特許第5961572号(P5961572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961572
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】破損あるいは溶融した核燃料の処理方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   G21F9/30 531Z
   G21F9/30 535A
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-36552(P2013-36552)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-29319(P2014-29319A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-145149(P2012-145149)
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】深澤 哲生
(72)【発明者】
【氏名】星野 国義
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 紀子
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−026116(JP,A)
【文献】 特開2007−155380(JP,A)
【文献】 特開2003−021697(JP,A)
【文献】 模擬デブリを用いた特性の把握、実デブリの性状分析、デブリ処理技術の開発における原子力機構の取組について,東京電力ホームページ,日本,東京電力,2012年 1月23日,URL,http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/r120123_04-j.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理の少なくとも何れか一つの処理により粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを前記熱処理により粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリの前記熱処理は、加熱と冷却を交互に反復する熱処理であることを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを前記熱処理後に、前記機械的破砕処理を行うことにより粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項5】
請求項2または3に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを前記熱処理後に、前記電気的破砕処理を行うことにより粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項6】
請求項2または3に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを前記熱処理後に、前記燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対し前記酸化処理前記還元処理、あるいは前記酸化処理前記還元処理を交互に反復する処理のいずれかの化学処理を行うことにより粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを前記ハロゲン化処理により粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料を含む燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対し前記酸化処理前記還元処理、あるいは前記酸化処理前記還元処理を交互に反復する処理のいずれかの化学処理を行うことを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項9】
請求項に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記熱処理、前記機械的破砕処理、前記電気的破砕処理、前記酸化処理、前記還元処理、及び、前記ハロゲン化処理の少なくとも2種類組み合わせて、前記燃料デブリを粉体化することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリの粉体化後の化学形態の大部分が酸化物となるように前記酸化処理を行うことを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所で使用中の核燃料が何らかの原因により破損あるいは溶融した場合において、破損した核燃料、溶融した核燃料、又は破損核燃料と溶融核燃料の混合物を含む集合体である燃料デブリを安全かつ安定的に処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の大規模な炉心破損事故は、米国のスリーマイル島とロシア(ウクライナ)のチェルノブイリで発生しており、事故の際に発生した破損あるいは溶融した核燃料を含む燃料デブリは米国では回収して別の場所に保管し、ロシアではそのまま発電所サイトの石棺中で管理されている。米国では、燃料デブリの分析を目的とした溶解試験が行われたが、使用済燃料再処理で使用されている硝酸等の溶液では溶解しなかった。したがって、燃料デブリの有効な処理方法は現在まで知られていない。また、両国は核兵器国であり、国際原子力機関(IAEA)の核査察を受ける必要がなく、燃料デブリの正確な計量管理およびそのための処理は必要とされていない。しかしながら、日本においては正確な計量管理を必要とするため、何らかの処理をすることが望ましいと考えられている。
【0003】
また、世界的にも、破損あるいは溶融した核燃料を含む燃料デブリの長期保管・管理後の処理のオプション技術を確立しておくことが望ましく、将来的に万一同様の事故が起きた場合の複数の対応オプションの一つとして燃料デブリの処理技術を準備しておくことが重要である。
【0004】
従来技術においては、特許文献1には、通常の原子炉運転で発生した使用済燃料を酸化還元脱被覆法で粉体化した後、フッ化処理することが開示されている。さらに、特許文献2には、使用済燃料からフッ化物揮発法等により大部分のウランを分離して残りの使用済燃料を一時保管することが開示されている。
【0005】
また、非特許文献1には、計量管理(分析)や安定保管・処理・処分の目的で使用済燃料をフッ酸や王水等の強力な酸を使って溶解することが開示されている。また、非特許文献2には、使用済PWR燃料を酸化還元して粉体化することが開示されており、これはUOとUあるいはUOとの間の酸化還元を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−257980号公報
【特許文献2】特開2010−133984号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D. W. Akers, Core Debris Chemistry and Fission Product Behavior, ACS Series 293, pp. 146-167 (1986).
