【実施例】
【0026】
〔実施例1〕
実施例1では、小麦粉が38.8重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(
図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例1では酸味を有する酸性の添加材として0.3重量%のクエン酸が用いられ、原料6には膨張剤としての重曹が含まれていない。
電熱ヒータによる金型5の設定温度は195±2℃とし、焼成の目安は焼成後の水分値が2.0重量%以下になることとした。なお、金型5の設定温度と、焼成の目安とした水分値は、後述する全ての実施例と比較例において共通である。
【0027】
〔比較例1A〕
比較例1Aでは、上述の実施例1と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0028】
〔比較例1B〕
比較例1Bでは、小麦粉が38.2重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例1と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例1Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例1で用いた原料6と異なる。食塩は食味を整える目的で従来の成形焼き菓子で一般に添加されてきた材料であり、重曹は焼成時に金型5内で原料6の膨張を促進する膨張剤として従来より一般に添加されてきた材料である。
【0029】
〔比較例1C〕
比較例1Cでは、上述の比較例1Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0030】
〔実施例1と比較例1A〜1Cの比較〕
実施例1と比較例1A〜1Cにより製造された成形焼き菓子1について、デポ量、焼成時間、重量、pH値、官能評価、成形性および外観について比較を行った。
ここでデポ量とは金型5に供給された原料6の重量のことであり、デポ量は発泡時に少なくとも金型5のキャビティ7を満注させるのに必要となる量に基づいて決定した。
焼成時間は、雄型3と雌型4を嵌合させてから金型5を開放するまでに要した時間である。
重量とは焼成後の重量のことであり、6.5±0.5グラムの範囲に入ることを基準とした。
pH値は製造された成形焼き菓子1のpH値であり、成形焼き菓子1を粉砕した試料5グラムに蒸留水50グラムを添加して調製した水溶液のpH値をアイスフェトコム株式会社製PHメーター「S2K712」を用いて測定した。
官能評価とは味覚の評価であり、試験の意図を知らない5名で実施し、従来の一般的なコーンカップ(日世株式会社製「ローレルトップ」(登録商標))と食べ比べて酸味を有するかどうかを評価した。なお、評価基準は以下の表1に示す通りであり、5名の平均点を官能評価の点数とした。
【0031】
【表1】
【0032】
成形性については、所定の形状、すなわち金型5のキャビティ7の形状の通りに成形されているかどうかを確認した。
外観については、小麦粉製品に特有の褐色の焼け色の有無を確認した。
比較結果は以下の表2に示す通りである。なお、以下の表2において焼成方法の欄に記載されている「RF」とは金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成したことを示し、「外部」とは金型5からの加熱のみで焼成されたことを示している。
また、表2の成形性の欄に記載されている「○」は成形性が良好或いは問題が無かったことを示し、「×」は成形性に問題があったことを示している。
【0033】
【表2】
【0034】
上記の表2に示されるように、デポ量については、実施例1で20.0グラムとなったのに対し、比較例1Aおよび比較例1Bでは22.0グラム、比較例1Cでは24.0グラムとなった。
比較例1A〜1Cでデポ量が増えたのは次のような理由による。
すなわち、比較例1Aでは、金型5からの加熱のみで焼成したため実施例1と比較して原料6の発泡力が弱くなり、2.0グラムの増量が必要となった。
また、比較例1Bでは金型5からの加熱と誘電加熱が併用されたものの、原料6に食塩が含まれているため焦げを防止する観点から高周波の出力を上げることができず、実施例1と比較して原料6の発泡力が弱くなり、実施例1に対して2.0グラムの増量が必要となった。
また、比較例1Cでは原料6の調合の段階で重曹と酸性のクエン酸が反応して発泡する状態となり、焼成時における原料6の発泡力が著しく低下したため、実施例1に対して4.0グラムの増量が必要となった。
【0035】
焼成時間については、実施例1で20.0秒となったのに対し、誘電加熱を併用せず金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは96.0秒となり、焼成時間の大幅な延長が必要となった。
また、比較例1Bでは、原料6に食塩が含まれているため実施例1と同様に20.0秒で焼成しようとすると焦げが発生する状態となり、高周波の出力を落とす必要が生じたため、実施例1よりも長い32.0秒が必要となった。
【0036】
重量については、実施例1で6.8グラムとなり基準範囲内となったのに対し、比較例1A〜1Cはいずれも基準範囲の上限である7.0グラムを超える結果となった。これは、デポ量が増加したことに加え、発泡力の低下により金型5の蒸気抜き孔から吹き出す余剰分の原料6が減少したためと考えられる。
【0037】
pH値については、原料6に重曹を含まない実施例1と比較例1Aでそれぞれ「4.4」、「4.3」となり、いずれも酸性域にあることが確認された。
