特許第5961527号(P5961527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日世株式会社の特許一覧

特許5961527冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法
<>
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000010
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000011
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000012
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000013
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000014
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000015
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000016
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000017
  • 特許5961527-冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961527
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/08 20060101AFI20160719BHJP
   A21D 8/06 20060101ALI20160719BHJP
   A23G 3/50 20060101ALI20160719BHJP
   A23G 3/02 20060101ALI20160719BHJP
   A21B 2/00 20060101ALN20160719BHJP
   A21D 13/00 20060101ALN20160719BHJP
   A21B 3/13 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
   A21D2/08
   A21D8/06
   A23G3/00 102
   A23G3/02
   !A21B2/00
   !A21D13/00
   !A21B3/13
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-236766(P2012-236766)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-83035(P2014-83035A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226895
【氏名又は名称】日世株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】神宮 剛史
(72)【発明者】
【氏名】野田 誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 勝哉
【審査官】 福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−201411(JP,A)
【文献】 特開2000−157178(JP,A)
【文献】 特開2012−120494(JP,A)
【文献】 特開2003−284501(JP,A)
【文献】 特開2001−269122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00−3/56
A21B 2/00
A21D 2/00−17/00
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる成形用の金型を用い、少なくとも穀物類の粉体、水および酸味を有する酸性の添加とを含有し、かつ膨張剤としての重曹を含有しない原料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、前記ヒータにより金型を加熱しつつ、雄型と雌型を介して負荷としての原料に高周波の交流電流を印加して誘電加熱し焼成する工程を備える冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法。
【請求項2】
酸味を有する酸性の添加がクエン酸である請求項1に記載の成形焼き菓子の製造方法。
【請求項3】
酸味を有する酸性の添加がレモン果汁である請求項1に記載の成形焼き菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法に関し、詳しくは金型内で原料を加熱して焼成する冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明に関連する先行技術としては、給電極と接地電極をなす一対の金型内に小麦粉、砂糖、水、膨張剤、着色料および香料等からなるスラリー状の原料を供給し、外部加熱と誘電加熱とを併用して金型内で原料を加熱し焼成することよりなる成形焼き菓子の製造方法において、外部加熱と誘電加熱の比率を変化させることによりロースト臭の発現性を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−38106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アイスクリームやソフトクリームを盛り付ける各種コーンカップやモナカ、ワッフルボウル等の成形焼き菓子の分野において、成形焼き菓子自体に酸味を付与することが試みられている。
