特許第5961656号(P5961656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961656
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】文書管理装置および文書管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/24 20060101AFI20160719BHJP
   G06F 17/27 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G06F17/24 610
   G06F17/27 635
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-90830(P2014-90830)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210611(P2015-210611A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】實 克洋
【審査官】 成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−54072(JP,A)
【文献】 特開平9−284446(JP,A)
【文献】 特開2005−14237(JP,A)
【文献】 特開2005−129086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20−17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列がマーキングされた原稿から前記文字列および前記マークを読み取る読み取り部と、
記憶部と、
前記文字列を登録する文字列登録モードにおいて、
前記原稿を前記読み取り部に読み取らせ、
前記読み取ったマークの位置に基づいて前記注釈を付ける文字列を検出し、
検出した文字列の注釈を辞書で検索し、
前記検出した文字列および前記検索した注釈を前記記憶部に記憶させ、
文章を出力する文章出力モードにおいて、
前記文章を前記ユーザーから受け付け、
前記受け付けた文章を前記記憶部に記憶された文字列と照合し、
前記照合において合致した文字列の注釈を取得し、
前記取得した注釈を前記合致した文字列に対応させて、前記文章と共に出力する制御部と
を備えた
文書管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文書管理装置であって、
前記ユーザーを識別するユーザー識別子を受け付け可能な入力部をさらに備え、
前記制御部は、
前記文字列登録モードにおいて、
前記検出した文字列を前記ユーザー識別子と紐付けて記憶部に記憶させ、
前記文章出力モードにおいて、
前記ユーザー識別子を前記入力部から取得し、
前記文章を、前記記憶部に記憶され、前記取得したユーザー識別子と紐付けられた文字列と照合する
文書管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の文書管理装置であって、
前記ユーザーの属性情報を受け付け可能な入力部をさらに備え、
前記制御部は、
前記文字列登録モードにおいて、
前記検出した文字列を前記属性情報と紐付けて記憶部に記憶させ、
前記文章出力モードにおいて、
前記属性情報を前記入力部から取得し、
前記文章を、前記記憶部に記憶され、前記取得した属性情報と紐付けられた文字列と照合する
文書管理装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1つに記載の文書管理装置であって、
前記制御部は、
前記文章出力モードにおいて、前記文章を出力するとき、
前記取得した注釈を前記文章内の、前記照合された文字列の近傍に埋め込む
文書管理装置。
【請求項5】
請求項1から3のうちいずれか1つに記載の文書管理装置であって、
前記制御部は、
前記文章出力モードにおいて、前記文章を出力するとき、
前記取得した注釈を前記文章の脚注として出力する
文書管理装置。
【請求項6】
文字列を登録する文字列登録モードにおいて、
前記文字列がマーキングされた原稿から前記文字列および前記マークを読み取る読み取り部に前記原稿を読み取らせ、
前記読み取ったマークの位置に基づいて前記注釈を付ける文字列を検出し、
検出した文字列の注釈を辞書で検索し、
前記検出した文字列および前記検索した注釈を前記記憶部に記憶させ、
文章を出力する文章出力モードにおいて、
前記文章を前記ユーザーから受け付け、
前記受け付けた文章を前記記憶部に記憶された文字列と照合し、
前記照合において合致した文字列の注釈を取得し、
前記取得した注釈を前記合致した文字列に対応させて、前記文章と共に出力する制御部
としてコンピューターを機能させる文書管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字列に注釈を付加する文書管理装置および文書管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、国語や外国語の学習では、多読が有効な手段の一つとされている。そして現在では、学習のために、インターネットなどから多くの文章を入手し読むことが出来る。
