20分間後の加熱減量率1%)に変更した以外は、実施例25と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性は、実施例14と同様であった。また、加熱炉を確認したところ、顔料に含まれる成分で炉内が汚れていなかった。
【0087】
(比較例1)
フィラーの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製しようとしたが、製膜性が悪く、フィルムの特性評価を実施することができなかった。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
(比較例2)
フィラーを酸化ケイ素(日産化学社製スノーテックス−ZL:平均粒径0.1μm、比表面積30m
2/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0090】
(比較例3)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア社製サイリシア470:平均粒径14.1μm、比表面積350m
2/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製しようとしたが、製膜性が悪く、フィルムの特性評価を実施することができなかった。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0091】
(比較例4)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア社製サイリシア730:平均粒径4.0μm、比表面積800m
2/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0092】
(比較例5)
顔料としてカーボンブラック(エボニック デグサ社製Special Black4)を用い、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部添加し、又フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m
2/g)を用い、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0093】
(比較例6)
顔料、フィラーを添加しない以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。