特許第5961588号(P5961588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961588
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電源回路及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   H02M3/155 B
   H02M3/155 H
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-126299(P2013-126299)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-2625(P2015-2625A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山澤 麻理子
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204022(JP,A)
【文献】 特開2002−312043(JP,A)
【文献】 特開2006−060939(JP,A)
【文献】 特開2005−242704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧から出力電圧を生成する電源回路であって、
前記出力電圧と予め定められた基準電圧との電圧差を増幅して誤差電圧を出力する第1誤差増幅部と、
前記第1誤差増幅部よりも消費電力が大きく、且つ、前記第1誤差増幅部よりも高速に前記誤差電圧を出力する第2誤差増幅部と、
前記第1誤差増幅部又は前記第2誤差増幅部により出力された前記誤差電圧に基づいて、前記基準電圧に基づいて定められたレベルの前記出力電圧を前記入力電圧から生成する電圧生成部と、
前記電源回路の起動又は停止を指示する指示信号が入力され、前記電源回路の起動を指示する指示信号が入力された場合、前記出力電圧が所定の第1レベルに到達するまで、前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記出力電圧が前記第1レベルに到達すると、前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させる切替部と、
を備え
前記切替部は、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号が入力された場合、前記出力電圧が前記第1レベル以下の第2レベルに低下するまで、前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記出力電圧が前記第2レベルまで低下すると、前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、
前記指示信号は、ハイレベル又はローレベルの信号であり、
前記電源回路の起動を指示する前記指示信号と前記電源回路の停止を指示する前記指示信号とは互いに異なるレベルを示し、
前記切替部は、
前記出力電圧が前記第1レベルに到達するまでの間、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号と同じレベルを示す信号を出力し、前記出力電圧が前記第1レベルに到達すると、前記電源回路の起動を指示する前記指示信号と同じレベルを示す信号を出力し、その後、前記出力電圧が前記第2レベルまで低下すると、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号と同じレベルの信号を出力する比較器と、
前記指示信号と前記比較器から出力される信号とが互いに異なるレベルを示す場合に、肯定を示す信号を出力し、前記指示信号と前記比較器から出力される信号とが同じレベルを示す場合に、否定を示す信号を出力するXORゲートと、
前記XORゲートから肯定を示す信号が出力されると前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記XORゲートから否定を示す信号が出力されると前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させるスイッチと、を備える電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路と、
前記電源回路によって生成された前記出力電圧を用いて動作する負荷と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧から出力電圧を生成する電源回路及び当該電源回路を備えた電子機器に関し、特に、電源回路を起動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載されているように、外部電源から常時供給される入力電圧を用いて、携帯電話等の負荷に安定した電圧を供給する定電圧回路を複数備える技術が知られている。これらの定電圧回路は、同様の回路構成であるが、回路に含まれるオペアンプに流す電流の大きさの相違によって回路の応答性が異なっている。