特許第5961677号(P5961677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961677収着剤がコーティングされたアルミニウムストリップの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961677
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】収着剤がコーティングされたアルミニウムストリップの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/32 20060101AFI20160719BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20160719BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20160719BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 125/14 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 131/04 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 129/04 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 129/10 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20160719BHJP
   F24F 3/14 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
   B01J20/32 Z
   B01J20/18 A
   B01J20/10 A
   B05D7/14 101
   C09D7/12
   C09D5/00 Z
   C09D133/04
   C09D125/14
   C09D131/04
   C09D129/04
   C09D129/10
   C09D175/04
   C09D5/16
   !F24F3/14
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-237506(P2014-237506)
(22)【出願日】2014年11月25日
(62)【分割の表示】特願2011-552394(P2011-552394)の分割
【原出願日】2010年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-57286(P2015-57286A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】102009003560.5
(32)【優先日】2009年3月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505379308
【氏名又は名称】ハイドロ アルミニウム ドイチュラント ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】HYDRO ALUMINIUM DEUTSCHLAND GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー デンクマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ハンペル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリー シェンケル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ジーメン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ エッティンク
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−304383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/32
B01J 20/10
B01J 20/18
B05D 7/14
C09D 5/00
C09D 5/16
C09D 7/12
C09D 125/14
C09D 129/04
C09D 129/10
C09D 131/04
C09D 133/04
C09D 175/04
F24F 3/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダおよび収着剤を有する収着層が片面または両面にコーティングされたアルミニウムストリップの使用方法において、液体と、固体として形成された少なくとも1つのバインダと、収着剤とからなる懸濁液が、コイルコーティングプロセスでアルミニウムストリップに塗布され、アルミニウムストリップは、塗布された懸濁液と一緒に乾燥プロセスを受け、該乾燥プロセスでは、懸濁液中の液体が蒸発されかつ乾燥中におよび/または乾燥後の冷却中に、固体バインダを液化しかつ液化された固体バインダを硬化させることによりバインダが活性化され、収着コーティングの厚さは2g/m〜30g/mであるアルミニウムストリップを、熱交換器、循環熱交換器の製造に使用することを特徴とするアルミニウムストリップの使用方法
