(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行体と、この走行体上に配置される旋回体と、この旋回体に上下方向の回動可能に取り付けられ、バケットを含むフロント作業機と、エンジンと、このエンジンによって駆動される複数の油圧ポンプと、上記バケットを駆動するバケットシリンダと、上記バケットとは異なる特定の作動体を駆動する特定アクチュエータと、上記油圧ポンプから上記バケットシリンダに供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁と、上記油圧ポンプから上記特定アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する特定アクチュエータ用方向制御弁と、上記バケットシリンダを操作するバケット用操作装置と、上記特定アクチュエータを操作する特定アクチュエータ用操作装置と、上記複数の油圧ポンプの圧油を合流させて上記バケットシリンダに供給可能な合流制御弁とを備えた油圧ショベルにおいて、
上記バケットと、上記バケットとは異なる上記作動体との複合操作時に、上記合流制御弁を開状態に維持しながら、上記複数の油圧ポンプの吐出圧力に応じて合流制御弁の開口面積を変更可能な合流制御弁制御装置を備え、
上記バケット用方向制御弁が第1バケット用方向制御弁と第2バケット用方向制御弁とから成り、
上記複数の油圧ポンプが、上記第1バケット用方向制御弁に連絡される油圧ポンプと、上記第2バケット用方向制御弁に連絡される油圧ポンプとを含む3つの油圧ポンプから成り、
上記合流制御弁を、上記第1バケット用方向制御弁の上流及び上記第2バケット用方向制御弁の上流のうちの少なくとも一方に設け、
上記合流制御弁の開口面積を制御する比例電磁弁を備え、
上記合流制御弁制御装置は、
上記特定アクチュエータ用操作装置の操作量を検出する操作量検出部と、
上記複数の油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、
上記操作量検出部から出力される操作量信号及び上記圧力センサから出力される吐出圧信号に応じた上記合流制御弁の開口面積を演算し、上記吐出圧信号の値が小さいときには上記合流制御弁の開口面積を小さくし、上記吐出圧信号の値が大きいときには上記合流制御弁の開口面積を大きくする制御信号を上記比例電磁弁に出力するコントローラとを備えたことを特徴とする油圧ショベル。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、油圧ショベル等の油圧作業機の油圧回路から成り、バケットを駆動するバケットシリンダと、バケットとは異なる作動体、例えばブーム、アームを駆動する特定アクチュエータと、バケットシリンダ及び特定アクチュエータに圧油を供給する複数の油圧ポンプとを備えている。また、この従来技術は、油圧ポンプからバケットシリンダに供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁と、油圧ポンプからブームシリンダ、アームシリンダに供給される圧油の流れを制御する特定アクチュエータ用方向制御弁と、複数の油圧ポンプの圧油を合流させてバケットシリンダに供給可能な合流切換弁、すなわち合流制御弁とを備えている。
【0003】
なお、特許文献1には示されていないが、一般に油圧ショベルにあっては、走行体と、この走行体上に配置される旋回体と、この旋回体に上下方向の回動可能に取り付けられ、上述したバケットの他に、ブーム、アームを含み、掘削作業等を行うフロント作業機、バケットシリンダを操作するバケット用操作装置、及び特定アクチュエータ例えばブームシリンダ、アームシリンダ等をそれぞれ操作するブーム用操作装置、アーム用操作装置等が備えられている。
【0004】
このような構成を有する従来技術は、バケット単独操作時には、バケット用操作装置の操作に応じて合流制御弁は開状態に切り換えられ、複数の油圧ポンプの圧油を合流制御弁を介して合流させてバケットシリンダに供給し、バケットシリンダを高速で作動させ、バケットシリンダの速い回動動作を実施させている。また、バケットと、ブームやアームとの複合操作時には、該当するブームシリンダ、アームシリンダを操作する特定アクチュエータ用操作装置の操作に応じて合流制御弁が閉状態に切り換えられ、バケットシリンダへは1つの油圧ポンプの圧油のみが供給されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
