特許第5961690号(P5961690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961690切削工具およびそれに対して切削インサートを保持するためのクランプ固定機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961690
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】切削工具およびそれに対して切削インサートを保持するためのクランプ固定機構
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/22 20060101AFI20160719BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20160719BHJP
   B23C 5/10 20060101ALI20160719BHJP
   B23C 5/06 20060101ALI20160719BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B23C5/22
   B23B27/16 A
   B23C5/10 D
   B23C5/06 A
   B23B51/00 T
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-523438(P2014-523438)
(86)(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公表番号】特表2014-521526(P2014-521526A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】IL2012050250
(87)【国際公開番号】WO2013018086
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年5月29日
(31)【優先権主張番号】61/514,322
(32)【優先日】2011年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306037920
【氏名又は名称】イスカーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギル ヘクト
(72)【発明者】
【氏名】ダニー チェン
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−528086(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/046892(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/097797(WO,A1)
【文献】 特表2008−520447(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0189862(US,A1)
【文献】 特表2002−512891(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0086863(US,A1)
【文献】 特開平10−296515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/22,5/10,5/06,
B23B 27/16,51/00−51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサート(12)であって、
対向する上側表面および下側表面(12D、12E)、対向する長手方向側部表面(12M)、および前記対向する長手方向側部表面(12M)に対して横断方向に延び前記対向する長手方向側部表面(12M)を連結する、対向する横方向側部表面(12N)と、
前記対向する上側表面と下側表面(12D、12E)の間を通る切削インサート貫通孔(28)であって、前記上側表面(12D)の平面図において縦長形状を有する、切削インサート貫通孔(28)と、
前記上側表面と下側表面(12D、12E)の間を延び、前記長手方向側部表面の各々の一部分と前記貫通孔(28)間に画定された、対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁(12F、12G)と、
前記対向する上側表面および下側表面(12D、12E)の間を延び、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁(12F、12G)を横断して延び、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁(12F、12G)に連結された、対向する第1の横断壁および第2の横断壁(12H、12I)と
を備え、
前記切削インサート貫通孔(28)は、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁(12F、12G)と、前記第1の横断壁および第2の横断壁(12H、12I)との内面(12F1、12G1、12H2、12I2)間に画定され、
前記第1の長手方向壁および第2の長手方向壁(12F、12G)の前記内面(12F1、12G1)の各々は、前記貫通孔(28)内に突出する、突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)を備えて形成され
前記切削インサート(12)は、第1および第2の端部(12A、12B)と、その間を延びる中央部分(12C)と、前記第1および第2の端部(12A、12B)を介してその中心を通って延びる長手方向切削インサート軸Aと、を有し、各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、前記切削インサートの前記長手方向切削インサート軸(AH)と平行な方向に縦長であることを特徴とする切削インサート(12)。
【請求項2】
各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、前記上側表面(12D)から離間されることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート(12)。
【請求項3】
各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、前記長手方向切削インサート軸(AH)に向かって、前記下側表面(12E)の方向に傾斜され、それにより、前記クランプ固定リップの上側当接表面(12F3、12G3)が、前記上側表面(12D)の方向に向くようになることを特徴とする請求項1または2に記載の切削インサート(12)。
【請求項4】
前記第1の横断壁および第2の横断壁(12H、12I)の前記内面(12H2、12I2)は、平坦であることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の切削インサート(12)。
【請求項5】
前記切削インサート(12)の長手方向切削インサート軸AHに対して垂直に測定された、各々の長手方向壁(12F、12G)の断面積CAは、前記長手方向切削インサート軸AHに沿って各々の軸方向場所において同じであることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の切削インサート(12)。
【請求項6】
前記長手方向壁(12F、12G)は、くぼみが無いことを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の切削インサート(12)。
【請求項7】
前記切削インサート(12)は、片面式であり、割り出し可能であるが、前記上側表面および下側表面(12D、12E)は、非類似形状を有し、前記下側表面(12D)だけが着座に適しており、一方で前記上側表面(12D)だけに切れ刃が設けられることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の切削インサート(12)。
【請求項8】
刃部(14)と、切削インサート(12)が前記刃部(14)から取り外し可能であるクランプ解除位置と、前記切削インサート(12)が前記刃部(14)にクランプ固定されるクランプ固定位置との間で動かされるように構成されたクランプ固定機構(16)とを備える切削工具(10)であって、
前記刃部(14)は、
着座表面(14C)および前記着座表面(14C)から延びる周囲表面(10E)と、
前記着座表面(14C)内に形成された刃部孔(24)と、
前記周囲表面(10E)内に形成され、前記刃部孔(24)へと延びるカム開口部(26)とを備え、
前記クランプ固定機構(16)は、クランプ(20)と、縦長のカムシャフト(18)を備え、
前記クランプ(20)は、
前記刃部孔(24)の内側に少なくとも部分的に配設されるクランプ本体部分(20A)と、
前記クランプ本体部分(20A)に連結され前記刃部孔(24)の外部に配設されるクランプヘッド部分(20B)と、前記クランプ本体部分(20A)内に形成され、可変の直径を有するクランプ成長パターン領域(20C6)を備えて形成された内部クランプ表面(20C1)を備える、クランプ貫通孔(20C)とを備え、
