特許第5961625号(P5961625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961625
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20160719BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20160719BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20160719BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01L25/08 B
   H01L21/92 602G
   H01L21/92 602N
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-542811(P2013-542811)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2012006095
(87)【国際公開番号】WO2013069192
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2011-246600(P2011-246600)
(32)【優先日】2011年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 賢司
(72)【発明者】
【氏名】川端 毅
(72)【発明者】
【氏名】萩原 清己
【審査官】 多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/086481(WO,A1)
【文献】 特開2008−251912(JP,A)
【文献】 特開平01−214141(JP,A)
【文献】 特開2009−200394(JP,A)
【文献】 特開2008−235666(JP,A)
【文献】 特開2003−017530(JP,A)
【文献】 特開2010−123602(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058646(WO,A1)
【文献】 特開2006−203079(JP,A)
【文献】 特開2004−165189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60、25/00−25/07
25/10−25/11、25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体チップ及び前記第1の半導体チップの側面から外方に拡張するように設けられた拡張部を含む拡張型半導体チップと、
複数のバンプを介して前記拡張型半導体チップに接続されると共に、前記第1の半導体チップと電気的に接続された第2の半導体チップとを備え、
前記第1の半導体チップは、前記第2の半導体チップよりも小さく、
前記拡張部に、少なくとも1つの外部端子が設けられており、
前記第2の半導体チップにおける前記拡張部に対向する部分に第1のパッドが設けられ、
前記拡張部上に第2のパッドが設けられ、
前記複数のバンプは、前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップとの間に設けられた第1のバンプと、前記拡張部と前記第2の半導体チップとの間に配置された第2のバンプとを含み、
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは異なる高さを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項の半導体装置において、
前記第1のバンプは、前記第1の半導体チップに設けられた第3のパッドに接続され、
前記第1のパッド、前記第2のパッド及び前記第3のパッドは凹部を有し、
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは異なる高さを有し、
前記第1のバンプが接続された前記第3のパッドと、前記第2のバンプが接続された前記第1のパッド又は第2のパッドとは凹部の大きさが異なることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2の半導体装置において、
前記拡張部の厚さは、前記第1の半導体チップの厚さよりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1又は2の半導体装置において、
前記拡張部と前記第2の半導体チップとの間に配置された前記第2のバンプは、前記第2の半導体チップの前記第1のパッドに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1又は2の半導体装置において、
前記拡張部と前記第2の半導体チップとの間に配置された前記第2のバンプは、前記拡張部の前記第2のパッドに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1つの半導体装置において、
前記複数のバンプは、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの少なくとも一方におけるトランジスタ配置領域を避けて配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項の半導体装置において、
前記複数のバンプは、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの少なくとも一方におけるタイミングばらつきによる誤動作の発生が無いセルが配置された領域に配置されており、
前記タイミングばらつきによる誤動作の発生が無いセルは、ESD保護セル、Tieセル、ボーナスセル、面積率調整セル、電源容量セル、入力Tie固定されたセル及びレベルシフタの少なくとも1つであることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1つの半導体装置において、