そして、負荷が動作状態(アクティブモード)であるか待機状態(スリープモード)であるかに応じて、使用する定電圧回路を切り替えることによって、定電圧回路の応答性を向上させるか、定電圧回路で消費する電流を抑制するかを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−117650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、電源回路(定電圧回路)へは入力電圧が常時供給されている構成であるため、負荷が待機状態であるにも関わらず、少なからず電源回路において電力が消費される虞があり、省エネの観点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、電源回路を複数設け、負荷毎に、当該各負荷へ出力電圧を供給する電源回路を異ならせ、待機状態の負荷へ出力電圧を供給するための電源回路を停止させ、動作状態の負荷へ出力電圧を供給するための電源回路のみを起動することが考えられる。これにより、待機状態の負荷へ出力電圧を供給するための電源回路の消費電力を削減することができるが、負荷の状態が動作状態に切り替わる度に、当該負荷へ出力電圧を供給するための電源回路を起動して、当該負荷を動作させるのに必要な所定レベルの出力電圧を生成させなければならない。このため、負荷の状態が動作状態に切り替わってから当該負荷へ所定レベルの出力電圧を供給するまでに時間がかかるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、入力電圧から出力電圧を生成する電源回路及び当該電源回路を備えた電子機器において、電源回路を起動して所定レベルの出力電圧を生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電源回路は、入力電圧から出力電圧を生成する電源回路であって、前記出力電圧と予め定められた基準電圧との電圧差を増幅して誤差電圧を出力する第1誤差増幅部と、前記第1誤差増幅部よりも消費電力が大きく、且つ、前記第1誤差増幅部よりも高速に前記誤差電圧を出力する第2誤差増幅部と、前記第1誤差増幅部又は前記第2誤差増幅部により出力された前記誤差電圧に基づいて、前記基準電圧に基づいて定められたレベルの前記出力電圧を前記入力電圧から生成する電圧生成部と、前記電源回路の起動又は停止を指示する指示信号が入力され、前記電源回路の起動を指示する指示信号が入力された場合、前記出力電圧が所定の第1レベルに到達するまで、前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記出力電圧が前記第1レベルに到達すると、前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させる切替部と、を備え、前記切替部は、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号が入力された場合、前記出力電圧が前記第1レベル以下の第2レベルに低下するまで、前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記出力電圧が前記第2レベルまで低下すると、前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記指示信号は、ハイレベル又はローレベルの信号であり、前記電源回路の起動を指示する前記指示信号と前記電源回路の停止を指示する前記指示信号とは互いに異なるレベルを示し、前記切替部は、前記出力電圧が前記第1レベルに到達するまでの間、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号と同じレベルを示す信号を出力し、前記出力電圧が前記第1レベルに到達すると、前記電源回路の起動を指示する前記指示信号と同じレベルを示す信号を出力し、その後、前記出力電圧が前記第2レベルまで低下すると、前記電源回路の停止を指示する前記指示信号と同じレベルの信号を出力する比較器と、前記指示信号と前記比較器から出力される信号とが互いに異なるレベルを示す場合に、肯定を示す信号を出力し、前記指示信号と前記比較器から出力される信号とが同じレベルを示す場合に、否定を示す信号を出力するXORゲートと、前記XORゲートから肯定を示す信号が出力されると前記第2誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させ、前記XORゲートから否定を示す信号が出力されると前記第1誤差増幅部に前記誤差電圧を出力させるスイッチと、を備える
【0008】
この構成によれば、電源回路の起動を指示する指示信号が入力されると、出力電圧が所定の第1レベルに到達するまでの間、第2誤差増幅部によって誤差電圧が出力される。このため、出力電圧が第1レベルに到達するまでの間、第1誤差増幅部によって誤差電圧を出力させる場合に比して、誤差電圧の出力速度を向上することができる。これによって、電源回路の起動を指示する指示信号が入力されてから、電圧生成部によって出力される出力電圧が第1レベルに到達するまでの時間、つまり、電源回路を起動して出力電圧が基準電圧に基づいて定められたレベルに近づいたと考えられるようになるまでに要する時間を、出力電圧が第1レベルに到達するまでの間第1誤差増幅部によって誤差電圧を出力させる場合に比して低減することができる。
【0009】
また、この構成によれば、出力電圧が第1レベルに到達した場合には、第1誤差増幅部によって誤差電圧が出力される。つまり、出力電圧が第1レベルに到達し、出力電圧が基準電圧に基づいて定められたレベルに近づいたと考えられるようになった場合に、第2誤差増幅部に誤差電圧を出力させる場合に比して、電源回路が動作するときの消費電力を低減することができる。このように、本構成によれば、電源回路を起動して所定レベルの出力電圧を生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することができる。
【0011】
