(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
径方向から見た場合に、周方向に隣り合う分割外輪部材と突合する周方向の一方側の端部の外形形状は、軸方向の中央が周方向に突出した形状であり、他方側の端部の形状は、軸方向の中央が周方向に凹んだ形状である、請求項1に記載の外輪。
前記分割外輪部材のうち、隣り合う分割外輪部材の前記係合部に対向する部分には、前記係合部を受け入れる受け入れ凹部が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の外輪。
前記ハウジング上部および前記ハウジング下部は、ボルトで締結されており、前記係合部には、前記ボルトの軸部を挿通可能な貫通孔が設けられている、請求項8または9に記載の回転軸支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る外輪を示す斜視図である。
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る外輪11aは、外径側から複数の分割外輪部材を組み込んで形成される構成である。具体的には、外輪11aは、二つ、すなわち、一対となる第一の分割外輪部材12aおよび第二の分割外輪部材12bを組み合わせて構成されている。
図1においては、理解の容易の観点から、第一の分割外輪部材12aと第二の分割外輪部材12bとを、間隔を開けて図示しているが、後述する針状ころ軸受に含まれて用いられる場合、第一の分割外輪部材12aと第二の分割外輪部材12bとは、周方向の端部同士が連なるように組み合わされる。なお、以下に示す図面において、外輪11aを含む後述する針状ころ軸受の回転軸線を、一点鎖線13で示す。
【0025】
次に、外輪11aを形成する第一の分割外輪部材12aの構成について説明する。
図2および
図3はそれぞれ、第一の分割外輪部材12aの周方向の端部14a、15aを拡大して外径側から見た図である。
図2は、第一の分割外輪部材12aの周方向の一方側の端部14aを示し、
図1中の領域IIに示す部分に相当する。
図3は、第一の分割外輪部材12aの周方向の他方側の端部15aを示し、
図1中の領域IIIに示す部分に相当する。なお、
図2および
図3中において、第二の分割外輪部材12bの一方側の端部14b、および第二の分割外輪部材12bの他方側の端部15bも図示している。
【0026】
図1〜
図3を参照して、第一の分割外輪部材12aの外形形状は、略半円筒状である。すなわち、第一の分割外輪部材12aは、円筒状部材を180°対向する周方向の二箇所において切断した形状である。第一の分割外輪部材12aの内径面16aは、後述する針状ころが転動する軌道面となる。第一の分割外輪部材12aは、いわゆる鍔を有しない構成であり、所定の肉厚を有する。また、第一の分割外輪部材12aには、内径面16aから外径面17aに向かって径方向に真直ぐに貫通する貫通孔18aが設けられている。貫通孔18aは、軸方向から見た場合に、第一の分割外輪部材12aの周方向の中央、すなわち、それぞれの周方向の端部14a、15aから回転軸線13を回転中心として約90°の位置に設けられている。この貫通孔18aは、内径面16a側において、針状ころが転動する軌道面に開口が位置するように設けられている。具体的には、貫通孔18aは、内径面16aのうちの軸方向の中央に位置するよう設けられている。この貫通孔18aは、径方向に潤滑油を通油させるために用いられる。なお、同様に、第二の分割外輪部材12bは、内径面16bが軌道面となる。また、内径面16bから外径面17bに向かって径方向に真直ぐに貫通する潤滑油通油用の貫通孔18bが設けられている。
【0027】
次に、第一の分割外輪部材12aの周方向の一方側の端部14aの構成について説明する。第一の分割外輪部材12aの周方向の一方側の端部14aは、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12bの端部15bと突合する。端部14aの外形形状は、径方向、ここでは、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21aから軸方向他方側に位置する他方側幅面22aに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23aと、他方側幅面22aから一方側幅面21aに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24aとを有する。第一の線23aは、端部14aの軸方向の中央が周方向に突出するように、一方側幅面21aから第一の分割外輪部材12aの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線24aは、端部14aの軸方向の中央が周方向に突出するように、他方側幅面22aから第一の分割外輪部材12aの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図2において、外径側から見た場合に、一方側幅面21aを構成する線25aと第一の線23aとのなす角度B
1は、鈍角である。また、他方側幅面22aを構成する線26aと第二の線24aとのなす角度B
2も、鈍角である。端部14aは、軸方向の中央が、周方向に突出する凸部27aを有するよう構成されている。すなわち、外径側から見た場合、第一の線23aおよび第二の線24aから構成される端部14aの形状は、略V字状に突出した形状である。
【0028】
ここで、第一の分割外輪部材12aは、第一の線23aの他方側幅面22a側の端部28aと第二の線24aの一方側幅面21a側の端部29aとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部31aを含む。係合部31aは、凸部27aの周方向の先端領域に設けられる。係合部31aは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。これについては、後述する。
【0029】
次に、係合部31aの構成について説明する。
図4は、第一の分割外輪部材12aの周方向の端部14aのうち、軸方向の中央領域を、回転軸線13に垂直な平面で切断した断面である。なお、理解の容易の観点から、後述する針状ころ軸受に含まれる針状ころ19を断面で示している。この場合、針状ころ19は、転動軸心に垂直な平面で切断された断面に相当する。
【0030】
図1〜
図4を参照して、係合部31aは、外径側に真直ぐに延びるように設けられている。係合部31aの突出量、すなわち、円弧状の外径面17aから係合部31aの外径側の先端となる端部32aまでの径方向の長さL
1は、
図4中の長さL
2で示される第一の分割外輪部材12aの内径面16aから外径面17aまでの径方向の長さ、すなわち、いわゆる第一の分割外輪部材12aの肉厚よりもやや長く構成されている。
【0031】
係合部31aは、第一の分割外輪部材12aの周方向に突出する突出部を外径側に折り曲げて形成されている。
図5は、折り曲げ前、すなわち、周方向に突出する突出部を有する第一の分割外輪部材12aを外径側から見た図である。
図5における紙面表側が、第一の分割外輪部材12aの外径面17a側となる。
図5を参照して、第一の分割外輪部材12aの端部14aのうち、軸方向の中央には、周方向に突出する突出部33aが設けられている。突出部33aは、凸部27aのうちの周方向に突出した領域において、略矩形状に設けられている。この突出部33aを外径側におおよそ90°折り曲げて、係合部31aが形成される。この折り曲げによって、軌道面側の領域は、軌道面を構成する内径面16aから外径側に向かって滑らかな曲面で連なる構成となる。
【0032】
次に、第一の分割外輪部材12aの周方向の他方側の端部15aの構成について説明する。第一の分割外輪部材12aの周方向の他方側の端部15aも、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12bの端部14bと突合する。端部15aの外形形状は、径方向、ここでは、外径側から見た場合に、一方側幅面21aから他方側幅面22aに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線35aと、他方側幅面22aから一方側幅面21aに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線36aとを有する。第一の線35aは、端部15aの軸方向の中央が周方向に凹むように、一方側幅面21aから第一の分割外輪部材12aの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線36aは、端部15aの軸方向の中央が周方向に凹むように、他方側幅面22aから第一の分割外輪部材12aの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図3において、外径側から見た場合に、一方側幅面21aを構成する線37aと第一の線35aとのなす角度B