一方、原料6に重曹を含む比較例1Bおよび比較例1CはpH値が「5.9」となり、いずれも中性に近いことが確認された。これは、クエン酸と重曹が中和反応を起こしたことを示している。
官能評価については、実施例1で「2.0」となったのに対し、比較例1Aで「1.2」、比較例1Bで「1.2」、比較例1Cで「1.0」となり、実施例1による成形焼き菓子1に酸味の発現が確認されたものの、比較例1A〜1Cでは酸味の発現が認められない結果となった。
なお、実施例1と比較例1AはpH値がそれぞれ「4.4」、「4.3」であり、両者に実質的な差異がみられないにも関わらず、官能評価で差異が生じているのは、小麦粉や澱粉など、穀物類の粉体を含んだ原料が焼成される際に生じる香ばしいロースト臭が人間の味覚に影響しているものと考えられる。
【0038】
すなわち、比較例1Aで製造された成形焼き菓子1は金型5からの加熱のみで96.0秒をかけて焼成されたため、原料6と金型5との接触時間が長くなって焼成時にロースト臭が発生し、このロースト臭が評価者に酸味を感じさせなくしたものと考えられる。
一方、実施例1で製造された成形焼き菓子1は金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して20.0秒という短時間で焼成されたため、焼成時にロースト臭が発生せず、添加材の酸味を発現させることができたと考えられる。
なお、ロースト臭は小麦粉や澱粉など、穀物類の粉体を含んだ原料が適度に焦げる際に生じることから外観では焼け色の有無として表れ、実施例1を除く比較例1A、比較例1Bおよび比較例1Cではいずれも外観に焼け色が確認された。
【0039】
成形性については金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成した実施例1と比較例1Bで良好或いは問題のないことが確認された。
一方、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは開口部1a(
図1〜3参照)において肉厚が不足する結果となり成形性に問題のあることが確認された。これは、金型5からの加熱のみで焼成した比較例1Aおよび比較例1Cでは原料6の発泡力が不足し、最も満注させ難い開口部1aで発泡した原料6を金型5のキャビティ7に密着させることができなかったためと考えられる。
以上の比較結果から、酸味の発現が認められ、なおかつ基準の重量の範囲内で成形性よく製造できたのは実施例1のみであり、酸味を有する酸性の添加材を含有し、かつ膨張剤としての重曹を含有しない原料6を、金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成する本発明による製造方法が、添加材の酸味を発現させるうえで効果的であることが分かる。
【0040】
〔実施例2〕
実施例2では、小麦粉が38.7重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.4重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(
図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例2に係る原料6は上述の実施例1に係る原料6よりもクエン酸の配合比率が増量されて0.4重量%となり、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている。
【0041】
〔比較例2A〕
比較例2Aでは、上述の実施例2と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0042】
〔比較例2B〕
比較例2Bでは、小麦粉が38.1重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.4重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例2と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
つまり、比較例2Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例2で用いた原料6と異なる。
【0043】
〔比較例2C〕
比較例2Cでは、上述の比較例2Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0044】
〔実施例2と比較例2A〜2Cの比較〕
実施例2および比較例2A〜2Cについて、上述の実施例1および比較例1A〜1Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表3に示す通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
上記の表3に示されるように、実施例2および比較例2A〜2Cにおいても、上述の実施例1および比較例1A〜1Cとほぼ同様の比較結果が得られた。但し、クエン酸の配合比率が0.4重量%に増量されているので、上述の実施例1および比較例1A〜1CよりもpH値が酸性寄りとなる傾向が確認された。これに伴い、実施例2では官能評価の点数が「3.2」となり、実施例1よりも酸味の発現が明確になった。
【0047】
〔実施例3〕
実施例3では、小麦粉が38.6重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.5重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(