油圧ショベルで実施される作業として、例えば土砂を掘削し、掘削した土砂をダンプトラックの荷台等に放土する動作を繰り返して行う掘削・放土作業などがある。このような掘削・放土作業を行うに際し、フロント作業機を下方に回動させてバケットを接地させるまでの間は、速い速度でブーム下げを行い、小さな負荷圧力で、また緩やかな作動速度でバケットを駆動することが行われる。バケットが接地し、このバケットで土砂を掘削する動作の間は、緩やかな速度でブームを駆動し、大きな負荷圧力で、また速い速度でバケットを駆動することが行われる。土砂の掘削を終え、掘削された土砂をダンプトラックの荷台等に放土する動作の間は、例えば旋回モータの速度を速くして旋回体を速く旋回させるとともに、速い速度でブーム上げを行い、小さな負荷圧力で、また緩やかな速度でバケットを駆動することが行われる。
【0007】
ところで、上述した掘削・放土作業を行う場合、上述した従来技術は、ブーム用操作装置の操作に伴って合流制御弁が閉じられ、バケットシリンダに1つの油圧ポンプのみの圧油が供給されることから、例えばフロント作業機を下方向に回動させてバケットを接地するまでの間は、バケットを緩やかな速度で駆動すれば済むにも拘わらず、1つの油圧ポンプから吐出される圧油に依存する速度でバケットが駆動することになる。また、バケットが接地し、このバケットで土砂を掘削する動作の間は、バケットを速い速度で駆動させたいにも拘わらず、1つの油圧ポンプから吐出される圧油に依存する比較的遅い速度でバケットが駆動することになる。
【0008】
すなわち、従来技術にあっては、バケットと、このバケットとは異なるブーム等の作動体の複合操作時において、バケットの速度が1つの油圧ポンプからの圧油に依存する速度となり、このためにバケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作性、及び作業性が低下する懸念がある。
【0009】
本発明は、上述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作に際し、実施される作業に好適な速度でバケットを駆動することができる油圧ショベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、走行体と、この走行体上に配置される旋回体と、この旋回体に上下方向の回動可能に取り付けられ、バケットを含むフロント作業機と、エンジンと、このエンジンによって駆動される複数の油圧ポンプと、上記バケットを駆動するバケットシリンダと、上記バケットとは異なる特定の作動体を駆動する特定アクチュエータと、上記油圧ポンプから上記バケットシリンダに供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁と、上記油圧ポンプから上記特定アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する特定アクチュエータ用方向制御弁と、上記バケットシリンダを操作するバケット用操作装置と、上記特定アクチュエータを操作する特定アクチュエータ用操作装置と、上記複数の油圧ポンプの圧油を合流させて上記バケットシリンダに供給可能な合流制御弁とを備えた油圧ショベルにおいて、上記バケットと、上記バケットとは異なる上記作動体との複合操作時に、上記合流制御弁を開状態に維持しながら、
上記複数の油圧ポンプの吐出圧力に応じて合流制御弁の開口面積を変更可能な合流制御弁制御装置を備え
、上記バケット用方向制御弁が第1バケット用方向制御弁と第2バケット用方向制御弁とから成り、上記複数の油圧ポンプが、上記第1バケット用方向制御弁に連絡される油圧ポンプと、上記第2バケット用方向制御弁に連絡される油圧ポンプとを含む3つの油圧ポンプから成り、上記合流制御弁を、上記第1バケット用方向制御弁の上流及び上記第2バケット用方向制御弁の上流のうちの少なくとも一方に設け、上記合流制御弁の開口面積を制御する比例電磁弁を備え、上記合流制御弁制御装置は、上記特定アクチュエータ用操作装置の操作量を検出する操作量検出部と、上記複数の油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