前記カムシャフト(18)は、
外部カム表面(18D)と、
第1のカム端部(18A)と、
前記第1のカム端部(18A)から延びる中央カム部分(18C)であって、可変の直径を有するカム成長パターン領域(184C)を備えて形成されたクランプ固定セクション(18C1)を有する、中央カム部分(18C)とを備え、
前記第1のカム端部(18A)は、前記カム開口部(26)内に配設され、前記中央カム部分(18C)は、前記クランプ貫通孔(20C)内に配設され、
前記クランプ成長パターン領域およびカム成長パターン領域(20C6、18C4)は、互いに係合するように構成されて前記カムシャフト(18)の回転動作を前記クランプ(20)の線形動作に変換し、それによって前記クランプ固定機構(16)を、前記クランプヘッド部分(20B)が、前記クランプ解除位置にあるときより前記着座表面(14C)の近くにある前記クランプ固定位置に動かすことを特徴とする切削工具(10)。
【請求項9】
前記カムシャフト(18)およびクランプ(20)は、前記クランプ固定機構(16)の唯一の要素であることを特徴とする請求項に記載の切削工具(10)。
【請求項10】
前記カムシャフト(18)は、前記着座表面(14C)から離れる前記クランプ(20)の線形動作を引き起こして前記クランプ固定機構(16)を前記クランプ解除位置に動かすように構成されたクランプ解除セクション(18A6)をさらに備え、および好ましくは、可変の深さを有する溝を含むことを特徴とする請求項またはに記載の切削工具(10)。
【請求項11】
前記クランプ(20)は、前記カムシャフト(18)と係合し、前記クランプ固定位置およびクランプ解除位置における前記刃部(14)からの前記カムシャフト(18)の望ましくない飛び出しを防止するように構成されたクランプ突出部(20C7)を備えることを特徴とする請求項から10までのいずれか一項に記載の切削工具(10)。
【請求項12】
前記カムシャフト(18)は、クランプ解除セクション(18A6)およびクランプ固定セクション(18C1)を備え、その両方は、それぞれ反対の方向に成長パターンをたどる可変の直径を有することを特徴とする請求項から11までのいずれか一項に記載の切削工具(10)。
【請求項13】
前記クランプ(20)は、その第1のクランプ面(20E、20F)において、
第1のくぼみ(20A2、20A4)および関連する第1のピボット突出部(20A3、20A5)を備えるガイド構成部(20A6)
をさらに備えることを特徴とする請求項から12までのいずれか一項に記載の切削工具(10)。
【請求項14】
前記第1のクランプ面(20E、20F)とは異なる第2のクランプ面(20E、20F)において、
前記ガイド構成部(20A6)は、第2のくぼみ(20A2、20A4)と、関連する第2のピボット突出部(20A3、20A5)とをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の切削工具(10)。
【請求項15】
前記クランプヘッド部分(20B)は、前記クランプ(20)の第1のクランプ面(20G)に形成された突出部分(20B3)を備えることを特徴とする請求項から14のいずれか一項に記載の切削工具(10)。
【請求項16】
前記クランプヘッド部分(20B)は、前記クランプ(20)の第2のクランプ面(20D)に形成された2つの離間された突出部分(20B1、20B2)をさらに備え、前記第2のクランプ面(20D)は、前記第1のクランプ面(20G)とは異なることを特徴とする請求項15に記載の切削工具(10)。
【請求項17】
前記クランプ(20)は、前記切削インサート(12)を、前記クランプヘッド部分(20B)上に形成された正確には3つの突出部分(20B1、20B2、20B3)に係合させるように構成されることを特徴とする請求項から16までのいずれか一項に記載の切削工具(10)。
【請求項18】
前記刃部(14)は、前記着座表面(14C)と一緒になって、前記刃部(14)のインサートポケットを画定する第1の壁部分および第2の壁部分(14A、14B)をさらに備え、
請求項1からまでのいずれか一項に記載の切削インサート(12)は、前記刃部(14)内に保持され、前記切削インサート(12)は、その内面に複数のクランプ係合点(12G2A、12G2B、12I2A)を有し、
前記3つの突出部分(20B1、20B2、20B3)の各々は、単一の対応するクランプ係合点(12G2A、12G2B、12I2A)において前記切削インサート(12)と係合するように構成され、
各々のクランプ係合点は、前記刃部(14)の前記第1の壁部分および第2の壁部分(14A、14B)の1つに隣接することを特徴とする請求項17に記載の切削工具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、切削工具およびそれに対して切削インサートを保持するためのクランプ固定機構に関し、特に、切削インサートが切削工具にクランプ固定されるクランプ固定位置、および切削インサートが切削工具から取り外され得るクランプ解除位置に動かされるように構成されたクランプ固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
切削工具は、切削インサートと共に使用されることが多い。切削インサートは、切削工具のクランプ固定機構をクランプ固定位置に動かすことによって切削工具にクランプ固定され得る。切削インサートが取り換えられる必要があるとき、クランプ固定機構はクランプ解除位置に動かされ得、切削インサートは、次いで取り外され、別のそのような切削インサートに取り換えられ得る。
【0003】
特許文献1、特許文献2および特許文献3は、切削工具、クランプ固定機構、および切削インサートを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/046892号パンフレット
【特許文献2】CA1070098
【特許文献3】米国特許第6,139,227号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規の改良された切削工具および/またはそのためのクランプ固定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の主題の第1の態様によれば、平面図で見たときに縦長形状を有する切削インサート貫通孔を備えて形成された切削インサートが、提供される。
【0007】
別の態様によれば、切削インサートは、対向する上側表面および下側表面と、対向する長手方向側部表面、および前記対向する長手方向側部表面に対して横断方向に延び、前記対向する長手方向側部表面を連結する対向する横方向側部表面と、前記対向する上側表面と下側表面の間を通る切削インサート貫通孔であって、前記上側表面の平面図では縦長形状を有する、切削インサート貫通孔と、前記上側表面と下側表面の間を延び、前記長手方向側部表面の各々の一部と前記貫通孔の間に画定された、対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁と、前記対向する上側表面と下側表面の間を延び、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁を横断して延び、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁に連結された対向する第1の横断壁および第2の横断壁とを備えることができ、この場合前記切削インサート貫通孔は、前記対向する第1の長手方向壁および第2の長手方向壁と前記第1の横断壁および第2の横断壁の内面間に画定され、前記第1の長手方向壁および第2の長手方向壁の前記内面の各々は、前記貫通孔内に突出する、突起するクランプ固定リップを備えて形成される。
【0008】
本出願の主題のさらに別の態様によると、刃部と、切削インサートが前記刃部から取り外し可能であるクランプ解除位置と、前記切削インサートが前記刃部にクランプ固定されるクランプ固定位置との間で動かされるように構成されたクランプ固定機構とを備える切削工具であって、前記刃部が、着座表面、および前記着座表面から延びる周囲表面と、前記着座表面内に形成された刃部孔と、前記周囲表面内に形成され前記刃部孔へと延びるカム開口部とを備え、前記クランプ固定機構は、クランプと、縦長カムシャフトとを備え、前記クランプは、前記刃部孔の内側に少なくとも部分的に配設されるクランプ本体部分と、前記クランプ本体部分に連結され、前記刃部孔の外部に配設されるクランプヘッド部分と、前記クランプ本体部分内に形成され、可変の直径を有するクランプ成長パターン領域を備えて形成された内部クランプ表面を備えるクランプ貫通孔とを備え、前記カムシャフトは、外部カム表面と、第1のカム端部と、前記第1のカム端部から延びる中央カム部分とを備え、前記中央カム部分は、可変の直径を有するカム成長パターン領域を備えて形成されたクランプ固定セクションを有し、前記第1のカム端部は前記カム開口部内に配設され、前記中央カム部分は前記クランプ貫通孔内に配設され、前記クランプおよびカム成長パターン領域は、互いに係合するように構成されて前記カムシャフトの回転動作を前記クランプの線形動作に変換し、それによって前記クランプ固定機構を、前記クランプヘッド部分が、前記クランプ解除位置にあるときより前記着座表面のより近くにある前記クランプ固定位置に動かす、切削工具が提供される。