【0003】
しかし、インターネットから入手した文章などは、特定のレベルの学習者を対象として作成された文章ではないため、そのままでは語学学習に適しているとは言えなかった。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1において開示された技術では、英語の単語や熟語、言い回しごとに、ユーザーが習得済みのものであれば「習得」の属性を付け、次に習得すべきものであれば「習得中」の属性を付ける。そして、入手した英文を平易な英文に変換する時に、学習を目的とする英文に変換する場合は、「習得」および「習得済」の語に変換する。また、内容の理解を目的とする英文に変換する場合は、「習得済」の語のみを用いて変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−72973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、使用するデータベース内にテーブル(表)を11種類も作らなければならなかった。また、このシステムのユーザーは、端末装置から、各単語の習得状況情報、各述語の習得情報、各構文の習得情報、およびユーザー情報を入力しなければならなかった。さらに、このシステムでは、ユーザーが端末装置から入力した情報に基づいて、単語ID、単語、単語の習得状況、ユーザー名、熟語ID、熟語、熟語の習得状況、構文ルールID、および構文の習得状況と、9種類もの情報をデータベースに登録する必要があった。
【0007】
このように、特許文献1の技術は、複雑であり、構築や運用に非常に手間がかかるという問題があった。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ユーザーが手間をかけずに意味を知りたい文字列を登録することが出来ると共に、登録した文字列の意味を簡単に表示させることが出来る文書管理装置および文書管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理装置は、文字列がマーキングされた原稿から前記文字列および前記マークを読み取る読み取り部と、記憶部と、前記文字列を登録する文字列登録モードにおいて、前記原稿を前記読み取り部に読み取らせ、前記読み取ったマークの位置に基づいて前記注釈を付ける文字列を検出し、検出した文字列の注釈を辞書で検索し、前記検出した文字列および前記検索した注釈を前記記憶部に記憶させ、文章を出力する文章出力モードにおいて、前記文章を前記ユーザーから受け付け、前記受け付けた文章を前記記憶部に記憶された文字列と照合し、前記照合において合致した文字列の注釈を取得し、前記取得した注釈を前記合致した文字列に対応させて、前記文章と共に出力する制御部とを備えるので、ユーザーが手間をかけずに意味を知りたい文字列を登録することが出来ると共に、登録した文字列の意味を簡単に表示させることが出来る。
【0010】
(2)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理装置は、前記ユーザーを識別するユーザー識別子を受け付け可能な入力部をさらに備え、前記制御部は、前記文字列登録モードにおいて、前記検出した文字列を前記ユーザー識別子と紐付けて記憶部に記憶させ、前記文章出力モードにおいて、前記ユーザー識別子を前記入力部から取得し、前記文章を、前記記憶部に記憶され、前記取得したユーザー識別子と紐付けられた文字列と照合する構成でもよい。
【0011】
(3)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理装置は、前記ユーザーの属性情報を受け付け可能な入力部をさらに備え、前記制御部は、前記文字列登録モードにおいて、前記検出した文字列を前記属性情報と紐付けて記憶部に記憶させ、前記文章出力モードにおいて、前記属性情報を前記入力部から取得し、前記文章を、前記記憶部に記憶され、前記取得した属性情報と紐付けられた文字列と照合する構成でもよい。
【0012】
(4)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理装置では、前記制御部は、前記文章出力モードにおいて、前記文章を出力するとき、前記取得した注釈を前記文章内の、前記照合された文字列の近傍に埋め込む構成でもよい。
【0013】
(5)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理装置では、前記制御部は、前記文章出力モードにおいて、前記文章を出力するとき、前記取得した注釈を前記文章の脚注として出力する構成でもよい。
【0014】