3は、鋭角である。また、他方側幅面22aを構成する線38aと第二の線36aとのなす角度B
4も、鋭角である。端部15aは、軸方向の中央が、周方向に凹む凹部39aを形成するよう構成されている。すなわち、外径側から見た場合、第一の線35aおよび第二の線36aから構成される端部15aの形状は、略V字状に凹んだ形状である。
【0033】
ここで、第一の分割外輪部材12aは、第一の線35aの他方側幅面22a側の端部40aと第二の線36aの一方側幅面21a側の端部41aとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第二の分割外輪部材12bに設けられた係合部31bを受け入れる受け入れ凹部42aが設けられている。受け入れ凹部42aは、凹部39aのうち、周方向に最も凹んだ領域において、周方向にさらに凹むように設けられる。受け入れ凹部42aは、略矩形状に周方向に凹むようにして設けられている。受け入れ凹部42aは、第一の分割外輪部材12aと第二の分割外輪部材12bとを突合させた場合に、第二の分割外輪部材12bの係合部31bのうち、周方向に突出した部分を受け入れる。
【0034】
図6は、第一の分割外輪部材12aの周方向の一方側の端部14aと第二の分割外輪部材12bの周方向の他方側の端部15bとを突合させた状態を示す。
図6は、
図2に示す図に相当する。なお、
図6において、内径面16a、16bを転動する針状ころ19を点線で図示している。この場合、
図2に示す周方向一方側に向く矢印A
1で示す方向に第一の分割外輪部材12aを移動させている。
図6を参照して、第一の線23aおよび第二の線24aから主に構成される第一の分割外輪部材12aの周方向の端部14aは、第一の線35bおよび第二の線36bから主に構成される第二の分割外輪部材12bの周方向の端部15bと、凹凸形状が噛み合って突合される。
【0035】
なお、第二の分割外輪部材12bは、第一の分割外輪部材12aと同じ構成である。すなわち、端部14bの外形形状は、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21bから軸方向他方側に位置する他方側幅面22bに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23bと、他方側幅面22bから一方側幅面21bに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24bとを有する。第一の線23bは、端部14bの軸方向の中央が周方向に突出するように、一方側幅面21bから第二の分割外輪部材12bの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線24bは、端部14bの軸方向の中央が周方向に突出するように、他方側幅面22bから第二の分割外輪部材12bの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図3において、外径側から見た場合に、一方側幅面21bを構成する線25bと第一の線23bとのなす角度B
1は、鈍角である。また、他方側幅面22bを構成する線26bと第二の線24bとのなす角度B
2も、鈍角である。端部14bは、軸方向の中央が、周方向に突出する凸部27bを有するよう構成されている。すなわち、外径側から見た場合、第一の線23bおよび第二の線24bから構成される端部14bの形状は、略V字状に突出した形状である。
【0036】
また、第二の分割外輪部材12bは、第一の線23bの他方側幅面22b側の端部28bと第二の線24bの一方側幅面21b側の端部29bとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部31bを含む。係合部31bは、凸部27bの周方向の先端領域に設けられる。係合部31bは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。
【0037】
また、第二の分割外輪部材12bの周方向の他方側の端部15bの外形形状も同じ構成であり、外径側から見た場合に、一方側幅面21bから他方側幅面22bに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線35bと、他方側幅面22bから一方側幅面21bに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線36bとを有する。第一の線35bは、端部15bの軸方向の中央が周方向に凹むように、一方側幅面21bから第二の分割外輪部材12bの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線36bは、端部15bの軸方向の中央が周方向に凹むように、他方側幅面22bから第二の分割外輪部材12bの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図2において、外径側から見た場合に、一方側幅面21bを構成する線37bと第一の線35bとのなす角度B
3は、鋭角である。また、他方側幅面22bを構成する線38bと第二の線36bとのなす角度B
4も、鋭角である。端部15bも、軸方向の中央が、周方向に凹む凹部39bを形成するよう構成されている。すなわち、外径側から見た場合、第一の線35bおよび第二の線36bから構成される端部15bの形状は、略V字状に凹んだ形状である。
【0038】
また、第二の分割外輪部材12bも、第一の線35bの他方側幅面22b側の端部40bと第二の線36bの一方側幅面21b側の端部41bとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第一の分割外輪部材12aに設けられた係合部31aを受け入れる受け入れ凹部42bが設けられている。受け入れ凹部42bは、凹部39bのうち、周方向に最も凹んだ領域において、周方向にさらに凹むように設けられる。受け入れ凹部42bは、略矩形状に周方向に凹むようにして設けられている。受け入れ凹部42bは、第一の分割外輪部材12aと第二の分割外輪部材12bとを突合させた場合に、第一の分割外輪部材12aの係合部31aのうち、周方向に突出した部分を受け入れる。
【0039】
このような第一の分割外輪部材12aおよび第二の分割外輪部材12bを組み合わせて、本願発明の一実施形態に係る外輪11が構成されている。
【0040】
次に、この発明の一実施形態に係る外輪11を含む針状ころ軸受、およびこの針状ころ軸受を備える回転軸支持構造の構成について説明する。
図7および
図8は、この発明の一実施形態に係る外輪11aを含む針状ころ軸受、およびこの針状ころ軸受を備える回転軸支持構造の構成を示す断面図である。
図7は、各構成部材を分解した状態を示し、
図8は、各構成部材を組み合わせた状態を示す。
図7および
図8は、針状ころ軸受が支持する回転軸の回転軸線13に垂直な方向に延びる平面で切断した断面図である。すなわち、針状ころ軸受によって支持される回転軸は、紙面表裏方向に延びる構成である。
【0041】
図7および
図8を参照して、まず、針状ころ軸受44aの構成について説明する。この発明に係る針状ころ軸受44aは、内径側に配置される回転軸45を回転可能に支持する。針状ころ軸受44aは、上記した構成の外輪11aと、外輪11aの内径面16a、16bに位置する軌道面上および回転軸45の外径面46上を転動する複数の針状ころ19と、複数の針状ころ19を保持する保持器47aとを備える。
【0042】
ここで、保持器47aの構成について説明すると、保持器47aは、二つ割りの分割保持器部材48a、49aを組み合わせて構成されている。第一および第二の分割保持器部材48a、49aの外形形状はそれぞれ、略半円筒状である。すなわち、第一および第二の分割保持器部材48a、49aはそれぞれ、円筒状部材を180°対向する周方向の二箇所において切断した形状である。環状の保持器47aは、一対の第一および第二の分割保持器部材48a、49aを組み合わせて環状となる構成である。
【0043】
第一の分割保持器部材48aは、軸方向に延びて、針状ころを収容するポケット(図示せず)を形成するように周方向に間隔を開けて複数設けられる複数の柱部と、柱部間の周方向の間隔を維持するように各々の柱部の軸方向両端部を連結する一対の連結部とを備える構成である。第二の分割保持器部材49aの構成も、第一の分割保持器部材48aの構成と同じである。なお、
図7および
図8に示す断面は、保持器47aについては、軸方向の一方端側に位置する一方の連結部を含む断面で切断した場合を示している。
【0044】
針状ころ軸受44aは、回転軸45の外径側から、それぞれ針状ころ19をポケット内に収容させた第一および第二の分割保持器部材48a、49aを組み込み、さらにその外径側から第一および第二の分割外輪部材12a、12bを組み込んで形成される。