【0009】
本出願の主題のさらに別の態様によると、切削工具カムシャフトであって、前記切削工具カムシャフトの第1の円周方向に増大する深さを有する溝を含むクランプ解除セクションを有する第1のカム端部と、第2のカム端部と、前記第1のカム端部と前記第2のカム端部との間に配置された中央カム部分であって、前記第1の円周方向とは反対の前記第2の円周方向に増大する直径を有する円周方向に延びるカム成長パターン領域を備えて形成されたクランプ固定セクションを有する、中央カム部分と、前記クランプ解除セクションへと延びる長手方向に延びる切欠部を備えて形成された外部カム表面とを備える、切削工具カムシャフトが提供される。
【0010】
本出願の主題のさらに別の態様によると、切削工具クランプであって、対向する第1の副側部クランプ面および第2の副側部クランプ面に連結された対向する前部主要クランプ面および後部主要クランプ面を有するクランプ本体部分と、前記クランプ本体部分内に形成され、前部主要クランプ面および後部主要クランプ面を通り抜けるクランプ貫通孔とを備え、前記クランプ貫通孔は、可変の直径を有するクランプ成長パターン領域を備えて形成された内部クランプ表面と、前記クランプ貫通孔内に突起するクランプ突出部とを備える、切削工具クランプが提供される。
【0011】
本出願の主題の別の態様によると、切削工具クランプ固定機構組立体であって、上記で説明された特徴のいずれかを有する切削工具カムシャフトと、上記で説明された特徴のいずれかを有する切削工具クランプとを組み合わせて備え、前記切削工具カムシャフトの中央カム部分は、前記切削工具クランプのクランプ貫通孔内に受け入れ可能であり、前記切削工具カムシャフトのクランプ固定セクションは、前記切削工具クランプの内部クランプ表面と係合可能であり、それにより、前記切削工具カムシャフトの回転動作の結果、前記切削工具クランプの線形移動が生じる、切削工具クランプ固定機構組立体が提供される。
【0012】
本出願の主題のさらに別の態様によると、カムシャフトの一部分を中に受け入れるためのクランプ固定機構開口部を有する切削工具刃部であって、クランプ固定機構が、前記開口部内に拘束部を画定する離間された第1の着座領域および第2の着座領域と、前記第1の着座領域から前記第2の着座領域へと延び、前記拘束部の第1の側に形成された主要周囲縁と、前記第1の着座領域から前記第2の着座領域へと延び、前記拘束部の前記第1の側とは異なる前記拘束部の第2の側に形成された追加の周囲縁とを備える、切削工具刃部が提供される。
【0013】
クランプ固定機構開口部は、非円形の形状を有する。
【0014】
本出願の主題のさらなる態様によると、切削インサートを保持するための切削工具であって、カムシャフトと、カムシャフトの第1の部分を中に受け入れるように構成されたクランプ固定機構開口部を有する刃部とを備え、前記クランプ固定機構開口部が、前記開口部内に拘束部を画定する離間された第1の着座領域および第2の着座領域と、前記第1の着座領域から前記第2の着座領域へと延び、前記拘束部の第1の側に形成された主要周囲縁とを備え、前記カムシャフトの第1の部分は、前記拘束部の第1の側に少なくとも部分的に配置され、前記拘束部の寸法は、前記カムシャフトがそこを通り抜けることを制限するために前記カムシャフトの第1の部分の外部寸法より小さい、切削工具が提供される。
【0015】
本出願の主題が、切削工具、およびその要素、つまりそれだけに限定されないが、刃部、カムシャフト、クランプ、クランプ固定機構、およびそのクランプ固定機構開口部などの発明的態様に関連することが理解されよう。各々の態様は、別個の発明になり得るが、これらはまた、以下で詳述されるように単一の切削工具の一部でもよい。
【0016】
上記で述べられたものは概要であり、上記の態様のいずれのものも、他の態様の任意のいずれかのものと連結して説明された、または以下の本明細書で説明される特徴のいずれかのものをさらに含むことができることが理解されよう。詳細には、以下の特徴は、単独でまたは組み合わせて、上記の態様のいずれにも適用可能である。
A.切削インサートは片面式になることができる。
B.切削インサートは、似ていない形状の上側表面および下側表面を有することができる。
C.切削インサートは、1または複数の突起するクランプ固定リップを有することができる。各々の突起するクランプ固定リップは、切削インサートの長手方向切削インサート軸と平行な方向に縦長になることができる。各々の突起するクランプ固定リップは、上側表面から離間され得る。各々の突起するクランプ固定リップは、長手方向切削インサート軸に向かってかつ下側表面の方向に傾斜させることができ、それにより、突起するクランプ固定リップの上側当接表面は、上側表面の方向に向くようになる。
D.第1の横断壁および第2の横断壁の内面は、平坦になることができる。
E.カムシャフトの溝の長手方向の幅は、第1の円周方向に沿って、その深さと共に増大することができる。
F.切削インサートの長手方向切削インサート軸に対して垂直に測定された、各々の長手方向壁の断面積は、長手方向切削インサート軸に沿って各々の軸方向場所において同じになることができる。
G.クランプは、ガイド構成部を備えることができる。
H.ガイド構成部は、第1のくぼみおよび副クランプ面上に形成された第1のピボット突出部と、第2のくぼみおよび主要クランプ面上に形成された第2のピボット突出部とを備えることができる。
I.クランプヘッド部分は、クランプの前部主要クランプ面に形成された少なくとも2つの離間された突出部分と、第2の副クランプ面に形成された第1の側部突出部分とを備えることができる。
J.クランプヘッド部分は、第1の副クランプ面に形成された第2の側部突出部分を備えることができる。
K.クランプは、カムシャフトのクランプ解除セクションと係合し、着座表面から離れる方向のクランプの移動を引き起こすように構成されたクランプ突出部を備えることができる。
L.クランプは、カムシャフトと係合し、クランプ固定位置およびクランプ解除位置における刃部からのカムシャフトの望ましくない飛び出しを防止するように構成されたクランプ突出部を備えることができる。
M.クランプ解除セクションは、可変の深さを有する溝を含むことができる。
N.カムシャフトは、着座表面から離れるクランプの線形動作を引き起こしてクランプ固定機構をクランプ解除位置に動かすように構成されたクランプ解除セクションを備えることができる。
O.カムシャフトおよびクランプは、クランプ固定機構の唯一の要素になることができる。
P.カムシャフトの外部カム表面は、カムシャフトのクランプ解除セクションへと延び、かつクランプのクランプ突出部の一部分が通り抜けることを可能にするようにサイズ設定された、切欠部を備えて形成され得る。
Q.カムシャフトは、クランプ解除セクションおよびクランプ固定セクションを備えることができ、そのいずれもそれぞれ反対方向の成長パターンに沿った可変の直径を有する。
R.カムシャフトは、カムショルダ当接領域を備えることができる。
S.クランプは、クランプショルダ当接領域を備えることができる。
T.カムショルダ当接領域およびクランプショルダ当接領域は、クランプ解除位置においてカムシャフトの回転を停止させるために互いに当接するように構成され得る。
U.刃部は、カム開口部と同軸のカムくぼみを備えて形成され得る。
V.カムシャフトは、第1のカム端部の反対側の、中央カム部分から軸方向に延びる第2のカム端部を備えることができる。
W.カムくぼみは、第2のカム端部を受け入れるように構成され得る。
X.カム開口部は、開口部内に拘束部を画定する離間された第1の着座領域および第2の着座領域を備えることができる。主要周囲縁は、第1の着座領域から第2の着座領域へと延びることができ、拘束部の第1の側に形成され得る。追加の周囲縁は、第1の着座領域から第2の着座領域へと延びることができ、拘束部の第1の側とは異なる拘束部の第2の側に形成され得る。
Y.クランプは、その第1のクランプ面に、第1のくぼみおよび関連する第1のピボット突出部を備えるガイド構成部を備えることができる。
Z.第1のクランプ面とは異なる第2のクランプ面において、ガイド構成部は、第2のくぼみおよび関連する第2のピボット突出部を備えることができる。
AA.クランプヘッド部分は、クランプの第1のクランプ面に形成された突出部分を備えることができる。
BB.クランプヘッド部分は、クランプの第2のクランプ面に形成された2つの離間された突出部分を備えることができ、この第2のクランプ面は、第1のクランプ面とは異なる。
CC.クランプは、切削インサートを、クランプヘッド部分に形成された正確には3つの突出部分と係合させるように構成され得る。3つの突出部分の各々は、単一の対応するクランプ係合点DDで切削インサートと係合するように構成され得る。刃部は、着座表面と一緒になって刃部のインサートポケットを画定することができる、第1の壁部分および第2の壁部分を備えることができる。
EE.切削インサートは、刃部内に保持され得る。
FF.切削インサートは、その内面に複数のクランプ係合点を有することができる。各々のクランプ係合点は、刃部の第1の壁部分および第2の壁部分の1つに隣接することができる。
