(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961583
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】粒子分離器
(51)【国際特許分類】
B64D 13/06 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
B64D13/06
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-87044(P2013-87044)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-947(P2014-947A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2013年4月18日
【審判番号】不服2015-5927(P2015-5927/J1)
【審判請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】13/525,836
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ エム.ビアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレント ジェイ.メリット
【合議体】
【審判長】
島田 信一
【審判官】
一ノ瀬 覚
【審判官】
尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−514179(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第2642662(FR,A1)
【文献】
特表2007−500655(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0078147(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/036541(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の空気ユニットの冷却流体流路に異物が入ることを防ぐ粒子分離器であって、
前記冷却流体流路とは反対向きのラム空気流内に突出するように該冷却流体流路の端部に設けられた全体として円錐形の本体を有し、この円錐形の本体は、前記冷却流体流路に空気が流入可能となるように複数の同様の孔を含み、前記ラム空気流に対する前記円錐形の本体の側面の角度が、該ラム空気流によって該円錐形の本体の表面から異物が除去される角度に設けられていることを特徴とする粒子分離器。
【請求項2】
前記円錐形の本体の前記側面の前記角度は、おおよそ25〜35°であることを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項3】
前記側面の前記角度は、30°であることを特徴とする請求項2記載の粒子分離器。
【請求項4】
前記全体として円錐形の本体は、粗いメッシュ材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項5】
前記孔は、約1/16〜1/12平方インチの断面積を有することを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項6】
前記孔は、正方形であり、約1/16平方インチの断面積を有することを特徴とする請求項5記載の粒子分離器。
【請求項7】
前記孔は、5ミクロンより大きい異物が前記冷却流体流路に入ることを防ぐことを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項8】
航空機の空気ユニットに異物が入ることを防ぐシステムであって、
ラム入口ヘッダと、
ラム入口ヘッダの壁に取り付けられ、冷却流体流路の一部を画成する第1の端部を有する逆J字管と、
前記冷却流体流路に異物が入ることを防ぐように前記逆J字管の第1の端部に着脱可能に取り付けられるとともに、前記冷却流体流路に空気が流入可能となるように複数の同様の孔を含む粒子分離器であって、前記冷却流体流路とは反対向きのラム空気流内に突出する全体として円錐形状を有し、該ラム空気流によって表面から異物が除去される粒子分離器と、を有するシステム。
【請求項9】
前記ラム空気流に対する前記粒子分離器の円錐形状の側面の角度は、約25〜35°であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記側面の前記角度は、30°であることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記粒子分離器は、複数の孔を含むことを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記粒子分離器は、粗いメッシュ材料で形成されていることを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記孔は、約1/16〜1/12平方インチの断面積を有することを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