(6)上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る文書管理プログラムは、文字列を登録する文字列登録モードにおいて、前記文字列がマーキングされた原稿から前記文字列および前記マークを読み取る読み取り部に前記原稿を読み取らせ、前記読み取ったマークの位置に基づいて前記注釈を付ける文字列を検出し、検出した文字列の注釈を辞書で検索し、前記検出した文字列および前記検索した注釈を前記記憶部に記憶させ、文章を出力する文章出力モードにおいて、前記文章を前記ユーザーから受け付け、前記受け付けた文章を前記記憶部に記憶された文字列と照合し、前記照合において合致した文字列の注釈を取得し、前記取得した注釈を前記合致した文字列に対応させて、前記文章と共に出力する制御部としてコンピューターを機能させる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、ユーザーが手間をかけずに意味を知りたい文字列を登録することが出来ると共に、登録した文字列の意味を簡単に表示させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の文書管理装置の概要について説明するための図である。
図2】文書管理装置の一般的な構成を示す構成図である。
図3】文書管理装置を画像形成装置10として実現する場合の構成図である。
図4】文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システム100で実現する場合の構成図である。
図5】文字列登録モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
図6】記憶部21に登録された情報の例を示す図である。
図7】文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を示す、表示部18aの画面例である。
図8】文章出力モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
図9】取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[概要]
最初に、本発明の文書管理装置の概要について説明する。図1は、本発明の文書管理装置の概要について説明するための図である。
【0018】
図1にあるように、本発明の文書管理装置は、文字列登録モードと文章出力モードの2つのモードにおいて動作する。
【0019】
文字列登録モードでは、ユーザーが意味の分からない文字列など、その文字列に注釈を付けたい文字列を文書管理装置に登録する。登録は、登録したい文字列が書かれた紙原稿上で、例えば登録したい文字列に下線を引くなどして、マーキングして行う。
【0020】
図1の例では、紙原稿に書かれた「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」の文章のうち、「鐘」の意味が分からないので注釈を付けたい場合、ユーザーは「鐘」の下に線を引き、文書管理装置に読み込ませる。
【0021】
このようにして、ユーザーは、分からない文字列など、注釈を付けたい文字列を、紙原稿の文字列にマークすることにより簡単に文書管理装置に登録することが出来る。
【0022】
文書管理装置は、「鐘」を読み込んで、辞書で検索し、「打ち鳴らすための器具」という意味(注釈)を取得する。
【0023】
次に、文章出力モードでは、図1に示すように、文書管理装置が、ユーザーから出力する文章の基となるテキストデータを取得する。このテキストデータは、文字登録モードで読み込んだ原稿に限らず、任意の文章である。
【0024】
文書管理装置には「鐘」が登録してあるので、テキストデータの「鐘」の後ろに、「鐘」の注釈である「打ち鳴らすための器具」が挿入される。注釈が挿入された文章は、表示装置での表示や印刷装置での印刷により、ユーザーに提示される。
【0025】
このようにして、ユーザーは簡単に出力する文章に、登録した文字列の注釈を挿入することが出来る。
【0026】
以上、本発明の文書管理装置の概要について説明した。
【0027】
[構成]
次に、本発明の文書管理装置の構成について説明する。なお、以下では、最初に文書管理装置の一般的な構成を説明する。その後、文書管理装置を1つの画像形成装置(MFP、Multifunction Peripheral)として実現した実施形態の構成を説明する。さらに、文書管理装置を、ネットワークを介したクライアント・サーバー型の構成で実現する場合の構成についても説明する。
【0028】
(一般的な文書管理装置の構成)
図2は、文書管理装置1の一般的な構成を示す構成図である。文書管理装置1は、スキャナー2、情報処理装置3、出力装置9を備えている。
【0029】
スキャナー2は、文字列登録モードにおいて原稿を読み込んだり、文章出力モードにおいて、出力する文章の基となる文章を読み込んだりする。
【0030】
出力装置9は、ディスプレイなどの表示装置や、プリンターなどの印刷装置、ネットワーク上の外部機器にデータを送信するネットワーク機器などであり、注釈が挿入された文章を出力するものである。
【0031】
情報処理装置3は、一般的なコンピューターを用いて実現することが出来る。情報処理装置3は、OCR(Optical Character Recognition)処理部4、記憶部5、入力部6、制御部7、辞書8を備えている。
【0032】
OCR処理部4は、スキャナー2で読み込んだ原稿のイメージデータから文字を認識し、電子的なテキストデータを生成する。なお、スキャナー2およびOCR処理部4を合わせたものが、読み取り部に相当する。
