(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[概要]
最初に、本発明の文書管理装置の概要について説明する。
図1は、本発明の文書管理装置の概要について説明するための図である。
【0018】
図1にあるように、本発明の文書管理装置は、文字列登録モードと文章出力モードの2つのモードにおいて動作する。
【0019】
文字列登録モードでは、ユーザーが意味の分からない文字列など、その文字列に注釈を付けたい文字列を文書管理装置に登録する。登録は、登録したい文字列が書かれた紙原稿上で、例えば登録したい文字列に下線を引くなどして、マーキングして行う。
【0020】
図1の例では、紙原稿に書かれた「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」の文章のうち、「鐘」の意味が分からないので注釈を付けたい場合、ユーザーは「鐘」の下に線を引き、文書管理装置に読み込ませる。
【0021】
このようにして、ユーザーは、分からない文字列など、注釈を付けたい文字列を、紙原稿の文字列にマークすることにより簡単に文書管理装置に登録することが出来る。
【0022】
文書管理装置は、「鐘」を読み込んで、辞書で検索し、「打ち鳴らすための器具」という意味(注釈)を取得する。
【0023】
次に、文章出力モードでは、
図1に示すように、文書管理装置が、ユーザーから出力する文章の基となるテキストデータを取得する。このテキストデータは、文字登録モードで読み込んだ原稿に限らず、任意の文章である。
【0024】
文書管理装置には「鐘」が登録してあるので、テキストデータの「鐘」の後ろに、「鐘」の注釈である「打ち鳴らすための器具」が挿入される。注釈が挿入された文章は、表示装置での表示や印刷装置での印刷により、ユーザーに提示される。
【0025】
このようにして、ユーザーは簡単に出力する文章に、登録した文字列の注釈を挿入することが出来る。
【0026】
以上、本発明の文書管理装置の概要について説明した。
【0027】
[構成]
次に、本発明の文書管理装置の構成について説明する。なお、以下では、最初に文書管理装置の一般的な構成を説明する。その後、文書管理装置を1つの画像形成装置(MFP、Multifunction Peripheral)として実現した実施形態の構成を説明する。さらに、文書管理装置を、ネットワークを介したクライアント・サーバー型の構成で実現する場合の構成についても説明する。
【0028】
(一般的な文書管理装置の構成)
図2は、文書管理装置1の一般的な構成を示す構成図である。文書管理装置1は、スキャナー2、情報処理装置3、出力装置9を備えている。
【0029】
スキャナー2は、文字列登録モードにおいて原稿を読み込んだり、文章出力モードにおいて、出力する文章の基となる文章を読み込んだりする。
【0030】
出力装置9は、ディスプレイなどの表示装置や、プリンターなどの印刷装置、ネットワーク上の外部機器にデータを送信するネットワーク機器などであり、注釈が挿入された文章を出力するものである。
【0031】
情報処理装置3は、一般的なコンピューターを用いて実現することが出来る。情報処理装置3は、OCR(Optical Character Recognition)処理部4、記憶部5、入力部6、制御部7、辞書8を備えている。
【0032】
OCR処理部4は、スキャナー2で読み込んだ原稿のイメージデータから文字を認識し、電子的なテキストデータを生成する。なお、スキャナー2およびOCR処理部4を合わせたものが、読み取り部に相当する。
【0033】
記憶部5は、ユーザーが登録した文字列やその意味、ユーザー識別子(後述)、ユーザー属性(後述)などを記憶する。
【0034】
入力部6は、ユーザーのユーザー識別子やユーザー属性の入力を受け付ける。
【0035】
制御部7は、上述した2つのモードにおける処理を実行する。
【0036】
辞書8は、数多くの文字列とその意味(注釈)が登録されている。
【0037】
以上が、一般的な文書管理装置1の構成である。
【0038】
(文書管理装置を画像形成装置で実現した構成)
次に、文書管理装置を画像形成装置として実現する場合の構成について説明する。
図3は、文書管理装置を画像形成装置10として実現する場合の構成図である。
【0039】
画像形成装置10は、制御部11を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、および専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置10の全体的な動作制御を司る。
【0040】
制御部11は、画像読取部12、画像処理部13、画像メモリー14、画像形成部15、辞書部16、操作部18、ファクシミリ通信部19、ネットワークインターフェイス部20、記憶部21等と接続されている。制御部11は、接続されている上記各部(ブロック)の動作制御や、各ブロックとの間での信号又はデータの送受信を行う。
【0041】
制御部11は、ユーザーから、操作部18またはネッワーク接続されたPC等を通じて入力されるジョブの実行指示に従って、スキャナー機能、印刷機能、コピー機能、およびファクシミリ送受信機能などの各機能についての動作制御を実行するために必要な機構の駆動及び処理を制御する。
【0042】
また、制御部11は、OCR処理部11aを有している。OCR処理部11aは、ROMなどからRAMにロードされたプログラムがCPUにより実行されることで実現される機能ブロックである。
【0043】
OCR処理部11aは、
図2のOCR処理部4に相当する。
【0044】
画像読取部12は、原稿から画像を読み取るものであり、
図2のスキャナー2に相当する。
【0045】
画像処理部13は、画像読取部12で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部13は、画像読取部12により読み取られた画像が画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の画像処理を行う。
【0046】