この構成によれば、電源回路の停止を指示する指示信号が入力されると、出力電圧が第2レベルに低下するまで、第1誤差増幅部よりも消費電力が大きい第2誤差増幅部によって誤差電圧が出力される。このため、出力電圧が第2レベルに低下するまでの間、第1誤差増幅部によって誤差電圧を出力させる場合に比して、電源回路から供給される出力電圧を低下させる速度を向上することができる。
【0012】
また、この構成によれば、出力電圧が第2レベルまで低下すると、第2誤差増幅部よりも消費電力が小さい第1誤差増幅部によって誤差電圧が出力される。このため、出力電圧が第2レベルまで低下した場合に、第2誤差増幅部に誤差電圧を出力させるときに比して、電源回路を停止させるときの消費電力を低減することができる。このように、本構成によれば、電源回路を停止して出力電圧を低下させるのに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することができる。
【0014】
この構成によれば、切替部が、比較器とXORゲートとスイッチとを備えた簡素化された構成で構成されているので、低コストで、電源回路を起動して所定レベルの出力電圧を生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することができる。
【0015】
本発明による電子機器は、前記電源回路と、前記電源回路によって生成された前記出力電圧を用いて動作する負荷と、を備える。
【0016】
この構成によれば、前記電源回路を備えた電子機器において、負荷を動作させるべく、電源回路を起動して所定レベルの出力電圧を生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、入力電圧から出力電圧を生成する電源回路及び当該電源回路を備えた電子機器において、電源回路を起動して所定レベルの出力電圧を生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路における消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電子機器の一実施形態に係る複写機の電気的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の電源回路の一実施形態に係る電源回路を示す回路図である。
図3】切替部を詳細に示す回路図である。
図4】切替部による入力電圧の供給先を切り替える動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子機器の一実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本実施形態では、電子機器として複写機を例に説明するが、これに限定する趣旨ではなく、電子機器は、例えば、プリンター、ファクシミリ装置、又はスキャナー等の画像処理装置や、これら画像処理装置の機能を兼ね備えた複合機、ゲーム機、携帯電話、及びカーナビゲーション装置であってもよい。
【0020】
図1は、本発明の電子機器の一実施形態に係る複写機1の電気的構成を示すブロック図である。例えば図1に示すように、複写機1は、電源部12と、給電スイッチ11a〜11cと、電源回路2a〜2cと、負荷9a〜9cと、主制御部10と、を備えている。
【0021】
電源部12は、不図示のAC/DCコンバーターとメインスイッチとを備え、メインスイッチがオンされた場合に、AC/DCコンバーターを用いて、商用交流電圧を所定レベルの直流電圧に変換する。電源部12は、当該変換した直流電圧を、給電スイッチ11a〜11cを介してそれぞれ電源回路2a〜2cへ供給する。以下、電源部12から供給される直流電圧を入力電圧Vinと示す。
【0022】
給電スイッチ11aは、主制御部10による制御の下、オンオフが切り換えられるスイッチである。給電スイッチ11aがオンにされると、電源部12から電源回路2aへ入力電圧Vinが供給され、給電スイッチ11aがオフにされると、電源部12から電源回路2aへの入力電圧Vinの供給が遮断される。給電スイッチ11b、11cは、給電スイッチ11aと同様の構成であるため、説明を省略する。尚、以下では、給電スイッチ11a〜11cを総称して説明する場合に、給電スイッチ11と示す。
【0023】
電源回路2aは、主制御部10による制御の下、電源部12から給電スイッチ11aを介して供給される入力電圧Vinを用いて、負荷9aを動作させるのに必要な出力電圧Vaを生成する。電源回路2b、2cは、電源回路2aと同様の構成であるため、説明を省略する。尚、負荷9aには、例えば、画像を用紙に形成する画像形成部が含まれる。負荷9bには、例えば、原稿の画像を読み取る画像読取部が含まれる。負荷9cには、例えば、複写機1の動作状態を示す情報等の各種情報を表示する、液晶ディスプレイ等の表示部が含まれる。
【0024】
主制御部10は、例えば、不図示のDCDCコンバーターと、所定の演算処理を実行する不図示のCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不図示の不揮発性メモリーと、データを一時的に記憶するための不図示のRAM(Dynamic Random Access Memory)と、ユーザーに複写機1の各種操作指示を入力させるための不図示の操作部と、これらの周辺回路等と、を備えている。
【0025】
主制御部10には、電源部12のメインスイッチがオンの間は、入力電圧Vinが常時供給される。主制御部10は、不図示のDC/DCコンバーターを備え、DC/DCコンバーターを用いて入力電圧Vinを所定レベルの直流電圧に変換し、当該直流電圧を主制御部10に備えられた各部に供給する。つまり、主制御部10に備えられた各部は、電源部12のメインスイッチがオンの間は、動作可能になっている。