【0033】
記憶部5は、ユーザーが登録した文字列やその意味、ユーザー識別子(後述)、ユーザー属性(後述)などを記憶する。
【0034】
入力部6は、ユーザーのユーザー識別子やユーザー属性の入力を受け付ける。
【0035】
制御部7は、上述した2つのモードにおける処理を実行する。
【0036】
辞書8は、数多くの文字列とその意味(注釈)が登録されている。
【0037】
以上が、一般的な文書管理装置1の構成である。
【0038】
(文書管理装置を画像形成装置で実現した構成)
次に、文書管理装置を画像形成装置として実現する場合の構成について説明する。図3は、文書管理装置を画像形成装置10として実現する場合の構成図である。
【0039】
画像形成装置10は、制御部11を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、および専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置10の全体的な動作制御を司る。
【0040】
制御部11は、画像読取部12、画像処理部13、画像メモリー14、画像形成部15、辞書部16、操作部18、ファクシミリ通信部19、ネットワークインターフェイス部20、記憶部21等と接続されている。制御部11は、接続されている上記各部(ブロック)の動作制御や、各ブロックとの間での信号又はデータの送受信を行う。
【0041】
制御部11は、ユーザーから、操作部18またはネッワーク接続されたPC等を通じて入力されるジョブの実行指示に従って、スキャナー機能、印刷機能、コピー機能、およびファクシミリ送受信機能などの各機能についての動作制御を実行するために必要な機構の駆動及び処理を制御する。
【0042】
また、制御部11は、OCR処理部11aを有している。OCR処理部11aは、ROMなどからRAMにロードされたプログラムがCPUにより実行されることで実現される機能ブロックである。
【0043】
OCR処理部11aは、図2のOCR処理部4に相当する。
【0044】
画像読取部12は、原稿から画像を読み取るものであり、図2のスキャナー2に相当する。
【0045】
画像処理部13は、画像読取部12で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部13は、画像読取部12により読み取られた画像が画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の画像処理を行う。
【0046】
画像メモリー14は、画像読取部12による読み取りで得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部15での印刷対象となるデータを一時的に記憶したりする領域である。
【0047】
画像形成部15は、画像読取部12で読み取られた画像データ等の画像形成を行う。
【0048】
辞書部16は、図2の辞書8に相当するものである。
【0049】
操作部18は、画像形成装置10が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付けるタッチパネル部および操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部18aを備えている。図2の入力部6に相当する。
【0050】
ファクシミリ通信部19は、図示しない符号化/復号化部、変復調部、およびNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行う。
【0051】
ネットワークインターフェイス部20は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークインターフェイス部20に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内の装置(サーバー、PC等の外部機器)と種々のデータの送受信を行う。
【0052】
記憶部21は、画像読取部12によって読み取られた原稿画像等を記憶したり、文字列登録モードにおいて登録される文字列やその注釈などを記憶したりする。記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。
【0053】
以上、文書管理装置を画像形成装置として実現する場合の構成について説明した。
【0054】
(文書管理装置をクライアント・サーバー型で実現した構成)
次に、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システムで実現する構成について説明する。図4は、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システム100で実現する場合の構成図である。
【0055】
文書管理システム100は、画像形成装置40、辞書サーバー50、およびデータベース(DB)サーバー60がネットワークを介して通信することにより実現される。
【0056】
