特許第5961693号(P5961693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961693ブルクホルデリア(Burkholderia)属の単離細菌株及びそれに由来する殺有害生物性代謝物の製剤及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961693
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ブルクホルデリア(Burkholderia)属の単離細菌株及びそれに由来する殺有害生物性代謝物の製剤及び使用
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/40 20060101AFI20160719BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20160719BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20160719BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20160719BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20160719BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20160719BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20160719BHJP
   A01N 43/76 20060101ALI20160719BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20160719BHJP
   A01N 63/02 20060101ALI20160719BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20160719BHJP
   C12P 13/00 20060101ALI20160719BHJP
   C12P 7/62 20060101ALI20160719BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20160719BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
   A01N37/40
   A01P7/04
   A01P3/00
   A01P5/00
   A01P7/02
   A01P13/00
   A01N43/90 105
   A01N43/90 106
   A01N43/76
   A01N43/16 A
   A01N43/90 101
   A01N63/02 P
   C12P1/04 ZZNA
   C12P13/00
   C12P7/62
   A01C1/08
   !C12N1/20 A
   !C12N1/20 E
【請求項の数】4
【全頁数】85
(21)【出願番号】特願2014-528424(P2014-528424)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公表番号】特表2014-527069(P2014-527069A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012050807
(87)【国際公開番号】WO2013032693
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】61/528,149
(32)【優先日】2011年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/528,153
(32)【優先日】2011年8月27日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】NRRL  NRRL B-50319
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510022440
【氏名又は名称】マローネ バイオ イノベーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アソルカー,ラトナカー
(72)【発明者】
【氏名】コイヴネン,マルヤ
(72)【発明者】
【氏名】マローネ,パメラ
【審査官】 坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06441034(US,B1)
【文献】 特開平03−176401(JP,A)
【文献】 特開2007−045728(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0207604(US,A1)
【文献】 米国特許第05902595(US,A)
【文献】 特開昭60−231604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
C12P
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺藻、殺草、又は殺虫性の組成物であって、
(A)ブルクホルデリア属の種A396(NRRL受託番号B−50319)の単離株と、
(B)C1〜C8パラベンと、
(C)C2〜C17アルコールと
を含有する組成物。
【請求項2】
前記C1〜C8パラベンは、0.01〜5%の量で存在し、
前記C2〜C17アルコールは、0.001〜10%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
C1〜C8パラベンを得るための方法であって、
(A)ブルクホルデリア属の種A396(NRRL受託番号B−50319)の単離株を含有する組成物を用意することと、
(B)C2〜C17アルコールを用意することと、
(C)前記C1〜C8パラベンを生成するのに十分な時間及び温度で、(A)の前記組成物及び(B)の前記アルコールをインキュベートすることと、
(D)前記C1〜C8パラベンを単離することと
を具備する方法。
【請求項4】
前記C1〜C8パラベンは、ブチルパラベン、ヘキシルパラベン、及びオクチルパラベンから選択される、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
哺乳動物、魚、及び鳥などの脊椎動物に対する既知の病原性は有さないが、植物、藻類、昆虫、真菌、クモ形類動物(ダニなど)、及び線虫に対する殺有害生物活性を有するブルクホルデリア属(Burkholderia)の種、並びに、前記種を含む製剤及び組成物が本明細書において提供される。さらに、前記種の培養物に由来する天然産物、製剤、及び組成物、並びに、前記ブルクホルデリア(Burkholderia)及び/又は前記天然産物を使用して藻類及びクモ形類動物(ダニなど)を制御する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
天然産物は、微生物(microbe)、植物、及び他の生物により産生される物質である。微生物の天然産物は、化学的多様性を生み出す豊かな源となっており、医薬目的での天然産物の利用には長い歴史がある。そのような化合物の1つが、クロモバクテリウム(Chromobacterium)から単離されたFR901228であり、抗菌剤及び抗腫瘍剤として有用であることが見出されている(例えば、Uedaら、米国特許第7,396,665号を参照のこと)。
【0003】
しかし、微生物により産生される二次代謝物が農業用途における雑草及び有害生物の制御に有用であることも、首尾よく見出されている(例えば、Nakajimaら、1991;Dukeら、2000;Lydon及びDuke、1999;Gerwickら、米国特許第7,393,812号を参照のこと)。微生物の天然産物は、農業用殺虫剤への開発も首尾よく行われている(例えば、Salamaら、1981;Thompsonら、2000;Kriegら、1983を参照のこと)。時には、そのような天然産物は、化学的殺有害生物剤と組み合わされている(例えば、Gottlieb、米国特許第4,808,207号を参照のこと)。
【0004】
殺ダニ類剤(acaricide)
殺ダニ類剤は、ダニを殺す化合物(殺ダニ剤(miticide))及びマダニを殺す化合物(殺マダニ剤(ixodicide))である。このクラスの殺有害生物剤は大規模であり、例としては、抗生物質、カルバマート、ホルムアミジン系殺ダニ類剤、ピレトロイド、ダニ成長制御剤、及び有機リン系殺ダニ類剤が挙げられる。化学的殺有害生物剤以外にも、珪藻土及び脂肪酸を使用してダニを制御することができる。珪藻土及び脂肪酸は、典型的には、角皮を崩壊させることで作用し、これによりダニを完全に乾燥させる。加えて、一部の精油(ペパーミント油など)も、ダニを制御するために使用される。多種多様な公知の殺ダニ類剤化合物があるにもかかわらず、ダニは、農業において未だに深刻な問題であり、その理由は、ダニが作物に与える損傷にある。ダニは、1シーズンの間に数世代を経ることができ、このため、使用される殺ダニ類剤製品に対する抵抗性を急速に発達させることが容易である。したがって、新たな標的部位及び新規の作用様式を有する新たな殺有害生物剤製品が、決定的に重要なものとして必要とされている。
【0005】
殺藻剤
藻類には、多くの形態がある。藻類としては、(1)微視的な単細胞藻、毛に似た糸状藻、薄板状に成長する藻類、及び、植物のような外見の大型藻、(2)一部のサンゴ、アネモネ、及び他の固着性無脊椎動物の一番外の外皮(「皮膚」)又はカルシウム殻の内側で生息する、褐虫藻と呼ばれる藻類、(3)水槽のパネル表面で成長することのある非常に除去しづらい小型の緑色の斑点で、同じく藻類ではなく珪藻又は放散虫のコロニー(硬質の殻を有する微視的な単細胞の動物)であり、そのマトリックス中に藻類が取り込まれているものが挙げられる。
【0006】
相当期間にわたり容器中で保持された小量の水中での藻類の成長は、かなりの程度になる可能性があり、このことは、極めて望ましくない。結果として、藻類は、水ろ過器具中のフィルターの目詰まり、溜め水の望ましくない臭い及び外見、溶存酸素の枯渇、並びに魚及び甲殻類の窒息死の原因となる可能性がある。水中に存在する他に、藻類は、外気及び光に曝露される工業材料、例えば、鉱物基材表面の有機フィルム形成剤含有コーティング、織物の仕上剤、木部塗料、さらにはプラスチック製の材料の中にも存在することがある。
【0007】
藻類の制御は、生物学的制御、機械的制御、物理的制御、及び化学的制御という4つのカテゴリーに分けることができる。いくつかの関連のある事実が、藻類の制御のすべての方法に当てはまる。例えば、サザエ、一部のギンポ、一部のクロハギは、中でも良好な刈取食者(grazer)である。マキガイは、最も広く用いられる清掃動物であり、一般に最良の選択肢である。国によっては、ウニ、小型ヤッコ(dwarf angel)の使用を好むようである。前者は、あまりに容易に死に、また、装飾物をあちこちに動かしてしまい、後者は、高価な無脊椎動物を食べて問題になることがある。他の方法としては、機能的なプロテインスキマーが挙げられ、オゾン及び紫外線による滅菌装置の有無は問わない。このような物理的フィルターは、水が循環されるので、藻類が触れるとこれを除去及び破壊し、栄養分の酸化を助ける。抗生物質を使用することもできる。しかし、抗生物質は、症状のみを処理するものであり、藻類の問題の(1つ又は複数の)原因に対処することにはならない。その要素は、水系のバランスが崩れる一因となる可能性がある。銅は、通常は硫酸銅溶液の形態で、殺藻剤並びに一般的な動物流行性寄生生物の予防剤として用いられている。この金属は、治療及び隔離用のタンク、浸漬容器(dip)、並びに魚のみのアレンジメント(arrangement)において有用であるが、すべての生命体、特に魚以外のものにとって、残留性且つ毒性を有する。
【0008】
ブルクホルデリア(Burkholderia)
ブルクホルデリア(Burkholderia)属は、β−プロテオバクテリア綱であり、多様な生態学的ニッチに住む40を超える種を含む(Compantら、2008)。ブルクホルデリア属(Burkholderia)の細菌種は、土壌及び根圏に遍在する生物である(Coenye及びVandamme、2003;Parke及びGurian-Sherman、2001)。伝統的に、ブルクホルデリア属(Burkholderia)は、植物病原菌として公知であり、B.セパシア(B. cepacia)は、タマネギの疾患の原因となる病原菌として発見及び同定された最初のものである(Burkholder、1950)。ブルクホルデリア属(Burkholderia)のいくつかの種は、その植物宿主との間に有益な相互作用を発展させている(例えば、Cabballero-Melladoら、2004;Chenら、2007を参照のこと)。ブルクホルデリア属(Burkholderia)の一部の種は、日和見性のヒト病原菌であることも見出されている(例えば、Cheng及びCurrie、2005、並びに、Niermanら、2004を参照のこと)。加えて、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の一部の種は、生体制御用の製品としての潜在能力を有することが見出されている(例えば、Burkheadら、1994;Knudsenら、1987;Jansiewiczら、1988;Gougeら、米国特許出願第2003/0082147号;Parkeら、米国特許第6,077,505号;Casidaら、米国特許第6,689,357号;Jeddelohら、WO2001055398;Zhangら、米国特許第7,141,407号を参照のこと)。この属のうち一部の種は、汚染された土壌又は地下水を除染するバイオレメディエーションにおいて効果を発揮している(例えば、Leahyら、1996を参照のこと)。さらに、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の一部の種は、タンパク質分解活性、脂肪分解活性、及び溶血活性を有するさまざまな細胞外酵素、並びに、毒素、抗生物質、及びシデロフォアを分泌することが見出されている(例えば、Ludovicら、2007;Nagamatsu、2001を参照のこと)。
【0009】
PCT/US2011/026016には、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種、詳細にはブルクホルデリア(Burkholderia)A396、及び、前記種に由来し、脊椎動物に対する既知の病原性は有さず、植物、昆虫、真菌、及び線虫に対する活性を有する化合物が開示されている。
【0010】
オキサゾール、チアゾール、及びインドール
オキサゾール、チアゾール、及びインドールは、植物、藻類、海綿、及び微小生物(microorganism)に広く分布している。多数の天然産物が、5員のオキサゾール核/部分、チアゾール核/部分、及びインドール核/部分のうち1つ又は複数を含有する。このような天然産物は、実証可能な治療価値を有する広範な生物活性を呈する。例えば、広く処方されている抗癌薬であるブレオマイシンA(Tomohisaら)は、DNAの酸化的分解をもたらし、ビチアゾール部分を使用してその標的DNA配列と結合する(Vanderwallら、1997)。チアゾリン含有ペプチド抗生物質であるバシトラシン(Mingら、2002)は、C55−バクトプレノールピロホスファート(C55-bactoprenolpyrophosphate)との複合体化により、細菌細胞壁の新たな生合成を阻止する。チアンガゾール(Kunzeら、1993)は、縦に並んだ1個のオキサゾール及び3個のチアゾリンを含有し、抗ウイルス活性を呈する(Jansenら、1992)。また他のオキサゾール/チアゾール含有天然産物、例えばチオストレプトン(Andersonら、1970)及びGE2270A(Selvaら、1997)は、細菌のタンパク質合成における翻訳段階を阻害する。微小生物からは、インドール骨格を有する1000種を超えるアルカロイドが報告されている。これらの化合物の3分の1は、インドールがトリプトファンに由来する、質量が500Daを超えるペプチドである。残りの3分の2の構造的な多様度はより高く、その生物活性は、抗微生物活性、抗ウイルス活性、細胞傷害活性、殺虫活性、抗血栓活性、又は酵素阻害活性を含め、より広範囲にわたるようである。
【発明の概要】
【0011】
以下の:
(a)配列番号8、11、及び12に記載する配列と少なくとも99.5%の同一性を有する順方向配列と、配列番号9、10、13〜15と少なくとも99.5%の同一性を有する逆方向配列とを含む16rRNA遺伝子配列を有すること、
(b)殺有害生物活性、とりわけ、殺草活性、殺藻活性、殺ダニ類活性、殺虫活性、殺真菌活性、及び殺線虫活性を有すること、
(c)(i)(a)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約525〜555であり、(b)H NMRの値が、6.22、5.81、5.69、5.66、5.65、4.64、4.31、3.93、3.22、3.21、3.15、3.10、2.69、2.62、2.26、2.23. 1.74、1.15、1.12、1.05、1.02であり、(c)13C NMRの値が、172.99、172.93、169.57、169.23、167.59、130.74、130.12、129.93、128.32、73.49、62.95、59.42、57.73、38.39、38.00、35.49、30.90、30.36、29.26、18.59、18.38、18.09、17.93、12.51であり、(c)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約10〜15分であるという特性を有する化合物、
(ii)少なくとも1個のインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基及び少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、及び少なくとも3個の酸素、及び2個の窒素を含む、オキサゾリル−インドール構造を有する化合物、
(iii)少なくとも1個のベンジル部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基及び少なくとも1個のアミド基、少なくとも15個の炭素、及び少なくとも2個の酸素、及び2個の窒素を含む、オキサゾリル−ベンジル構造を有する化合物、