図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例3に係る原料6は上述の実施例2に係る原料6よりもクエン酸の配合比率がさらに増量されて0.5重量%となり、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている。
【0048】
〔比較例3A〕
比較例3Aでは、上述の実施例3と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0049】
〔比較例3B〕
比較例3Bでは、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、グラニュー糖が1.0重量%、クエン酸が0.5重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が47.0重量%、その他が2.5重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例3と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
つまり、比較例3Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉の配合比率が減らされている点が実施例3で用いた原料6と異なる。
【0050】
〔比較例3C〕
比較例3Cでは、上述の比較例3Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0051】
〔実施例3と比較例3A〜3Cの比較〕
実施例3および比較例3A〜3Cについて、上述の実施例1および比較例1A〜1Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表4に示す通りである。
【0052】
【表4】
【0053】
上記の表4に示されるように、実施例3および比較例3A〜3Cにおいても、上述の実施例1および比較例1A〜1Cとほぼ同様の比較結果が得られた。但し、クエン酸の配合比率が0.5重量%に増量されているので、上述の実施例2および比較例2A〜2CよりもpH値がさらに酸性寄りとなる傾向が確認された。これに伴い、実施例3では官能評価の点数が「4.2」となり、実施例2よりも酸味の発現が強く明確になった。
【0054】
〔実施例4〕
実施例4では、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が0.5重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が46.6重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(
図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例4では酸味を有する酸性の添加材として0.5重量%の濃縮レモン果汁が用いられ、原料6には膨張剤としての重曹が含まれていない。
また、実施例4では、濃縮レモン果汁に加え、成形焼き菓子1にレモンの風合いを与えるためのレモン香料と黄色着色料が0.3重量%ずつ加えられている。
【0055】
〔比較例4A〕
比較例4Aでは、上述の実施例4と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0056】
〔比較例4B〕
比較例4Bでは、小麦粉が37.5重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が0.5重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が46.5重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例4と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例4Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉と水の配合比率が減らされている点で、実施例4で用いた原料6と異なる。
【0057】
〔比較例4C〕
比較例4Cでは、上述の比較例4Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0058】
〔実施例4と比較例4A〜4Cの比較〕
実施例4と比較例4A〜4Cにより製造された成形焼き菓子1について、成形性、添加材による酸味の発現性、香料の発現性および黄色着色料の発現性を比較するため、デポ量、焼成時間、重量、pH値、官能評価、成形性および色差ΔE
*abについて比較を行った。
ここで、デポ量、焼成時間、重量、pH値および成形性の各用語が意味するところは、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」の項で述べたところと同じである。但し、実施例4では重量の基準を6.0±0.5グラムに変更している。
【0059】
官能評価については、試験の意図を知らない5名で実施した。試験はQDA法に則り、50mmのスケール上に評価者が思ったところにマークし、0mm側の端からマークまでの距離を測定して連続的尺度での評価とした。評価用語は「酸味」、「レモンの香り」、「レモン色の発色」とし、0mm側の端を「感じない」、50mm側の端を強く感じるとした。
【0060】
色差ΔE