、上記操作量検出部から出力される操作量信号及び上記圧力センサから出力される吐出圧信号に応じた上記合流制御弁の開口面積を演算し、上記吐出圧信号の値が小さいときには上記合流制御弁の開口面積を小さくし、上記吐出圧信号の値が大きいときには上記合流制御弁の開口面積を大きくする制御信号を上記比例電磁弁に出力するコントローラとを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作に際し、バケットを速い速度で駆動することが望ましい作業時には、合流制御弁制御装置によって合流制御弁の開口面積を、大きな開口面積とする制御を実行させ、複数の油圧ポンプの圧油を合流制御弁を介して合流させ、バケットシリンダに大きな流量を供給することが行われる。これにより、バケットを該当する作業に好適な速い速度で駆動することができる。
【0012】
また、バケットを緩やかな速度で駆動することが望ましい作業時には、合流制御弁制御装置によって合流制御弁の開口面積を閉状態とはならない範囲内における小さな開口面積とする制御を実行させ、複数の油圧ポンプの圧油を合流制御弁を介して合流させる際に、バケットシリンダに小さな流量を供給することが行われる。これにより、バケットを該当する作業に好適な緩やかな速度で駆動できるとともに、複数の油圧ポンプの圧油をバケットとは異なる作動体の速い速度の駆動のために活用させることができる。
【0013】
すなわち本発明は、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作に際し、実施される作業に好適な速度でバケットを駆動することができる。
【0016】
また本発明は、上記発明において、上記コントローラは、上記バケットの単独操作時の上記合流制御弁の開口面積を設定する単独操作関数設定部と、上記バケットと上記作動体との複合操作時の上記合流制御弁の開口面積を設定する複合操作関数設定部と、上記操作量検出部から出力される操作量信号に応じて、上記単独操作関数設定部と上記複合操作関数設定部のうちのいずれかを選択するスイッチ部とを含むことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記発明において、上記単独操作関数設定部は、上記吐出圧信号の値の如何に拘わらず上記合流制御弁の開口面積を最大に保つ関数関係を有し、上記複合操作関数設定部は、上記吐出圧信号の値が小さいときには上記合流制御弁の開口面積を小さくし、上記吐出圧信号の値が大きいときには上記合流制御弁の開口面積を大きくする関数関係を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作時に、複数の油圧ポンプの圧油を合流させてバケットシリンダに供給する合流制御弁の開状態を維持しながら、特定アクチュエータ操作装置の操作に応じて合流制御弁の開口面積を変更可能な合流制御弁制御装置を備えた構成にしてあることから、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作に際し、合流制御弁制御装置によって、実施される作業に好適な速度でバケットを駆動することができる。これにより本発明は、バケットと、このバケットとは異なる作動体との複合操作に際し、従来に比べて操作性及び作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る油圧ショベルの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る油圧ショベルの一実施形態を示す側面図である。
【0022】
この
図1に示すように、本実施形態に係る油圧ショベルは、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2に取り付けられ、上下方向に回動可能で掘削作業等を行うフロント作業機3とを備えている。このフロント作業機3は、旋回体2に取り付けられるブーム4と、このブーム4の先端に取り付けられるアーム5と、このアーム5の先端に取り付けられるバケット6とを備えている。また、フロント作業機3は、ブーム4を駆動するブームシリンダ7と、アーム5を駆動するアームシリンダ8と、バケット6を駆動するバケットシリンダ9とを備えている。
【0023】
図2は