(iv)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース(tetrahydropyranose)部分、及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、及び少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素を有する化合物
からなる群から選択される化合物のうち少なくとも1つを産生すること、並びに、
(d)哺乳動物、鳥、及び魚などの脊椎動物に対して非病原性(非感染性)であること、
(e)カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム、及び、スルファメトキサゾールとトリメトプリムとの組合せに対して感受性があること、並びに、
(f)16:0、シクロ17:0、16:0 3−OH、14:0、シクロ19:0ω8c、18:0の脂肪酸を含有すること
という特徴を有する、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)ではなく、ブルクホルデリア・プランタリ(Burkholderia plantari)ではなく、ブルクホルデリア・グラジオリ(Burkholderia gladioli)ではない、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の単離株が本明細書において提供される。
【0012】
特定の一実施形態において、この株は、ブルクホルデリア(Burkholderia)A396株(NRRL受託番号B−50319)の同定可能な特徴を有する。
【0013】
特定の一実施形態において、第1の物質は、上清である。またさらなるより特定の一実施形態において、上清は、無細胞上清である。
【0014】
さらに、
(a)場合により殺有害生物剤として使用するための、前述のブルクホルデリア(Burkholderia)株に由来する純粋な培養物、細胞画分、若しくは上清、又はそれらの抽出物からなる群から選択される第1の物質と、
(b)場合により、担体、希釈剤、表面活性物質(surfactant)、アジュバント、又は化学的若しくは生物学的殺有害生物剤(例えば、殺藻剤、殺ダニ類剤、殺草剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、とりわけ、殺藻剤又は殺ダニ類剤(例えば、殺ダニ剤))のうち少なくとも1つと
を含む組合せ、とりわけ組成物又は製剤が提供される。関連する一態様において、本明細書では、前記組合せ又は組成物でコーティングされた種子が提供される。
【0015】
特定の一実施形態において、本組成物又は製剤は、
(a)場合により殺有害生物剤として使用するための、前述のブルクホルデリア(Burkholderia)株に由来する純粋な培養物、細胞画分、若しくは上清、又はそれらの抽出物からなる群から選択される第1の物質と、
(b)16:0、シクロ17:0、16:0 3−OH、14:0、シクロ19:0ω8c、18:0の脂肪酸、C1〜C7パラベン、C2〜C17アルコール、及び界面活性剤(detergent)と、
(c)場合により、別の物質であって、殺有害生物剤(例えば、殺真菌剤、殺虫剤、殺藻剤、殺ダニ類剤(例えば、殺ダニ剤)、殺草剤、殺線虫剤)である前記他の物質と
を含んでもよい。
【0016】
特定の一実施形態において、C1〜C7脂肪族のパラベンは約0.01〜5%の量で存在し、C2〜C17アルコールは約0.00〜10%の量で存在し、界面活性剤は約0.001〜10%の量で存在する。
【0017】
さらに、前述の製剤に由来する殺有害生物物質、前記殺有害生物物質(subtance)と別の化学的又は生物学的な殺有害生物剤とを含む組合せ、及び、これらの殺有害生物物質を作製するための方法が提供される。特定の一実施形態において、これらの殺有害生物物質は、
(a)殺有害生物特性、とりわけ、殺草特性、殺虫特性、殺線虫特性、及び殺真菌特性を有し、
(b)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約210〜240、より特定すれば222であり、
(e)H NMRのδ値が、7.90、6.85、4.28、1.76、1.46、1.38、1.37、0.94であり、
(d)13C NMRのδ値が、166.84、162.12、131.34(2C)、121.04、114.83(2C)、64.32、31.25、28.43、25.45、22.18、12.93であり、
(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約15〜20分、中でも特に約17分、さらにその中でも特に約17.45分であり、
(f)13C NMRスペクトルが、1個のメチル、5個のメチレン炭素、4個のメチン、及び3個の第四級炭素に起因すると考えられる13個の別個の炭素シグナルを呈し、
(g)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C1318であり、
(h)UV吸収帯が、約210〜450nmの間、中でもとりわけ約248nmにある
という特徴のうち少なくとも1つを含む。
【0018】
さらに、以下に示す構造:
【0019】
【化1】
(式中、
Xは、独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここでRは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル(oxyacyl)、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物が提供される。
【0020】
とりわけ、この物質は、以下の構造:
【0021】
【化2】
(式中、
Xは、独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここでRは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有し得る。
【0022】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0023】
【化3】
を有するブチルパラベン(parben)である。
【0024】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0025】
【化4】
を有するヘキシルパルベンである。
【0026】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0027】
【化5】
を有するオクチルパルベンである。
【0028】
前述の製剤に由来する殺有害生物物質(複数可)は、
(a)前述の製剤を用意することと、
(b)用意された該製剤を、該殺有害生物物質(複数可)を生成させるのに十分な時間にわたり(例えば、約1日〜約6カ月の間)、十分な温度(例えば、約3℃〜約50℃の間)でインキュベート又は貯蔵することと、
(c)該殺有害生物物質を単離することと
により得ることができる。
【0029】
関連する一態様において、有害生物、限定されるものではないが例えば昆虫、真菌、雑草、線虫、クモ形類動物、藻類、とりわけ、藻類、クモ形類動物(例えば、ダニ、マダニ)の増殖及び/又は成長を調節するための方法であって、有害生物の増殖及び/又は成長の調節が望まれる場所に、ある量の
(I)(a)前述のブルクホルデリア(Burkholderia)株に由来する実質的に純粋な細胞培養物、細胞画分、上清、若しくはそれらの抽出物からなる群から選択される少なくとも1つ若しくは複数の物質、及び(b)場合により、殺有害生物剤である別の物質、又は
(II)前記場所での有害生物の増殖及び/又は成長を調節するのに有効な、前述の前記製剤に由来する、組合せ、組成物、又は製剤、又は殺有害生物物質
を施用することを含む方法が開示される。
【0030】
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種から場合により得ることが可能な又はそれに由来する単離化合物、又は代替的に、多様な有害生物、とりわけ植物の植物病原性有害生物を制御するために使用できるこれらの化合物を産生する能力がある生物が本明細書において開示され、そのような有害生物の例としては、限定されるものではないが、昆虫、線虫、細菌、真菌が挙げられる。これらの化合物は、殺草剤、殺ダニ類剤、又は殺藻剤として使用することもできる。
【0031】
とりわけ、該単離殺有害生物化合物としては、限定されるものではないが、
(A)(i)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約525〜555であり、(ii)H NMRの値が、6.22、5.81、5.69、5.66、5.65、4.64、4.31、3.93、3.22、3.21、3.15、3.10、2.69、2.62、2.26、2.23、1.74、1.15、1.12、1.05、1.02であり、(iii)13C NMRの値が、172.99、172.93、169.57、169.23、167.59、130.74、130.12、129.93、128.32、73.49、62.95、59.42、57.73、38.39、38.00、35.49、30.90、30.36、29.26、18.59、18.38、18.09、17.93、12.51であり、(iv)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約10〜15分である、という特性を有する化合物、
(B)少なくとも1個のインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基及び少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、及び少なくとも3個の酸素、及び2個の窒素を含む、オキサゾリル−インドール構造を有する化合物、
(C)少なくとも1個のベンジル部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基及び少なくとも1個のアミド基、少なくとも15個の炭素、及び少なくとも2個の酸素、及び2個の窒素を含む、オキサゾリル−ベンジル構造を有する化合物、
(D)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、及び少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素を有する化合物、並びに
(E)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び少なくとも1個の窒素を有する化合物
を挙げることができる。
【0032】
特定の一実施形態において、本単離化合物としては、限定されるものではないが、
(A)少なくとも1個のインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、少なくとも3個の酸素、及び少なくとも2個の窒素を含む、オキサゾリル−インドール構造を有し、(i)分子量が約275〜435であること、(ii)H NMRのδ値が、8.44、8.74、8.19、7.47、7.31、3.98、2.82、2.33、1.08であること、(iii)13C NMRのδ値が、163.7、161.2、154.8、136.1、129.4、125.4、123.5、123.3、121.8、121.5、111.8、104.7、52.2、37.3、28.1、22.7、22.7であること、(iv)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系及びUV検出210nmで使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約10〜20分であること、(v)UV吸収帯が、約226nm、275nm、327nmにあること
のうち少なくとも1つを有する化合物、
(B)少なくとも1個のベンジル部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基及び少なくとも1個のアミド基、少なくとも15個の炭素、及び少なくとも2個の酸素、少なくとも2個の窒素を含む、オキサゾリル−ベンジル構造と、(i)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約240〜290であること、(ii)H NMRのδ値が、約7.08、7.06、6.75、3.75、2.56、2.15、0.93、0.93であること、(iii)13C NMRのδ値が、158.2、156.3、155.5、132.6、129.5、129.5、127.3、121.8、115.2、115.2、41.2、35.3、26.7、21.5、21.5であること、(iv)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約6〜15分であること、及び(v)UV吸収帯が、約230nm、約285nm、約323nmにあること
という特徴のうち少なくとも1つとを有する化合物、
(C)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素と、(i)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約530〜580であること、(ii)H NMRのδ値が、6.40、6.39、6.00、5.97、5.67、5.54、4.33、3.77、3.73、3.70、3.59、3.47、3.41、2.44、2.35、2.26、1.97、1.81、1.76、1.42、1.37、1.16、1.12、1.04であること、(iii)13C NMRのδ値が、173.92、166.06、145.06、138.76、135.71、129.99、126.20、123.35、99.75、82.20、78.22、76.69、71.23、70.79、70.48、69.84、60.98、48.84、36.89、33.09、30.63、28.55、25.88、20.37、18.11、14.90、12.81、9.41であること、(iv)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系及びUV検出210nmで使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約7〜12分であること、(v)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C2845NO10であること、(vi)UV吸収帯が、約210〜450nmの間にあること
という特徴のうち少なくとも1つとを含む非エポキシド化合物、
(D)(i)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び少なくとも1個の窒素、(ii)174.03、166.12、143.63、137.50、134.39、128.70、126.68、124.41、98.09、80.75、76.84、75.23、69.87、69.08、68.69、68.60、48.83、41.07、35.45、31.67、29.19、27.12、24.55、19.20、18.95、13.48、11.39、8.04の13C NMRのδ値、(iii)C2843NOの分子式、及び(a)約6.41、6.40、6.01、5.97、5.67、5.55、4.33、3.77、3.75、3.72、3.64、3.59、3.54、3.52、2.44、2.34、2.25、1.96、1.81、1.76、1.42、1.38、1.17、1.12、1.04のH NMRのδ値、(b)水/アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムで約6〜15分の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間、(c)約210〜450nmの間、中でもとりわけ約234nmにあるUV吸収帯
のうち少なくとも1つを含む、化合物
を挙げ得る。
【0033】
より特定の一実施形態においては、限定されるものではないが、
(A)構造##STR001##
【0034】
【化6】
を有する化合物、又は殺有害生物剤的に許容される(pesticidally acceptable)その塩若しくは立体異性体(steriosomer)(式中、Mは、1、2、3、又は4であり;nは、0、1、2、又は3であり;p及びqは、独立に、1又は2であり;Xは、O、NH、又はNRであり;R1、R2、及びR3は、同じであり又は異なり、独立に、アミノ酸側鎖部分又はアミノ酸側鎖誘導体であり、Rは、短鎖アルキル、アリール、又はアリールアルキル部分である)、
(B)構造##STR002##
【0035】
【化7】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−−O、−−NR、又は−−Sであり、ここで、Rは、−−H又はC〜C10アルキルであり;R、R、及びmは、それぞれ独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、「m」は、オキサゾール環上のどこに位置していてもよい)
を有する化合物、
(C)構造##STR002a##
【0036】
【化8】
(式中、Rは、−−H又はC〜C10アルキルであり;Rは、アルキルエステルである)、
を有する化合物、
(D)構造##STR003##
【0037】
【化9】
(式中、X及びYは、それぞれ独立に、−−OH、−−NR、又は−−Sであり、ここで、Rは、−−H又はC〜C10アルキルであり;R、R、及びm、すなわちオキサゾール環上の置換基は、それぞれ独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物、
(E)構造##STR003a##
【0038】
【化10】
(式中、Rは、−−H又はC〜C10アルキルである)
を有する化合物、
(F)構造##STR004a##
【0039】
【化11】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここで、Rは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物、
(G)構造##STR004b##
【0040】