【0026】
主制御部10は、CPUが不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムを実行することによって、複写機1の各部の動作を統括して制御する。例えば、主制御部10は、電源部12のメインスイッチがオンにされた当初、負荷9a〜9cを動作可能な状態にする。具体的には、主制御部10は、電源部12のメインスイッチがオンにされると、給電スイッチ11aをオンにして、入力電圧Vinを電源回路2aへ供給するとともに、電源回路2aを起動する指示を示すハイレベルのイネーブル信号EN(指示信号)を電源回路2aへ出力する。これにより、電源回路2aが起動して出力電圧Vaが生成されるようになると、負荷9aは動作可能な状態になる。
【0027】
同様に、主制御部10は、電源部12のメインスイッチがオンにされると、給電スイッチ11b、11cをオンにして、入力電圧Vinを電源回路2b、2cへ供給するとともに、ハイレベルのイネーブル信号ENを電源回路2b、2cへ出力する。これにより、電源回路2b、2cが起動して出力電圧Vb、Vcが生成されるようになると、負荷9b、9cは、動作可能な状態になる。
【0028】
一方、主制御部10は、複写機1の操作が一定期間行われない場合、例えば、表示部を含む負荷9cのみ動作可能な状態にし、画像形成部や画像読取部を含む負荷9a、9bの動作を停止させて、複写機1の消費電力を低減する。
【0029】
具体的には、主制御部10は、複写機1の操作が一定期間行われない場合には、給電スイッチ11aをオフにして、入力電圧Vinの電源回路2aへの供給を遮断するとともに、電源回路2aを停止する指示を示すローレベルのイネーブル信号ENを電源回路2aへ出力する。これにより、電源回路2aが停止して出力電圧Vaが生成されなくなると、負荷9aは動作を停止するようになる。
【0030】
同様に、主制御部10は、複写機1の操作が一定期間行われない場合には、給電スイッチ11bをオフにして、入力電圧Vinの電源回路2bへの供給を遮断するとともに、電源回路2bを停止する指示を示すローレベルのイネーブル信号ENを電源回路2bへ出力する。これにより、電源回路2bが停止して出力電圧Vbが生成されなくなると、負荷9bは動作を停止するようになる。
【0031】
尚、イネーブル信号ENに基づいて、電源回路2a〜2cが起動又は停止する動作の詳細については後述する。また、イネーブル信号ENは、上記とは反対に、ハイレベルの場合に各電源回路を停止する指示を示し、ローレベルの場合に各電源回路を起動する指示を示すようにしてもよい。
【0032】
以下では、電源回路2a〜2cの詳細について図2を用いて説明する。尚、電源回路2a〜2cは同様の構成であるため、以下では、電源回路2a〜2cを総称して説明する場合に、電源回路2と示す。図2は、本発明の電源回路の一実施形態に係る電源回路2を示す回路図である。
【0033】
図2に示すように、電源回路2は、スイッチトランジスターST3〜ST8と、切替部5a、5bと、分圧抵抗R1〜R4と、第1誤差増幅部3bと、第2誤差増幅部3aと、電圧生成部4と、を備えている。
【0034】
切替部5a、5bは、主制御部10によって出力されたイネーブル信号ENと電源回路2の出力電圧Voutに基づいて、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を動作させるか、又は、第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4を動作させるか、を切り替える。
【0035】
具体的には、切替部5aは、入力電圧VinをノードN1を端部とする給電線L1へ供給するか、入力電圧VinをノードN2を端部とする給電線L2へ供給するかを切り替えるスイッチ51aを備えている。切替部5bは、切替部5aと同様の構成であり、入力電圧VinをノードN3を端部とする給電線L3へ供給するか、入力電圧VinをノードN4を端部とする給電線L4へ供給するかを切り替えるスイッチ51bを備えている。
【0036】
尚、スイッチ51aが入力電圧Vinの供給先を給電線L1に切り替える場合、スイッチ51bは、入力電圧Vinの供給先を給電線L3に切り替え、スイッチ51aが入力電圧Vinの供給先を給電線L2へ切り替える場合、スイッチ51bは、入力電圧Vinの供給先を給電線L4に切り替えるように構成されている。
【0037】
スイッチ51aによって入力電圧Vinの供給先が給電線L1に切り替えられ、スイッチ51bによって入力電圧Vinの供給先が給電線L3に切り替えられた場合、スイッチトランジスターST3、ST4、ST5がオンになり、第2誤差増幅部3aと電圧生成部4とが通電状態になる。これによって、第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4が動作可能になる。反対に、スイッチ51aによって入力電圧Vinの供給先が給電線L2に切り換えられ、スイッチ51bによって入力電圧Vinの供給先が給電線L4に切り換えられた場合、スイッチトランジスターST6、ST7、ST8がオンになり、第1誤差増幅部3bと電圧生成部4とが通電状態になる。これによって、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4が動作可能になる。
【0038】
切替部5a、5bが、イネーブル信号ENと出力電圧Voutに基づいて、スイッチ51a、51bによって入力電圧Vinの供給先を切り替えさせる構成の詳細については後述する。