【0045】
次に、この発明に係る回転軸支持構造の構成について説明する。回転軸支持構造51aは、上記した構成の針状ころ軸受44aと、針状ころ軸受44aに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52aとを含む。回転軸45は、紙面表裏方向に延びることとなる。なお、このような回転軸支持構造51aは、回転軸45としてのクランクシャフトを支持するクランク軸支持構造、回転軸45としてのカムシャフトを支持するカムシャフト支持構造、回転軸45としてのバランスシャフトを支持するバランスシャフト支持構造等において、有効に用いられる。
【0046】
ここで、ハウジング52aは、上側に位置するハウジング上部53aと、下側に位置するハウジング下部54aとを含む構成である。ハウジング上部53aは、回転軸支持構造51aが、例えばカムシャフトの支持構造であった場合、ベアリングキャップに該当する部材である。また、ハウジング下部54aは、回転軸支持構造51aが、例えばカムシャフトの支持構造であった場合、シリンダヘッドに該当する部材である。
【0047】
ハウジング上部53aは、外輪11aの外径面に当接する円弧面55aが内側に設けられた円弧部56aと、円弧部56aの両端部から外方側に延びる一対の平坦部57a、58aとを含む。円弧部56aおよび平坦部57a、58aは、所定の肉厚を有する。平坦部57a、58aにはそれぞれ、ハウジング上部53aとハウジング下部54aとをボルトによって締結させるためのボルト孔59a、60aが設けられている。ボルト孔59a、60aは、平坦部57a、58aを肉厚方向に真直ぐに貫通するように設けられている、平坦部57a、58aのうち、ハウジング下部54a側に位置する面、すなわち、
図7における紙面下側に位置する面は、平らな面61a、62aとなっている。
【0048】
ここで、ハウジング上部53aには、第一の分割外輪部材12aに設けられた係合部31aを受け入れる形状の第一の係合穴63aが設けられている。第一の係合穴63aは、一方側の平坦部57aの下側に位置する面61aおよび円弧面55aから外方側に凹むように設けられている。
【0049】
ハウジング下部54aは、外輪11aの外径面に当接する円弧面64aが内側に設けられたブロック状のベース65aを備える。ベース65aのうち、円弧面64aを除いてハウジング上部53a側に位置する面、すなわち、
図7における紙面上側に位置する面は、平らな面66a、67aとなっている。平らな面66a、67aにおいて、ハウジング上部53aとハウジング下部54aとを組み合わせたときに、ボルト孔59a、60aに対応する領域には、ボルトを螺合可能なボルト孔68a、69aが設けられている。
【0050】
ハウジング下部54aには、第二の分割外輪部材12bに設けられた係合部31bを受け入れる形状の第二の係合穴70aが設けられている。第二の係合穴70aは、ベース65aの上側に位置する面67aおよび円弧面64aから外方側に凹むように設けられる。第一および第二の係合穴63a、70aはそれぞれ、180°対向する位置に設けられている。
【0051】
回転軸支持構造51aは、ハウジング上部53aとハウジング下部54aとの間に形成される空間において、回転軸45を支持するよう針状ころ軸受44aを組み込んで構成される。ハウジング上部53aとハウジング下部54aとは、ボルト孔59a、60a、68a、69aを利用して、ボルト71a、72aで締結され、固定される。具体的には、ボルト71a、72aをそれぞれボルト孔59a、60aに挿通させ、ボルト孔68a、69aに螺合させる。この場合、ハウジング上部53aの面61a、62aがそれぞれ、ハウジング下部54aの面66a、67aと当接することになる。また、ハウジング上部53aの円弧面55aが、外輪11aを構成する第一の分割外輪部材12aの外径面17aに当接し、ハウジング下部54aの円弧面64aが、外輪11aを構成する第二の分割外輪部材12bの外径面17bに当接することになる。
【0052】
ここで、針状ころ軸受44aは、第一の分割外輪部材12aに設けられた係合部31aを、ハウジング上部53aに設けられた第一の係合穴63aに係合させ、第二の分割外輪部材12bに設けられた係合部31bを、ハウジング下部54aに設けられた第二の係合穴70aに係合させて、ハウジング52aに組み込まれる。このようにして、回転軸支持構造51aは構成される。
【0053】
このような構成によれば、第一の分割外輪部材12aのうち、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12bと突合する周方向の端部14aの外形形状は、径方向から見た場合に、一方側幅面21aから他方側幅面22aに向かって針状ころ軸受44aの回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23aと、他方側幅面22aから一方側幅面21aに向かって針状ころ軸受44aの回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24aとを有し、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12bの周方向の端部15bと噛み合う形状であるため、傾斜して延びる第一の線23aおよび第二の線24aによって適切に噛み合い、隣り合う第一および第二の分割外輪部材12a、12b同士の軸方向の移動が規制される。すなわち、
図2および
図3中の矢印A
2で示す方向またはその逆方向への移動が規制される。この場合、第一の線23aおよび第二の線24aは、針状ころ軸受44aの回転軸線13に対して共に傾斜して延びるよう構成されているため、隣り合う第一および第二の分割外輪部材12a、12bの突合領域において、針状ころと突合する部分とが線接触するおそれを低減し、針状ころ19を円滑に転動させることができる。また、第一の分割外輪部材12aに設けられた一つの係合部31aをハウジング52a、具体的には、ハウジング上部53aに設けられた第一の係合穴63aに係合させ、第二の分割外輪部材12bに設けられた一つの係合部31bをハウジング52a、具体的には、ハウジング下部54aに設けられた第二の係合穴70aに係合させて、第一および第二の分割外輪部材12a、12bの回転を防止することができるため、二つ組み込まれる第一および第二の分割外輪部材12a、12bにおいて、第一および第二の分割外輪部材12a、12bの周方向の移動を規制することができる。この場合、第一の分割外輪部材12aについては、一方側の端部14aにおいて、係合部31aを一つ設けるのみでよく、第二の分割外輪部材12bについては、一方側の端部14bにおいて、係合部31bを一つ設けるのみでよく、さらには、それぞれの係合部31a、31bに対応する第一の係合穴63aおよび第二の係合穴70aも一つずつ設けるのみでよいため、安価な構成とすることができる。したがって、生産性が良好であり、ハウジング52a内に組み込まれた際における第一および第二の分割外輪部材12a、12bの適切な位置決めを行うことができる。
【0054】
この場合、係合部31a、31bは、外径側に折り曲げられて形成されているため、内径面17a、17b側に位置する針状ころ19の軌道面との繋ぎ目部分を、滑らかな曲面形状とすることができる。そうすると、針状ころ19の転動を滑らかにすることができ、振動や騒音の低減を行うことができる。
【0055】
なお、以下のような構成としてもよい。
図9および
図10は、この発明の他の実施形態に係る回転軸支持構造を示す断面図である。
図9は、各構成部材を分解した状態を示し、
図10は、各構成部材を組み合わせた状態を示す。
図9および
図10はそれぞれ、
図7および
図8に示す断面に相当する。なお、
図7および
図8に示す構成部材と同じ構成部材については、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0056】
図9および
図10を参照して、この発明の他の実施形態に係る回転軸支持構造51bは、上記した構成の針状ころ軸受44aと、針状ころ軸受44aに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52bとを含む。ハウジング52bは、上側に位置するハウジング上部53bと、下側に位置するハウジング下部54bとを含む。
【0057】
ハウジング上部53bは、外輪11aの外径面に当接する円弧面55bが内側に設けられた円弧部56bと、円弧部56bの両端部から外方側に延びる一対の平坦部57b、58bとを含む。円弧部56bおよび平坦部57b、58bは、所定の肉厚を有する。平坦部57b、58bにはそれぞれ、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとをボルトによって締結させるためのボルト孔59b、60bが設けられている。ボルト孔59b、60bは、平坦部57b、58bを肉厚方向に真直ぐに貫通するように設けられている、平坦部57b、58bのうち、ハウジング下部54b側に位置する面、すなわち、