【化12】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物、
(H)構造##STR004c##
【0041】
【化13】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R11は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物、
(I)構造##STR005##
【0042】
【化14】
(式中、X及びYは、それぞれ独立に、−−OH、−−NR、又は−−Sであり、ここで、R、Rは、それぞれ独立に、−−H、アルキル(例えば、C〜C10アルキル)、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物、
(J)構造##STR006a##
【0043】
【化15】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここで、Rは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物
などの化合物が提供される。
【0044】
最も特定的な一実施形態において、本化合物としては、限定されるものではないが、以下を挙げ得る:
(i)テンプラゾール(templazole)A、
(ii)テンプラゾールB、
(iii)テンプラアミド(templamide)A、
(iv)テンプラアミドB、
(v)FR901228、
【0045】
【化16】
(xl)FR901465、
(xli)F8H17、画分F8由来の活性化合物であり、陽イオン化ESIモードでは1081.75(M+H)に分子イオンピークが見られたことに基づいて分子量1080が割り当てられ、陰イオン化ESIMSではベースピークが1079.92に見られたことにより、さらに確認された。この化合物は、234nmでUV吸収を示した。
【0046】
関連する一態様において、有害生物(例えば、藻類、クモ形類動物、線虫、昆虫、真菌)の増殖及び/又は成長を調節するための方法であって、有害生物(例えば、藻類、クモ形類動物、線虫、昆虫、真菌)の増殖及び/又は成長の調節が望まれる場所に、前記場所での有害生物の増殖及び/又は成長を調節するのに有効な量の
(I)(a)前述の単離化合物、及び(b)場合により、殺藻剤である別の物質、又は
(II)前述の組成物若しくは組合せ

施用することを含む方法が開示される。
【0047】
関連する別の態様において、藻類の増殖及び/若しくは成長を調節する、並びに/又は植物における有害生物の侵襲を調節するための方法、並びに/又は、単子葉、カヤツリグサ科、若しくは双子葉の雑草の発芽及び/若しくは成長を調節するための方法であって、藻類の増殖及び/若しくは成長の調節、並びに/又はクモ形類動物の侵襲の調節、並びに/又は前記雑草の発芽及び/若しくは成長の調節が望まれる場所に、前記場所での、前記藻類の増殖及び/若しくは成長、並びに/又は有害生物の侵襲、並びに/又は、単子葉、カヤツリグサ科、若しくは双子葉の雑草の発芽若しくは成長を調節するのに有効な量の
(A)前述の製剤、又はそれに由来する殺有害生物剤的に有効な物質、
(B)前述の組合せ、
(C)テンプラアミドA、
(D)テンプラアミドB、
(E)FR901465、
(F)FR901228
を施用することを含む方法が開示される。線虫及び/又は昆虫の侵襲は、テンプラアミドA、テンプラアミドB、FR901465、及び/又はFR901228を用いて調節される。より特定の一実施形態において、昆虫、特に、オンコペルツス属(Oncopeltus)の種(例えば、オンコペルツス・ファスシアツス(O. fasciatus))、及び/又はマキバカスミカメ属(Lygus)の種、及び/又は自由生活性線虫、及び/又は寄生性線虫(例えば、サツマイモネコブセンチュウ(M. incognita))の侵襲が調節される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】ブルクホルデリア(Burkholderia)A396対ブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)ATCC17616の成長速度の比較を示すグラフである。
図2】製剤化されたMBI−206由来の画分を得るために用いられる一般的なスキームを示す図である。
図3】MBI−206培養物由来の画分及び化合物を得るために用いられる一般的なスキームを示す図である。
図4】ミルクウィードバグ(milkweed bug)(オンコペルツス・ファスシアツス(Oncopeltus fasciatus)に対する、試験した化合物の殺虫(吸汁毒性の(sucking))活性を示すグラフである。
図5】リグス・ヘスペルス(Lygus Hesperus)に対する純粋化合物の殺虫(食毒性の(feeding))活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
ここまでに記載した本組成物及び方法は、多様な改変形及び代替的な形態を受け入れる余地があるが、例示的な実施形態をここで詳細に記載することとする。但し、本発明を、開示する特定の形態に限定する意図はなく、逆に、意図するところは、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲内にあるすべての改変形、等価物、及び代替物を網羅することであると理解されるべきである。
【0050】
値の範囲が示される場合、当該範囲の上限値と下限値の間に挟まれている、文脈によりそうでないことが明確に述べられていない限りは下限値の単位の10分の1までの各値、及び、記載された当該範囲にある一切の他の記載された又は挟まれている値は、当該範囲に含まれる、ということは理解される。より小さい範囲も含まれる。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値も、当該範囲に含まれ、記載された範囲において特に除外される上下限値があれば、それに支配される。
【0051】
特に定義しない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実行又は試験においては、本明細書に記載する方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料も使用できるが、好ましい方法及び材料を次に記載する。
【0052】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「and」、及び「the」には、文脈によりそうでないことが明確に述べられていない限り、複数への言及が含まれることに注意しなければならない。
【0053】
本明細書において定義するように、「〜に由来する」は、特定の原材料から直接単離され若しくは得られたものであること、又は代替的に、特定の原材料から単離され若しくは得られる物質若しくは生物の同定可能な特徴を有していることを意味する。
【0054】
本明細書において定義するように、「単離化合物」は、他の化合物又は物質を本質的に含んでおらず、例えば、分析方法、限定されるものではないが例えばクロマトグラフィー法、電気泳動法により決定された場合、少なくとも約20%純粋、好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは約60%純粋、さらにより好ましくは約80%純粋、最も好ましくは約90%純粋、さらに最も好ましくは約95%純粋である。
【0055】
本明細書において使用する場合、用語「アルキル」は、1〜約12個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指し、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。
【0056】
本明細書において使用する場合、「置換アルキル」は、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、スルホニル、スルホンアミド、スルフリルなどから選択される1つ又は複数の置換基をさらに持つアルキル基を指す。
【0057】
本明細書において使用する場合、「アルケニル」は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有し、炭素原子を約2から12個までの範囲で有する直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基を指し、「置換アルケニル」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つアルケニル基を指す。
【0058】
本明細書において使用する場合、「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、炭素原子を約2から12個までの範囲で有する直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基を指し、「置換アルキニル」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つアルキニル基を指す。
【0059】
本明細書において使用する場合、「アリール」は、炭素原子を6から14個までの範囲で有する芳香族基を指し、「置換アリール」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つアリール基を指す。
【0060】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアリール」は、環構造の一部として1つ又は複数のヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)を含有し、炭素原子を3から14個までの範囲で有する芳香環を指し、「置換ヘテロアリール」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つヘテロアリール基を指す。
【0061】
本明細書において使用する場合、「アルコキシ」は、−−O−アルキル部分(ここで、アルキルは、先に定義したとおりである)を指し、「置換アルコキシ」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つアルコキシル基を指す。
【0062】
本明細書において使用する場合、「チオアルキル」は、−−S−アルキル部分(ここで、アルキルは、先に定義したとおりである)を指し、「置換チオアルキル」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つチオアルキル基を指す。
【0063】
本明細書において使用する場合、「シクロアルキル」は、炭素原子を約3から8個までの範囲で含有する、環を含有するアルキル基を指し、「置換シクロアルキル」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つシクロアルキル基を指す。
【0064】
本明細書において使用する場合、「複素環」は、1つ又は複数のヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)を環構造の一部として含有し、炭素原子を3から14個までの範囲で有する環状の(すなわち、環を含有する)基を指し、「置換複素環」は、先に記載したとおりの1つ又は複数の置換基をさらに持つ複素環基を指す。
【0065】
本明細書において使用する場合、「藻類」は、多様な、主として水生生物、真核生物、光合成生物の一切を指し、大きさは、単細胞の形態から巨大なケルプまで多岐にわたる。この用語は、さらに、地球上の光合成の多くを担う光合成原生生物を指すことがある。分類群としては、藻類は多系統群である。したがって、この用語は、以下の分類群、すなわち、アルベオラータ、クロララクニオン藻(chloraraachniophyte)、クリプト藻、ユーグレナ藻、灰色藻、ハプト藻、紅藻、例えば紅色植物門、ストラメノパイル、及び緑色植物亜界に由来する藻類であると考えられる一切の原生生物を指し得る。この用語は、真核生物においては、緑藻、黄緑藻、褐藻、及び紅藻を指す。この用語は、さらに、原核生物においては、シアノバクテリアを指すこともある。この用語は、さらに、緑藻、藍藻、及び紅藻を指す。
【0066】
本明細書において使用する場合、「殺藻剤」は、静藻及び/又は殺藻活性を有する1つ又は複数の薬剤、化合物、及び/又は組成物を指す。
【0067】
本明細書において使用する場合、本明細書において使用する「殺藻性の」は、藻類を殺すことを意味する。
【0068】
本明細書において使用する場合、本明細書において使用する「静藻性の」は、藻類の成長を阻害することを意味し、一定の条件下では可逆性である場合がある。
【0069】
ブルクホルデリア(Burkholderia)株
本明細書において記載するブルクホルデリア(Burkholderia)株は、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)菌群ではなく、ブルクホルデリア・プランタリ(Burkholderia plantari)ではなく、ブルクホルデリア・グラジオリ(Burkholderia gladioli)ではない、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種で、鳥、哺乳動物、及び魚などの脊椎動物に対して非病原性のものである。この株は、当技術分野において公知の手順及びLorchら、1995により記載された手順を用いて土壌試料から単離し得る。ブルクホルデリア(Burkholderia)株は、多くの異なるタイプの土壌又は成長培地から単離し得る。試料は、次いで、ポテトデキストロース寒天(PDA)上で平板培養する。この細菌は、グラム陰性菌であり、丸い不透明なクリーム色のコロニーを形成するが、このコロニーは、時間が経つと、色はピンク及びピンクがかった褐色に、また、粘液状又はぬるぬるした状態に、変化する。
【0070】
コロニーは、ポテトデキストロース寒天プレートから単離し、以下の実施例に記載する本発明のブルクホルデリア(Burkholderia)株の生物学的、遺伝学的、生化学的、及び/又は酵素的な特徴を有するコロニーについてスクリーニングする。とりわけ、ブルクホルデリア(Burkholderia)株は、クラスター(clustal)分析により決定される、配列番号8、11、及び12に記載する配列と少なくとも約99.5%、より好ましくは約99.9%、最も好ましくは約100%同一である順方向配列と、配列番号9、10、13、14、及び15に記載する配列と少なくとも約99.5%、より好ましくは約99.9%、最も好ましくは約100%同一である順方向配列とを含む16S rRNA遺伝子を有する。さらに、以下に記載するように、このブルクホルデリア(Burkholderia)株は、以下に記載するように、殺有害生物活性、とりわけ、殺ウイルス活性、殺草活性、殺細菌(germicidal)活性、殺真菌活性、殺線虫活性、殺菌活性、及び殺虫活性、より特定すれば、殺草活性、殺藻活性、殺ダニ類活性、殺虫活性、殺真菌活性、及び殺線虫活性を有し得る。このブルクホルデリア(Burkholderia)株は、哺乳動物、鳥、及び魚などの脊椎動物に病原性を有さない。
【0071】
加えて、ブルクホルデリア(Burkholderia)株は、少なくとも、本開示において記載する殺有害生物化合物を産生する。
【0072】
ブルクホルデリア(Burkholderia)株は、カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム、及び、スルファメトキサゾールとトリメトプリムとの組合せに対して感受性があり、16:0、シクロ17:0、16:0 3−OH、14:0、シクロ19:0、18:0の脂肪酸を含有する。
【0073】
このブルクホルデリア(Burkholderia)株は、ブルクホルデリア(Burkholderia)A396(NRRL受託番号B−50319)の同定可能な特徴を有する微小生物を、ポテトデキストロース寒天(PDA)上、又は、組成既知の炭素源、例えばグルコース、マルトース、フルクトース、ガラクトース、及び、組成未知の窒素源、例えばペプトン、トリプトン、ソイトン、及びNZアミンを含有する発酵培地中で培養することにより、得ることができる。
【0074】
殺藻及び殺ダニ類化合物
本明細書において開示される殺藻及び殺ダニ類化合物は、(a)新規のブルクホルデリア属(Burkholderia)の種、例えばA396から入手可能である、(b)とりわけ、最も一般的な農業害虫に対して毒性を有すること、(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約525〜555、より特定すれば540であること、(d)H NMRの値が、6.22、5.81、5.69、5.66、5.65、4.64、4.31、3.93、3.22、3.21、3.15、3.10、2.69、2.62、2.26、2.23、1.74、1.15、1.12、1.05、1.02であること、(d)13C NMRの値が、172.99、172.93、169.57、169.23、167.59、130.74、130.12、129.93、128.32、73.49、62.95、59.42、57.73、38.39、38.00、35.49、30.90、30.36、29.26、18.59、18.38、18.09、17.93、12.51であること、(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約10〜15分、中でも特に約12分、さらにその中でも特に約12.14分であること、(f)H、13C NMR及びLC/MSのデータの解釈により決定される分子式が、C2436であること、(g)13C NMRスペクトルが、5個のメチル炭素、4個のメチレン炭素、9個のメチン炭素、6個の第四級炭素を含む全24個の炭素シグナルを示していること、並びに(g)H NMRスペクトルが、3個のアミノプロトン[4.63、4.31、3.93]、及び1個のエステルカルビノールプロトン[5.69]を表す典型的なデプシペプチドの特徴を示していること、という特性を有し得る。特定の一実施形態において、本化合物は、構造##STR001##:
【0075】
【化17】
、又は、殺有害生物剤的に許容されるその塩若しくは立体異性体(式中、Mは、1、2、3、又は4であり;nは、0、1、2、又は3であり;p及びqは、独立に、1又は2であり;Xは、O、NH、又はNRであり;R1、R2、及びR3は、同じであり又は異なり、独立に、アミノ酸側鎖部分又はアミノ酸側鎖誘導体であり、Rは、短鎖アルキル、アリール、又はアリールアルキル部分である)