*abについては、実施例4および比較例4A〜4Cにより製造された各成形焼き菓子1の胴部1cの外側表面、底部1bの外側表面、開口部1aの内側表面の発色状態をミノルタ株式会社製色彩色差計「CR−200」で測定した。測定はL
*a
*b
*表色系に則り、各部のL
*、a
*およびb
*の値を測定した。なお、L
*a
*b
*表色系とは、CIE(国際照明委員会)によって1976年に規定されたCIE1976(L
*,a
*,b
*)色空間を用いた表色系であり、日本工業規格(JIS)のJISZ8729に採用されているものである。L
*a
*b
*表色系において、L
*は明度を、a
*は赤から緑方向の色度(+は赤方向、−は緑方向)を、b
*は黄から青方向の色度(+は黄方向、−は青方向)をそれぞれ示している。
【0061】
比較結果は以下の表5に示す通りである。なお、以下の表5において、焼成方法の欄に記載されている「RF」と「外部」が意味するところは、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」の項で述べたところと同じである。
また、官能評価の欄には5名の平均値を表記している。
色差計値の欄では、測定対象とした胴部1cの外側表面を「外側面」、底部1bの外側表面を「外底」、開口部1aの内側表面を「内リップ」とそれぞれ表記している。そして、色差の欄には比較対象とした各部の色差ΔE
*abを表記している。
なお、ここで色差ΔE
*abは次の式(1)によって求められる。
【0062】
【数1】
ここでΔL
*、Δa
*およびΔb
*は比較対象となる各部のL
*、a
*およびb
*の値の差である。
【0063】
【表5】
【0064】
実施例4と比較例4A〜4Cでは、酸味を有する酸性の添加材としてクエン酸の代わりに濃縮レモン果汁を使用し、さらにレモン香料と黄色着色料を加えたが、焼成時間、pH値および成形性などについては、上記の表5に示されるように、上述の「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」で述べたのとほぼ同様の傾向が確認された。
そして、官能評価については、酸味、レモンの香り、レモン色の発色のすべてにおいて実施例4は比較例4A〜4Cよりも優れることが確認された。
【0065】
また、色差ΔE
*abについても、実施例4と比較例4Aとの間には明確な差が認められた。これは、実施例4では金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して焼成したので短時間で焼成でき成形焼き菓子1に焼き色がつかなかったのに対し、比較例4Aでは金型5からの加熱のみで焼成したため成形焼き菓子1に焼け色がつき、黄色着色料の発色性に違いが生じたと考えられる。
また、金型5からの加熱と誘電加熱とを併用した実施例4と比較例4Bにおいても色差ΔE
*abに差が認められた。これは比較例4Bでは原料6に食塩を含んでいるため焼成時間が実施例4よりも長く、成形焼き菓子1に焼け色がついたことが影響していると考えられる。
【0066】
〔実施例5〕
実施例5では、小麦粉が38.0重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が46.1重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により成形焼き菓子1(
図1〜3参照)を製造した。
つまり、実施例5に係る原料6は上述の実施例4に係る原料6よりも濃縮レモン果汁の配合比率が増量されて1.0重量%となり、その代わりに水の配合比率が減らされている。
【0067】
〔比較例5A〕
比較例5Aでは、上述の実施例5と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0068】
〔比較例5B〕
比較例5Bでは、小麦粉が37.5重量%、澱粉が10.4重量%、油が1.6重量%、グラニュー糖が1.4重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が46.0重量%、その他が0.9重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例5と同様に金型5からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子1を製造した。
比較例5Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに小麦粉と水の配合比率が減らされている点で、実施例5で用いた原料6と異なる。
【0069】
〔比較例5C〕
比較例5Cでは、上述の比較例5Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型5からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子1を製造した。
【0070】
〔比較例5と比較例5A〜5Cの比較〕
実施例5および比較例5A〜5Cについて、上述の実施例4および比較例4A〜4Cと同様に比較を行った。比較結果は次の表6に示す通りである。
【0071】
【表6】
【0072】
上記の表6に示されるように、実施例5および比較例5A〜5Cにおいても、上述の実施例4および比較例4A〜4Cとほぼ同様の比較結果が得られ、実施例5が酸味、レモンの香り、レモン色の発色のいずれについても最も優れていることが確認された。特に、実施例5では濃縮レモン果汁の配合比率が1.0重量%に増量されているので、官能評価において「酸味」の強さを示す値が「37.4」となり、実施例4よりも酸味を明確に感じることが確認された。