図9における紙面下側に位置する面は、平らな面61b、62bとなっている。
【0058】
ハウジング上部53bには、第一の分割外輪部材12aに設けられた係合部31aを受け入れる形状の第一の係合穴63bが設けられている。第一の係合穴63bは、上記した
図7に示す実施形態と異なって、ハウジング上部53bの下側の面61bとは面せず、円弧面55bの一部を外方側に凹むようにして設けられている。
図9に示す断面において、第一の係合穴63bを構成する壁面のうちの最も面61b側に位置する面73bと面61bとのなす角度C
1は、鋭角で示される。
【0059】
ハウジング下部54bは、外輪11aの外径面に当接する円弧面64bが内側に設けられたブロック状のベース65bを備える。ベース65bのうち、円弧面64bを除いてハウジング上部53b側に位置する面、すなわち、
図9における紙面上側に位置する面は、平らな面66b、67bとなっている。平らな面66b、67bにおいて、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとを組み合わせたときに、ボルト孔59b、60bに対応する領域には、ボルトを螺合可能なボルト孔68b、69bが設けられている。
【0060】
また、ハウジング下部54bには、針状ころ軸受44aへ潤滑油を供給するための潤滑油通油路74bが設けられている。潤滑油通油路74bは、ベース65bの下部領域から上方に向かって延び、さらに、円弧面64b側に向かって曲がって、円弧面64bの一部に開口穴75bを有するよう設けられている。開口穴75bは、ハウジング下部54bの面67bとは面せず、円弧面64bの一部を外方側に凹むようにして設けられている。
図9に示す断面において、開口穴75bを構成する壁面のうちの最も面67b側に位置する面76bと面67bとのなす角度C
2は、鋭角で示される。第一の係合穴63b、および開口穴75bはそれぞれ、180°対向する位置に設けられている。この潤滑油通油路74bを介して開口穴75bから針状ころ軸受44a側に潤滑油を通油させることができる。
【0061】
ここで、開口穴75bは、第二の分割外輪部材12bに設けられた係合部31bを受け入れる形状となるよう構成されている。すなわち、開口穴75bは、
図7に示す実施形態における第二の係合部70aの機能を兼用する構成である。
【0062】
これについて説明すると、以下の通りである。
図11は、開口穴75bを
図9および
図10中の矢印D
1で示す方向から見た拡大図である。
図11を参照して、第一の分割外輪部材12aと第二の分割外輪部材12bとが突合した場合において、係合部31bと受け入れ凹部42aとの周方向および軸方向の間には、微小のすき間77bが形成される。このすき間77bを通って、ベース65b側から潤滑油通油路74bを利用して供給される潤滑油が、針状ころ軸受44a内に供給される。
【0063】
回転軸支持構造51bは、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとの間に形成される空間において、回転軸45を支持するよう針状ころ軸受44aを組み込んで構成される。ハウジング上部53bとハウジング下部54bとは、ボルト孔59b、60b、68b、69bを利用して、ボルト71a、72aで締結され、固定される。この場合、ハウジング上部53bの面61b、62bがそれぞれ、ハウジング下部54bの面66b、67bと当接することになる。また、ハウジング上部53bの円弧面55bが、外輪11aを構成する第一の分割外輪部材12aの外径面17aに当接し、ハウジング下部54bの円弧面64bが、外輪11aを構成する第二の分割外輪部材12bの外径面17bに当接することになる。
【0064】
ここで、針状ころ軸受44aは、第一の分割外輪部材12aに設けられた係合部31aを、ハウジング上部53bに設けられた第一の係合穴63bに係合させ、第二の分割外輪部材12bに設けられた係合部31bを、ハウジング下部54aに設けられた第二の係合穴を兼用する開口穴75bに係合させて、ハウジング52bに組み込まれる。このようにして、回転軸支持構造51bは構成される。
【0065】
このような構成によれば、潤滑油を通油させるための開口穴を利用して、係合部を係合させているため、新たに係合穴を設ける必要がない。したがって、さらなる加工工数を減少させて、さらに安価な構成とすることができる。この場合、潤滑油は、軌道面の軸方向の中央側に供給されることになるため、針状ころ19のさらなる円滑な転動を図ることもできる。
【0066】
この場合、周方向において、ハウジング52bの分割部、すなわち、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとが接触する部分と、第一および第二の分割外輪部材12a、12bの突合部分とを周方向においてずらすことができる。そうすると、突合部分をハウジング上部53bおよびハウジング下部54bの円弧面に適切に沿わせて、第一および第二の分割外輪部材12a、12bによって構成される外輪11aの真円度をより高くすることができる。したがって、さらなる針状ころ19の円滑な転動を図ることができる。
【0067】
また、以下のような構成としてもよい。
図12は、この発明のさらに他の実施形態に係る回転軸支持構造に備えられる針状ころ軸受に含まれる外輪を構成する第一の分割外輪部材の一部を示す図である。
図12は、折り曲げ前、すなわち、周方向に突出する突出部を有する第一の分割外輪部材を外径側から見た図であり、
図5に相当する図である。
図13は、この発明のさらに他の実施形態に係る回転軸支持構造を示す断面図である。
図13は、各構成部材を組み合わせた状態を示す。
図13は、
図8に示す断面に相当する。なお、
図13において、
図8に示す構成部材と同じ構成部材については、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0068】
まず、
図12を参照して、第一の分割外輪部材12cの端部14cのうち、軸方向の中央には、周方向に突出する突出部33cが設けられている。突出部33cは、凸部27cのうちの周方向に突出した領域において、略矩形状に設けられている。この突出部33cを外径側におおよそ90°折り曲げて、係合部31cが形成される。この折り曲げによって、軌道面側の領域は、軌道面を構成する内径面16cから外径側に向かって滑らかな曲面で連なる構成となる。
【0069】
ここで、係合部31cの突出量、すなわち、
図12中の長さL
3で示される円弧状の外径面17c、ここでは、第一の線23cの端部28cによって表されるが、この部分から係合部31cの外径側の先端となる端部32cまでの径方向の長さは、
図13中の長さL
4で示されるハウジング上部53cのうちの円弧面55cとハウジング下部54cに対向する面61cとの交わる部分78cから平坦部57cの幅方向の端部である幅面79cまでの長さと同じとなるように構成されている。そして、ボルト孔59cに対応する部分に、肉厚方向に貫通する貫通孔80cが設けられている。第二の分割外輪部材12dも同様の構成である。
【0070】
回転軸支持構造51cは、ハウジング上部53cとハウジング下部54cとの間に形成される空間において、回転軸45を支持するよう針状ころ軸受44cを組み込んで構成される。ハウジング上部53cとハウジング下部54cとは、ボルト孔59c、60c、68c、69c、そして、貫通孔80c、第二の分割外輪部材12dに設けられた貫通孔80dを利用して、ボルト71a、72aで締結され、固定される。具体的には、ボルト71a、72aをそれぞれボルト孔59c、60c、貫通孔80c、80dに挿通させ、ボルト孔68c、69cに螺合させる。この場合、ハウジング上部53cの面61c、62cがそれぞれ、係合部31cの上側の面81c、係合部31dの上側の面81dと当接することとなる。そして、ハウジング下部54aの面66c、67cがそれぞれ、係合部31cの下側の面82c、係合部31dの下側の面82dと当接することになる。
【0071】
この場合、針状ころ軸受44cは、第一の分割外輪部材12cに設けられた係合部31c、および第二の分割外輪部材12dに設けられた係合部31dはそれぞれ、ハウジング上部53cおよびハウジング下部54cに挟まれる構成となる。このようにして、回転軸支持構造51cは構成される。
【0072】
このように構成することとしてもよい。こうすることにより、より第一および第二の分割外輪部材12c、12dの位置決めを確実に行うことができる。
【0073】
なお、上記の実施の形態においては、針状ころ軸受に含まれる保持器について、二つの分割保持器部材から構成されることとしたが、これに限らず、周方向の一部が切断された一体型の保持器を用いることにしても構わない。
【0074】
図14および
図15は、この場合の保持器を示す図である。
図14および