辞書サーバー50は、図2の辞書8または図3の辞書部16に相当するものである。辞書サーバー50は、インターネット上で提供されている、任意の数の一般的な辞書サーバーを用いて実現することも出来る。
【0057】
DBサーバー60は図2の記憶部5または図3の記憶部21に相当するものであり、ユーザーが登録する文字列や、その意味(注釈)、ユーザー識別子、ユーザー属性を記憶する。
【0058】
画像形成装置40は、図3に示す画像形成装置10から、辞書サーバー50およびDBサーバー60が担当する機能を省いたものである。
【0059】
以上、文書管理装置を、画像形成装置を中心としたクライアント・サーバー型の文書管理システムで実現する構成について説明した。
【0060】
[文字列登録モードの処理の流れ]
次に、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明する。図5は、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、図3に示した、文書管理装置を1つの画像形成装置10として実施する例を用いて説明する。
【0061】
まず、制御部11が操作部18を介して、ユーザーのログイン処理を行う(ステップS1)。この処理により、文字列がマーキングされた原稿を読み込ませるユーザーと、予め登録されているユーザー識別子(ユーザーID)やユーザー属性との対応が取られる。
【0062】
なお、ここでいうユーザー識別子とは、例えば、ユーザーの名前や、ログインID、社員番号など、画像形成装置10がユーザーを識別することが出来るユーザー情報のことである。
【0063】
また、ユーザー属性とは、例えば、ユーザーの語彙レベル、専門分野、所属などであり、ユーザーが自由に設定可能な情報である。
【0064】
次に、画像読取部12が文字列にマーキングが施された原稿を読み込む(ステップS2)。
【0065】
次に、OCR処理部11aが読み込まれた原稿に記入されたマークの位置に基づいて、ユーザーが登録する文字列を走査する(ステップS3)。
【0066】
次に、制御部11は、マーキングされた文字列が存在するか否かを判断する(ステップS4)。
【0067】
マーキングされた文字列が存在する場合(ステップS3のYes)、制御部11は、まず、マーキングされた文字列の意味(注釈)を、辞書部16を用いて検索する(ステップS5)。
【0068】
次に、制御部11は、辞書部16にマーキングされた文字列が存在するか否かを判断する(ステップS6)。
【0069】
辞書部16にマーキングされた文字列が存在する場合(ステップS6のYes)、制御部11は、記憶部21に、マーキングされた文字列、文字列の意味、対応するユーザー識別子、対応するユーザー属性の4つの情報を記憶させる(ステップS7)。
【0070】
ステップS5からS7までの処理は、マーキングされた文字列ごとに繰り返し行われる。
【0071】
以上、文字列登録モードにおける処理の流れについて説明した。
【0072】
[登録例]
次に、記憶部21に登録された情報の例を説明する。図6は、記憶部21に登録された情報の例を示す図である。
【0073】
1つのエントリーは、文字列MR、文字列MRの意味(注釈)CS、文字列MRを登録したユーザーのユーザー識別子UI、および文字列MRを登録したユーザーのユーザー属性UZから構成される。
【0074】
例えば、最初のエントリーE1には、文字列MRとして「祇園精舎」が、意味CSとして「寺院の名前」が、ユーザー識別子UIとして「佐藤」が、ユーザー属性UZとして「中学生」が登録されている。
【0075】
以上、記憶部21に登録された情報の例を説明した。
【0076】
[ユーザー識別子およびユーザー属性の指定方法の例]
次に、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を説明する。図7は、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を示す、表示部18aの画面例である。
【0077】
図7に示した表示部18aの画面例では、左側に、記憶部21に記憶されているユーザー識別子UIの一覧が表示され、右側に、記憶部21に記憶されているユーザー属性UZの一覧が表示されている。
【0078】
そして、図7は、ユーザーがユーザー識別子UIとして「佐藤」を選択し、ユーザー属性として「小学生」を選択した状態を示している。
【0079】
図6に示す情報が記憶部21に記憶されており、ユーザー識別子UIとして「佐藤」が選択され、ユーザー属性として「小学生」が選択された場合、制御部11は、「佐藤」に該当するエントリーE1およびE2を抽出し、更に「小学生」に該当するエントリーE4を抽出する。
【0080】
その結果、出力する文章に「祇園精舎」、「諸行無常」、および「鐘」の文字列があった場合、これらの文字列に対応する注釈が、文章と共に出力される。
【0081】
以上、文章出力モードにおいて、注釈を挿入する文字列を選択する基準となるユーザー識別子UIおよびユーザー属性UZを、ユーザーが指定する方法の例を説明した。
【0082】
[文章出力モードの処理の流れ]
