特許第5961616号(P5961616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961616
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】喫煙品用パック
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20160719BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B65D85/10
   B65D5/66 321B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-535339(P2013-535339)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-544718(P2013-544718A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011067147
(87)【国際公開番号】WO2012055672
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】1018183.2
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード、スティーヴン
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/018662(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/082725(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/066370(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0182729(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/092559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D85/10
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品用ヒンジ式蓋付きパックであって、これは胴体と蓋とを含み、この蓋はパックの後壁に沿って胴体にヒンジ式に接続され、蓋と胴体の間で閉鎖線を形成し、この閉鎖線は、パックの後壁からパックの対向する側壁および前壁を横断して延び、閉鎖線は、後壁に対して第1の角度(「A」、「C」)で後壁から離れて各側壁を横断して延びる第1の部分および後壁に対して第2の角度(「B」、「D」)で第1の部分からパックの前壁へと延びる第2の部分を有し、前記第1の角度(「A」、「C」)がパックの後壁に対して少なくとも60度であり、前記第2の角度(「B」、「D」)が前記第1の角度(「A」、「C」)より小さいヒンジ式蓋付きパック。
【請求項2】
前記第1の角度(「A」、「C」)がパックの後壁に対して90度であることを特徴とする請求項1記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項3】
前記第1の角度(「A」、「C」)がパックの後壁に対して90度超であることを特徴とする請求項1記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項4】
前記閉鎖線が第3の部分を有し、この第3の部分は、第1の部分が第3および第2の部分の間に位置するように、そして第3の部分が後壁に対して第3の角度(「E」)で形成されるように後壁から離れて第1の部分の方へと延び、前記第3の角度(「E」)は、第2の部分の第2の角度(「B」、「D」)と同じ角度であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項5】
前記閉鎖線の第1および第3の部分は、各側壁の幅の少なくとも半分に亘って延びることを特徴とする請求項記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項6】
前記第1の部分がパックの後壁から直接各側壁の幅の少なくとも半分に亘って延びることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項7】
前記蓋がタブが延びている側壁で形成され、これらタブは、蓋を開閉する際に胴体の側部パネルと係合することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のヒンジ式蓋付きパック。
【請求項8】
請求項1乃至いずれか1項記載のパックを形成するためのブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙品用パックに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコなどの喫煙品は、通常、パックに収容され、そのパックの全般的機能は、紙巻きタバコを収容し、機械的および環境的損傷から紙巻きタバコを保護することである。スライド可能なインサートまたはフレームを有するヒンジ式蓋付きパックおよびシェル式パックなど当業界において種々の紙巻きタバコパックの構成が知られている。ヒンジ式蓋付きパックは、喫煙品の束を保持するための空間を形成する胴体と蓋とを含む。蓋は、ヒンジ線に沿って胴体の後パネルに取り付けられ、開いたおよび閉じた位置の間を回転できるようになっている。閉じた位置において蓋の前壁下縁部が胴体の前パネルの上縁部と当接し、閉鎖線を形成する。閉鎖線は、通常パックの後壁から側壁を斜め下方に横切り、それからヒンジ線と平行なパックの前壁を横断して延びている。
【0003】