しかしながら、通常、成形焼き菓子の原料には、焼成時に金型内で原料の膨張を促進する膨張剤が含まれており、この膨張剤としては、アルカリ性の炭酸水素ナトリウム(以下、「重曹」という)が一般に用いられる。
このため、膨張剤として重曹が添加された原料にクエン酸やレモン果汁などの酸味を有する酸性の添加材を添加しても、酸性の添加材はアルカリ性の重曹と反応して中和され、本来の酸味を維持することができなくなる。
【0005】
この発明は誘電加熱を用いれば原料の水蒸気発泡により重曹を使用せずとも成形性が良好に維持されるということを見出すことによりなされたもので、添加の酸味を良好に発現させることのできる冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる成形用の金型を用い、少なくとも穀物類の粉体、水および酸味を有する酸性の添加とを含有し、かつ膨張剤としての重曹を含有しない原料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、前記ヒータにより金型を加熱しつつ、雄型と雌型を介して負荷としての原料に高周波の交流電流を印加して誘電加熱し焼成する工程を備える冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、原料から膨張剤としての重曹が省かれるので、酸味を有する酸性の添加材が重曹と反応して中和されることがないので、添加材本来の酸味を維持することができる。
また、原料を焼成する際に金型からの加熱に加えて誘電加熱が併用されるので、金型内で原料自体が発熱して強く水蒸気発泡し、原料は膨張剤なしでも速やかに金型内に満注し成形性よく短時間で焼成される。
そして、原料が短時間で焼成されることにより、原料と金型との接触時間も短くなり、成形焼き菓子にロースト臭、すなわち穀物類の粉体を含んだ原料を焼成する際に生じる香ばしい香りが発生することを抑制できる。
ロースト臭は人間に酸味を感じさせ難くする要因の1つであるので、ロースト臭を抑えて焼成することにより、添加材本来の酸味を成形焼き菓子に良好に発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法で製造された成形焼き菓子の正面図である。
図2図1に示される成形焼き菓子の平面図である。
図3図1のA−A矢視断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法で用いられる高周波誘電加熱装置の構成を示す説明図である。
図5】本発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法を説明する工程図である。
図6】本発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法を説明する工程図である。
図7】本発明の実施例6で製造された成形焼き菓子の平面図である。
図8図7のB−B矢視断面図である。
図9】本発明の実施例6に係る成形焼き菓子の製造方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明による冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子の製造方法は、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる成形用の金型を用い、少なくとも穀物類の粉体、水および酸味を有する酸性の添加とを含有し、かつ膨張剤としての重曹を含有しない原料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、前記ヒータにより金型を加熱しつつ、雄型と雌型を介して負荷としての原料に高周波の交流電流を印加して誘電加熱し焼成する工程を備えることを特徴とする。なお、本発明において、単に「成形焼き菓子」というときは、冷菓等盛り付け用の成形焼き菓子を意味するものとする。
【0010】
この発明による成形焼き菓子の製造方法において、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる成形用の金型とは、雄型と雌型が嵌合した際に成形すべき焼き菓子の形状に対応したキャビティを形成し、かつ高周波の交流電流を印加した際に雄型と雌型が給電極および接地電極としてそれぞれ機能するように構成された金型を意味する。金型は所望の温度を維持することができるように雄型と雌型にそれぞれヒータを内蔵していることが好ましい。また、金型は加熱により原料が水蒸気発泡した際に、原料から生じるガスや水蒸気を適宜外部へ放出させることができるように蒸気抜き用の孔が形成されていてもよい。
【0011】
原料とは、成形焼き菓子の原料であって上記の金型で加熱して焼成できるように少なくとも穀物類の粉体、水および酸味を有する酸性の添加材とが加えられ、かつ膨張剤としての重曹を含有せずに調製されたものを意味する。
ここで、穀物類の粉体としては、水と混合されスラリー状またはバッター状に調製された状態で、金型内で水蒸気発泡できるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、イネ科では米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、裸麦、はと麦、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエ、シコクビエ、トウジンビエ、テフ、フェニオ、マコモ、モロコシ、コドラ等の粉体、豆科では大豆、小豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆、落花生、緑豆、ささげ、ライ豆、ヒヨコマメ、ヘントウ、ケツルアズキ、モスビーン、テリバービーン、タケアズキ、フジマメ、ホースグラム、バンバラマメ、ゼオカルバマメ、キマメ、ナタマメ、タチナマメ、グラスビー、シカクマメ、イナゴマメ、ハッショウマメ等の粉体を挙げることができる。
上記した穀物類の粉体は一種類のみで用いられてもよいし、複数種類のものが併用されてもよい。