記孔は正方形であり、約1/16平方インチの断面積を有することを特徴とする請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記孔は、5ミクロンよりも大きい異物が前記冷却流体流路に入ることを防ぐことを特徴とする請求項11記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な実施例は、航空機で使用される空気ユニットの冷却流体流路に関し、特に、空気ユニットの冷却流体流路に異物やデブリが入ることを防ぐことに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機で使用される従来の空気ユニットは、ジャーナル軸受およびスラスト軸受によって支持されるモータを含む。空気ユニットは、モータなどを冷却する冷却流体が通過する冷却流体流路を含む。例えば、砂、灰、虫などのデブリや異物が空気ユニットの冷却流体流路に入ると、モータや軸受に悪影響を与えるおそれがある。このような影響は、モータや軸受の性能の劣化や過剰な摩耗を含み、空気ユニットの追加の保守が要求されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現行の粒子分離器は、流体から大きい粒子を除去することができるが、粒径が小さくなるに従って効率が低下する。例えば、砂漠環境で一般的な8ミクロンより小さい直径を有する細砂は、地表の近くで動作している場合に空気ユニットにとって特に問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施例によれば、航空機の空気ユニットの冷却流体流路に異物が入ることを防ぐ、全体として円錐形の本体を含む粒子分離器が提供される。円錐形の本体は、空気が冷却流体流路に入ることを可能にする複数の同様の孔を含む。円錐形の本体の角度は、冷却流体流路とは反対向きの空気流が円錐形の本体の表面から異物を除去する角度に設けられている。
【0005】
本発明の他の実施例によれば、航空機の空気ユニットに異物が入ることを防ぐ、ラム空気ヘッダの壁に取り付けられた逆J字管を含むシステムが提供される。逆J字管の第1の端部は、冷却流体流路の一部を画成する。ラム空気ヘッダは、さらに、逆J字管の第1の端部に着脱可能に取り付けられた粒子分離器を含む。この粒子分離器は、冷却流体流路に異物が入ることを防ぐ。粒子分離器は、全体として円錐形状を有する。冷却流体流路とは反対向きの空気流が、粒子分離器の表面から異物を除去する。
【0006】
本発明は、特に、以下の請求項に記載されている。上述およびその他の本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面によって明らかになる。詳細な説明では、図面を参照して本発明の実施例および本発明の利点や特徴を例示的に説明している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の実施例に係る
図1の空気ユニットの部分透視図である。
【
図3】本発明の実施例に係るJ字管の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
航空機で使用される例示的な空気ユニット10が
図1に示されている。ユニット10は、ロータブレード14を支持するファンロータ12を含む。電気モータ16がファンロータ12を回転駆動する。
【0009】
モータ16は、モータハウジング18内に配置され、入口ハウジング20がモータハウジング18に固定されている。入口ハウジング20は、ロータブレード14に空気を供給する熱交換器入口を提供する。開示された例では、入口22はラム空気ダクト23から空気を受け入れる。ロータブレード14は、熱交換器24(概略的に図示)を通るように環境空気を吸引するとともに、この空気を機外に放出する。
【0010】
モータ16は、モータハウジング18内に配置されたステータ32を含み、このステータ32は、磁界を発生させて熱を発生し、ファンロータ12を回転させる。図示の例では、ファンロータ12は、スラスト軸受36とファンロータ12の両端に配置されたジャーナル軸受38によって支持されている。
【0011】
通路40が、熱交換器入口22と流体的に連通しており、モータハウジング18の内部と流体的に連通する冷却入口42に冷却流体を供給する。モータハウジング18には、熱交換器出口と流体的に連通する通気孔44が設けられている。熱交換器入口22は、高圧側Hにあり、通気孔44は低圧側Lにある。通気孔44は、ラム空気ダクト23に設けられた出口50と流体的に連通している。流路Mとして示しているように、高圧側Hと低圧側Lとの圧力差により、冷却流体がモータ冷却入口42を通ってステータを冷却するように流れる。
【0012】
逆J字管48が、ラム空気ダクト23の高圧側Hに設けられている。この逆J字管48は、ラム空気ダクト23からの空気をフィルタに通す。流路49が、逆J字管48を冷却入口42に流体的に連通させる。清浄な冷却流体が、高圧側Hの逆J字管から軸受36,38およびモータ16に流れ、低圧側Lの通気孔44から出る。これにより、冷却流れを提供するためにエンジン抽気などの供給源からの加圧空気が不要となる。冷却流体は、流路Bとして示すように、ベアリング36,38およびモータを冷却するようにモータハウジング18を通って流れる。
