特許第5961546号(P5961546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961546
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/02 20060101AFI20160719BHJP
   B65D 43/16 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B65D41/02 Z
   B65D43/16 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-284594(P2012-284594)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125244(P2014-125244A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
(72)【発明者】
【氏名】中尾 友樹
【審査官】 西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−168454(JP,U)
【文献】 特開2006−240730(JP,A)
【文献】 国際公開第03/095319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/02
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器の口部に装着される装着筒と、
前記口部の開口を覆い、ヒンジを介して前記装着筒に連結される蓋体と、
を備えるキャップであって、
前記ヒンジは、
該ヒンジにおけるキャップ軸回りに沿う周方向の中央部に位置する主ヒンジ部と、
該主ヒンジ部の、周方向の両側に位置する一対の副ヒンジ部と、を備え、
前記副ヒンジ部は、その前記主ヒンジ部側に位置する内側部分が、前記主ヒンジ部とは反対側に位置する外側部分よりも薄肉に形成され、
前記主ヒンジ部は、前記副ヒンジ部の外側部分より厚肉に形成されていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップであって、
前記副ヒンジ部の外側部分の両周端縁のうち、周方向に沿って前記主ヒンジ部とは反対側の外端縁は、周方向に沿って前記主ヒンジ部とは反対側へ向けて凸となる曲線状に形成されていることを特徴とするキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器の口部に装着される装着筒と、ヒンジを介して前記装着筒に連結される蓋体と、を備えたキャップが知られている。装着筒には、容器の口部内に連通する取出し孔が形成されている。取出し孔は、使用時までの容器内の密封性を確保するため、通常はキャップの製造時において抜栓部により開封可能に封止されており、この抜栓部は、使用時に除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表昭57−502163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のキャップでは、装着筒に対して蓋体を開けた状態に維持すること、並びに操作者に蓋体の開閉時の感触を得させやすくすることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、装着筒に対して蓋体を開けた状態に安定して維持し、操作者に蓋体の開閉時の感触を得させやすくすることができるキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明のキャップは、内容物が収容される容器の口部に装着される装着筒と、前記口部の開口を覆い、ヒンジを介して前記装着筒に連結される蓋体と、を備えるキャップであって、前記ヒンジは、該ヒンジにおけるキャップ軸回りに沿う周方向の中央部に位置する主ヒンジ部と、該主ヒンジ部の、周方向の両側に位置する一対の副ヒンジ部と、を備え、前記副ヒンジ部は、その前記主ヒンジ部側に位置する内側部分が、前記主ヒンジ部とは反対側に位置する外側部分よりも薄肉に形成され、前記主ヒンジ部は、前記副ヒンジ部の外側部分より厚肉に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のキャップでは、ヒンジ回りに、装着筒に対して蓋体を回動させ開いた状態とするときに、主ヒンジ部の周方向の両側に位置する副ヒンジ部が、装着筒と蓋体とが該副ヒンジ部付近において僅かに離間させられることに伴い、引っ張られ弾性変形させられる。
