(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
(液体噴霧容器の構成)
図1に示すように、液体噴霧容器(液体吐出容器)1は、有底筒状に形成された容器本体10を備えている。容器本体10は、胴部11及び底部と、外周面に雄ねじが設けられた口部12と、で有底筒状に形成されており、内部に内容液が充填されている。
なお、以下では、容器本体10の中心軸を容器軸Oと称し、この容器軸O方向に沿って口部12側を上側、底部側を下側と称し、この容器軸O方向に沿った方向を上下方向と称する。また、容器軸Oに直交する方向を径方向と称し、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0015】
容器本体10の口部12には、下端の吸込み口21aがこの口部12から容器本体10内に挿入された上記シリンダ20が固定されている。図示の例では、シリンダ20は、容器軸Oと同軸に配置された多段の筒状に形成され、下から順に第1筒部21、第2筒部22、第3筒部23、第4筒部24が連設されており、これら各筒部は上位に位置するものに従って内径及び外径がそれぞれ大きくなっている。
第4筒部24の上下方向における略中央からは、ネジ筒部25が外側下方に延びている。このネジ筒部25の内周面には雌ねじが設けられており、シリンダ20は、ネジ筒部25を容器本体10の口部12に螺合して容器本体10に固定されている。なお、口部12の上端面とネジ筒部25との間にはパッキン13が挟装されている。
【0016】
第1筒部21と第2筒部22との間には、環状の弁座部26が設けられており、第3筒部(シリンダの周壁)23の下端には複数の等圧孔27が開口している。
第1筒部21の内側は、前記吸込み口21aとなっていて、第1筒部21内には、下端を容器本体10の底部近傍に延ばした吸込管28が嵌着されている。
【0017】
また、第1筒部21の上端、即ち第2筒部22の下端には吸込弁29が取り付けられている。吸込弁29は、弁座部26に当接離反可能な弁体29aを有し、弁体29aが弁座部26に着座して閉弁となり、弁座部26から上方に離反して開弁となる。
【0018】
第2筒部22の内側には、筒状のスリーブ30が固定されている。スリーブ30は、下部を大径筒部30aとすると共に、上部を小径筒部30bとしており、小径筒部30bは、大径筒部30aよりも内径が小さい。小径筒部30bの上端からは、シール筒部30cが上方に起立している。また、小径筒部30bの上端は、第2筒部22の上縁に掛止されており、シール筒部30cは、等圧孔27から離間して配されている。
【0019】
図示の例では、シール筒部30cの上端の位置は、第3筒部23の上端の位置と一致している。更に、シール筒部30cの上端部には、複数の溝部30dが周方向に間隔をあけて形成されている。なお、スリーブ30はシリンダ20の一部をなしている。
【0020】
第4筒部24のほぼ上半分の内周面には、周方向に等しい間隔をあけて断面半円形の縦溝31が複数設けられており、第4筒部24の外周面には、係合突起24aが外方に突出して設けられている。第4筒部24の外側には、容器軸Oと同軸に配置された回動環40が周方向に回動可能で上下方向に移動不能に取り付けられている。
【0021】
上記回動環40は上端にネック筒部41を有し、ネック筒部41の下部に、上部に吐出弁51が設けられ、下部開口がシリンダ20内に位置する吐出管50が固定されている。
【0022】
上記吐出弁51は、吐出管50の上部開口を塞ぐように取り付けられている。また、吐出弁51は、入口管52と出口管53と弁体54とスプリング55とを主要構成とし、入口管52が吐出管50に連通している。
出口管53の上端には、吐出弁51に連結され下方に押し下げ可能になっていて押し下げ動作により吐出弁51を開弁させて噴霧ノズル(吐出口)56aから内容液を噴出可能な噴霧ヘッド(吐出ヘッド)56が固定されている。
【0023】
図示の例では、噴霧ヘッド56は、ネック筒部41に、このネック筒部41の外周面に沿って下降可能に外嵌されている。また、噴霧ヘッド56の外周面に設けられた前記噴霧ノズル56aは、噴霧ヘッド56内に設けられた通路を介して出口管53内に連通している。
【0024】
スプリング55は、出口管53を上方に付勢して弁体54を閉弁位置に位置させている。この吐出弁51においては、噴霧ヘッド56を下方に押して出口管53をスプリング55の弾性に抗して押し下げると、弁体54が開弁して入口管52と出口管53とが連通し、その結果、噴霧ノズル56aが吐出管50に連通するようになっている。そして、噴霧ヘッド56から手を離すとスプリングバックして弁体54が閉弁位置に復帰するようになっている。