GG.第1の着座領域は、第1の着座中心点を有することができ、第2の着座領域は第2の着座中心点を有することができる。
HH.主要周囲縁は、2つの主要縁端部を備えることができ、各々の主要縁端部は、対応する着座領域に隣接し、主要周囲縁は、主要周囲縁内に内接され得る最大限の孤によって画定された主要中心点を有する。
II.追加の周囲縁は、2つの追加の縁端部を備えることができ、各々の追加の縁端部は、第2の側の対応する着座領域に隣接する。
JJ.追加の周囲縁は、追加の周囲縁内に内接され得る最大限の孤によって画定された追加の中心点を有することができる。
KK.主要中心点および追加の中心点は、第1の着座中心点および第2の着座中心点の両方から離間され得る。
LL.第1の着座中心点および第2の着座中心点は、共通の着座中心点に共同配置され得る。
MM.主要中心点および追加の中心点はそれぞれ、拘束部の第1の側および第2の側の1つに配置され得る。
NN.主要中心点および追加の中心点は、離間された第1の着座領域と第2の着座領域の間を通り、拘束部の両側に延びる仮想平面上に配設され得る。
OO.少なくとも1つの着座領域は、クランプ固定機構開口部の平面図では凹形状を有する。
PP.少なくとも1つの着座領域は、クランプ固定機構開口部の平面図ではラインセグメントを備える。
QQ.主要周囲縁および/または追加の周囲縁は、凹形状を有することができる。
RR.切削インサートを保持するための切削工具は、カムシャフトと、カムシャフトの第1の部分を中に受け入れるように構成されたクランプ固定機構開口部を有する刃部とを備えることができる。
SS.クランプ固定機構開口部は、開口部内の拘束部を画定する離間された第1の着座領域および第2の着座領域と、第1の着座領域から第2の着座領域へと延び、拘束部の第1の側に形成された主要周囲縁とを備えることができる。
TT.カムシャフトの第1の部分は、拘束部の第1の側に少なくとも部分的に配置され得る。
UU.拘束部の寸法は、カムシャフトがそこを通り抜けることを制限するために、カムシャフトの第1の部分の外部半径寸法の大きさの二分の一の小ささになることができる。
VV.クランプ固定機構開口部は、第1の着座領域から第2の着座領域へと延び、拘束部の第1の側とは異なるその第2の側に形成された追加の周囲縁を備えることができる。
WW.拘束部は、カムシャフトの、追加の周囲縁に接触し得る範囲の通り抜けを防止するようにサイズ設定され得る。
XX.クランプ固定機構開口部は、カムシャフトの一部分を中に受け入れるように構成され得る。より精密には、主要周囲縁は、カムシャフトの一部分を中に受け入れるように構成され得る。
YY.第1の着座領域は第1の着座中心点を有することができ、第2の着座領域は第2の着座中心点を有することができる。
ZZ.主要周囲縁は、2つの主要縁端部を備えることができる。各々の主要縁端部は、着座領域の対応する1つに隣接することができる。主要周囲縁は、主要周囲縁内に内接され得る最大限の孤によって画定される主要中心点を有することができる。
AAA.追加の周囲部は、2つの追加の縁端部を備えることができる。各々の追加の縁端部は、第2の側の着座領域の対応する1つに隣接することができる。追加の周囲縁内に内接され得る最大限の孤によって画定された追加の中心点を有する追加の周囲縁。
BBB.主要中心点および追加の中心点は、第1の着座中心点および第2の着座中心点の両方から離間され得る。
CCC.クランプ固定機構開口部は、最上部の中心点と、最上部の中心点からよりも遠くにヘッド部分から配置された最下部の中心点とを含むことができる。着座領域は、最下部の中心点より最上部の中心点の近くにあることができる。
DDD.切削工具は、追加のクランプ固定機構開口部であって、開口部内に拘束部を画定する離間された第1の着座領域および第2の着座領域を有し、本体部分内に形成され、カムシャフトの第1の部分とは異なるカムシャフトの第2の部分を中に受け入れるように構成された、追加のクランプ固定機構開口部を備えることができる。
EEE.クランプ固定機構開口部内に受け入れられる端部分の外部半径の大きさは、主要周囲縁の半径の大きさより小さくなることができる。
FFF.着座領域は、その中に受け入れられる端部分の曲率に対応する曲率を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本出願の主題のより良好な理解のため、またこれが実践においてどのように実施され得るかを示すために、次に、添付の図の参照がなされる。
図1】クランプ固定された状態の切削工具の側部斜視図である。
図2A図1の切削工具の一部分の前部分解斜視図である。
図2B図1および2Aの切削工具の一部分の別の前部分解斜視図である。
図3A図1から2Bの切削工具の刃部の一部分の斜視図である。
図3B図3Aの刃部の部分の側面図である。
図3C図3Aおよび3Bの刃部の部分の平面図である。
図4A】拡大された、図3Aから3Cの本体部分のカム開口部の部分的な概略側面図であり、その一部分は、説明の目的で比例させずに描かれている。
図4B図1Aから2Bの切削工具のカムシャフトが中に挿入されて示された、図4Aのカム開口部の部分的な概略側面図である。
図4C】切削工具のカムシャフトが中に挿入された別のカム開口部の概略側面図である。
図5A図1から2Bの切削工具のカムシャフトの斜視図である。
図5B図5Aのカムシャフトの側面図である。
図5C図5Bの図から回転させた、図5Aおよび5Bのカムシャフトの側面図である。
図5D図5Cの線5D−5Dに沿って切り取られた断面図である。
図5E図5Aから5Dのカムシャフトの後面図である。
図6A図1から2Bの切削工具のクランプの前部斜視図である。
図6B図6Aのクランプの後面図である。
図6C図6Bの線6C−6Cに沿って切り取られた断面平面図である。
図6D図6Bの線6D−6Dに沿って切り取られた断面側面図である。
図7A図1から2Bの切削工具の切削インサートの平面図である。
図7B図7Aの切削インサートの側面図である。
図7C図7Aの線7C−7Cに沿って切り取られた断面図である。
図7D図7Aの線7D−7Dに沿って切り取られた断面図である。
図8A】クランプ固定位置にある、図1から2Bの切削工具の一部分の断面前面図である。
図8B】クランプ解除位置にある、図8Aの切削工具の部分の断面前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、本出願の主題のさまざまな態様が説明される。説明する目的で、特有の構成および詳細が、本出願の主題を完璧に理解するのに十分詳細に記載される。しかし、本出願の主題が、本明細書において提示された特有の詳細を有することなく実施され得ることもまた当業者には明らかであろう。
【0019】
次に縦長切削工具10を示す図1の参照がなされ、回転軸Aは、その中心を貫通して長手方向に延びており、前端部および後端部(10A、10B)は、前方向および後方向(D、D)を画定しており、回転方向Rは、この例では、切削工具10を後方向Dに沿って見たときに反時計周りである状態である。これ以後、用語「径方向外向き」および「径方向内向き」は、回転軸Aに対する径方向を指す。
【0020】
切削工具10は、回転式切削工具になることができる。切削工具10は、本体部分10Cと、そこから前方に延びるヘッド部分10Dと、少なくとも1つの切削インサート12とを有することができる。
【0021】
ヘッド部分10Dは、径方向外向きに向く湾曲した周囲表面10Eと、前方を向くヘッド表面10Fと、少なくとも1つの刃部14とを備えることができる。
【0022】
少なくとも1つの切削インサート12は、クランプ固定機構16を介して少なくとも1つの刃部14に固定され得る。
【0023】
次に図2Aおよび2Bも参照すると、クランプ固定機構16は、カムシャフト18、クランプ20を備える。クランプ固定機構16は、クランプ解除位置とクランプ固定位置の間で動かされるように構成され、これは、これ以後説明される。
【0024】
これ以後により詳細に説明されるように、カムシャフト18およびクランプ20は互いに係合し、カムシャフト18の回転時に、カムシャフト18の回転動作をクランプ20の線形動作に変換するように構成される。クランプ20の線形動作は、図1でわかるように、切削インサート12を刃部14にクランプ固定することを可能にすることができる。
【0025】
クランプ固定機構16の考えられる利点は、これが利用する要素の数が少ないことであることが認識されよう。この例では、クランプ固定機構16は、2つの要素だけ、すなわちカムシャフト18およびクランプ20だけで、切削工具10の刃部14への切削インサート12のクランプ固定を達成することができる。
【0026】
図3Aから3Cに注目すると、刃部14が、さらに詳細に説明される。刃部14は、ヘッド表面10Fから後方向に延び、周囲表面10Eから離間された第1の壁部分14Aと、第1の壁部分から周囲表面10Eへと延びる第2の壁部分14Bと、ヘッド表面10Fと、周囲表面10Eと、第1および第2の壁部分(14A、14B)との間を延びる着座表面14Cとの間に画定されたインサートポケットとを備えて形成され得る。
【0027】
第1の壁部分14Aは、着座表面14Cから延びる径方向内向きに向く第1の壁側部表面14A1を有することができる。第1の壁側部表面14A1は、2つの離間された当接サブ表面(14A2、14A3)を有することができる。
【0028】