前記複数のバンプの少なくとも1つは、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの少なくとも一方におけるスクライブレーン又はシールリング領域に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1つの半導体装置において、
前記複数のバンプのうち少なくとも1つは、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの少なくとも一方におけるチップコーナー部セル領域に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1つの半導体装置において、
前記複数のバンプのうち少なくとも1つは、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの少なくとも一方における電源配線上に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1、2、4及び5のいずれか1つの半導体装置において、
前記複数のバンプは、前記拡張型半導体チップと前記第2の半導体チップとを電気的に接続していないダミーバンプを含み、
前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップとの電気的な接続が行なわれる第1領域よりも外側である第2領域に、前記ダミーバンプが配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11の半導体装置において、
前記ダミーバンプは、前記拡張部と前記第2の半導体チップとの間に配置された前記第2のバンプに含まれることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項11の半導体装置において、
前記ダミーバンプは、前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップとの間に配置された前記第1のバンプに含まれることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つの半導体装置において、
前記ダミーバンプは、非金属材料により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つの半導体装置において、
前記拡張部は、金属材料又は樹脂からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つの半導体装置において、
前記拡張型半導体チップ及び前記第2の半導体チップを搭載する基板を更に備え、
前記基板は、前記拡張型半導体チップにおける前記第2の半導体チップに接合される面とは反対側の面に接合され、
前記外部端子は、ワイヤボンディングパッドであり且つ金属細線を介して前記基板に接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1つの半導体装置において、
前記拡張型半導体チップ及び前記第2の半導体チップを搭載する基板を更に備え、
前記基板は、前記拡張型半導体チップにおける前記第2の半導体チップに接合される面とは反対側の面に接合され、
前記外部端子は、ボール電極を介して前記基板に接続されることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップオンチップ(Chip On Chip、COC)構造を有する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体製造技術の微細化に伴い、LSI(Large Scale Integration )を構成するトランジスタ数は増加の一途を辿っている。特に、システムLSIにおいて、構成要素が複雑・大規模になるにつれて、必要なメモリ容量が増加する。従って、大規模メモリを搭載したシステムLSIの高効率な実装方法の実現がコスト面から重要になっている。
【0003】
一方、LSIとパッケージとの接続方式として、ワイヤーボンディング方式及びフリップチップ方式が一般的に用いられてきた。これらの実装形態を用いた場合、システムLSIチップ内、チップ搭載基板又は実装基板にメモリを搭載する必要があるので、搭載容量の制約、基板搭載面積及び搭載コスト等が大きくなり易い。
【0004】
以上に対応する技術の1つとして、チップオンチップ(COC)構造がある。
【0005】
図12は、一般的なチップオンチップ構造の断面図を示す。図12に示すように、チップ101及びチップ102はバンプ104を介して電気的に接続されている。バンプ104は、チップ101及びチップ102にそれぞれ設けられた複数のパッド(図示省略)に設けられている。チップ101とチップ102との間には、アンダーフィル樹脂105が充填されている。チップ101は、ワイヤボンド用パッド(図示省略)を有しており、当該ワイヤボンド用パッドに設けられたワイヤ106によって基板103に接続されている。チップ101、チップ102及びワイヤ106は、モールド樹脂107(外形のみを破線にて示している)によって覆われている。
【0006】
このように、COC構造を用いると、複数のチップを基板107上に積層して搭載でき、通常のワイヤボンディング及びフリップチップ方式と比べてチップ同士を効率的に且つ小面積で接合できる。
【0007】
ここで、図13に示すように、COC方式における下側のチップ101の面積が小さい場合、ワイヤボンド領域が確保できなくなる。また、チップ中央部にバンプ104が集中した配置の場合、上下のチップ101及び102を接合する際に上側のチップ102の水平水準が不安定となり、安定した水平水準を保てない。
【0008】
また、LSI(チップ)内部には、LSI表面に配置されたパッドを通じて外部応力が加わる。従って、LSI中に、パッドの配置に対応して応力の加わる部分と加わらない部分とが混在する。また、チップ面内の応力分布に関し、チップ及びインターポーザ(図12図13の基板103に相当)には温度に依存する伸縮量の差が存在するので、チップ外周部により強い応力が加わる傾向がある。
【0009】
ここで、LSIに応力が加わることの影響としては、トランジスタの特性変化が挙げられる。従って、パッドの直下に位置するトランジスタの特性が変化し、LSI中の各トランジスタの動作速度が不均一となるので、LSIの動作タイミングが影響を受け、LSI機能動作不良、歩留り低下等が生じてしまう。