また、ここで酸味を有する酸性の添加材としては、成形焼き菓子に酸味を付与できる食品添加物または食品材料であればよく、特に限定されるものではない。
上記の酸味を有する食品添加物としては、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸等を挙げることができる。
また、上記の酸味を有する食品材料としては、例えば、レモン果汁、ストロベリー果汁、マンゴー果汁、ブルーベリー果汁等を挙げることができる。
【0012】
また、特に限定されるものではないが、原料に占める穀物類の粉体の比率は20〜50重量%程度、酸味を有する酸性の添加材の比率は0.2〜30.0重量%程度とすることができる。
原料には上記材料の他に、必要に応じて例えば、若干量の油脂、着色料、香料等が含まれていてもよい。原料に占める水の比率は他の材料の配合量によって適宜調整されればよい。
【0013】
この発明による成形焼き菓子の製造方法において、酸味を有する酸性の添加材はクエン酸であってもよい。
このような構成によれば、レモン等の柑橘類を想起させる爽やかな酸味を成形焼き菓子に付与することができる。
なお、酸味を有する酸性の添加材としてクエン酸が用いられる場合、特に限定されるものではないが、原料に占めるクエン酸の比率は0.2〜1.0重量%程度とすることができる。
【0014】
この発明による成形焼き菓子の製造方法において、酸味を有する酸性の添加材はレモン果汁であってもよい。
このような構成によれば、爽やかなレモンの酸味と香りを成形焼き菓子に付与することができる。
なお、酸味を有する酸性の添加材としてレモン果汁が用いられる場合、特に限定されるものではないが、原料に占めるレモン果汁の比率は3.0〜30.0重量%程度とすることができる。
レモン果汁が濃縮レモン果汁である場合、原料に占める上記比率は濃縮の程度に応じて下げることができる。
【0015】
この発明は別の観点からみると、この発明による上記の成形焼き菓子の製造方法によって製造された成形焼き菓子を提供するものでもある。
この発明による上記の成形焼き菓子によれば、酸味を有する成形焼き菓子を提供することができる。
【0016】
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法について説明する。
【0017】
本発明の実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法について図1〜6に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る製造方法で製造された成形焼き菓子の正面図、図2図1に示される成形焼き菓子の平面図、図3図1のA−A矢視断面図である。
【0018】
図1〜3に示されるように、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造された成形焼き菓子(コーンカップ)1は、後述する原料6を水蒸気発泡させて焼成することにより得られた発泡層2によって形成されている。成形焼き菓子1は円形の開口部1aと平坦な底部1bを有するカップ状で、胴部1cは開口部1aから底部1bへ向かって徐々に直径が小さくなるようにテーパーがつけられている。また、胴部1cの周囲には縦方向に延びる複数のリブ1dが形成され、これにより厚みの薄い部分と厚い部分が交互に形成されている。
成形焼き菓子1は、図1に示される高さH1が約83mm、図2に示される開口部1aの直径D1が約76mmである。
図3に示される発泡層2は、最も薄い部分の厚みT1が約2.0mm、最も厚い部分の厚みT2が約3.0mmである。
【0019】
図4は本実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法に用いられる高周波誘電加熱装置の構成を示す説明図である。
図4に示されるように、本実施形態で用いられる高周波誘電加熱装置20は、交流電源21の電圧を任意の交流電圧Viに調整可能なサイリスタ式の電圧調整器22と、電圧調整器22の出力電圧Viを50倍に昇圧する昇圧トランス23と、昇圧トランス23の出力電圧を直流電圧Vpに変換する整流器24と、整流器24の出力電圧Vpと出力電流Ipからなる直流電力Piをうけて高周波電力Poを出力する高周波発振回路25と、出力電流Ipの大きさを検出する電流検出器32と、高周波発振回路25の高周波出力Poを雄型3と雌型4を介して原料6に供給するインピーダンス整合回路26とを備えている。
【0020】
インピーダンス整合回路26は、高周波発振回路25と負荷(原料6)とのインピーダンスを整合させるための回路である。
インピーダンス整合回路26は、可変インダクタLsと固定コンデンサCsとの直列回路と、高周波発振回路25の出力に並列接続される可変コンデンサCpと、可変インダクタLsのインダクタンスLを変化させるモータ27と、可変コンデンサCpのキャパシタンスCを変化させるモータ28とを備えている。
高周波誘電加熱装置20は、雄型3と雌型4とを介して原料6を加圧するプレス装置(図示せず)を備え、プレス装置は雄型4と雌型5が嵌合したときに制御部30へ信号を出力するプレスセンサ29を備える。
【0021】
制御部30は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータを備え、種々の加熱条件を入力設定する入力部31とプレスセンサ29と電流検出器32からの出力を受けて、電圧調整器22およびインピーダンス整合回路26のモータ27,28などを制御するようになっている。
【0022】
図5および図6は本実施形態に係る成形焼き菓子の製造方法を説明する工程図である。
まず、図5(a)に示されるように、所定量の原料6を金型5に供給する。
原料6は主に小麦粉または澱粉、若しくはその両方と、砂糖、水および成形焼き菓子に酸味を付与する添加材とからなり、若干量の油脂、香料等のその他材料を含む。