【0039】
第1誤差増幅部3bは、電源回路2の出力電圧Voutと予め定められた基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して誤差電圧Vebを出力する。
【0040】
具体的には、第1誤差増幅部3bは、基準電圧生成回路31bと誤差アンプ32bとを備えている。基準電圧生成回路31bは、入力電圧Vinを用いて基準電圧Vrefを生成して誤差アンプ32bへ出力する。誤差アンプ32bは、出力電圧Voutを分圧抵抗R1、R2で分圧した分圧電圧Vdbと基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して、当該増幅した誤差電圧Vebを電圧生成部4へ出力する。
【0041】
第2誤差増幅部3aは、第1誤差増幅部3bと同様に、電源回路2の出力電圧Voutと基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して誤差電圧Veaを出力する。
【0042】
具体的には、第2誤差増幅部3aは、基準電圧生成回路31aと誤差アンプ32aとを備えている。基準電圧生成回路31aは、基準電圧生成回路31bと同様の構成であり、入力電圧Vinを用いて基準電圧Vrefを生成して誤差アンプ32aへ出力する。誤差アンプ32aは、出力電圧Voutを分圧抵抗R3、R4で分圧した分圧電圧Vdaと基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して、当該増幅した誤差電圧Veaを電圧生成部4へ出力する。
【0043】
また、誤差アンプ32aは、誤差アンプ32bよりも消費電力が大きく、且つ、誤差アンプ32bよりも高速に誤差電圧Veaを出力するように構成されている。つまり、第2誤差増幅部3aは、第1誤差増幅部3bよりも消費電力が大きく、且つ、第1誤差増幅部3bよりも高速に誤差電圧Veaを出力するように構成されている。
【0044】
電圧生成部4は、第1誤差増幅部3bにより出力された誤差電圧Veb又は第2誤差増幅部3aにより出力された誤差電圧Veaに基づいて、出力電圧Voutが基準電圧Vrefに基づいて定められたレベルとなるように、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成する。
【0045】
具体的には、電圧生成部4は、PWMスイッチング回路41a、41bと、スイッチトランジスターST1、ST2と、インダクターLと、平滑コンデンサーCと、を備えている。
【0046】
PWMスイッチング回路41aは、不図示の発振回路を備えている。当該発振回路は、所定周期のパルス信号を出力する。PWMスイッチング回路41aは、パルス信号がローレベルの間、スイッチトランジスターST1をオンし、且つ、スイッチトランジスターST2をオフにする。反対に、PWMスイッチング回路41aは、パルス信号がハイレベルの間、スイッチトランジスターST1をオフし、且つ、スイッチトランジスターST2をオンにする。
【0047】
そして、PWMスイッチング回路41aは、分圧電圧Vdaが基準電圧Vrefよりも小さく、つまり、誤差電圧Vdaがマイナス(負)のレベルのときは、発振回路から出力されるパルス信号のローレベルのデューティ比を所定量大きくし、これによって、スイッチトランジスターST1をオンにし、且つ、スイッチトランジスターST2をオフにする期間を所定期間長くする。PWMスイッチング回路41aは、これを繰り返して、スイッチトランジスターST1がオンの間、入力電圧VinをインダクターL及び平滑コンデンサーCを介して直流電圧に変換させることによって、出力電圧Voutのレベルを次第に上昇させる。
【0048】
反対に、PWMスイッチング回路41aは、分圧電圧Vdaが基準電圧Vrefよりも大きく、つまり、誤差電圧Vdaがプラス(正)のレベルのときは、発振回路から出力されるパルス信号のハイレベルのデューティ比を所定量大きくし、これによって、スイッチトランジスターST1をオフにし、且つ、スイッチトランジスターST2をオンにする期間を所定期間長くする。PWMスイッチング回路41aは、これを繰り返して、スイッチトランジスターST1がオフの間、入力電圧VinをインダクターL及び平滑コンデンサーCを介して直流電圧に変換させないことによって、出力電圧Voutのレベルを次第に下降させる。
【0049】
PWMスイッチング回路41bは、PWMスイッチング回路41aと同様の構成であり、分圧電圧Vdbが基準電圧Vrefよりも小さく、つまり、誤差電圧Vdbがマイナスのレベルのときは、発振回路から出力されるパルス信号のローレベルのデューティ比を所定量大きくして、スイッチトランジスターST1をオンにし、且つ、スイッチトランジスターST2をオフにする期間を所定期間長くする。PWMスイッチング回路41bは、これを繰り返して、スイッチトランジスターST1がオンの間、入力電圧VinをインダクターL及び平滑コンデンサーCを介して直流電圧に変換させることによって、出力電圧Voutのレベルを次第に上昇させる。
【0050】
反対に、PWMスイッチング回路41bは、分圧電圧Vdbが基準電圧Vrefよりも大きく、つまり、誤差電圧Vdbがプラスのレベルのときは、発振回路から出力されるパルス信号のハイレベルのデューティ比を所定量大きくし、これによって、スイッチトランジスターST1をオフにし、且つ、スイッチトランジスターST2をオンにする期間を所定期間長くする。PWMスイッチング回路41bは、これを繰り返して、スイッチトランジスターST1がオフの間、入力電圧VinをインダクターL及び平滑コンデンサーCを介して直流電圧に変換させないことによって、出力電圧Voutのレベルを次第に下降させる。
