(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961613
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】物資供給パックと物資供給パックを製造する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 75/28 20060101AFI20160719BHJP
B64D 1/08 20060101ALI20160719BHJP
B65B 9/02 20060101ALI20160719BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B65D75/28
B64D1/08
B65B9/02
B65D77/04 F
【請求項の数】38
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-526072(P2013-526072)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-540654(P2013-540654A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011048666
(87)【国際公開番号】WO2012024685
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2013年5月29日
(31)【優先権主張番号】61/375,423
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514297121
【氏名又は名称】ザ・スカイライフ・カンパニー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポツター,ジエフリー・ジエイ
(72)【発明者】
【氏名】マクニール,イーアン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ポツター,テリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ポツター,アンドリユー・イー
【審査官】
神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03168267(US,A)
【文献】
米国特許第03279594(US,A)
【文献】
米国特許第05295580(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0197095(US,A1)
【文献】
特開平02−309981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/28
B64D 1/08
B65B 9/02
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの品目を地上の人に空中分配するためのパックであって、
互いに結合された2つの重ね合された材料シートを備える外側包装と、
外側包装の重ね合された材料シートの間に配設された少なくとも1つの品目と、
外側包装の重ね合された材料シートの間に配設された少なくとも1つの剛性要素と、
外側包装から延在する少なくとも1つの空気力学的構成要素とを備えており、
空気力学的構成要素が、パックの空中配送中に広がる1対の翼部を含み、
空気力学的構成要素は、降下中に乱流を増大させることにより、自由落下と比較してパックの降下速度を低下させるものであり、1対の翼部のそれぞれが、両シートの対応する側縁部によって形成されており、該側縁部は折り曲げられておりかつ折り曲げられた状態の縁部が翼部の封止部を形成するように封止されている、前記パック。
【請求項2】
重ね合されたシートが、互いに接合された対向面から成る、請求項1に記載のパック。
【請求項3】
重ね合わされたシートが複数の層から成る、請求項2に記載のパック。
【請求項4】
外側包装内に少なくとも1つの内側包装が閉じ込められる、請求項1に記載のパック。
【請求項5】
少なくとも1つの内側包装が、少なくとも1つの品目を内側包装内で自由にまたは規定範囲内で移動できるようにする、請求項4に記載のパック。
【請求項6】
少なくとも1つの品目が内側包装内に固定される、請求項4に記載のパック。
【請求項7】
少なくとも1つの内側包装が外側包装に結合される、請求項4に記載のパック。
【請求項8】
少なくとも1つの空気力学的構成要素が外側包装の縁部から延在する、請求項1に記載のパック。
【請求項9】
外側包装および空気力学的構成要素が、同じ材料からなり、単一ユニットを形成している、請求項1に記載のパック。
【請求項10】
少なくとも1つの空気力学的構成要素が、尾翼部、垂直安定板、空気フォイル、パラセール、パラシュート、回転羽根、ストリーマ、尾翼部、トンネル、窪み、通風口、波形縁部、または鋸歯状縁部のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載のパック。
【請求項11】
少なくとも1つの剛性要素が、外側包装と内側包装との間に配設される、請求項4に記載のパック。
【請求項12】
少なくとも1つの剛性要素が、空中配送用の品目に関係した説明書を含む、請求項11に記載のパック。
【請求項13】
外側包装が、外側包装の開封をし易くする穿孔を含む、請求項1に記載のパック。
【請求項14】
穿孔がパックの縁部から内方に延在し、品目へのアクセスを可能にする、請求項13に記載のパック。
【請求項15】
少なくとも1つの品目が、蚊帳、テント、毛布のうちの1つまたは複数と、1つまたは複数の工具と、1つまたは複数の通信装置、ナビゲーション装置、加熱装置、所在指示装置、または照明装置と、1つまたは複数の電池と、シェルターと、衣類と、足保護物と、雨具と、1つまたは複数の衛生用品と、1つまたは複数の応急処置用品と、銃弾または兵器と、乗り物または機器用の1つまたは複数の部品と、1つまたは複数の浄水用品と、水から汚染物を除去する1つまたは複数のフィルターと、ビデオまたは紙の情報とから成る群から選択される、請求項1に記載のパック。
【請求項16】
少なくとも1つの品目が、食料、水、医薬品、発火キット、および燃料から成る群から選択されたものである、請求項1に記載のパック。
【請求項17】
少なくとも1つの報知装置をさらに備える、請求項1に記載のパック。
【請求項18】
少なくとも1つの報知装置が笛、ブザー、ポケットベル、灯り、および発光フィルムから成る群から選択される、請求項17に記載のパック。
【請求項19】
追跡装置をさらに備える、請求項1に記載のパック。
【請求項20】
外側包装内に複数の穿孔をさらに備えており、これらの穿孔に沿って分離されると持ち手が作り出される、請求項1に記載のパック。
【請求項21】
外側包装が真空封止されている、請求項1に記載のパック。
【請求項22】
剛性要素が段ボール、紙、プラスチック、外周突起部、金属、エンボス面、真空封止部位、加圧チャンバ、および気体充填チャンバのうちの1つまたは複数である、請求項1に記載のパック。
【請求項23】
外側包装の少なくとも1つの部位が、ヘリウムおよび水素のうちの1つまたは複数が充填される、請求項1に記載のパック。
【請求項24】
パックを製造する方法であって、
第1シートを用意するステップと、
第1シート上に人への空中配送用の少なくとも1つの品目を配置するステップと、
少なくとも1つの品目および第1シートの上に第2シートを配置するステップと、
少なくとも1つの品目を収容する外側包装を形成するように第1シートと第2シートを封止するステップと、
第1シートおよび第2シートの対応する側縁部を折り曲げて、折り曲げられた縁部を形成することにより、外側包装上に少なくとも1つの空気力学的構成要素を形成するステップとを備えており、
空気力学的構成要素が、外側包装にわたって乱流を発生させて、動作中のパックの自由落下の降下速度を低下させ、空気力学的構成要素が、パックの空中配送中に広がる1対の翼部を含んでいる、前記方法。
【請求項25】
第1シートと第2シートとを封止するステップが、上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部と、互いに離隔された側縁部の封止部とを形成することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1シートと第2シートとを封止するステップが、1対のパック中央部の封止部を形成することを含み、少なくとも1つの品目が、1対のパック中央部の封止部と、上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部とによって、外側包装内に閉じ込められる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
折り曲げられた縁部が、1つまたは複数の翼部の封止部を形成するように封止される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
1つまたは複数の翼部の封止部が、側縁部の封止部の一方とパック中央部の封止部の一方との間に形成される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
外側包装に内側包装を結合するステップをさらに含み、内側包装が少なくとも1つの品目を収容する、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