また、重量についても実施例5を除く比較例5A〜5Cで基準とした6.0±0.5グラムを超える結果となり、実施例5が成形性において優れることが確認された。特に、原料6に重曹を含む比較例5Bおよび比較例5Cでは原料6の調合段階で重曹と酸性の濃縮レモン果汁が反応して発泡し、焼成時における原料6の発泡力が著しく低下したため、重量の増加傾向が顕著に表れた。
【0073】
〔実施例6〕
実施例6では、澱粉が35.36重量%、糯米粉が17.0重量%、油が5.0重量%、砂糖が2.0重量%、甘味料が0.04重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、水が39.0重量%となる配合比率の原料6を用い、本発明の実施形態に係る上述の製造方法により
図7および
図8に示される円盤状の成形焼き菓子101を製造した。つまり、実施例6では原料6から小麦粉が省かれ、その代わりに澱粉の配合比率が大幅に増やされている。実施例6で製造された円盤状の成形焼き菓子101は、
図7に示される直径D2が64mm、
図8に示される厚さT3が約7mmである。
【0074】
成形焼き菓子101が円盤状になったことに伴い、製造には
図9に示される形状の金型105が使用されたが、高周波の印加方法など、実質的な製造方法に変更はない。
簡単に説明すると、
図9(a)に示されるように、実施例6で使用した金型105は互いに嵌合可能な一対の上型103と下型104とから構成され、図示しない電熱ヒータをそれぞれ内蔵している。また、上型103と下型104は後の誘電加熱工程において給電極および接地電極としてそれぞれ機能するように互いに電気的に絶縁されている。
まず、
図9(a)に示されるように、まず、下型104に所定量の原料6を供給した後、
図9(b)に示されるように上型103と下型104を嵌合させる。上型103と下型104を嵌合させると、成形焼き菓子101に対応したキャビティ107が金型105内に形成されると共に、原料6がキャビティ107を満たすように流動する。なお、上型103と下型104の設定温度は他の実施例と同様に195±2℃とし、焼成の目安も他の実施例と同様に焼成後の水分値が2.0重量%以下になることとした。
【0075】
次いで、
図9(c)に示されるように、交流電源21に接続された高周波発振回路25からインピーダンス整合回路26と、上型103および下型104とを介して原料6に高周波の印加を開始し、原料6を誘電加熱する。原料6は誘電加熱により速やかに水蒸気発泡しキャビティ107(
図9(b)参照)内に満注し焼成される。原料6から発生した水蒸気は上型103と下型104との当接部分に形成された図示しない蒸気抜き孔を介して外部へ放散される。
その後、
図9(d)に示されるように、高周波の印加開始から所定時間が経過すると上型103と下型104の嵌合を解き、金型105を開放すると
図7および
図8に示される円盤状の成形焼き菓子101が得られた。
【0076】
〔比較例6A〕
比較例6Aでは、上述の実施例6と同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型105からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子101を製造した。
【0077】
〔比較例6B〕
比較例6Bでは、澱粉が34.76重量%、糯米粉が17.0重量%、油が5.0重量%、砂糖が2.0重量%、甘味料が0.04重量%、濃縮レモン果汁が1.0重量%、レモン香料が0.3重量%、黄色着色料が0.3重量%、食塩が0.3重量%、重曹が0.3重量%、水が39.0重量%となる配合比率の原料6を用い、実施例6と同様に金型105からの加熱と誘電加熱とを併用して成形焼き菓子101を製造した。
比較例6Bで使用された原料6は、食塩と重曹が0.3重量%ずつ添加され、その代わりに澱粉の配合比率が減らされている点で、実施例6で用いた原料と異なる。
【0078】
〔比較例6C〕
比較例6Cでは、上述の比較例6Bと同じ配合比率からなる原料6を用い、誘電加熱を併用せずに金型105からの加熱のみで原料6を焼成して成形焼き菓子101を製造した。
【0079】
〔実施例6と比較例6A〜6Cの比較〕
実施例6と比較例6A〜6Cにより製造された成形焼き菓子101について、上述の実施例4と比較例4A〜4Cと同様に比較を行った。但し、成形焼き菓子101が円盤状になったため、色彩色差計による測定箇所は、
図7に示されるように成形焼き菓子101の中心部101aと外周部101bの2箇所とした。比較結果は次の表7に示す通りである。
【0080】
【表7】
【0081】
実施例6と比較例6A〜6Cでは、原料6から小麦粉が省かれ、その代わりに澱粉が増量されたが、デポ量、焼成時間、重量、pH値などについては上記の表7に示されるように「実施例1と比較例1A〜1Cの比較」で述べたのとほぼ同様の傾向が確認された。
そして、官能評価については、酸味、レモンの香り、レモン色の発色のすべてにおいて実施例6は比較例6A〜6Cよりも優れることが確認された。これにより、原料6から小麦粉を省き、その代わりに澱粉を主成分とした原料6であっても金型5からの加熱と誘電加熱を併用して焼成することにより、酸味とレモンの香りを有し、かつレモン色が発色した成形焼き菓子101を製造できることが確認された。
【0082】
以上、詳細に説明したように、本発明による成形焼き菓子の製造方法は、酸味を有する酸性の添加材を含み、かつ膨張剤としての重曹を含まない原料を金型からの加熱と、誘電加熱とを併用して短時間で焼成することにより、ロースト臭の発生を抑え、酸味が良好に発現した成形焼き菓子を成形性よく製造することを可能とする。