ヒンジ式蓋付きパックには製造時および蓋を閉じる時に不安定になるという問題点があり、閉じる際の強度および剛性が増したパックを提供するためにヒンジ式蓋付きパックの構造を改良する必要がある。
【0004】
またヒンジ式蓋付きパックには蓋がパックから僅かに開いた遊びの状態になりやすく、極端な場合には蓋が完全に開いてしまうという別の欠点もある。これにより収容されている製品から水分が失われたり、製品がパックから落ちてしまうというリスクもある。下記特許文献1は、胴体と摩擦係合する蓋の側壁から延在するタブを有するパックを提供することによってこの問題点を解決しようとしている。本発明は、この文献から知られているパックを改良し、さらにまたはこれとは別に強度および剛性が増したパックを提供することを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題点を克服または 実質的に軽減する、喫煙品を保持するためのパックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では喫煙品用ヒンジ式蓋付きパックを提供し、これは胴体と蓋とを含み、この蓋はパックの後壁に沿って胴体にヒンジ式に接続され、蓋と胴体の間で閉鎖線を形成し、この閉鎖線は、パックの後壁からパックの対向する側壁および前壁を横断して延び、閉鎖線は、後壁に対して第1の角度で後壁から離れて各側壁を横断して延びる第1の部分および後壁に対して第2の角度で第1の部分からパックの前壁へと延びる第2の部分を有する。
【0007】
パックの後壁に対する第1の角度は、90度であることが好ましい。
【0008】
1つの実施態様ではパックの後壁に対しての第1の角度は、少なくとも60度である。
【0009】
パックの後壁に対しての第1の角度は、90度超であってもよい。
【0010】
第2の角度は、第1の角度より小さいと都合がよい。
【0011】
閉鎖線は、第3の部分で形成してもよく、この第3の部分は、第1の部分が第3および第2の部分の間に位置するようにそして第3の部分が後壁に対して第3の角度で形成されるように後壁から離れて第1の部分の方へと延びる。
【0012】
第3の部分の第3の角度は、第2の部分の第2の角度と同じような角度であることが好ましい。
【0013】
1つの実施態様では閉鎖線の第1および第3の部分は、各側壁の幅の少なくとも半分に亘って延びる。
【0014】
別の実施態様では第1の部分は、パックの後壁から直接延びる。好ましくは第1の部分は、各側壁の幅の少なくとも半分に亘って延びる。
【0015】
蓋は、タブが延びている側壁で形成してもよく、タブは、蓋を開閉する際に胴体の側部パネルと係合する。
【0016】
本発明の別の態様では、上述の本発明のパックを形成するためのブランクも提供する。
【0017】
本発明の実施態様を添付の図面を参照してあくまで例示を目的として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】喫煙品の束を保持するための本発明によるパックを示す。
図2図1のパック形成するためのブランクを示す。
図3図1のパックの側面図である。
図4】パックの別の実施態様の側面図である。
図5】パックの別の実施態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照すると図1および3は、喫煙品の束を保持するための本発明によるパック1を示している。図2は、図1のパックを形成するためのブランク20を示し、実線はブランク20の切断線または外方の境界線を表し、破線は、折り曲げによって形成されるラインを表す。パック1は、閉鎖線8を形成する胴体2と蓋9とを含み、この閉鎖線は、以下の説明から明らかなように製造時および閉じた際の強度を増すように構成されている。
【0020】
閉じた位置にあるパック1の一般的な構成について図1および3を参照して説明するが、いくつかの特徴は、これらの図からは見えないが、図2で特定されている。パック1の胴体2は、2つの対向する左および右側部パネル21a、21b並びに底部パネル10によって隔てられた対向する前および後パネル3、4によって形成されている。前パネル3および側部パネル21a、21bの接合部に形成された角7は、丸みを帯びてもよい。前パネル3および側部パネル21a、21bは、蓋9の対応する下縁15に当接する上縁部5によって形成され、閉鎖線8を形成する。従って閉鎖線8は、パック1の後壁4、14からパックの丸みを帯びた角7、対向する側壁16a、16b、21a、21bおよび前壁3、13に亘って延びている。胴体2の後パネル4は、ヒンジ線11に沿って蓋9の後壁14に接続されている。蓋9にはさらに蓋9の後壁14、前壁13並びに左および右側壁16a、16bの間を延びる上壁12が設けられている。蓋9の前壁13および側壁16a、16bは、パック1を閉じた際に胴体2の上縁部5と対になる下縁部15によって形成される。
【0021】
図3から判るように閉鎖線8は、後壁4、14の角7から側壁16b、21bの幅の少なくとも半分を横断して延びている第1の部分30を有する。第1の部分30は、パックの後壁に対して角度「A」を有する。第1の部分30は、パックの後壁から90度の角度で延びるのが好ましいが、90度未満の角度で延びてもよく、ただしその角度は、60度以上であるべきである。これとは別に第1の角度「A」は、上方に延びた90度を超える角度であってもよい。また閉鎖線8は、第1の部分30からパック1の前壁3、13へと延び、パック1の後壁4、14に対して第2の角度「B」を有する第2の部分31によって形成されている。好ましくは第2の角度「B」は、第1の角度「A」より小さい。当然のことながら閉鎖線は、上述したのと同じようにパック1の後壁4、14のもう一方の角7および対向する側壁16a、21aを横切って延びている。
【0022】