【請求項2】
前記乾燥プロセスは60℃〜380℃の温度で行われることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項3】
前記収着剤としてゼオライトまたはシリカゲルが使用されることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項4】
前記バインダは、懸濁重合および/または懸濁共重合により作られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項5】
前記バインダは、アクリレートコポリマーおよびスチレンコポリマーの混合物、ポリ酢酸ビニルのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタンおよび/またはポリメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマーの混合物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項6】
前記懸濁液中の収着剤の固形分は5%〜90%の間にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項7】
前記懸濁液は、添加剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリレートおよび/またはポリビニルブチラールを有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項8】
コーティングプロセスには銀ナノ粒子が一体化されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項9】
前記アルミニウムストリップの表面は、コーティングプロセス前に予処理されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項10】
前記アルミニウムストリップは、0.03mm〜0.6mmの厚さを有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項11】
収着コーティングの厚さは5g/m〜8g/mであることを特徴とする請求項10記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項12】
ヨーロッパ規格であるEN AW 8006タイプまたはEN AW 8011タイプのアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項10または11記載のアルミニウムストリップの使用方法
【請求項13】
前記アルミニウムストリップの表面は、コーティングプロセス前にクロム酸塩処理されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のアルミニウムストリップの使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダおよび収着剤を有する収着層がコーティングされたアルミニウムストリップを製造する方法に関する。また、本発明は、収着剤がコーティングされたアルミニウムストリップおよびその有利な使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空気を除湿するのに収着ロータが使用され、該収着ロータは、収着剤がコーティングされた、ハニカム構造と同様な多数の薄いチャネルを有している。このような方法により、収着剤がコーティングされた、できる限り大きい表面を形成できる。この場合、収着剤は、例えば吸着または吸収により、空気チャネルを通って流れる空気から水蒸気を除去する。これは、収着剤が飽和され、再生しなければならなくなるまで続けられる。再生は、空気チャネルの少なくとも一領域に加熱された乾燥空気を通すことにより、回転除湿器を用いて行われる。この目的のため、回転除湿器はゆっくりと回転される。空気チャネルは、次に、通常3つのセクタを妨げられることなく通る。3つのセクタのうち第1セクタでは、例えば、除湿すべき空気(例えばビルディングへの供給空気)は空気チャネルを通って流れ、除湿される。第2セクタでは、20℃〜120℃の温度を有する乾燥空気を吹付けることにより収着剤が再生される。すなわち、収着剤から水分が再び抽出される。第3のオプショナルなセクタでは、空気チャネルが洗浄され、再び適正に使用できるようになる。しかしながら、空気を除湿するセクタおよび収着剤を再生するセクタの2つのセクタのみからなる単純な設計も可能である。同様な回転除湿器およびこれらの収着ロータも、しばしば、折畳み型ペーパの形態に形成された空気チャネルを有している。これらの収着ロータの耐久性は低いので、製造業者はアルミニウムストリップに切換えて収着ロータを製造している。この目的のため、アルミニウムストリップはコーティングされ、切断されかつ波型になるように形成され、この結果、波型形成手段によりチャネルが形成される。