特許第5961511号(P5961511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961511
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】黒色ポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20160719BHJP
   C08K 5/3447 20060101ALI20160719BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20160719BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20160719BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C08L79/08 Z
   C08K5/3447
   C08K3/36
   C08K9/04
   C08J5/18CFG
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-217923(P2012-217923)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70169(P2014-70169A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】松谷 晃男
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅義
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−501850(JP,A)
【文献】 特許第4709326(JP,B1)
【文献】 国際公開第2011/151886(WO,A1)
【文献】 特開2011−128598(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145473(WO,A1)
【文献】 特開2012−077306(JP,A)
【文献】 特開2009−016671(JP,A)
【文献】 特開2013−028767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 79/08
C08J 5/18
C08K 3/36
C08K 5/3447
C08K 9/04 −9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリイミド樹脂を100重量部、
(b)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックを1〜20重量部、及び
(c)フィラーを1〜15重量部
を含み、
前記(c)フィラーの平均粒径が1〜10μm、及び比表面積が100〜700m/gであることを特徴とする黒色ポリイミドフィルム。
【請求項2】
前記(b)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックは、350℃×20分間後の加熱減量率が3%未満であることを特徴とする請求項1に記載の黒色ポリイミドフィルム。
【請求項3】
前記(c)フィラーが、フィラー表面を疎水性とした酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1又2に記載の黒色ポリイミドフィルム。
【請求項4】
前記(a)ポリイミド樹脂は、脱水剤及びイミド化触媒を用いて製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒色ポリイミドフィルム。
【請求項5】
フィルム表面の光沢度が1〜50%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の黒色ポリイミドフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色ポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受け、フレキシブルプリント配線板は、可撓性を有し、繰り返し屈曲に耐えるため、狭い空間に立体的高密度の実装が可能であり、電子機器への配線、ケーブル、あるいはコネクター機能を付与した複合部品としてのその用途が拡大している。特に最近では、カメラ、ビデオカメラ、CD−ROMドライブの光ピックアップ部等の電子・光学機器に使用されることが多くなり、それに伴ってフレキシブルプリント配線板に対する遮光性と低光沢性が重要となっている。この遮光性とは光学機器の嫌光部に用いられるフレキシブルプリント配線板に必要な特性で、外部から嫌光部に侵入しようとする光を配線板で遮る特性であり、低光沢性は配線板によって遮られた光のわずかな反射光が再び嫌光部に侵入しないよう、反射光を拡散させる特性である。
【0003】
また、フレキシブルプリント配線板は、携帯電話やパソコンにも欠かすことのできない電子部品であり、その需要は年々増加している。携帯電話やパソコンにおいては、機能とともにデザイン性も重要となってきており、黒色で、低光沢(マット)な質感を有するフレキシブルプリント配線板も求められている。
【0004】
遮光性を付与させるために、従来はフレキシブルプリント配線板のカバーレイフィルム側の電気絶縁性フィルムに直接スクリーン印刷法等により黒色インクを印刷して対応していた。しかしながらこの方法では凹凸のあるフレキシブルプリント配線板にスクリーン印刷を行うため作業性が悪く、かつ回路加工工程中に印刷工程が増えることから、作業効率も悪くなってしまう。また、回路の外形加工時及び折り曲げ時に、黒色インクが折れたり剥れたりして遮光性が失われたり、黒色インクにより機器内部が汚染されてしまうという欠点があった。
【0005】
この課題を解決するために、黒色で低光沢性を有するポリイミドフィルムが開示されている。
【0006】