を有する。
【0076】
さらなるより特定の一実施形態において、本化合物は、FR901228:
【0077】
【化18】
の構造を有する。
【0078】
##STR002##:
【0079】
【化19】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−−O、−−NR、又は−−Sであり、ここで、Rは、−−H又はC〜C10アルキルであり;R、R、及びmは、それぞれ独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
に記載する化合物が本明細書において提供される。
【0080】
さらなる別の特定の一実施形態において、##STR002##系統の化合物は、(vi)〜(xix):
【0081】
【化20】
に記載する化合物であってもよい。
【0082】
これらは、天然の材料、又は、商業的供給源から若しくは化学合成により得られる化合物のいずれかに由来する。##STR002##系統の化合物の天然源としては、限定されるものではないが、微小生物、藻類、及び海綿が挙げられる。より特定の一実施形態において、##STR002##系統の化合物を含んでいる微小生物としては、限定されるものではないが、以下が挙げられ、又は代替的に、##STR002##系統の化合物は、以下に由来するものであってもよい:ストレプトベルチシリウム・ワクスマニイ(Streptoverticillium waksmanii)(化合物vi)(Umeharaら、1984)、ストレプトミセス・ピンプリナ(Streptomyces pimprina)(化合物vii)(Naiket al.、2001)、ストレプトベルチシリウム・オリボレチクリ(Streptoverticillium olivoreticuli)(化合物viii、ix、x)(Koyama Y.ら、1981)、ストレプトミセス属の種(Streptomyces sp)(化合物xi、xii)(Watabeら、1988)、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)(化合物xiii、xiv)(Pettitら、2002)などの種。##STR002##系統の化合物は、さらに、藻類、限定されるものではないが例えば、紅藻(化合物xv)(N’Diayeら、1996)、紅藻アヤニシキ(Martensia fragilis)(化合物xvi)(Takahashi S.ら、1998)、ジアゾナ・キネンシス(Diazona chinensis)(化合物xvii及びxviii)(Lindquist N.ら、1991)、ロドフィコタ・ハラルジオフィルム種(Rhodophycota haraldiophyllum sp)(化合物xix)(Guellaら、1994)に由来するものであってもよい。
【0083】
さらに、##STR003##:
【0084】
【化21】
(式中、X及びYは、それぞれ独立に、−−OH、−−NR、又は−−Sであり、ここで、Rは、−−H又はC〜C10アルキルであり;R、R、及びm、すなわちオキサゾール環上の置換基は、それぞれ独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
が提供される。
【0085】
さらに、##STR005##
【0086】
【化22】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に、−−OH、−−NR、又は−−Sであり、ここで、R、R、は、それぞれ独立に、−−H、アルキル(例えば、C〜C10アルキル)、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである]
が提供される。
【0087】
特定の一実施形態において、##STR005##系統の化合物、例えば、以下に記載するxx〜xxiii:
【0088】
【化23】
の化合物は、天然源又は商業的供給源に由来してもよく、化学合成により誘導されてもよい。
【0089】
##STR005##系統の化合物の天然源としては、限定されるものではないが、植物、サンゴ、微小生物、及び海綿が挙げられる。微小生物としては、限定されるものではないが、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)(化合物xx)(Hirotaら、1978)、ストレプトミセス・アルブス(Streptomyces albus)(化合物xxi)(Wernerら、1980)が挙げられる。STR004系統の化合物は、さらに、藻類、限定されるものではないが例えばハラルジオフィルム属(Haraldiophyllum)の種(化合物xxii(Guellaら、2006)、及び紅藻(化合物xxiii)(N’Diayeら、1994)に由来するものであってもよい。
【0090】
一実施形態において、本化合物は、微小生物、とりわけブルクホルデリア属(Burkholderia)の種に由来するものであってもよく、又はそれらから入手可能であり、少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、及び少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素を含む構造を有するものとして特徴付けられる。本化合物は、
(a)殺有害生物特性、とりわけ、殺線虫特性、殺真菌特性、殺虫特性、殺ダニ類特性、殺藻特性、及び殺草特性を有し、
(b)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約530〜580、より特定すれば555であり、
(c)H NMRのδ値が、6.40、6.39、6.00、5.97、5.67、5.54、4.33、3.77、3.73、3.70、3.59、3.47、3.41、2.44、2.35、2.26、1.97、1.81、1.76、1.42、1.37、1.16、1.12、1.04であり、
(d)13C NMRのδ値が、173.92、166.06、145.06、138.76、135.71、129.99、126.20、123.35、99.75、82.20、78.22、76.69、71.23、70.79、70.48、69.84、60.98、48.84、36.89、33.09、30.63、28.55、25.88、20.37、18.11、14.90、12.81、9.41であり、
(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約7〜12分、中でも特に約10分、さらにその中でも特に約10.98分であり、
(f)13C NMRスペクトルが、6個のメチル、4個のメチレン炭素、及び、5個のspを含む13個のメチン、4個の第四級炭素に起因すると考えることができる28個の別個の炭素シグナルを呈し、
(g)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C2845NO10であり、
(h)UV吸収帯が、約210〜450nmの間、中でもとりわけ約234nmにある
という特徴のうち少なくとも1つをさらに含む。
【0091】
さらに、構造##STR004a##:
【0092】
【化24】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここで、Rは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物が提供される。
【0093】
特定の一実施形態において、本化合物は、##STR004b##:
【0094】
【化25】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、##STR004a##について先に定義したとおりである)
に記載する構造を有する。
【0095】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0096】
【化26】
を有するテンプラアミドAである。
【0097】
別の実施形態において、式##STR004c##:
【0098】
【化27】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR11は、##STR004a##について先に定義したとおりである)
を有する化合物が提供される。
【0099】
別の実施形態において、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種に由来し、少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、及び少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素を含む構造及び殺有害生物活性を有すると特徴付けられ得る化合物が提供される。本化合物は、
(a)殺有害生物特性、とりわけ、殺虫特性、殺真菌特性、殺線虫特性、殺ダニ類特性、殺藻特性、及び殺草特性を有すること、
(b)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約520〜560、とりわけ537であること、
(c)H NMRのδ値が、約6.41、6.40、6.01、5.97、5.67、5.55、4.33、3.77、3.75、3.72、3.64、3.59、3.54、3.52、2.44、2.34、2.25、1.96、1.81、1.76、1.42、1.38、1.17、1.12、1.04であること、
(d)13C NMRのδ値が、174.03、166.12、143.63、137.50、134.39、128.70、126.68、124.41、98.09、80.75、76.84、75.23、69.87、69.08、68.69、68.60、48.83、41.07、35.45、31.67、29.19、27.12、24.55、19.20、18.95、13.48、11.39、8.04であること、
(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約6〜15分、中でも特に約8分であること、とりわけ、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約8〜15分、中でも特に約11分、さらにその中でも特に約11.73分であること、
(f)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C2843NOであること、
(g)UV吸収帯が、約210〜450nm、中でもとりわけ約234nmにあること
という特徴のうち少なくとも1つをさらに含む。
【0100】
特定の一実施形態において、本化合物は、構造##STR006a##:
【0101】
【化28】
(式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここで、Rは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する。
【0102】
特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0103】
【化29】
を有する。
【0104】
別の実施形態において、式##STR006b##:
【0105】
【化30】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR11は、##STR006a##について先に定義したとおりである)
を有する化合物が提供される。
【0106】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0107】
【化31】
を有するテンプラアミドBである。
【0108】
また別の特定の実施形態において、本化合物は、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種に由来し、少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、及び少なくとも8個の酸素、及び少なくとも1個の窒素を含む構造を有すると特徴付けられ得る。本化合物は、
(a)殺有害生物特性、とりわけ、殺虫特性、殺真菌特性、殺ダニ類特性、殺線虫特性、殺藻特性、及び殺草特性を有すること、
(b)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約510〜550、とりわけ約523であること、
(c)H NMRのδ値が、約6.41、6.40、6.01、5.98、5.68、5.56、4.33、3.77、3.75、3.72、3.65、3.59、3.55、3.50、2.44、2.26、2.04、1.96、1.81、1.75、1.37、1.17、1.04であること、
(d)13C NMRのδ値が、172.22、167.55、144.98、138.94、135.84、130.14、125.85、123.37、99.54、82.19、78.28、76.69、71.31、70.13、69.68、48.83、42.52、36.89、33.11、30.63、25.99、21.20、20.38、18.14、14.93、12.84であること、
(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用した逆相C−18 HPLCカラムでは約6〜15分、中でも特に約8分であること、とりわけ、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約8〜15分、中でも特に約10分、さらにその中でも特に約10.98分であること、
(f)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C2741NOであること、
(g)UV吸収帯が、約210〜450nm、中でもとりわけ約234nmにあること
という特徴のうち少なくとも1つをさらに含む。
【0109】
より特定の一実施形態において、本化合物は、シュードモナス属(Pseudomonas)の第2663号種(Nakajimaら、1996)という細菌の培養ブロスから以前に単離され、以下の構造:
【0110】
【化32】
を持ち抗癌活性を有することが報告されていた、既知の化合物FR901465である。
【0111】
さらなる別の特定の一実施形態において、##STR006a##系統の化合物は、xxiv〜xxxixに記載する化合物であってもよい。これらは、天然の材料、又は、商業的供給源から若しくは化学合成により得られる化合物のいずれかに由来する。##STR006a##系統の化合物の天然源としては、限定されるものではないが、微小生物、藻類、及び海綿が挙げられる。より特定の一実施形態において、##STR006a##系統の化合物を含んでいる微小生物は、シュードモナス属(Pseudomonas)の第2663号種(Nakajimaら、1996)(化合物xxiv〜xxvi)、合成され抗癌化合物として特許が付与されているFR901464の合成類似体(xxvii〜xxxix)(Koideら、米国特許出願第2008/0096879 A1号を参照のこと)などの種に由来するものであってもよい。
【0112】
さらに、
(a)殺有害生物特性、とりわけ、殺草特性、殺虫特性、殺線虫特性、及び殺真菌特性を有し、
(b)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により決定される分子量が、約210〜240、より特定すれば222であり、
(e)H NMRのδ値が、7.90、6.85、4.28、1.76、1.46、1.38、1.37、0.94であり、
(d)13C NMRのδ値が、166.84、162.12、131.34(2C)、121.04、114.83(2C)、64.32、31.25、28.43、25.45、22.18、12.93であり、
(e)高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が、水:アセトニトリル(CHCN)をグラジエント溶媒系(0〜20分は90〜0%水性CHCN、20〜24分は100%CHCN、24〜27分は0〜90%水性CHCN、27〜30分は90%水性CHCN)で流速0.5mL/分及びUV検出210nmの条件にて使用した逆相C−18 HPLC(Phenomenex、Luna 5μ C18(2)100A、100×4.60mm)カラムでは約15〜20分、中でも特に約17分、さらにその中でも特に約17.45分であり、
(f)13C NMRスペクトルが、1個のメチル、5個のメチレン炭素、4個のメチン、及び3個の第四級炭素に起因すると考えられる13個の別個の炭素シグナルを呈し、
(g)ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により決定された分子式が、C1318であり、
(h)UV吸収帯が、約210〜450nmの間、中でもとりわけ約248nmにある
という特徴のうち少なくとも1つを含む、前述の製剤により作製される殺有害生物化合物が提供される。
【0113】
さらに、以下に示す構造
【0114】
【化33】
(式中、
Xは、独立に、−O、−NR、又は−Sであり、ここでRは、H又はC〜C10アルキルであり;R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである)
を有する化合物が提供される。
【0115】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0116】
【化34】
を有するブチルパルベンである。
【0117】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0118】
【化35】
を有するヘキシルパルベンである。
【0119】
より特定の一実施形態において、本化合物は、以下の構造:
【0120】
【化36】
を有するオクチルパルベンである。
【0121】
また別の実施形態において、本化合物は、分子量が約1080のF7H18である。
【0122】
組成物
本明細書において開示されるブルクホルデリア(Burkholderia)株により産生される、実質的に純粋な培養物、細胞画分、又は上清、及び化合物(そのすべてを代替的に「活性成分(複数可)」と呼ぶ)は、殺有害生物組成物に製剤化し得る。特定の一実施形態において、上清は、無細胞上清であってもよい。
【0123】