【0010】
特許文献1には、外部接続用端子、並びに第1のメモリ端子及び第2のメモリ端子を有し、外部接続用端子と第1のメモリ端子とが第1のメモリ配線層を介して電気的に接続されてなる半導体メモリチップと、半導体メモリチップより小型であって、その主面上において第1の論理回路端子及び第2の論理回路端子を有する半導体論理回路チップとを具え、半導体論理回路チップは、半導体メモリチップの少なくとも第1のメモリ端子と第1の論理回路端子とが電気的に接触するようにして、半導体メモリチップ上に積層されるようにして半導体装置を構成することが開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、半導体チップ及びインターポーザの四隅又は対角線上に設けられたダミー端子を備える手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−141080号公報
【特許文献2】特開2008−60587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、上側に搭載するチップが下側に搭載するチップに対して小型であることが前提であり、下側のチップが小型の場合には、COC構造による接合が実施できない。尚、チップの種類(メモリチップ及び論理回路チップ等)が異なるので、必要とされる接続等にも違いがあり、いずれのチップを上側又は下側に用いるかを任意に決めることは必ずしも可能ではない。また、下側チップにはワイヤボンディング端子、基板との接続端子及び配線が必要であり、下側チップを上側チップに合わせて作成(設計)する必要がある(上側・下側のチップを同時に設計するか、下側チップを上側チップよりも後に設計する必要がある)。下側チップを新規に作成する際、上側チップよりも小型であったとすると、COC構造による接合は実施できない。
【0014】
また、特許文献2に開示された方法は、フリップチップに関し、チップコーナー部及び対角線上における応力を緩和する手法であり、COC構造のチップ外周部全体の応力に関する対策には適用できない。
【0015】
以上に鑑み、本開示は、COC構造を有する半導体装置において、上側・下側チップの大小関係によらず、COC実装時の水平水準を確保すると共にワイヤボンディング領域を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するために、本願発明者らは種々検討を行ない、次のような着想を得た。つまり、COC構造を有するチップの実装において、下側チップの大きさを拡張することによりチップCOC水平水準及びワイヤボンディング領域を確保し、且つ、拡張部又はチップ上の特定の領域にバンプを配置することにより応力に起因する装置の動作不具合を抑制することに想到した。
【0017】
具体的に、本開示の半導体装置は、第1の半導体チップ及び第1の半導体チップの側面から外方に拡張するように設けられた拡張部を含む拡張型半導体チップと、複数のバンプを介して拡張型半導体チップに接続されると共に、第1の半導体チップと電気的に接続された第2の半導体チップとを備え、第1の半導体チップは、第2の半導体チップよりも小さく、拡張部に、少なくとも1つの外部端子が設けられている。
【0018】
このような半導体装置によると、第1の半導体チップが第2の半導体チップよりも小さい(平面視における面積が小さい)場合にも、第1の半導体チップの周囲に拡張部を設けて拡張型半導体チップとすることにより、COC接合の下側チップとして用いることができる。つまり、第2の半導体チップを第1の半導体チップ上にCOC接合する際に、拡張部を利用できるので、水平水準を保つことができる。このことから、半導体装置の製造歩留りが向上し、製造コストが低減される効果も発揮される。
【0019】
また、拡張部に備えられ、半導体装置を実装基板等に接続する際に用いる外部端子(ワイヤボンド用パッド等)により、第2の半導体チップよりも小さい第1の半導体チップをCOC接合の下側チップとして用いる場合にも、ボンディング領域が確保される。
【0020】
また、複数のバンプは、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間に設けられた第1のバンプと、拡張部と第2の半導体チップとの間に配置された第2のバンプとを含んでいても良い。
【0021】
このようにすると、半導体チップの一部領域、例えば中央付近にバンプが集中した構造となるのを避けることができ、より確実に第2の半導体チップをCOC接合する際の水平水準を確保できる。
【0022】
また、第2の半導体チップにおける拡張部に対向する部分上に第1のパッドが設けられ、拡張部と第2の半導体チップとの間に配置されたバンプは、第2の半導体チップにおける第1のパッドに接続されていても良い。
【0023】
また、拡張部上に第2のパッドが設けられ、拡張部と第2の半導体チップとの間に配置された第2のバンプは、拡張部の第2のパッドに接続されていても良い。
【0024】
拡張部と第2の半導体チップとの間に配置されたバンプについて、以上のどちらであっても良い。更には、拡張部側及び第2の半導体チップ側の両方にパッドが設けられていても良い。尚、拡張部上に位置するバンプは、第1の半導体チップに対して応力を印加することがないので、第1の半導体チップにおける誤動作の原因になるのを避けることができる。これは、製造歩留りの向上、ひいては製造コスト抑制に貢献する。
【0025】
また、第1のバンプと第2のバンプとは異なる高さを有していても良い。
【0026】
このようなバンプの高さの違いは、第2の半導体チップの水平水準を確保するために利用できる。
【0027】
また、第1のバンプは、第1の半導体チップに設けられた第3のパッドに接続され、第1のパッド、第2のパッド及び第3のパッドは凹部を有し、第1のバンプと第2のバンプとは異なる高さを有し、第1のバンプが接続された第3のパッドと、第2のバンプが接続された第1のパッド又は第2のパッドとは凹部の大きさが異なっていても良い。
【0028】
凹部を有するパッドにバンプが形成されている場合に、凹部の大きさが異なると、その上に設けられるバンプの大きさ(高さ等)が異なるようになる。これにより、第1の半導体チップ上と、拡張部上とについてバンプの高さを変えることができ、このことを第2の半導体チップの水平水準を確保するために利用できる。