ここで、副ヒンジ部の内側部分は薄肉とされて弾性変形しやすいことから、蓋体をヒンジ回りに回動させやすい。一方、副ヒンジ部の外側部分は、内側部分より厚肉とされているため、周方向の外側から該内側部分の強度が確保されつつ、蓋体が回動させられて開状態となるときに大きな復元変形力(引張力)が生じることとなり、蓋体を開状態に安定して維持させやすくなっている。
また、副ヒンジ部の上述の構成及び機能により、蓋体をヒンジ回りに回動させる際の回動トルクが大きく変動しやすくなっており、蓋体が開いた状態となったこと、及び閉じた状態となったことを操作者に容易に認識させることができる。
さらに、主ヒンジ部が、副ヒンジ部の外側部分より厚肉に形成されて剛性が高くなっているので、蓋体を開いた状態とするときに、副ヒンジ部と比べて引張量が短い主ヒンジ部に大きな引張力を発生させることが可能になり、蓋体を開状態により一層安定して維持させることができるとともに、蓋体をヒンジ回りに回動させる際の回動トルクの変動量を大きく確保しやすくなり、蓋体が開いた状態になったこと、及び閉じた状態になったことを操作者に確実に認識させることができる。
【0008】
また、本発明のキャップにおいて、前記副ヒンジ部の外側部分の両周端縁のうち、周方向に沿って前記主ヒンジ部とは反対側の外端縁は、周方向に沿って前記主ヒンジ部とは反対側へ向けて凸となる曲線状に形成されてもよい。
【0009】
この場合、蓋体を開いた状態とするときに、ヒンジにおいて最も引っ張られる部分である副ヒンジ部の外側部分の外端縁が、前述のような曲線状に形成されているので、十分な伸び代を容易に確保しやすくなり、この部分が破れやすくなるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャップによれば、装着筒に対して蓋体を開けた状態に安定して維持し、操作者に蓋体の開閉時の感触を得させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るキャップを示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るキャップを示す背面図である。
図3図1及び図2のキャップを容器の口部に装着した状態を示す縦断面図である。
図4図1図3のキャップの要部を横断面として示す上面図である。
図5図1図4のキャップにおいて装着筒に対して蓋体をヒンジ回りに回動させて開いた状態(蓋体の開状態)を説明する側面図である。
図6】本発明のキャップの変形例(中栓付キャップ)を示しており、この中栓付キャップを容器の口部に装着、かつ一方側から見た縦断面図である。
図7図6の中栓付キャップの中栓を一方側から見た縦断面図である。
図8図6の中栓付キャップの中栓を他方側から見た半縦断面図である。
図9図6の中栓付キャップの中栓を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るキャップ1について説明する。
本実施形態のキャップ1は、液体等の内容物が収容される有底筒状の容器2の口部3に装着されて、該口部3を開閉可能に封止するものである。
図1図5に示されるように、キャップ1は、容器2の口部3に装着される装着筒4と、口部3の開口を覆い、ヒンジ5を介して装着筒4に連結される蓋体6と、を備えている。
図示の例では、装着筒4は、容器2の口部3に外挿されている。また、キャップ1は、蓋体6から垂下して設けられ、口部3内に嵌合するシール筒8を備えている。これらの装着筒4、ヒンジ5、蓋体6、及びシール筒8は、一体成形されている。
【0013】
ここで、容器2の口部3、装着筒4、蓋体6及びシール筒8の各中心軸線は、共通軸上に位置している。本明細書では、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿うキャップ1の蓋体6側を上側といい、上下方向に沿って蓋体6とは反対側を下側といい、キャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
まず、キャップ1が装着される容器2について説明する。