【0051】
このように、電圧生成部4は、出力電圧Voutを第1誤差増幅部3b又は第2誤差増幅部3aにフィードバックして得られた誤差電圧Vea、Vebに基づいて、スイッチトランジスターST1、ST2、ST3、ST4のオンオフのデューティ比を変化させることで、出力電圧Voutが基準電圧Vrefに基づく以下の関係式によって定まるレベルとなるように、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成する。
a)第1誤差増幅部3bが誤差電圧Vebを出力する場合
Voutのレベル=Vrefのレベル×(R1の抵抗値+R2の抵抗値)/R2の抵抗値
b)第2誤差増幅部3aが誤差電圧Veaを出力する場合
Voutのレベル=Vrefのレベル×(R3の抵抗値+R4の抵抗値)/R4の抵抗値
【0052】
次に、切替部5a、5bが、イネーブル信号ENと出力電圧Voutに基づいて、スイッチ51a、51bによって入力電圧Vinの供給先を切り替えさせる構成の詳細について説明する。図3は、切替部5a、5bを詳細に示す回路図である。尚、切替部5a、5bは、同様の構成であるため、以下では、切替部5a、5bを総称して説明する場合に、切替部5と示す。また、スイッチ51a、51bは、同様の構成であるため、以下では、スイッチ51a、51bを総称して説明する場合に、スイッチ51と示す。
【0053】
図3に示すように、切替部5は、基準閾値生成回路52と、ヒステリシスコンパレーター53(比較器)と、XORゲート54と、スイッチ51と、を備えている。
【0054】
基準閾値生成回路52は、入力電圧Vinを用いて基準閾値電圧Vtを生成してヒステリシスコンパレーター53の反転入力端子(図中の「−」)へ出力する。
【0055】
ヒステリシスコンパレーター53は、不図示の抵抗を備え、当該抵抗の抵抗値と基準閾値電圧Vtとに基づいて定まる第1閾値電圧Vth(第1レベル)と第1閾値電圧Vthよりも低い第2閾値電圧Vtl(第2レベル)とを用いて、電源回路2の出力電圧Voutと、第1閾値電圧Vth及び第2閾値電圧Vtlと、を比較する。
【0056】
ヒステリシスコンパレーター53は、電源回路2への入力電圧Vinの供給が開始されることによって電圧生成部4によって出力される出力電圧Voutが次第に上昇し、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの間は、電源回路2を停止する指示を示すイネーブル信号ENと同じローレベルの信号OLを出力する。そして、ヒステリシスコンパレーター53は、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達すると、電源回路2を起動する指示を示すイネーブル信号ENと同じハイレベルの信号OLを出力する。その後、ヒステリシスコンパレーター53は、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlまで低下すると、電源回路2を停止する指示を示すイネーブル信号ENと同じローレベルの信号OLを出力する。
【0057】
尚、電源回路2を起動する指示を示すイネーブル信号ENがローレベルを示し、電源回路2を停止する指示を示すイネーブル信号ENがハイレベルを示す場合には、基準閾値生成回路52が閾値電圧Vthをヒステリシスコンパレーター53の非反転入力端子(図中の「+」)へ出力するように構成してもよい。
【0058】
この場合、ヒステリシスコンパレーター53は、電源回路2への入力電圧Vinの供給が開始されることによって電圧生成部4によって出力される出力電圧Voutが次第に上昇し、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの間は、電源回路2を停止する指示を示すイネーブル信号ENと同じハイレベルの信号OLを出力し、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達すると、電源回路2を起動する指示を示すイネーブル信号ENと同じローレベルの信号OLを出力する。その後、ヒステリシスコンパレーター53は、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlに低下すると、電源回路2を停止する指示を示すイネーブル信号ENと同じハイレベルの信号OLを出力する。
【0059】
XORゲート54は、所謂排他的論理和回路である。XORゲート54は、図中の表に示すように、イネーブル信号ENとヒステリシスコンパレーター53から出力される信号とが互いに異なるレベルを示す場合、ハイレベルの信号(肯定を示す信号)をスイッチ51へ出力し、イネーブル信号ENとヒステリシスコンパレーター53から出力される信号とが互いに同じレベルを示す場合、ローレベルの信号(否定を示す信号)をスイッチ51へ出力する。
【0060】
スイッチ51は、XORゲート54からハイレベルの信号が出力されると、入力電圧Vinの供給先を給電線L1、L3に切り替えて、第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4を通電状態にし、第2誤差増幅部3aに誤差電圧Veaを出力させる。反対に、スイッチ51は、XORゲート54からローレベルの信号が出力されると、入力電圧Vinの供給先を給電線L2、L4に切り替えて、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を通電状態にし、第1誤差増幅部3bに誤差電圧Vebを出力させる。
【0061】