金型5は一対の雄型3と雌型4とから構成されており、図示しない電熱ヒータをそれぞれ内蔵している。雄型3と雌型4は電熱ヒータにより製造工程を通じて所望の設定温度に維持される。
また、雄型3と雌型4は高周波の交流電流が印加される後述の誘電加熱工程において給電極および接地電極としてそれぞれ機能するように互いに電気的に絶縁されている。
【0023】
次に、図5(b)に示されるように、雄型3と雌型4を嵌合させる。雄型3と雌型4を嵌合させると成形焼き菓子1(図1参照)の形状に対応したキャビティ7が金型5に形成され、原料6がキャビティ7を満たすように流動する。
この際、雄型3と雌型4が嵌合したことを示す信号がプレスセンサ29(図4参照)から制御部30へ出力される。
その後、図6(c)に示されるように、上述の高周波誘電加熱装置20(図4参照)を用い、交流電源21に接続された高周波発振回路25からインピーダンス整合回路26と、雄型3および雌型4とを介してキャビティ7内の原料6に高周波の印加を開始する。
【0024】
高周波の印加が開始されると、キャビティ7内の原料6が誘電加熱され、原料6は速やかに水蒸気発泡してキャビティ7内に満注し焼成が進行する。この際、原料6の水分値の変化に伴って高周波発振回路25と原料6とのインピーダンスが大きく変動するが、上述のように高周波誘電加熱装置20の制御部30が電流検出器32からの出力を受けて電圧調整器22とインピーダンス整合回路26を制御することにより、予め設定された所定の出力電流Ip(陽極電流値)が維持されるように高周波発振回路25の出力が調整される。また、原料6から発生した水蒸気は雄型3と雌型4との当接部分に形成された図示しない蒸気抜き孔を介して外部へ放散される。
【0025】
高周波の印加開始から所定時間が経過すると高周波の印加を止め、図6(d)に示されるように雄型3と雌型4の嵌合を解いて金型5を開放すると図1〜3に示される成形焼き菓子1が得られる。
【実施例】
【0026】
〔実施例1〕
実施例1では、小麦粉が38.8重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例1では酸味を有する酸性の添加材として0.3重量%のクエン酸が用いられ、原料6には膨張剤としての重曹が含まれていない。
電熱ヒータによる金型5の設定温度は195±2℃とし、焼成の目安は焼成後の水分値が2.0重量%以下になることとした。なお、金型5の設定温度と、焼成の目安とした水分値は、後述する全ての実施例と比較例において共通である。
【0027】
〔比較例1A〕
比較例1Aでは、上述の実施例1と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0028】
〔比較例1B〕
比較例1Bでは、小麦粉が38.2重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例1と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例1Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例1で用いた原料6と異なる。食塩は食味を整える目的で従来の成形焼き菓子で一般に添加されてきた材料であり、重曹は焼成時に金型5内で原料6の膨張を促進する膨張剤として従来より一般に添加されてきた材料である。
【0029】
〔比較例1C〕
比較例1Cでは、上述の比較例1Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0030】
〔実施例1と比較例1A〜1Cの比較〕
実施例1と比較例1A〜1Cにより製造された成形焼き菓子1について、デポ量、焼成時間、重量、pH値、官能評価、成形性および外観について比較を行った。
ここでデポ量とは金型5に供給された原料6の重量のことであり、デポ量は発泡時に少なくとも金型5のキャビティ7を満注させるのに必要となる量に基づいて決定した。
焼成時間は、雄型3と雌型4を嵌合させてから金型5を開放するまでに要した時間である。
重量とは焼成後の重量のことであり、6.5±0.5グラムの範囲に入ることを基準とした。
pH値は製造された成形焼き菓子1のpH値であり、成形焼き菓子1を粉砕した試料5グラムに蒸留水50グラムを添加して調製した水溶液のpH値をアイスフェトコム株式会社製PHメーター「S2K712」を用いて測定した。
官能評価とは味覚の評価であり、試験の意図を知らない5名で実施し、従来の一般的なコーンカップ(日世株式会社製「ローレルトップ」(登録商標))と食べ比べて酸味を有するかどうかを評価した。なお、評価基準は以下の表1に示す通りであり、5名の平均点を官能評価の点数とした。
【0031】
【表1】
【0032】
成形性については、所定の形状、すなわち金型5のキャビティ7の形状の通りに成形されているかどうかを確認した。
外観については、小麦粉製品に特有の褐色の焼け色の有無を確認した。
比較結果は以下の表2に示す通りである。なお、以下の表2において焼成方法の欄に記載されている「RF」とは金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成したことを示し、「外部」とは金型5からの加熱のみで焼成されたことを示している。
また、表2の成形性の欄に記載されている「○」は成形性が良好或いは問題が無かったことを示し、「×」は成形性に問題があったことを示している。
【0033】
【表2】
【0034】
上記の表2に示されるように、デポ量については、実施例1で20.0グラムとなったのに対し、比較例1Aおよび比較例1Bでは22.0グラム、比較例1Cでは24.0グラムとなった。
比較例1A〜1Cでデポ量が増えたのは次のような理由による。
すなわち、比較例1Aでは、金型5からの加熱のみで焼成したため実施例1と比較して原料6の発泡力が弱くなり、2.0グラムの増量が必要となった。
また、比較例1Bでは金型5からの加熱と誘電加熱が併用されたものの、原料6に食塩が含まれているため焦げを防止する観点から高周波の出力を上げることができず、実施例1と比較して原料6の発泡力が弱くなり、実施例1に対して2.0グラムの増量が必要となった。