図15を参照して、保持器47dは、軸方向に延びて、針状ころを収容するポケット(図示せず)を形成するように周方向に間隔を開けて複数設けられる複数の柱部と、柱部間の周方向の間隔を維持するように各々の柱部の軸方向両端部を連結する一対の連結部とを備える構成である。なお、
図14および
図15に示す断面は、保持器47dについては、軸方向の一方端側に位置する一方の連結部を含む断面で切断した場合を示している。
【0075】
保持器47dは、一つの環状の部材を、周方向の任意の一箇所で切断された形状である。保持器47dは、切断された分割部において、周方向の両端部83c、83dを対向させて、環状とされる。保持器47dは、弾性変形可能な部材から構成されており、両端部83c、83d同士の間隔を押し広げることができる。
図14は、端部83c、83d同士を対向させて、円筒状とした場合を示し、
図15は、端部83c、83d同士の間隔を押し広げた状態を示している。このような構成として、回転軸45の外径側から保持器47dを組み込むことができる。
【0076】
図16は、
図14および
図15に示す保持器47dを含む針状ころ軸受44dを備える回転軸支持構造51dを示す断面図であり、
図8に相当する図である。
図16を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係る回転軸支持構造51dは、上記した構成の第一の分割外輪部材12a、12b、複数の針状ころ19、そして、上記した
図14および
図15に示す保持器47dを含む針状ころ軸受44dと、針状ころ軸受44dに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52aとを含む。ハウジング52aは、上側に位置するハウジング上部53aと、下側に位置するハウジング下部54aとを含む。保持器47d以外の構成は、
図8に示す場合と同様であるので、それらの説明を省略する。このように構成してもよい。
【0077】
なお、上記の実施の形態においては、第一の分割外輪部材12aにおいて、径方向から見た場合に、一方側幅面を構成する線と第一の線とのなす角度、および他方側幅面を構成する線と第一の線とのなす角度は共に、鈍角であるよう構成することとしたが、これに限らず、一方側幅面を構成する線と第一の線とのなす角度は、鈍角であり、他方側幅面を構成する線と第一の線とのなす角度は、鋭角であるよう構成してもよい。
【0078】
図17は、この場合における外輪を示す斜視図であり、
図1に相当する。
図17を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係る外輪11eは、一対となる第一の分割外輪部材12eおよび第二の分割外輪部材12fを組み合わせて構成されている。
【0079】
次に、外輪11eを形成する第一の分割外輪部材12eの構成について説明する。
図18および
図19はそれぞれ、第一の分割外輪部材12eの周方向の端部14e、15eを拡大して外径側から見た図である。
図18は、第一の分割外輪部材12eの周方向の一方側の端部14eを示し、
図17中の領域XVIIIに示す部分に相当する。
図19は、第一の分割外輪部材12eの周方向の他方側の端部15eを示し、
図17中の領域XIXに示す部分に相当する。なお、理解の容易の観点から、
図18および
図19中において、第二の分割外輪部材12fの一方側の端部14f、および第二の分割外輪部材12fの他方側の端部15fも図示している。
【0080】
図17〜
図19を参照して、第一の分割外輪部材12eの外形形状は、略半円筒状である。すなわち、第一の分割外輪部材12eは、円筒状部材を180°対向する周方向の二箇所において切断した形状である。第一の分割外輪部材12eの内径面16eは、針状ころが転動する軌道面となる。第一の分割外輪部材12eは、いわゆる鍔を有しない構成であり、所定の肉厚を有する。また、第一の分割外輪部材12eには、内径面16eから外径面17eに向かって径方向に真直ぐに貫通する貫通孔18eが設けられている。貫通孔18eは、軸方向から見た場合に、第一の分割外輪部材12eのうち、周方向において、他方側の端部15e寄りに設けられている。この貫通孔18eは、内径面16e側において、針状ころが転動する軌道面に開口が位置するように設けられている。具体的には、貫通孔18eは、軸方向の中央に位置するよう設けられている。この貫通孔18eは、径方向に潤滑油を通油させるために用いられる。なお、同様に、第二の分割外輪部材12fは、内径面16fが軌道面となり、また、内径面16fから外径面17fに向かって径方向に真直ぐに貫通する潤滑油通油用の貫通孔18fが設けられている。
【0081】
次に、第一の分割外輪部材12eの周方向の一方側の端部14eについて説明する。第一の分割外輪部材12eの周方向の一方側の端部14eは、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12fと突合する。端部14eの外形形状は、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21eから軸方向他方側に位置する他方側幅面22eに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23eと、他方側幅面22eから一方側幅面21eに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24eとを有する。第一の線23eは、端部14eのうち、軸方向の中央より一方側幅面21e側の領域が周方向に突出するように一方側幅面21eから第一の分割外輪部材12eの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線24eは、端部14eのうち、軸方向の中央より他方側幅面22e側の領域が周方向に凹むように他方側幅面22eから第一の分割外輪部材12eの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図18において、外径側から見た場合に、一方側幅面21eを構成する線25eと第一の線23eとのなす角度E
1は、鋭角である。また、他方側幅面22eを構成する線26eと第二の線24eとのなす角度E
2は、鈍角である。外径側から見た場合に、第一の線23eと第二の線24eとは、同じ向き、ここでは、平行となるよう構成されている。
【0082】
ここで、第一の分割外輪部材12eは、第一の線23eの他方側幅面22e側の端部28eと第二の線24eの一方側幅面21e側の端部29eとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部31eを含む。係合部31eは、第一の線23eの他方側幅面22e側の端部28e寄りに設けられる。係合部31eは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。
【0083】
次に、係合部31eの構成について説明する。
図20は、第一の分割外輪部材12eの周方向の端部14eのうち、軸方向の中央領域を、回転軸線13に垂直な平面で切断した断面である。なお、理解の容易の観点から、針状ころ軸受に含まれる針状ころ19を断面で示している。この場合、針状ころ19は、転動軸心に垂直な平面で切断された断面に相当する。
【0084】
図17〜
図20を参照して、係合部31eは、外径側に真直ぐに延びるように設けられている。係合部31eの突出量、すなわち、円弧状の外径面17eから係合部31eの外径側の先端となる端部32eまでの径方向の長さL
5は、
図20中の長さL
6で示される第一の分割外輪部材12eの内径面16eから外径面17eまでの径方向の長さ、すなわち、いわゆる第一の分割外輪部材12eの肉厚よりもやや長く構成されている。係合部31eは、第一の分割外輪部材12eの周方向に突出する突出部を外径側に折り曲げて形成されている。この折り曲げによって、軌道面側の領域は、軌道面を構成する内径面16eから外径側に向かって滑らかな曲面で連なっている構成となる。
【0085】
第一の分割外輪部材12eには、第一の線23eの他方側幅面22e側の端部28eと第二の線24eの一方側幅面21e側の端部29eとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部34fを受け入れる受け入れ凹部42eが設けられている。
図21は、第一の分割外輪部材12eの周方向の一方側の端部14eと第二の分割外輪部材12fの周方向の他方側の端部15fとを突合させた状態を示す。
図21は、
図6に示す図に相当する。なお、
図21において、内径側に転動する針状ころ19を点線で図示している。この場合、
図18に示す周方向一方側に向く矢印A
1で示す方向に第一の分割外輪部材12eを移動させている。
【0086】
図21を参照して、第一の線23eおよび第二の線24eから主に構成される第一の分割外輪部材12eの周方向の端部14eは、第一の線35fおよび第二の線36fから主に構成される第二の分割外輪部材12fの周方向の端部15fと凹凸形状が噛み合って突合される。