次に、文章出力モードにおける処理の流れについて説明する。図8は、文章出力モードにおける処理の流れについて説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、図3に示した、文書管理装置を1つの画像形成装置10として実施する例を用いて説明する。
【0083】
まず、制御部11がユーザーから、出力する文章の基になる文章を取得し、取得した文章が電子的なテキストデータであるか否かを判断する(ステップS10)。文章の取得方法としては、例えば、画像読取部12を用いてイメージデータとして取得する方法や、ネットワークを介してPC(Personal Computer)などの外部機器から受信する方法がある。
【0084】
取得した文章が電子的なテキストデータではない場合(ステップS10のNo)、そのままでは以降の処理が行えないので、制御部11は、OCR処理部11aを用いて、読み込んだイメージデータを電子的なテキストデータに変換する(ステップS11)。
【0085】
次に、制御部11は、取得した文章と、記憶部21に記憶された、上述した指定方法などによりユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列とを照合する(ステップS12)。
【0086】
次に、制御部11は、取得した文章中に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在するか否かを判断する(ステップS13)。
【0087】
ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在する場合(ステップS13のYes)、制御部11は、取得した文章中の、該当する文字列の直後に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を挿入する(ステップS14)。
【0088】
なお、ここでは、取得した文章中の、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の直後に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を挿入したが、この構成に限らず、例えば、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)を脚注として付加してもよい。
【0089】
また、取得した文章中の、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列からバルーンを引き出して、そのバルーン内に対応する意味(注釈)を記入する構成でもよい。
【0090】
次に、制御部11は、挿入に応じて出力する文章を整形するために、挿入した注釈の文字数だけ文章の改行位置を調整する(ステップS15)。調整は、改行位置を前にずらすなどして行うことが出来る。
【0091】
ステップS14およびS15の処理は、注釈を挿入する文字列ごとに繰り返して行われる。
【0092】
ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列が存在しない場合(ステップS13のNo)、制御部11は、作成した文章の印字処理を行う(ステップS16)。
【0093】
次に、制御部11は、必要に応じて、裏写り除去や画像の回転など、その他の画像処理を行う(ステップS17)。
【0094】
以上、文章出力モードにおける処理の流れについて説明した。
【0095】
[注釈の挿入例]
最後に、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を説明する。図9は、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を示す図である。
【0096】
この例では、図6に示す情報が記憶部21に記憶されており、図7に示すユーザー識別子およびユーザー属性が指定されたことを前提としている。
【0097】
そのため、「祇園精舎」、「鐘」、および「諸行無常」の文字列の直後に、これらの文字列の意味(注釈)が挿入され、改行位置が調整されている。
【0098】
以上、取得した文章に、ユーザーが指定したユーザー識別子およびユーザー属性に対応する文字列の意味(注釈)が挿入される例を説明した。
【0099】
[補足事項]
その他、本技術は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
1 … 文書管理装置
2 … スキャナー
3 … 情報処理装置
4 … OCR処理部
5 … 記憶部
6 … 入力部
7 … 制御部
8 … 辞書
9 … 出力装置
10 … 画像形成装置
11 … 制御部
11a… OCR処理部
12 … 画像読取部
13 … 画像処理部
14 … 画像メモリー
15 … 画像形成部
16 … 辞書部
18 … 操作部
18a… 表示部
19 … ファクシミリ通信部
20 … ネットワークインターフェイス部
21 … 記憶部
40 … 画像形成装置
50 … 辞書サーバー
60 … データベースサーバー
100 … 文書管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9