例えば、ポリイミドフィルムを黒色化した後、そのフィルム表面をマット処理することで低光沢性のポリイミドフィルムが得られることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、研磨粉がフィルムに付着し、その研磨粉を除去することが難しかった。
【0007】
また、マット加工した基材上に溶液を塗布・乾燥させ、基材表面のマット形状をフィルムに転写させることで、遮光性フィルムが得られることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法でマット処理できるのはフィルムの片面のみであり、もう一方の面をマット面は研磨等のマット処理が必要であった。
【0008】
さらに、無機充填材を含有する黒色フィルムの表面をマット処理し、黒色耐熱遮光フィルムが得られることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、研磨粉がフィルムに付着し、その研磨粉を除去することが難しかった。
【0009】
いずれの場合も、フィルム表面をマット処理する必要があり、その処理時に処理粉が発生する。処理粉はフィルムに付着しており、次工程を汚染する危険性がある。このため、処理粉を除去するため、余分に工程が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9―135067号公報
【特許文献2】特表2010−534342号公報
【特許文献3】特開2011−128598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
フィルム表面にマット感がある低光沢性のフィルムを得るには、マット処理が必要となる。マット処理をすると、研磨粉がフィルムに付着し、次の工程を汚染したり、フィルム表面に存在するフィラー及び顔料の欠落が発生したりすることがあった。本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、遮光性、低光沢性、絶縁性に優れた黒色ポリイミドフィルム、及びそれを用いて得られるカバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)ポリイミド樹脂を100重量部、(b)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックを1〜20重量部、及び(c)フィラーを1〜15重量部を含み、前記(c)フィラーの平均粒径が1〜10μm、及び比表面積が100〜700m/gであることを特徴とする黒色ポリイミドフィルムを用いることにより、得られたフィルムのマット処理が不要で、優れた遮光性(低透過率)、低光沢性(低光沢度)、絶縁性に優れた黒色ポリイミドフィルム、及びそれを用いて得られるカバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本願発明は、(a)ポリイミド樹脂を100重量部、(b)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックを1〜20重量部、及び(c)フィラーを1〜15重量部を含み、前記(c)フィラーの平均粒径が1〜10μm、及び比表面積が100〜700m/gであることを特徴とする黒色ポリイミドフィルムである。
【0014】
前記(b)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックは、350℃×20分間後の加熱減量率が3%未満であることが好ましい。
【0015】
前記(c)フィラーが、フィラー表面を疎水性とした酸化ケイ素であることが好ましい。
【0016】
前記(a)ポリイミド樹脂は、脱水剤及びイミド化触媒を用いて製造されることが好ましい。
【0017】
フィルム表面の光沢度が1〜50%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の係る黒色ポリイミドフィルムは、優れた遮光性、低光沢性、及び絶縁性を兼ね備え、意匠性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
【0020】
黒色ポリイミドフィルムとは、全光線透過率が0.6%未満のポリイミドフィルムのことである。主に顔料でポリイミドフィルムを着色させているが、顔料自体が黒色である必要は無く、ポリイミドフィルム、顔料、フィラーを合わせた、フィルム状態でフィルムの全光線透過率が0.6%未満となれば良い。
【0021】
顔料は、ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックである。ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックは、絶縁性、耐熱性、着色性を兼ね備えている。中でも350℃×20分間後の加熱減量率が3%未満であるベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックが特に好ましい。ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックは、細かい粒子や、異性体が高温時に昇華することがあり、ポリイミドフィルムを製造する工程を汚染することがあった。前記のような工程の汚染を低減させる点で、350℃×20分間後の加熱減量率が3%未満であるペリレンブラックを用いることが特に好ましい。本願発明は、顔料として、ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラックを必須とするが、遮光性、低光沢性、絶縁性を損なわない範囲であれば、必要に応じ、これ以外の顔料を併用してもよい。併用できる顔料としては、導電性低導電性カーボンブラック、チタンブラック、鉄とクロム等を含む金属酸化物、アニリンブラック、ペリレンブラック等が挙げられる。
【0022】
顔料の含有量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、1〜20重量部であり、コストの面で1〜10重量部が好ましい。1重量部未満であれば、黒色とならず、20重量部を超えるとフィルムが脆弱になったり、絶縁性が低下したりすることがあった。