【0087】
次に、第一の分割外輪部材12eの周方向の他方側の端部15eの構成について説明する。第一の分割外輪部材12eの周方向の他方側の端部15eは、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12fと突合する。端部15eの外形形状は、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21eから軸方向他方側に位置する他方側幅面22eに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線35eと、他方側幅面22eから一方側幅面21eに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線36eとを有する。第一の線35eは、端部15eのうち、軸方向の中央より一方側幅面21e側の領域が周方向に突出するように一方側幅面21eから第一の分割外輪部材12eの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線36eは、端部15eのうち、軸方向の中央より他方側幅面22e側の領域が周方向に凹むように他方側幅面22eから第一の分割外輪部材12eの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図19において、外径側から見た場合に、一方側幅面21eを構成する線37eと第一の線35eとのなす角度E
3は、鋭角である。また、他方側幅面22eを構成する線38eと第二の線36eとのなす角度E
4は、鈍角である。外径側から見た場合に、第一の線35eと第二の線36eとは、同じ向き、ここでは、平行となるよう構成されている。
【0088】
ここで、第一の分割外輪部材12eは、第一の線35eの他方側幅面22e側の端部40eと第二の線36eの一方側幅面21e側の端部41eとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部34eを含む。係合部34eは、第一の線35eの他方側幅面22e側の端部40e寄りに設けられる。係合部34eは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。
【0089】
第一の分割外輪部材12eには、第一の線35eの他方側幅面22e側の端部40eと第二の線36eの一方側幅面21e側の端部41eとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部31fを受け入れる受け入れ凹部50eが設けられている。
【0090】
なお、第二の分割外輪部材12fは、第一の分割外輪部材12eと同じ構成である。すなわち、第二の分割外輪部材12fの周方向の一方側の端部14fの外形形状は、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21fから軸方向他方側に位置する他方側幅面22fに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23fと、他方側幅面22fから一方側幅面21fに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24fとを有する。第一の線23fは、端部14fのうち、軸方向の中央より一方側幅面21f側の領域が周方向に凹むように一方側幅面21fから第二の分割外輪部材12fの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線24fは、端部14fのうち、軸方向の中央より他方側幅面22f側の領域が周方向に突出するように他方側幅面22fから第二の分割外輪部材12fの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図19において、外径側から見た場合に、一方側幅面21fを構成する線25fと第一の線23fとのなす角度E
2は、鈍角である。また、他方側幅面22fを構成する線26fと第二の線24fとのなす角度E
1は、鋭角である。外径側から見た場合に、第一の線23fと第二の線24fとは、同じ向き、ここでは、平行となるよう構成されている。
【0091】
第二の分割外輪部材12fは、第一の線23fの他方側幅面22f側の端部28fと第二の線24fの一方側幅面21f側の端部29fとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部31fを含む。係合部31fは、第一の線23fの他方側幅面22f側の端部28f寄りに設けられる。係合部31fは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。
【0092】
第二の分割外輪部材12fには、第一の線23fの他方側幅面22f側の端部28fと第二の線24fの一方側幅面21f側の端部29fとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部34eを受け入れる受け入れ凹部42fが設けられている。
【0093】
第二の分割外輪部材12fの周方向の他方側の端部15fの構成について説明すると、第二の分割外輪部材12fの周方向の他方側の端部15fの外形形状は、外径側から見た場合に、軸方向一方側に位置する一方側幅面21fから軸方向他方側に位置する他方側幅面22fに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線35fと、他方側幅面22fから一方側幅面21fに向かって回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線36fとを有する。第一の線35fは、端部15fのうち、軸方向の中央より一方側幅面21f側の領域が周方向に凹むように一方側幅面21fから第二の分割外輪部材12fの軸方向の中央領域まで延びる形状である。第二の線36fは、端部15fのうち、軸方向の中央より他方側幅面22f側の領域が周方向に突出するように他方側幅面22fから第二の分割外輪部材12fの軸方向の中央領域まで延びる形状である。
図18において、外径側から見た場合に、一方側幅面21fを構成する線37fと第一の線35fとのなす角度E
4は、鈍角である。また、他方側幅面22fを構成する線38fと第二の線36fとのなす角度E
3は、鋭角である。外径側から見た場合に、第一の線35fと第二の線36fとは、同じ向き、ここでは、平行となるよう構成されている。
【0094】
ここで、第二の分割外輪部材12fは、第一の線35fの他方側幅面22f側の端部40fと第二の線36fの一方側幅面21f側の端部41fとの軸方向の間に設けられ、外径側に延びる一つの係合部34fを含む。係合部34fは、第一の線35fの他方側幅面22f側の端部40f寄りに設けられる。係合部34fは、針状ころ軸受をハウジングに組み込んだ際にハウジングと係合する。
【0095】
第二の分割外輪部材12fには、第一の線35fの他方側幅面22f側の端部40fと第二の線36fの一方側幅面21f側の端部41fとの軸方向の間に設けられ、隣り合う第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部31eを受け入れる受け入れ凹部50fが設けられている。
【0096】
このような第一の分割外輪部材12eおよび第二の分割外輪部材12fを組み合わせて、さらに他の実施形態に係る外輪11eが構成されている。
【0097】
次に、さらに他の実施形態に係る外輪11eを含む針状ころ軸受、およびこの針状ころ軸受を備える回転軸支持構造の構成について説明する。
図22および
図23は、さらに他の実施形態に係る外輪11eを含む針状ころ軸受、およびこの針状ころ軸受を備える回転軸支持構造の構成を示す断面図である。
図22は、各構成部材を分解した状態を示し、
図23は、各構成部材を組み合わせた状態を示す。
図22および
図23は、針状ころ軸受が支持する回転軸の回転軸線13に垂直な方向に延びる平面で切断した断面図である。すなわち、針状ころ軸受によって支持される回転軸は、紙面表裏方向に延びる構成である。
図22は、
図7に示す図に相当し、
図23は、
図8に示す図に相当する。
【0098】
図22および
図23を参照して、針状ころ軸受44eの構成について説明する。針状ころ軸受44eは、内径側に配置される回転軸45を回転可能に支持する。針状ころ軸受44eは、上記した構成の外輪11eと、外輪11eの内径面16e、16fに位置する軌道面上および回転軸45の外径面46上を転動する複数の針状ころ19と、複数の針状ころ19を保持する保持器47aとを備える。
【0099】