前述の活性成分(複数可)は、任意の様式で製剤化できる。非限定的な製剤例としては、限定されるものではないが、乳剤(EC、emulsifiable concentrate)、水和剤(WP、wettable powder)、液剤(SL、soluble liquid)、エアゾル剤、超低体積の濃厚溶液剤(ULV、ultra-low volume concentrate solution)、水溶剤(SP、soluble powder)、マイクロカプセル化(microencapsulation)、顆粒水和剤(water dispersed granule)、フロアブル剤(FL)、マイクロエマルション剤(ME)、ナノエマルション剤(NE)、粉剤(dust)、エマルション剤、液体剤(liquid)、フレーク剤(flake)などが挙げられる。本明細書に記載の任意の製剤において、活性成分の比率(%)は、0.01%〜99.99%の範囲内である。
【0124】
固体の組成物は、固体担体を殺有害生物化合物の溶液に懸濁させること、この懸濁液を穏やかな条件下、例えば、室温での蒸発、又は、65℃以下での真空蒸発で乾燥させることにより調製できる。代替的に、固体の組成物は、噴霧乾燥又は凍結乾燥により誘導してもよい。
【0125】
固体の組成物に言及する際、それには、物理的な形態、例えば、粉剤、ビーズ剤、粉末剤、微粒子剤、ペレット剤、錠剤、集塊剤(agglomerate)、顆粒剤、浮遊性固形剤(floating solid)、及び他の公知の固形製剤が含まれることは、当業者には理解されるべきである。当業者であれば、当業者に周知の方法を用いて、特定の固形製剤を所与の用途に向けて容易に最適化することができよう。
【0126】
本組成物は、前述のブルクホルデリア(Burkholderia)株に由来するゲルカプセル化された(gel-encapsulated)化合物を含んでもよい。そのようなゲルカプセル化された材料は、ゲル形成剤(例えば、ゼラチン、セルロース、又はリグニン)を殺藻化合物の溶液と混合し、該作用剤のゲル形成を誘導することにより調製できる。
【0127】
本組成物は、加えて、活性成分の乳化、分散、湿潤化、展着、統合、崩壊制御、安定化、及び流動性の改善、又は錆止めの目的に使用するための表面活性物質を含んでもよい。特定の実施形態において、表面活性物質は、好ましくはEPAリスト4Bに属する、非植物毒性の非イオン性表面活性物質である。別の特定の実施形態において、非イオン性表面活性物質は、ポリオキシエチレン(20)モノラウラートである。表面活性物質の濃度の範囲は、製剤全体の0.1〜35%の間であってもよく、好ましい範囲は、5〜25%である。分散乳化剤、例えば、非イオン性、陰イオン性、両性、及び陽イオン性の分散乳化剤の選定、及び用いる量は、組成物の性質、及び、分散乳化剤がこれらの組成物の分散を容易にする能力により決定される。
【0128】
前述の活性成分(複数可)を含有する組成物を、粉剤、顆粒剤、粉末水和剤(water dispersible powder)、水性分散剤、又は、有機液体を分散媒としたエマルション剤及び分散剤の形態で提供するために、そのような組成物中の担体又は希釈剤は、微粉化された固体、有機液体、水、湿潤化剤、分散化剤、加湿剤、若しくは乳化剤、又はこれらのうち任意の適当な組合せであってもよい。一般に、液体剤及び水和剤を調製する際、1つ又は複数の界面活性剤又は表面活性物質を含むコンディショニング剤は、活性材料、微小生物を含有する所与の組成物を水又は油に分散させるのに十分な量で存在する。
【0129】
これらの組成物は、液体担体を利用するスプレーとして施用できることから、多種多様な液体担体、例えば、水、有機溶媒、デカン、ドデカン、油、植物油、鉱油、アルコール、グリコール、ポリエチレングリコール、処理しようとする水に病原性細菌を差別的に分布させる薬剤、それらの組合せなど、及び、他に当業者に公知のものを使用できることが企図される。
【0130】
本発明の組成物は、活性成分(複数可)に有害ではない他の物質、例えば、アジュバント、表面活性物質、結合剤、安定化剤など、必要に応じて単独又は組合せのいずれかの形で、殺藻剤において一般に使用される物質をさらに含むことができる。
【0131】
前述の活性成分に感受性のある有害生物への影響を高める多様な添加物又は薬剤を添加して、その殺有害生物作用を強化することは、当業者には理解されよう。語句「活性成分の殺有害生物作用を強化する添加物」とは、有害生物、より特定すればダニに向けての該活性成分の効果を、前記添加物の不在下における該活性成分の殺有害生物効果と比較して高める任意の化合物、溶媒、試薬、物質、又は薬剤を意味する。いくつかの実施形態において、これらの添加物は、活性成分に対する特定の有害生物の感受性を高めるであろう。追加的な添加物としては、限定されるものではないが、感受性のある有害生物の生物学的防御性を弱める薬剤が挙げられる。そのような薬剤としては、NaCl及びCaClなどの塩を挙げることができる。
【0132】
本組成物は、別の微小生物及び/又は殺有害生物剤(例えば、殺線虫剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺草剤、殺藻剤、殺ダニ剤(aracicide))をさらに含んでもよい。微小生物としては、バチルス属(Bacillus)の種、シュードモナス(Pseudomonas)の種、ブレババチルス属(Brevabacillus)の種、レカニシリウム属(Lecanicillium)の種、アンペロミセス属(Ampelomyces)の種でないもの、シュードジマ属(Pseudozyma)の種、ストレプトミセス属(Streptomyces)の種、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種、トリコデルマ属(Trichoderma)の種、グリオクラジウム属(Gliocladium)の種に由来する薬剤を挙げることができるが、これらに限定されない。代替的に、このような薬剤は、殺真菌活性、殺草活性、殺ダニ類(aracidal)活性、殺藻活性、殺線虫活性、及び/又は殺虫活性を有する天然油又は油製品(例えば、パラフィン油、ティーツリー油、レモングラス油、クローブ油、シナモン油、柑橘油、ローズマリー油)であってもよい。
【0133】
本組成物は、とりわけ、殺虫剤をさらに含んでもよい。殺虫剤としては、アベルメクチン、バチルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、ニーム油及びアザジラクチン、スピノサド、クロモバクテリウム・スブツゲ(Chromobacterium subtsugae)、ユーカリ抽出物、昆虫病原性の細菌又は真菌、例えば、ビューベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、及びメタリジウム・アニソプリエ(Metarrhizium anisopliae)、並びに化学殺虫剤、限定されるものではないが例えば、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバマート、ピレトロイド、及びネオニコチノイドを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0134】
本組成物は、殺線虫剤をさらに含んでもよい。殺線虫剤としては、化学殺線虫剤、例えば、フェナミホス、アルジカルブ、オキサミル、カルボフラン、天然産物の殺線虫剤(neamticide)であるアベルメクチン、真菌であるペシロミセス・リラシナス(Paecilomyces lilacinas)及びムスコドル属(Muscodor)の種、細菌であるバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)及び他のバチルス属(Bacillus)の種、並びにパスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0135】
本組成物は、生物系殺真菌剤(biofungicide)、例えばR.サカリネンシス(R. sachalinensis)の抽出物(Regalia)、又は殺真菌剤をさらに含んでもよい。そのような殺真菌剤としては、限定されるものではないが、単一部位作用型の抗真菌剤が挙げられ、そのような薬剤としては、ベンズイミダゾール、脱メチル化阻害剤(DMI)(例えば、イミダゾール、ピペラジン、ピリミジン、トリアゾール)、モルホリン、ヒドロキシピリミジン、アニリノピリミジン、ホスホロチオラート、Qoi剤(quinone outside inhibitor)、キノリン、ジカルボキシイミド、カルボキシイミド、フェニルアミド、アニリノピリミジン、フェニルピロール、芳香族炭化水素、ケイ皮酸、ヒドロキシアニリド、抗生物質、ポリアミン、カラミン、フタルイミド、ベンゼノイド(キシリルアラニン(xylylalanine))を挙げることができるが、これらに限定されない。またさらなる一実施形態において、抗真菌剤は、イミダゾール(例えば、トリフルミゾール)、ピペラジン、ピリミジン、及びトリアゾール(例えば、ビテルタノール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、トリアジメホン、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、プロピコナゾール)からなる群から選択される脱メチル化阻害剤である。
【0136】
抗微生物剤は、さらに、ニトリル(例えば、クロロニトリル又はフルジオキソニル)、キノキサリン、スルファミド、ホスホナート、ホスファイト、ジチオカルバマート、クロルアルキルチオ(chloralkythio)、フェニルピリジンアミン、シアノアセトアミドオキシムからなる群から選択される複数部位作用型の非無機系の化学殺真菌剤であってもよい。
【0137】
本組成物は、当技術分野において公知の方法を用いて施用することができる。特に、これらの組成物は、植物又は植物部位に施用することができる。植物は、本明細書の文脈においては、すべての植物及び植物集団、例えば、望ましいものであるか否かによらず野生植物又は作物植物(天然に存在する作物植物を含む)を意味すると理解されたい。作物植物は、慣例的な植物育種法及び最適化法により、又はバイオテクノロジー的方法及び遺伝子工学的方法により、又はこれらの方法の組合せにより得ることができる植物であってもよく、そのような植物には、形質転換植物が含まれ、また、植物育種家の権利により保護されるものであるか否かによらず植物栽培品種が含まれる。植物部位は、地上及び地下にある、植物のすべての部位及び器官、例えば、新芽、葉、花、及び根を意味すると理解されたく、挙げることができる例は、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果物、種子、根、塊茎、及び根茎である。植物部位には、収穫された材料、並びに、栄養及び生殖に関わる繁殖材料、例えば、切り枝、塊茎、根茎、横枝、及び種子も含まれる。
【0138】
前述の組成物での植物及び植物部位の処理は、直接実施してもよく、又は、組成物を、その環境、生育地、若しくは保管空間に対して、例えば浸漬、スプレー、蒸散、煙霧、散布、塗布、注入により作用させることにより、実施してもよい。本組成物が種子に施用される場合、本組成物は、当技術分野において公知の方法を用いて、1層又は複数層のコートを使用した播種に先立ち、1層又は複数層のコートとして種子に施用してもよい。
【0139】
先述のように、本組成物は、殺草組成物であってもよい。本組成物は、1つ又は複数の殺草剤をさらに含んでもよい。殺草剤としては、生物系殺草剤(bioherbicide)及び/又は化学殺草剤を挙げることができるが、これらに限定されない。生物系殺草剤は、クローブ油、シナモン油、レモングラス油、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL−毒素、マヌカ油、レプトスペルモン、タクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、アスカウラトキシン(ascaulatoxin)、及びアスカウラトキシンアグリコンからなる群から選択してもよい。化学殺草剤としては、ジフルフェンゾピル及びその塩、ジカンバ及びその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S−メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、ピリミスルフロンメチル、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロンメチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップメチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ−p−エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップ、及びキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロンメチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロンメチル、ペンジメタリン、ビスピリバックナトリウム、カルフェントラゾンエチル、ベンタゾンナトリウム/アシフルオルフェンナトリウム、グリホサート、グルホシナート、及びオルトスルファムロンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0140】
殺草組成物は、発芽前用又は発芽後用の製剤として、液体又は固体の形態で施用し得る。
【0141】
発芽前用の乾燥製剤の場合、担体の顆粒サイズは、典型的に1〜2mm(直径)であるが、顆粒は、必要とされる地面の覆い方次第で、それより小さくても大きくてもよい。顆粒は、多孔性又は非多孔性の粒子を含んでもよい。
【0142】
発芽後用の製剤の場合、使用される製剤成分は、スメクタイト粘土、アタパルガイト粘土、及び類似の膨潤粘土、増粘剤、例えば、キサンタンガム、アラビアガム、及び他の多糖系増粘剤、並びに分散安定化剤、例えば非イオン性表面活性物質(例:ポリオキシエチレン(20)モノラウラート)を含有してもよい。
【0143】
特定の一実施形態において、本組成物は、活性成分に加え、別の微小生物及び/又は殺藻剤及び/又は殺ダニ類剤を含んでもよい。微小生物としては、バチルス属(Bacillus)の種、ブレビバチルス属(Brevibacillus)の種、及びストレプトミセス属(Streptomyces)の種に由来する薬剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0144】
本組成物は、また、前述のとおり、他の殺藻剤、例えば硫酸銅、ジコート、又はタクストミンAをさらに含むことができる殺藻組成物であってもよい。
【0145】
本組成物は、他の殺ダニ類剤、例えば、抗生物質、カルバマート、ホルムアミジン系殺ダニ類剤、ピレトロイド、ダニ成長制御剤、有機リン系殺ダニ類剤、及び珪藻土をさらに含むことができる殺ダニ組成物であってもよい。
【0146】
使用
本明細書において記載されるブルクホルデリア(Burkholderia)株に由来する組成物及び殺有害生物化合物は、殺有害生物剤として、とりわけ、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤、殺藻剤、殺ダニ類剤、及び殺草剤として使用し得る。
【0147】
特に、前述の方法を用いて制御し得る線虫としては、限定されるものではないが、寄生性線虫、例えば、ネコブセンチュウ、ワセンチュウ、刺毛センチュウ、ヤリセンチュウ、シストセンチュウ、及びネグサレセンチュウ(lesion nematode)、限定されるものではないが例えば自由生活性線虫、メロイドギン属(Meloidogyne)の種、ヘテロデラ属(Heterodera)の種、及びグロボデラ属(Globodera)の種、とりわけ、メロイドギン・インコグニータ(Meloidogyne incognita)(ネコブセンチュウ)、並びにグロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)及びグロボデラ・パイリダ(globodera pailida)(ジャガイモシストセンチュウ);ヘテロデラ・グリシネス(heterodera glycines)(ダイズシストセンチュウ);ヘテロデラ・シャクチイ(Heterodera schachtii)(テンサイシストセンチュウ);オリゴニクス・プラテンシス(Oligonychus pratensis)(バンクスグラスマイト(Banks grass mite));エリオフィエス・シノドニエンシス(Eriophyes cynodoniensis)(バミューダグラスマイト(Bermuda grass mite));クローバービラハダニ(Bryobia praetiosa)(クローバーマイト(Clover mite))、及びヘテロデラ・アベネ(heterodera avenae)(穀類シストセンチュウ)が挙げられる。
【0148】
本発明の方法により制御される植物病原性昆虫としては、限定されるものではないが、以下の目に属する昆虫が挙げられる:
(a)鱗翅目(Lepidoptera)、例えば、アクレリス属(Acleris)の種、アドキソフィエス属(Adoxophyes)の種、エゲリア属(Aegeria)の種、アグロチス属(Agrotis)の種、アラバマ・アルギラセエ(Alabama argillaceae)、アミロイス属(Amylois)の種、アンチカルシア・ゲンマタリス(Anticarsia gemmatalis)、アルキプス属(Archips)の種、アルギロテニア属(Argyrotaenia)の種、アウトグラファ属(Autographa)の種、アフリカズイムシ(Busseola fusca)、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、モモシンクイガ(Carposina nipponensis)、キロ属(Chilo)の種、コリストネウラ属(Choristoneura)の種、クリシア・アンビグエラ(Clysia ambiguella)、クナファロクロシス属(Cnaphalocrocis)の種、クネファシア属(Cnephasia)の種、コキリス属(Cochylis)の種、コレオフォラ属(Coleophora)の種、ケブカノメイガ(Crocidolomia binotalis)、クリプトフレビア・ロイコトレータ(Cryptophlebia leucotreta)、シジア属(Cydia)の種、ジアトレア属(Diatraea)の種、ジパロプシス・カスタネア(Diparopsis castanea)、エアリアス属(Earias)の種、エフェスチア属(Ephestia)の種、オイコスマ属(Eucosma)の種、ブドウホソハマキ(Eupoecilia ambiguella)、オイプロクチス属(Euproctis)の種、オイキソア属(Euxoa)の種、グラフォリタ属(Grapholita)の種、ヘジア・ヌビフェラナ(Hedya nubiferana)、ヘリオチス属(Heliothis)の種、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ロイコプテラ・シテラ(Leucoptera scitella)、リトコレチス属(Lithocollethis)の種、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、リマントリア属(Lymantria)の種、リオネチア属(Lyonetia)の種、マラコソマ属(Malacosoma)の種、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タバコスズメガ(Manduca sexta)、オペロフテラ属(Operophtera)の種、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、パンメネ属(Pammene)の種、パンデミス属(Pandemis)の種、パノリス・フランメア(Panolis flammea)、ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella)、フトリメア・オペルクレラ(Phthorimaea operculella)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、ピエリス属(Pieris)の種、コナガ(Plutella xylostella)、プライス属(Prays)の種、シルポファガ属(Scirpophaga)の種、セサミア属(Sesamia)の種、スパルガノチス属(Sparganothis)の種、スポドプテラ属(Spodoptera)の種、シナンテドン属(Synanthedon)の種、タウメトペア属(Thaumetopoea)の種、トルトリクス属(Tortrix)の種、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)、及びイポノモイタ属(Yponomeuta)の種、
(b)鞘翅目(Coleoptera)、例えば、アグリオテス属(Agriotes)の種、アントノムス属(Anthonomus)の種、アトマリア・リネアリス(Atomaria linearis)、ケトクネマ・チビアリス(Chaetocnema tibialis)、コスモポリテス属(Cosmopolites)の種、クルクリオ属(Curculio)の種、デルメステス属(Dermestes)の種、ジアブロチカ属(Diabrotica)の種、エピラクナ属(Epilachna)の種、エレムヌス属(Eremnus)の種、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、リソルホプトルス属(Lissorhoptrus)の種、メロロンタ属(Melolontha)の種、オリケフィルス属(Orycaephilus)の種、オチオリンクス属(Otiorhynchus)の種、フリクチヌス属(Phlyctinus)の種、ポピリア属(Popillia)の種、プシリオデス属(Psylliodes)の種、リゾペルタ属(Rhizopertha)の種、コガネムシ科(Scarabeidae)、シトフィルス属(Sitophilus)の種、シトトロガ属(Sitotroga)の種、テネブリオ属(Tenebrio)の種、トリボリウム属(Tribolium)の種、及びトロゴデルマ属(Trogoderma)の種;(c)直翅目(Orthoptera)、例えば、ブラッタ属(Blatta)の種、ブラッテラ属(Blattella)の種、グリロタルパ属(Gryllotalpa)の種、マデラゴキブリ(Leucophaea maderae)、トノサマバッタ属(Locusta)の種、ペリプラネタ属(Periplaneta)の種、及びシストセルカ属(Schistocerca)の種;(d)シロアリ目(Isoptera)、例えば、レチクリテルメス属(Reticulitermes)の種;(e)チャタテムシ目(Psocoptera)、例えば、リポセリス属(Liposcelis)の種;(f)シラミ亜目(Anoplura)、例えば、ヘマトピヌス属(Haematopinus)の種、リノグナツス属(Linognathus)の種、ペジクルス属(Pediculus)の種、ペンフィグス属(Pemphigus)の種、及びネアブラムシ属(Phylloxera)の種;(g)ハジラミ目(Mallophaga)、例えば、ダマリネア属(Damalinea)の種及びトリコデクテス属(Trichodectes)の種;(h)アザミウマ目(Thysanoptera)、例えば、フランクリニエラ属(Frankliniella)の種、ヘルシノツンリプス属(Hercinotnrips)の種、テニオトリプス属(Taeniothrips)の種、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、及びシルトトリプス・アウランチイ(Scirtothrips aurantii);(i)異翅目(Heteroptera)、例えば、シメクス属(Cimex)の種、ジスタンチエラ・テオブロマ(Distantiella theobroma)、ジスデルクス属(Dysdercus)の種、オイキスツス属(Euchistus)の種、オイリガステル属(Eurygaster)の種、レプトコリサ属(Leptocorisa)の種、ネザラ属(Nezara)の種、ピエスマ属(Piesma)の種、ロドニウス属(Rhodnius)の種、サールベルゲラ・シングラリス(Sahlbergella singularis)、スコチノファラ属(Scotinophara)の種、オンコペルツス属(Oncopeltus)の種、リギス属(Lygys)の種、及びトニアトーマ属(Tniatoma)の種;(j)同翅目(Homoptera)、例えば、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレイロデス・ブラッシケ(Aleyrodes brassicae)、アオニジエラ属(Aonidiella)の種、アブラムシ科(Aphididae)、アフィス属(Aphis)の種、アスピジオツス属(Aspidiotus)の種、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、セロプラステル属(Ceroplaster)の種、クリソムファルス・アオニジウム(Chrysomphalus aonidium)、オンシツマルカイガラムシ(Chrysomphalus dictyospermi)、ヒラタカタカイガラムシ(Coccus hesperidum)、エンポアスカ属(Empoasca)の種、エリオソマ・ラリゲルム(Eriosoma larigerum)、エリトロノイラ属(Erythroneura)の種、ガスカルジア属(Gascardia)の種、レオデルファクス属(Laodelphax)の種、ミズキカタカイガラムシ(Lecanium corni)、レピドサフェス属(Lepidosaphes)の種、マクロシフス属(Macrosiphus)の種、ミズス属(Myzus)の種、ネホテティクス属(Nephotettix)の種、ニラパルバタ属(Nilaparvata)の種、パラトリア属(Paratoria)の種、ペンフィグス属(Pemphigus)の種、プラノコッカス属(Planococcus)の種、シュードアウラカスピス属(Pseudaulacaspis)の種、シュードコッカス属(Pseudococcus)の種、プシラ属(Psylla)の種、プルビナリア・エチオピカ(Pulvinaria aethiopica)、クアドラスピジオツス属(Quadraspidiotus)の種、ロパロシフム属(Rhopalosiphum)の種、サイセチア属(Saissetia)の種、スカホイデウス属(Scaphoideus)の種、シザフィス属(Schizaphis)の種、シトビオン属(Sitobion)の種、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカントガリキジラミ(Trioza erytreae)、及びニセヤノネカイガラムシ(Unaspis citri);(k)ハチ目(Hymenoptera)、例えば、アクロミルメクス(Acromyrmex)、アッタ属(Atta)の種、セフス属(Cephus)の種、ジプリオン属(Diprion)の種、マツハバチ科(Diprionidae)、シマトウヒハバチ(Gilpinia polytoma)、ホプロカンパ属(Hoplocampa)の種、ラシウス属(Lasius)の種、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)、ネオジプリオン属(Neodiprion)の種、ソレノプシス属(Solenopsis)の種、及びベスパ属(Vespa)の種;(l)ハエ目(Diptera)、例えば、ヤブカ属(Aedes)の種、アンテリゴナ・ソッカタ(Antherigona soccata)、ビビオ・ホルツラヌス(Bibio hortulanus)、クロバエ(Calliphora erythrocephala)、セラチチス属(Ceratitis)の種、クリソミア属(Chrysomyia)の種、イエカ属(Culex)の種、クテレブラ属(Cuterebra)の種、ダクス属(Dacus)の種、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ファニア属(Fannia)の種、ガストロフィルス属(Gastrophilus)の種、グロシナ属(Glossina)の種、ヒポデルマ属(Hypoderma)の種、ヒッポボスカ属(Hyppobosca)の種、リリオミザ属(Liriomyza)の種、ルシリア属(Lucilia)の種、メラナグロミザ属(Melanagromyza)の種、ムスカ属(Musca)の種、エストルス属(Oestrus)の種、オルセオリア属(Orseolia)の種、オシネラ・フリト(Oscinella frit)、アカザモグリハナバエ(Pegomyia hyoscyami)、ホルビア属(Phorbia)の種、リンゴミバエ(Rhagoletis pomonella)、シアラ属(Sciara)の種、ストモキシス属(Stomoxys)の種、タバヌス属(Tabanus)の種、タニア属(Tannia)の種、及びチプラ属(Tipula)の種;(m)ノミ目(Siphonaptera)、例えば、セラトフィルス属(Ceratophyllus)の種、及びケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、並びに(n)シミ目(Thysanura)、例えば、セイヨウシミ(Lepisma saccharina)。本発明による活性成分は、さらに、アブラナ科の植物につくノミハムシ(フィロトレタ属(Phyllotreta)の種)、根食い虫(デリア属(Delia)の種)、キャベツシードポッドゾウムシ(cabbage seedpod weevil(ソイトリンクス属(Ceutorhynchus)の種)、並びに、油糧種子作物、例えば、キャノーラ(セイヨウアブラナ)、カラシ種子、及びそれらの雑種、またイネ及びトウモロコシにおいても、アブラムシを制御するために使用してもよい。特定の一実施形態において、昆虫は、スポドプテラ(Spodoptera)、より特定すれば、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、コナガ(Plutella xylostella)、又はオイシスツス属(Euschistus)の種に属するものであってもよい。
【0149】
本物質及び組成物は、単子葉の雑草、例えばカヤツリグサ及びイネ科の草、又は双子葉の雑草の発芽前又は発芽後に用いる製剤のいずれかの形態で、発芽を調節するためにも使用できる。特定の一実施形態において、雑草としては、アカザ属(Chenopodium)の種(例えば、アカザ(C. album))、アブチロン属(Abutilon)の種(例えば、イチビ(A. theophrasti))、ヒマワリ属(Helianthus)の種(例えば、ヒマワリ(H. annus))、ルドウィギア属(Ludwigia)の種(例えば、L.ヘキサペタラ(L. hexapetala))、ブタクサ属(Ambrosia)の種(例えば、A.アルテメシフォリア(A. artemesifolia))、アマランサス属(Amaranthus)の種(例えば、アオゲイトウ(A. retroflexus)、オオホナガアオゲイトウ(A. palmeri))、セイヨウヒルガオ属(Convolvulus)の種(例えば、セイヨウヒルガオ(C. arvensis))、イポモエ属(Ipomoeae)の種、アブラナ属(Brassica)の種(例えば、B.カベル(B. kaber))、ダイコン属(Raphanus)の種、タンポポ属(Taraxacum)の種(例えば、セイヨウタンポポ(T. officinale))、ヤグルマギク属(Centaurea)の種(例えば、C.ソルスチタリス(C. solstitalis))、イズハハコ属(Conyza)の種(例えば、アレチノギク(C. bonariensis))、アザミ属(Cirsium)の種、例えばセイヨウトゲアザミ(C. arvense))、レピジウム属(Lepidium)の種、ガリウム属(Gallium)の種、ナス属(Solanum)の種(例えば、イヌホオズキ(S. nigrum))、マルバ属(Malva)の種(例えば、ゼニバアオイ(M. neglecta))、カヤツリグサ属(Cyperus)の種(例えば、ハマスゲ(C. rotundus))、カタバミ属(Oxalis)の種、トウダイグサ属(Euphorbia)の種、シャジクソウ属(Trifolium)の種、ウマゴヤシ属(Medicago)の種、クロモ属(Hydrilla)の種、アカウキクサ属(Azolla)の種、メヒシバ属(Digitaria)の種(例えば、オニメヒシバ(D. sanguinalis))、エノコログサ属(Setaria)の種(例えば、キンエノコロ(S. lutescens))、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、スズメノチャヒキ属(Bromus)の種(例えば、ウマノチャヒキ(B. tectorum))、イチゴツナギ属(Poa)の種(例えば、スズメノカタビラ(P. annua)、ケンタッキーブルーグラス(P. pratensis))、ロリウム属(Lollium)の種(例えば、ペレニアルライグラス(L. perenne))、モロコシ属(Sorghum)の種(例えば、セイバンモロコシ(S. halepense))、ダンチク(Arundo donax)、ウシノケグサ属(Festuca)の種(例えば、オニウシノケグサ(F. arundinaceae))、ヒエ属(Echinochloa)の種(例えば、イヌビエ(E. crus-galli)、タイヌビエ(E. phyllopogon))を挙げ得るが、これらに限定され得ない。
【0150】
前述のブルクホルデリア(Burkholderia)株、化合物及び組成物は、殺真菌剤として使用することもできる。標的となる真菌は、フザリウム属(Fusarium)の種、ボトリチス属(Botrytis)の種、モニリニア属(Monilinia)の種、コレトトリクム属(Colletotrichum)の種、ベルチシリウム属(Verticillium)の種;ミクロフォミナ属(Microphomina)の種、フィトフトラ属(Phytophtora)の種、ケカビ属(Mucor)の種、ポドスフェラ属(Podosphaera)の種、リゾクトニア属(Rhizoctonia)の種、ペロノスポラ属(Peronospora)の種、ゲオトリクム属(Geotrichum)の種、フォーマ(Phoma)、及びペニシリウム属(Penicillium)であってもよい。中でも特定の別の実施形態において、細菌は、キサントモナス属(Xanthomonas)である。
【0151】
本物質又は組成物は、殺藻活性及び静藻活性によって、海洋性及び非海洋性の微細藻類及び大型藻類の成長及び増殖を制御する、減少させる、及び/又は排除するために使用でき、このような藻類としては、限定されるものではないが、単細胞藻類、多細胞藻類、並びに、珪藻、紅藻、緑藻、及びラン藻(bluegreen alga)、例えば、ムレミカヅキモ(Pseudokirchneriella subcapitata)、リゾクロニウム属(Rhizoclonium)の種、クラドフォエラ属(Cladophoera)の種、アナベナ属(Anabaena)の種、ネンジュモ属(Nostoc)の種、アミミドロ属(Hydrodictyon)の種、シャジクモ属(Chara)の種、ミクロシスチス属(Microcystis)及びディディーモ(Didymo)の種、クラミドモナス属(Chlamydomonas)の種、イカダモ属(Scenedesmus)の種、ユレモ属(Oscillatoria)の種、ボルボックス属(Volvox)の種、ナビクラ属(Navicula)の種、サヤミドロ属(Oedogonium)の種、アオミドロ属(Spirogyra)の種、バトリコスペルマム属(Batrichospermum)の種、ロジメニア属(Rhodymenia)の種、カリタムニオン属(Callithamnion)の種、ワカメ属(Undaria)の種が挙げられる。
【0152】
前述の活性成分(複数可)及び組成物は、藻類を含有する場所に施用し得る。このような場所としては、水域、例えば、池、湖、小川、河川、水槽、水処理施設、パワープラント、又は、固体表面、例えば、プラスチック、コンクリート、木、線維ガラス、パイプ(鉄及びポリ塩化ビニル(polyvinyl choride)製のもの)、コーティング材及び/又は塗料で覆われた表面が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