吐出管50は、容器軸Oと同軸に配置されていると共に先部がシリンダ20内に挿入されており、その先端がシリンダ20の第3筒部23の内側に配されている。
【0025】
シリンダ20と吐出管50との間には、容器軸Oと同軸に配置された筒状のプランジャ60が吐出管50に液密に外嵌して上下摺動可能に取り付けられている。プランジャ60は、駆動筒部61とスカート部62とを備えている。
駆動筒部61は、下筒部63と、上筒部64と、これらを連結する環板部65とを有し、環板部65は下筒部63よりも若干内方に延びて、その内端縁が上下両方向に突出している。
【0026】
下筒部63の外径は、スリーブ30の小径筒部30bの内径よりも若干小径となっている。下筒部63の外周面には、下方に向けて開口すると共に上下方向に延在する連通溝63aが形成されている。
なお、連通溝63aは、下筒部63の外周面に1つのみ形成されていても良く、また、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されていても良い。また以下では、下筒部63において上下方向に沿って連通溝63aが形成されている部分を下筒部63の下側部分と称し、下筒部63において前記下側部分よりも上側の部分を上側部分と称する。
【0027】
下筒部63の内側には、スカート部62が固定されている。スカート部62は、下筒部63に内嵌固定された支持筒部66と、支持筒部66から外方に且つ下方に延びるシール脚筒部67と、支持筒部66の下方延長上に延びる複数の押さえ脚部68、とを備えている。
【0028】
支持筒部66の内径は、環板部65の内径と同径に形成されていて、吐出管50の外径よりも僅かに大径にされている。支持筒部66の上部内縁端と環板部65の下向き内縁端との間にはゴム製のシールリング69が挟装されており、シールリング69は、駆動筒部61とスカート部62と吐出管50との間を液密にシールしつつ、吐出管50の外周面を圧接摺動するようにされている。
【0029】
シール脚筒部67は、駆動筒部61の下筒部63の下方に配されていて外径が該下筒部63の外径とほぼ同径に形成されている。シール脚筒部67の下端部は、下方に向かって拡径するテーパー筒部67aにされている。テーパー筒部67aの下端外径は、スリーブ30の大径筒部30aの内径よりも小径で、テーパー筒部67aと大径筒部30aとの間に隙間があいている。また、前記下端外径は、小径筒部30bの内径とほぼ同径か若干大径とされ、テーパー筒部67aは、小径筒部30bの外周面を圧接摺動するようにされている。
【0030】
押さえ脚部68は、隣り合う押さえ脚部68の間に隙間を有して形成されており、各押さえ脚部68は、プランジャ60が最下限位置に位置した時に吸込弁29の弁体29aを上から押圧し、弁座部26と協働して弁体29aの開弁を阻止するようにされている。
また、シリンダ20と吸込弁29と吐出管50とプランジャ60とによって囲まれた空間は加圧室93とされている。
【0031】
回動環40とプランジャ60との間には、回動環40のシリンダ20に対する回転動作をプランジャ60のシリンダ20に対する上昇動作に変換する変換機構75が設けられている。以下、この変換機構75について説明する。
【0032】
プランジャ60の上筒部64の外周面には、周方向に互いに間隔をあけて形成された垂直溝70bと、周方向に隣接する垂直溝70bの上端と下端とを連結する傾斜溝70aとからなる断面半円形のカム溝70が、容器軸O回りの全周に亘って設けられている。
このカム溝70及びシリンダ20の縦溝31それぞれには、ボール71が回動可能に係合している。即ち、ボール71の半分はカム溝70に挿入され、残りの半分が縦溝31に挿入されている。
【0033】
また、プランジャ60は、中継部材42によって回動環40に相対回転不能で上下方向に相対移動可能に連結されている。
この中継部材42は、外側下延筒部43と内側下延筒部44と上延筒部45とが頂板部46によって連結されて構成されており、外側下延筒部43の内周面に設けられた突起43aをシリンダ20の第4筒部24の係合突起24aに掛止させてシリンダ20に対して相対回転可能に取り付けられている。更に中継部材42は、上延筒部45の係合突条45aを回動環40の係合溝40aに係合することによって、回動環40と同期回転するようにされている。
なお、外側下延筒部43の下端開口縁とシリンダ20との間には、環状の隙間があいており、この隙間を利用して回動環40の外部から貫通孔24bを通じて内部を視認することが可能とされる。