画像メモリー14は、画像読取部12による読み取りで得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部15での印刷対象となるデータを一時的に記憶したりする領域である。
【0047】
画像形成部15は、画像読取部12で読み取られた画像データ等の画像形成を行う。
【0048】
辞書部16は、
図2の辞書8に相当するものである。
【0049】
操作部18は、画像形成装置10が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付けるタッチパネル部および操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部18aを備えている。
図2の入力部6に相当する。
【0050】
ファクシミリ通信部19は、図示しない符号化/復号化部、変復調部、およびNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行う。
【0051】
ネットワークインターフェイス部20は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークインターフェイス部20に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内の装置(サーバー、PC等の外部機器)と種々のデータの送受信を行う。
【0052】
記憶部21は、画像読取部12によって読み取られた原稿画像等を記憶したり、文字列登録モードにおいて登録される文字列やその注釈などを記憶したりする。記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。
【0053】
以上、文書管理装置を画像形成装置として実現する場合の構成について説明した。
【0054】
(文書管理装置をクライアント・サーバー型で実現した構成)
次に、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システムで実現する構成について説明する。
図4は、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システム100で実現する場合の構成図である。
【0055】
文書管理システム100は、画像形成装置40、辞書サーバー50、およびデータベース(DB)サーバー60がネットワークを介して通信することにより実現される。
【0056】
辞書サーバー50は、
図2の辞書8または
図3の辞書部16に相当するものである。辞書サーバー50は、インターネット上で提供されている、任意の数の一般的な辞書サーバーを用いて実現することも出来る。
【0057】
DBサーバー60は
図2の記憶部5または
図3の記憶部21に相当するものであり、ユーザーが登録する文字列や、その意味(注釈)、ユーザー識別子、ユーザー属性を記憶する。
【0058】
画像形成装置40は、
図3に示す画像形成装置10から、辞書サーバー50およびDBサーバー60が担当する機能を省いたものである。
【0059】
以上、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システムで実現する構成について説明した。
【0060】
[文字列登録モードの処理の流れ]
次に、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明する。
図5は、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、
図3に示した、文書管理装置を1つの画像形成装置10として実施する例を用いて説明する。
【0061】
まず、制御部11が操作部18を介して、ユーザーのログイン処理を行う(ステップS1)。この処理により、文字列がマーキングされた原稿を読み込ませるユーザーと、予め登録されているユーザー識別子(ユーザーID)やユーザー属性との対応が取られる。
【0062】
なお、ここでいうユーザー識別子とは、例えば、ユーザーの名前や、ログインID、社員番号など、画像形成装置10がユーザーを識別することが出来るユーザー情報のことである。
【0063】
また、ユーザー属性とは、例えば、ユーザーの語彙レベル、専門分野、所属などであり、ユーザーが自由に設定可能な情報である。
【0064】
次に、画像読取部12が文字列にマーキングが施された原稿を読み込む(ステップS2)。
【0065】
次に、OCR処理部11aが読み込まれた原稿に記入されたマークの位置に基づいて、ユーザーが登録する文字列を走査する(ステップS3)。
【0066】
次に、制御部11は、マーキングされた文字列が存在するか否かを判断する(ステップS4)。
【0067】
マーキングされた文字列が存在する場合(ステップS3のYes)、制御部11は、まず、マーキングされた文字列の意味(注釈)を、辞書部16を用いて検索する(ステップS5)。
【0068】
次に、制御部11は、辞書部16にマーキングされた文字列が存在するか否かを判断する(ステップS6)。
【0069】
辞書部16にマーキングされた文字列が存在する場合(ステップS6のYes)、制御部11は、記憶部21に、マーキングされた文字列、文字列の意味、対応するユーザー識別子、対応するユーザー属性の4つの情報を記憶させる(ステップS7)。
【0070】
ステップS5からS7までの処理は、マーキングされた文字列ごとに繰り返し行われる。
【0071】
以上、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明した。
【0072】
[登録例]
次に、記憶部21に登録された情報の例を説明する。
図6は、記憶部21に登録された情報の例を示す図である。
【0073】
1つのエントリーは、文字列MR、文字列MRの意味(注釈)CS、文字列MRを登録したユーザーのユーザー識別子UI、および文字列MRを登録したユーザーのユーザー属性UZから構成される。
【0074】
例えば、最初のエントリーE1には、文字列MRとして「祇園精舎」が、意味CSとして「寺院の名前」が、ユーザー識別子UIとして「佐藤」が、ユーザー属性UZとして「中学生」が登録されている。