【0023】
フィラーの材質は、黒色ポリイミドフィルムの光沢性、機械特性と絶縁性を発現できるものであれば特に限定されないが、好ましいフィラーとして、酸化アルミ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミ等が挙がられる。その中でも、フィルムの色に影響を与えず、フレキシブルプリント基板作製時に使用する溶液への影響が少ない点で、酸化ケイ素が好ましい。酸化ケイ素としては、形状、製造方法等の観点から、溶融シリカ、多孔質シリカ、シリカゲル、フュームドシリカ、球状シリカ等が挙げられる。酸化ケイ素は、後述するフィラーの形状を満たすものであれば、特に限定するものでは無いが、酸化ケイ素の分散液を使用する場合、分散液の安定性の面で多孔質シリカを用いることが好ましい。また、フィラーを含有したフィルムの吸湿率又は吸水率を低く保つために、フィラー表面を疎水性とした酸化ケイ素が好ましい。このフィラー表面を疎水性とする処理は、酸化ケイ素表面の−OH基を、シリル化(有機ケイ素処理)、エステル化、ウレタン化等で修飾したり、熱で−OH基を除去したりすることができる。この処理により、フィルム全体の吸水量が低減し、絶縁破壊電圧が高位で安定する。
【0024】
フィラーの含有量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、1〜15重量部である。含有量が1重量部未満であれば、光沢を下げることができず、15重量部を超える場合、フィルムの機械強度を大幅に低下させる。
【0025】
フィラーは、平均粒径が1〜10μmであることにより、低光沢度を実現できるとともに、フィルムの機械強度を維持することができる。平均粒径が1μm未満だと光沢度を低くできず、10μmより大きいとフィルムの機械強度が低下する。
【0026】
フィラーの比表面積は、BET法で測定した値であり、100〜700m/gである。フィラーの比表面積が前記の範囲であれば、光沢度と分散性を両立させることができる。比表面積が大きいと表面の凹凸が多く、その凹凸で光を乱反射させ、光沢度低くすることが可能である。フィラーの比表面積が100m/g未満であれば、フィルムが脆化しない範囲で光沢度を十分低くすることが難しい。またフィラーの比表面積が700m/gより大きい場合は、所望の光沢度を実現させるに十分な量を含むフィルムは吸湿率が高くなる。光沢度と分散性の観点で、200〜700m/gが好ましく、300〜700m/gがさらに好ましい。
【0027】
次に、本発明に係るポリイミドフィルムについて説明する。
【0028】
黒色ポリイミドフィルムは、厚さが5〜100μmであることが好ましい。フィルムの厚さは用途によって異なる。例えば、フレキシブルプリント配線板のカバーレイフィルムで用いられる場合、ポリイミドフィルムの厚さが5〜50μmが好ましく、また、フレキシブルプリント配線板のベースフィルム(基板)に用いられる場合、ポリイミドフィルムの厚さが5〜100μmが好ましい。
【0029】
黒色ポリイミドフィルムの表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が1.0〜4.0μmであることが好ましい。Rzが1.0μm未満であると、低光沢になりにくい傾向があり、4.0μmを超えるとフィルム表面に形成した接着剤層の厚みバラツキが大きく、フィルムの接着強度に大きなバラツキが生じる傾向がある。この表面粗さ(Rz)は、フィラーの平均粒径、フィラーの含有量とイミド化法により調整が可能である。フィラーの平均粒径が大きいとRzは大きくなり、フィラーの含有量が多いとRzは大きくなる。イミド化法では、熱的イミド化法よりも化学的イミド化法の方が、Rzは大きくなりやすい。
【0030】
ポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸溶液から得られる。このポリアミド酸溶液は、当業者が通常用いる方法で製造することができる。すなわち、1種または2種以上のテトラカルボン酸二無水物成分と1種または2種以上のジアミン成分を実質等モル使用し、有機極性溶媒中で重合してポリアミド酸溶液が得られる。
【0031】
ポリイミドフィルムの製造に用いられる代表的な酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4´−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンジフタル酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を上げることができる。その中でも、ピロメリット酸二無水物は、耐熱性の面で好ましい。
【0032】
またジアミン成分としては、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4、4´−ジアミノジフェニルスルフォン、3、3´−ジアミノジフェニルスルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビスアミノフェノキシケトン、4、4´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4、4´−(1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4、4´−ジアミノベンズアニリド、3、3´−ジメチル−4、4´−ジアミノビフェニル、3、3´−ジメトキシ−4、4´−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、あるいはその他の脂肪族ジアミンを挙げることができる。その中でも、パラフェニレンジアミンは、耐熱性、低加熱収縮の面で好ましい。
【0033】
本発明のポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸の重量平均分子量が10,000〜1,000,000であることが望ましい。重量平均分子量が10,000未満ではできあがったフィルムが脆くなる場合がある。他方、重量平均分子量が1,000,000を越えるとポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液の粘度が高くなりすぎ取扱いが難しくなるおそれがある。
