特許第5961524号(P5961524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5961524-車両用ワイパ装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961524
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】車両用ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20160719BHJP
   B60S 1/34 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B60S1/46 A
   B60S1/34 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-231132(P2012-231132)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-80167(P2014-80167A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梅野 多加志
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−536244(JP,A)
【文献】 特開2008−132884(JP,A)
【文献】 特開2008−137459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/46
B60S 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被払拭面上を下反転位置と上反転位置との間で往復回動することにより前記被払拭面における前記下反転位置と前記上反転位置との間の所定範囲を払拭するワイパブレードと、
先端側が前記ワイパブレードの長手方向中央部に連結されるとともに基端側を中心に往復回動して前記ワイパブレードを前記下反転位置と前記上反転位置との間で往復回動させるワイパアームと、
前記ワイパアームに設けられ、洗浄液を前記ワイパブレードに対して前記上反転位置側へ噴き付けるウォッシャノズルと、
を備える車両用ワイパ装置であって、
前記ワイパアームは、一対の側壁を有しており、前記ワイパブレードとの連結部分よりも基端側の少なくとも一部が前記ワイパブレードに対して前記上反転位置側に配置されており、
前記ウォッシャノズルは、前記ワイパブレードよりも前記上反転位置側から前記ワイパブレードの長手方向基端部に向けて、前記ワイパアームと前記ワイパブレードとの間に前記洗浄液を噴射すべく、前記ワイパブレードよりも前記上反転位置側に位置する部分の前記ワイパアームにおいて、前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側の側壁に配置されたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
前記ワイパブレードにおける前記ワイパアームとの前記連結部分よりも少なくとも基端側に設けられ、前記ウォッシャノズルと前記被払拭面との間を通過する車両の走行中の気流を抑制又は規制する気流通過抑制手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ワイパ装置。
【請求項3】
前記気流通過抑制手段は、前記ワイパブレードの上部に設けられ、前記気流を前記ウォッシャノズルの前記被払拭面とは反対側へ誘導すると共に前記ワイパブレードを前記被払拭面へ押し付ける構成とした請求項2に記載の車両用ワイパ装置。
【請求項4】
前記ウォッシャノズルは、前記洗浄液を前記連結部分よりも基端側に供給する基端側ノズルであり、
前記ワイパアームの前記ウォッシャノズルよりも先端側にさらに第2ウォッシャノズルが設けられ、前記第2ウォッシャノズルは前記洗浄液を前記ワイパブレードの前記上反転位置側であって前記連結部分よりも先端側に供給する先端側ノズルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両用ワイパ装置。
【請求項5】
