【実施例3】
【0048】
図3は、各ステップにて放射能濃度により分別した後に、判断ステップを設けた処理フロー図である。
【0049】
図3において、最終的な再利用・処分方法の中で、経済的には再利用が一番大きいメリットである。一方で、「ステップ101」で再利用不適と判断され、「ステップ102」で産廃処分場への処分可と判断された汚染土壌について、産廃処分場へ処分するよりも安価なコストで、除染できて「一般分野で再利用」に適用させることが出来るのであれば、そのようにした方が合理的である。
【0050】
本実施例では、この様な判断を「ステップ108」で入れた例である。これは、最終的な対処方法(再利用、産廃処分場、最終処分場)の選定に当っては対処方法のコストとその区分となるまでの処理コスト(除染、減衰他)も加味して判断する必要があるためである。
【0051】
汚染土壌の放射能濃度分布(
図4)にもとづいて、それぞれの対処方法に区分される汚染土壌等の量について検討する。
【0052】
8,000Bq/kg以下の汚染土壌は一般作業廃棄物処分場(産廃処分場)に処分が可能で、3,000Bq/kg以下の汚染土壌はある条件(覆土厚さ条件など)のもとで再利用が可能とした場合について検討する。また、処理の基本フローは
図1をもとに検討するものとする。
[3000Bq/kg以下の汚染土壌等の処理]
図4は汚染土壌の放射能濃度分布推定を示すグラフである。
【0053】
図4において、先ず初めに、汚染土壌等を放射能濃度の測定により3,000Bq/kg以下のものと、それ以上の放射能濃度のものとに分別する。3,000Bq/kg以下のものは再利用が可能である。
【0054】
「ステップ102」では、8,000Bq/kg以下の汚染土壌等を分別する。この汚染土壌等は産廃処分場への処分が可能である。
【0055】
「ステップ103」は、8,000Bq/kg以上の汚染土壌をどのように8,000Bq/kg以下とするかの処理プロセスとなる。
【0056】
図4は現時点での福島県内のエリアの空間線量率をもとにして推定した汚染土壌の放射能濃度分布図であって、主要核種は、Cs-137,Cs-134で半減期が2年以上なので短期間に大幅な放射能の減衰は期待できない。
【0057】
分布の中央値は、10000Bq/kgで放射能濃度が高い側にブロードな形の分布図となっている。これは、面積は限られているものの、高線量のエリアが存在するためである。現時点で推定される3000Bq/kg以下および8000Bq/kg以下の占める割合を
図5に示す。
【0058】
図5は8000Bq/kg以下の占める割合を示した汚染土壌の放射能分布推定のグラフである。
【0059】
図5において、3000〜8000Bq/kgの汚染土壌等だけでも全体の3割近くにも達する。この量をすべて産業廃棄物処分場に処分することは容量的に難しく現実的な対応ではなく、可能な限り再利用可能な3,000Bq/kg以下へ放射能濃度を下げることが求められる。
【0060】
図6は汚染土壌等に除染係数2の除染(DF=2)処理を行った場合の範囲を示すグラフ。
【0061】
図7は汚染土壌等に5年間の減衰を行った場合の土壌の範囲を示すグラフ。
【0062】
図6、
図7においては、「ステップ103」にて、それぞれ汚染土壌等に除染係数2の除染(DF=2)処理、ないしは5年間の減衰を行った場合の“〜3,000Bq/kg”、”3,000〜8,000Bq/kg”の土壌の範囲を示したものであ
る。いずれの場合にも汚染土壌等の放射能濃度は約半分に低下するので、境界値は現時点での放射能濃度で約6,000Bq/kg以下、16,000Bq/kg以下となる。
【0063】
このため、再利用可能ないしは産業廃棄物処分場への処分が必要な対象範囲が大きく拡大し、“〜3,000Bq/kg”が全体の約2割、”3,000〜8,000Bq/kg”が全体の約2割と増加する。特に、“〜3,000Bq/kg”の割合は当初の約0.5割から4倍の約2割と大幅に増加し、その効果は大きい。また、合計では4割強の汚染土壌を再利用ないしは簡易処分が可能となり、約半分近くの汚染土壌を処置できるため、その効果は大きい。
【0064】
図8は除染(DF=2)処理を実施しさらに5年間減衰させた場合を示したグラフである。
【0065】