内側包装を外側包装に結合するために、内側包装の上端縁部および下端縁部が、横方向の上端部の封止部と横方向の下端部の封止部とによって、第1シートと第2シートとの間に封止される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第1層内にパックの開封をし易くする穿孔を作り出すことをさらに備える、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
穿孔がパックの縁部から内方に延在し、内側包装へのアクセスを可能にする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの品目が、蚊帳と、テントまたはシェルターと、毛布と、1つまたは複数の工具と、照明装置、通信装置、加熱装置、またはナビゲーション装置と、1つまたは複数の電池と、雨具と、衣類と、足保護具と、生理用品と、銃弾または兵器と、乗り物または機器用の1つまたは複数の部品と、1つまたは複数の応急用品と、1つまたは複数の浄水用品と、フィルターと、ビデオまたは紙の情報説明書とから成る群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの品目が、食料、水、医薬品、燃焼材料、および燃料から成る群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
航空機によって地上の人に分配するためのパックであって、
2つの重ね合された材料シートから成り、これらの重ね合された材料シートの間に配設される少なくとも1つの品目を収容するように構成された外側包装と、
外側包装に取り付けられ、2つの重ね合された材料シートの少なくとも一方から成る少なくとも1つの空気力学的構成要素とを備えており、
空気力学的構成要素が、
両シートの対応する側縁部によって形成されており、該側縁部は折り曲げられておりかつ折り曲げられた状態の縁部が翼部の封止部を形成するように封止されており、
パックの空中配送中に広がる1対の翼部を含み、
外側包装内に配設された少なくとも1つの品目が地面との接触時に破損されないように、かつパックが地上の人への被害のリスクを最小限にしかもたらさないように、降下中に乱流を増大させることにより、パックの自由落下の衝撃を軽減する、前記パック。
【請求項36】
少なくとも1つの品目を地上の人に空中分配するためのパックであって、
2つの重ね合された材料シートから成り、これらの重ね合された材料シートの間に配設される少なくとも1つの品目を収容するように構成された外側包装と、
2つの重ね合された材料シートから作られ、外側包装の両側の縁部から延在し、パックの空中配送中に広がる1対の翼部とを備えており、
1対の翼部は、自由落下と比べてパックの降下速度を低下させるものであり、1対の翼部のそれぞれが、両シートの対応する側縁部によって形成されており、該側縁部は折り曲げられておりかつ折り曲げられた状態の縁部が翼部の封止部を形成するように封止されている、前記パック。
【請求項37】
2つの重ね合された材料シートがポリマー材料から成る、請求項1に記載のパック。
【請求項38】
少なくとも1つの品目を地上の人に空中分配するためのパックであって、
少なくとも1つの品目の収容部を形成した状態で互いに結合されている2つの重ね合されたポリマー材料シートから成る外側包装と、
外側包装の重ね合された材料シートの間に配設された少なくとも1つの剛性要素と、
外側包装から延在する少なくとも1つの空気力学的構成要素とを備えており、
空気力学的構成要素は、降下中に乱流を増大させることにより、自由落下と比較してパックの降下速度を低下させるものであり、両シートの対応する側縁部によって形成されており、該側縁部は折り曲げられておりかつ折り曲げられた状態の縁部が翼部の封止部を形成するように封止されており、
空気力学的構成要素が、パックの空中配送中に広がる1対の翼部を含む、前記パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年8月20日に出願された「Emergency Supply Pack and a Method and System of Making and Distributing the Emergency Supply Pack」という名称の米国特許仮出願第61/375423号明細書の優先権を主張する。この明細書の開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はパックとパックを製造する方法およびシステムとに関する。より具体的には、本発明は、航空機から分配されるように適合された費用効率の高いパックと、パックを製造する方法およびシステムとを対象とする。
【背景技術】
【0003】
地上輸送が不可能またはそれでは間に合わないアクセス困難な地域または遠隔地に、様々な種類の貨物を輸送および配送することが、数多くの事情によって必要となる。例えば、遠隔地、過酷な環境、または自然災害で荒廃した地域に人々が閉じ込められ、または無力にされた場合には、人々に食料、水、薬品、シェルター、および他の物資を可能な限り迅速に供給することが必要となる、または望ましくなる場合がある。同様に、戦争状態にある時には、戦場が遠隔地または過酷な環境にある場合がある。同じく、燃料などの物資を取り残された人々に配送することが必要な場合もある。言うまでもなく、戦時または他の戦闘状態では、取り残された人員が、彼らの居る場所から避難することを可能にするように支援を提供することが不可欠である場合がある。
【0004】
多くの遠隔地または過酷な環境が、砂漠あるいは他の形で無人の、または人を寄せ付けない広大な地形などの地域にある場合がある。場所が遠隔であること、またはアクセス困難であることから、物資はしばしば飛行機またはヘリコプターから空中投下によって配送される。自然災害および他の緊急事態が発生した場合には、生命を維持する物資から寸断された人々に栄養物、薬品、または他の緊要品目を配送することが不可欠である場合がある。例えば、洪水、地震、および/またはハリケーンが発生した場合には、清浄水の供給から寸断された人々に水を供給することが不可欠な場合がある。
【0005】
緊急の際には、援助が必要な人々に物資を包装および配送する費用は二次的なものとして考えられる場合があるが、それでもなお、満足のいく程度に費用効果の高い基盤で形成および分配されることが可能な物資用包装を提供することが重要である。また、コンテナまたは包装によって占められる空間、ならびにコンテナが製作される材料の量および費用が、その費用効果を向上させるために最小限に抑えられるべきである。
【0006】
従来は、救援物資は、コンテナに接続されたパラシュートによって物資のパレットを投下することによって配送されていた。典型的には、大量の物資が多数のパレット上に積み重ねられ、パレットにパラシュートが接続される。しかしながら、パラシュートは高コストであり、典型的には修復可能ではない。さらに、パラシュートは極めて大きく、扱いにくい場合がある。パラシュートの寸法は、分配される具体的な物資に依存する。パラシュートが寸法不足である場合、コンテナは急速度で降下し、コンテナは破裂される場合があり、その内容物が失われ、あるいは地上の人々が急降下するコンテナによって被害を受ける場合がある。さらに、物資がパレット上に一緒に積み重ねられ、パレットの空中投下が目標から外れた場合には、物資は援助が必要な人々によって回収不可能となる場合がある。物資のパレットが回収可能であったとしても、強盗やゲリラが物資を貯め込んでしまうこと、援助が必要な人々から物資を遠ざけるかあるいは物資を受け戻してしまうことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4349168号明細書
【特許文献2】米国特許第4241890号明細書
【特許文献3】米国特許第4374578号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0219830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
物資の破損と物資を収集する人々への被害とのリスクが最小限に抑えられた、容易に空中投下され、多数の人々に分配されることができる、非常用物資のための費用効果の高い包装が引き続き求められている。さらに、包装を製造する方法およびシステムが引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本開示に従って、物資の破損と物資を収集する人々への被害とのリスクが最小限に抑えられた、容易に空中投下され、多数の人々に分配されることができる、費用効果の高い物資用パックが発見された。さらに、驚くべきことに、費用効果の高いパックを製造する方法およびシステムが発見された。
【0010】
本発明の一実施形態は、1つまたは複数の品目を地上の人員に空中分配するためのパックを対象とする。パックは外側包装と、外側包装内に配設される少なくとも1つの品目と、外側包装に結合された少なくとも1つの
剛性要素と、外側包装から延在する少なくとも1つの空気力学的構成要素とを備え、空気力学的
構成要素は、自由落下と比較してパックの降下速度を低下させる。
【0011】