上述したように後壁4、14に対して角度が付いている閉鎖線8の第1の部分30は、通常後方からパックの前壁まで側壁を横断して完全に延び、通常パックの後壁に対して約30°の角度が付けられた斜めの閉鎖線を有する従来のパックに較べて、パック1の製造および蓋を閉じた状態にあるときに安定性を付与するという利点を有する。
【0023】
図2に上述のパック1の胴体2および蓋9を含む長尺のブランク20を示す。ブランク20の胴体2は、前パネル3、底部パネル10および後パネル4で形成されている。前パネル3は、ブランク20を折り曲げた際に後パネル4から延びる側部フラップ22a、22bと重なる左および右側壁21a、21bで形成されている。図2に示す前壁3とその側壁21a、21bの間に位置するブランクの破線は、ブランクを折り曲げた際に形成される角が丸みを帯びることを表している。
【0024】
ブランク20の蓋9は、上述したような後壁14、上壁12および前壁13をさらに含む。蓋9の上壁12および後壁14は、ブランク20を組み立てたときに蓋9の前壁13の側壁16a、16bに重ねられる側部フラップ18で形成されている。蓋9の前壁13は、さらに折り曲げ線19に沿って下方前壁縁部15から延びるフラップ17で形成されている。フラップは内方に折れ曲がり、蓋9の前壁13の内面に重なる。フラップ17は、蓋9の前壁13と共に2層を形成するので蓋に安定性と強度を与える。また蓋は、パックを閉じた際に側壁16a、16bから延びるタブ50で形成されている。これらのタブ50は、任意に設けられるものであり、タブ50の機能については以下に詳しく説明する。
【0025】
図4に示す別の実施態様ではパック40は、図1および3を参照して説明した実施態様のような丸みを帯びた角を含んでいない。その代わり角41は、パックの側壁43a、43bと90°で接する後壁42によって形成されている。従って閉鎖線45の第1の部分44は、パック40の後壁42から直接パック40の側壁43a、43bの幅の少なくとも半分を横切ってパック40の後壁42に対して第1の角度「C」で延びている。閉鎖線の第2の部分46は、第1の部分44からパックの前壁47へとパック40の後壁41に対して第2の角度「D」で延びている。図1および3を参照して説明した実施態様と同じように第2の角度「D」は、第1の角度「C」より小さいことが好ましく、第1の部分44は、側壁43a、43bの幅の少なくとも半分に亘って延びている。
【0026】
図5に示す別の実施態様ではパック50は、図4に示すように角が直角に形成されているが、閉鎖線は、後壁54から離れて第1の部分51の方へと延びる第3の部分53を含み、第1の部分51が第2の部分52と第3の部分53の間に位置するようになっている。第3の部分53は、パックの後壁54に対して角度「E」が付けられている。角度「E」は、第1の部分51の第1の角度「C」より小さいことが好ましい。さらに第3の角度「E」が第2の部分52の第2の角度「D」より小さいことが想定される。
【0027】
上述のパック1、40、50の実施態様は、蓋9、47、56の側壁16a、16b、48a、48b、55a、55bから延在するタブ50で形成してもよい。タブ50は、胴体2、49、58の側部パネル21a、21b、43a、43b、57a、57bの内面と係合し、これによりパック1、40、50の遊びおよび意図せずに開いてしまうことが少なくなる。図1および3に示したパック1および図2に示した対応するブランク20にはタブが設けられており、次に説明するが、当然のことながら図4および5に示すパック40、50にも以下に説明するのと類似のタブおよび機能を設けてもよい。
【0028】
第1の部分30がパック1の後壁4、14に対して角度が付けられている閉鎖線8を有するパック1には、パック1の後壁4、14に対してはるかに小さい角度で延びる閉鎖線を有する従来のパックと比べて、大きな開口角度でタブ50が胴体2の側部パネル21a、21bの内面と係合するという利点がある。従って蓋9の側壁16a、16bと共に閉鎖線の第1の部分30を形成する胴体2の側部パネル21a、21bのセクションによって、パックを閉じる際に従来のパックよりもかなりタブ50を位置合わせしやすくする。大きな開口角度で胴体2の側部パネル21a、21bと係合するタブ50の効果は、パック1の側壁16a、16b、21a、21bの幅の少なくとも半分を横切って延びる第1の部分30によって得られる。というのは第1の部分30がパック1の側壁16a、16b、21a、21bを横断して遠くに延びるほど、蓋9を閉じる際にタブ50が胴体2の側部パネル21a、21bの内面とすぐに係合するからである。しかしながら好ましい実施態様では第1の部分30が、パック1の後壁4、14に対して90°の角度で側壁16a、16b、21a、21bの全幅を横断して延びない。なぜなら全幅を横断して延びると蓋を閉じる際にタブ50の邪魔になるからである。その代わり第2の部分31は、第1の部分30の角度「A」より小さい角度で形成され、蓋9を閉じることができ、タブ50が胴体2の側部パネル21a、21bの内面に隣接して位置する。
【0029】
第1および第2の部分並びに第3の部分によって形成された段を有する閉鎖線には、角度「A」、「B」、「C」、「D」および「E」を従来のパックの斜めの閉鎖線の角度ほど鋭角にならないように形成することができるという別の利点がある。これによりこれらの角度で形成されたポイントまたは角の鋭さを小さくし、これら接合部での板紙の損傷または剥離の可能性を減少させる。
【0030】
上述のあらゆる実施態様は、フレームを含んでもよく、フレームはパックに挿入され、喫煙品をさらに保護する役割を果たす。
【0031】
本発明の実施態様を示し、説明してきたが、上記説明は、好ましい実施態様の説明としてのみ見なすべきであり、添付の特許請求の範囲内に入る他の実施態様も本開示の一部を形成するものと考えるべきであることを当業者は、理解するはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】国際出願公開第08/087378号
図1
図2
図3
図4
図5