【0034】
ポリアミド酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらは単独または混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を前記溶媒に一部混合して使用してもよい。また、このポリアミド酸は前記の有機極性溶媒中に5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%溶解されているのが取扱いの面から望ましい。
【0035】
本発明におけるポリイミドフィルムへの、顔料及び/又はフィラーの添加方法は上記ポリアミド酸を重合する前に予め溶剤中へ添加しておく方法、ポリアミド酸の重合途中に、顔料及び/又はフィラー、又はその分散液をポリアミド酸溶液に添加する方法、顔料及び/又はフィラーを予め溶剤に分散しておき、その分散液をポリアミド酸溶液に添加する方法等が挙げられるが、特に限定されるものでは無い。ポリアミド酸の重合前又は重合途中に、顔料及び/又はフィラー、その分散液を溶剤に添加しておく際は、顔料及び/又はフィラーの含水分量を低く管理することが好ましい。顔料及び/又はフィラーの含水分量の管理は、固体状態で含まれる水分を管理する方法(吸水しないような梱包にする、分散する前に乾燥する等)、分散液の状態で含まれる水分を管理する方法(分散液中に脱水剤を混合する等)で厳密に管理することが好ましい。また、ポリミアド酸溶液に顔料及び/又はフィラーの分散液を添加する際は、両溶液の粘度差による混合不良や、顔料及び/又はフィラーのショック凝集の恐れがあり、粘度差を小さく、顔料及び/又はフィラーの分散液の固形成分濃度を低くすることが好ましい。なお、顔料及び/又はフィラーの分散液を使用する際、分散液中にポリアミド酸溶液を加えて溶液粘度を上げたり、微小フィラーを添加し分散液のチクソ性を上げたりして、分散液の安定性を向上させることが好ましい。
【0036】
顔料及び/又はフィラーの分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、三本ロール、ホモジナイザー、超音波、撹拌翼を用いた撹拌、等公知の分散技術を適用可能である。尚、顔料とフィラーとは別々に分散液を作製してもよいし、1つの分散液としてもよい。
【0037】
黒色ポリイミドフィルムの製造方法は、熱的イミド化法と化学的イミド化法がある。熱的イミド化法は、脱水剤を使用せずに熱のみでイミド化させる方法であり、イミド化触媒を併用することができる。また化学的イミド化法は脱水剤を使用してイミド化させる方法であり、イミド化触媒を併用することが必須である。ポリアミド酸のイミド化は、イミド化反応とポリアミド酸のアミド結合の開列反応との競争反応であり、イミド化反応速度の速い化学的イミド化法を採用することが好ましい。特に本発明のようなポリイミドフィルムは、顔料及びフィラーを含むことでフィルムが脆くなるため、化学的イミド化法で黒色ポリイミドフィルムを製造することは、ポリイミドフィルムの伸び率や引張り強度等の機械特性を高めることで、ポリイミドフィルムの製膜性が優れる点で好ましい。また、化学的イミド化法は、脱水剤及びイミド化触媒を用いるため、熱的イミド化法と比較し、比較的低温でイミド化反応が進行する。このため、後述するポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムに変性する工程の途中で、フィルムの中にフィラーが埋没しにくく、フィラーの含有量が少量であっても、低光沢性を実現することができる点でさらに好ましい。また、化学的イミド化法は、ポリイミドの面配向を進行させることが可能となり、絶縁性が向上する点でさらに好ましい。さらに、化学的イミド化法は、吸湿率を低下させることができる点でさらに好ましい。
【0038】
熱的イミド化法又は化学的イミド化法で用いられるイミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第三級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第三級アミン類などが挙げられるが、フィルムの機械特性を向上させる点で複素環式第三級アミン類を用いることが好ましい。イミド化触媒の添加量は、ポリアミド酸のアミド結合の数に対して、0.3〜1.5当量であることが好ましい。
【0039】
また、化学的イミド化法で用いられる脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられるが、反応生成物が加熱によりフィルムから除去しやすい点で無水酢酸を用いることが好ましい。脱水剤の添加量はポリアミド酸のアミド結合の数に対して、1.3〜3.0当量であることが好ましい。
【0040】
顔料及びフィラー及びポリアミド酸溶液と、イミド化触媒及び脱水剤、又はイミド化触媒が混合した状態であるドープ溶液(混合する順番は順不同)は、−10〜10℃に冷却し、ダイからドラム又はエンドレスベルト上に流延し、200℃以下の熱風で10〜1000秒乾燥することが好ましい。その後、ドラム又はエンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを剥がし、フィルムの両端を金属ピン又は金属クリップで固定し、150℃以上500℃以下の熱風炉で3〜600秒焼成することが好ましい。その後、400℃以上600℃以下のIR炉で3〜600秒追加焼成し、最後に400℃以下の熱風炉で3〜600秒焼成することが好ましい。
【0041】
その後、金属ピン又は金属クリップで固定していたフィルム両端は固定した跡が残っているため、フィルム両端を切り落とし、フィルムロールとして巻き取ることはフィルムロールに皺を発生させない点で好ましい。
【0042】
黒色ポリイミドフィルムは、接着剤等の異種材料との密着性を向上させる目的で、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物をプライマーとして塗布する方法、金属水酸化物、有機アルカリ等で表面処理する方法、プラズマ処理、コロナ処理する方法、表面をグラフト化させる方法、等の各種表面処理を単独又は併用して行うことができる。