好ましい実施形態では、外側包装は、対向面が一緒に接合された1対の重ね合わされたシートから成る。重ね合わされたシートは複数の層から成ることが好ましい。好ましい実施形態では、外側包装内に少なくとも1つの内側包装が閉じ込められる。少なくとも1つの内側包装は、少なくとも1つの品目が内側包装内で自由にまたは指定範囲内で移動させることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つの品目は内側包装内に固定される。少なくとも1つの内側包装は外側包装に結合されることが好ましい。
【0012】
少なくとも1つの空気力学的構成要素は外側包装の縁部から延在する、請求項1に記載のパック。
【0013】
好ましい実施形態では、外側包装と空気力学的構成要素とは同じ材料で単一ユニットとして製造される。少なくとも1つの空気力学的構成要素は、パックの空中配送中に広がるように構成された1対の翼部を含むことが好ましい。1対の翼部は、シートの対応する側縁部を折り曲げ、翼部の封止部を形成するように折り曲げられた縁部を封止することによって形成されることが好ましい。少なくとも1つの空気力学的構成要素は、尾翼部、垂直安定板、空気フォイル、パラセール、パラシュート、回転羽根、ストリーマ、尾翼部、トンネル、窪み、通風口、波形縁部、または鋸歯状縁部のうちの1つまたは複数であることが好ましい。
【0014】
好ましい実施形態では、外側包装内に少なくとも1つの剛性挿入物が配設される。少なくとも1つの剛性挿入物は、空中配送用の品目に関する説明書を含むことが好ましい。パックは可動部分または電子器具を含まないことが好ましい。
【0015】
外側包装は、外側包装の開封をし易くするための穿孔を含むことが好ましい。穿孔はパックの縁部から内方に延在し、品目へのアクセスを可能にすることが好ましい。
【0016】
少なくとも1つの品目は、蚊帳、テント、毛布のうちの1つまたは複数と、1つまたは複数の工具と、1つまたは複数の通信装置、ナビゲーション装置、加熱装置、所在指示装置、または照明装置と、1つまたは複数の電池と、シェルターと、衣類と、足保護物と、雨具と、1つまたは複数の衛生用品と、1つまたは複数の応急処置用品と、銃弾または兵器と、乗り物または機器用の1つまたは複数の部品と、1つまたは複数の浄水用品と、水から汚染物を除去する1つまたは複数のフィルターと、ビデオまたは紙の情報とから成る群から選択されることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つの品目は、食料、水、医薬品、発火キット、および燃料から成る群から選択されたものである。
【0017】
パックは少なくとも1つの報知装置を含むことが好ましい。少なくとも1つの報知装置は笛、ブザー、ポケットベル、灯り、
発光フィルムから成る群から選択されることが好ましい。パックは追跡装置を含むことも好ましい。
【0018】
好ましい実施形態では、外側包装内に、分離されると持ち手を作り出す穿孔が存在する。外側包装は真空封止されることが好ましい。好ましい実施形態では、
剛性要素は、段ボール、紙、プラスチック、外周突起部、金属、エンボス面、真空封止部位、加圧チャンバ、および気体充填チャンバのうちの1つまたは複数である。外側包装の少なくとも1つの部位は、ヘリウムおよび水素のうちの一方または両方が充填されることが好ましい。
【0019】
本発明の他の実施形態はパックを製造する方法を対象とする。方法は、第1シートを提供するステップと、第1シート上に人員への空中配送用の少なくとも1つの品目を配置するステップと、少なくとも1つの品目および第1シートの上に第2シートを配置するステップと、少なくとも1つの品目を収容する外側包装を形成するように第1シートと第2シートを封止するステップと、外側包装上に少なくとも1つの空気力学的要素を形成するステップとを備え、空気力学的要素は外側包装にわたって乱気流を発生させ、動作中にパックの自由落下の降下速度を低下させる。
【0020】
第1シートと第2シートを封止するステップは、上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部と、離隔された側縁封止部とを形成することを含むことが好ましい。好ましい実施形態では、第1シートと第2シートを封止するステップは、1対のパック中央部の封止部を形成することを含み、少なくとも1つの品目は外側包装内に1対のパック中央部の封止部と、上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部とによって閉じ込められる。少なくとも1つの空気力学的構成要素を形成するステップは、折り曲げられた縁部を形成するように第1シートと第2シートの対応する側縁部を折り曲げることを含むことが好ましい。
【0021】
折り曲げられた縁部は、1つまたは複数の翼部の封止部を形成するように封止されることが好ましい。1つまたは複数の翼部の封止部は、側縁部の封止部の一方とパック中央部の封止部の一方との間に形成されることが好ましい。
【0022】
方法は、外側包装に、少なくとも1つの品目を含む内側包装を結合するステップを含むことが好ましい。内側包装を外側包装に結合するために、内側包装の上端縁部と下端縁部は、第1シートと第2シートの間で横方向の上端部の封止部と横方向の下端部の封止部とによって封止されることが好ましい。好ましい実施形態では、方法は、第1層内にパックの開封をし易くする穿孔を作り出すことも含む。穿孔はパックの縁部から内方に延在し、内側包装へのアクセスを可能にすることが好ましい。
【0023】
少なくとも1つの品目は、蚊帳と、テントまたはシェルターと、毛布と、1つまたは複数の工具と、照明装置、通信装置、加熱装置、またはナビゲーション装置と、1つまたは複数の電池と、雨具と、衣類と、足保護物と、衛生用品と、銃弾または兵器と、乗り物または機器用の1つまたは複数の部品と、1つまたは複数の応急処置用品と、1つまたは複数の浄水用品と、フィルターと、ビデオまたは紙の情報説明書とから成る群から選択されることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つのものは、食料、水、医薬品、燃焼材料、および燃料から成る群から選択される。
【0024】
本発明の他の実施形態はパックを製造するシステムを対象とする。システムは、空中配送用の少なくとも1つの品目を第1シートと第2シートの間に配置する製品積み込みユニットと、少なくとも1つの品目を収容する外側包装を形成するために第1シートと第2シートを封止するように構成された長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニットと横方向の熱封止ユニットと、翼部折り曲げユニットと、翼帯部封止ユニットとを備える。翼部折り曲げユニットと翼帯部封止ユニットは外側包装上に1つまたは複数の翼部を形成するように構成される。1つまたは複数の翼部は動作中にパックの自由落下降下速度を低下させる。
【0025】
横方向の熱封止ユニットと翼部折り曲げユニットとの間に配設される穿孔ユニットが存在することが好ましい。穿孔器はパックの開封をし易くする穿孔を形成することが好ましい。好ましい実施形態では、穿孔ユニットは、アンビルローラの反対側に穿孔刃が配設された穿孔ロールを含む。
【0026】
好ましい実施形態では、システムは、翼帯部封止ユニットに隣接して配設される裁断式包装分離ユニットも含む。裁断式包装分離ユニットは、1つ1つのパックを形成するように穿孔の少なくとも1つの部位に沿って切断することが好ましい。第1シートを、システムを通して移動させるコンベアに固定するための少なくとも1つの真空プレナムが存在することが好ましい。
【0027】
本発明の他の実施形態は、航空機によって地上の人員に分配するためのパックを対象とする。パックは外側包装と、外側包装内に配設される少なくとも1つの品目と、外側包装に取り付けられ、それから延在する少なくとも1つの空気力学的要素とを備える。空気力学的要素は、可動部分を有さず、外側包装内に配設された少なくとも1つの品目が地面との接触時に破損されないように、パックが地上の人員への被害のリスクを最小限にしかもたらさないようにパックの自由落下の衝撃を軽減する。
【0028】
本発明の他の実施形態は、1つまたは複数の品目を地上の人員へ空中分配するためのパックを対象とする。パックは、外側包装と、外側包装内に配設される少なくとも1つの品目と、外側包装から延在する、パックの空中分配中に広がるように構成された1対の翼部とを備える。1対の翼部は自由落下と比較してパックの降下速度を低下させる。
【0029】
本発明の他の実施形態および利点が、一部は以下に続く明細書に明記され、一部はこの明細書から明白となる場合があり、あるいは本発明の実践から修得される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の一実施形態による非常用パックの上面斜視図であり、非常用パックは成形姿勢で示される。
【
図2】
図1に示された非常用パックの底面斜視図であり、非常用パックは成形姿勢で示される。
【
図3】
図1から
図2に示された非常用パックの上面斜視図であり、非常用パックは姿勢で示される。
【
図4】
図1から
図3に示された非常用パックの底面斜視図であり、非常用パックは姿勢で示される。
【
図5】
図3の切断線AからAによる非常用パックの正面断面図である。
【
図6】
図5の部分Bによる非常用パックの部分的拡大正面断面図であり、非常用パックの内側包装をさらに示す。
【
図7】
図5の部分Cによる非常用パックの部分的拡大正面断面図であり、非常用パックの翼部をさらに示す。
【
図8】
図5の部分Dによる非常用パックの部分拡大正面断面図であり、非常用パックの外側包装内の剛性挿入物をさらに示す。