また、比較例1Cでは原料6の調合の段階で重曹と酸性のクエン酸が反応して発泡する状態となり、焼成時における原料6の発泡力が著しく低下したため、実施例1に対して4.0グラムの増量が必要となった。
【0035】
焼成時間については、実施例1で20.0秒となったのに対し、誘電加熱を併用せず金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは96.0秒となり、焼成時間の大幅な延長が必要となった。
また、比較例1Bでは、原料6に食塩が含まれているため実施例1と同様に20.0秒で焼成しようとすると焦げが発生する状態となり、高周波の出力を落とす必要が生じたため、実施例1よりも長い32.0秒が必要となった。
【0036】
重量については、実施例1で6.8グラムとなり基準範囲内となったのに対し、比較例1A〜1Cはいずれも基準範囲の上限である7.0グラムを超える結果となった。これは、デポ量が増加したことに加え、発泡力の低下により金型5の蒸気抜き孔から吹き出す余剰分の原料6が減少したためと考えられる。
【0037】
pH値については、原料6に重曹を含まない実施例1と比較例1Aでそれぞれ「4.4」、「4.3」となり、いずれも酸性域にあることが確認された。
一方、原料6に重曹を含む比較例1Bおよび比較例1CはpH値が「5.9」となり、いずれも中性に近いことが確認された。これは、クエン酸と重曹が中和反応を起こしたことを示している。
官能評価については、実施例1で「2.0」となったのに対し、比較例1Aで「1.2」、比較例1Bで「1.2」、比較例1Cで「1.0」となり、実施例1による成形焼き菓子1に酸味の発現が確認されたものの、比較例1A〜1Cでは酸味の発現が認められない結果となった。
なお、実施例1と比較例1AはpH値がそれぞれ「4.4」、「4.3」であり、両者に実質的な差異がみられないにも関わらず、官能評価で差異が生じているのは、小麦粉や澱粉など、穀物類の粉体を含んだ原料が焼成される際に生じる香ばしいロースト臭が人間の味覚に影響しているものと考えられる。
【0038】
すなわち、比較例1Aで製造された成形焼き菓子1は金型5からの加熱のみで96.0秒をかけて焼成されたため、原料6と金型5との接触時間が長くなって焼成時にロースト臭が発生し、このロースト臭が評価者に酸味を感じさせなくしたものと考えられる。
一方、実施例1で製造された成形焼き菓子1は金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して20.0秒という短時間で焼成されたため、焼成時にロースト臭が発生せず、添加材の酸味を発現させることができたと考えられる。
なお、ロースト臭は小麦粉や澱粉など、穀物類の粉体を含んだ原料が適度に焦げる際に生じることから外観では焼け色の有無として表れ、実施例1を除く比較例1A、比較例1Bおよび比較例1Cではいずれも外観に焼け色が確認された。
【0039】
成形性については金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成した実施例1と比較例1Bで良好或いは問題のないことが確認された。
一方、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは開口部1a(図1〜3参照)において肉厚が不足する結果となり成形性に問題のあることが確認された。これは、金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは原料6の発泡力が不足し、最も満注させ難い開口部1aで発泡した原料6を金型5のキャビティ7に密着させることができなかったためと考えられる。
以上の比較結果から、酸味の発現が認められ、なおかつ基準の重量の範囲内で成形性よく製造できたのは実施例1のみであり、酸味を有する酸性の添加材を含有し、かつ膨張剤としての重曹を含有しない原料6を、金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成する本発明による製造方法が、添加材の酸味を発現させるうえで効果的であることが分かる。
【0040】
〔実施例2〕
実施例2では、小麦粉が38.7重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.4重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例2に係る原料6は上述の実施例1に係る原料6よりもクエン酸の配合比率が増量されて0.4重量%となり、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている。
【0041】
〔比較例2A〕
比較例2Aでは、上述の実施例2と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0042】
〔比較例2B〕
比較例2Bでは、小麦粉が38.1重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.4重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例2と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
つまり、比較例2Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例2で用いた原料6と異なる。
【0043】
〔比較例2C〕
比較例2Cでは、上述の比較例2Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0044】
〔実施例2と比較例2A〜2Cの比較〕
