(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961531
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】二液混合型注入機
(51)【国際特許分類】
B01F 7/00 20060101AFI20160719BHJP
F04C 2/18 20060101ALI20160719BHJP
B29B 7/76 20060101ALI20160719BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20160719BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20160719BHJP
B01F 15/04 20060101ALI20160719BHJP
B01F 3/08 20060101ALI20160719BHJP
B01F 7/16 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B01F7/00 A
F04C2/18 311C
F04C2/18 311F
B29B7/76
B01F15/00 C
B01F15/02 A
B01F15/04 A
B01F3/08 Z
B01F7/16 F
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-246081(P2012-246081)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-94332(P2014-94332A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391050145
【氏名又は名称】日本ソセー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】山口 祐次
【審査官】
河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3067281(JP,U)
【文献】
米国特許第3894722(US,A)
【文献】
実開昭56−020635(JP,U)
【文献】
特公昭49−013525(JP,B1)
【文献】
特開2009−082917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/00 − 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、該駆動部の下部に配設されたヘッド部と、該ヘッド部の中央に縦貫形成された挿通部位内に挿設された、前記駆動部により回転駆動される回転軸と、前記ヘッド部の下面中央部に設けた取付凹部に着脱自在に装着して、内設されたミキシングローターに前記回転軸の下端が連結されたロータリーミキサーとを有する二液混合型注入機であって、 前記ヘッド部に一対の定量ポンプを一体化し、該一対の定量ポンプは薬液の流入路及び流出路を有し、且つ流出路を前記取付凹部の底面で開口させ、前記ヘッド部を、ヘッド本体、蓋板及びカバー体で構成し、前記ヘッド本体の下面中央に前記取付凹部を有し、且つ中央に軸穴を貫通形成し、前記ヘッド本体の上部に配置した前記蓋板の中央に軸穴を貫通形成し、前記蓋板の上部に配置した前記カバー体の中央に軸穴を貫通形成し、前記ヘッド本体の軸穴、前記蓋板の軸穴及び前記カバー体の軸穴により前記挿通部位を形成し、前記一対の定量ポンプを一対のギヤポンプとし、該一対のギヤポンプは、中心軸が前記回転軸と平行な2組の駆動ギヤ及び従動ギヤと、該2組の駆動ギヤ及び従動ギヤを収容する一対の収容凹部が上面に形成された前記ヘッド本体と、前記一対の収容凹部の上方開口部を閉鎖する前記蓋板とで構成し、前記流入路及び流出路を前記ヘッド本体に形成し、前記回転軸と前記一対のギヤポンプに、ロータリーミキサーと前記一対のギヤポンプを同期駆動させるための伝動手段を設け、該伝動手段は、前記回転軸の中間部に装着した主動歯車と、前記一対のギヤポンプの駆動ギヤの中心軸に装着して前記主動歯車に噛合させた従動歯車とで構成し、前記カバー体の下面に、前記主動歯車