【
図9】
図4の切断線EからEによる非常用パックの側面断面図であり、本開示の一実施形態による非常用パックの外側包装に接続された非常用パックの内側包装をさらに示し、内側包装は中に液体材料が配設された状態で示される。
【
図10】
図4の切断線EからEによる非常用パックの側面断面図であり、非常用パックの内側包装は固体材料から成るように示される。
【
図11】非常用パックを生産するシステムの側面斜視図である。
【
図12】
図11の部分12によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの製品積み込みユニットをさらに示す。
【
図13】
図11の部分13によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニットと横方向の熱封止ユニットとをさらに示す。
【
図14】
図11の部分14によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの穿孔ユニットをさらに示し、穿孔ユニットの穿孔ローラおよびアンビルローラを示すように外側包装カバーが取り外されている。
【
図15】
図11の部分15によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの翼部折り曲げユニットをさらに示し、翼部折り曲げユニットの案内板を示すように翼部折り曲げユニットから非常用パックが取り外されている。
【
図16】
図11の部分16によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの翼帯部封止ユニットをさらに示す。
【
図17】
図11の部分17によって識別されるシステムの拡大部分側面斜視図であって、システムの包装分離ユニットをさらに示し、包装分離ユニットの裁断機を示すように外カバーが取り外されている。
【
図18】尾翼部を有するパックの一実施形態を示す図である。
【
図19】通風口を有するパックの一実施形態を示す図である。
【
図20】波形縁部を有するパックの一実施形態を示す図である。
【
図21】翼部内に穴を有するパックの一実施形態を示す図である。
【
図22】強化説明挿入シートを有するパックの一実施形態を示す図である。
【
図23】荷重が均等に分配された状態のパックの一実施形態を示す図である。
【
図24】持ち手を作り出すための穿孔を有するパックの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
緊急事態にある人々に物資を提供することは、極めて危険性の高い作業である。典型的には、交通基盤が、例えば自然災害あるいは政治的混乱または社会的混乱によって破壊されている。道路が破壊され、かつ/またはアクセスポイントが封鎖されることから、災害地域に援助物資をトラックで運ぶことがしばしば困難または不可能となる。さらに、救助作業員自身が危険な状態に置かれる。これは環境上の問題(洪水、土砂崩れ、地震、放射線など)または地上の危険な軍事行動に起因する場合がある。飛行機で物資を提供することがしばしば災害で唯一の実行可能な選択肢となるが、依然として多くの問題がある。物資がまとめて供給されることから、物資自体への破損と地上の構造物への破損と人員および動物への被害とを回避するために、そのプロセスは一般的に精確なターゲティングと地上の人々との協調とを必要とする。トラック、船舶、または航空機のいずれによって配送されようと、地域の政治的支配または軍事的支配を確立することを望む政府または要員によって、物資がしばしば盗み取られ、または押収される。その結果、配送の代償は高く、本当の救援を提供する実効度は最小限に留まる。
【0032】
驚くべきことに、地上の構造物および物資自体の破損のリスクを最小限に抑え、地上の人々および動物の被害のリスクを最小限に抑え、しかもなおかつ救助が必要な人々の物資の受け取りを最大限にしながら、費用効果の高い物資のパックが製造され、多くの人々への分配のために空中投下されることが可能であることが発見された。従来式の配送方法は、典型的にはトラック、船舶、飛行機による大量配送などのように、配送量を最大限にするが、本明細書で述べられる本発明は、広範な所定地域にわたってパックが均等かつ無作為に分配されるように大量数の低重量パックを飛行機によって配送することを対象とする。ある地域にわたって多数のパックを配送することは、所期の受取者ではない個々人によって全ての物資が盗み取られ、または他の形で押収されることを困難または不可能にする。このことは、物資がまとめて配送されるときに発生される可能性のあるブラックマーケットの潜在性を、その配送がトラック、船舶、または飛行機によるものであろうと効果的に打ち砕き、より重要なこととして、目標とされた人員によって受け取られる物資の量を最大限にする。
【0033】
物資が所期の犠牲者に到達しない、あるいは他の形で盗み取られるリスクが最小限に抑えられるように、各パックが単一の配送ユニットとして構成され、パックが大量数で配送されることが好ましい。したがって本発明の一態様として、大量数のパックの迅速な構築および組み立てがある。1つのステーションおよび半自動化製造装置が、一日に何百万個から何万個ものパックを生産するように構成される。パックは、例えば食料、水、または薬品などの物資の1人分またはほんの数人分の割当を含むことが好ましい。物資は短期間しか持たないが、費用が最小限に抑えられるので、配送が何度も繰り返されることが可能であり、関係者に最小限のリスクしか与えない。重要なこととして、パックが飛行機で配送されることから、救助作業員が災害地域そのものに進入する必要は決してない。またパックの空気力学的構成要素に依存して、ほぼどのような高度からも分配がなされることが可能であり、ここでも危険から救助作業員の安全を確保する。
【0034】
パックは広範な地域にわたって分配または散布されること、あるいは正確な位置または限定された位置に狙いを定められることが可能であって、ここでも窃盗のリスクを最小限に抑え、かつ/あるいは自体が限定された、または小さい目標区域に到達できるようにする。その範囲は、援助が必要な人々への分配が、トラック、飛行機、または船舶によるパレット分配と比較して最大になるように事前決定されることが好ましい。
【0035】
パックは、重力によって生じる加速を軽減または解消するために空気力学的構成要素を有するように構成される。まとめられた物資と比較してパックの重量が小さいことから、空気力学的構成要素もそれに応じて最小限に抑えられる。パック自体は、パックが地面に落下する速度が自由落下と比較して最小限に抑えられるように空気力学的に設計されることが好ましい。パックは、地上の構造物、他の物、またはパックの内容物自体の破損のリスクをほとんど乃至全くもたらさない速度で、また人員または動物の被害のリスク(即ち、人員または動物の上に着陸している降下中のパックからの)をほとんど乃至全くもたらさない速度で地面に当たることが好ましい。度合および速度は、パック自体の空気力学的構成要素によって、1つまたは複数の抵抗要素および/または揚力要素を導入することによって精確に制御される。構成要素の構造の結果として、揚力または寄生的物から抵抗力が誘発されることが可能である。付加されることが可能な空気力学的構想要素には、以下に限定されないが、1つまたは複数の翼部、垂直安定板、尾翼部構造物、プロペラまたは回転羽根、空気フォイル、帆またはパラセール、ストリーマ、トンネル、窪み、通気口、波形縁部、または鋸歯状縁部、およびパラシュートが含まれる。翼部または空気フォイルは、パックの配送を限定区域に局限できるように、降下中に旋回または振動するべくパックに強制するように構成されることが好ましい。気象条件が前もって知られ、または予測されているとき、それが依然として疑わしい可能性があっても、当業者によって、パックの軌動を調整し、したがって降下中のパックの予想される大気中の横方向の移動を無くすように、特別の空気力学的構成要素が構成されることが可能である。また、様々な地形にわたる様々な気象条件での散布分配パターンを描画するように、パックの分配が各パック内のレーダ(ドップラなど)または追跡装置(GPSなど)によって監察されることが可能である。それらのパターンは、最適な分配を決定するために、あるいは再分配が必要か否かを決定するために使用されることが可能である。設計構成には、例えば、所定の位置に固定されることができる補助翼部および舵構造物、所定の形状または攻撃角度に設定される翼部および/または先行縁部、物資のパック自体内への非対称的な積み込み、ならびに/あるいはそれらの組み合わせが含まれてよい。
【0036】
製造費用を最小限に抑えるために、空気力学的構成要素を含んだパックが単一のユニットとして製造されることが好ましい。ここでも費用を最小限に抑えるために、物資の品目が製造プロセス中にパック内に挿入されることも好ましい。
【0037】
ここで具体化されかつ広範に述べられるように、本開示は本明細書で本発明の詳細な実施形態を提供する。しかしながら、ここに開示される実施形態は、様々な代替え的形態に具体化された本発明の例示的なものに過ぎない。したがって、構造および機能についての特定の詳細が制限的な意味を有するべきであるという意図は無い。むしろここで意図されるのは、当業者に対して本発明を多様に使用するように教示するための見本基盤としての役目をそれらが果たすということである。
【0038】
図1から