図3に示されるように、容器2の口部3には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状の突部9、10、11が、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、突部9〜11は3つ設けられており、これら突部9〜11のうち、最も下側に位置する下突部11は、最も上側に位置する上突部9、及び下突部11と上突部9との間に位置する中突部10と比べて径方向外側へ向けた突出量が大きくなっている。
また、口部3の上端部12は、上側へ向かうに従い漸次拡径するように径方向外側に向けて反っている。図3に示される縦断面視で、口部3の上端開口縁は、径方向外側へ向かうに従い漸次その厚さが薄くなる先鋭形状となっている。口部3の上端部12の表面のうち、上側を向く上面は、上側に向けて凸の曲面状に形成されている。
【0015】
装着筒4は、容器2の口部3における中突部10に外嵌し、該装着筒4の下端開口縁は、下突部11の上面に接近又は当接している。
図1及び図3に示されるように、装着筒4のうち、ヒンジ5が接続された後方部分は、周方向に沿う該後方部分以外の他の部分より、上下方向に沿う長さ(高さ)が大きくなっている。装着筒4の下端開口縁は全周にわたって、上下方向に沿う位置が同等になっている。そして、図3に示されるように、装着筒4の後方部分は、上突部9及び中突部10の双方に外嵌し、周方向に沿う該後方部分以外の他の部分は、中突部10にのみ外嵌している。
【0016】
具体的に、装着筒4の下端部には、径方向内側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起13、14が、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、環状突起13、14は2つ設けられ、これら環状突起13、14は、中突部10の径方向外側の端部を上下方向から挟むように配置されていて、中突部10に係合可能となっている。
【0017】
図示の例では、これら環状突起13、14のうち、中突部10にその下側から係合する環状突起14の径方向内側へ向けた突出量が、中突部10にその上側から係合する環状突起13の前記突出量よりも、大きくなっている。このような構成により、装着筒4は、容器2の口部3にアンダーカット嵌合されている。
なお、本実施形態では、装着筒4の内周面に、上突部9に係合可能な突起は設けられていないが、このような突起が設けられていてもよい。
【0018】
蓋体6は、有頂筒状をなしており、天壁6aと、周壁6bと、天壁6aに設けられるシール筒8と、周壁6bに設けられる開閉操作片6cと、を有している。
天壁6aは、円板状をなしており、シール筒8は、天壁6aの下面に突設されている。
シール筒8の外周面における下端部は、下側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ状に形成されており、図3に示されるような縦断面視で、シール筒8の下端部は、下側に向かうに従い漸次その厚さが薄くなる先鋭形状とされている。
【0019】
また、蓋体6が閉じられた状態で、シール筒8は、容器2の口部3の上端部12内に嵌合しており、該口部3の上端部12の上面は、天壁6aの下面のうち、シール筒8の径方向外側に位置する部分に当接又は接近している。なお、図示の例では、口部3の上端部12の径方向外側の端部と、周壁6bと、の間には隙間が設けられている。
【0020】
図1及び図3に示されるように、蓋体6の周壁6bのうち、ヒンジ5が接続された後方部分は、周方向に沿う該後方部分以外の他の部分より、上下方向に沿う長さ(高さ)が小さくなっている。そして、図3に示されるように、周壁6bのうち、前記後方部分は、容器2の口部3の上突部9より上方に位置し、前記他の部分が、容器2の口部3の上突部9に外嵌している。
また、周壁6bの下端部のうち、キャップ軸Oを径方向に挟む前記後方部分の反対側に位置する部分には、径方向外側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる開閉操作片6cが形成されている。本実施形態では、開閉操作片6cが矩形板状又は円弧板状をなしている。