記ウォッシャノズルは前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側の側壁の外側面に配置され、前記第2ウォッシャノズルは前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側とは反対側の側壁に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の車両用ワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被払拭面を払拭する車両用ワイパ装置に係り、特に、被非払拭面に洗浄液を噴き付けるためのウォッシャノズルを備えた車両用ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されている車両用ワイパ装置では、ワイパブレードが下反転位置(特許文献1では「停止位置」と称している)に位置している状態ではワイパアームがワイパブレードよりも車両前方側(さらに下反転位置側)に配置されており、このワイパアームに取付けられたウォッシャノズルがワイパブレードの上方を横切って上反転位置(特許文献1では「反転位置」と称している)側に突出している。
【0003】
このため、ワイパブレードが下反転位置にあるときでも、ワイパブレードの回動方向前方側にワイパブレードの至近距離からウォッシャ液をウインドシールドガラスの表面に供給可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347302の公報
【特許文献2】特開2008−137459の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、ワイパブレードが下反転位置に位置している状態ではワイパアームがワイパブレードよりも車両前方側に配置されているため、車両走行中にワイパアームとウインドシールドガラスとの間を通過した気流がワイパブレードによって遮られてワイパブレードの上方へと流れる。そのため、この気流は、ワイパアームからワイパブレードの上方を横切って上反転位置側に突出するウォッシャノズルから噴射されるウォッシャ液のウインドシールドガラス表面へ向けた噴射軌跡を横切ることとなり、ウォッシャ液が吹き上げられるなど気流の影響を大きく受けてしまう。
【0006】
また、上記気流がウォッシャ液のウインドシールドガラス表面へ向けた噴射軌跡を横切ることを防止するため、特許文献2のように、ワイパブレードとワイパアームとの連結部位に設けたウォッシャノズルからワイパブレードの上反転位置側であってワイパブレードの長手方向両端に向けてウォッシャ液を噴射する構成のものがある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献2の構成では、ワイパブレードが上反転位置に向けて払拭しているとき、その途中位置ではワイパブレードの長手方向に沿って気流が流れるために、ワイパブレードの長手方向基端側へ向けたウォッシャ液の噴射が気流で押し戻され基端側にまで充分にウォッシャ液が行き渡らない可能性があった。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、車両走行時の気流の影響を最小限に抑えて洗浄液を噴き付けることができるワイパ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明に係る車両用ワイパ装置は、被払拭面上を下反転位置と上反転位置との間で往復回動することにより前記被払拭面における前記下反転位置と前記上反転位置との間の所定範囲を払拭するワイパブレードと、先端側が前記ワイパブレードの長手方向中央部に連結されるとともに基端側を中心に往復回動して前記ワイパブレードを前記下反転位置と前記上反転位置との間で往復回動させるワイパアームと、前記ワイパアームに設けられ、洗浄液を前記ワイパブレードに対して前記上反転位置側へ噴き付けるウォッシャノズルと、を備える車両用ワイパ装置であって、前記ワイパアームは、一対の側壁を有しており、前記ワイパブレードとの連結部分よりも基端側の少なくとも一部が前記ワイパブレードに対して前記上反転位置側に配置されており、前記ウォッシャノズルは、前記ワイパブレードよりも前記上反転位置側から前記ワイパブレードの長手方向基端部に向けて、前記ワイパアームと前記ワイパブレードとの間に前記洗浄液を噴射すべく、前記ワイパブレードよりも前記上反転位置側に位置する部分の前記ワイパアームにおいて、前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側の側壁に配置されたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の車両用ワイパ装置によれば、ワイパアームがその基端側を中心に往復回動すると、ワイパアームの先端側に連結されたワイパブレードが被払拭面上の下反転位置と上反転位置との間で往復回動する。これによって、被払拭面における下反転位置と上反転位置との間の所定範囲がワイパブレードによって払拭される。