先述のように、前述の活性成分(複数可)及び組成物は、クモ形類動物(ダニなど)を含有する場所に施用してもよく、クモ形類動物としては、限定されるものではないが、パノニクス属(Panonychus)の種、例えば、ミカンハダニ(Panonychus citri)(英名:シトラスレッドマイト(citrus red mite))、及びリンゴハダニ(Panonychus ulmi)(英名:レッドスパイダーマイト(red spider mite))、テトラニクス属(Tetranychus)の種、例えば、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawi)(英名:カンザワスパイダーマイト(Kanzawa spider mite))、ナミハダニ(Tetranychus urticae)(英名:2スポッテッドスパイダーマイト(2 spotted spider mite))、テトラニクス・パシフィクス(Tetranychus pacificus)(英名:パシフィックスパイダーマイト(Pacific spider mite))、テトラニクス・ツルケスタニイ(Tetranychus turkestanii)(英名:ストロベリーマイト(Strawberry mite))、及びニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)(英名:カーマインスパイダーマイト(Carmine spider mite))、オリゴニクス属(Oligonychus)の種、例えば、オリゴニクス・パニケ(Oligonychus panicae)(英名:アボカドブラウンマイト(avacado brown mite))、オリゴニクス・ペルセエ(Oligonychus perseae)(英名:ペルセアマイト(persea mite))、オリゴニクス・プラテンシス(Oligonychus pratensis)(英名:バクスグラスマイト(Banks grass mite))、及びマンゴーハダニ(Oligonychus coffeae)、アクルス属(Aculus)の種、例えば、アクルス・コルナツス(Aculus cornatus)(英名:ピーチシルバーマイト(Peach silver mite))、アクルス・フォッケニ(Aculus fockeni)(英名:プラムラストマイト(plum rust mite))、及びアクルス・リコペルシシ(Aculus lycopersici)(英名:トマトラストマイト(tomato russet mite))、エオテトラニクス属(Eotetranychus)の種、例えば、エオテトラニクス・ウィラメッチ(Eotetranychus wilametti)、エオテトラニクス・ユメンシス(Eotetranychus yumensis)(英名:ユマスパイダーマイト(yuma spider mite))、及びエオテトラニクス・セクスマクラチス(Eotetranychus sexmaculatis)(英名:6スポッテッドマイト(6-spotted mite))、ニセクローバービラハダニ(Bryobia rubrioculus)(英名:ブラウンマイト(brown mite))、ナシサビダニ(Epitrimerus pyri)(英名:ペアーラストマイト(pear rust mite))、フィトプツス・ピリ(Phytoptus pyri)(英名:ペアーリーフブリスターマイト(Pear leaf blister mite))、アカリチス・エッシギ(Acalitis essigi)(英名:レッドベリーマイト(red berry mite))、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)(英名:ブロードマイト(Broad mite))、エリオフィエス・シェルドニ(Eriophyes sheldoni)(英名:シトラスバドマイト(citrus bud mite))、ブドウヒメハダニ(Brevipalpus lewisi)(英名:シトラスフラットマイト(citrus flat mite))、フィロコプトルタ・オレイボラ(Phylocoptruta oleivora)(英名:シトラスラストマイト(citrus rust mite))、ペトロビア・ラテエンス(Petrobia lateens)(英名:ブラウンホイートマイト(Brown wheat mite))、オキシエヌス・マクスウェリ(Oxyenus maxwelli)(英名:オリーブマイト(olive mite))、リゾグリフス属(Rhizoglyphus)の種、チロファグス属(Tyrophagus)の種、ジプタクス・ギガントリンクス(Diptacus gigantorhyncus)(英名:ビッグヘッデッドプラムマイト(bigheaded plum mite))及びペンタレアア・メジャー(Penthaleaa major)(英名:ウインターグレインマイト(winter grain mite))、アボカドレッドマイト(Avocado red mite)、フラットマイト(Flat mite)、ブラックアンドレッド・マンゴー・スパイダーマイト(black and red Mango spider mite)、パパイヤリーフ・エッジローラーマイト(Papaya leaf edgeroller mite)、テキサスシトラスマイト(Texas citrus mite)、ヨーロピアンレッドマイト(European red mite)、グレープエリネウムマイト(Grape erineum mite)(ブリスターマイト(blister mite))、パシフィックスパイダーマイト(Pacific spider mite)、ウィラメットスパイダーマイト(Willamette spider mite)、ピンクシトラス・ラストマイト(Pink citrus rust mite)が挙げられる。
【0154】
そのような場所としては、そのようなダニ又は他のクモ形類動物(例えば、アフェニド(aphenid))に侵襲される作物を挙げることができるが、限定されない。
【0155】
次に、以下の非限定的な実施例を参照しながら、本発明をより詳細に記載することとする。
【実施例】
【0156】
前述の組成物及び方法を、以下の非限定的な実施例においてさらに例証することとする。本実施例は、多様な実施形態を例証するものであるにすぎず、特許請求の対象となる本発明を、本実施例に記載する材料、条件、重量比、プロセスパラメーターなどに関して限定するものではない。
[実施例1]
【0157】
微生物の単離及び同定
1.1 微小生物の単離
当技術分野に公知の確立された手法を用いて、輪王寺(栃木県日光市、日本)所在の常緑樹の下で採取した土壌試料から微生物を単離する。単離は、Lorchら、1995により詳細に記載されている手順を用い、ポテトデキストロース寒天(PDA)を使用して行う。この手順では、まず土壌試料を滅菌水で希釈し、その後、これを固体寒天培地、例えばポテトデキストロース寒天(PDA)で平板培養する。このプレートを、25℃で5日間生育し、その後、個々の微生物コロニーを、別々のPDAプレート中に単離する。単離された細菌は、グラム陰性菌であり、丸い不透明なクリーム色のコロニーを形成するが、このコロニーは、時間が経つと、色はピンク及びピンクがかった褐色に、また、粘液状又はぬるぬるした状態に、変化する。
【0158】
1.2.微小生物の同定
微生物は、細菌のユニバーサルプライマーを用いて16S rRNA領域を増幅させる遺伝子シークエンシングに基づいて同定する。以下のプロトコールを用いる:ブルクホルデリア属(Burkholderia)のA396種をポテトデキストロース寒天プレート上で培養する。24時間が経過したプレートで成長したものを滅菌済の白金耳で剥がし、DNA抽出緩衝液に再懸濁させる。DNAは、MoBio Ultra Clean Microbial DNA抽出キットを用いて抽出する。DNA抽出物5μlを1%アガロースゲルに展開することにより、定性/定量を行う。
【0159】
PCR反応液を、以下のように用意する:2μlのDNA抽出物、5μlのPCR緩衝液、1μlのdNTP(各10mM)、1.25μlの順方向プライマー(27F、(配列番号1)、1.25μlの逆方向プライマー(907R、(配列番号2))、及び0.25μlのTaq酵素。反応液の体積は、滅菌済のヌクレアーゼフリー水を使用して、50μlとする。PCR反応には、95℃で10分間の最初の変性段階、続いて、94℃/30秒、57℃/20秒、72℃/30秒を30サイクル、及び、72℃で10分間の最終的な伸張段階が含まれる。
【0160】
生成物のおよその濃度及びサイズは、1%アガロースゲル上に5μlの量を展開し、生成物のバンドをmass ladderと比較することにより算出する。
【0161】
過剰なプライマー、dNTP、及び酵素を、MoBioのPCRクリーンアップキットを用いてPCR生成物から除去する。浄化されたPCR生成物は、プライマー27F(先述のものと同じ)、530F(配列番号3))、1114F(配列番号4))、及び1525R(配列番号5))、1100R(配列番号6))、519R(配列番号7)を用いて、ダイレクトシークエンシングする。
【0162】
BLASTを用いて、A396株の16S rRNA遺伝子配列を、β−プロテオバクテリアを代表する入手可能な16S rRNA遺伝子配列と比較する。A395 A396株は、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)菌群の構成菌と極めて近縁であり、ブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)、ブルクホルデリア・ベトナメンシス(Burkholderia vietnamensis)、及びブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)のいくつかの単離菌と99%以上の類似性を有する。B.セパシア(B. cepacia)菌群を除外したBLASTサーチでは、B.プランタリイ(B. plantarii)、B.グラジオリ(B. gladioli)、及びブルクホルデリア属(Burkholderia)の種のいくつかの単離菌との98%の類似性が示された。
【0163】
近隣結合法を用い、結果を用いて作製した距離系統樹(distance tree)から、A396はブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)及び他のブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)菌群の単離菌と近縁であることが示された。ブルクホルデリア・プランタリイ(Burkholderia plantarii)及びブルクホルデリア・グルメ(Burkholderia glumae)は、距離系統樹の別の枝に属していた。
【0164】
単離されたブルクホルデリア(Burkholderia)株は、以下の配列を含有することが見出された。順方向配列、27Fのプライマーを用いたDNA配列、815ヌクレオチド(配列番号8);逆方向配列、1453bp、プライマーは1525R、1100R、519Rを使用(配列番号9);逆方向配列、824bp、プライマーは907Rを使用(配列番号10);順方向配列、1152bp、プライマーは530Fを使用(配列番号11);順方向配列、1067bp、プライマーは1114Fを使用(配列番号12);逆方向配列、1223bp、プライマーは1525Rを使用(配列番号13);逆方向配列、1216bp、プライマーは1100Rを使用(配列番号14);逆方向配列、1194bp、プライマーは519Rを使用(配列番号15)。
【0165】
1.3.ブルクホルデリア(Burkholderia)A396がブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)菌群に属さないことの証明
1.3.1 特異的なPCRプライマーを使用した分子生物学的研究
ブルクホルデリア(Burkholderia)A396がブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)であるとの同定を確認するために、ハウスキーピング遺伝子の追加的なシークエンシングを実施する。ブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)は、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)菌群の既知の構成菌である。Mahenthiralingamら、2000により記載されているように、recA遺伝子のPCRに重点を置く。以下のプライマー、すなわち、(a)B.セパシア(B. cepacia)菌群の一致の確認用には、Mahenthiralingamら、2000に記載されているBCR1及びBCR2を、また、(b)B.マルチボランス(B. multivorans)の一致の確認用には、Mahenthiralingamら、2000に記載されているBCRBM1及びBCRBM2を、使用する。第1のプライマーセットを用いた場合にPCR反応で産物が得られれば、その微生物はB.セパシア(B. cepacia)菌群に属することが確認されるであろう。第2のプライマーセットを用いた場合にPCR反応で産物が得られれば、その微生物は確かにB.マルチボランス(B. multivorans)であることが確認されるであろう。
【0166】
いずれのプライマー対についてもPCR生成物は得られない。ブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)ATCC17616(陽性対照)及びシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)(陰性対照)を用いて、PCR反応及びプライマーの能力を試験する。両方のプライマーセットを用いると、B.マルチボランス(B. multivorans)の場合は、どちらも強いバンドが見られる。シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)の場合は、バンドは見られない。この結果から、A396は、ブルクホルデリア属(Burkholderia)ではあるが、B.セパシア(B. cepacia)菌群の構成菌でもブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)でもないことが示される。このことは、A396と基準培養物であるB.マルチボランス(B. multivorans)の両方を振盪培養にて並べて生育し、600nmでの光学密度測定を用いてその成長を毎日モニタリングする比較培養実験においても、実証される。設定した条件下では、A396種は、B.マルチボランス(B. multivorans)の基準株よりはるかに速く成長した(図1)。
【0167】
1.3.2 DNA−DNA ハイブリダイゼーション
A396単離株がブルクホルデリア属(Burkholderia)の新種であることを確認するために、ブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)(16S rRNA配列が最もよく似ている)を用いたDNA−DNAハイブリダイゼーション実験を実施する。A396とB.マルチボランス(B. multivorans)の両方についてのバイオマスをISP2ブロス中で作製し、フェルンバッハフラスコ中にて200rpm/25℃で48時間かけて生育する。バイオマスは、遠心分離により無菌的に回収する。ブロスをデカントし、細胞ペレットを水:イソプロパノールの1:1溶液に再懸濁させる。DNA−DNAハイブリダイゼーション実験は、ドイツのDSMZ、German Collection of Microorganisms and Cell Culturesにより実施する。DNAは、Cashionら、1977により記載されているとおり、フレンチプレス細胞破砕機(Thermo Spectronic)を用いて分離し、ヒドロキシアパタイトを用いたクロマトグラフィーにより精製する。DNA−DNAハイブリダイゼーションは、De Leyら、1970の記載に従い、Hussら、1983により記載されている変更を考慮しながら、Peltierのサーモスタット付き6×6マルチセルチェンジャーと、in−situ温度プローブ付きの温度制御装置とが装備された、型式名Cary 100 Bio UV/VIS−分光光度計(Varian)を用いて実施する。DSMZからは、A396とブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)との間のDNA−DNA類似率(%)(similarly)は37.4%であると報告された。この結果から、細菌種を明確に特徴付けるためのDNA−DNA類似率の閾値は70%であるとの特別委員会による勧告(Wayneら、1987)を考慮すると、ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種であるA396株はブルクホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)種に属さないことが示される。
【0168】
1.4.Biolog GN2プレートを用いた生化学的プロファイル
炭素源利用プロファイルを得るために、A396をポテトデキストロース寒天(PDA)上で一晩生育する。メーカー(Biolog、Hayward、CA)の推奨に従い、培養物をBUG寒天に移し、Biolog実験に適した培養物を産生させる。
【0169】
微小生物の生化学的プロファイルは、Biolog GN2プレート上に播種し、MicroLog 4−自動マイクロステーションシステムを用いて24時間のインキュベーションの後にプレートを読み取ることにより決定する。未知の細菌の同定は、その細菌の炭素利用パターンをMicroLog 4のグラム陰性菌データベースと比較することにより試みる。
【0170】
Biologのプロファイルとの明らかな決定的な一致は見出されない。最もよく似ているもの同士、すなわち、シュードモナス・スピノサ(ブルクホルデリア)(Pseudomonas spinosa (Burkholderia))、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、及びブルクホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)は、すべて、A396との類似率が35%未満であった。結果を表1に示す。
【0171】
【表1】
【0172】
1.5.脂肪酸組成