及び前記従動歯車の収容凹部を形成し、前記一対のギヤポンプを180度点対称の位置に配置して、前記回転軸に近い側に前記流出路を、遠い側に前記流入路を形成し、且つ前記流出路を、前記一対の収容凹部と前記取付凹部を直線状に連通させたことを特徴とする二液混合型注入機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型、成形、塗装等において2種類の薬液を混合して吐出する二液混合型注入機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本願出願人は、注入機の基体にロータリーミキサーの装着部を設け、ミキシングヘッドを有する一対の流路形成体を基体に移動自在に装着し、又装着部にミキシングヘッドを進退させる進退機構部を設け、基体に進退自在に装着した一対の流路形成体は装着部に対向状態で装着し、ミキシングヘッドは先端縮径のテーパー状と成した2液混合硬化性樹脂の注入機を複数開発し出願しており(例えば、特許文献1参照)、薬液の供給手段において往復移動するのは流路形成体だけで、該流路形成体より上流側は往復移動しないことから、流路形成体とその上流側の供給バルブとの間を可撓性を有する接続パイプで接続しており、2種類の薬液は、供給バルブの圧送ポンプで接続パイプへ送出し流路形成体を通過して、ミキシングヘッドからロータリーミキサー内に供給されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2750664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、供給バルブで定量供給可能としても、その下流側の接続パイプを介して流路形成体側に送られるため、薬液供給手段における供給バルブより下流側が長く、而も与圧により接続パイプ膨らんでしまうため、薬液通過時の圧力損失が発生してしまうなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、薬液供給手段における薬液通過時に圧力損失が発生する課題に鑑み、駆動部と、該駆動部の下部に配設されたヘッド部と、該ヘッド部の中央に縦貫形成された挿通部位内に挿設された、前記駆動部により回転駆動される回転軸と、前記ヘッド部の下面中央部に設けた取付凹部に着脱自在に装着して、内設されたミキシングローターに前記回転軸の下端が連結されたロータリーミキサーとを有する二液混合型注入機であって、前記ヘッド部に一対の定量ポンプを一体化し、該一対の定量ポンプは薬液の流入路及び流出路を有し、且つ流出路を前記取付凹部の底面で開口させ、前記ヘッド部を、ヘッド本体、蓋板及びカバー体で構成し、前記ヘッド本体の下面中央に前記取付凹部を有し、且つ中央に軸穴を貫通形成し、前記ヘッド本体の上部に配置した前記蓋板の中央に軸穴を貫通形成し、前記蓋板の上部に配置した前記カバー体の中央に軸穴を貫通形成し、前記ヘッド本体の軸穴、前記蓋板の軸穴及び前記カバー体の軸穴により前記挿通部位を形成し、前記一対の定量ポンプを一対のギヤポンプとし、該一対のギヤポンプは、
中心軸が前記回転軸と平行な2組の駆動ギヤ及び従動ギヤと、該2組の駆動ギヤ及び従動ギヤを収容する一対の収容凹部が上面に形成された前記ヘッド本体と、前記一対の収容凹部の上方開口部を閉鎖する前記蓋板とで構成し、前記流入路及び流出路を前記ヘッド本体に形成し、前記回転軸と前記一対のギヤポンプに、ロータリーミキサーと前記一対のギヤポンプを同期駆動させるための伝動手段を設け、該伝動手段は、前記回転軸の中間部に装着した主動歯車と、前記一対のギヤポンプの駆動ギヤの中心軸に装着して前記主動歯車に噛合させた従動歯車とで構成し、前記カバー体の下面に、前記主動歯車及び前記従動歯車の収容凹部を形成し、前記一対のギヤポンプを180度点対称の位置に配置して、前記
回転軸に近い側に前記流出路を、遠い側に前記流入路を形成し