【0011】
また、ワイパアームは、一対の側壁を有しており、ワイパブレードの長手方向中央部において連結され、その連結部分よりも基端側では少なくとも一部がワイパブレードに対して上反転位置側に配置されている。そして、そのワイパアームには、ウォッシャノズルが設けられる。ウォッシャノズルは、ワイパブレードよりも上反転位置側からワイパブレードの長手方向基端部に向けて、ワイパアームとワイパブレードとの間に洗浄液を噴射すべく、ワイパブレードよりも上反転位置側に位置する部分のワイパアームにおいて、ワイパアームの一対の側壁のうちのワイパブレード側に側壁に配置される。
【0012】
これにより、ウォッシャノズルに洗浄液が供給されると、洗浄液がワイパブレードよりも上反転位置側からワイパブレードの長手方向基端側に向けて、ワイパアームとワイパブレードとの間の被払拭面に供給される。
【0013】
このとき、車両の走行中に被払拭面上を車両前方から後方へ流れる気流がウォッシャノズルから被払拭面に向けた洗浄液の噴射軌跡を横切ることを防止されるので、洗浄液は気流の影響を受け難い。しかも、ワイパブレードが上反転位置に向けて払拭しているときの途中位置でワイパブレードの長手方向に沿って気流が流れても、ワイパアームのワイパブレードとの連結部位よりも基端側にウォッシャノズルが設けられているので、ワイパブレードの長手方向基端側へは至近距離から気流の影響を最小限に抑えて洗浄液を被払拭面へ向けて充分に供給できる。
また、ワイパアームは一対の側壁を有しており、ワイパブレードよりも上反転位置側に位置する部分のワイパアームにおいて、一対の側壁のうちのワイパブレード側の側壁にウォッシャノズルが配置される。このため、ワイパブレードの被払拭面との接触部位に向けて妨げ無く供給でき、気流の影響も受け難い。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係る車両用ワイパ装置は、請求項1に記載の本発明において、前記ワイパブレードにおける前記ワイパアームとの前記連結部分よりも少なくとも基端側に設けられ、前記ウォッシャノズルと前記被払拭面との間を通過する車両の走行中の気流を抑制又は規制する気流通過抑制手段を有している。
【0015】
請求項2に記載の車両用ワイパ装置によれば、ワイパブレードは、ワイパアームとの連結部分よりも少なくとも基端側に気流通過抑制手段を備えており、この気流通過抑制手段によって車両走行中の被払拭面上に沿って流れる気流が、ウォッシャノズルと被払拭面上との間を通過することを効果的に抑制又は規制する。
【0016】
これにより、車両の走行中に被払拭面上を車両前方から後方へ流れる気流が、ウォッシャノズルから被払拭面に向けた洗浄液の噴射軌跡を横切ることをより一層防止できる。
【0017】
請求項3に記載の本発明に係る車両用ワイパ装置は、請求項2に記載の本発明において、前記気流通過抑制手段は、前記ワイパブレードの上部に設けられ、前記気流を前記ウォッシャノズルの前記被払拭面とは反対側へ誘導すると共に前記ワイパブレードを前記被払拭面へ押し付ける構成としている。
【0018】
請求項3に記載の車両用ワイパ装置によれば、ワイパブレードの上部に設けられた気流通過抑制手段により、ワイパブレードに吹付けた気流をウォッシャノズルの被払拭面とは反対側の上方へ誘導する。
【0019】
このため、ワイパブレードの被払拭面とは反対側を通過した気流がウォッシャノズルと被払拭面との間を通過する気流を防止又は低減できるだけでなく、ワイパブレードの上部に設けられた気流通過抑制手段により被払拭面とは反対側の上方へ気流が誘導されることでワイパブレードを被払拭面へ押し付ける。これによって、ワイパブレードの被払拭面からの浮き上がりをも防止できる。
【0020】