図8において、除染(DF=2)処理を実施しさらに5年間減衰させた場合を示している。この場合にはこれらを合わせた効果により放射能濃度は約1/4に減少するので、境界値は現時点での放射能濃度で約12,000Bq/kg以下 , 32,000Bq/kg以下となる。
【0066】
これらの処理後に「〜3000Bq/kg以下」は約4割、「3000〜8000Bq/kg以下」は約2割と、該当する割合はさらに拡大する。特に、「〜3000Bq/kg以下」となる再利用可能対象物は分布図の中央値を内包するため、さらに大きく拡大する。
【0067】
図9は、除染(DF=2)を実施しさらに30年間減衰させた場合の放射能濃度の結果を示したグラフである。
【0068】
図9において、この場合には、放射能は当初の約1/8に減少する。特に、「〜3000Bq/kg以下」の対象範囲が汚染土壌発生分布の中央値を大きく超えるので、全体の約6割にも及び、かなりの量の汚染土壌を再利用可能とすることができ、効果が非常に大きくことが分かる。また「3000〜8000Bq/kg以下」は約1割と割合は減少する。このことから、DF=8以上の放射能低減を行うことは、3,000Bq/kg以下の汚染土壌の割合が大幅に増加し、非常に効果が大きいことが分かる。除染係数DFを大きくする為には、処理コストも当然上昇することを勘案すると、
図9のグラフが、3〜40,000Bq/kg近傍に変曲点を有することから、DF=〜10程度までが非常に効果が大きいことが分かる。
【0069】
以上の例では、放射能低減の為の処理コストについては検討対象としていないが、放射能濃度が高くなると、つまり大きなDFを得る為には処理コストが高くなることを勘案すれば、前述のようにDF=8〜10程度がひとつの区分範囲と考えられる。
【0070】
全体処理フローの
図2で言うところの高線量処理ラインの対象となる放射能濃度は、3〜40,000Bq/kg以上とするのが合理的と考えられる。また、運用的には、低線量用処理ラインの対象となる3〜40,000Bq/kg以下の汚染土壌について、粗分別をして処理対処とすることもコスト効果的には合理的である。
【0071】
次に、汚染土壌等の放射能濃度の条件を、空間線量率への寄与を1mSv/年以下となる値に区切った場合について検討する。年間被ばく線量を1mSv/Yとは、以下の仮定のもとで算出するものとする。
・8時間を屋外で過ごし、のこり16時間を屋内で過ごす。
・屋内での空間線量率は、屋外の40%とする。
・自然由来の放射性核種による空間線量率は、0.04mSv/Yとする。
【0072】
以上の条件から、1mSv/年となる空間線量率は、0.23μSv/hrとなる。
【0073】
(0.23μSv/hr-0.04μSv/hr)×(8hr+16h×0.4)×365日÷1000mSv/μSv=1mSv/Y
この0.23μSv/hrのなる時の、土壌の放射能濃度は約1,300Bq/kgとなる。
【0074】
このことより、1,300Bq/kg以下の汚染土壌等は再利用可能、この二倍の2,600Bq/kg以下の汚染土壌等は産業廃棄物処分場などにおいて簡易処分が可能とした場合について以下検討する。
【0075】
先ず初めに、汚染土壌等を放射能濃度の測定により1,300Bq/kg以下のものと、それ以上の放射能濃度の汚染土壌等に分別する。1,300Bq/kg以下のものは再利用が可能である。つぎの「ステップ102」では2,600Bq/kg以下の汚染土壌等を分別する、この汚染土壌等は産廃処分場などへの簡易処分が可能である。「ステップ103」では2,600Bq/kg以上の汚染土壌等をどのようにして放射能濃度を下げるかという処理プロセスとなる。
【0076】
図10は1,300Bq/kg以下のものと2,600Bq/kg以上の土壌の範囲を示すグラフである。
【0077】
図10において、グラフに示すように、この段階では1,300Bq/kg以下のものは全体の約1%程度、2,600Bq/kg以上のものでも約5%程度と、全体からすると非常に少ない割合である。また、このように特に放射能濃度の低い値を測定する場合には、表面線量率などにて前段で粗分別にて分けて置く事くことにより放射能濃度の高いものと低いものとの混合(コンタミ)の回避や、明らかに基準値以上の汚染土壌等を測定対象外することができ、放射能濃度の測定や分別の作業を合理的に行うことができる。