【0034】
一方、中継部材42は、内側下延筒部44の外周面に設けた縦突条44aを駆動筒部61の上筒部64の内周面に設けた縦溝64aに係合することによって、プランジャ60に対して相対回転不能で上下方向に相対移動可能に連結されている。
【0035】
プランジャ60は、中継部材42との間に介装されたスプリング(付勢機構)47によって下方に付勢されている。従って、前記ボール71は、回動環40を回動操作する間において常にシリンダ20の縦溝31の下端に係合し、カム溝70の上壁面に係合している。
【0036】
以上に示した構成においては、ボール71が傾斜溝70aの上端に係合している状態で回動環40を容器本体10に対して回転させると、
図2に示すように、ボール71がそのままの高さ位置で傾斜溝70aに沿って該傾斜溝70aを相対的に下っていく状態となるので、プランジャ60が上昇する。この際、プランジャ60がスプリング47を弾性圧縮する。
そして、
図3に示すように、回動環40のさらなる回転に伴って、ボール71がそのままの高さ位置でカム溝70の傾斜溝70aの下端から垂直溝70bの下端に移行すると、スプリング47の弾性復元力によってプランジャ60は下降可能となる。プランジャ60が下降すると、ボール71は垂直溝70bを相対的に上昇することとなり、最終的に隣接する傾斜溝70aの上端に達する。
【0037】
このようにプランジャ60が回動環40に対して相対回転不能で上下方向に相対移動可能に連繋され、シリンダ20とプランジャ60とが縦溝31とカム溝70とボール71で構成されたカム機構によって連繋されているので、回動環40を容器本体10に対して回転させることによってプランジャ60をスプリング47の弾性に抗して上昇させることができ、その後、スプリング47の弾性復元力によってプランジャ60を下降させることができる。
なお、上述したように、ボール71は同じ高さ位置を維持したまま、回動環40の回転操作に伴って傾斜溝70a及び垂直溝70bからなるカム溝70を相対的に走行(移動)する状態となり、これによりプランジャ60が上下動することとなる。
【0038】
なお、図示の例では、中継部材42の頂板部46には、この頂板部46を貫通する複数の空気孔46aが、容器軸O回りに沿って互いに間隔をあけて形成されている。また、頂板部46の内縁部には、吐出管50の上部が掛止されている。
【0039】
図1に示すように、シリンダ20の第3筒部23の上端には、等圧弁80が配置されている。
この等圧弁80は、容器軸Oと同軸の円環状に形成されると共に下面が第3筒部23及びシール筒部30cそれぞれの上端縁に当接されて支持された弁本体84と、シール筒部30cに対して当接離反する第1弁部81と、下筒部63の外周面上を摺動する第2弁部82と、プランジャ60に対して当接離反する第3弁部83と、を備えている。
なお、この等圧弁80は例えば軟質樹脂やゴム等の弾性部材(弾性体)で形成されている。
【0040】
シリンダ20とプランジャ60との間には、等圧弁80を間に挟んで下側に液圧逃がし通路91が形成され、上側に空気流入通路92が形成されている。
【0041】
液圧逃がし通路91は、プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の大径筒部30aの側方に位置している時に加圧室93に連通し、
図2及び
図3に示すように、テーパー筒部67aが小径筒部30bに圧接している時に加圧室93から遮断される。即ち、液圧逃がし通路91は、プランジャ60が最下限位置に位置した時には加圧室93に連通し、プランジャ60が最下限位置から外れて位置した時には加圧室93から遮断される。また、液圧逃がし通路91は、第3筒部23に形成された等圧孔27を通して容器本体10の内部と連通可能とされている。
【0042】
図1に示すように、空気流入通路92は、プランジャ60の駆動筒部61とシリンダ20の第4筒部24との間の隙間、カム溝70、シリンダ20の縦溝31、中継部材42の空気孔46a等を介して外部に連通して外気導入可能となっている。
なお、シリンダ20の第4筒部24に形成された貫通孔24bも、空気流入通路92に連通している。従って、空気孔46a及び貫通孔24bを通じて外気が空気流入通路92に導入可能とされている。
【0043】
第1弁部81は、弁本体84から下方に延びると共に容器軸Oと同軸の筒状をなし、下端部がスリーブ30のシール筒部30cの外周面に当接離反可能になっていて、シール筒部30cに着座して等圧孔27を閉塞し、シール筒部30cから離反して等圧孔27を開放するように動作する。