請求項4に記載の本発明に係る車両用ワイパ装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記ウォッシャノズルは前記洗浄液を前記連結部分よりも基端側に供給する基端側ノズルであり、前記ワイパアームの前記ウォッシャノズルよりも先端側にさらに第2ウォッシャノズルが設けられ、前記第2ウォッシャノズルは前記洗浄液を前記ワイパブレードの前記上反転位置側であって前記連結部分よりも先端側に供給する先端側ノズルであることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の車両用ワイパ装置によれば、ウォッシャノズルはワイパアームとワイパブレードとの連結部分よりもワイパブレードの基端側に洗浄液を供給する基端側ノズルとし、さらに第2ウォッシャノズルを基端側ノズルであるウォッシャノズルよりもワイパアームの先端側に設けた先端ノズルとしている。そして、この先端ノズルからはワイパブレードの上反転位置側であって前記連結部分よりも長手方向先端側に洗浄液が供給される。
【0022】
これにより、長尺のワイパブレードで被払拭面を払拭する場合、基端側ノズルとしてのウォッシャノズルから洗浄液を供給すると、ある程度は気流を利用してワイパブレードの先端部へ向けて洗浄液を供給できるが、先端部まで行き渡らせるまでには時間が掛かってしまう。しかし、さらに先端ノズルとして第2ウォッシャノズルをウォッシャノズルよりもワイパアームの先端側に設けたので、長尺のワイパブレードでも迅速に充分な液量を先端部まで行き渡らせることができる。
【0023】
請求項5に記載の本発明に係る車両用ワイパ装置は、請求項4に記載の本発明において、前記ウォッシャノズルは前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側の側壁の外側面に配置され、前記第2ウォッシャノズルは前記一対の側壁のうちの前記ワイパブレード側とは反対側の側壁に配置されたことを特徴としている。
【0024】
請求項5に記載の車両用ワイパ装置によれば、ワイパアームの一対の側壁のうちのワイパブレード側の側壁の外側面にウォッシャノズルが配置され、一対の側壁のうちのワイパブレード側とは反対側の側壁に第2ウォッシャノズル配置される。
【0025】
ここで、ワイパアームはワイパブレードとの連結位置よりも基端側にワイパブレードと並んで配置されるため、ワイパブレードの基端側への洗浄液供給は、ワイパアームに設けられたウォッシャノズルから主に行われ、ウォッシャノズルはワイパアームの一対の側壁のうちワイパブレード側の側壁の外側面に配置することが好ましく、ワイパブレードの被払拭面との接触部位に向けて妨げ無く供給でき、気流の影響も受け難い。
【0026】
一方、ワイパブレードの先端側への洗浄液供給は、ワイパアームに設けられた第2ウォッシャノズルからワイパブレードの長手方向先端側に向けて噴射されることとなる。このとき、ワイパアームの一対の側壁のうちワイパブレード側とは反対側の側壁に第2ウォッシャノズルを設けることでワイパアームを横切ることなくワイパブレードの長手方向先端側に向けて噴射できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施の形態に係るワイパ装置の要部の構成を示す平面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るワイパ装置を適用した車両を被払拭面を車両前上方から見た平面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るワイパブレード及びワイパアームの断面図で、(A)は、図1のA−A線における概略的な断面図であり、(B)は、図1のB−B線における概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係る車両用ワイパ装置10の要部の構成を拡大した平面図が示されており、図2には車両用ワイパ装置10を適用した車両12を車両前上方から見た平面図が示されている。さらに、図3の(A)には図1のA−A線における概略的な断面図が示されており、図3の(B)には図1のB−B線における概略的な断面図が示されている。
【0029】
図1に示されるように、本車両用ワイパ装置10はワイパアーム14を備えている。図2に示されるように、ワイパアーム14はアームヘッド16、リテーナ20、アームピース50及び先端連結部62を備えている。アームヘッド16の基端側は車両12の被払拭面としてのウインドシールドガラス18よりも車両前下方側で図示しないワイパモータの出力軸が直接又は間接的に連結されており、ワイパモータの駆動力によってアームヘッド16の基端側を中心に往復回動する。
【0030】