第2の壁部分14Bは、着座表面14Cから延びる、前方を向く第2の壁側部表面14B1を有することができる。第2の壁側部表面14B1は、当接サブ表面14B2を有することができる。
【0029】
刃部は、着座表面14Cから延びる刃部孔24と、刃部孔24から径方向内向きの方向に延びるカムくぼみ14Dと、周囲表面10Eから刃部孔24へと径方向内向きの方向に延び、カムくぼみ14Dと同軸であるカム開口部26とを備えて形成され得る。
【0030】
刃部孔24は、対向する第1および第2の主要表面(24A、24B)と、そこから延びる、対向する第1および第2の副表面(24C、24D)との間に画定され得る。
【0031】
第1の主要表面24Aは、刃部孔24の、カム開口部26とは反対の側に配設され得る。第1の主要表面24Aは、図8でわかるように、後方向に見たときに、第1の壁部分14Aの一部分の下方を延びるように傾斜され得る。第1の主要表面24Aは、着座表面14Cから延びる、2つの離間された長手方向に延びる補強くぼみ(24A1、24A2)を備えて形成され得る。
【0032】
第2の主要表面24Bは、第1の主要表面24Aと平行な方向に傾斜され得る。
【0033】
第1の副表面24Cは、後方向に向くことができ、第1および第2の主要表面(24A、24B)と同じような角度で傾斜され得る。
【0034】
第2の副表面は、前方向に向くことができ、これもまた、第1および第2の主要表面(24A、24B)と同じような角度で傾斜され得る。
【0035】
次に図3Bを参照すると、カムくぼみ10Eは、カム開口部26と同軸になることができる。カムくぼみ14D(図3A)は、第1の主要表面24A内に形成され得、第1の主要表面24Aから端壁部分14D2へと延びる周囲表面14D1を有することができる。カムくぼみ14Dは、カム開口部26の直径より小さい直径を有することができる。カムくぼみ14Dは、カム開口部26と同軸になることができ、円形断面を有することができる。代替的には、カムくぼみ14Dは、以下で説明されるように、カム開口部26のものに対応する形状を有することができる。
【0036】
カム開口部26は、連続縁26Aを有する開口の形態になることができる。連続縁26Aを有するカム開口部26の考えられる利点は、カム開口部26が、補強化構造をもたらす材料によって取り囲まれ得ることである。とりわけ、カム開口部26は非円形である。
【0037】
図4Aを参照すると、非円形カム開口部26のさらなる特徴が、その前面図(または刃部14の側面図)で示されている。さらなる特徴は、カム開口部26に対して説明されるが、これらは、いかなるクランプ固定機構開口部にも適用され得る。たとえば、カムくぼみ14Dは、カム開口部26に、または図4Cに示される代替のカム開口部26’に対して以下で述べられる特徴のいずれか有することができる。
【0038】
カム開口部26は、その平面図において、2つの離間された着座領域(26E、26F)、主要周囲縁26B、およびこの非限定的な例では追加の周囲縁26Gによって画定され得る。2つの離間された着座領域(26E、26F)は、カム開口部26のこれらの間に拘束部(36)を画定する(拘束部は、図4Aでは、両矢印によって示される)。主要周囲縁26Bは、拘束部(36)の第1の側38A上に形成され、2つの対向する主要縁端部(26C、26D)を有する。各々の主要縁端部(26C、26D)は、着座領域(26E、26F)の対応する1つに隣接することができる。追加の周囲縁26Gは、主要周囲縁26Bとは反対側の、拘束部(36)および着座領域(26E、26F)の第2の側38Bに形成され得る。その第1の側38Aとは異なる拘束部36の第2の側38B。追加の周囲縁26Gは、2つの追加の縁端部(26H、26I)間を延びることができ、各々の追加の縁端部は、この非限定的な例では、着座領域(26E、26F)の対応する1つに隣接する。カム開口部26の縦方向に延びる仮想平面Pは、2つの離間された着座領域(26E、26F)間を通り、拘束部(36)の両側に延びることができる。
【0039】
主要周囲縁26Bは、凹形状を有することができる。主要周囲縁26Bは、その中に内接され得る最大限の円孤の主要中心点Cから測定された半径RMPの大きさを有することができる。主要周囲縁26Bは、各々の縁端部(26C、26D)に直接隣接する点(26K、26L)を含む。
【0040】
主要周囲縁26B内の「内接され得る最大限の円孤」は、図4Bに示されるカムシャフト18のものより大きい半径の大きさを有する円孤に対応することが理解されよう。この説明はまた、本出願の主題による他の主要周囲縁、および着座領域および追加の周囲縁に関連して述べられた内接円および内接円孤にも適用される。
【0041】
着座領域(26E、26F)は各々、図示する平面では、凹形状を有することができる。着座領域(26E、26F)は各々、半径(Rs1、RS2)の大きさを有することができ、各々の半径は、対応する中心点Cs1、Cs2から測定され、その中心点は、この非限定的な例では、共同配置され、それによって一緒になって、その中に内接され得る最大限の円孤の共通中心点Csを含む。着座領域(26E、26F)は、互いから離間される。着座領域(26E、26F)は、最上部の中心点26J1とは反対側に配設された最下部の中心点26J2より、カム開口部2の最上部の中心点26J1の近くにあることができる。換言すれば、各々の着座領域(26E、26F)と、縦方向に延びる仮想平面Pとの間に形成された角度α、つまりこの非限定的な例では、共通の角度である角度は、鋭角になることができる。平面Pは、回転軸Aに対して垂直に延びることができる。最上部の中心点26J1および最下部の中心点26J2の両方は、平面P内に位置することができる。
【0042】
一部の場合、所与の着座領域は、開口部の平面図において凹形状を有するのではなくラインセグメントとして特徴付けられ得る形状を有することができる。そのようなラインセグメントは、こう配または平均こう配と、セグメント長さとを有することができる。そのような着座領域の中心点は、そのようなセグメントの中間点に対して垂直な仮想線が、平面Pと交差する点として画定されてよい。このようにして、中心点は、カム開口部26の輪郭の一部分を形成する非凹状着座領域に対して画定され得る。
【0043】
追加の周囲縁26Gは、凹形状を有することができる。追加の周囲縁26Gは、その中に内接され得る最大限の円孤の中心点Cから測定された、半径RAPの大きさを有することができる。追加の周囲縁26Gは、これもまた、各々の縁端部(26C、26D)に直接隣接する点(26M、26N)を含むことができ、これは、これ以後論じられる。
【0044】
主要中心点(C)および追加の中心点(C)は、拘束部(36、36’)の第1および第2の側(38A、38B)の1つにそれぞれ配置され得る。この例においてより精密には、主要周囲縁26Bの中心点(C、C、C)、着座領域(26E、26F)、および追加の周囲縁26Gはすべて、平面Pに沿って互いから離間され得る。
【0045】
図4Bを参照すると、カムシャフト18の一部分18A1が、カム開口部26内に配設され、そこに対して、平面Pに沿った方向に最上部の中心点26J1に向かって押し出されて示されている。
【0046】
部分18A1の半径(R3:図5Bを参照)の大きさと等しい、その最大寸法MC1の大きさの半分は、主要周囲縁26Bの半径RMPの大きさより小さい。したがって、主要周囲縁26Bは、カムシャフト18をカム開口部26内に挿入し、そこに対して平面PRに沿った方向に最上部の中心点26J1に向かってかけられる力、つまり着座領域(26E、26F)との係合を引き起こす力が存在しないとき、カム開口部26内で回転させることを可能にするようにサイズ設定される。このサイズの相違はまた、カムシャフト18と主要周囲縁26Bの間に配置された近位空間26O1を形成する。
【0047】
着座領域(26E、26F)の半径Rs1、Rs2の大きさは、カムシャフト18の第1の端部18A1(図5B)の半径R3の大きさと等しくなることができる。着座領域(26E、26F)は、カムシャフト18の第1の端部18A1(図5B)の曲率に対応する曲率を有することができる。
【0048】
説明された方向にカムシャフト18に対して力がかけられ、カムシャフト18が着座領域(26E、26F)と係合するときでも、拘束部(36)および追加の周囲縁26Gは、遠位空間26O2を形成するようにサイズ設定され、そのサイズは、カムシャフト18が遠位空間26O2内に入るのを制限するように構成され、すなわちその中には、カムシャフト18は配置されない。異なるように述べると、カムシャフト18が遠位空間26O2内に完全に入ることは、カムシャフト18と着座領域(26E、26F)との係合によって制限される。その結果、拘束部(36)および追加の周囲縁26Gは、カムシャフト18とその最上部の中心点26J1との接触を防止するようにサイズ設定される。異なるように述べると、拘束部36は、カムシャフト18の、追加の周囲縁26Gと接触し得る範囲の通り抜けを防止するようにサイズ設定される。
【0049】
カムシャフト18と2つ以上の着座領域(26E、26F)との係合は、遠位空間26O2を設けることによって達成され得る。
【0050】
上記で述べられたクランプ固定特徴のいずれの1つも、場合によっては、力がカムシャフト18上に着座領域(26E、26F)に向かう方向でかけられたときにカムシャフト18の回転動作を制限することをできる限り助けることができることが認識されよう:
− カムシャフト18の曲率に対応する着座領域(26E、26F)の曲率
− カムシャフト18と2つ以上の着座領域(26E、26F)との係合、および
− カムシャフト18の動作が向けられる方向の点26J1から鋭角αで配設される着座領域(26E、26F)の各々。
【0051】
図4Cに注目すると、くぼんだ領域を設けるために、着座領域(26E、26F)は縦長領域である必要はなく、図示する開口部の平面図において単一の点(26Ε’、26F’)によって各々が構成され得ることが理解されよう。そのような場合、2つの着座領域(26E’、26F’)の中心点は、2つの着座領域(26E’、26F’)を連結する仮想線が平面Pと交差するところに配置された共通の中心点に合流する。
【0052】
詳細に述べるために、図4Cの代替のカム開口部26’の非限定的な例は、図4Aおよび4Bのカム開口部26の要素に対応する要素を有し、この要素は、アポストロフィが付加された同一の番号によって指定され、その唯一の相違は、代替のカム開口部26’の代替の着座領域(26E’、26F’)が、図示する図では単一点(26E’、26F’)によって構成されることである。
【0053】
代替のカム開口部26’は、着座領域(26E’、26F’)を構成する代替の2つの縁端部(26C’、26D’)間を延びる主要周囲縁26B’を備えることができる。カム開口部26’はまた、着座領域(26E’、26F’)間を延び、これらと係合する追加の周囲縁26G’を備えることもできる。
【0054】
図4Aおよび4Bに示す例は、その可能な追加の利点によって好ましいが、特定の利点は、図4Cの例によっても場合によっては達成可能である。
【0055】
上記の利点のいずれかを提供することができる、上記の特徴のいずれかを備えた開口部を有するクランプ固定機構が、有利になり得ることが理解されよう。特徴のいくつかを、以下で総括する。
【0056】
そのようなクランプ固定機構開口部は、着座領域によって画定された拘束部(36、36’)の一方の側の、2つの着座領域の間を延びる主要周囲縁と、拘束部(36、36’)の第2の反対側の、2つの着座領域の間を延びる追加の周囲縁とが設けられた開口部として画定され得る。
【0057】
拘束部および追加の周囲縁は、空間をもたらすようにサイズ設定される。サイズ設定は、カムシャフト18が空間内に入ることを制限するように構成され得る。
【0058】
着座領域は、主要周囲縁と追加の周囲縁の間の領域として画定され得る。点(26K、26K’、26L、26L’、26M、26M’、26N、26N’)を含む主要周囲縁および追加の周囲縁の部分は、関連する主要縁端部および追加の縁端部に、さらに着座領域にも隣接しており、共通の中心点Cまたは着座領域(26E、26F)の中心点CS1、CS2から離間された中心点(C、C)を有する。
【0059】
主要周囲縁または追加の周囲縁に沿った各部分の中心点は、着座部分の中心点から離間され得る。
【0060】
着座領域に直接隣接する主要周囲縁および追加の周囲縁の部分の中心点(C、C)は、共通の中心点Cまたは着座部分(26E、26F)の中心点CS1、CS2の両側に配置され得る。
【0061】
図4Cに見られるように、カム開口部内の着座領域間で測定された寸法Dの大きさは、カム開口部内に受け入れられるように構成されたカムシャフトの端部分の最大寸法MC1より小さい。最大寸法MC1は、カムシャフトの端部分の外径になることができる。寸法Dのそのような大きさは、カムシャフト部分がそこを通り抜けることを防止するように構成され得る。そのような防止は、2つの離間された着座領域の係合を可能にすることができる。異なるように述べると、カムシャフトと追加の周囲縁との単一点係合は、回避され得る。
【0062】
図5Aから図5Eに注目すると、カムシャフト18がより詳細に示される。カムシャフト18は、単体の一体構造を有することができる。カムシャフト18は、その中心を通って延びる中央長手方向軸Aを備えて縦長になることができ、第1および第2のカム端部(18A、18B)と、その間を延びる中央カム部分18Cとを備えることができる。カムシャフト18は、カムシャフト18の周囲に沿って円周方向の外部カム表面18Dを有することができる。
【0063】
第1のカム端部18Aは、第1および第2の端部セクション(18A1、18A2)と、その間を延びる中央セクション18A3とを備えた円筒状になることができる。
【0064】
第1の端部セクション18A1は、工具受け入れくぼみ18A4を備えて形成され得る。
【0065】
第2の端部セクション18A2は、外部カム表面18Dに切欠部18A5を備えて形成され得る。切欠部18A5は、カムシャフト18に沿って長手方向に延びることができる。
【0066】
中央セクション18A3は、クランプ解除セクション18A6を備えることができる。クランプ解除セクション18A6は、中央セクション18A3内に形成された溝によって構成され得る。溝18A6は、長手方向軸Aに対して垂直である平面Pに沿って延びることができる。溝18A6は、中央セクション18A3の円周の大部分に沿って延びることができる。溝18A6は、第1の端部18A7と、第2の端部(図示せず)と、その間の中央部分18A8とを有することができる。溝18A6は、円周方向に沿った可変の深さまたは直径を有することができる。可変の深さは、成長パターンをたどることができる。成長パターンは、らせん形状を形成することができる。らせん形状は、アルキメデス(Archimedean)らせんになることができる。可変の深さは、第1の端部18A7から第2の端部へと連続的に深くなることができる。溝18A6はまた、円周方向に沿って可変の長手方向の幅も有することもできる。長手方向軸Aに対して平行な方向に沿って測定された、溝の長手方向の幅は、その大きさが、第1の端部18A7から第2の端部へと増大することができる。換言すれば、溝の長手方向幅は、カムシャフトの円周方向に沿って、その深さと共に増大することができる。
【0067】
切欠部18A5は、第2のカム端部18A2の始まりから開始することができ、クランプ解除セクション18A6へと延びる。切欠部18A5は、クランプ解除セクション18A6とその中央部分18A8において交わる。換言すれば、切欠部18A5は、クランプ解除セクション18A6の円周方向に離間されて置かれた第1および第2の端部18A7である。
【0068】
第2の端部セクション18A2は、半径R3を有し、R3より小さい最大半径を有する溝18A8の中央部分と、これもまたR3より小さい半径を有する半径R4を有する中央カム部分18Cとの間に配設され得る。それにしたがって、第2の端部セクション18A2は、環状突出部の形状を有する。半径R4は、中央カム部分18Cの最大の大きさの半径になることができる。
【0069】
第2のカム端部18Bは、カムくぼみ14D内へのその挿入を可能にするようにサイズ設定され得る半径R5を有することができる。
【0070】
中央カム部分18Cは、クランプ固定セクション18C1を備えることができる。中央カム部分18Cの外部カム表面18Dは、その第1と第2の端部(18C2A、18C2B)の間を延びる平坦領域18C2と、平坦領域18C2の第1の端部18C2Aから延びるカムショルダ当接領域18C3と、平坦領域18C2の第2の端部18C2Bからカムショルダ当接領域18C3へと、長手方向軸Aから径方向外向きの方向で成長しながら延びる弓形のカム成長パターン領域18C4とを含むことができる。
【0071】
カム成長パターン領域18C4は、円周方向に沿って可変の直径を有する。可変の直径は、成長パターンをたどる。成長パターンは、らせん形状を形成することができる。らせん形状は、アルキメデスらせんになることができる。
【0072】
とりわけ、クランプ解除セクション18A6の成長パターンおよびクランプ固定セクション18C1のカム成長パターン領域18C4は、それぞれ反対の円周方向に成長する。カムシャフト18の前面斜視図から本例を用いて、および参照として長手方向軸Aを用いて説明するために、クランプ解除セクション18A6の半径の大きさは、時計周り方向に減少し、一方でカム成長パターン領域18C4の半径の大きさは時計周り方向に増大する。
【0073】
図6Aから6Eに注目すると、クランプ20がより詳細に示される。クランプ20は、単体の一体構造を有することができる。クランプ20は、クランプ本体部分20Aおよびクランプヘッド部分20Bを備えることができ、クランプ貫通孔20Cを備えて形成され得る。クランプは、対向する前部および後部主要クランプ面(20D、20E)と、これらに対して垂直に延びる第1および第2の副クランプ面(20F、20G)と、前部および後部主要クランプ面ならびに第1および第2の副クランプ面(20D、20E、20F、20G)の各々に対して垂直な上部および底部クランプ面(20H,20I)とを有することができる。中央長手方向平面Pは、クランプ20の中心、第1および第2の副クランプ面(20F、20G)、ならびに上部および底部クランプ面(20H、20I)を通って延びることができ、前部および後部主要クランプ面(20D、20E)と平行になることができる。孔軸Aは、前部および後部主要クランプ面(20D、20E)を介してクランプ貫通孔20Cを通って延びることができ、中央の長手方向平面Pに対して傾斜され得る(すなわち、たとえば図6Dに見られるようにそれに対して垂直でも平行でもない)。クランプ20は、その上面と底面(20H、20I)の間で縦長になることができる。クランプ20は、第1と第2の副面(20F、20G)の間の大きさが、前部と後部主要クランプ面(20D、20E)の間より大きい寸法を有することができる。