なお、図示の例では、第1弁部81の下端部は、シール筒部30cの外周面において、溝部30dよりも下側に位置する部分に当接離反可能となっている。そして、第1弁部81は、液圧逃がし通路91内の圧力と容器本体10内の圧力との圧力差によって動作して容器本体10内から液圧逃がし通路91への流通を阻止し、液圧逃がし通路91から容器本体10内への流通のみを許容する逆止弁として機能する。
【0044】
第2弁部82は、弁本体84の内周面から径方向の内側に向けて突出する環状突部に形成されていて、例えば上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。また、
図1及び
図2に示すように、第2弁部82は、駆動筒部61の下筒部63の上側部分の外周面に液密に圧接摺動するように形成されており、
図3に示すように、下筒部63の下側部分を摺動する時には、前記連通溝63aを介して第2弁部82の上方と下方とが連通される。即ち、第2弁部82は、下筒部63の上側部分を摺動する時は閉弁状態であり、下筒部63の下側部分を摺動する時は開弁状態となる。
【0045】
第3弁部83は、弁本体84において第1弁部81よりも径方向の内側から下方に延びると共に容器軸Oと同軸の筒状をなし、その先端部分が先端シール部となっている。第3弁部83の先端シール部は、
図1及び
図3に示すように、駆動筒部61の下筒部63の上側部分の外周面及びスカート部62におけるシール脚筒部67の外周面に液密に圧接摺動するように形成されている。また、
図2に示すように、第3弁部83の先端シール部が下筒部63の下側部分を摺動する時には、前記連通溝63aを介して第3弁部83の上方と下方とが連通される。
即ち、第3弁部83は、下筒部63の上側部分及びシール脚筒部67を摺動する時は閉弁状態であり、下筒部63の下側部分を摺動する時は開弁状態となる。
【0046】
また、閉弁状態にある第3弁部83は、液圧逃がし通路91内の圧力と空気流入通路92内の圧力との圧力差によって開閉するようになっていて、液圧逃がし通路91から空気流入通路92への流通を阻止し、空気流入通路92から液圧逃がし通路91への流通のみを許容する逆止弁として機能する。
【0047】
また、本実施形態では、シリンダ20との間で等圧弁80を上下方向に挟み等圧弁80をシリンダ20に固定する固定具86が備えられている。図示の例では、固定具86は、容器軸Oと同軸に配置された円環状に形成され、シリンダ20の内周面との間で等圧弁80を挟んでいる。
【0048】
ところで、
図2に示すように、上述したプランジャ60における駆動筒部61の上筒部64の外周面には、複数色で色分け表示された加飾部100が形成されている。
この加飾部100は、垂直溝70bに対して周方向に隣接する部分に形成されており、異なる色が上下方向に並ぶことで縦長に色分けされるように形成されている。具体的には、緑色G(第1色)、黄色Y(第3色)、赤色R(第2色)の3色で形成され、この順番に下から配色されている。
なお、加飾部100は、容器軸Oを挟んで径方向で向かい合うように、上筒部64の外周面に一対形成されている。
【0049】
そして、
図2〜
図4に示すように、シリンダ20の第4筒部24における上半分(容器本体10の口部12よりも上方に突出している部分)には、係合突起24aよりも下側に位置する部分において第4筒部24を貫通する第1貫通孔(第1窓部)101が形成されている。
この第1貫通孔101は、側面視円形状に形成された窓部であり、プランジャ60に形成された加飾部100に対して径方向に向かい合う位置に一対形成されている。具体的には、第1貫通孔101は、第4筒部24の上半分において、プランジャ60の垂直溝70bに対応して形成された縦溝31に対して周方向に隣接する部分に形成されている。これにより、第1貫通孔101を通じて加飾部100を視認することが可能とされる。
【0050】
さらに、回動環40には、
図4及び
図5に示すようにシリンダ20に形成された第1貫通孔101に対して径方向に向かい合う位置に第2貫通孔(第2窓部)102が一対形成されている。
この第2貫通孔102は、側面視円形状に形成された窓部であり、第1貫通孔101と略同じ大きさとされている。これにより、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて、回動環40の外部からプランジャ60に形成された加飾部100を視認することが可能とされている。