また、周壁6bの前記他の部分における下端部には、径方向内側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる突起16が形成されている。本実施形態では、突起16は、周壁6bの前記他の部分における下端部のうち、開閉操作片6cを周方向の両側から挟む位置に各別に形成されている。
【0021】
図1図2及び図4に示されるように、ヒンジ5は、該ヒンジ5における周方向の中央部に位置する主ヒンジ部17と、主ヒンジ部17の周方向の両側に位置する一対の副ヒンジ部18と、を備え、弾性変形可能に形成されている。
主ヒンジ部17の内外周面は、蓋体6の周壁6bの内外周面及び装着筒4の内外周面と面一とされていて、主ヒンジ部17、蓋体6の周壁6b及び装着筒4それぞれの肉厚は互いに同等になっている。
【0022】
副ヒンジ部18は、主ヒンジ部17側に位置する内側部分20と、主ヒンジ部17とは反対側に位置する外側部分21と、を有している。
そして、図4に示されるように、副ヒンジ部18の内側部分20の肉厚は、外側部分21の肉厚よりも薄肉に形成されている。
【0023】
副ヒンジ部18の内周面は、蓋体6の周壁6b、装着筒4及び主ヒンジ部17の各内周面と面一とされている。
一方、副ヒンジ部18の外周面は、該副ヒンジ部18の周囲に位置する部位(周壁6b、装着筒4及び主ヒンジ部17)の外周面よりも窪まされており(径方向内側に後退させられており)、これにより副ヒンジ部18は、蓋体6の周壁6b、装着筒4及び主ヒンジ部17よりも薄肉となっている。
ここで、主ヒンジ部17の表面のうち、周方向を向く側端面19は、図4に示されるような横断面視で、副ヒンジ部18の内側部分20の外周面からほぼ垂直に立ち上がっている。
また、副ヒンジ部18の外周面のうち、内側部分20は外側部分21よりも窪まされていて、これにより内側部分20は外側部分21よりも薄肉となっている。
【0024】
図2に示される背面視で、副ヒンジ部18における内側部分20と外側部分21との境界線をなす段部は、周方向に沿って主ヒンジ部17とは反対側へ向けて凸となる曲線状に形成されている。
なお、副ヒンジ部18の前記段部は、周方向に沿って主ヒンジ部17側へ向けて凸となる曲線状に形成されていても構わない。
【0025】
さらに本実施形態では、副ヒンジ部18の外側部分21の両周端縁のうち、周方向に沿って主ヒンジ部17とは反対側の外端縁21aは、周方向に沿って主ヒンジ部17とは反対側へ向けて凸となる曲線状に形成されている。この外側部分21の外端縁21aは、蓋体6の周壁6bに、破断可能なヒンジ弱化部22を介して連結されている。
なお、外側部分21の外端縁21aは、周方向に沿って主ヒンジ部17側へ向けて凸となる曲線状に形成されていても構わない。
また、外側部分21の上端と蓋体6の周壁6bとの接続部分、及び外側部分21の下端と装着筒4との接続部分はそれぞれ、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、外側部分21における上下方向の内側に向けて延在している。
内側部分20の上端と蓋体6の周壁6bとの接続部分、及び内側部分20の下端と装着筒4との接続部分はそれぞれ、径方向に沿って延在している。
【0026】
蓋体6の周壁6b及び装着筒4それぞれにおける前記他の部分同士は、周方向に沿って延びる破断可能な主弱化部24、並びに主弱化部24の両周端とヒンジ弱化部22とを各別に接続する破断可能な一対の副弱化部25により連結されている。
副弱化部25は、主弱化部24の周端から周方向に沿ってヒンジ5側の後方に向かうに従い漸次上側に向けて延びる傾斜部と、該傾斜部の上端とヒンジ弱化部22の下端とをつなぎ上下方向に延びる垂直部と、を備えている。なお、副弱化部25の形状は、図示の例に限定されるものではなく、例えば曲線状等に形成されていてもよい。
【0027】
装着筒4には、主弱化部24における一方の周端と、副弱化部25と、の接続部分から下側に向けて延在し、装着筒4の下端開口縁に至る破断可能な分別弱化部28が形成されている。分別弱化部28を破断することで、装着筒4が周方向に分断される。分別弱化部28は、このキャップ1を容器2の口部3から分別する際に使用する目的で設けられている。分別弱化部28は、主弱化部24の両周端部のうち少なくとも一方から、装着筒4の下端開口縁に至っていればよく、その形状や配置、数は図示される例に限定されない。
【0028】
次に、容器2の口部3に装着されたキャップ1を開封する手順について説明する。
【0029】