以下では、切替部5による入力電圧Vinの供給先を切り替える動作について図4を用いて説明する。図4は、切替部5による入力電圧Vinの供給先を切り替える動作を示すタイムチャートである。
【0062】
図4に示すように、主制御部10が給電スイッチ11をオフにし、電源回路2に電源回路2の停止を示すローレベルのイネーブル信号ENを出力している間(時刻t1になるまでの間)、スイッチ51は、入力電圧Vinの供給先を給電線L2、L4に切り替えた状態になっている。
【0063】
そして、主制御部10が給電スイッチ11をオンにし、電源回路2の起動を示すハイレベルのイネーブル信号ENを出力した時刻t1から、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達する時刻t2までの間は、イネーブル信号ENがハイレベルを示し、ヒステリシスコンパレーター53によって出力される信号OLがローレベルを示すので、XORゲート54はハイレベルの信号を出力する。つまり、時刻t1から時刻t2までの間、XORゲート54からハイレベルの信号が出力されるので、スイッチ51は、入力電圧Vinの供給先を給電線L1、L3に切り替え、第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4を動作させる。これによって、時刻t1から時刻t2までの間、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を動作させる場合に比して、高速に誤差電圧Veaが出力されるようになり、出力電圧Voutが高速に上昇する。
【0064】
そして、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達すると(時刻t2)、イネーブル信号ENがハイレベルを示し、ヒステリシスコンパレーター53によって出力される信号OLがハイレベルを示すようになるので、XORゲート54はローレベルの信号を出力するようになる。つまり、時刻t2になると、XORゲート54からローレベルの信号が出力されるので、スイッチ51は、入力電圧Vinの供給先を給電線L2、L4に切り替え、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を動作させる。これによって、時刻t2になり、出力電圧Voutが基準電圧Vrefに基づいて定められたレベルに近づいたと考えられるようになったときに第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4を動作させる場合に比して、消費電力を少なくして、出力電圧Voutを出力することができるようになる。
【0065】
その後、主制御部10が給電スイッチ11をオフにし、電源回路2の停止を示すローレベルのイネーブル信号ENを出力した時刻t3から、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlに低下する時刻t4までの間は、イネーブル信号ENがローレベルを示し、ヒステリシスコンパレーター53によって出力される信号OLがハイレベルを示すので、XORゲート54はハイレベルの信号を出力する。つまり、時刻t3から時刻t4までの間、XORゲート54からハイレベルの信号が出力されるので、スイッチ51は、入力電圧Vinの供給先を給電線L1、L3に切り替え、第2誤差増幅部3a及び電圧生成部4を通電状態にする。これによって、時刻t3から時刻t4までの間、第1誤差増幅部3bよりも消費電力が大きい第2誤差増幅部3aが通電状態であるので、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を通電状態にする場合に比して、出力電圧Voutが高速に低下する。
【0066】
そして、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlまで低下すると(時刻t4)、イネーブル信号ENがローレベルを示し、ヒステリシスコンパレーター53によって出力される信号OLがローレベルを示すようになるので、XORゲート54はローレベルの信号を出力するようになる。つまり、時刻t4になると、XORゲート54からローレベルの信号が出力されるので、スイッチ51は、入力電圧Vinの供給先を給電線L2、L4に切り替え、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4を通電状態にする。その後、第1誤差増幅部3b及び電圧生成部4が停止し、出力電圧Voutが出力されなくなる。
【0067】
このように、上記実施形態の構成によれば、電源回路2の起動を指示するイネーブル信号ENが入力されると、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの間、第2誤差増幅部3aによって誤差電圧Veaが出力される。このため、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの間、第1誤差増幅部3bによって誤差電圧Vebを出力させる場合に比して、誤差電圧の出力速度を向上することができる。これによって、電源回路2の起動を指示するイネーブル信号ENが入力されてから、電圧生成部4によって出力される出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの時間、つまり、電源回路2を起動して出力電圧Voutが基準電圧Vrefに基づいて定められたレベルに近づいたと考えられるようになるまでに要する時間を、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達するまでの間第1誤差増幅部3bによって誤差電圧Vebを出力させる場合に比して低減することができる。