【0043】
黒色ポリイミドフィルムの全光線透過率は、得られたフィルムの厚みでの全光線透過率が0.6%未満であることが好ましい。0.6%以上であると、光が透過し遮蔽性が低下する。
【0044】
黒色ポリイミドフィルムの光沢度は1〜70%がフィルム表面の見た目を均質にできる点で好ましい。70%を超えると、フィルム表面に入射する光を散乱させることが不十分であり、光の入射角に依存しフィルム表面の見た目が異なる。1〜50%が、フィルム表面への入射光が強くても入射光を散乱させ、均質なフィルム表面となる点で好ましく、1〜30%が特に好ましい。化学的イミド化法はフィラーの含有量が少なくても低光沢性を実現できることが可能である。
【0045】
黒色ポリイミドフィルムの絶縁性は、絶縁破壊電圧で評価する。黒色ポリイミドフィルムの常態時の絶縁破壊電圧は、100V/μm以上が好ましく、150V/μm以上がさらに好ましい。100V/μm未満だと、フレキシブルプリント配線板に使用する場合、高電圧使用時に絶縁不良を起こす。また、吸水時の絶縁破壊電圧は、フレキシブルプリント配線板の中で、黒色ポリイミドフィルムで覆われる部分よりも、フレキシブルプリント配線板と他部品との接点部分に漏電が生じて絶縁不良が生じることが大半であるが、フレキシブルプリント配線板が漏電の原因とならないためには、10V/μm以上が好ましく、80V/μm以上がさらに好ましい。
【0046】
黒色ポリイミドフィルムの吸湿率は2%未満が好ましい。2%以上であると、高湿時の絶縁信頼性試験で絶縁不良が発生する可能性がある。
【0047】
黒色ポリイミドフィルムの外観は、顔料及び/又はフィラーの凝集物が無いことが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いたフィラーとそれを用いて作製したフィルムの特性は、次のようにして評価した。
【0049】
〔平均粒径〕
島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて、平均粒径を算出し、平均粒径とした。
【0050】
〔比表面積〕
島津製作所社製 トライスターII 3020(BET法)を用いて、比表面積を測定し、その値を比表面積とした。
【0051】
〔全光線透過率〕
日本電色工業社製のヘーズメーター、NDH 5000を用いて、ASTM D 1003に従って全光線透過率(%)を全光線透過率とした。全光線透過率が0.6%未満を「○」とし、0.6%以上を「×」とした。
【0052】
〔光沢度〕
日本電色工業社製の光沢度計、V−7000を用いて、入射角60°での光沢度(%)測定した値を光沢度とした。光沢度が50%以下を「○」、50%より大きく100%未満を「△」、100%以上を「×」とした。
【0053】
〔絶縁破壊電圧〕
JIS C 2110−7.1にしたがって測定し、絶縁破壊した電圧の値を測定サンプルの厚みで除した値V/μmを絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧は、常態と吸水後の2水準実施している。常態での測定は、23℃(±3℃)/55%RH(±5%RH)の環境で48時間放置した後に測定した。吸水後での測定は、バットに蒸留水を入れ、フィルムが蒸留水に浮かないようにして48時間浸した。その後、フィルムを取り出した後、フィルム表面の水滴を拭き取り、フィルムを取り出した後3分以内に測定した。
【0054】
常態時の絶縁破壊電圧が、150V/μm以上を「○」、100V/μm以上150V/μm未満を「△」、100V/μm未満を「×」とした。
【0055】
また、吸湿時の絶縁破壊電圧が、80V/μm以上を「○」、80V/μm未満を「△」とした。
【0056】
〔吸湿率〕
200℃×2時間乾燥させた後、23℃(±3℃)/55%RH(±5%RH)の環境で48時間放置した。ティー・エイ・インスツルメント社製の熱重量測定装置 SDT Q600も用いて、120℃×2時間での重量減少割合を吸湿率とした。
【0057】
吸湿率が、2.0%未満を「○」とし、2.0%以上を「×」とした。
【0058】
〔外観〕
フィルム化後、目視で、フィルムにフィラーの凝集物が発生しているかどうかで判定した。凝集物が発生していないものを「無」、凝集物が発生しているものを「有」とした。
【0059】
〔製膜性〕
フィルム化操作中に、フィルムが脆いために裂けてしまったものを「×」、裂けずにフィルムが得られたものを「○」とした。
【0060】
(合成例1:ポリアミド酸溶液Aの合成)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)805.9gにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1g、及び4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(4,4´−ODA)を56.2g添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2g添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45g/DMF31.6g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約15重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸溶液Aを得た。
【0061】
(調合例1:顔料分散液の調合)
顔料30gをDMF470gに混合した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形成分濃度6%の顔料分散液を得た。分散状態は、グラインドゲージで1μm以上の粗粒子が含まれないことを確認した。
【0062】
(調合例2:フィラー分散液の調合)
フィラー50gをDMF450gに混合した後、ホモジナイザーで分散させ、固形成分濃度10%のフィラー分散液を得た。