なお、アームヘッド16の基端側は上記のワイパモータの出力軸に直接連結され、ワイパモータを正転駆動及び反転駆動させることによってアームヘッド16を往復回動させる構成であってもよいし、例えば、アームヘッド16の基端側と上記のワイパモータの出力軸とをリンク機構を介して連結し、ワイパモータの正転駆動力だけでアームヘッド16を往復回動させる構成であってもよい。また、図2に示されるように、車両12には左右一対の車両用ワイパ装置10が設けられるが、これらの車両用ワイパ装置10のアームヘッド16を1つのワイパモータで往復回動させてもよいし、それぞれ別のワイパモータによって往復回動させてもよい。
【0031】
アームヘッド16の先端側にはリテーナ20の基端側が連結されている。リテーナ20は、図3の(B)に示されるように、上壁22と、上壁22の幅方向両端部からウインドシールドガラス18側へ向けて一対の側壁24が延出されている。これにより、リテーナ20をその幅方向に沿って切った断面形状は、全体的にウインドシールドガラス18側へ向けて開口した凹形状とされている。このような構成のリテーナ20はその先端側はウインドシールドガラス18上へ延びている。
【0032】
リテーナ20の先端側には、板状棒材のアームピース50の基端側が接続され、ワイパブレード32の長手方向中央部まで延出されている。このアームピース50の先端側には、後述するブレードホルダ48を収容するように先端連結部62が設けられている。この先端連結部62は、ワイパブレード32の組み付け状態でブレードホルダ48の上方に位置する上壁64と該上壁64の幅方向両側からウインドシールドガラス18に向けて延出形成された一対の側壁66とを有し、幅方向断面形状がウインドシールドガラス18側に開口する凹形状を成している。
【0033】
一方、ワイパブレード32は、図3に示されるように、ブレードラバー34、バッキング38及び保持部材40を備えている。ブレードラバー34は長手方向がワイパブレード32の長手方向(図1参照)に沿った長尺状に形成されている。また、ブレードラバー34にはウインドシールドガラス18側へ向けて漸次幅寸法が小さくなる断面テーパ形状のリップ部36が形成されており、このリップ部36の先端(ウインドシールドガラス18側の端部)がウインドシールドガラス18に接している。
【0034】
ブレードラバー34の基部の上面側にはバネ材からなるバッキング38が配置されている。バッキング38は長手方向がワイパブレード32の長手方向に沿った板状に形成され、自然状態(無負荷状態)で長手方向中央部がウインドシールドガラス18と反対方向に凸形状に湾曲形成されている。また、保持部材40は弾性を有する樹脂材料からなり、バッキング38と共にブレードラバー34を収容保持し、バッキング38の上記湾曲によるバネ力によってブレードラバー34が保持部材40と共にウインドシールドガラス18の湾曲に追従するようになっている。
【0035】
ワイパブレード32の長手方向中央部には、図1に示されるようにブレードホルダ48が連結されている。このブレードホルダ48は保持部材40同様、図3(A)に示されるように、バッキング38及びブレードラバー34の長手方向中央部を収容すると共に保持している。さらに、ブレードホルダ48は、バッキング38の上部側がブロック状に構成されており、ワイパアーム14の先端側に設けられた先端連結部62にクリップ54と共に収容され、そのクリップ54を介して回動可能でしかも着脱可能に連結されている。
【0036】
ここで、図1に示されるように、ワイパアーム14は、ワイパブレード32の長手方向におけるブレードホルダ48よりも基端部側の部分と並んで位置する部分、より詳しくは、アームピース50に連結されたリテーナ20の長手方向先端部とリテーナ20の長手方向中間部との間は、リテーナ20がワイパブレード32に対して上反転位置側に位置するように適宜屈曲又は湾曲されている。また、リテーナ20においてワイパブレード32よりも上反転位置側に位置する部分では、上反転位置側へ向けて上壁22がウインドシールドガラス18から漸次離間するように傾斜している。
【0037】
また、保持部材40のブレードラバー34とは反対側(ただし、ブレードホルダ48配置部分を除く)には気流通過抑制手段52が設けられている。気流通過抑制手段52の保持部材40とは反対側の面はワイパブレード32の幅方向の上反転位置側(図1参照)へ向けてウインドシールドガラス18の表面から漸次離間するような(上反転位置側へ向けて上り勾配の)傾斜面とされている。このため、ワイパブレード32の幅方向の下反転位置側(図1参照)からウインドシールドガラス18上をワイパブレード32に向かって流れた気流Wiは、気流通過抑制手段52に誘導案内されて、更に、ウインドシールドガラス18から離間するように上方へ流れる。このワイパブレード32に吹き付けた気流Wiによってワイパブレード32はウインドシールドガラス18に押し付けられる。