【0013】
出口50は、ラム空気ダクト23内に設けられた電気モータ54によって駆動されるファンロータ56の下流に位置する。入口22は、ラム空気ダクト23内の熱交換器52の上流でファン56の前方に設けることができる。熱交換器52、電気モータ54およびファン56は、空調パックの一部とすることができる。
【0014】
続いて、
図2を参照すると、ラム空気ダクト23内の入口ハウジング20がより詳細に示されている。一実施例では、入口ハウジング20は、ラム入口ヘッダである。入口ハウジング20に隣接して、第1の逆J字管48と第2の逆J字管48’が設けられている。一実施例では、第1の逆J字管48と第2の逆J字管が合わせて全体として半円形状を成すように、第2の逆J字管48’が第1の逆J字管48に対して180°回転されている。一実施例では、第1の逆J字管48と第2の逆J字管48’は、入口ハウジング20の壁70を介して互いに連結されている。第1の逆J字管48を入口ハウジング20内に配置し、第2の逆J字管48’をラム空気ダクト23内で壁70の反対面に取り付けることができる。ラム空気ダクト23内の空気は、矢印Fの方向に流れる。ラム空気ダクト23の空気の一部が、入口ハウジング20に入って通路40に沿って(点線によって概略的に示す)熱交換器24の入口22まで流れる。通路40に沿って流れる空気の一部は、第1の逆J字管48の第1の端部80において、矢印Cで示す方向で冷却流体流路に引き込まれる。冷却流体流路Cに引き込まれた空気は、ラム空気ダクト23内の空気流Fとは反対方向に流れる。
【0015】
ベアリング36,38およびモータ16の損傷を防止するために、第1の逆J字管48に入る空気と、その後空気が移動する通路49は、虫や紙などのデブリや他の異物を含まないようにしなければならない。
図3は、入口ハウジング20内に配置された第1の逆J字管48の詳細な説明図である。第1の逆J字管48の第1の端部80には、粒子分離器90が取り付けられている。粒子分離器90は、複数のほぼ同様の孔92を含み、これらの孔92は、空気が粒子分離器90を通って冷却流体流路Cに沿って逆J字管48内に流れることを可能にするとともに、軽い異物がこのように流れることを不能にする大きさに設けられている。粒子分離器90は、フィルタとして機能し、5ミクロンよりも大きい粒子が第1の逆J字管48に入ることを防ぐ。一実施例では、粒子分離器90は、約1/16〜1/12平方インチの断面積の孔92を有する粗いメッシュ材料から形成される。孔92の大きさおよび形状は、選択された空気ユニット10およびその用途に基づいて決めることができる。孔92は、例えば、正方形、長方形、菱形を含むがこれらに限定されないあらゆる形状とすることができる。粒子分離器90は、耐久性および耐食性がある金属やプラスチックなどを含むあらゆる材料で形成可能である。
【0016】
粒子分離器90の形状は、ラム空気ダクト23内の空気流Fを粒子分離器90の外面を“清浄化する”ために利用する。一実施例では、粒子分離器90は、全体として円錐形であり、最大の直径を有する粒子分離器90の部分は第1の逆J字管48の第1の端部80に取り付けられている。粒子分離器90の角度αは、約25〜35°とすることができる。一実施例では、角度αは30°である。冷却流体流路Cとは反対方向の通路40に沿った空気流Fの力は、粒子分離器90の表面から異物やデブリを除去する。通路40に沿った空気流Fは、逆J字管48の第1の端部80に空気が流入することを妨げうる閉塞のおそれを排除する。粒子分離器90の第1の端部94を第1の逆J字管48の第1の端部80に着脱可能に取り付ける連結部には、機械的締結具、接着剤および他の同様の手段を含むがこれらに限定されない多くのものがある。一実施例では、粒子分離器90は、第1の逆J字管48の第1の端部94に溶接してもよい。また、第1の逆J字管48の第1の端部80に対して粒子分離器90を定位置に保持するために締結具を使用することもできる。
【0017】
第1の逆J字管48の端部に粒子分離器90を含むことにより、異物が冷却流体流路Cに入ることが制限され、このようなデブリに起因する軸受36,38およびモータ16の保守が最小限に抑えられる。粒子分離器は、航空機が地上にあるときや飛行中に異物がJ字管に入ることを防ぐ。粒子分離器が、“自浄式”であるため、デブリによってJ字管48の端部への冷却流体流路Cが塞がれることがない。さらに、粒子分離器90は、航空機の保守時に必要に応じて容易に取り外すことができる。
【0018】
本発明を限られた数の実施例に関連して詳細に説明したが、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。むしろ、本発明は、上述していないが本発明の趣旨および範囲と同等のあらゆる変形、変更、代替物または同等の構成を含むように改良することができる。また、本発明の種々の実施例を説明したが、本発明の形態はいくつかの実施例のみを含みうる。よって、本発明は、上述の説明によって限定されるものではなく、添付の請求の範囲のみによって限定されるものである。
【符号の説明】
【0019】
48…第1の逆J字管
80…第1の逆J字管の第1の端部
90…粒子分離器
92…孔
94…粒子分離器の第1の端部
C…冷却流体流路
F…ラム空気ダクト内の空気流