なお、第2貫通孔102は、第1貫通孔101よりも拡径していることが好ましい。
【0051】
なお、
図2に示すように、加飾部100における緑色Gはプランジャ60が最下限位置に位置している際に第1貫通孔101に向かい合う位置に形成され、赤色Rはプランジャ60が最上限位置に位置している際に第1貫通孔101に向かい合う位置に形成され、黄色Yはプランジャ60が最下限位置と最上限位置との間に位置している際に第1貫通孔101に向かい合う位置に形成されている。
【0052】
(液体噴霧容器の作用)
次に、上記のように構成された液体噴霧容器1の作用を説明する。
<非加圧状態>
図1に示すように、液体噴霧容器1の非使用時の状態である非加圧状態においては、吸込弁29及び吐出弁51が閉弁状態になっており、プランジャ60が最下限位置に位置していると共に、押さえ脚部68が吸込弁29の弁体29aを上から押圧している。また、液圧逃がし通路91は加圧室93に連通している。
【0053】
等圧弁80の第1弁部81は、シリンダ20におけるスリーブ30のシール筒部30cに圧接して液圧逃がし通路91と容器本体10とを遮断している。第2弁部8及び第3弁部83は、いずれもプランジャ60における下筒部63の上側部分に圧接して液圧逃がし通路91と空気流入通路92とを遮断している。
なお、吐出弁51については、この後、噴霧ヘッド56を押し下げない限り、閉弁状態に維持される。
【0054】
<ポンプアップ操作 − 前半>
前記非加圧状態から回動環40を容器本体10に対して回転させると、プランジャ60がスプリング47を圧縮しながら上昇する。すると、プランジャ60の上昇により押さえ脚部68は吸込弁29の弁体29aから離反し、弁体29aは開弁可能になる。
なお、最下限位置からプランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接する直前までのプランジャ60の移動範囲を下部移動域と称する。この下部移動域においては、等圧弁80の第2弁部82及び第3弁部83は両方ともプランジャ60の下筒部63の上側部分に液密に圧接しており、液圧逃がし通路91と空気流入通路92との間を遮断し続ける。
【0055】
そして、
図6に示すように、プランジャ60が下部移動域を脱して、プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接すると、それ以後のプランジャ60の上昇によって加圧室93が負圧となり、この負圧によって吸込弁29の弁体29aが弁座部26から離反して開弁する。
その結果、容器本体10内の内容液が吸込管28の下端より吸い上げられ、この吸込管28を通った後、吸込み口21aから加圧室93内にポンプアップされる。
【0056】
なお、テーパー筒部67aはプランジャ60が最上限位置に至るまで、即ちポンプアップが完了するまで、スリーブ30の小径筒部30bを液密に圧接し続ける。また、プランジャ60の下筒部63の上側部分は、等圧弁80の第2弁部82に液密に圧接されながら摺動し、その結果、液圧逃がし通路91と空気流入通路92とは第2弁部82によって遮断された状態に保持される。
なお、テーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接し始めるのとほぼ同時に、等圧弁80の第3弁部83の先端シール部が下筒部63の下側部分を摺動し、第3弁部83が開弁状態になる。
【0057】
そして、内容液のポンプアップに伴い、容器本体10内は減圧されて負圧になり、この負圧によって等圧弁80の第1弁部81がスリーブ30のシール筒部30cから離反して開弁し、液圧逃がし通路91内の内容液は等圧孔27から容器本体10内に流れる。
【0058】
<ポンプアップ操作 − 後半>
回動環40の回転によりボール71がカム溝70における傾斜溝70aの下端近傍に達すると、プランジャ60の下筒部63の上側部分が等圧弁80の第2弁部82から離脱して下筒部63の下側部分を第2弁部82が摺動すると共に、プランジャ60のスカート部62のシール脚筒部67が第3弁部83の先端シール部に圧接し始める。なお、この位置から最上限位置までのプランジャ60の移動範囲を上部移動域と称する。
【0059】
この上部移動域においては、等圧弁80の第2弁部82は開弁状態となり、第3弁部83は空気流入通路92から液圧逃がし通路91への流通を許容しその逆方向の流通を阻止する逆止弁として機能する。
【0060】