図10は、空中配送用の品目11を備えたパック10を示す。パック10は内側包装12と外側包装14を含む。内側包装12は、例えば外側包装14の実質的に中央の長手方向に延在する軸線に沿って配設されてよい。内側包装12は空中配送用の品目11であり、あるいは空中配送用の品目11を収容する。例えば、品目11は内側包装12内に配設される蚊帳または水であってよい。ここに示される実施形態では、パック10の内側包装12と外側包装14のそれぞれが四辺形状の平面図を有する。当然のことながら、内側包装12と外側包装14は、必要に応じて他の形状、即ち円形、楕円形、三角形、非対称形状等の平面図を有してよい。同様に、パック10の全体の寸法は、配送用の品目11を含む内側包装12の内容物の寸法および重量を含むいくつかの要因に依存することになる。好ましい実施形態では、外側包装の大きさは、300mm×150mm、350mm×200mm、400mm×300mm、450mm×200mm、または他の寸法である。寸法対重量の割合は、パック10の空気力学的な特色を変化させるように必要に応じて調整されることが可能である。
【0039】
外側包装14は、例えばポリエチレンなどのポリマー材料から形成されてよい。特定の実施形態では、外側包装14は、ポリビニルアルコール(PVA)などの生物分解性材料から形成される。好ましい実施形態では、外側包装14はメッシュ材料から形成されてもよい。好ましい実施形態では、外側包装14は高性能障壁プラスチックから形成される。例えば、高性能障壁プラスチックは酸素または二酸化炭素の捕集材または障壁であることが可能である。さらに、外側包装14は多数の層で製作されてよい。例えば外側包装14は、ポリエチレンの内層および外層と裂け止めナイロンの中間層とを有してよい。さらに、熱封止を促進する層と光学的な透明度または不透明度をもたらす層との間に接着剤があってよい。さらに、外側包装14の厚みはパック10の所望の特性に依存して様々になることが可能である。熟練した技術者であれば、必要に応じて外側包装14の適切な材料および層数を選択することができる。
【0040】
内側包装12は外側包装14の内側に配設される。内側包装12が品目11を収容する場合には、内側包装12の内容物によって、内側包装12を形成するために使用される具体的な材料が決定されてよい。例えば、内側包装12を形成する材料は、内側包装12によって収容される品目11の所望の保存期間および保管期間によって決定されてよい。好ましい実施形態では、内側包装12はポリエチレンなどのポリマー材料から形成される。代替え案として、内側包装12は、包装産業で知られている任意の通常材料、即ち段ボール、金属、プラスチック、繊維、またはそれらの組み合わせなどの材料から形成されてよい。さらに、内側包装12はクッション材料で製作され、またはそれを含んでよい。例えば、内側包装12は気泡シートまたは発泡体から形成されてよい。
【0041】
非制限的な実施例として、内側包装12は、蚊帳、毛布、工具、照明装置、電池、テントまたは他のシェルター、防雨服または他の衣服および足保護物、トイレティッシュ、拭き取り繊維、銃弾、歯科衛生用物資、車両または機器の修理に必要な部品、狩猟用具および釣り具、浄水用錠剤、水から汚染物質を除去するための濾過付きストロー、通信装置および/またはナビゲーション装置、化学的に活性化されて熱を生じるものなどの加熱装置、自然災害または戦争の犠牲者に供与されるビデオまたは紙の情報説明書などの非腐敗性品目11を含んでよく、またはそれらであってよい。本開示の範囲内で他のタイプの非腐敗性品目11も内側包装12によって収容されてよい。
【0042】
内側包装12の内容物が非腐敗性物である場合、内側包装12は特に、例えばポリビニルアルコール(PVA)などの生物分解性材料、または穿孔性材料から形成されてよい。さらに、内側包装12は、中に含まれた品目11の両端部と外側包装14とに結合された1つまたは複数のつまみを含んでよい。つまみは、例えば内側包装12の外側包装14からの取り外しをし易くする。
【0043】
内側包装12は腐敗性品目11の配送に使用されてもよい。例えば、内側包装12は、実質的に流動体の、かつ/または軽量の、かつ/または空気不透過性の材料を必要とする食品または液体を含んでよい。内側包装12の内容物が、医薬品などの感温性または感光性である場合、あるいは発火キット、発火用マグネシウムブロック、または燃料などの可燃性である場合、内側包装12は断熱材料、例えば金属箔または合成箔から形成されてよい。内側包装12は、内側包装12の内容物を所望の温度に維持するために、加熱物質または冷却物質、あるいはそれらの装置を含んでもよい。加熱物質または冷却物質あるいはそれらの装置は、内側包装12だけではなく、外側包装14によって含まれてもよい。内側包装12の医薬品の内容物には、非制限的な例として、インシュリン、破傷風ワクチン、デング熱ワクチン、マラリアワクチン、抗生物質、および類似物が含まれてよい。必要に応じて他のタイプの腐敗性品目11も内側包装12によって収容されてよい。
【0044】
外側包装14と内側包装12は、必要に応じて同じ材料または異なる材料から形成されてよい。熟練した技術者であれば、必要に応じて内側包装12と外側包装14の適切な材料を選択することができる。
【0045】
図1から
図10を再度参照すると、外側包装14は、対面する表面が一緒に接合された1対の重ね合わされたシート16、18から形成されている。シート16、18の上端縁部は一緒に封止されてパック10の上端縁部の封止部20を形成する。同様に、シート16、18の下端縁部は一緒に封止されてパック10の下端縁部の封止部22を形成する。シート16の側縁部は、シート18の対応する側縁部に封止されてパック10の対向する1対の側縁部の封止部24、26を形成する。内側包装12に隣接するシート16、18の対面する表面は一緒に封止されて、パック10のパック中央部の封止部28、30を形成する。上端縁部の封止部20、下端縁部の封止部22、およびパック中央部の封止部28、30は、例えば
図6で示されるように内側包装12を外側包装14内に閉じ込める。
【0046】
外側包装14は、少なくとも1つの空気力学的構成要素32、34を含む。空気力学的構成要素32、34は、使用中にパック10が自由落下する間に抵抗力を生じ、それによってパック10の降下を遅くすることが好ましい。さらに、空気力学的構成要素32、34は、揚力、方向制御、推進力、または重量などの空気力学的特徴および安定性特徴を提供することができる。
図1から
図10に示される実施形態では、少なくとも1つの空気力学的構成要素32、34は、パック10の側縁部の封止部24、26とパック中央部の封止部28、30との間に形成された1対のフランジまたは翼部32、34を含む。翼部32、34は、例えば
図5および
図7に示されるように、シート16、18の対応する側縁部を折り曲げ、折り曲げられた縁部を封止して翼部の封止部36、38を形成することによって形成される。折り曲げられた縁部を封止して翼部の封止部36、38を形成する結果として、翼部32、34は通常閉鎖され、パック10の長手方向軸線に沿って内方に延在する。翼部32、34は、
図1から
図2に示される通りパック10内で通常閉鎖され、パック10が空中を落下するにつれて、
図3から
図4で示される通り広がる。ここでは2つの翼部32、34が表されているが、任意の数の翼部が使用されることが可能である。図面は翼部32、34を形成する段階を表す。パック10は、翼部形成機構内に送り込み口で送り込まれ205、翼部の第1部位は形成区域で形成され210、翼部の第2部位は形成区域で形成され215、翼部の第3部位は形成区域で形成され220、翼部の第4部位は形成区域で形成され225、翼部の第5部位は形成区域で形成され230、翼部の縁部は縁封止部で封止され235、パック10は折り返し区域に進入し240、そこで開くように曲げられ区域245、最後にパック10は詰め込み区域に送られる250。個々のパックは、製造されてくる接合包装から裁断式切断装置によって分離され、続いて詰め込み区域に送られる。
【0047】
少なくとも1つの空気力学的構成要素32、34は、層流に対抗するものとして外側包装14にわたって乱流を有利に発生させ、動作中にパック10の降下速度を低下させることができる。パック10の速度は自由落下から、例えば毎秒20メートル、毎秒15メートル、毎秒10メートル、毎秒8メートル、毎秒5メートルなどに低下されることが好ましい。パック10の地面との衝撃は、自由落下中のパックの地面との衝撃から、例えば90%、75%、60%、50%、または他のパーセント分軽減されることが好ましい。
図1から
図10で示される実施形態は、少なくとも1つの空気力学的構成要素32、34として翼部32、34を含むが、当業者であれば、少なくとも1つの空気力学的構成要素32、34は代替え案として、尾翼部、垂直安定板、空気フォイル、パラセール、パラシュート、回転羽根、ストリーマ、または尾翼部(
図18参照)、あるいはパック10が空中に投下されると抵抗力を生じるように適合された他の構造物を含んでよいことを理解するであろう。他のタイプの構造物の非制限的な例として、トンネル、窪み、通風口(
図19参照)、波形縁部または鋸歯状縁部(
図20参照)、あるいは外側包装14内に形成される穴が、乱流を生じるように使用されることができる。パック10用の適切な空気力学的構成要素32、34が必要に応じて選択されてよい。さらに、空気力学的要素の組み合わせが使用されることも可能である。例えば、
図21で示されるように、落下速度および/または飛行特性をさらに制御するために翼部32、34内に穴が開けられることが可能である。
【0048】