【0068】
また、上記実施形態の構成によれば、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達した場合には、第1誤差増幅部3bによって誤差電圧Vebが出力される。つまり、出力電圧Voutが第1閾値電圧Vthに到達し、出力電圧Voutが基準電圧Vrefに基づいて定められたレベルに近づいたと考えられるようになった場合に、第2誤差増幅部3aに誤差電圧Veaを出力させる場合に比して、電源回路2が動作するときの消費電力を低減することができる。このように、上記実施形態の構成によれば、電源回路2を起動して所定レベルの出力電圧Voutを生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路2における消費電力を抑制することができる。
【0069】
また、上記実施形態の構成によれば、電源回路2の停止を指示するイネーブル信号ENが入力されると、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlに低下するまで、第1誤差増幅部3bよりも消費電力が大きい第2誤差増幅部3aによって誤差電圧Veaが出力される。このため、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlに低下するまでの間、第1誤差増幅部3bによって誤差電圧Vebを出力させる場合に比して、電源回路2から供給される出力電圧Voutを低下させる速度を向上することができる。
【0070】
また、上記実施形態の構成によれば、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlまで低下すると、第2誤差増幅部3aよりも消費電力が小さい第1誤差増幅部3bによって誤差電圧Vebが出力される。このため、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlまで低下した場合に、第2誤差増幅部3aに誤差電圧Veaを出力させるときに比して、電源回路2を停止させるときの消費電力を低減することができる。このように、上記実施形態の構成によれば、電源回路2を停止して出力電圧Voutを低下させるのに要する時間を低減し、且つ、電源回路2における消費電力を抑制することができる。
【0071】
また上記実施形態の構成によれば、切替部5が、ヒステリシスコンパレーター53とXORゲート54とスイッチ51とを備えた簡素化された構成で構成されているので、低コストで、電源回路2を起動して所定レベルの出力電圧Voutを生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路2における消費電力を抑制することができる。
【0072】
また、上記実施形態の構成によれば、負荷9a〜9cを動作させるべく、電源回路2a〜2cを起動して所定レベルの出力電圧Va〜Vcを生成させるまでに要する時間を低減し、且つ、電源回路2a〜2cにおける消費電力を抑制することができる。
【0073】
尚、上記実施形態において図1乃至図4に示した構成は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【0074】
例えば、ヒステリシスコンパレーター53に代えてコンパレーターを用いるように構成し、当該コンパレーターは、出力電圧Voutが基準閾値電圧Vt(第1レベル)に到達するまでの間、電源回路2の停止を指示するイネーブル信号ENと同じローレベルの信号OLを出力し、出力電圧Voutが基準閾値電圧Vt(第1レベル)に到達すると、電源回路2の起動を指示するイネーブル信号ENと同じハイレベルの信号OLを出力するように構成してもよい。そして、当該コンパレーターは、その後、再び出力電圧Voutが基準閾値電圧Vt(第2レベル)に低下すると、電源回路2の停止を指示するイネーブル信号ENと同じローレベルを示す信号を出力するように構成してもよい。つまり、本発明に係る第1レベルと第2レベルとが同じレベルとなるように構成してもよい。
【0075】
また、切替部5は、電源回路2の停止を指示するイネーブル信号ENが入力された場合、出力電圧Voutが第2閾値電圧Vtlに低下するまでの間も、第1誤差増幅部3bに誤差電圧Vebを出力させるように構成してもよい。当該構成は、例えば、スイッチ51が、XORゲート54からハイレベルの信号が出力された場合であっても、電源回路2の停止を指示するイネーブル信号ENが切替部5に入力されているときは、入力電圧Vinの供給先を給電線L2、L4に切り替えるように構成することによって実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 複写機(電子機器)
2、2a〜2c 電源回路
3a 第2誤差増幅部
3b 第1誤差増幅部
4 電圧生成部
5、5a、5b 切替部
9a〜9c 負荷
10 主制御部
12 電源部
31a、31b 基準電圧生成回路
32a、32b 誤差アンプ
41a、41b スイッチング回路
51、51a、51b スイッチ
53 ヒステリシスコンパレーター(比較器)
54 XORゲート
EN イネーブル信号(指示信号)
OL 比較器から出力される信号
Vea、Veb 誤差電圧
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
Vref 基準電圧
Vth 第1閾値電圧(第1レベル)
Vtl 第2閾値電圧(第2レベル)
図1
図2
図3
図4