【非特許文献2】K. C. Song, et al., Fractional Release Behavior of Volatile and Semivolatile Fission Products During a Voloxidation and OREOX Treatment of Spent PWR Fuel, Nuclear Technology, vol. 162, pp. 158-168 (2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
炉心破損事故等により発生した燃料デブリ中には、ウラン、プルトニウム等の核燃料物質を含む燃料被覆管が損傷・脆化、分解して燃料ペレットが外部に露出した状態の破損核燃料が含まれている。核燃料はまた冷却機能の喪失により崩壊熱で高温となり溶融した溶融核燃料の状態でも含まれている。あるいは破損核燃料と溶融核燃料の混合物としても含まれている。
【0009】
また、燃料デブリ中には、セシウム、ストロンチウム等の核分裂生成物、中性子吸収により生成するネプツニウム、アメリシウム等のマイナーアクチニド等の副次的生成物が含まれている。
【0010】
さらに、ジルカロイ等の燃料被覆管材料及びチャンネルボックス材料、SUS及びBC等の制御棒材料、炉心構造材等が不均質な状態で破損又は溶融した状態で混在していることが推定される。
【0011】
さらに、場合によっては上述の材料が原子炉圧力容器の外に溶融流出し、コンクリート等の圧力容器外部の材料と反応してこれを取り込み、冷却水や空気等の雰囲気物質を取込んでいる可能性もある。
【0012】
燃料デブリは、上述の様に核燃料物質、核分裂生成物、マイナーアクチニド等の核燃料成分以外に、燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を破損状態、溶融状態またはこれらの混合物状態で含む不均質な塊状体または粒状体になっており、核物質の計量管理、燃料デブリの安全・安定な保管・処理・処分が困難である。
【0013】
特許文献1には使用済燃料を酸化還元法により粉体化した後にフッ化処理することが示されている。しかし酸化還元法はウランを対象としており、破損状態あるいは溶融状態の燃料デブリを粉体化することは困難であり、またフッ化処理は、本来燃料デブリの粉体化の為の方法として用いるものではない。
【0014】
さらに、特許文献2ではウランを抽出分離後に残りの使用済燃料を一時保管するが、この場合も特許文献1と同様に破損状態あるいは溶融状態の燃料デブリを粉体化することは困難である。
【0015】
また、計量管理(分析)や安定保管・処理・処分の目的で燃料デブリを溶解しようとする場合には、非特許文献1に示されているようにフッ酸や王水等の強力な酸を使わないと溶解できない。しかし、これらの強力な酸を添加すると容器や装置の腐食等後処理に影響を及ぼすため好ましい方法ではなく、比較的簡単な方法を用いて燃料デブリを均質化し、計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できるようにすることが重要な課題となっている。
【0016】
さらに、非特許文献2には使用済PWR燃料そのものを酸化還元して粉体化することが示されているが、溶融した燃料デブリについての言及はない。
【0017】
本発明の目的は、燃料デブリにおいて、燃料デブリに含まれる破損あるいは溶融した核燃料の正確な計量管理、安全・安定な保管・処理・処分を可能とし、容易にする破損あるいは溶融した核燃料の前処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明においては、破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料を含む燃料デブリを物理的、化学的処理により粉体化し、特に核燃料成分以外の燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を含む不均質な塊状体・粒状体を粉体化して均質化し、次工程における計量管理、保管、処理、処分を可能化し、容易化する。
【0019】
この際、燃料デブリに熱処理、ハロゲン化処理等を行うことにより、あるいは燃料デブリ中の不純物成分の酸化還元処理を行うことにより、比較的容易に燃料デブリを粉体化することができる。
【0020】
これらの処理方法の最終段階における燃料デブリの化学形態が酸化物であると、安全・安定な保管、処理、処分が容易となる。酸化物は最も安定な化学形態であり、なおかつ再処理工程で通常使用される硝酸溶液にも溶解しやすい。
【0021】
熱処理の場合には空気中あるいは酸素雰囲気中で処理を行う。酸化還元処理の場合には最終的に酸素中で酸化を行う。ハロゲン化処理等の場合にはその後に酸化を行う。この様にすることで燃料デブリ成分の大部分を酸化物粉体とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、破損あるいは溶融した核燃料物質、核分裂生成物、核燃料被覆管、制御棒などを含む燃料デブリを、物理化学的に処理することにより、不均質で塊状の燃料デブリを均質な粉体に変換でき、燃料デブリの次工程における計量管理、保管、処理、処分を可能化し、容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図2】本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図3】本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図4】本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図5】本発明の実施例2の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図6】本発明の実施例2の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図7】本発明の実施例3の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図8】本発明の実施例3の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図9】本発明の実施例3の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図10】本発明の実施例4の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図11】本発明の実施例5の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図12】本発明の実施例6の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図13】本発明の実施例7の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図14】本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