【0038】
特に、ワイパブレード32の長手方向基端側(図1参照)では、図3の(B)に示されるように、ワイパブレード32の基端側においてはワイパアーム14(より詳しくはリテーナ20)に到達するに先立って気流Wiがワイパブレード32に吹き付けられる。しかし、気流通過抑制手段52によって誘導案内されてワイパアーム14の上方に向けて流れ、上記のように傾斜した上壁22上に到達するようにワイパブレード32とリテーナ20との位置関係が設定されている。すなわち、本実施の形態では、ワイパブレード32の上方を通過した気流Wiがワイパアーム14(リテーナ20)とウインドシールドガラス18との間を通過することをワイパブレード32の気流通過抑制手段52によって抑制又は規制される。
【0039】
一方、ワイパブレード32の長手方向中央部はワイパアーム14(アームピース50)の先端側に設けられた先端連結部62が連結されている。この先端連結部62は、一対の側壁66のうちワイパブレード32と反対側(上反転位置側)の側壁66の外側にウォッシャノズル72が側壁66に取り付けられている。ウォッシャノズル72にはワイパアーム14に沿って配策されたウォッシャ液供給管74の先端側が接続されている。
【0040】
ウォッシャ液供給管74は、ウォッシャノズル72からリテーナ20における両側壁24の間を通過し、その基端部は車両12に搭載された図示しないウォッシャポンプに繋がっており、更に、ウォッシャポンプを介して図示しないウォッシャタンクに繋がっている。ウォッシャポンプが作動するとウォッシャタンクに貯留された洗浄液としてのウォッシャ液Wwがウォッシャ液供給管74に供給される。
【0041】
ウォッシャ液供給管74に供給されたウォッシャ液Wwはウォッシャ液供給管74内を通過してウォッシャノズル72に供給され、ウォッシャノズル72からウインドシールドガラス18へ向けて噴射される。これにより、ワイパブレード32の長手方向中央部から上反転位置側であってワイパブレード32の先端側に向けてウインドシールドガラス18の表面にウォッシャ液Wwを噴き付けることができる。
【0042】
一方、ワイパブレード32の長手方向におけるブレードホルダ48よりも基端部側の部分と並んで位置するリテーナ20には、ウォッシャノズル82が設けられている。言い換えれば、ウォッシャノズル82は、リテーナ20において先端連結部62よりも基端部側であって一対の側壁24のうちのワイパブレード32側の側壁24の外側面に取り付けられている。
【0043】
このウォッシャノズル82にはリテーナ20の側壁24を貫通したウォッシャ液供給管84が繋がっている。ウォッシャ液供給管84はウォッシャ液供給管74の中間部からジョイントなどにより分岐されており、ウォッシャ液供給管74を通過するウォッシャ液Wwの一部がウォッシャ液供給管84に流れ込み、ウォッシャノズル82からウインドシールドガラス18におけるワイパブレード32よりも上反転位置側で且つリテーナ20よりも下反転位置側で、先端連結部62よりもワイパブレード32の長手方向基端側にウォッシャ液Wwを噴き付けることができる。
【0044】
ウォッシャノズル82は保持部材40及び気流通過抑制手段52の上反転位置側の面と対向するように設けられ、気流通過抑制手段52上を通過した気流Wiはウォッシャノズル82のウインドシールドガラス18とは反対側、すなわちリテーナ20の上方を通過する。
【0045】
<本実施の形態の作用、効果>
次に本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0046】
本車両用ワイパ装置10では、ワイパモータが作動して、このワイパモータの駆動力がワイパアーム14に伝わると、ワイパアーム14の先端側に連結されたワイパブレード32がアームヘッド16の基端側を中心に往復回動する。下反転位置(図2においてワイパブレード32が実線で示される位置)から回動したワイパブレード32が上反転位置(図2においてワイパブレード32が二点鎖線で示される位置)に到達すると、アームヘッド16はその回動方向を反転させ、ワイパブレード32は下反転位置へ向かうように回動する。このようなワイパブレード32の往復回動により、ウインドシールドガラス18は一点鎖線で示される範囲R及び範囲Lが払拭される。