図1に示す油圧ショベルに備えられる電気・油圧回路を示す図、
図3は
図2に示す電気・油圧回路に備えられるコントローラの要部構成を示す図である。
【0024】
この
図2に示すように、本実施形態は、エンジン10と、このエンジン10によって駆動される複数の油圧ポンプ、例えば第1油圧ポンプ11、第2油圧ポンプ12、及び第3油圧ポンプ13の3つの油圧ポンプとを備えている。
【0025】
また本実施形態は、油圧ポンプから上述のバケットシリンダ9に供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁、例えば第1バケット用方向制御弁21及び第2バケット用方向制御弁31と、これらの第1,第2バケット用方向制御弁21,31を切り換え操作するバケット用操作装置43とを備えている。
【0026】
なお、本実施形態においては例えば、ブーム4は、バケット6とは異なる作動体を構成している。また、ブームシリンダ7は、作動体であるブーム4を駆動する特定アクチュエータを構成している。また、油圧ポンプからブームシリンダ7に供給される圧油の流れを制御する第1ブーム用方向制御弁23、第2ブーム用方向制御弁24、及び第3ブーム用方向制御弁29のそれぞれは、特定アクチュエータであるブームシリンダ7を制御する特定アクチュエータ用方向制御弁を構成している。さらに、ブーム用操作装置40は、特定アクチュエータ用方向制御弁である第1,第2,第3ブーム用方向制御弁23,24,29をそれぞれ操作する特定アクチュエータ用操作装置を構成している。
【0027】
また本実施形態は、複数の油圧ポンプ、例えば第1油圧ポンプ11の圧油と第3油圧ポンプ13の圧油とを合流させてバケットシリンダ9に供給可能な合流制御弁52を備えている。
【0028】
本実施形態は、バケット6と、このバケット6とは異なる作動体であるブーム4との複合操作時に、合流制御弁52を開状態に維持しながら、特定アクチュエータ用操作装置であるブーム用操作装置40の操作に応じて合流制御弁52の開口面積を変更可能な合流制御弁制御装置を備えている。
【0029】
上述した合流制御弁52は、第1バケット用方向制御弁21の上流、及び第2バケット用方向制御弁31の上流のうちの少なくとも一方、例えば第2バケット用方向制御弁31の上流に設けてある。
【0030】
また本実施形態は、合流制御弁52の開口面積を制御する比例電磁弁51を備え、上述した合流制御弁制御装置は、ブーム用操作装置40の操作量を検出する操作量検出部48と、第1油圧ポンプ11の吐出圧力を検出する圧力センサ45、第2油圧ポンプ12の吐出圧力を検出する圧力センサ46、及び第3油圧ポンプ13の吐出圧力を検出する圧力センサ47とを備えている。
【0031】
また、上述した合流制御弁制御装置は、操作量検出部48から出力される操作量信号、及び圧力センサ45,46,47から出力される吐出圧信号に応じた合流制御弁52の開口面積を演算し、この開口面積に相応する制御信号を比例電磁弁51に出力するコントローラ50を備えている。
【0032】
コントローラ50は、
図3に示すように、バケット6の単独操作時の合流制御弁52の開口面積を設定する単独操作関数設定部50aと、バケット6とブーム4との複合操作時の合流制御弁52の開口面積を設定する複合操作関数設定部50bと、操作量検出部48から出力される操作量信号に応じて、単独操作関数設定部50aと複合操作関数設定部50bのうちのいずれかを選択するスイッチ部50cとを含んでいる。
【0033】
上述した単独操作関数設定部50aは、吐出圧信号の値の如何に拘わらず、合流制御弁52の開口面積を最大に保つ関数関係を有している。複合操作関数設定部50bは、吐出圧信号の値が小さいときには合流制御弁52の開口面積を小さくし、吐出圧信号の値が大きいときには合流制御弁52の開口面積を大きくする関数関係を有している。
【0034】
単独操作関数設定部50aにおける関数関係の横軸で示す吐出圧力、及び複合操作関数設定部50bにおける関数関係の横軸で示す吐出圧力は、例えば圧力センサ45,46,47のそれぞれで検出される圧力の平均値に対応するものである。
【0035】
なお
図2に示すように、第1油圧ポンプ11には、走行体1を駆動する右走行モータ14を制御する右走行用方向制御弁20と、上述の第1バケット用方向制御弁21と、第2アーム用方向制御弁22と、上述の第1ブーム用方向制御弁23とがパラレルに接続されている。