次に、回転軸支持構造の構成について説明する。回転軸支持構造51eは、上記した構成の針状ころ軸受44eと、針状ころ軸受44eに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52eとを含む。回転軸45は、紙面表裏方向に延びることとなる。ハウジング52eは、上側に位置するハウジング上部53eと、下側に位置するハウジング下部54eとを含む構成である。
【0100】
ハウジング上部53eは、外輪11eの外径面に当接する円弧面55eが内側に設けられた円弧部56eと、円弧部56eの両端部から外方側に延びる一対の平坦部57e、58eとを含む。円弧部56eおよび平坦部57e、58eは、所定の肉厚を有する。平坦部57e、58eにはそれぞれ、ハウジング上部53eとハウジング下部54eとをボルトによって締結させるためのボルト孔59e、60eが設けられている。ボルト孔59e、60eは、平坦部57e、58eを肉厚方向に真直ぐに貫通するように設けられている、平坦部57e、58eのうち、ハウジング下部54e側に位置する面、すなわち、
図22における紙面下側に位置する面は、平らな面61e、62eとなっている。
【0101】
ここで、ハウジング上部53eには、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部31eを受け入れる形状の第一の係合穴63eが設けられている。第一の係合穴63eは、一方側の平坦部57eの下側に位置する面61eおよび円弧面55eから外方側に凹むように設けられている。また、ハウジング上部53eには、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部34eを受け入れる形状の第一の係合穴84eが設けられている。第一の係合穴84eは、他方側の平坦部58eの下側に位置する面62eおよび円弧面55eから外方側に凹むように設けられている。
【0102】
ハウジング下部54eは、外輪11eの外径面に当接する円弧面64eが内側に設けられたブロック状のベース65eを備える。ベース65eのうち、円弧面64eを除いてハウジング上部53e側に位置する面、すなわち、
図22における紙面上側に位置する面は、平らな面66e、67eとなっている。平らな面66e、67eにおいて、ハウジング上部53eとハウジング下部54eとを組み合わせたときに、ボルト孔59e、60eに対応する領域には、ボルトを螺合可能なボルト孔68e、69eが設けられている。
【0103】
ハウジング下部54eには、第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部31fを受け入れる形状の第二の係合穴70eが設けられている。第二の係合穴70eは、ベース65eの上側に位置する面67eおよび円弧面64eから外方側に凹むように設けられる。第一および第二の係合穴63e、70eはそれぞれ、180°対向する位置に設けられている。また、ハウジング下部54eには、第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部34fを受け入れる形状の第二の係合穴84fが設けられている。第二の係合穴84fは、ベース65eの上側に位置する面66eおよび円弧面64eから外方側に凹むように設けられる。第一および第二の係合穴84e、84fはそれぞれ、180°対向する位置に設けられている。
【0104】
回転軸支持構造51eは、ハウジング上部53eとハウジング下部54eとの間に形成される空間において、回転軸45を支持するよう針状ころ軸受44eを組み込んで構成される。ハウジング上部53eとハウジング下部54eとは、ボルト孔59e、60e、68e、69eを利用して、ボルト71a、72aで締結され、固定される。具体的には、ボルト71a、72aをそれぞれボルト孔59e、60eに挿通させ、ボルト孔68e、69eに螺合させる。この場合、ハウジング上部53eの面61e、62eがそれぞれ、ハウジング下部54eの面66e、67eと当接することになる。また、ハウジング上部53eの円弧面55eが、外輪11eを構成する第一の分割外輪部材12eの外径面17eに当接し、ハウジング下部54eの円弧面64eが、外輪11eを構成する第二の分割外輪部材12fの外径面17fに当接することになる。
【0105】
ここで、針状ころ軸受44eは、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部31eを、ハウジング上部53eに設けられた第一の係合穴63eに係合させ、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部34eを、ハウジング上部53eに設けられた第一の係合穴84eに係合させ、第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部31fを、ハウジング下部54eに設けられた第二の係合穴70eに係合させ、第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部34fを、ハウジング下部54eに設けられた第二の係合穴84fに係合させて、ハウジング52eに組み込まれる。このようにして、回転軸支持構造51eは構成される。
【0106】
このような構成によれば、第一の分割外輪部材12eのうち、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12fと突合する周方向の端部14eの外形形状は、径方向から見た場合に、一方側幅面21eから他方側幅面22eに向かって針状ころ軸受44eの回転軸線13に対して傾斜して延びる第一の線23eと、他方側幅面22eから一方側幅面21eに向かって針状ころ軸受44eの回転軸線13に対して傾斜して延びる第二の線24eとを有し、周方向に隣り合う第二の分割外輪部材12fの周方向の端部15fと噛み合う形状であるため、傾斜して延びる第一の線23eおよび第二の線24eによって適切に噛み合い、隣り合う第一および第二の分割外輪部材12e、12f同士の軸方向の移動が規制される。すなわち、
図18および
図19中の矢印A
2で示す方向またはその逆方向への移動が規制される。この場合、第一の線23eおよび第二の線24eは、針状ころ軸受44eの回転軸線13に対して共に傾斜して延びるよう構成されているため、隣り合う第一および第二の分割外輪部材12e、12fの突合領域において、針状ころ19と突合する部分とが線接触するおそれを低減し、針状ころ19を円滑に転動させることができる。また、第一の分割外輪部材12eに設けられた一つの係合部31eをハウジング52e、具体的には、ハウジング上部53eに設けられた第一の係合穴63eに係合させ、第二の分割外輪部材12fに設けられた一つの係合部31fをハウジング52e、具体的には、ハウジング下部54eに設けられた第二の係合穴70eに係合させて、第一および第二の分割外輪部材12e、12fの回転を防止することができるため、二つ組み込まれる第一および第二の分割外輪部材12e、12fにおいて、第一および第二の分割外輪部材12e、12fの周方向の移動を規制することができる。この場合、第一の分割外輪部材12eについては、一方側の端部14eにおいては、係合部31eを一つ設けるのみでよく、他方側の端部15eにおいては、係合部34eを一つ設けるのみでよく、第二の分割外輪部材12fについては、一方側の端部14fにおいては、係合部31fを一つ設けるのみでよく、他方側の端部15fにおいては、係合部34fを一つ設けるのみでよい。また、それぞれの係合部31a、34e、31f、34fに対応する第一の係合穴63e、84eおよび第二の係合穴70e、84fも一つずつ設けるのみでよいため、安価な構成とすることができる。したがって、生産性が良好であり、ハウジング52e内に組み込まれた際における第一および第二の分割外輪部材12e、12fの適切な位置決めを行うことができる。
【0107】
この場合、係合部31e、34e、31f、34fは、外径側に折り曲げられて形成されているため、内径面16e、16f側に位置する針状ころ19の軌道面との繋ぎ目部分を、滑らかな曲面形状とすることができる。そうすると、針状ころ19の転動を滑らかにすることができ、振動や騒音の低減を行うことができる。
【0108】
なお、この針状ころ軸受11eを用いて、上記した
図9および
図10に示すハウジング52bの形態を採用することにしてもよい。
図24および
図25は、この場合における回転軸支持構造を示す断面図である。
図24は、各構成部材を分解した状態を示し、
図25は、各構成部材を組み合わせた状態を示す。
図24および
図25はそれぞれ、
図9および
図10に示す断面に相当する。なお、
図9および
図10等に示す構成部材と同じ構成部材については、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0109】
図24および
図25を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係る回転軸支持構造51gは、上記した構成の針状ころ軸受44eと、針状ころ軸受44eに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52bとを含む。ハウジング52bは、上側に位置するハウジング上部53bと、下側に位置するハウジング下部54bとを含む。