【0063】
(合成例2:ポリアミド酸溶液Bの合成)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)805.9kgにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1kg、及び4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(4,4´−ODA)を56.2kg添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2kg添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45kg/DMF31.6kg)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約15重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸溶液Bを得た。
【0064】
(調合例3:顔料フィラー分散液の調合)
顔料30kgをDMF470kgに混合した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形成分濃度6%の顔料分散液を得た。分散状態は、グラインドゲージで1μm以上の粗粒子が含まれないことを確認し、実験に用いた。また、フィラー48kgをDMF432kgに混合した後、ホモジナイザーで分散させ、固形成分濃度10%のフィラー分散液を得た。得られた顔料の分散液500kgとフィラーの分散液480kgを混合し、顔料フィラー分散液を得た。
【0065】
(調合例4:イミド化剤の調合)
DMF175.6kgに、イソキリン56.8kg、無水酢酸127.6kgを混合し、イミド化剤を調合した。
【0066】
(実施例1)
顔料としてベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4280:350℃×20分間後の加熱減量率が6%)を用い、調合例1と同様にして調合した顔料分散液15.4gと、フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g)を用い、調合例2と同様にして調合したフィラー分散液2.8gを混合して、顔料フィラー分散液を調合した。その後、合成例1で得たポリアミド酸溶液Aを135.6gと前記顔料フィラー分散液を混合しドープを調合し、0℃以下の温度で冷却した。前記ドープに、イミド化剤(無水酢酸/イソキノリン/DMF=19.1g/8.5g/26.0g)を添加し、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂100重量部に対して、顔料が5重量部、フィラーが1.5重量部含有している。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(実施例2〜8)
フィラーの添加量変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0069】
(実施例9)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア310P:平均粒径2.7μm、比表面積300m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
(実施例10)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア380:平均粒径9.0μm、比表面積300m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0072】
(実施例11)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア430:平均粒径4.1μm、比表面積350m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0073】
(実施例12)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア550:平均粒径3.9μm、比表面積500m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0074】
(実施例13)
フィラーを酸化ケイ素(AGCエスアイテック社製サンスフェアH−32:平均粒径3.0μm、比表面積700m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0075】
(実施例14)
顔料をベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4281:350℃×20分間後の加熱減量率1%)に変更した以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0076】
(実施例15)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック100:平均粒径2.7μm、比表面積300m/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0077】
(実施例16)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0078】
(実施例17)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック704:平均粒径6.2μm、比表面積350m/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例18)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して2重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0081】