実施例2および比較例2A〜2Cについて、上述の実施例1および比較例1A〜1Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表3に示す通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
上記の表3に示されるように、実施例2および比較例2A〜2Cにおいても、上述の実施例1および比較例1A〜1Cとほぼ同様の比較結果が得られた。但し、クエン酸の配合比率が0.4重量%に増量されているので、上述の実施例1および比較例1A〜1CよりもpH値が酸性寄りとなる傾向が確認された。これに伴い、実施例2では官能評価の点数が「3.2」となり、実施例1よりも酸味の発現が明確になった。
【0047】
〔実施例3〕
実施例3では、小麦粉が38.6重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.5重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例3に係る原料6は上述の実施例2に係る原料6よりもクエン酸の配合比率がさらに増量されて0.5重量%となり、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている。
【0048】
〔比較例3A〕
比較例3Aでは、上述の実施例3と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0049】
〔比較例3B〕
比較例3Bでは、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.5重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例3と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
つまり、比較例3Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例3で用いた原料6と異なる。
【0050】
〔比較例3C〕
比較例3Cでは、上述の比較例3Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0051】
〔実施例3と比較例3A〜3Cの比較〕
実施例3および比較例3A〜3Cについて、上述の実施例1および比較例1A〜1Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表4に示す通りである。
【0052】
【表4】
【0053】
上記の表4に示されるように、実施例3および比較例3A〜3Cにおいても、上述の実施例1および比較例1A〜1Cとほぼ同様の比較結果が得られた。但し、クエン酸の配合比率が0.5重量%に増量されているので、上述の実施例2および比較例2A〜2CよりもpH値がさらに酸性寄りとなる傾向が確認された。これに伴い、実施例3では官能評価の点数が「4.2」となり、実施例2よりも酸味の発現が強く明確になった。
【0054】
〔実施例4〕
実施例4では、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が0.5重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が46.6重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例4では酸味を有する酸性の添加材として0.5重量%の濃縮レモン果汁が用いられ、原料6には膨張剤としての重曹が含まれていない。
また、実施例4では、濃縮レモン果汁に加え、成形焼き菓子1にレモンの風合いを与えるためのレモン香料と黄色着色料が0.3重量%ずつ加えられている。
【0055】
〔比較例4A〕
比較例4Aでは、上述の実施例4と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0056】
〔比較例4B〕
比較例4Bでは、小麦粉が37.5重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が0.5重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が46.5重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例4と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例4Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉と水の配合比率が減らされている点で、実施例4で用いた原料6と異なる。
【0057】
〔比較例4C〕
比較例4Cでは、上述の比較例4Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0058】
〔実施例4と比較例4A〜4Cの比較〕
実施例4と比較例4A〜4Cにより製造された成形焼き菓子1について、成形性、添加材による酸味の発現性、香料の発現性および黄色着色料の発現性を比較するため、デポ量、焼成時間、重量、pH値、官能評価、成形性および色差ΔE*abについて比較を行った。
ここで、デポ量、焼成時間、重量、pH値および成形性の各用語が意味するところは、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」の項で述べたところと同じである。但し、実施例4では重量の基準を6.0±0.5グラムに変更している。
【0059】
官能評価については、試験の意図を知らない5名で実施した。試験はQDA法に則り、50mmのスケール上に評価者が思ったところにマークし、0mm側の端からマークまでの距離を測定して連続的尺度での評価とした。評価用語は「酸味」、「レモンの香り」、「レモン色の発色」とし、0mm側の端を「感じない」、50mm側の端を強く感じるとした。
【0060】