【0029】
また、バンプの高さ及び拡張部の厚さは、接合時温度及び接合後温度の差による第1の半導体チップ、第2の半導体チップ、拡張部及び実装基板のそれぞれの反り量をもとにして決定されても良い。
【0030】
また、バンプの高さ及び拡張部の厚さは、第1の半導体チップ、第2の半導体チップ、拡張部及び実装基板のそれぞれの線膨張係数を基にして決定されても良い。
【0031】
第2の半導体チップのCOC接合における水平水準を確保するために、このようにしても良い。
【0032】
また、複数のバンプは、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの少なくとも一方におけるトランジスタ配置領域を避けて配置されていても良い。
【0033】
このようにすると、接合時等にバンプに対して加わる外部応力の影響がトランジスタに及ぶのを抑制することができる。この結果、トランジスタの動作特性の変動、複数のトランジスタ間の動作速度のバラツキ等を抑制し、半導体装置の誤動作を抑制することができる。尚、トランジスタ配置領域に対する配置を完全に避けることが最も望ましいが、トランジスタ配置領域に配置されるバンプが存在する場合にも、できるだけこのような配置を避けることによって誤動作を抑制する効果は得られる。
【0034】
また、複数のバンプは、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの少なくとも一方におけるタイミングばらつきによる誤動作の発生が無いセルが配置された領域に配置されており、タイミングばらつきによる誤動作の発生が無いセルは、ESD(electro-static discharge;静電気放電)保護セル、Tieセル、ボーナスセル、面積率調整セル、電源容量セル、入力Tie固定されたセル及びレベルシフタの少なくとも1つであっても良い。
【0035】
これにより、半導体装置の誤動作を抑えることができる。
【0036】
また、複数のバンプのうち少なくとも1つは、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの少なくとも一方におけるスクライブレーン又はシールリング領域に配置されていても良い。
【0037】
また、複数のバンプのうち少なくとも1つは、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの少なくとも一方におけるチップコーナー部セル領域に配置されていても良い。
【0038】
また、複数のバンプのうち少なくとも1つは、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの少なくとも一方における電源配線上に配置されていても良い。
【0039】
このようにすると、接合時等にバンプに対して加わる外部応力の影響がトランジスタに及ぶのを抑制することができる。この結果、トランジスタの動作特性の変動、複数のトランジスタ間の動作速度のバラツキ等を抑制し、半導体装置の誤動作を抑制することができる。
【0040】
ここで、以上に述べた領域とは異なる部分に配置されるバンプが存在する場合にも、そのような配置のバンプをできるだけ減らすことにより、半導体装置の誤動作を抑制する効果が得られる。
【0041】
また、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップの両方に関して、以上のようなバンプの配置となっていることがより望ましい。このようにすると、両方のチップに関して誤動作抑制等の効果が得られる。
【0042】
また、複数のバンプは、拡張型半導体チップと第2の半導体チップとを電気的に接続していないダミーバンプを含み、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの電気的な接続が行なわれる第1領域よりも外側である第2領域に、ダミーバンプが配置されていても良い。
【0043】
このようにすると、第2の半導体チップの水平水準を確保するためにダミーバンプを利用することができる。ダミーバンプは、拡張部内及び第1の半導体チップ面内の一方又は両方に位置していても良い。
【0044】
また、ダミーバンプは、拡張部と第2の半導体チップとの間に配置された第2のバンプに含まれていても良い。
【0045】
また、第1領域は、第1の半導体チップにおける中央部、第1の半導体チップにおける1つ又は複数の辺に沿った領域、第1の半導体チップにおける角付近の領域及び第1の半導体チップにおける向かい合う一組の辺から距離をおいた帯状の領域の少なくとも1つであっても良い。
【0046】
ダミーバンプにより水平水準を確保することができるので、電気的接続に関わるバンプの配置領域が半導体チップの中央領域であることは必須ではない。
【0047】
また、第1領域は略四角形であり、ダミーバンプは、第1領域の向かい合う一対の辺に沿って形成されていても良い。
【0048】
また、第1領域は略四角形であり、ダミーバンプは、第1領域の4辺に沿って形成されていても良い。
【0049】
また、第1領域は略四角形であり、ダミーバンプは、第1領域の角部に沿って形成されていても良い。
【0050】
ダミーバンプの配置として、このようになっていても良い。
【0051】
また、ダミーバンプは、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間に配置された第1のバンプに含まれていても良い。
【0052】
また、バンプは、第1の半導体チップ又は第2の半導体チップとの電気的接続を有しないバンプを含んでいても良い。
【0053】
つまり、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの固定には寄与しているが、電気的接合には寄与しないバンプが含まれていても良い。このようなバンプも、COC接合の水平水準を確保する効果は有する。
【0054】
また、ダミーバンプは、非金属材料により形成されていても良い。
【0055】
非金属材料としては、例えば樹脂であっても良い。このようなバンプであっても、第2の半導体チップの水平水準を確保することに利用できる。また、金属バンプに対し、剛性等の違いにより、接合時にバンプを介して加わる応力を緩和することができる。尚、金属バンプとする場合には、電気的接続のためのバンプと水平水準を確保するためのバンプとが同じ材料であることから、接合部応力の緩和が可能である。