、且つ前記流出路を、前記一対の収容凹部と前記取付凹部を直線状に連通させて、前記一対の定量ポンプを薬液供給手段の末端に配置して、流出路からロータリーミキサーに薬液を直接供給することによって、薬液供給手段における一対の定量ポンプより下流側を短く且つ変形させない様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、駆動部と、該駆動部の下部に配設されたヘッド部と、該ヘッド部の中央に縦貫形成された挿通部位内に挿設された、前記駆動部により回転駆動される回転軸と、前記ヘッド部の下面中央部に設けた取付凹部に着脱自在に装着して、内設されたミキシングローターに前記回転軸の下端が連結されたロータリーミキサーとを有する二液混合型注入機であって、前記ヘッド部に一対の定量ポンプを一体化し、該一対の定量ポンプは薬液の流入路及び流出路を有し、且つ流出路を前記取付凹部の底面で開口させたので、一対の定量ポンプが薬液供給手段の末端に配置され、これら一対の定量ポンプの流出路から圧力損失無くロータリーミキサーに薬液を直接供給することが出来るため、仮に上流側で供給圧力が変動しても、種類の薬液を供給量を確実に常時一定に維持することが出来る。
【0007】
前記ヘッド部を、ヘッド本体、蓋板及びカバー体で構成し、前記ヘッド本体の下面中央に前記取付凹部を有し、且つ中央に軸穴を貫通形成し、前記ヘッド本体の上部に配置した前記蓋板の中央に軸穴を貫通形成し、前記蓋板の上部に配置した前記カバー体の中央に軸穴を貫通形成
し、前記ヘッド本体の軸穴、前記蓋板の軸穴及び前記カバー体の軸穴により前記挿通部位を形成し、前記一対の定量ポンプを一対のギヤポンプとし、該一対のギヤポンプは、2組の駆動ギヤ及び従動ギヤと、該2組の駆動ギヤ及び従動ギヤを収容する一対の収容凹部が上面に形成された前記ヘッド本体と、前記一対の収容凹部の上方開口部を閉鎖する前記蓋板とで構成したので、前記一対のギヤポンプの前記ヘッド部への内蔵一体化を実現させることが出来る。
又、前記流入路及び流出路を前記ヘッド本体に形成したので、薬液供給手段の末端である流入路及び流出路がヘッド本体に穿設されているため、与圧による変形を防止することが出来る。
【0008】
前記回転軸と前記一対のギヤポンプに、ロータリーミキサーと前記一対のギヤポンプを同期駆動させるための伝動手段を設けたので、前記駆動部でロータリーミキサーと一対のギヤポンプを動かすことが出来るため、装置自体のコンパクト化を図ると共に、省エネルギー化を図ることが出来る。
【0009】
前記伝動手段は、前記回転軸の中間部に装着した主動歯車と、前記一対のギヤポンプの駆動ギヤの中心軸に装着して前記主動歯車に噛合させた従動歯車とで構成し、前記カバー体の下面に、前記主動歯車及び前記従動歯車の収容凹部を形成し、前記一対のギヤポンプを180度点対称の位置に配置して、前記
回転軸に近い側に前記流出路を、遠い側に前記流入路を形成し
、且つ前記流出路を、前記一対の収容凹部と前記取付凹部を直線状に連通させたので、簡単な構造で前記ロータリーミキサー及び一対のギヤポンプの同期駆動化を実現することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る二液混合型注入機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
本発明に係る二液混合型注入機にあっては、基本的に、駆動部1と、該駆動部1の下部に配設されたヘッド部2と、ヘッド部2の中央に縦貫形成された挿通部位3内に挿設された、駆動部1により回転駆動される回転軸4と、ヘッド部2の下面中央部に設けた取付凹部5に着脱自在に装着して、内設されたミキシングローター6に回転軸4の下端が連結されたロータリーミキサー7と、ヘッド部2に一体化された2種類の薬液を供給する一対の定量ポンプ8、8aとを有し、該定量ポンプ8、8aに流入路10、10a 及び流出路11、11a を有し、且つ流出路11、11a を取付凹部5の底面で開口させている。
又、定量ポンプ8、8aをギヤポンプとし、回転軸4と定量ポンプ8、8aに、ロータリーミキサー7と定量ポンプ8、8aを同期駆動させるための伝動手段9、9aを設けるのが好ましい。
【0012】
ヘッド部2は、駆動部1に対し着脱自在とし、ヘッド本体12、蓋板13及びカバー体14をボルト等により一体化して形成され、ヘッド本体12の下面中央に取付凹部5を有し、中央に軸穴15が貫通形成され、ヘッド本体12の上部に配置した蓋板13の中央に軸穴16が貫通形成され、蓋板13の上部に配置したカバー体14の中央に軸穴17が貫通形成され、カバー体14の下面に伝動手段9、9aの収容凹部18を、上面に駆動部1への取付部19を形成している。