【0074】
クランプ本体部分20Aは、その主要面20Dに、中央の長手方向平面Pと平行に延びる、離間された長手方向補強リブ20A1を備えることができる。
【0075】
クランプ本体部分20Aは、その第1の副面20Fに、側部くぼみ20A2および側部ピボット突出部20A3を備えて形成され得る。
【0076】
クランプ本体部分20Aは、その後部クランプ面20Eに、後部くぼみ20A4および後部ピボット突出部20A5を備えて形成され得る。
【0077】
側部くぼみ20A2は、第1の副クランプ面20Fおよび底面20Iの交差部から第1の副クランプ面20Fの一部分に沿って延びることができる。側部ピボット突出部20A3は、第1の副クランプ面20Fにおいて、残りの、くぼみを有さない部分を構成することができる。第2の副クランプ面20Gは、クランプの使用の多様性を増大させるために、類似の側部くぼみおよびピボット突出部(図示せず)を備えることができる。
【0078】
後部くぼみ20A4は、後部主要クランプ面20Eの一部分に沿って、第2の副クランプ面20Fと、上部および底部クランプ面(20H、20I)との間を延びることができる。後部ピボット突出部20A5は、後部主要クランプ面20Eにおいて、残りの、くぼみを有さない部分を構成することができる。
【0079】
クランプヘッド部分20Bは、クランプ本体部分20Aに対して横断方向に延びることができる。異なるように述べると、クランプヘッド部分20Bは、中央長手方向平面Pを横断して延びることができる。クランプヘッド部分20Bは、中央長手方向平面Pの一方側のみへと延びることができる。
【0080】
クランプヘッド部分20Bは、矩形の断面を有することができる。クランプヘッド部分20Bは、縦長になることができ、第1と第2の副クランプ面(20F、20G)の間を延びることができる。クランプヘッド部分20Bは、その前部主要クランプ面20Dにおいて形成された2つの離間された前部突出部分(20B1、20B2)を有することができる。2つの離間された前部突出部分(20B1、20B2)は各々、第1および第2の副クランプ面(20F、20G)の1つにそれぞれ隣接することができる。クランプヘッド部分20Bは、その第2の副クランプ面20Gに形成された第1の側部突出部分20B3を有することができる。クランプヘッド部分20Bは、その第1の副クランプ面20Fに形成された追加の第2の側部突出部分20B4を有することができる。
【0081】
クランプ20は、ガイド構成部20A6を備えることができる。本例におけるガイド構成部は、側部くぼみ、後部くぼみ、側部くぼみのピボット突出部および後部くぼみのピボット突出部(20A2、20A3、20A4、20A5)を備えることができる。
【0082】
クランプ貫通孔20Cは、縦長になることができる。この縦長部分は、上部と底部クランプ面(20H、201)の間を延びる寸法に沿ったものになることができる。クランプ貫通孔20Cは、内部クランプ表面20C1を備えることができる。
【0083】
内部クランプ表面20C1は、クランプ固定セクション20C2およびクランプ解除セクション20C3を備えることができる。
【0084】
クランプ固定セクション20C2は、後部主要クランプ面20Eより前部主要クランプ面20Dの近くにあることができる。クランプ固定セクション20C2は、その第1と第2の端部(20C4A、20C4B)の間を延びる平坦領域20C4と、平坦領域20C4の第1の端部20C4Aから延びるクランプショルダ当接領域20C5と、平坦領域20C4の第2の端部20C4Bからクランプショルダ当接領域20C5へと、長手方向軸Aから径方向外向きの方向に成長しながら延びるクランプ成長パターン領域20C6とを備えて形成され得る。
【0085】
平坦領域20C4は、中央カム部分18Cの最大半径R4に対する直径に対応する半径の大きさを有することができる。平坦領域20C4は、上部クランプ面20Hより底部クランプ面20Iの近くに配置され得る。
【0086】
クランプ成長パターン領域20C6は、可変の直径を有する。可変の直径は、成長パターンをたどる。成長パターンは、らせん形状を形成することができる。らせん形状は、アルキメデスらせんになることができる。
【0087】
クランプ解除セクション20C3は、前部主要クランプ面20Dより後部主要クランプ面20Eの近くにあることができる。クランプ解除セクション20C3は、クランプ突出部20C7を備えることができる。
【0088】
クランプ突出部20C7は、径方向内向きの方向にクランプ貫通孔20C内へと延びることができる。クランプ突出部20C7は、上部クランプ面20Hの近位にある、内部クランプ表面20C1の一部分から延びることができる。クランプ突出部20C7は、内部クランプ表面20C1から距離が増大するにつれてサイズが減少する先細形状を有することができる。クランプ突出部20C7は、前部主要クランプ面20Dの方向に向く前部表面20C7Aと、後部主要クランプ面20Eの方向に向く後部表面20C7Bと、クランプ貫通孔20C内への径方向内向きの方向に向く底部表面20C7Cとを備えることができる。
【0089】
図7Aから7Dに注目すると、切削インサート12がより詳細に示される。切削インサート12は、割り出し可能なインサートになることができ、成形プレスによってまたは射出成形、次いで炭化粉末の焼結によって製造され得る。切削インサート12は、第1および第2の端部(12A、12B)と、その間を延びる中央部分12Cと、上側および下側表面(12D、12E)とを有することができる。切削インサート12は縦長になることができ、このとき長手方向切削インサート軸Aは、第1および第2の端部(12A、12B)を介してその中心を通って延びている。横断切削インサート軸Aは、中央部分12Cの中心を通って延びることができ、長手方向切削インサート軸Aに対して垂直に配向され得る。図7の平面図に見られるように、切削インサート12は、横断方向に延びる横方向側部表面12Nによって連結された、対向する、ほぼ直線の長手方向側部表面12Mの対を有する。図示する実施形態では、横方向側部表面12Nの各々は、長手方向切削インサート軸Aの近位で角度付けされる。
【0090】
切削インサート12は、上側と下側表面(12D、12E)の間を延び、これら表面に対して開口する切削インサート貫通孔28を備えて形成され得る。切削インサート貫通孔28は、長手方向切削インサート軸Aと平行に延びる、対向する第1および第2の長手方向壁(12F、12G)と、長手方向切削インサート軸Aに対して垂直に延びる対向する第1および第2の横断壁(12H、12I)との間に配置される。
【0091】
各々の横断壁(12H、12I)は、隆起した切削コーナ(12H1、12I1)が、他の横断壁(12H1、12I1)の隆起した切削コーナに対して対角方向に反対側にある状態で形成され得る。
【0092】
下側表面12Eは、平坦になることができる。
【0093】
平面図では、切削インサート貫通孔28は、矩形形状を有することができる。切削インサート貫通孔28が、第1および第2の長手方向壁(12F、12G)と、第1および第2の横断壁(12H、12I)との各々の内面(12F1、12G1、12H1、12I1)間にさらに画定され得る。したがって、第1および第2の長手方向壁(12F、12G)は、長手方向切削インサート軸Aに対して、切削インサート貫通孔28と共通の長さおよび軸方向位置で延びる。異なるように述べると、第1および第2の長手方向壁(12F、12G)の各々は、内面(12H2、12I2)が長手方向切削インサート軸Aと交差する軸方向場所内に画定される。切削インサート12の残りは、第1および第2の横断壁(12H、12I)によって構成され得る。
【0094】
第1および第2の長手方向壁(12F、12G)の内面(12F1、12G1)の各々は、突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)を備えて形成され得る。各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、長手方向切削インサート軸Aと平行の方向に縦長になることができる。各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、上側表面12Dから離間され得る。各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、これが下側表面12Eに近付くにつれて、インサート軸Aにも近付くように傾斜され得る。各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)の上側当接表面(12F3、12G3)は、上側表面12Dの方向に向くことができる。各々の突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)は、クランプ固定機構16の全体クランプ固定力に単独で耐えるように構成され得る。そのような構成は、それぞれの突起するクランプ固定リップ(12F2、12G2)のサイズ設定によるものになり得る。突起するクランプ固定リップ(12G2)の離間されて置かれたクランプ係合点が、(12G2A、12G2B)として指定されて示される。各々の突起するクランプ固定リップ(12G2、12F2)が、そのようなクランプ係合点を有することができることが認識されよう。第1および第2の長手方向壁(12F、12G)の内面(12F1、12G1)は、長手方向壁(12F、12G)の対向する外面(12F4、12G4)と平行になることができる。