【0056】
また、拡張部の厚さは、第1の半導体チップの厚さよりも大きくても良い。
【0057】
このようにしても、第2の半導体チップの水平水準を確保するために拡張部を利用することができる。この場合、例えば、拡張部と第2の半導体チップとの間のバンプを他の部分のバンプよりも低くする。
【0058】
また、拡張部の厚さは、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間の距離と、第1の半導体チップの厚さとを合わせた厚さであっても良い。
【0059】
このようにすると、COC接合時に、拡張部上面に第2の半導体チップの下面が接することになる。このようにしても、水平水準を確保することができる。
【0060】
また、拡張部は、金属材料又は樹脂からなっていても良い。
【0061】
拡張部は、例えばこれらの材料を用いて形成することができる。ここで、特に樹脂を用いた場合、半導体チップよりも剛性が低いことから、応力を小さくすることができる。
【0062】
また、拡張型半導体チップ及び第2の半導体チップを搭載する基板を更に備え、基板は、拡張型半導体チップにおける第2の半導体チップに接合される面とは反対側の面に接合され、外部端子は、ワイヤボンディングパッドであり且つ金属細線を介して基板に接続されていても良い。
【0063】
また、拡張型半導体チップ及び第2の半導体チップを搭載する基板を更に備え、基板は、拡張型半導体チップにおける第2の半導体チップに接合される面とは反対側の面に接合され、外部端子は、ボール電極を介して基板に接続されていても良い。
【0064】
このように、拡張型半導体チップ及び第2の半導体チップは、基板に対し、ワイヤボンディングされるか又はボール電極によって接続され、基板に搭載された半導体装置を構成しても良い。
【発明の効果】
【0065】
本開示の技術によると、COC構造を有する半導体装置において、上側及び下側チップの大小関係によらずCOC接合時の水平水準を確保し且つチップと基板との接合領域を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、本開示の例示的半導体装置の断面構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本開示の例示的半導体装置の他の断面構成を模式的に示す図である。
図3図3は、本開示の例示的半導体装置の他の断面構成を模式的に示す図である。
図4図4は、本開示の例示的半導体装置の他の断面構成を模式的に示す図である。
図5図5は、本開示の例示的半導体装置の他の断面構成を模式的に示す図である。
図6図6は、本開示の例示的半導体装置における接合パッド及びその上のバンプについて断面構成を拡大して示す図である。
図7図7は、本開示の例示的半導体装置について、構成要素の配置を模式的に示す平面図である。
図8図8は、本開示の例示的半導体装置について、構成要素の配置を模式的に示す平面図である。
図9図9は、本開示の例示的半導体装置について、構成要素の配置を模式的に示す平面図である。
図10図10は、本開示の例示的半導体装置について、構成要素の配置を模式的に示す平面図である。
図11図11は、本開示の例示的半導体装置について、バンプの配置領域を例示する平面図である
図12図12は、背景技術の半導体装置の断面構成を模式的に示す図である。
図13図13は、背景技術の半導体装置の断面構成を模式的に示す図である。
図14図14は、本開示の例示的半導体装置について、更なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本開示に係る例示的半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0068】
図1は、例示的半導体装置10の断面を模式的に示す図である。図1に示すように、半導体装置10は、第1の半導体チップ11及び第2の半導体チップ12を含み、基板13に搭載されている。ここで、第1の半導体チップ11は、COC接合において下側(基板13の側)のチップである。また、第1の半導体チップ11は、平面視において、第2の半導体チップ12よりも面積が小さいチップである(図7等を参照)。
【0069】
第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12とは、バンプ14a及びバンプ14bを介して電気的に接続されている。バンプ14a及びバンプ14bは、順に、第1の半導体チップ11上及び第2の半導体チップ12上にそれぞれ設けられたパッド(図示は省略)上に形成されている。第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との間は、アンダーフィル樹脂15により充填されている。
【0070】
第1の半導体チップ11の周囲には、例えば樹脂からなる拡張部21が設けられ、第1の半導体チップ11及び拡張部21により拡張型半導体チップ20が構成されている。拡張部21には、外部端子18(この例では、ワイヤボンディング用パッド)が設けられており、ワイヤ16を介して基板13に対して電気的に接続される。また、拡張部21と第2の半導体チップ12との間にも、アンダーフィル樹脂15が充填されている。
【0071】
また、拡張部21上にもパッド(図示省略)が形成され且つその上にバンプ14cが形成されている。バンプ14cは、第2の半導体チップ12側のバンプ14dと共に、第2の半導体チップ12と拡張型半導体チップ20との接合に寄与している。尚、アンダーフィル樹脂15は、拡張部21と第2の半導体チップ12との間にも充填されている。
【0072】
以下では、バンプ14a、バンプ14b、バンプ14c及びバンプ14aの一部又は全てを指してバンプ14と呼ぶことがある。
【0073】
第1の半導体チップ11、第2の半導体チップ12、拡張部21、バンプ14、アンダーフィル樹脂15及びワイヤ16は、モールド樹脂17(外形のみを破線にて示している)によって覆われている。
【0074】