まず、操作者が、開閉操作片6cを装着筒4に対して引き上げ、蓋体6を装着筒4に対してヒンジ5回りに回動させることにより、主弱化部24、副弱化部25及びヒンジ弱化部22が破断され、蓋体6が開かれるとともに、キャップ1が開封される。
ここで、蓋体6を開いていく初期の段階では、蓋体6のうち副ヒンジ部18の上端に連結された第1連結部分と、装着筒4のうち副ヒンジ部18の下端に連結された第2連結部分と、が互いに離間されていくのに伴い、副ヒンジ部18が引っ張られ弾性変形する。これにより、蓋体6を開く初期段階では、蓋体6をヒンジ5回りに回動させるために必要な回動トルクが漸次大きくなる。そして、蓋体6の回動が所定位置を越えた後は、蓋体6の第1連結部分と、装着筒4の第2連結部分と、が互いに接近されていくとともに、副ヒンジ部18が復元変形することで、回動トルクを付与することなく蓋体6が勢いよく開かれるようになっている。このような作用により、図5に示されるキャップ1の姿勢で、蓋体6が開いた状態が維持される。
【0030】
以上説明した本実施形態のキャップ1では、副ヒンジ部18の内側部分20が、薄肉とされて弾性変形しやすいことから、蓋体6をヒンジ5回りに回動させやすい一方で、副ヒンジ部18の外側部分21が、内側部分20より厚肉とされているため、周方向の外側から該内側部分20の強度が確保されつつ、蓋体6が回動させられて開状態となるときに大きな復元変形力(引張力)が生じることとなり、蓋体6を開状態に安定して維持させやすくなっている。
また、副ヒンジ部18の上述の構成及び機能により、蓋体6をヒンジ5回りに回動させる際の回動トルクが大きく変動しやすくなっており、蓋体6が開いた状態となったこと、及び閉じた状態となったことを操作者に容易に認識させることができる。
【0031】
さらに、主ヒンジ部17が、副ヒンジ部18の外側部分21より厚肉に形成されて剛性が高くなっているので、蓋体6を開いた状態とするときに、副ヒンジ部18と比べて引張量が短い主ヒンジ部17に大きな引張力を発生させることが可能になり、蓋体6を開状態により一層安定して維持させることができるとともに、蓋体6をヒンジ5回りに回動させる際の回動トルクの変動量を大きく確保しやすくなり、蓋体6が開いた状態になったこと、及び閉じた状態になったことを操作者に確実に認識させることができる。
また、蓋体6を開いた状態とするときに、ヒンジ5において最も引っ張られる部分である副ヒンジ部18の外側部分21の外端縁21aが、前述のような曲線状に形成されているので、十分な伸び代を容易に確保しやすくなり、この部分が破れやすくなるのを防ぐことができる。
【0032】
本実施形態では、抜栓部の代わりに、容器2の口部3内に嵌合するシール筒8が垂下された蓋体6が設けられており、使用時には、この蓋体6を開けることでキャップ1が開封される。
従って、従来のように使用時にプルトップを引き上げて抜栓部を除去するような抜栓作業が必要ない。
また、本実施形態では、蓋体6及びシール筒8が、容器2の口部3を直接シールする構成となっているので、シール性が高められているとともに、キャップ1製造時のシール機能の管理リスクが低減される。
【0033】
また、装着筒4と蓋体6とが、ヒンジ5、主弱化部24、副弱化部25及びヒンジ弱化部22により、全周にわたって隙間なく互いに接続されているので、例えば容器2に加熱した内容物を充填した後冷却する時など、キャップ1装着後の容器2の内圧が変動することがあっても、該キャップ1の蓋体6が開くようなこと(蓋開き現象)や、蓋体6と装着筒4との間を通して容器2外部から水などが容器2内に吸い込まれるようなこと(水吸い込み現象)が防止される。
【0034】
そして、このキャップ1は、装着筒4、ヒンジ5、蓋体6、及びシール筒8が一体成形されており、この成形時には、装着筒4に対して蓋体6が閉められた姿勢となっている。従って本実施形態では、従来のように成形後に装着筒に対して蓋体を閉めた状態に組み立てる工程が不要であり、製造工程を簡略化できる。
また、従来のような抜栓部が不要であるので、その分の樹脂量を削減できるとともに、製造コストが削減される。
【0035】
また、装着筒4が、容器2の口部3にアンダーカット嵌合されているので、キャップ1の構造をより簡略化でき、容器2の口部3に対するキャップ1の装着作業も容易となる。
またこの構成によれば、容器2の口部3に対するキャップ1の密封性を確実に高めることができる。なお、装着筒4は、容器2の口部3に螺着されることとしても構わない。