【0047】
一方、例えば、ワイパブレード32が下反転位置から上反転位置へ向けて回動する際に、上述したウォッシャポンプを作動させると、ウォッシャタンク内に貯留されているウォッシャ液Wwがウォッシャ液供給管74に供給される。ウォッシャ液供給管74に供給されたウォッシャ液Wwはウォッシャノズル72に供給され、ウォッシャノズル72からウインドシールドガラス18へ向けてウォッシャ液Wwが噴射される。これによって、ワイパブレード32の長手方向中央部からワイパブレード32の上反転位置側で長手方向先端側に向けてウォッシャ液Wwが噴き付けられる。
【0048】
また、ウォッシャ液供給管74に供給されたウォッシャ液Wwの一部がウォッシャ液供給管74の中間部からウォッシャ液供給管84に供給される。ウォッシャ液供給管84を通過したウォッシャ液Wwはウォッシャノズル82に供給され、ウォッシャノズル82からウインドシールドガラス18へ向けてウォッシャ液Wwが噴射される。これによって、ワイパブレード32の上反転位置側で長手方向基端側にウォッシャ液Wwがウインドシールドガラス18に噴き付けられる。
【0049】
このようにしてウインドシールドガラス18にウォッシャ液Wwが噴き付けられた状態でワイパブレード32のブレードラバー34がウインドシールドガラス18の表面を払拭することにより、ワイパブレード32はウインドシールドガラス18の表面上を円滑に回動しつつ、ウインドシールドガラス18の表面に付着した付着物を容易に流し落とすことができる。
【0050】
ところで、車両12が走行している状態では、ウインドシールドガラス18の表面上を車両12の前方から後方へ向けて気流Wiが流れる。ここで、ワイパアーム14の基端側ノズルとしてのウォッシャノズル82が設けられた部分では、ワイパブレード32よりも上反転位置側にリテーナ20が位置しており、ウォッシャノズル82はリテーナ20の一対の側壁24のうちのワイパブレード32側の側壁24に取り付けられている。言い換えれば、ウォッシャノズル82はリテーナ20の下反転位置側の側壁24とワイパブレード32との間で側壁24に取り付けられている。
【0051】
すなわち、このウォッシャノズル82よりも下反転位置側にはワイパブレード32が位置することになる。このとき、車両12の走行中にウインドシールドガラス18の表面上を車両前方から後方へ流れる気流Wiは、ワイパブレード32によって遮られてワイパブレード32上方からリテーナ20の上方へと通過する。そのため、リテーナ20とウインドシールドガラス18との間の気流が、基端側ノズルとしてのウォッシャノズル82からウインドシールドガラス18に向けたウォッシャ液Wwの噴射軌跡を横切ることを防止でき、ウォッシャノズル82から噴射されたウォッシャ液Wwは気流Wiの影響を受け難い。
【0052】
しかも、ワイパブレード32が上反転位置に向けて払拭しているときの途中位置ではワイパブレード32の長手方向に沿って気流Wiが流れても、ワイパアーム14の先端連結部62よりも基端側にウォッシャノズル82が設けられているので、ワイパブレード32の長手方向基端側へは至近距離から気流Wiの影響を最小限に抑えてウォッシャ液Wwをウインドシールドガラス18へ向けて充分に供給できる。
【0053】
また、ワイパブレード32は、ワイパアーム14との連結部分、すなわち、ブレードホルダ48(又は先端連結部62)よりも少なくとも基端側に気流通過抑制手段52を備えており、この気流通過抑制手段52によって車両12の走行中のウインドシールドガラス18の表面上に沿って流れる気流Wiが、ウォッシャノズル82とウインドシールドガラス18との間を通過することを効果的に抑制又は規制する。
【0054】
さらに、気流通過抑制手段52がワイパブレード32の上部(保持部材40の上部)に設けられているので、ワイパブレード32に吹付けた気流Wiはウォッシャノズル82のウインドシールドガラス18とは反対側の上方へ誘導される。
【0055】
このように気流Wiが誘導されることでウォッシャノズル82とウインドシールドガラス18との間を通過することを防止又は低減できるだけでなく、ワイパブレード32がウインドシールドガラス18へ押し付けられる。これによって、ワイパブレード32のウインドシールドガラス18からの浮き上がりをも防止できる。
【0056】