以上のように、第1の半導体チップ11の周囲に拡張部21を設けて拡張型半導体チップ20とすることにより、下側チップである第1の半導体チップ11が上側チップである第2の半導体チップ12よりも小さい場合にもCOC接合を安定して行なうことができる。また、拡張部21上に外部端子18を設けることで、ワイヤ16によるワイヤボンディングを行なうための領域を確保できる。更に、拡張部21上にもバンプ14cを配置することにより、第2の半導体チップ12をCOC接合する際の水平水準を確保することができる。
【0075】
尚、拡張部21は樹脂からなるものとして説明したが、他の材料、例えば金属からなっていても良い。但し、金属及び半導体等に比べて剛性が低い(柔らかい)樹脂を用いると、応力を低減する等の効果を得ることができる。
【0076】
また、図1の場合、拡張部21上と、拡張部21に対向する部分の第2の半導体チップ12上との両方にパッドが形成され、それぞれにバンプ14c及びバンプ14dが形成されている。拡張部21と第2の半導体チップ12とは、バンプ14c及びバンプ14dを介して接続されている。
【0077】
これに対し、拡張部21及び第2の半導体チップ12の一方のみにパッド及びバンプが形成されていても良い。このような場合であっても、バンプを介して拡張部21と第2の半導体チップ12とを接合することは可能である。
【0078】
具体例として、図2は、拡張部21側にはバンプが形成されず、拡張部21に対向する部分の第2の半導体チップ12上にパッド及びその上のバンプ14dが形成されている例を示す。また、図3は、拡張部21側にパッド及びその上のバンプ14cが形成され、拡張部21に対向する部分の第2の半導体チップ12上にはバンプが設けられていない例を示している。
【0079】
このように、一方のチップのみにバンプを追加した場合、他方のチップについては従来のバンプ配置と同じチップを用いることができるので、両方のチップにバンプを追加する場合よりも低コストとなる。
【0080】
また、図1図2及び図3の例では、拡張部21が第1の半導体チップ11と同じ厚さを有している。しかしながら、これには限られない。
【0081】
例えば、図4に示すように、拡張部21が第1の半導体チップ11よりも厚くなっていても良い。図4の場合、拡張部21側にはバンプが設けられず、拡張部21に対向する部分の第2の半導体チップ12上にパッド及びその上のバンプ14dが設けられている。
【0082】
ここで、図2及び図3のように、拡張部21側及び第2の半導体チップ12側の一方だけにバンプが設けられている場合、拡張部と第2の半導体チップ12とを適切に接合するためには、バンプの大きさを調整することが必要になることも考えられる。例えば、拡張部21と第2の半導体チップ12との間に位置するバンプを、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との間に位置するバンプよりも大きくする等である(これに関しては後にも更に説明する)。
【0083】
これに対し、拡張部21の厚さを第1の半導体チップ11の厚さよりも大きくすることにより、このようなバンプの大きさの調整をすることなく適切に接合可能となる。
【0084】
尚、拡張部21を更に厚くすることにより、拡張部21と第2の半導体チップ12との間にはバンプを設けない構造とすることもできる。この場合を図5に示す。
【0085】
ここで、拡張部21の厚さは、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との接合ギャップ幅(COC接合された状態における両チップ間の隙間の寸法)に、第1の半導体チップ11の厚さを加えた寸法とする。
【0086】
このようにすると、第1の半導体チップ11上に第2の半導体チップ12をCOC接合した際、拡張部21が第2の半導体チップ12に接するようになる。この結果、拡張部21と第2の半導体チップ12との間にはバンプを設けることが不要となる。
【0087】
次に、拡張部21と第2の半導体チップ12との間のバンプ(14c、14d)の大きさと、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との間のバンプ(14a、14b)の大きさとを異ならせることについて説明する。
【0088】
例えば、図2図3及び図4の場合、拡張部21と第2の半導体チップ12との間のバンプを他の部分のバンプよりも大きくすることにより、第2の半導体チップ12をCOC接合する際の水平水準を確保する。このようなバンプの大きさの違いは、例えば、バンプを配置するパッドの凹部の大きさを変えることによって実現できる。
【0089】
図6は、半導体装置10のバンプ及びそれを搭載するためのパッド周辺を拡大して示す模式的な断面図である。
【0090】
拡張部21の上面にパッドメタル31が配置され、パッドメタル31及び拡張部21上を覆うパッシベーション絶縁膜32と、更にその上を覆う絶縁膜33が形成されている。パッシベーション絶縁膜32及び絶縁膜33は、パッドメタル31上に凹部を有する。ここで、絶縁膜33は、パッシベーション絶縁膜32よりも内側にまで延びている。当該凹部及びその周囲を覆うようにUBM(Under Bump Metal)パッド36が形成され、UBMパッド36上に、バンプ37が形成されている。
【0091】
ここで、絶縁膜33の凹部の寸法をパッド凹部径34とすると、パッド凹部径34の違い(ひいては凹部の体積の違い)によりバンプ高さ35が異なるようになる。つまり、バンプ37の体積が同じであれば、凹部が小さい(パッド凹部径34が小さい)ほど凹部外の部分のバンプ37が大きくなるので、バンプ高さ35も大きくなり、凹部が大きい(パッド凹部径34が大きい)ほど凹部外の部分のバンプ37が小さくなってバンプ高さ35も小さくなる。
【0092】
従って、パッド凹部径34を設定することにより、バンプ37の高さを設定することができる。これを利用して、拡張部21と第2の半導体チップ12との間に位置するバンプの高さを、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との間に位置するバンプの高さよりも大きくする又は小さくすることも可能である。尚、図6では拡張部21上に設けたパッド及びその上のバンプ(図3におけるバンプ14c)に対応するが、他のバンプ(図1図2及び図3のバンプ14a、14b、14c)についても同様にして高さを調整することができる。
【0093】