アルミニウムストリップは、これまで、ディッピングプロセスでコーティングされ、次の分散プロセスで収着層が塗布された。しかしながら、このプロセスは極めて精巧で高価なものである。また、コイルコーティングプロセスすなわちアプリケータロールを用いてアルミニウムストリップをコーティングする試みもなされている。しかしながら、コスト有効性に優れたこのコーティングプロセスでも、アルミニウムへの収着層の接着、および例えば水蒸気の収着能力に関する仕上げコーティングされたアルミニウムストリップの非常に不安定な性能特性について問題がある。収着剤を濡らすバインダも、問題があることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを出発点とし、本発明は、収着層がコーティングされたアルミニウムストリップの製造方法を提供するという目的に基づいており、本発明の製造方法により、アルミニウムストリップは、例えば水蒸気の収着に関して一定の性能特性を有するコスト有効性に優れた態様でコーティングできる。また、本発明は、本発明にしたがってコーティングされたアルミニウムストリップおよびその有利な使用方法を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、液体に加えて、固体として形成された少なくとも1つのバインダと、収着剤とからなる懸濁液を、コイルコーティングプロセスでアルミニウムストリップに塗布し、塗布された懸濁液と一緒に乾燥プロセスを受けさせ、該乾燥プロセスで、バインダを活性化させることにより収着層がコーティングされる本発明のアルミニウムストリップの製造方法により達成される。
【0005】
液体(通常は、水)と、固体として形成された少なくとも1つのバインダと、収着剤とからなる懸濁液を使用することは、コイルコーティングプロセス中に、収着剤がバインダを介して濡らされることなくまたは収着剤の微孔がバインダにより閉塞されることなく、懸濁液が液体のように挙動でき、かつアルミニウムストリップが懸濁液により非常に均一にコーティングされることを意味する。今やアルミニウムストリップ上に均一に分散された懸濁液は、依然として活性化されていないバインダと、同じくアルミニウムストリップ上に非常に均一に分散されている収着剤とを有している。アルミニウムストリップは、次に乾燥プロセスに通され、ここでバインダが活性化されかつ懸濁液中の液体が蒸発される。
【0006】
乾燥プロセス中に行うことはバインダを活性化することだけであるということは、バインダの接着特性が損なわれることなく、バインダの極めて薄い層がアルミニウムストリップに塗布されかつ収着剤がバインダを介して濡らされるのは極く僅かであることを意味する。固体として形成されるバインダは、例えばポリマーであるのが好ましい。この結果、このようにして作られるアルミニウムストリップは、収着性能に関して特に均質な性能特性を有し、同時に非常に経済的な形態で作られる。
【0007】
乾燥プロセスは60℃〜380℃の温度で行われる。このような温度は、通常、固体として形成されたバインダを活性化するのに充分な温度である。バインダを活性化することにより、本発明により、バインダが、収着剤とアルミニウムストリップとの間に接合を形成する状態に変換されることは理解されよう。これは、ポリバインダを用いて、例えば、乾燥中におよび/または乾燥後の冷却中に、固体粒子を液化しかつこれらの液化された固体粒子を硬化させることにより達成される。
【0008】
本発明による方法の他の有利な実施形態によれば、収着剤としてゼオライトまたはシリカゲルが使用される。なぜならば、これらはコスト有効性に優れており、かつ例えば水蒸気に対して特に優れた収着特性を有しているからである。また、収着剤として塩化リチウムを使用することもできる。
【0009】
バインダが、懸濁重合および/または懸濁共重合により作られる場合には、固体として形成されたバインダが球状体として、すなわち懸濁重合体として懸濁液中に存在する。バインダ球状体は乾燥プロセス中の加熱により解体され、これにより、球状体内に保持されたバインダ分子が一体化され、特に薄いバインダ層を形成する。このバインダ層は、収着剤の粒子、例えばシリカゲル粒子またはゼオライト粒子を、これらの表面を濡らすことなく結合する。また、球状体のバインダを用いることにより、バインダは、懸濁液中のバインダの固形分が非常に少ない場合でも特に均一に分散される。
【0010】
アルミニウムストリップへの接着および収着剤の結合に関する特に優れた特性は、アクリレートコポリマーおよびスチレンコポリマーの混合物、ポリ酢酸ビニルのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタンおよび/またはポリメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマーの混合物を含有するバインダにより得られる。懸濁重合形態および活性化された形態に作られる全てのバインダは、アルミニウムストリップへの収着剤の非常に優れた接着特性を呈する。バインダの薄い層厚を有するこれらの材料による収着剤の濡れは僅かである。
【0011】