色差ΔE*abについては、実施例4および比較例4A〜4Cにより製造された各成形焼き菓子1の胴部1cの外側表面、底部1bの外側表面、開口部1aの内側表面の発色状態をミノルタ株式会社製色彩色差計「CR−200」で測定した。測定はL***表色系に則り、各部のL*、a*およびb*の値を測定した。なお、L***表色系とは、CIE(国際照明委員会)によって1976年に規定されたCIE1976(L*,a*,b*)色空間を用いた表色系であり、日本工業規格(JIS)のJISZ8729に採用されているものである。L***表色系において、L*は明度を、a*は赤から緑方向の色度(+は赤方向、−は緑方向)を、b*は黄から青方向の色度(+は黄方向、−は青方向)をそれぞれ示している。
【0061】
比較結果は以下の表5に示す通りである。なお、以下の表5において、焼成方法の欄に記載されている「RF」と「外部」が意味するところは、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」の項で述べたところと同じである。
また、官能評価の欄には5名の平均値を表記している。
色差計値の欄では、測定対象とした胴部1cの外側表面を「外側面」、底部1bの外側表面を「外底」、開口部1aの内側表面を「内リップ」とそれぞれ表記している。そして、色差の欄には比較対象とした各部の色差ΔE*abを表記している。
なお、ここで色差ΔE*abは次の式(1)によって求められる。
【0062】
【数1】
ここでΔL*、Δa*およびΔb*は比較対象となる各部のL*、a*およびb*の値の差である。
【0063】
【表5】
【0064】
実施例4と比較例4A〜4Cでは、酸味を有する酸性の添加材としてクエン酸の代わりに濃縮レモン果汁を使用し、さらにレモン香料と黄色着色料を加えたが、焼成時間、pH値および成形性などについては、上記の表5に示されるように、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」で述べたのとほぼ同様の傾向が確認された。
そして、官能評価については、酸味、レモンの香り、レモン色の発色のすべてにおいて実施例4は比較例4A〜4Cよりも優れることが確認された。
【0065】
また、色差ΔE*abについても、実施例4と比較例4Aとの間には明確な差が認められた。これは、実施例4では金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成したので短時間で焼成でき成形焼き菓子1に焼き色がつかなかったのに対し、比較例4Aでは金型5からの加熱のみで焼成したため成形焼き菓子1に焼け色がつき、黄色着色料の発色性に違いが生じたと考えられる。
また、金型5からの加熱と誘電加熱とを併用した実施例4と比較例4Bにおいても色差ΔE*abに差が認められた。これは比較例4Bでは原料6に食塩を含んでいるため焼成時間が実施例4よりも長く、成形焼き菓子1に焼け色がついたことが影響していると考えられる。
【0066】
〔実施例5〕
実施例5では、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が46.1重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例5に係る原料6は上述の実施例4に係る原料6よりも濃縮レモン果汁の配合比率が増量されて1.0重量%となり、その代わりに水の配合比率が減らされている。
【0067】
〔比較例5A〕
比較例5Aでは、上述の実施例5と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0068】
〔比較例5B〕
比較例5Bでは、小麦粉が37.5重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が46.0重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例5と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例5Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉と水の配合比率が減らされている点で、実施例5で用いた原料6と異なる。
【0069】
〔比較例5C〕
比較例5Cでは、上述の比較例5Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0070】
〔比較例5と比較例5A〜5Cの比較〕
実施例5および比較例5A〜5Cについて、上述の実施例4および比較例4A〜4Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表6に示す通りである。
【0071】
【表6】
【0072】
上記の表6に示されるように、実施例5および比較例5A〜5Cにおいても、上述の実施例4および比較例4A〜4Cとほぼ同様の比較結果が得られ、実施例5が酸味、レモンの香り、レモン色の発色のいずれについても最も優れていることが確認された。特に、実施例5では濃縮レモン果汁の配合比率が1.0重量%に増量されているので、官能評価において「酸味」の強さを示す値が「37.4」となり、実施例4よりも酸味を明確に感じることが確認された。
また、重量についても実施例5を除く比較例5A〜5Cで基準とした6.0±0.5グラムを超える結果となり、実施例5が成形性において優れることが確認された。特に、原料6に重曹を含む比較例5Bおよび比較例5Cでは原料6の調合段階で重曹と酸性の濃縮レモン果汁が反応して発泡し、焼成時における原料6の発泡力が著しく低下したため、重量の増加傾向が顕著に表れた。
【0073】
〔実施例6〕