【0075】
以上、記憶部21に登録された情報の例を説明した。
【0076】
[ユーザー識別子およびユーザー属性の指定方法の例]
次に、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を説明する。
図7は、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を示す、表示部18aの画面例である。
【0077】
図7に示した表示部18aの画面例では、左側に、記憶部21に記憶されているユーザー識別子UIの一覧が表示され、右側に、記憶部21に記憶されているユーザー属性UZの一覧が表示されている。
【0078】
そして、
図7は、ユーザーがユーザー識別子UIとして「佐藤」を選択し、ユーザー属性として「小学生」を選択した状態を示している。
【0079】
図6に示す情報が記憶部21に記憶されており、ユーザー識別子UIとして「佐藤」が選択され、ユーザー属性として「小学生」が選択された場合、制御部11は、「佐藤」に該当するエントリーE1およびE2を抽出し、更に「小学生」に該当するエントリーE4を抽出する。
【0080】
その結果、出力する文章に「祇園精舎」、「諸行無常」、および「鐘」の文字列があった場合、これらの文字列に対応する注釈が、文章と共に出力される。
【0081】
以上、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を説明した。
【0082】
[文章出力モードの処理の流れ]
次に、文章出力モードにおける処理の流れについて説明する。
図8は、文章出力モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、
図3に示した、文書管理装置を1つの画像形成装置10として実施する例を用いて説明する。
【0083】
まず、制御部11がユーザーから、出力する文章の基になる文章を取得し、取得した文章が電子的なテキストデータであるか否かを判断する(ステップS10)。文章の取得方法としては、例えば、画像読取部12を用いてイメージデータとして取得する方法や、ネットワークを介してPC(Personal Computer)などの外部機器から受信する方法がある。
【0084】
取得した文章が電子的なテキストデータではない場合(ステップS10のNo)、そのままでは以降の処理が行えないので、制御部11は、OCR処理部11aを用いて、読み込んだイメージデータを電子的なテキストデータに変換する(ステップS11)。
【0085】
次に、制御部11は、取得した文章と、記憶部21に記憶された、上述した指定方法などによりユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列とを照合する(ステップS12)。
【0086】
次に、制御部11は、取得した文章中に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在するか否かを判断する(ステップS13)。
【0087】
ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在する場合(ステップS13のYes)、制御部11は、取得した文章中の、該当する文字列の直後に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を挿入する(ステップS14)。
【0088】
なお、ここでは、取得した文章中の、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の直後に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を挿入したが、この構成に限らず、例えば、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を脚注として付加してもよい。
【0089】
また、取得した文章中の、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列からバルーンを引き出して、そのバルーン内に対応する意味(注釈)を記入する構成でもよい。
【0090】
次に、制御部11は、挿入に応じて出力する文章を整形するために、挿入した注釈の文字数だけ文章の改行位置を調整する(ステップS15)。調整は、改行位置を前にずらすなどして行うことが出来る。
【0091】
ステップS14およびS15の処理は、注釈を挿入する文字列ごとに繰り返して行われる。
【0092】
ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在しない場合(ステップS13のNo)、制御部11は、作成した文章の印字処理を行う(ステップS16)。
【0093】
次に、制御部11は、必要に応じて、裏写り除去や画像の回転など、その他の画像処理を行う(ステップS17)。
【0094】
以上、文章出力モードにおける処理の流れについて説明した。
【0095】
[注釈の挿入例]
最後に、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を説明する。
図9は、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を示す図である。
【0096】
この例では、
図6に示す情報が記憶部21に記憶されており、
図7に示すユーザー識別子およびユーザー属性が指定されたことを前提としている。
【0097】
そのため、「祇園精舎」、「鐘」、および「諸行無常」の文字列の直後に、これらの文字列の意味(注釈)が挿入され、改行位置が調整されている。
【0098】
以上、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を説明した。
【0099】
[補足事項]
その他、本技術は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。