アルミニウムストリップの収着特性を特定するため、濁液中の収着剤の固形分は5%〜90%の間にある。固形分が70%を超えると、特に高い性能特性が得られた。収着剤の90%を超える高い含有量では、バインダの含有量が少な過ぎるため、接着特性が損なわれる危険性が生じる。
【0012】
添加剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリレートおよび/またはポリビニルブチラールが、好ましくは水性懸濁液に添加されるならば、アルミニウムストリップの収着層の収着効果が更に最適化される。なぜならば、添加剤の添加により、付加的な結合部位を収着剤粒子に利用できるようになり、したがって収着剤の固形分が更に増大されるからである。
【0013】
コーティングシステムには銀ナノ粒子を一体化するのが好ましい。これにより、アルミニウムストリップが、収着層による抗菌効果をもつようになるからである。この目的のため、懸濁液中の銀ナノ粒子がアルミニウムストリップに塗布される。また、他の機能的成分を懸濁液に添加することにより、収着層に他の特性を付与できる。
【0014】
他の例示実施形態によれば、アルミニウムストリップの表面は、コーティングプロセス前に予処理好ましくはクロム酸塩処理される。これにより、バインダの接着特性およびアルミニウムストリップの耐食性が改善される。
【0015】
アルミニウムストリップの場合、上記目的は、本発明の方法を用いて、片面に収着層をコーティングすることにより、およびアルミニウムストリップの厚さを0.03mm〜0.6mm、好ましくは0.06mm〜0.2mmにすることにより達成される。このようなアルミニウムストリップは、収着剤を特に経済的にコーティングできるだけでなく、収着ロータを容易に製造できる。この目的のためには、アルミニウムストリップは、波型になりかつコイルとして巻回されるサイズに切断されかつ形成されなくてはならない。
【0016】
本発明によるアルミニウムストリップの他の例示実施形態によれば、収着コーティングの厚さを2g/m〜30g/m、好ましくは5g/m〜8g/mにすることにより、収着力について特に高い性能特性が得られることが証明されている。このような層厚にすることにより、最高の収着特性を有する最適接着特性が得られる。
【0017】
本発明によるアルミニウムストリップの次の例示実施形態により、アルミニウムストリップが、EN AW 8006タイプまたはEN AW 8011タイプのアルミニウム合金からなる場合には、アルミニウムストリップが特に優れた強度値を有し、したがって特に薄い厚さを容易に加工できるようになる。例えばこのようなアルミニウムストリップは180MPaを超える降伏点および250MPaを超える引っ張り強度有し、したがって、収着ロータの製造にとって最適の加工特性を有するものとなる。任意であるが、予処理好ましくはクロム酸塩処理されたアルミニウムストリップに収着剤をコーティングすることもでき、これにより、接着特性および耐食性を改善できる。
【0018】
最後に、熱交換器、循環熱交換器より詳しくは収着ロータ装置および活性除湿装置の製造に、本発明にしたがってコーティングされたアルミニウムストリップを使用することは特に有利である。なぜならば、これらの製造には、収着剤がコーティングされた特に大きい表面が必要とされ、これは、本発明の方法により経済的に作ることができかつコーティングされたアルミニウムストリップも本発明の方法を用いて作ることができるからである。0.03mm〜0.6mmの厚さを有する特に薄いアルミニウムストリップは、特にコンパクトな収着ロータおよび除湿装置を作ることができる。
【0019】
収着剤がコーティングされたアルミニウムストリップを製造する本発明による方法、本発明によるアルミニウムストリップおよびその使用方法を開発しおよび改善するための多くの可能性がある。この点に関しては、請求項1に従属する特許請求の範囲の記載および図面に関連する例示実施形態の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】アルミニウムストリップに収着層をコーティングする本発明の方法の第1例示実施形態を示す概略図である。
図2】本発明による方法の実施時の3つの異なる時点で本発明により作られるアルミニウムストリップを示す概略図である。
図3】本発明の方法によりコーティングされたアルミニウムストリップの表面を示す顕微鏡写真を示す。
図4】コーティングされたアルミニウムストリップの収着ロータでの本発明による使用方法の一例示実施形態を示す概略斜視図である。
図5】本発明にしたがってコーティングされたアルミニウムストリップを備えた収着ロータを示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に、図1には、アルミニウムストリップ1に収着層をコーティングする本発明による方法が概略的に示されている。アルミニウムストリップ1はデコイラ2から巻き解かれ、アプリケータロール(図示せず)を備えたコイルコーティング装置3に搬送される。コイルコーティング装置3でアルミニウムストリップ1の一面または両面にコーティングされた後、アルミニウムストリップ1は連続炉4に搬送され、該連続炉4は、収着剤およびバインダからなる懸濁液が塗布されたアルミニウムストリップ1に乾燥プロセスを受けさせる。乾燥プロセス中の温度は、金属表面上で高くても60℃〜300℃、すなわちPMT(ピーク金属温度:Peak metal temperature)は60℃と300℃との間にある。