図15】本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図16】本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図。
図17】本発明の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面と実施例を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1の燃料デブリの基本的な処理方法を示す処理工程図である。
【0026】
実施例1は本発明の最も代表的な実施形態を示す。図1において、燃料デブリは熱処理によって粉体化される。
【0027】
すでに述べたように、燃料デブリ中には、破損あるいは溶融状態にあるウラン、プルトニウム等の核燃料物質、セシウム、ストロンチウム等の核分裂生成物、中性子吸収により生成するネプツニウム、アメリシウム等のマイナーアクチニド等の核燃料成分の他に、ジルカロイ等の燃料被覆管材料及びチャンネルボックス材料、SUS及びBC等の制御棒材料、炉心構造材等の原子炉構造体が不純物として含まれている。また、コンクリート等が不純物として不均質な状態で含まれている。
【0028】
燃料デブリは、上述の様に主にセラミックス系物質から形成される。粉体化の原理は、燃料デブリの上記構成成分毎に熱膨張係数が異なるため、成分境界にクラックが発生し分離されて粉体化することを利用するものである。
【0029】
実施例1は、これら核燃料物質及び各種の不純物を含む燃料デブリに対し、このように熱処理操作を行うことで、塊状の燃料デブリを粉体状の粉末燃料デブリに形態を変換処理できる。熱処理の際に放出されるクリプトン、キセノン等を含むオフガスは、オフガス処理で粒子フィルタ、ヨウ素フィルタなどで浄化され、系外に放出される。
【0030】
図2は、本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の具体的応用例を示す処理工程図である。図2に示すように、熱処理を急速加熱処理で行う事ができる。
【0031】
図3は、本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の他の応用例を示す処理工程図である。図3に示すように、熱処理は急速冷却処理で行う事ができる。
【0032】
図4は、本発明の実施例1の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図である。図4に示すように、熱処理は加熱処理と冷却処理の任意回数の反復処理で行う事ができる。この場合には、いわゆるヒートサイクルにより燃料デブリ構成成分が膨張収縮を生じ、より効果的に粉体化を実施できる。
【0033】
以上の方法で燃料デブリを粉体化することにより、次工程において、塊状の燃料デブリのさらに正確な計量管理、臨界管理、発熱管理が可能となる。また、より安全・安定な燃料デブリの保管、長期保管、再処理等の処理、処分が可能となる。
【0034】
また、本発明において、酸素雰囲気中の加熱工程で燃料デブリの構成成分を酸化物粉体に変換することができる。これにより、粉体化した燃料デブリは硝酸に溶解できるようになり、燃料デブリの再処理が可能となる。現状の再処理施設では硝酸溶液で計量管理を実施しており、燃料デブリを硝酸溶液とすることにより計量管理が粉体の場合よりさらに容易になる。
【0035】
さらに、酸化物粉体は、種々化合物の中で最も安定な化学形態であり、安全・安定な保管、処理、処分が可能となる。
【実施例2】
【0036】
図5は、本発明の実施例2の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。図5において、実施例1に示す様な熱処理の後に、機械的破砕処理を行う。例えばクラッシャー、ボールミル等の破砕機を用いることにより、燃料デブリの粉体化をより確実にすることができる。
【0037】
図6は、本発明の実施例2の燃料デブリの処理方法の他の応用例を示す処理工程図である。図6において、熱処理の後に、電気的破砕処理を行う。電気パルス粉砕等を用いることにより、燃料デブリの粉体化をより確実にすることができる。
【実施例3】
【0038】
図7は、本発明の実施例3の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。
【0039】
図7において、燃料デブリは始めに実施例1に示す様な熱処理によって粉体化する。熱処理は図4の様な加熱・冷却の繰り返しが好ましい。
【0040】
熱処理後に粉体化した燃料デブリの酸化処理を行う。酸化処理は、特に燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対して実施する。
【0041】
この際、空気中あるいは酸素リッチな雰囲気中で加熱することにより、確実にかつ比較的容易に燃料デブリを酸化できる。このような操作で塊状の燃料デブリを酸化物粉体に変換することができる。熱処理および酸化処理の際に放出されるオフガスは粒子フィルタ、ヨウ素フィルタなどで浄化され、系外に放出される。
【0042】