実施例6では、澱粉が35.36重量%、糯米粉が17.0重量%、油が5.0重量%、砂糖が2.0重量%、甘味料が0.04重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が39.0重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により図7および図8に示される円盤状の成形焼き菓子101を製造した。つまり、実施例6では原料6から小麦粉が省かれ、その代わりに澱粉の配合比率が大幅に増やされている。実施例6で製造された円盤状の成形焼き菓子101は、図7に示される直径D2が64mm、図8に示される厚さT3が約7mmである。
【0074】
成形焼き菓子101が円盤状になったことに伴い、製造には図9に示される形状の金型105が使用されたが、高周波の印加方法など、実質的な製造方法に変更はない。
簡単に説明すると、図9(a)に示されるように、実施例6で使用した金型105は互いに嵌合可能な一対の上型103と下型104とから構成され、図示しない電熱ヒータをそれぞれ内蔵している。また、上型103と下型104は後の誘電加熱工程において給電極および接地電極としてそれぞれ機能するように互いに電気的に絶縁されている。
まず、図9(a)に示されるように、まず、下型104に所定量の原料6を供給した後、図9(b)に示されるように上型103と下型104を嵌合させる。上型103と下型104を嵌合させると、成形焼き菓子101に対応したキャビティ107が金型105内に形成されると共に、原料6がキャビティ107を満たすように流動する。なお、上型103と下型104の設定温度は他の実施例と同様に195±2℃とし、焼成の目安も他の実施例と同様に焼成後の水分値が2.0重量%以下になることとした。
【0075】
次いで、図9(c)に示されるように、交流電源21に接続された高周波発振回路25からインピーダンス整合回路26と、上型103および下型104とを介して原料6に高周波の印加を開始し、原料6を誘電加熱する。原料6は誘電加熱により速やかに水蒸気発泡しキャビティ107(図9(b)参照)内に満注し焼成される。原料6から発生した水蒸気は上型103と下型104との当接部分に形成された図示しない蒸気抜き孔を介して外部へ放散される。
その後、図9(d)に示されるように、高周波の印加開始から所定時間が経過すると上型103と下型104の嵌合を解き、金型105を開放すると図7および図8に示される円盤状の成形焼き菓子101が得られた。
【0076】
〔比較例6A〕
比較例6Aでは、上述の実施例6と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型105からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子101を製造した。
【0077】
〔比較例6B〕
比較例6Bでは、澱粉が34.76重量%、糯米粉が17.0重量%、油が5.0重量%、砂糖が2.0重量%、甘味料が0.04重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が39.0重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例6と同様に金型105からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子101を製造した。
比較例6Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに澱粉の配合比率が減らされている点で、実施例6で用いた原料と異なる。
【0078】
〔比較例6C〕
比較例6Cでは、上述の比較例6Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型105からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子101を製造した。
【0079】
〔実施例6と比較例6A〜6Cの比較〕
実施例6と比較例6A〜6Cにより製造された成形焼き菓子101について、上述の実施例4と比較例4A〜4Cと同様に比較を行った。但し、成形焼き菓子101が円盤状になったため、色彩色差計による測定箇所は、図7に示されるように成形焼き菓子101の中心部101aと外周部101bの2箇所とした。比較結果は次の表7に示す通りである。
【0080】
【表7】
【0081】
実施例6と比較例6A〜6Cでは、原料6から小麦粉が省かれ、その代わりに澱粉が増量されたが、デポ量、焼成時間、重量、pH値などについては上記の表7に示されるように「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」で述べたのとほぼ同様の傾向が確認された。
そして、官能評価については、酸味、レモンの香り、レモン色の発色のすべてにおいて実施例6は比較例6A〜6Cよりも優れることが確認された。これにより、原料6から小麦粉を省き、その代わりに澱粉を主成分とした原料6であっても金型5からの加熱と誘電加熱を併用して焼成することにより、酸味とレモンの香りを有し、かつレモン色が発色した成形焼き菓子101を製造できることが確認された。
【0082】
以上、詳細に説明したように、本発明による成形焼き菓子の製造方法は、酸味を有する酸性の添加材を含み、かつ膨張剤としての重曹を含まない原料を金型からの加熱と、誘電加熱とを併用して短時間で焼成することにより、ロースト臭の発生を抑え、酸味が良好に発現した成形焼き菓子を成形性よく製造することを可能とする。
【符号の説明】
【0083】
1,101 成形焼き菓子
1a 開口部
1b 胴部
1c 底部
1d リブ
2 発泡層
3 雄型
4 雌型
5,105 金型
6 原料
7 キャビティ
20 高周波誘電加熱装置
21 交流電源
22 電圧調整器
23 昇圧トランス
24 整流器
25 高周波発振回路
26 インピーダンス整合回路
27,28 モータ
29 プレスセンサ
30 制御部
31 入力部
32 電流検出器
103 上型
104 下型
Cp 可変コンデンサ
Cs 固定コンデンサ
Ls 可変インダクタ
101a 中心部
101b 外周部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9