【0036】
第2油圧ポンプ12には、上述の第2ブーム用方向制御弁24と、第1アーム用方向制御弁25と、予備用方向制御弁26と、走行体1を駆動する左走行モータ15を制御する左走行用方向制御弁27とがパラレルに接続されている。
【0037】
第3油圧ポンプ13には、旋回体2を旋回させる旋回モータ16を制御する旋回用方向制御弁28と、上述の第3ブーム用方向制御弁29と、上述の第2バケット用方向制御弁31とがパラレルに接続され、第3アーム用方向制御弁30が、旋回用方向制御弁28にタンデムに接続されている。
【0038】
上述した第1アーム用方向制御弁25、第2アーム用方向制御弁22、及び第3アーム用方向制御弁30は、アーム用操作装置41によって切り換え操作される。また、上述した旋回用方向制御弁28は旋回用操作装置42によって切り換え操作される。
【0039】
このように構成した本実施形態は、例えばバケット6の単独操作が行われる場合には、バケット用操作装置43の操作に応じて第1バケット用方向制御弁21及び第2バケット用方向制御弁31が切り換えられる。
【0040】
このとき、操作量検出部48でブーム用操作装置40、アーム用操作装置41、及び旋回用操作装置42の操作は検出されず、コントローラ50のスイッチング部50cは、圧力センサ45,46,47で検出される油圧ポンプ11,12,13の吐出圧力の平均値を求める図示しない演算部を、
図3に示す単独操作関数設定部50aに接続する処理を行う。この場合、単独操作関数設定部50aの設定関係により、演算部で演算される吐出圧力(平均値)の如何に拘わらず、単独操作関数設定部50aから合流制御弁52の開口面積を最大とする制御信号が比例電磁弁51に出力される。これにより比例電磁弁51が作動し、比例電磁弁51から出力される大きな値のパイロット圧信号に応じて合流制御弁52は開口面積が最大となるように制御される。
【0041】
したがって、第1油圧ポンプ11の圧油が第1バケット用方向制御弁21を介してバケットシリンダ9に供給されるとともに、第3油圧ポンプ13の圧油が大きな開口面積の合流制御弁52、第2バケット用方向制御弁31を介して合流してバケットシリンダ9に供給される。これによりバケットシリンダ9は速い速度で作動し、バケット6を速く回動動作させることができる。
【0042】
また、バケット6と、バケット6とは異なる作動体例えばブーム4との複合操作により、土砂を掘削し、掘削した土砂をダンプトラック等に放土する掘削・放土作業が行われる場合には、バケット用操作装置43が操作されて第1,第2バケット用方向制御弁21,31が切り換えられるとともに、ブーム用操作装置40が操作され、第1,第2,第3ブーム用方向制御弁23,24,29が切り換えられる。
【0043】
このとき、操作量検出部48でブーム用操作装置40が操作されたことが検出され、スイッチング部50cは、圧力センサ45,46,47で検出される油圧ポンプ11,12,13の吐出圧力の平均値を求める図示しない演算部を、
図3に示す複合操作関数設定部50bに接続する処理を行う。
【0044】
今例えば、バケット6が空中に保持されている状態にあり、この状態から土砂の掘削・放土作業を行うものとする。
【0045】
ブーム用操作装置40の操作により、上述のように切り換えられた第1,第2,第3ブーム用方向制御弁23,24,29を介して、第1油圧ポンプ11の圧油及び第3油圧ポンプ13の圧油がブームシリンダ7に供給され、ブームシリンダ7は速い速度で作動し、ブーム下げが速く行われる。
【0046】
また、このときバケット6が空中に保持されることから、負荷圧力は低く、これに応じて圧力センサ45,46,47で検出される吐出圧力は低く、コントローラ50の複合操作関数設定部50bの設定関係に応じて、この複合操作関数設定部50bから合流制御弁52の開口面積を小さくする制御信号が比例電磁弁51に出力される。これにより比例電磁弁51が作動し、比例電磁弁51から出力される小さな値のパイロット圧信号に応じて合流制御弁52は、開口面積が小さくなるように制御される。
【0047】
したがって、バケット用操作装置43の操作により、上述のように切り換えられた第1バケット用方向制御弁21を介して第1油圧ポンプ11の圧油の一部がバケットシリンダ9に供給されるとともに、第3油圧ポンプ13から比較的小流量の圧油が合流制御弁52、第2バケット用方向制御弁31を介して合流してバケットシリンダ9に供給される。これにより、バケットシリンダ9の速度は遅くなり、バケット6は緩やかな速度で回動する。