【0078】
図11は〜1,300Bq/kgの土壌の範囲を示すグラフである。
【0079】
図12は1,300〜2,600Bq/kgの土壌の範囲を示すグラフである。
【0080】
図11と
図12において、本図では「ステップ103」にて、それぞれ汚染土壌等に除染係数2の除染処理ないしは5年間の減衰(除染係数2に相当)をした場合の、”〜1,300Bq/kg”、”1,300〜2,600Bq/kg”の土壌の範囲を示した。
【0081】
いずれの場合も、汚染土壌等の放射能濃度は半分に低下するので、それぞれの境界値は現時点での放射能濃度で”〜2,600Bq/kg”、”2,600〜5,200Bq/kg”となり、それぞれの割合は全体の約5%、約10%となり合計で約15%が再利用ないしは簡易処分の対象となる。しかし、割合的にはまだ少なくさらなる除染が必要である。
【0082】
図13は除染(DF=2)処理を実施しさらに5年間減衰させた場合のグラフである。
【0083】
図13において、除染(DF=2)処理を実施しさらに5年間減衰させた場合には、合計DF=4となり放射能濃度は1/4に低減されるが、この低減方法は前記の方法に限らず、どのような方法でもよい。
【0084】
このような処置により境界値は現在の放射能濃度で”〜5,200Bq/kg”、”5,200〜10,400Bq/kg”となり、それぞれの割合は全体の約15%、約20%弱となり合計で約35%が再利用ないしは簡易処分の対象となる。しかし、対象範囲はまだ分布図の中央値を十分に内包しておらず、さらなる除染が効果的であることが分かる。
【0085】
図14は除染(DF=2)処理を実施しさらに30年間減衰させた場合のグラフである。
【0086】
図14において、除染(DF=2)処理を実施しさらに30年間減衰させた場合には、合計DF=8となり放射能濃度は1/8に低減されるが、この低減方法は前記の方法に限らず、どのような方法でもよい。このような処置により境界値は現在の放射能濃度で”〜10,400Bq/kg”、”10,400〜20,800Bq/kg”となり、それぞれの割合は全体の約35%、約20%弱となり合計で約55%が再利用ないしは簡易処分の対象となる。この場合には、対象範囲は分布図の中央値を十分に内包しており、さらに再利用可能な割合が全体の1/3以上となっており前記の処置の効果が大きいことが分かる。
【0087】
上記の説明では汚染土壌の放射能濃度低減のために、除染や保管減衰の例を示したが、放射能低減の方法はこれらの組み合わせ例だけに限るものではなく、放射能濃度を低減できれば、除染のみないしは貯蔵減衰のみでも良い。
【0088】
境界値条件がそれぞれ3,000Bq/kg, 8,000Bq/kgであった例と境界値条件が低く厳しい今回の上述の例とを比べてもDF=8の処置を実施することにより、それぞれ約7割ないしは約6割弱の汚染土壌等が、再利用ないしは簡易処分の対象となったことから、除染処置の効果としてはDF=〜10程度までが効果が非常に大きいことが分かる。
【0089】
つまり、残った約3〜4割程度の放射能濃度が高い汚染土壌等に対して、より高価であるが、より除染効果の大きな処置(除染方法)を施すのが合理的である。除染処置は、低級な(DF値が小さな)方法から適用していくのが合理的である。これは、放射能濃度の低い汚染土壌等には高価で除染効果の大きな処置は必要ないからで、そのためにも汚染土壌等の放射能濃度を測定して分別しその汚染土壌等に適した処置(除染等)を施すことが好ましい。
【0090】
以上のごとく本発明によれば、原子力発電所事故等により原子力発電所外周辺地の土壌や草木等が放射能で汚染され場合の管理および処理・処分を合理的に行うことができるため、除染に要するコストを大幅に低減することができる。
【0091】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されたものではない。またある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、またある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。