又、ヘッド本体12の軸穴15、蓋板13の軸穴16及びカバー体14の軸穴17により挿通部位3が形成されている。
【0013】
一対の定量ポンプ8、8aを一対のギヤポンプとし、2組の駆動ギヤ21、21a 及び従動ギヤ22、22a と、該2組の駆動ギヤ21、21a 及び従動ギヤ22、22a を収容する一対の収容凹部20、20a が上面に形成されたヘッド本体12と、該一対の収容凹部20、20a の上方開口部を閉鎖する蓋板13とで構成されることで、ヘッド部2に内蔵一体化されている。
一方の収容凹部20に対し他方の収容凹部20a は、上面中央を中心に180度点対称の位置に配置され、駆動ギヤ21、21a を軸穴15に近い側に配置し、流入路10、10a 及び流出路11、11a をヘッド本体12に穿設すると共に、収容凹部20、20a の底面の中央両側部における軸穴15に近い側で流出路11、11a を、遠い側で流入路10、10a を夫々開口させている。
具体的には、回転軸4と駆動ギヤ21、21a が一直線上に並び、且つこの配列方向と直交方向に駆動ギヤ21、21a と従動ギヤ22、22a を配列する様に、回転軸4及び定量ポンプ8、8aを配置している。
【0014】
駆動ギヤ21、21a の中心軸23、23a の下端及び従動ギヤ22、22a の中心軸24、24a の下端を収容凹部20、20a の底面に枢着し、且つ駆動ギヤ21、21a 及び従動ギヤ22、22a の下面と収容凹部20、20a の底面を接面状態としている。
駆動ギヤ21、21a の中心軸23、23a の上端を蓋板13を貫通させ、従動ギヤ22、22a の中心軸24、24a の上端を枢着し、且つ駆動ギヤ21、21a 及び従動ギヤ22、22a の上面と蓋板13の下面を接面状態としている。
【0015】
伝動手段9、9aは、回転軸4の中間部に装着した小径な主動歯車25と、駆動ギヤ21、21a の中心軸23、23a における蓋板13からの突端部に装着して主動歯車25に噛合させる大径な従動歯車26、26a とを有し、回転軸4の回転により主動歯車25及び従動歯車26、26a を介して、ロータリーミキサー7及び定量ポンプ8、8aを同期駆動可能にしている。
【0016】
尚、中心軸23、23a 、24、24a と蓋板13との間、回転軸4とヘッド本体12との間にOリングを設けて、各薬液及び混合液の漏洩を防止しつつ中心軸23、23a 、24、24a 及び回転軸4を回転自在と成している。
【0017】
次に、本発明に係る二液混合型注入機の作用について説明する。
2種類の薬液は、薬液供給手段における上流側から流入路10、10a を通過して定量ポンプ8、8a内に供給され、該定量ポンプ8、8aにより所定量の薬液が、流出路10、10a を通過しロータリーミキサー7内に供給され、回転軸4により回転状態のミキシングローター6で、供給された2種類の薬液をロータリーミキサー7の先端側へ移動させながら徐々に混合して、ロータリーミキサー7の先端から吐出するために、流入路10、10a の入口から流出路11、11a の出口までの圧力損失が全く無い。
而も、駆動部1により回転軸4を回転させると、ロータリーミキサー7におけるミキシングローター6が回転し、同時に主動歯車25及び従動歯車26、26a を介して定量ポンプ8、8aにおける駆動ギヤ21、21a を回転させて、定量ポンプ8、8aにより2種類の薬液を定量供給する。
【0018】
尚、ギヤポンプである定量ポンプ8、8aは、1回の供給が終了した時点で逆回転させて、内部ギヤ間に薬液が完全に存在しない状態にすることで、バルブを使用せずに設定量を正確に供給することが可能になる。
【符号の説明】
【0020】
1 駆動部
2 ヘッド部
3 挿通部位
4 回転軸
5 取付凹部
6 ミキシングローター
7 ロータリーミキサー
8、8a 一対の定量ポンプ
9、9a 伝動手段
10、10a 流入路
11、11a 流出路
12 ヘッド本体
13 蓋板
14 カバー体
15、16、17 軸穴
18 収容凹部
20、20a 一対の収容凹部
21、21a 駆動ギヤ
22、22a 従動ギヤ
23、23a 中心軸
25 主動歯車
26、26a 従動歯車