ここで、拡張部21、基板13及びバンプ14等を構成する材料の線膨張係数をもとに、各部のパッド凹部径34を設定しても良い。つまり、各材料の線膨張係数の違い及びCOC接合における接合時の温度と接合後の温度との違いにより、接合時と接合後とにおいて、チップ及び基板の反り量が異なり、ひいては拡張部21と第2の半導体チップ12との間の接合ギャップが異なる場合がある。接合後の方が接合ギャップが大きくなる場合、拡張部21におけるパッド凹部径34を小さくして、バンプ高さ35を大きくする。逆に、接合後に接合ギャップが小さくなる場合、拡張部21におけるパッド凹部径34を大きくして、バンプ高さ35を小さくする。このようにして、第2の半導体チップ12の水平水準を確保することができる。
【0094】
次に、図7を参照して、バンプ及びダミーバンプの配置について説明する。
【0095】
図7は、半導体装置10について、構成要素の位置関係を模式的に示す平面図である。
【0096】
図7において、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12とを接合し且つ電気的に接続するためのバンプ14が配置されている。これに加えて、拡張型半導体チップ20上に第2の半導体チップ12をCOC接合する際の水平水準を確保するためのバンプ41が配置されている。
【0097】
ここで、バンプ14及びバンプ41は、第1の半導体チップ11及び第2の半導体チップ12におけるトランジスタ配置領域45を避けるようにして配置されている。このようにすると、バンプの応力によるトランジスタの動作速度のばらつき等に起因するタイミング性能の変動、機能誤動作等を抑制しながら、COC接合時の水平水準を確保することができる。
【0098】
また、水平水準を確保するためのバンプ41は、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップについて、タイミングばらつきによるLSI誤動作の発生しないセルが優先的に配置された箇所に配置されていても良い。具体的なセルの例としては、ESD保護セル、Tieセル、ボーナスセル、面積率調整セル、電源容量セル、入力Tie固定されたセル及びレベルシフタ等が挙げられる。
【0099】
この場合、バンプ応力によってトランジスタのタイミングばらつきが生じたとしても、それによるLSI誤動作は生じない。従って、バンプ14及びバンプ41は、このような配置とするのが良い。
【0100】
また、水平水準を確保するためのバンプ41は、特に、第1の半導体チップ11及び第2の半導体チップ12におけるスクライブレーン(ウェハに複数形成されたチップが分割される領域)上又はシールリング領域(チップ内の素子等を、チップ端部からのクラック、水分等から保護するための構造が配置された領域)上に配置されていても良い。図9において、スクライブレーン42又はシールリング領域42と、当該領域に配置されたバンプ41が示されている。
【0101】
スクライブレーン42又はシールリング領域42については、トランジスタが配置されている部分ではないので、バンプによる応力が加わったとしてもLSI誤動作が生じることはない。
【0102】
同様に、チップコーナー部セル領域43にバンプ41を配置しても良い。チップコーナー部セル領域43についても、トランジスタが配置されている部分ではないので、バンプによる応力が加わったとしてもLSI誤動作が生じることはない。
【0103】
尚、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12とは大きさが異なるので、それぞれのスクライブレーン42又はシールリング領域42が重なる領域は小さく、無い場合もあると考えられる。しかしながら、両チップのいずれかにおけるスクライブレーン42又はシールリング領域42にバンプを配置すれば、当該チップにおける誤動作の発生は抑制可能である。また、スクライブレーン42又はシールリング領域42はチップの外周部に位置するので、第2の半導体チップ12における当該領域は、拡張部21と対向する領域になることがある。この場合、いずれのチップにおいても誤動作は生じないことになる。
【0104】
更に、第1の半導体チップ11及び第2の半導体チップ12の一方又は両方における電源配線44上にバンプ41を配置してもよい。このようにすると、バンプ41による応力がトランジスタに加わることはないので、LSI誤動作が生じることはない。
【0105】
ここで、以上に述べたバンプの配置について、種々に組み合わせても良い。例えば、第1の半導体チップ11におけるトランジスタ配置領域42を避けると共に、第2の半導体チップ12におけるタイミングばらつきによるLSI誤動作の発生しないセルが優先的に配置された箇所に配置しても良い。
【0106】
また、第1の半導体チップ11及び第2の半導体チップ12の両方に関して、以上に述べたように配置するのが望ましいが、いずれか一方のチップについてのみ以上に述べた配置とするのであっても、当該チップにおける誤動作抑制等の効果は得られる。
【0107】
また、以上に述べたような配置以外のバンプ(例えば、トランジスタ配置領域に配置されるバンプ)が存在する場合にも、このような配置のバンプをできるだけ少なくすることにより、誤動作等を低減することができる。
【0108】
以上において、水平水準を確保するためのバンプ41は、第1の半導体チップ11、第2の半導体チップ12及び拡張部21に対して電気的に接続されていないバンプであっても良い。例えば、図6おいて、パッド31は存在するが、その上のパッシベーション絶縁膜32及び絶縁膜33が開口されていない構造であっても良い。
【0109】
また、バンプ41は、パッド接合の無いダミーバンプであっても良い。例えば、図6において、パッド31が形成されず、絶縁膜33等に対する開口も無く、UMB36及びその上のバンプ37だけが形成されている構造であっても良い。
【0110】
また、水平水準を確保するためのバンプ41は、電気的接続を行なうためのバンプと同様に金属材料からなっていても良いし、非金属材料からなっていても良い。例えば、樹脂からなる支持体として形成されていても良い。この場合、金属よりも剛性が低い(柔らかい)ので、接合時の応力を緩和する効果を発揮する。
【0111】
また、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12との接合及び電気的接続を行なうためのバンプ14に対し、水平水準を確保するためのバンプ51は、図8図9又は図10に示すように配置されていても良い。