ところで、前述したように液圧逃がし通路91は容器本体10内に連通しており負圧になっているので、この負圧により第3弁部83はシール脚筒部67から離反して開弁状態となる。その結果、空気流入通路92が液圧逃がし通路91及び等圧孔27を介して容器本体10内に連通し、大気がこれら通路を通って容器本体10内に流入し、容器本体10内が大気圧になる。この状態はプランジャ60が最上限位置に至るまで継続する。
【0061】
そして、
図7に示すように、ボール71が傾斜溝70aの下端、即ち垂直溝70bの下端に達すると、回動環40の回転は停止され、プランジャ60が最上限位置に位置することとなる。これにより、内容液のポンプアップは終了し、吸込弁29の弁体29aが弁座部26に着座して吸込弁29は閉弁する。
また、ポンプアップ終了と同時に、等圧弁80の第1弁部81がシール筒部30cに圧接して閉弁し、第3弁部83がシール脚筒部67に圧接して閉弁する。従って、この状態で万が一に液体噴霧容器1を横転させたとしても内容液が液体噴霧容器1の外へ漏洩することはない。
【0062】
なお、吐出弁51が閉弁されている限り加圧室93は内容液で充填されているため密閉空間となるので、スプリング47の弾性復元力がプランジャ60に作用していても、このままではプランジャ60が下降することはない。
【0063】
<噴出操作>
前述のように内容液をポンプアップした後、
図8に示すように、噴霧ヘッド56を押し下げると、吐出弁51が開弁し、加圧室93が噴霧ノズル56aに連通して、加圧室93の密閉が破られる。
その結果、スプリング47の弾性復元力によりプランジャ60が下降し、加圧室93内の内容液が噴霧ノズル56aから噴霧される。なお、プランジャ60の下降時、ボール71はカム溝70の垂直溝70bをプランジャ60に対して相対的に上昇することとなる。
【0064】
プランジャ60の最下限位置への下降に伴い、液圧逃がし通路91内は負圧になるが、この負圧により等圧弁80の第3弁部83はシール脚筒部67から離反し開弁状態となるので、空気流入通路92から液圧逃がし通路91に大気が流入する。
プランジャ60が下降してその下筒部63の上側部分が等圧弁80の第2弁部82に圧接し始めると、即ちプランジャ60が上部移動域を脱すると液圧逃がし通路91は密閉されるので、それ以降はプランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bから離脱するまでの間、即ち下部移動域に達するまでの間、プランジャ60の下降に伴い液圧逃がし通路91は減圧されて若干負圧化する。
【0065】
<噴出終了>
プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bから離脱して大径筒部30aの側方に位置するようになると、即ちプランジャ60が下部移動域に入ると、液圧逃がし通路91が加圧室93に連通するため液圧逃がし通路91内に加圧室93内の正圧が伝達される。
【0066】
その結果、液圧逃がし通路91内の圧力が容器本体10内の圧力よりも大きくなり、等圧弁80の第1弁部81がスリーブ30のシール筒部30cから離反し第1弁部81は開弁状態となって、加圧室93内の内容液(内圧)が液圧逃がし通路91及び等圧孔27を通って容器本体10内に流れ、これに伴い加圧室93内の圧力が急速に減圧されて、噴霧ノズル56aからの内容液の噴霧が止まる。
以上により、液体噴霧容器1からの内容液の噴出が終了する。
【0067】
特に、本実施形態の液体噴霧容器1によれば、
図4に示すように、プランジャ60における上筒部64の外周面に加飾部100が形成されているので、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて回動環40の外部から加飾部100を視認することができ、プランジャ60の作動に伴う加飾部100の色の違いの変化を視認することができる。これにより、回動環40の回転操作に伴ってプランジャ60が上昇する様子や、噴霧ヘッド56の押し下げ操作に伴ってプランジャ60が下降する様子等、プランジャ60の作動状況を確認することが可能である。従って、適正にプランジャ60が作動していることを認識しながら操作を行うことができ、製品信頼性を確保して付加価値を高めることができる。
【0068】
また、加飾部100における色の違いの変化により、噴霧ヘッド56の押し下げ操作に伴うプランジャ60の下降位置を把握し易いので、内容液の噴出量を把握しながら操作することができる。
つまり、回動環40の回転操作によってプランジャ60が最上限位置に達し、内容液のポンプアップが終了した場合(噴出準備完了時)には、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて加飾部100における緑色Gを視認することができる。