図8は、発明の実施例3の燃料デブリの処理方法の他の応用例を示す処理工程図である。図8において、熱処理後に粉体化した燃料デブリの還元処理を行う。還元処理は、特に燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対して実施する。この際、窒素ガスあるいは無酸素雰囲気中で加熱することにより、確実にかつ比較的容易に燃料デブリを還元できる。このような操作で塊状の燃料デブリを粉体に変換することができる。
【0043】
図9は、本発明の実施例3の燃料デブリの処理方法のさらに他の応用例を示す処理工程図である。熱処理後に粉体化した燃料デブリの酸化処理と還元処理を反復して行う。このような操作で塊状の燃料デブリを効率的に粉体に変換することができる。
【0044】
以上の方法で燃料デブリを粉体に変換することにより、燃料デブリのより正確な計量管理、臨界管理、発熱管理が可能となる。また、より安全・安定な燃料デブリの保管、長期保管、再処理等の処理、処分が可能となる。特に、燃料デブリの粉体酸化物は最も安定で、なおかつ硝酸に溶解しやすい化学形態であり、保管、長期保管、再処理、処分には最適である。
【実施例4】
【0045】
図10は、本発明の実施例4の燃料デブリの化学的処理方法を示す処理工程図である。図10において、燃料デブリをハロゲン化処理により粉体化する。ハロゲンとしてフッ素を例に取ると、ハロゲン化処理では、
UO+3F=UF+OC+8F=4BF+CF
などの反応によって、燃料デブリ中のウランやBCが揮発性ガスであるUFやBF、CFになるため、残留物は多孔質セラミックスとなり、容易に粉体化する。
【0046】
この後で、粉体化した燃料デブリを酸化処理すれば、燃料デブリの粉体酸化物は最も安定で、なおかつ硝酸に溶解しやすい化学形態であり、保管、長期保管、再処理、処分には最適である。
【実施例5】
【0047】
図11は、本発明の実施例5の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。図11において、燃料デブリを実施例2に示す機械的破砕処理で粉体化する。
【0048】
この後で、粉体化した燃料デブリを酸化処理すれば、燃料デブリの粉体酸化物は最も安定で、なおかつ硝酸に溶解しやすい化学形態であり、保管、長期保管、再処理、処分には最適である。
【実施例6】
【0049】
図12は、本発明の実施例6の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。図12において、燃料デブリを実施例2の電気的破砕処理で粉体化する。
【0050】
この後で、粉体化した燃料デブリを酸化処理すれば、燃料デブリの粉体酸化物は最も安定で、なおかつ硝酸に溶解しやすい化学形態であり、保管、長期保管、再処理、処分には最適である。
【実施例7】
【0051】
図13は、本発明の実施例7の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。図13において、燃料デブリを水素化処理により粉体化する。
【0052】
この後で、粉体化した燃料デブリを酸化処理すれば、燃料デブリの粉体酸化物は最も安定で、なおかつ硝酸に溶解しやすい化学形態であり、保管、長期保管、再処理、処分には最適である。
【実施例8】
【0053】
図14は、本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法を示す処理工程図である。図14において、燃料デブリを酸化処理のみによって粉体化する事もできる。
【0054】
図15は、本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法の応用例を示す処理工程図である。図15において、燃料デブリを還元処理のみによって粉体化する事もできる。
【0055】
図16は、本発明の実施例8の燃料デブリの処理方法のさらに他の応用例を示す処理工程図である。図16において、燃料デブリを、酸化処理と還元処理を反復して少なくとも1回実施する事によって、燃料デブリを粉体化することができる。酸化処理と還元処理の反復回数は、条件に応じて粉体化が十分に完了するように適宜繰り返して設定する。
【0056】
図17は、本発明の燃料デブリの全体的処理工程を示す処理工程図である。上記の各実施例で説明したように、燃料デブリの粉体化は熱処理の他、他の種々の方法で達成できる。すなわち、酸化処理、還元処理、酸化・還元処理、機械的処理、電気的処理、ハロゲン化処理、水素化処理、あるいは熱処理を含むこれらの任意の処理方法の組み合わせによって、塊状の燃料デブリを粉体化できる。
【実施例9】
【0057】
実施例1〜8において、燃料デブリ中にはウラン、プルトニウム等の核燃料物質、セシウム、ストロンチウム等の核分裂生成物、中性子吸収により生成するネプツニウム、アメリシウム等のマイナーアクチニド等の核燃料成分の他に、ジルカロイ等の燃料被覆管材料及びチャンネルボックス材料、SUS及びBC等の制御棒材料、炉心構造材等の原子炉構造体が不純物として含まれ、コンクリート等が不純物として不均質な状態で含まれているものについて説明してきた。
【0058】
燃料デブリには、発生の状態によっては、核燃料物質を含む燃料被覆管が損傷・脆化して燃料ペレットが外部に露出した状態の破損核燃料のみ、或いはこれに不純物を加えたものが含まれている場合がある。この場合も、実施例1〜8に挙げた各種処理方法が同様に用いられ、破損核燃料を効果的に粉体化できる。
【実施例10】
【0059】
実施例1〜8において、燃料デブリ中に核燃料物質、核分裂生成物、マイナーアクチニド等の核燃料成分の他に、燃料被覆管材料及びチャンネルボックス材料、制御棒材料、炉心構造材等の原子炉構造体が不純物として含まれ、コンクリート等が不純物として不均質な状態で含まれているものについて説明してきた。
【0060】
燃料デブリには、発生の状態によっては、核燃料が冷却機能の喪失により崩壊熱で高温となり溶融した溶融核燃料のみ、或いはこれに不純物を加えたものが含まれている場合がある。この場合も、実施例1〜8に挙げた各種処理方法が同様に用いられ、溶融核燃料を効果的に粉体化できることはいうまでもない。
【0061】
以上の方法で燃料デブリを粉体化することにより、塊状の燃料デブリに較べてより正確な計量管理、臨界管理、発熱管理が可能となる。また、より安全・安定な保管、長期保管、再処理等の処理、処分が可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17