特定の実施形態では、空気力学的構成要素32、34はパック10の飛行経路を制御する。例えば、翼部は、パック10に螺旋状の降下、ジグザグ状の降下、あるいは着陸中の飛行機と類似する降下を辿るべく強制するように形成されてよい。このように制御された降下は、パック10を所望の場所に配送する精度を高めることができる。
【0049】
特定の実施形態では、外側包装14は、パック10の折れ曲がりに対抗するべく作用するように適合された実質的に剛性の材料から形成される。
図5および
図8を参照すると、外側包装14は、外側包装14に構造的な支持をもたらし、動作中にパック10の望ましくない折れ曲がりに対抗するべく作用するように適合された少なくとも1つの剛性挿入物40、42を含んでもよい。例えば剛性挿入物40、42は、外側包装14のパック中央部の封止部28、30と翼部の封止部36、38との間で封止され、配設される細長い部材であってよい。剛性挿入物40、42には、例えば外側包装14内で横方向に配向されたリブ、または外側包装内で長手方向に配向された支持体が含まれてよい。剛性挿入物40、42は、上端縁部の封止部20と下端縁部の封止部22の形成中に外側包装14に結合されてもよい。当然のことながら、挿入物40、42は必要に応じて上端縁部の封止部20と下端縁部の封止部22に結合されてよい。挿入物40、42は、内側包装12に隣接して配設されてもよく、または外側包装14の外部に結合されてもよい。好ましい実施形態では、剛性挿入物40、42は、パック10の内容物の使用者向けの硬い、または折り畳まれた紙の情報説明書を含んでよい(
図22参照)。他の実施形態では、剛性挿入物40、42は、外側包装14の折れ曲がりに対抗するべく作用するのに充分な硬さを有する段ボールまたはプラスチックの挿入物である。当業者であれば、所望の柔軟さを維持する必要に応じて、挿入物40、42用に適切な剛性材料を選択することができる。外側包装14は、パック10の硬さを調整するために、型押し表面、真空封止部位、加圧チャンバおよび/または気体充填チャンバ(ヘリウム、水素、または空気など)を有することも可能である。
【0050】
以上に規定されたように、内側包装12は、空中配送用の品目11であり、または空中配送用の品目11を収容する。
図9に示されるように、内側包装12が配送用の品目11、例えば水を収容する場合、内側包装12は外側包装14に結合されてよい。具体的には、内側包装12の上端縁部44と下端縁部46は、シート16、18の間でそれぞれ横方向の上端部の封止部48と横方向の下端部の封止部50によって封止されてよい。
図10で示されるように、内側包装12が空中配送用の品目11である場合、内側包装は外側包装14のシート16、18の間に緩く配設されてよい。複数の品目11が個々に、または複数の内側包装12内に梱包されて、パック10の外側包装14内に実質的に均等に分配されてもよい。当然のことながら、平衡のとれた重量分配をもたらすため、また空中からのパック10の配送をし易くするために、内側包装12は外側包装14の長さに沿って実質的に均等に分配されてもよい(
図23参照)。必要に応じて、パック10の外側包装14内に内側包装12を配設する他の手段も、任意の数の品目11も使用されてよい。さらに、外側包装14のいろいろなところに複数の内側包装12が配設されてよい。重量を外側包装14全体に均等に分配するように、内側包装は均等に配設されることが好ましい。好ましい実施形態では、品目11は内側包装12内で自由移動できるようにされる。好ましい実施形態では、パック10は100グラム、200グラム、300グラム、400グラム、750グラム、1キログラム、2キログラム、または他の量の品目11を保持する。品目11の寸法、軟度、空気力学的要素(複数)、材料、および位置決めは全て、品目11の重量および内容物に依存して調整されることが可能である。さらに、品目11は、パック10が正の静的安定度、中間の静的安定度、または負の静的安定度を有するように位置決めされることが可能である。
【0051】
パック10の内容物は品目11の1回分の量または割当て分であることが好ましい。例えば、内容物は1回分量の水、1つの栄養バー、応急処置用品、または生理用品であることが可能である。パック10が1回分量の品目11を保持する実施形態では、パックが好ましく落下ゾーンにわたって均等かつ無作為に分配されることから、空中投下中にパックの分配が達成される。
【0052】
当然のことながら、本開示の様々な封止部20、22、24、26、28、30、36、48、50は必要に応じて、化学的な封止作業、例えば接着剤または化学溶剤などを使用して、あるいは熱溶着作業によって形成されてよい。特に代表的な実施形態では、様々な封止部20、22、24、26、28、30、36、38、48、50は熱封止作業によって形成される。様々な封止部20、22、24、26、28、30、36、38、48、50を形成するための代替え手段も必要に応じて使用されてよい。
【0053】
本開示のパック10は、パック10の開封をし易くする穿孔52をさらに含んでよい。穿孔52は、不正開封防止装置が付けられた、または不正開封明示装置が付けられた穿孔52であってよい。穿孔52は、非常用パックの縁部から内方に延在し、上端縁部の封止部20と、下端縁部の封止部22と、横方向の上端部の封止部48と、横方向の下端部の封止部50とのうちの少なくとも1つを横断してよく、そのようにして、内側包装12と空中配送用の品目11とへのアクセスができるようにパック10の末端使用者によってそれらの封止部が開封されることができるようにする。さらに、
図24で示されるように、手提げの付いたパウチを形成するように穿孔が追加されてもよい。
【0054】
本明細書で規定されたように、外側包装14は内側包装12を含むように適合される。外側包装14は、特に夜間のパック10の所在位置の視認による発見をし易くする照明装置、例えば閃光LED、
発光フィルム、または反射装置も含んでよい。照明装置は、例えば時間、温度、圧力、または衝撃によって作動されてよい。代替え方法として、外側包装14は、レーダ反射材料またはレーダ発散被覆から形成されてよい。特定の実施形態では、外側包装14は光作動物質から形成され、またはそれで被覆される。外側包装14は、パック10の追跡をし易くするため、または在庫管理のため、GPS装置、RFID装置、および類似物などの追跡装置を含んでもよい。さらに、包装は音発生装置を含んでよい。例えば、包装は、包装をわたって空気が通過する際に電気的または機械的に作動される笛、ブザー、またはポケットベルを含んでよい。音発生装置は、パックが落下する際に、または落下位置でそれらの到着および所在位置を知らせることが可能である。特定の実施形態では、パック10は可動部分、電気部品、または機械部分を有さない。
【0055】
外側包装14は、目印を有しかつ/または包含してよい。目印はその内容物を指示する色付き材料または記号を含んでよい。例えば、青色の目印は品目11が水であることを指示してよく、赤十字の目印は、品目11には医療用物資および類似物が含まれることを指示してよい。目印は、パック10を開封するための、またその内容物の使用法を指示するための複数言語による説明書または図解説明書を含んでもよい。特定の実施形態では、パック10は色付けされてよい。例えば、パック10は、青色、えび茶色、黄色、ベージュ色、あるいは格子柄または水玉模様などのパターンであってよい。さらに、パック10には、印刷回路装置を備えたソーラフィルムが結合されてよい。装置は、AM/FM信号または短波信号を送受信することによって通信目的および/またはナビゲーション目的で使用されることが可能である。
【0056】
パック10を空中分配するために、熟練した技術者であれば、必要に応じて任意の適切な空中分配システムを選択することができる。非制限的な例として、分配システムは実質的に、ここで参照により全体が本明細書に組み込まれる「Cargo Delivery System for Aircraft」という名称の米国特許第4349168号明細書と、ここで参照により全体が本明細書に組み込まれる「Aerial Delivery System」という名称の米国特許第4241890号明細書と、ここで参照により全体が本明細書に組み込まれる「Aerial Cargo Delivery System」という名称の米国特許第4374578号明細書とで述べられる通りである。
【0057】
好ましい実施形態では、所望数のパック10を保持するコンテナまたは格納箱が、例えばC‐130などの飛行機の貨物艙内に配設される。パック10を飛行機上に積み込むための任意の適切な方法が使用されてよい。例えば、ここで参照により全体が本明細書に組み込まれる「Channel Slide Cargo Handling System and Method」という名称の米国特許出願公開第2008/0219830号明細書で述べられたシステムおよび方法を使用してコンテナが飛行機に積み込まれてよい。コンテナは、飛行機貨物の慣習通りに行と列で配設されてよい。コンテナは所望量のパック10と所望タイプの物資とを含んでよく、軍事行動または自然災害が発生した場合に分配を待ち受ける米国中および世界中の戦略的な場所に準備および保管されてよい。
【0058】
例示的な実施形態では、コンテナを所望場所に輸送する間、飛行機の後部ハッチが閉鎖され、コンテナの下に配設されたコンベアシステムが引き込められている。飛行機が所望場所に到達した後は、飛行機の後部ハッチは開けられ、コンベアシステムは貨物倉から引き出される。次いでコンテナ内のパック10は全てコンベアシステム上へと取り出され、コンベアシステムは、地上の人々への空中分配のためにパック10を飛行機の後部ハッチから退出させる。当然のことながら、コンテナのパックは全てまとめて取り出されてもよく、あるいはパック10は所望速度で1つずつ測定されてコンベアシステムへともたらされてもよい。パック10は、パック10が一緒に束または塊にされないように、またパック10それぞれの他のパック10からの分離が達成されるようにコンテナから飛行機の外に運搬される。