そして、噴霧ヘッド56の押し下げ操作によって、ある程度の内容液を噴出させると、プランジャ60が下降するので、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて加飾部100における緑色Gが黄色Yに切り替わることを視認することができる。そして、さらなる内容液の噴出によって、加圧室93内の内容液を噴出しきった場合には、プランジャ60が最下限位置に位置するので、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて加飾部100における黄色Yが赤色Rに切り替わることを視認することができる。
【0069】
このように、緑色Gの場合には加圧室93内に内容液が十分に残っており、黄色Yの場合には内容液が残り僅かであり、赤色Rの場合には内容液がなくなった、というように、色の違いの変化により加圧室93内における内容液の残量を把握し易い。従って、上述したように、内容液の噴出量を把握しながら操作を行うことができる。このため、例えば所望の領域に内容液を噴出する場合、1箇所に集中させてしまうことを防止しながら、内容液をムラなく噴出させ易い。
【0070】
さらに、加飾部100における色の違いの変化、即ち、黄色Yから赤色Rに切り替わったことにより、プランジャ60が最下限位置に達して加圧室93内の内容液の噴出が終了したことを把握し易いので、使用途中での誤作動を防止できる。例えば、プランジャ60が最下限位置以外にあるときに、回動環40を回転操作してしまう等の誤作動を防止できる。従って、この誤作動に起因する増し締めや、部品変形による作動不良等を未然に防止できる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、液体吐出容器の一例として、噴霧ノズル56aを有する噴霧ヘッド56を具備し、内容液を噴出させる液体噴霧容器1を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、内容液を線状(ストレート状)に吐出(いわゆる直吐出)する液体吐出容器や、内容液を泡状に吐出する液体吐出容器等も、本発明に含まれる。いずれにしても、内容液を吐出できれば良い。
【0073】
また、上記実施形態では、固定具86及び押さえ脚部68をそれぞれ備えるものとしたが、これらは無くても良い。また、変換機構75は、回動環40とプランジャ60との間に設けられ回動環40の回転動作をプランジャ60の上昇動作に変換するものであれば、前記実施形態に示したものに限られない。
【0074】
また、上記実施形態では、等圧弁80が第1弁部81、第2弁部82及び第3弁部83を備えるものとしたが、等圧孔27を開閉すると共に、プランジャ60の外周面に圧接摺動して液圧逃がし通路91と空気流入通路92との間を開閉するものであればこれに限られるのではない。
【0075】
また、上記実施形態では、加飾部100を緑色G、黄色Y、赤色Rの3色で形成したが、これらの色に限定されるものではない。また、3色に限られるものではなく、2色でも構わないし、4色以上としても構わない。
また、プランジャ60における上筒部64の外周面に、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように加飾部100を一対形成したが、1つだけ形成しても構わない。この場合、シリンダ20に形成する第1貫通孔101についても1つだけで構わないが、回動環40に形成する第2貫通孔102については周方向に複数形成すると良い。こうすることで、回動環40の回転位置に影響されずに、第1貫通孔101及び第2貫通孔102を通じて加飾部100を視認し易い。
【0076】
また、上記実施形態では、シリンダ20及び回動環40に第1貫通孔101及び第2貫通孔102をそれぞれ形成することで、プランジャ60の加飾部100を視認したが、貫通孔に限定されるものではない。例えばシリンダ20の第4筒部24及び回動環40に透明板や透明フィルム等を取り付けた窓部を設けることで視認する構成としても構わない。
この点、回動環40を例に挙げると、
図9に示すように、2色成形によって、透明材料からなる内側成形品40Aと有色材料からなる外側成形品40Bとで回動環40を形成し、その際に内側成形品40Aの一部を外側に露出させて、その部分を第2窓部110としても良い。
【0077】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。