また、リテーナ20は上壁22が上反転位置側へ向けてウインドシールドガラス18から漸次離間するように傾斜している。このため、気流通過抑制手段52によってウインドシールドガラス18とは反対側へ誘導された気流Wiは、ウォッシャノズル82のウインドシールドガラス18とは反対側を通過してリテーナ20の上壁22に案内されてウインドシールドガラス18から離間しつつ車両12の後方へ流れる。
【0057】
ウォッシャノズル82は、先端連結部62よりもワイパブレード32の基端側にウォッシャ液Wwを供給する基端側ノズルとし、さらに第2ウォッシャノズル72を基端側ノズルであるウォッシャノズル82よりもワイパアーム14の先端側に設けた先端ノズルとして、この第2ウォッシャノズル72からはワイパブレード32の上反転位置側であって先端連結部62よりも長手方向先端側にウォッシャ液Wwが供給される。
【0058】
これにより、長尺のワイパブレードでウインドシールドガラス18の表面を払拭する場合、ウォッシャノズル82からウォッシャ液Wwを供給すると、払拭途中位置においてはある程度は気流Wiを利用してワイパブレードの先端部へ向けてウォッシャ液Wwを供給できるが、先端部まで行き渡らせるまでには時間が掛かってしまう。しかし、さらに先端ノズルとして第2ウォッシャノズル72をウォッシャノズル82よりもワイパアーム14の先端側に設けたので、長尺のワイパブレードでも迅速に充分な液量を先端部まで行き渡らせることができる。
【0059】
また、ワイパアーム14のリテーナ20及び先端連結部62はそれぞれ一対の側壁24、66を有しており、リテーナ20の一対の側壁24のうちのワイパブレード32側の側壁24にウォッシャノズル82が取り付け、先端連結部62の一対の側壁66のうちのワイパブレード32側とは反対側の側壁66に第2ウォッシャノズル72を取付ている。
【0060】
ここで、ワイパアーム14のリテーナ20の一部は、ワイパブレード32との連結位置よりも基端側にワイパブレード32と並んで配置されるため、ワイパブレード32の基端側へのウォッシャ液Wwの供給は、リテーナ20に設けられたウォッシャノズル82から主に行われ、ウォッシャノズル82はリテーナ20の一対の側壁24のうちワイパブレード32側の側壁24に配置することが好ましく、ワイパブレード32に対してブレードラバー34とウインドシールドガラス18との接触部位に向けて妨げ無く供給でき、気流の影響も受け難い。
【0061】
一方、ワイパブレード32の先端側へのウォッシャ液Wwの供給は、ワイパアーム14の先端連結部62に設けられた第2ウォッシャノズル72からワイパブレード32の長手方向先端側に向けて噴射される。このとき、先端連結部62の一対の側壁66のうちワイパブレード32側とは反対側の側壁66に第2ウォッシャノズル72を設けることでワイパアーム14を横切ることなくワイパブレード32の長手方向先端側に向けて噴射できる。
【0062】
なお、本実施の形態では、上記のように気流通過抑制手段を保持部材40と一体に構成したが、気流通過抑制手段を別部材で構成し、ウインドシールドガラス18とウォッシャノズル82との間を気流Wiが通過することを規制又は抑制してもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、ワイパブレード32の下反転位置側でウォッシャ液Wwをウインドシールドガラス18に噴き付けるための手段を設けていない。しかしながら、例えば、先端連結部62の下反転位置側の側壁66に別のウォッシャノズルを設けると共に、このウォッシャノズルにウォッシャ液供給管74から分岐した、又は、ウォッシャ液供給管74とは別系統のウォッシャ液供給管を繋いで先端連結部62の下反転位置側でウインドシールドガラス18にウォッシャ液Wwを噴き付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・車両用ワイパ装置、12・・・車両、14・・・ワイパアーム、16・・・アームヘッド、18・・・ウインドシールドガラス、20・・・リテーナ、22・・・上壁、24・・・側壁、32・・・ワイパブレード、34・・・ブレードラバー、36・・・リップ部、38・・・バッキング、40・・・保持部材、48・・・ブレードホルダ、50・・・アームピース、52・・・気流通過抑制手段、54・・・クリップ、62・・・先端連結部、64・・・上壁、66・・・側壁、72・・・第2ウォッシャノズル、74・・・ウォッシャ液供給管、82・・・ウォッシャノズル、84・・・ウォッシャ液供給管、Wi・・・気流、Ww・・・ウォッシャ液
図1
図2
図3