【0112】
図8図10において、半導体装置10の構成要素の平面視における位置関係が模式的に示されている。また、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12とを接合し且つ電気的に接続するためのバンプ14と、拡張型半導体チップ20(第1の半導体チップ11及びその周囲の拡張部21を含む)上に第2の半導体チップ12をCOC接合する際の水平水準を確保するためのダミーバンプ51が示されている。
【0113】
図8の例では、第1の半導体チップ11面内の略四角形である第1領域にバンプ14が配置されており、その向かい合う一組の辺に沿ってダミーバンプ51が配置されている。
【0114】
また、図9の例では、図8の例と同様に略四角形である第1領域にバンプ14が配置され、その4辺に沿ってダミーバンプ51が配置されている。
【0115】
図8及び図9において、いずれも各辺に一列ずつダミーバンプ51が配置されているが、それぞれ2列、3列等、複数列配置されていても良い。
【0116】
また、図10の例では、図8の例と同様に略四角形である第1領域にバンプ14が配置され、その角部(コーナー部)に沿ってダミーバンプ51が配置されている。尚、ここでは一列ずつ配置されているが、それぞれ2列、3列等、複数列配置されていても良い。
【0117】
以上のように、両チップの接合を行なうためのバンプ14に加えてダミーバンプ51を配置することにより、COC接合の際の水平水準を確保することができる。
【0118】
尚、図8図10において、図1図4及び図7に示すように、拡張部21と第2の半導体チップ12との間に配置されるバンプを更に有していてもよい。これにより、水平水準をより確実に確保できる。また、接合状態において拡張部21が第2の半導体チップ12と接する厚さを有する図5の場合にも、図8図10に示すようにダミーバンプ51を配置しても良い。
【0119】
また、図8図10に示したバンプ14及びダミーバンプ51だけが配置され、拡張部21内にはバンプ(ダミーバンプ)が配置されていない場合においても、COC接合において下側になるチップに拡張部21を設ける効果は発揮される。
【0120】
拡張部21と第2の半導体チップ12との間にもアンダーフィル樹脂15を充填できるので、上側になる第2の半導体チップ12の水平水準を改善する効果は得られる。
【0121】
更に、拡張部21に外部端子18を設けることにより、基板に対するワイヤボンディングを行なうことが可能となる。
【0122】
また、第1の半導体チップ11と第2の半導体チップ12とを接合し且つ電気的に接続するためのバンプ14の配置について、図8図10の例(第1の半導体チップ11面内において、向かい合う一組の辺から距離を置いて帯状に配置されている)には限られない。これについて、図11に示す。
【0123】
例えば、第1の半導体チップ11面内において、いずれの辺からも距離を開けた中央付近の領域61、角に近い領域62、1つ又は複数の辺に沿った領域63等に配置されていても良い。これらの各領域にバンプ14が配列され、その周囲に、図8図10と同様にダミーバンプ51が配置されていても良い。
【0124】
更に、電気的接続のためのバンプ14と、ダミーバンプ51とを全く別の配置にすることも考えられる。例えば、図11における1つの辺に沿った領域63にバンプ14を配置し、前記の辺に対向する辺に沿った領域にダミーバンプ51を配置しても良い。このようにすると、バンプ14を偏った配置にする必要がある場合にも、ダミーバンプ51を他の領域に配置して、水平水準を確保することができる。
【0125】
また、図1図5には、拡張型半導体チップ20を下側(基板13の側)に配置し、ワイヤボンディングによって基板13と拡張部21との電気的接続を行なう例を説明した。
【0126】
しかしながら、この構成には限られない。図14に示すように、拡張型半導体チップ20及び第2の半導体チップ12の配置を上下反転し、第2の半導体チップ12が下側(基板13の側)、拡張型半導体チップ20が上側となる構成とすることも可能である。この場合、拡張型半導体チップ20に設けられた外部端子18と、基板13との接続は、電極19によって行なわれる。電極19は、例えばボールバンプであっても良いし、金属ポストを用いても良い。
【0127】
このような構成とすると、ワイヤボンディングを用いる図1図5の構成に比べ、基板13とのサイズを縮小することができるので、基板13のコストを下げることができる。
【0128】
また、以上では、拡張型半導体チップ20及び第二の半導体チップ12を積層し、配線基板等の基板13に搭載する例を説明した。しかしながら、基板には限らず、リードフレーム等に拡張型半導体チップ20及び第二の半導体チップ12を搭載しても良い。この場合にも、基板に搭載するのと同様の効果を実現することができる。
【0129】
また、以上に説明した内容は、本開示の技術の趣旨を逸脱しない範囲で、各構成を任意に組み合わせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示の技術は、半導体装置において、上側及び下側チップの上下関係にかかわらず水平水準及びワイヤボンディング領域を確保できるので、特に、COC構造の半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0131】
10 半導体装置
11 第1の半導体チップ
12 第2の半導体チップ
13 基板
14 バンプ
14a バンプ
14b バンプ
14c バンプ
14d バンプ
15 アンダーフィル樹脂
16 ワイヤ
17 モールド樹脂
18 外部端子
19 電極
20 拡張型半導体チップ
21 拡張部
31 パッドメタル
32 パッシベーション絶縁膜
33 絶縁膜
34 パッド凹部径
36 UBMパッド
37 バンプ
41 バンプ
42 シールリング領域又はスクライブレーン
43 チップコーナー部セル領域
44 電源配線
45 トランジスタ配置領域
51 ダミーバンプ
61 (バンプの配置される)領域
62 (バンプの配置される)領域
63 (バンプの配置される)領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14