【0110】
ハウジング上部53bは、外輪11eの外径面に当接する円弧面55bが内側に設けられた円弧部56bと、円弧部56bの両端部から外方側に延びる一対の平坦部57b、58bとを含む。円弧部56bおよび平坦部57b、58bは、所定の肉厚を有する。平坦部57b、58bにはそれぞれ、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとをボルトによって締結させるためのボルト孔59b、60bが設けられている。ボルト孔59b、60bは、平坦部57b、58bを肉厚方向に真直ぐに貫通するように設けられている、平坦部57b、58bのうち、ハウジング下部54b側に位置する面、すなわち、
図24における紙面下側に位置する面は、平らな面61b、62bとなっている。
【0111】
ハウジング上部53bには、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部31eおよび第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部34fを受け入れる形状の第一の係合穴63bが設けられている。第一の係合穴63bは、円弧面55bの一部を外方側に凹むようにして設けられている。
図24に示す断面において、第一の係合穴63bを構成する壁面のうちの最も面61b側に位置する面73bと面61bとのなす角度C
1は、鋭角で示される。
【0112】
ハウジング下部54bは、外輪11eの外径面に当接する円弧面64bが内側に設けられたブロック状のベース65bを備える。ベース65bのうち、円弧面64bを除いてハウジング上部53b側に位置する面、すなわち、
図24における紙面上側に位置する面は、平らな面66b、67bとなっている。平らな面66b、67bにおいて、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとを組み合わせたときに、ボルト孔59b、60bに対応する領域には、ボルトを螺合可能なボルト孔68b、69bが設けられている。
【0113】
また、ハウジング下部54bには、針状ころ軸受44eへ潤滑油を供給するための潤滑油通油路74bが設けられている。潤滑油通油路74bは、ベース65bの下部領域から上方に向かって延び、さらに、円弧面64b側に向かって曲がって、円弧面64bの一部に開口穴75bを有するよう設けられている。開口穴75bは、ハウジング下部54bの面67bとは面せず、円弧面64bの一部を外方側に凹むようにして設けられている。
図24に示す断面において、開口穴75bを構成する壁面のうちの最も面67b側に位置する面76bと面67bとのなす角度C
2は、鋭角で示される。第一の係合穴63b、および開口穴75bはそれぞれ、180°対向する位置に設けられている。この潤滑油通油路74bを介して開口穴75bから針状ころ軸受44a側に潤滑油を通油させることができる。
【0114】
ここで、開口穴75bは、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部34eおよび第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部31fを受け入れる形状となるよう構成されている。すなわち、開口穴75bは、
図22に示す実施形態における第二の係合部70e、84eの機能を兼用する構成である。
【0115】
これについて説明すると、以下の通りである。
図26は、開口穴75bを
図24および
図25中の矢印D
1で示す方向から見た拡大図である。
図26を参照して、第一の分割外輪部材12eと第二の分割外輪部材12fとが突合した場合において、係合部31fと受け入れ凹部50eとの周方向および軸方向の間、および係合部34eと受け入れ凹部42fとの周方向および軸方向の間には、微小のすき間77gが形成される。このすき間77gを通って、ベース65b側から潤滑油通油路74bを利用して供給される潤滑油が、針状ころ軸受44e内に供給される。
【0116】
回転軸支持構造51gは、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとの間に形成される空間において、回転軸45を支持するよう針状ころ軸受44eを組み込んで構成される。ハウジング上部53bとハウジング下部54bとは、ボルト孔59b、60b、68b、69bを利用して、ボルト71a、72aで締結され、固定される。この場合、ハウジング上部53bの面61b、62bがそれぞれ、ハウジング下部54bの面66b、67bと当接することになる。また、ハウジング上部53bの円弧面55bが、外輪11aを構成する第一の分割外輪部材12eの外径面17eの一部および第二の分割外輪部材12fの外径面17fの一部に当接し、ハウジング下部54bの円弧面64bが、外輪11aを構成する第一の分割外輪部材12eの外径面17eの一部および第二の分割外輪部材12fの外径面17fの一部に当接することになる。
【0117】
ここで、針状ころ軸受44eは、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部31eおよび第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部34fを、ハウジング上部53bに設けられた第一の係合穴63bに係合させ、第一の分割外輪部材12eに設けられた係合部34eおよび第二の分割外輪部材12fに設けられた係合部31fを、ハウジング下部54aに設けられた第二の係合穴を兼用する開口穴75bに係合させて、ハウジング52bに組み込まれる。このようにして、回転軸支持構造51gは構成される。
【0118】
このような構成によれば、潤滑油を通油させるための開口穴を利用して、係合部を係合させているため、新たに係合穴を設ける必要がない。したがって、さらなる加工工数を減少させて、さらに安価な構成とすることができる。この場合、潤滑油は、軌道面の軸方向の中央側に供給されることになるため、針状ころ19のさらなる円滑な転動を図ることもできる。
【0119】
この場合、周方向において、ハウジング52bの分割部、すなわち、ハウジング上部53bとハウジング下部54bとが接触する部分と、第一および第二の分割外輪部材12e、12fの突合部分とを周方向においてずらすことができる。そうすると、突合部分をハウジング上部53bおよびハウジング下部54bの円弧面に適切に沿わせて、第一および第二の分割外輪部材12e、12fによって構成される外輪11eの真円度をより高くすることができる。したがって、さらなる針状ころ19の円滑な転動を図ることができる。
【0120】
なお、
図17に示す外輪、および
図14、
図15に示す一体型の保持器を用いた構成であってもよい。
図27は、この場合の針状ころ軸受を備える回転軸支持構造の断面図であり、
図25に相当する。
【0121】
図27を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係る回転軸支持構造51hは、上記した構成の第一および第二の分割外輪部材12e、12f、複数の針状ころ19、そして、上記した
図14および
図15に示す保持器47dを含む針状ころ軸受44hと、針状ころ軸受44hに回転可能に支持される回転軸45と、ハウジング52eとを含む。ハウジング52eは、上側に位置するハウジング上部53eと、下側に位置するハウジング下部54eとを含む。それぞれの構成部材については、上記した図に示す場合と同様であるので、それらの説明を省略する。このように構成してもよい。
【0122】
以上より、このような外輪、針状ころ軸受、および回転軸支持構造によると、生産性が良好であり、ハウジング内に組み込まれた際における分割外輪部材の適切な位置決めを行うことができる。
【0123】
なお、上記の実施の形態においては、ころとして針状ころを用いることとしたが、これに限らず、棒状ころ等、他のころを用いても構わない。
【0124】
また、上記の実施の形態においては、係合部は、分割外輪部材の周方向に突出する突出部を外径側に折り曲げて形成されるよう構成することとしたが、これに限らず、他の別部材として係合部を分割外輪部材の周方向の端部の外径面に取り付けることにしてもよい。また、内径面との繋ぎ目において、研磨等を行って滑らかさの向上を図ってもよい。
【0125】
なお、上記の実施の形態においては、外輪は、それぞれ略半円筒状である一対の二つ割り外輪を組み合わせて構成することとしたが、これに限らず、円筒状部材を周方向の任意の二箇所において切断した形状の分割外輪部材を、三つ以上組み合わせて外輪を構成することにしてもよい。
【0126】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。