【0022】
次に、アルミニウムストリップ1(好ましくは冷却状態にある)が、コイラ5上でコイル状に巻回される。もちろん、乾燥プロセスの後に、アルミニウムストリップ1を直接他の製造プロセス、例えば、ブランク製造プロセス、ストリップを収着ロータで使用すべき幅に分離するプロセスおよび/またはアルミニウムストリップが波打つように成形するするプロセスに搬送することもできる。
【0023】
本発明によれば、固体として形成されたバインダは、乾燥プロセス中に部分的に活性化され、対応細幅層厚でアルミニウムストリップ1上の懸濁液中に分散される。これにより、特に薄いバインダ層厚が可能になり、バインダによる収着剤表面の濡れが最小になる。この点で、アルミニウムストリップ上で最大収着表面を利用可能になる。
【0024】
これは、図2a〜図2cから明らかになる。図2に示した例示実施形態のアルミニウムストリップ1は、例えば、アルミニウムストリップ1の接着特性および耐食特性を向上させるクロム酸塩コーティング6を有している。アプリケータロールを用いたコイルコーティングプロセス3により、液体8(好ましくは水)と、固体として形成されたバインダ9と、収着剤10とからなる懸濁液7が、今やストリップ1に塗布される。図2bに示す例示実施形態では、懸濁液7中に銀ナノ粒子11も付加的に含有されている。銀ナノ粒子11は、乾燥プロセス後のアルミニウムストリップ表面上に抗菌効果を生じさせる。図2bに示すように、懸濁液7中のバインダ9は最初は活性化されず、アルミニウムストリップ1上に微細に分散された球状の固体として存在するのが好ましい。球状の形状は、例えば、アクリレートポリマーとスチレンポリマーとの混合物の懸濁重合および/または懸濁共重合により得られる。
【0025】
図2cには、乾燥プロセス後のアルミニウムストリップ1が断面図で示されている。乾燥プロセス中、懸濁液7中の蒸発した水8だけでなく、バインダ9も球状バインダ粒子により活性化される。球状バインダ粒子は乾燥プロセス中に破裂(bursting open、aufplatzen(英、独訳))し、その後アルミニウムストリップ1上に極めて薄いバインダ層9を残す。銀ナノ粒子11はバインダ層内に分散されかつ部分的に収着剤粒子10間の表面上に横たわり、抗菌効果を呈する。
【0026】
図3は、本発明によりコーティングされたアルミニウムストリップの顕微鏡表面写真を示すものである。図3の例示実施形態では、アクリレートコポリマーとスチレンコポリマーとの混合物がバインダとして使用され、シリカゲルが収着剤として使用された。バインダ9は収着剤10を僅かに濡らすに過ぎないため、収着剤10の収着能力は極く僅か損なわれるに過ぎないことは明らかに理解されよう。この結果、非常に高い収着能力を有するアルミニウムストリップを提供することができる。
【0027】
これらは例えば収着ロータ12に使用され、収着ロータ12の作動は図4の斜視図に示されている。収着ロータ12は、通常、同心状通路内に分散された空気チャネルを備えた平円筒体で構成される。図4に示す例示実施形態の空気チャネルは、対応するコイル状の波型アルミニウムストリップ1から作られる。アルミニウムストリップ1は、約0.07mmの厚さを有しかつ対応する波型を有することが好ましい。
【0028】
ゆっくりと回転する収着ロータ12は、少なくとも1つのセクタで加熱装置13を介して加熱された空気14に露出される。これにより、アルミニウムストリップ1上に存在する収着層は、高温の空気が流される領域で再生される。すなわち、収着剤中に含有された水分が、通常20℃〜120℃の温度を有する加熱空気のために抽出される。このようにして再生された空気チャネルは、次に、収着ロータのゆっくりした回転により回転されて第2セクタ内に入り、該第2セクタにおいて、空気チャネルに、例えば外部の湿り空気15が流される。収着剤10が、外部空気15中に含有される水分を除去し、このため、流入空気16は乾燥される。本発明によるアルミニウムストリップを備えた収着ロータ12は、収着剤として例えばシリカゲルまたはゼオライトを使用する場合には、空気からの水分の除去に関して高い性能特性を呈する。必要なアルミニウムストリップは、本発明の方法により経済的に作ることもできる。
【0029】
最後に図5には、収着ロータ12と、本発明によりコーティングされた、収着ロータ12内のアルミニウムストリップ1の波型連続体とが示されている。波型になるように形成されたアルミニウムストリップ1が、空気チャネル17が形成されるようにして、同心状に配置された円形アルミニウム通路の間に配置されている。収着ロータの収着能力を最大にするには、収着ロータ12に使用するアルミニウムストリップ1の両面をコーティングするのが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 アルミニウムストリップ
3 コイルコーティング装置
4 連続炉
6 クロム酸塩コーティング
7 懸濁液
9 バインダ
10 収着剤
11 銀ナノ粒子
12 収着ロータ
13 加熱装置
17 空気チャネル
図1
図2
図4
図5
図3