(実施例19)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイロホービック200:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g、表面を有機ケイ素処理済)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0082】
(実施例20〜22)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア550:平均粒径3.9μm、比表面積500m/g)に変更し、フィルムへの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部とした。顔料の添加量と、フィルムの厚みを変更し、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性3を表に示す。
【0083】
(実施例23)
イミド化剤を使用しないことと、樹脂膜の乾燥条件を120℃×300秒に変更したこと以外は、実施例5と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0084】
(実施例24)
イミド化剤を使用しないことと、樹脂膜の乾燥条件を120℃×300秒に変更したこと以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示す。
【0085】
(実施例25)
顔料としてベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4280:350℃×20分間後の加熱減量率が6%)を用い、フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g)を用いて調合例3と同様にして、顔料フィラー分散液を調合した。合成例2で合成したポリアミド酸溶液Bの吐出量を27.5kg/hとし、調合例4で調合したイミド化剤の吐出量を12.5kg/hとし、ミキサーで混合した直後に、前記顔料フィラー分散液の吐出量を6.1kg/hとし、続いてミキサーで混合し、ドープを得た。得られたドープは、単層ダイからエンドレスベルトに流延し、120℃×60秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして、金属ピンでゲル膜の両端を固定した。ゲル膜は顔料及びフィラーが多量に含有しているため、含有していないゲル膜と比較して脆いため、金属ピンは複数列配置し、ゲル膜を複数列の金属ピンで固定した。その後、ゲル膜をテンター炉に入れ、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12μmで、フィルム幅500mmのポリイミドフィルムを10000m取得した。なお、エンドレスベルトとテンター炉の速度は、吐出量に対して、得られるフィルムの厚みが12μmとなるように調整した。得られたポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂100重量部に対して、顔料が5重量部、フィラーが8重量部含有している。得られたフィルムの特性は、実施例6と同様であった。また、加熱炉を確認したところ、フィルムの特性に差が生じない程度で、顔料に含まれる成分が昇華・再結晶化して、炉内を汚していることが分かった。炉内の汚れをIRで分析し、その汚れが顔料に含まれる成分であることを確認した。
【0086】
(実施例26)
顔料をイミダゾール含有のペリレンブラック(BASF社製ルモゲンブラックFK4281:350℃×20分間後の加熱減量率1%)に変更した以外は、実施例25と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性は、実施例14と同様であった。また、加熱炉を確認したところ、顔料に含まれる成分で炉内が汚れていなかった。
【0087】
(比較例1)
フィラーの添加量をポリイミド樹脂100重量部に対して20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製しようとしたが、製膜性が悪く、フィルムの特性評価を実施することができなかった。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
(比較例2)
フィラーを酸化ケイ素(日産化学社製スノーテックス−ZL:平均粒径0.1μm、比表面積30m/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0090】
(比較例3)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア社製サイリシア470:平均粒径14.1μm、比表面積350m/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製しようとしたが、製膜性が悪く、フィルムの特性評価を実施することができなかった。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0091】
(比較例4)
フィラーを酸化ケイ素(富士シリシア社製サイリシア730:平均粒径4.0μm、比表面積800m/g)に変更し、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0092】
(比較例5)
顔料としてカーボンブラック(エボニック デグサ社製Special Black4)を用い、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部添加し、又フィラーとして酸化ケイ素(富士シリシア化学社製サイリシア350:平均粒径3.9μm、比表面積300m/g)を用い、フィルムへの含有量をポリイミド樹脂100重量部に対して8重量部添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0093】
(比較例6)
顔料、フィラーを添加しない以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。