【0059】
驚くべきことに、
図1から
図10に示される通り、複数のパック10が、飛行機などの地上の高い点から分配されるとき、実質的に全てのパック10が、空気力学的構成要素32、34がシート18と地面の間にある状態に配向されることが発見された。このような配向の結果として、空気力学的構成要素32、34は空気によって捕えられ、外方に延びてパック10の終末速度を最小限に抑える。さらに有利に、空気力学的構成要素32、34の配向の結果として、パック10が上で配備される地面の全域にパック10は無作為かつ均等に分配される。
【0060】
パック10の寸法と、その内側包装12の内容物同士の比率と、パック10が形成される材料とによって、パック10が地上の人々または資産に被害を与えないように充分に低い所望の終末ピーク速度に達するようにパック10は適合される。本明細書で論じられるように、パック10の内容物の寸法、重量、および性質によって、内側包装12および外側包装14を形成するのに使用される材料とパック10の寸法とが決定される。
【0061】
パック10の空気力学的構成要素32、34は有利に、その終末速度をさらに最小限に抑える耐風構造を提供する。任意選択でパック10内に組み込まれる剛性挿入物40は、空中分配中のパック10の湾曲または折れ曲がりに対抗するべく作用する剛性をもたらす。湾曲または折れ曲がりに抵抗するべく作用することによって、空気によって接触されるパック10の表面積は最大にされ、それによってパック10の終末速度を低下させ、場合によっては最小限に抑える。
【0062】
パック10をパレットによってではなく個々に分配することによって、パック10内に包含される物資のより広範な分配が任意選択によって達成されることができ、物資の貯め込みがより困難となり、それによってより多くの人々が必要な物資を受け取ることを確実にする。
【0063】
図11から
図17に示されるように、本開示はパック10を製造する連続システム100も含む。他のタイプのパック10も本開示のシステム100によって製造されることができる。
【0064】
図11を参照すると、パック10を製造するシステム100は、製品積み込みユニット102と、長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104と、横方向の熱封止ユニット106、穿孔ユニット108と、翼部折り曲げユニット110と、翼帯部封止ユニット112と、パック分離ユニット114とを含む。システム100は、パック10とパック10の関連副構成要素とをシステム100に通して連続的に移送するための、順に配設された1対の長手方向に延在する、以下で第1コンベア116および第2コンベア118と呼ばれるコンベア116、118も含む。第1コンベア116および第2コンベア118のそれぞれが、パック10が製造される際にパック10とパック10の関連副構成要素とを第1コンベア116および第2コンベア118に固定するように構成された少なくとも1つの真空プレナム119と連通してよい。
【0065】
図12を参照すると、製品積み込みユニット102は、第1シートと第2シートの間に空中分配用の品目を含む内側包装を配置するように構成される。製品積み込みユニット102は、第1シート補給ロール120と第2シート補給ロール122と製品積み込み部124とを含んでよい。第1シート補給ロール120は第1シートを供給し、第2シート補給ロール122は第2シートを供給し、製品積み込み部124はパック10用の内側包装を供給する。第1シート補給ロール120はパック10用の第1シートを形成する材料を連続的に供給する。第1シートが第1シート補給ロール120から前進されるにつれて、印刷機がその上に所望の目印を印刷してよい。例えば、印刷機は製造日、使用期限、追跡情報、目印、および類似物を印刷するように使用されてよい。第1シートは第1コンベア116によってシステム100を通して前進されてよい。当業者には当然のことながら、第1シートは、必要に応じて、協働する対の被駆動ローラなどの代替え手段によってシステム100を通して前進されてよい。さらに第1シートは、本明細書で述べられるように多数の層から成ってよい。
【0066】
第1シートが製品積み込み部124の付近で前進されるにつれて、内側包装が製品積み込み部124によって第1シート上に所望間隔で配置される。内側包装が、第1シートの実質的に中心の長手方向に延在する軸線に沿って配設されるパック10から、良い結果が得られている。製品積み込み部124内の内側包装は同じ物資を含んでよく、または内側包装は必要に応じて種々の物資を包含してよい。例えば、一定量の水を包含する内側包装が第1コンベア116上の第1シートに供給されてよく、または代替え方法として、例えば内側包装は水、食料、および個人用生理用品などを含んでよい。特定の実施形態では、パックは空であり、後ほどまたは別の場所で詰められてもよい。
【0067】
第2シート補給ロール122は、パック10用の第2シートを形成する材料を連続的に供給する。第2シートは、第2シート補給ロール122から、例えば1対のオーバーラップロールによって内側包装および第1シートの上に分配されてよい。必要に応じて、第2シートを内側包装および第1シートの上にも分配する他の適切な手段を使用してもよい。第2シートは第1シートと同一であってもよく、または第1シートとは異なってもよい。
【0068】
内側包装が第1シートと第2シートの間に配設された後、内側包装と第1シートおよび第2シートとを含むアセンブリが、例えば
図13で示されるように長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104に前進される。長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104は、第1シートと第2シートを封止して、内側包装を収容する外側包装を形成する。長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104は、例えば熱封止機であってよいが、本開示の範囲内で、内側包装を第1シートと第2シートの間に封止する他の手段が使用されてよい。
【0069】
具体的な実施形態では、長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104は、第1シートおよび第2シートの両側縁部と、内側包装に隣接する第1シートおよび第2シートのパック中央の場所とを熱封止する。非制限的な例として、長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104は、第1シートおよび第2シートの側縁部を熱封止するように構成された1対の側部封止帯126、128を含んでよい。長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104は、内側包装に隣接した第1シートおよび第2シートのパック中央区域を熱封止するように構成された1対のパック中央部の封止帯130、132を含んでもよい。
【0070】
図13に示されるように、システム100の横方向の熱封止ユニット106は、長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104に隣接して配設される。横方向の熱封止ユニット106では、未封止パック10の第1シートおよび第2シートそれぞれの上端縁部と下端縁部が封止される。横方向の熱封止ユニット106は、1対の熱封止シリンダ136が移動可能に取り付けられた1対の直線レール取り付けブロック134を含む。直線レール取り付けブロック134は、例えば軸受部を含んでよく、第1コンベア116によって第2位置に移動された後に長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104の近位にある第1位置に戻るように、例えばバネなどによって付勢を掛けられてよい。熱封止シリンダ136は選択的に上方熱封止バー138と下方熱封止バー140を始動させる。
【0071】
部分的に封止されたパック10が、例えば第1コンベア116によって横方向の熱封止ユニット106に前進される。第1シートと第2シートの上端縁部が最初に、熱封止シリンダ136による上方熱封止バー138と下方熱封止バー140の始動によって封止され、これによって、上方熱封止バー138と下方熱封止バー140がそれらの間で第1シートと第2シートを第1位置で圧縮および加熱するようになる。熱封止シリンダ136と上方熱封止バー138および下方熱封止バー140とは未封止パック10と共に、第1コンベア同士を結合することによって、直線レール取り付けブロック134に沿って前進する。未封止パック10は第1コンベアとの正結合によって移動する。第1シートと第2シートの上端縁部が封止されるのに充分な所定の時間を経て、熱封止シリンダ136は、上方熱封止バー138と下方熱封止バー140が第1シートと第2シートから持ち上がるようにする。上方熱封止バー138と下方熱封止バー140は、第2位置で第1シートと第2シートから持ち上げられる。次いで上方熱封止バー138と下方熱封止バー140は第1位置に戻され、このプロセスが繰り返されて、第1シートと第2シートの下端縁部を封止する。当然のことながら、長手方向のパック中央部および縁部の封止部と上端縁部および下端縁部の封止部とを作り出すステップは、必要に応じて、ここで述べられる順序とは反対の順序で起こってもよく、または実質的に同時に起こってもよい。特定の実施形態では、後ほどまたは別の場所でパックが充填されることが可能となるように、少なくとも1つの縁部が未封止のままにされ、その後で残りの縁部が封止される。