【0036】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、前述の実施形態では、容器2の口部3に対してキャップ1のみが装着される構成について説明したが、これに限定されるものではなく、該キャップ1に中栓(移行中栓)を装着した中栓付キャップ(移行中栓付キャップ)として、容器2の口部3に装着してもよい。
【0038】
ここで、図6は、前述の実施形態で説明したキャップ1に中栓31を装着してなる中栓付キャップ30を示す本発明の変形例であり、図7図9は、その中栓31を示している。中栓31は、キャップ1と同軸に配設されている。なお、以下の説明では、前述した実施形態と比較して異なる構成についてのみ説明する。
図6において、容器2の口部3の上端部32は、上下方向にほぼ真っ直ぐ延在していて、この上端部32に、径方向外側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起33が形成されている。
【0039】
図7図9において、中栓31は、注出筒34と、カバー筒35と、を備えている。
注出筒34は、有底筒状をなしており、周壁34aと、注出口34cが形成された底壁34bと、を有している。図6に示されるように、中栓付キャップ30が容器2の口部3に装着された状態で、周壁34aは、口部3の上端部32内に嵌合しており、また該周壁34a内には、蓋体6のシール筒8が嵌合している。
【0040】
周壁34aのうち、口部3より上側に位置する上端部36は、上側へ向かうに従い漸次拡径するように径方向外側に向けて反っている。図6に示される縦断面視で、該周壁34aの上端開口縁は、径方向外側へ向かうに従い漸次その厚さが薄くなる先鋭形状となっている。周壁34aの上端部36の表面のうち、上側を向く上面は、上側に向けて凸の曲線面状に形成されている。周壁34aの上端部36の上面は、蓋体6の天壁6aの下面のうち、シール筒8の径方向外側に位置する部分に当接又は接近している。
【0041】
図7及び図8において、底壁34bは、周壁34aの下端部から下側へ向かうに従い漸次縮径する椀状をなしており、その下端に注出口34cが形成されている。この変形例では、注出口34cは、長孔形状とされているが、これに限定されるものではない。
【0042】
図7に示される縦断面視で、カバー筒35は、周壁34aのうち、上端部36の下側に位置する部分に、径方向外側へ向かうに従い漸次下側へ向かうように突設されている。カバー筒35の下端部には、径方向内側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起37が形成されており、図6において、カバー筒35の環状突起37は、口部3の上端部32の環状突起33に対して下側から係合している。
また、カバー筒35の下端部には、径方向外側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ38が形成されており、図6において、フランジ38は、蓋体6の周壁6b及び装着筒4に当接している。
【0043】
図6図9を用いて説明した中栓付キャップ30によれば、注出筒34の周壁34aが口部3の上端部32内に嵌合し、かつシール筒8が注出筒34の周壁34a内に嵌合しているので、容器2内の密封性を確実に確保することができる。
【0044】
前記実施形態では、蓋体6にシール筒8を設けたが、シール筒8を設けなくてもよく、蓋体6の周壁6b及び装着筒4それぞれにおける前記他の部分同士を、主弱化部24及び副弱化部25により連結しなくてもよい。
前記実施形態に代えて、例えば、蓋体6の周壁6b及び装着筒4それぞれにおける前記他の部分同士を全周にわたって、切除可能とされた接続片により接続してもよい。
また、キャップに、容器2の口部3の開口を閉塞し、かつ内容物の注出孔が形成された閉塞板と、閉塞板に除去可能に連結され注出孔を封止する抜栓部と、を配設してもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 装着筒
5 ヒンジ
6 蓋体
8 シール筒
17 主ヒンジ部
18 副ヒンジ部
20 内側部分
21 外側部分
21a 外端縁
O キャップ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9