【0095】
長手方向切削インサート軸Aに対して垂直に測定された、各々の長手方向壁(12F、12G)の断面積Cは、長手方向切削インサート軸Aに沿って各々の軸方向場所において同じになることができる。長手方向壁(12F、12G)の断面は、その構造強さを低下させ得るくぼみを無しにすることができる。
【0096】
第1および第2の横断壁(12H、12I)の内面(12H2、12I2)は、少なくとも上側表面12Dの近位では平坦になることができる。第1および第2の横断壁(12H、12I)の各々の内面(12H2、12I2)は、上側表面12Dを向く表面を有する突起するクランプ固定リップを無しにすることができる。第2の横断壁(12I)の内面(12I2)上のクランプ係合点は、(12I2A)として指定されて示されている。内面(12I2)上のクランプ係合点は、第1の長手方向壁(12F)より第2の長手方向壁(12G)の近くにある。第1の横断壁(12H)もまた、そのようなクランプ係合点を有することもできることが認識されよう。
【0097】
切削インサート12は、両方の軸AおよびAに対して垂直である切削インサート軸Aの周りで180°の回転対称を有することができる。図示する実施形態では、切削インサート12は、片面式であり(依然として割り出し可能であるが)、その上側および下側表面(12D、12E)は似ていない形状を有し、下側表面(12D)だけが着座に適しており、一方で上側表面(12D)だけには切れ刃が設けられる。
【0098】
次に図8Aを参照すると、クランプ固定機構16が、クランプ固定位置に示されており、切削インサート12を刃部14に対してしっかりと保持している。
【0099】
詳細に述べるために、クランプ本体部分20Aは、刃部孔24の内側に配設される。
【0100】
カムシャフト18は刃部14内に配設され、このとき第1のカム端部18Aはカム開口部26内に配設され、第2のカム端部18Bはカムくぼみ14D内に配設され、中央カム部分18Cはクランプ貫通孔20Cを通って延びている。
【0101】
クランプ固定位置に到達するために、カムシャフト18は、工具受け入れくぼみ18A4内に挿入された工具(図示せず)によって時計周り方向に回転されている。そのような回転中、カム成長パターン領域18C4は、クランプ20の平坦領域20C4と係合して、その下向きの動作を引き起こす。カムシャフト18の回転は、カム成長パターン領域18C4の最大半径が平坦領域20C4と係合し、それと接触することによって捕捉されることにより、停止され得る。
【0102】
図4Aを簡単に参照すると、カム成長パターン領域18C4と平坦領域20C4の係合は、着座領域(26E、26F)に対する第1のカム端部18Aのわずかに上方向のレバー作用を引き起こし得る。着座領域(26E、26F)は、外部寸法MC1の大きさより小さい(または半径R3の大きさの二分の一の)距離の大きさを有する制限された部分36を有するので、第1のカム端部18Aは、両方の領域(26E、26F)と係合する。
【0103】
単一の着座領域とは対照的に、複数の着座領域の考えられる利点は、カムシャフト18の望ましくない回転が防がれ得ることである。各々の着座領域(26E、26F)を最上部の中心点26Jから離間して鋭角で配置することにより、図示する例となる実施形態に関しては最適な結果がもたらされると考えられるが、他の位置もまた可能である。
【0104】
図8Aを参照すると、クランプ突出部20C7は、クランプ解除セクション18A6の中央部分18A8内へと延び、切削作動中、刃部14からのカムシャフト18の望ましくない飛び出しを、その前部表面20C7Aと中央部分18A8の接触によって防止することができる。
【0105】
クランプ20からのカムシャフト18の望まれる挿入および取り出しは、クランプ突出部20C7と、クランプ突出部の一部分を中に受け入れるようにサイズ設定された切欠部18A5(図5C)を位置合わせし、クランプ突出部(20C7)のその部分をその中で移動させることによって実施され得る。
【0106】
切欠部18A5は、クランプ解除セクション18A6の第1および第2の端部から円周方向に離間されて(図5C)、クランプ固定位置またはクランプ解除位置にあるときのカムシャフト18の望ましくない飛び出しを防止することができることが認識されよう。
【0107】
カムシャフト18の一方方向の回転が、クランプ20の、刃部孔24内への下向きの線形動作を引き起こすことをさらに留意されたい。図6Bおよび7Aも参照すると、側部くぼみ20A2によって許容される、側部ピボット突出部20A3周りの枢動移動は、側部突出部分20B3が切削インサート12の内面12I2と係合することを可能にする。同様に、側部くぼみ20A2によって許容される、後部ピボット突出部20A5周りの枢動移動は、離間された突出部分(図6Aの20B1、20B2)の両方が、切削インサート12の上側当接表面12G3と係合することを可能にする。
【0108】
したがって、クランプ20は、3点で切削インサート12と係合するように構成され得ることが理解されよう。特に、クランプ20の3つの突出部分(20B1、20B2、20B3)の各々は、切削インサート12のクランプ係合点(12G2A、12G2B、12I2A)の1つとそれぞれ係合するように構成される。
【0109】
そのような配置は、切削インサート12がポケットを出ることができる方向とは反対の方向に切削インサート12をクランプ固定することができる。回転式工具10である本例では、この配置は、工具10の回転中、切削インサート12上にかけられた遠心力に対抗することができる。クランプ20の移動は、切削インサート12上に着座表面14Cを押し付ける力を直接かけることができる。このクランプ固定位置は、クランプ20と、刃部14の壁(14A、14B)から離間された切削インサートの部分との間の接触を無しにすることができる。
【0110】
次に図8Bを参照すると、クランプ解除位置に到達するために、カムシャフト18は反時計周り方向に回転されており、クランプ本体部分20Aは、刃部孔24から部分的に突起している。クランプ突出部20C7の底部表面20C7Cとクランプ解除セクション18A6の中央部分18A8との係合は、クランプ20の上方向の動作を引き起こす。カムシャフト18の回転は、カムシャフトのカムショルダ当接領域18C3(図5D)と、クランプのクランプショルダ当接領域20C5(図6B)との当接によって停止され得る。
【0111】
とりわけ、クランプ貫通孔20Cの縦長形状は、そこを通ってカムシャフト18がクランプ固定位置およびクランプ解除位置の両方において延びたままになることを可能にする。その結果、カムシャフト18は、クランプ20の動作を移動および捕捉するように機能させることができ、このときこれらの2つの機能の1つに対して追加の要素は必要とされない。
【0112】
クランプ解除位置に動かされた後、側部突出部分20B3および離間された突出部分(20B1、20B2)は、もはや切削インサート12とは係合せず、切削インサート12は、こうして刃部14から取り外され得る。
【0113】
クランプ固定機構16の可能な利点は、これが、クランプ固定位置およびクランプ解除位置の両方に動かされ、このときカムシャフト18およびクランプ20の両方は、クランプ固定部分14に依然として固定されていることである。
【0114】
切削インサート12は割り出し可能であることができ、切削インサート12の他の上側当接表面12F3によるクランプを可能にすることにさらに留意されたい。
【0115】
クランプ固定セクションおよび/またはクランプ解除セクション(18A6、18C1、20C2、20C3)の漸進的ならせん形状は、クランプ固定機構16の非意図的なクランプ解除を防止することができる。
【0116】
カム開口部26は、それへのアクセスを容易にすることを可能にするために刃部14から外向きに径方向に向けられ得、それによって工具受け入れくぼみ18A4の摩耗を低減することができる。
【0117】
切削インサート12および/またはその貫通孔28の縦長形状は、小さい直径または幅の工具10を利用することを可能にする。
【0118】
特許請求の範囲は、特有の非限定的な実施形態を説明する目的で上記で使用された特有の軸の名称に限定されてはならないことが理解されよう。したがって、たとえば、上記で説明された例は回転式工具のものであるが、本出願の特許請求の範囲が回転式工具に明示的に限定されない場合、いわゆる回転軸Aは、この特許請求の範囲においては中央軸として、詳細には回転に関連しないものとして使用され得る。同様に、カムシャフトAの長手方向軸もまた、カムシャフトが縦長であるなどとして特許請求の範囲において定義されない場合は中央軸になることもできる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B