【0072】
横方向の熱封止ユニット106は、少なくとも1つの内側包装の上端縁部と下端縁部を、横方向の上端部の封止部と横方向の下端部の封止部とによって第1シートと第2シートの間で固定するように使用されてもよい。例えば、上方熱封止バー138と下方熱封止バー140は、横方向の上端部および下端部の封止部と、上端縁部および下端縁部の封止部とのそれぞれを作り出す隆起部位を有してよい。本開示の範囲内で、内側包装を外側包装に結合するために、横方向の上端部および下端部の封止部を形成する他の手段も使用されてよい。
【0073】
長手方向のパック中央部および縁部の封止部と横方向の上端縁部および下端縁部の封止部とが形成された後は、各パック10は、第1コンベア116によって横方向の熱封止ユニット106を過ぎて穿孔ユニット108に移動するようにされる。穿孔ユニット108は横方向の熱封止ユニット106と翼部折り曲げユニット110との間に配設される。穿孔ユニット108は、各パック10の第1シートと第2シートに対して横方向に穿孔を抜いて、1つ1つのパック10の分離をし易くする。さらに、穿孔ユニット108はパック10の開封をし易くするための穿孔を形成する。
【0074】
図14で示された具体的な実施形態では、穿孔ユニット108は、少なくとも1つの穿孔刃144を備えた穿孔ローラ142を含む。穿孔ローラ142はアンビルローラ146の反対側に配設される。当然のことながら、第1コンベア116は穿孔ユニット108の一方側付近で終端し、第2コンベア118は穿孔ユニット108の他方側付近で始まり、穿孔ローラ142およびアンビルローラ146は第1コンベア116と第2コンベア118の間に配設される。穿孔ローラ142の穿孔刃144はアンビルローラと協働して、パック10がそれらの間を通過する際にそれらに穿孔を抜く。穿孔刃144は、非常用パックの分離のためにその幅分に穿孔を抜くための直線部位と、パック10用の穿孔付き開封部の形成のための角度部位とを有してよい。角度部位は、例えば実質的にV字形状であってよい。穿孔刃144は必要に応じて他の形状を有してよい。本開示の範囲内でパック10に穿孔を抜く他の手段も使用されてよい。
【0075】
ここで
図15および
図16を参照すると、本システム100は翼部折り曲げユニット110および翼帯部封止ユニット112をさらに含む。翼部折り曲げユニット110および翼帯部封止ユニット112は、少なくとも1つの内側包装に隣接した外側包装上で翼部などの1対の空気力学的要素を形成するように構成される。空気力学的要素は、パック10が空中を落下する際に、外側包装にわたって乱流を生じさせ、動作中にパック10の降下速度を低下させ、または最小限に抑えることが好ましい。空気力学的要素は、パック10が空中を落下する際に、動作中に降下速度を低下させ、または最小限に抑えることに寄与するのであってもよい。
【0076】
穿孔付きパック10が第2コンベア118によって前進される際、翼部折り曲げユニット110はパック10の側縁部の一部位を折り曲げる。例えば、翼部折り曲げユニット110は、離隔された1対の折り曲げ基部146と、離隔された1対の折り曲げ基部146に隣接して配設される1対の折り曲げ案内板148とを含む。パック10の側縁部は折り曲げ案内板148を通して前進され、折り曲げ案内板148は各側縁部を折り曲げて、パック10の抵抗要素を形成する。
【0077】
パック10の側縁部の折り曲げに続いて、折り曲げられた側縁部は、例えば
図16に示されるように翼帯部封止ユニット112によって熱封止される。以上に述べられたシステム100の長手方向のパック中央部および縁部の封止ユニット104と横方向の熱封止ユニット106と同様に、翼帯部封止ユニット112はパック10の第1シートと第2シートを封止するのに使用される。具体的には、翼帯部封止ユニット112は、折り曲げられた縁部を圧縮および加熱して翼部の封止部を形成する1対の加熱封止帯150、152を含んでよい。翼帯部封止ユニット112は、パック10の抵抗要素と側封止縁部を同時に形成する。当然のことながら、パック10の空気力学的要素または「翼部」は、形成時は閉鎖されているが、パック10が空中を落下する際の動作中には開いている。
【0078】
本開示の他の実施形態では、翼帯部封止ユニット112による熱封止の前に、剛性挿入物が第1シートと第2シートの側縁部付近に配設されてよい。剛性挿入物は必要に応じて、空気力学的要素内に、または側縁部の封止部とパック中央部の封止部との間で封止縁部に隣接して熱封止されてよい。
【0079】
図17を参照すると、システム100は包装分離ユニット114をさらに含んでよい。包装分離ユニット114は、例えば翼帯部封止ユニット112に隣接して配設される。包装分離ユニット114は裁断機154を含んでよい。裁断機154は、穿孔ユニット108によって形成された穿孔の少なくとも1つの部位に沿って切断し、それによって各パック10を分離するように構成される。このように裁断機154は1つ1つのパック10を形成する。パック10がシステム100から退出する際、パック10は輸送および分配のために収集および保管される。パック10は、パック10への編成なしでコンテナ内に収集されてよい。代替え方法として、パック10は編成された形で収集されてもよく、その結果積み重ねられたパック10ができる。例えば、コンテナは、パック10の内側包装が隣接するパック10の内側包装から偏位された状態で積み重ねられた所望数のパック10を包含するパック格納箱であってよい。個々のパック10を収集する他の手段も必要に応じて使用されてよい。
【0080】
他の実施形態では、個々のパック10は包装分離ユニット114によって分離されずに、展開中に分離されるパックの線状の「連なり」を提供する。
【0081】
本開示は、パック10を製造する方法をさらに含む。方法は、必要に応じて本開示のシステム100、または他のシステムに使用されてもよい。方法は最初に、第1シートと空中配送用の品目を含む少なくとも1つの内側包装とを提供するステップを含む。次いで内側包装が第1シート上に配置される。内側包装および第1シートの上に第2シートが配設される。次いで第1シートと第2シートが封止されて内側包装を収容する外側包装を形成する。少なくとも1つの空気力学的要素は、例えば少なくとも1つの内側包装に隣接した外側包装上に形成される。空気力学的要素は、外側包装にわたって乱流を発生させ、動作中はパックの降下速度を低下させ、または最小限に抑えることが好ましい。空気力学的要素は、動作中にパックの降下速度を低下させ、または最小限に抑えてもよい。
【0082】
第1シートと第2シートを封止するステップは、第1シートと第2シート上に上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部と、離隔された側縁部の封止部とを形成することを含んでよい。第1シートと第2シートを封止するステップは、1対のパック中央部の封止部を形成することを含んでもよい。内側包装は、1対のパック中央部の封止部と、上端縁部の封止部と、下端縁部の封止部とによって外側包装内に閉じ込められる。
【0083】
少なくとも1つの空気力学的要素を形成するステップは、第1シートと第2シートの対応する側縁部を折り曲げることを含んでよい。折り曲げられた縁部は、例えば側縁部の封止部とパック中央部の封止部との間に封止されて、翼部の封止部を形成する。
【0084】
内側包装はパック10の外側包装に結合されてもよい。例えば、少なくとも1つの内側包装の上端縁部と下端縁部は、横方向の上端部の封止部と横方向の下端部の封止部とによって第1シートと第2シートの間に封止されてよい。このようにして内側包装は外側包装に結合される。接着剤、締め具、および類似物を含む、内側包装を外側包装に結合する他の適切な手段も使用されてよい。
【0085】
本開示のパック10には、パック10同士の分離と個々のパック10の開封との両方をし易くするために穿孔が抜かれてもよい。例えば、穿孔はパック10の上端縁部から内方に延在してよい。封止部が開封されるように、穿孔は上端縁部の封止部と、横方向の上端部の封止部と、横方向の下端部の封止部とのうちの少なくとも1つを横断してよい。このようにして内側包装へのアクセスが可能にされる。
【0086】
物資の破損と物資を収集する人々への被害とのリスクが最小限に抑えられた、容易に空中投下され、多数の人々に分配されることができる、費用効果の高い物資用パックを製造する方法およびシステムが、このようにして提供される。
【0087】
本明細書に開示された本発明の明細および実践を考慮すれば、本発明の他の実施形態および用途が当業者に明らかであろう。全ての刊行物と、米国および外国の特許および特許出願を含む、本明細書で引用された全ての参照物文献は、その全てが参照により明確にここに組み込まれる。明細および実施例は例示的なものと見なされることがここでは意図され、本発明の真の範囲および精神は以下の請求項によって指示される。さらに、用語「備える」は用語「から成る」および「から基本的に成る」を含み、備える、含む、および包含するという用語は制限的な意味を有するものとしては意図されていない。