【0048】
バケット6が接地し、掘削作業が行われると、負荷圧力が高くなり、これに応じて圧力センサ45,46,47で検出される吐出圧力が高くなり、コントローラ50の複合操作関数設定部50bの関数関係に応じて、この複合操作関数設定部50bから合流制御弁52の開口面積を大きくする制御信号が比例電磁弁51に出力される。これにより比例電磁弁51が作動し、比例電磁弁51から出力される大きな値のパイロット圧信号に応じて合流制御弁52は開口面積が大きくなるように制御される。
【0049】
したがって、第3油圧ポンプ3から比較的大きな流量の圧油が合流制御弁52、第2バケット用方向制御弁31を介して、第1バケット用方向制御弁21から供給される第1油圧ポンプ11の圧油に合流してバケットシリンダ9に供給される。これによりバケットシリンダ9の速度は速くなり、バケット6は速い速度で回動する。また、このとき第1,第2油圧ポンプ11,13の圧油のうちのかなりの量がバケット6の駆動のために活用されることから、ブームシリンダ7に供給される圧油の量が上述のブーム下げ時に比べて減り、これによりブーム4は緩やかな速度で下げ動作を行う。
【0050】
バケット6による掘削を終え、ダンプトラック等への放土のためにブーム用操作装置11をブーム上げに操作すると、負荷圧力が低くなり、これに応じて圧力センサ45,46,47で検出される吐出圧力が低くなり、コントローラ50の複合操作関数設定部50bの関数関係に基づいて、この複合操作関数設定部50bから合流制御弁52の開口面積を小さくする制御信号が比例電磁弁51に出力される。これにより比例電磁弁51が作動し、比例電磁弁51から出力される小さな値のパイロット圧信号に応じて合流制御弁52は開口面積が小さくなるように制御される。
【0051】
したがって、第3油圧ポンプ13から比較的小さな流量の圧油が合流制御弁52、第2バケット用方向制御弁31を介して、第1バケット用方向制御弁21から供給される第1油圧ポンプ11の圧油の一部に合流してバケットシリンダ9に供給される。これにより、バケットシリンダ9の速度は上述の掘削作業時に比べて遅くなり、バケット6は緩やかに回動する。また、このとき第1,第3油圧ポンプ11,13の圧油のうちのかなりの量がブームシリンダ7に供給され、ブーム4は速い速度で上げ動作を行う。
【0052】
上述のように本実施形態によれば、バケット6と、ブーム4との複合操作による掘削・放土作業に際して、フロント作業機3を下方向に回動させてバケット6が接地するまでの間は、ブーム4の下げ動作を速く行わせ、また、バケット6の回動を緩やかに行わせ、掘削時にはバケット6の回動を速く行わせ、掘削を終えてダンプトラック等に放土させる際には、ブーム4の上げ動作を速く行わせ、また、バケット6の回動を緩やかに行わせることができる。
【0053】
すなわち本実施形態は、バケット6と、ブーム4の複合操作時に、第1,第3油圧ポンプ11,13の圧油を合流させてバケットシリンダ9に供給する合流制御弁52の開状態を維持しながら、合流制御弁52の開口面積を負荷圧力に応じて変更可能にコントローラ50等を介して制御することから、バケット6と、ブーム4の複合操作に際し、実施される掘削・放土作業等の所望の作業に好適な速度でバケット6を駆動することができる。これにより本実施形態は、バケット6と、ブーム4との複合操作に際し、操作性及び作業性を向上させることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、バケット6とは異なる所定の作動体としてブーム4を挙げたが、この作動体はアーム5であってもよく、また旋回体2であってもよい。これに対応して、特定アクチュエータがアームシリンダ8、旋回モータ16であってもよく、特定アクチュエータ用方向制御弁がアーム用方向制御弁22,25,30、旋回用方向制御弁28であってもよく、また、特定アクチュエータ用操作装置が、アーム用操作装置41、旋回用操作装置42であってもよい。
【0055】
また、上記では3つの油圧ポンプ11,12,13を設けた構成にしてあるが、2つ、あるいは4つ以上の油圧ポンプを設けた構成にしてもよい。