28℃で24時間インキュベーションの後、良好に生育された細胞を1白金耳量収集して、脂肪酸メチルエステルを調製し、単離し、記載されているとおり(Vandammeら、1992を参照のこと)にSherlock Microbial Identification System(MIDI)を用いて同定する。ブルクホルデリア(Burkholderia)A396中に存在する主な脂肪酸は、16:0(24.4%)、シクロ17:0(7.1%)、16:0 3−OH(4.4%)、14:0(3.6%)、19:0ω8c(2.6%)シクロ、18:0(1.0%)である。summed feature8(18:1ω7cを含む)及びsummed feature3(16:1ω7c及び16:1ω6cで構成される)は、それぞれ、全ピーク面積の26.2%及び20.2%に相当した。summed feature2(12:0 ALDE、16:1 iso I、及び14:0 3−OHを含む)は全ピーク面積の5.8%に相当し、18:0 ANTE及び18:2ω6,9cを含むsummed feature5は、0.4%に相当した。A396中で少量検出された他の脂肪酸は、13:1 at 12−13(0.2%)、14:1ω5c(0.2%)、15:0 3−OH(0.13%)、17:1ω7c(0.14%)、17:0(0.15%)、16:0 iso 3−OH(0.2%)、16:0 2−OH(0.8%)、18:1ω7c 11−メチル(0.15%)、及び18:1 2−OH(0.4%)を含んでいた。
【0173】
A396の脂肪酸組成と、MIDIデータベースにある既知の微生物株の脂肪酸組成との比較から、新規のA396株中の脂肪酸はブルクホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)の脂肪酸と最も類似していることが示唆された。
【0174】
1.6 抗生物質に対する抵抗性
ブルクホルデリア(Burkholderia)A396の抗生物質感受性は、PML Microbiologicalの技術データシート#535の記載に従い、Muller−Hinton培地上での抗生物質ディスク法を用いて試験する。25℃で72時間のインキュベーション後に得られた結果を、以下の表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
この結果から、ブルクホルデリア(Burkholderia)A396の抗生物質感受性スペクトルは、病原性のB.セパシア(B. cepacia)菌群の株とは全く異なることが示される。ブルクホルデリア(Burkholderia)A396は、カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム、及びスルファメトキサゾールとトリメトプリムとの組合せに対して感受性がある。対照的に、Zhouら、2007は、嚢胞性線維症患者から単離されたB.セパシア(B. cepacia)菌群の2,621種類の異なる株の感受性を試験し、すべての株のうち、イミペネムに対しては7%、シプロフロキサシンに対しては5%が感受性であるにすぎないことを見出した。Zhouらは、また、すべての株のうち85%がクロラムフェニコールに抵抗性(15%が感受性)であり、95%がスルファメトキサゾールとトリメトプリムとの組合せに抵抗性(5%が感受性)であることを見出した。Zhouら、2007の結果は、366種類のB.セパシア(B. cepacia)単離菌の間で抗生物質抵抗性を決定し、その大半が、シプロフロキサシン、セフロキシム、イミペネム、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、及びスルファメトキサゾール(sulphametoxacole)に抵抗性であると報告した、Pittら、1996の結果と類似している。
[実施例2]
【0177】
ブルクホルデリア(Burkholderia)製剤、及び、製剤化された製品からの画分の単離
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の培養物の全細胞ブロスを含有する、製剤化された製品MBI−206から抽出される化合物の精製には、以下の手順を用いる:
Hy soy成長培地中の10−L発酵ブルクホルデリア(Burkholderia)(A396)に由来し、メチル0.1%及びプロピルパラベン0.1%、ヘキサノール0.67%、及びGlycosperse 0−20 0.67%を使用して製剤化された培養ブロスを、Amberlite XAD−7樹脂(Asolkarら、「Weakly cytotoxic polyketides from a marine-derived Actinomycete of the genus Streptomyces strain CNQ-085.」、J. Nat. Prod.、69、1756-1759、2006)で抽出するが、この抽出は、細胞懸濁液を該樹脂と共に室温にて225rpmで2時間振盪することにより行った。樹脂及び細胞塊を、チーズクロスを通したろ過により回収し、脱イオン水で洗浄して塩を除去する。次いで、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトンに2時間浸漬し、その後アセトンをろ過し、回転式蒸発装置を用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物(MBI−206−FP−CE)を得る。次いで、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント80:20から0:100%へ)を用いることによりこの粗抽出物を分画して、10画分を得る(概略図については図1を参照のこと)。次いで、回転式蒸発装置を用いてこれらの画分を濃縮乾燥させ、その結果得られる乾燥残留物の生物活性を、植物体全体に対する殺草アッセイを用いてスクリーニングする。次いで、活性のある画分、すなわち、画分3、4、5、及び6で、それぞれMBI−206−FP−3、MBI−206−FP−4、MBI−206−FP−5、及びMBI−206−FP−6と表示されたものを、逆相HPLC分離(Spectra System P4000(Thermo Scientific)に繰り返しかけて純粋化合物を得、次いでこれを、前述のバイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を位置付ける/同定する(図2を参照のこと)。
【0178】
2.1 製剤の画分の分析
これらの画分を、Finnigan Surveyor PDAプラスディテクター、オートサンプラープラス、MSポンプ、及び4.6mm×100mmのLuna C18 5μmカラム(Phenomenex)が装備されたThermo高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置で分析する。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなっていた。移動相は、10%溶媒Bで始めて、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させてから4分間保ち、最後に、3分かけて10%溶媒Bに戻して3分間保つ。流速は、0.5mL/分である。注入体積は10μLであり、試料は、オートサンプラー中で室温に保つ。
【0179】
化合物の同一性を明らかにするために、追加的な分光学的データ、例えばLC/MS及びUVを記録する。画分5に対応する保持時間17.45分の化合物は、出発物質のいずれにおいても見出されず、このことから、この化合物は、該微生物発酵ブロス中の天然産物と、該製剤の作用剤中で見出される化合物のうち1つ又は複数との間で生じた化学反応の生成物であることが示される。特に、この画分は、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で陽イオン化モードと陰イオン化モードの両方をフルスキャンモード(m/z100〜1500Da)にて使用する、Thermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置でのESI−LCMSを用いて分析した。質量分析法による分析は、以下の条件下で実施する:窒素ガスの流速は、シースガス及びaux/スイープガスの流速について、それぞれ30arb及び15arbで固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000V、キャピラリー電圧を35.0Vにセットして、実施した。キャピラリー温度は400℃にセットした。データは、Xcaliburソフトウェアで分析した。画分5中で見出された追加的な新たな化合物は、分子量(MW)が194(RT=14.74分)及び222(RT=17.43分)であることが見出された。
【0180】
2.2 バイオアッセイ
2〜3枚の本葉をつけた健康なラディッシュ植物を、試験用に選抜した。このラディッシュ植物は、処理時点で発芽後13日のものである。植物は、すべての処理が茎葉の表面積及び植物の高さにおいて等価であるように選び出す。ポットには、処理番号及び反復番号を書いたラベルを貼る。1処理当たり3本の反復を試験する。
【0181】
MBI−206の製剤化された製品の10画分を試験する。この画分は、濃度が10mg/mlである。この製剤化された製品の粗抽出物及びブロスも試験する。本試験には、未処理対照(脱イオン水で処理したもの)、及び陽性対照(1ガロン当たり2.5液量オンスの比率のRoundUp Super Concentrate)が含まれる。
【0182】
表3に示すように、以下の処理を試験した:
【0183】
【表3】
【0184】
すべての製品及び処理は、よく振ってから、施用する。処理は、2オンスのスプレーボトルから、ノズルを用いて施用する。各処理について、別々のスプレーノズルを用いた。植物の茎葉に、中等度の体積で(すなわち、軽く吹き付けるのでもなく、流出するほど多く施用するのでもなく)均等にスプレーする。2ミリリットルの各処理を、各植物がおよそ0.67ミリリットルの処理溶液で処理されるように、各処理の3本の反復に同時にスプレーする。
【0185】
植物を風乾させ、次いで、収納トレイ中でランダム化する。各トレイは、実験名及び処理日を書いたラベルを貼り、実験用温室の棚の上に置いた。実験用温室は、温度70〜80°F、相対湿度30〜40%を維持する。バイオアッセイの期間を通じて、植物は、収納トレイに適切な量の水を満たすことにより下から灌水して、植物の茎葉が乾燥したままとなるようにした。
【0186】
結果は、処理の3日後、8日後、及び14日後時点で記録する。症状としては、茎葉の焼け、及び植物の発育阻害が挙げられる。表4に示す以下の評点尺度を用いて、有効性を定量化する。植物の全体的な健康、植物の高さの平均値、及び茎葉の健康、という因子を、未処理対照である植物との比較で観察することにより、評点を決定する。影響を受けた植物の症状としては、茎葉の変色/斑点/焼け/退色、葉の歪み/ねじれ/巻き、側枝(頂端分裂組織が損傷することによる)、植物の枝枯れ、又は枯れを挙げ得る。
【0187】
【表4】
【0188】
3つの読み取りの平均値を図2に示す。植物体全体に対する殺草試験において、画分4及び5は、良好な殺草活性を示している(図2を参照のこと)。
【0189】
2.3 製剤からの殺有害生物化合物の分離
この画分を、HPLC C−18カラム(Phenomenex、Luna 10u C18(2)100A、250×30)、水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系(0〜10分は80%水性CHCN、10〜25分は80〜65%水性CHCN、25〜50分は65〜50%水性CHCN、50〜60分は50〜70%水性CHCN、60〜80分は70〜0%水性CHCN、80〜85分は0〜20%水性CHCN)を流速8L/分及びUV検出210nmの条件で用いてさらに精製すると、保持時間59.15分でブチルパラベン(MBI206−FP−F5H32)、保持時間74.59分でヘキシルパラベン(MBI206−FP−F5H40)が、それぞれ得られた。
【0190】
2.3.1 化合物のNMR分光分析
NMRスペクトルは、Brukerの600MHzのグラジエントフィールド分光計で測定した。基準は、内部標準であるテトラメチルシラン(TMS、0.00ppm)に設定する。
【0191】
2.3.1.1 ヘキシルパラベン(MBI206−FP−F5H40)の構造解明
活性化合物が無色の固体として分離され、UV吸収は248nmで見られた。(−)ESIMSでは、221(M−H)に、分子量222に対応する分子イオンを示した。この化合物は、7.90、6.85、4.28、1.76、1.46、1.38、1.37、0.94でH NMR δシグナルを呈しており、13C NMRの値は、166.84、162.12、131.34(2C)、121.04、114.83(2C)、64.32、31.25、28.43、25.45、22.18. 12.93である。分子式C1318(不飽和度は5)は、NMRとESI質量分析のデータを組み合わせることにより割り当てた。H NMRスペクトルは、δ7.90,2H d,J=8.5Hz、及び6.85,2H d,J=8.5Hzで、A型の芳香族のシグナルについてのシグナルを呈した。さらに、H NMRスペクトルから、δ4,28,2H,t,J=7.3Hz;1,76,2H,m;1.46,2H,m;1.38,2H.m;1.37,2H,m、及び0.94,3H,t,J=7.3Hzでの−CH−CH−CH−CH−CH−CH基の存在が明らかになった。前述のスペクトルデータの分析から、芳香族ポリケチドの構造をヘキシルパラベンと確定し、COSY実験、HMQC実験、及びHMBC実験の詳細な分析によりこれを確認した。文献検索により、この化合物が合成化合物として報告されていることが明らかになった。
【0192】
2.3.1.2 ブチルパラベン(MBI206−FP−F5H32)の構造解明
この化合物は、無色の固体として得られ、UV最大値は248nmで見られた。陰イオン化モードでのLCMS分析により、分子式194に対応するm/z193に分子イオンが示された。UV、MS、及びNMRのデータを分子量222のヘキシルパラベンのデータと比較することにより、この化合物はヘキシルパラベンの類似体であることが見出された。それらの間の唯一の差は、側鎖にあるだけであった。したがって、ブチルパラベンの構造を、分子量194のこの化合物に割り当てた。文献での検索により、この化合物も合成化合物として既知であることが示唆された。
【0193】
2.3.2 殺草活性
画分5から得られた純粋化合物(ブチルパラベン[MBI206−FP−F5H32]及びヘキシルパラベン[MBI206−FP−F5H40])を、濃度10mg/mlで試験した。本試験には、未処理対照(脱イオン水で処理したもの)、製剤ブランク(濃度は3%v/v及び10%v/v)、及び陽性対照(1ガロン当たり2.5液量オンスの比率のRoundUp Super Concentrate)が含まれる。
【0194】
表5に示すように、以下の処理を試験した:
【0195】
【表5】
得られた結果を表6に記載する。
【0196】
【表6】
前表に示したデータに基づき、ヘキシルパラベンは最も強力な殺草化合物であることが見出された。
【0197】
2.3.3 殺虫活性
ブチルパラベン(MBI206−FP−F5H32)及びヘキシルパラベン(MBI206−FP−F5H40)の殺虫活性を実験室アッセイで試験した。このアッセイでは、シロイチモジヨトウ幼虫(スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)の一齢幼虫を対象とし、各ウェルに200μlの固形のシロイチモジヨトウ幼虫用人工餌を入れたマイクロタイタープレートを使用した、96ウェルのダイエットオーバーレイアッセイ(diet overlay assay)を用いた。100マイクロリットルの各試験試料(40μgの試料を含有する)を、餌の上にピペットで載せ(各ウェルに1つの試料)、表面が乾燥するまで試料を気流下で乾燥させる。各試料は複製を6つずつ用いて試験し、水及び市販のDipel製品を、それぞれ、陰性対照及び陽性対照として使用する。試験昆虫(シロイチモジヨトウ幼虫、すなわちスポドプテラ・エクシクア(Spodoptera exiqua))の一齢幼虫を1匹ずつ各ウェル中に置き、このプレートを、通気孔をあけたプラスチックのカバーで覆った。昆虫の入ったプレートを26℃で6日間インキュベートし、致死率を毎日評価した。表7に示す結果に基づけば、ヘキシルパラベンは71%、ブチルパラベンは9%の致死率となった。
【0198】
【表7】
【0199】
2.3.4 殺線虫アシティビティー:ブチルパラベン(MBI206−FP−F5H32)及びヘキシルパラベン(MBI206−FP−F5H40)のin vitro試験:
in vitroでの96ウェルプラスチック細胞培養プレートを用いたバイオアッセイでは、ブチルパラベン及びヘキシルパラベンの純粋な試料を使用した。50μlの水溶液に入った15〜20匹の線虫を、3μlの20mg/mlピーク濃縮物に25℃で24時間曝露させた。インキュベーション期間が終了したらすぐに、化合物で処理した各ウェルに入った若齢の線虫(J2)の不動率の目視採点に基づいて結果を記録した。各処理を、4つのウェルの複製を用いて試験した。結果を表8に示すが、この表は、化合物の、96ウェルプレートでの2つの異なる抽出物バイオアッセイの結果を示すものである。各試行には3つの対照、すなわち、1つの陽性対照(1% Avid)及び2つの陰性対照(DMSO及び水)が含まれる。試行(T1)は、サツマイモネコブセンチュウ(M. incognita)という線虫を用いて実施し、試行(trail)(T2)は、キタネコブセンチュウ(M. hapla)という線虫を用いて実施し、試料は100%DMSOに溶解した。ヘキシルパラベン(MBI206−FP−F5H40)は、サツマイモネコブセンチュウ(M. incognita)に対して不動率93.75%という優れた制御を示し、一方、ブチルパラベンでは不動率は81.25%であった。
【0200】
【表8】
【0201】
2.3.5 製品の製剤化中のパラベンの形成についての試験
これらのパラベンの形成を理解するために、製剤中のアルコールの変化の効果を検討した。LCMSを用い、製剤中の異なる炭素鎖アルコールを用いて新たなパラベンの形成をモニタリングした。
【0202】
ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、及びセチルアルコールを用いて4つの別々の製剤化実験を実施し、他の成分(ingradient)はすべて同じに保った。3週間+2日の期間をかけて製剤の生成物を抽出した。これらの製剤から得られた粗抽出物をLCMSにより分析した。セチルアルコールを除くすべてのアルコールについて、対応するパラベンが形成された。パラベンの収量は、1日経過した製剤の生成物については、ブチルパラベンが最も高く、続いてヘキシルパラベン、次いでオクチルパラベンであることが見出された。3週間後でも分析結果は同じ順序のまま、すなわち、ブチルパラベン>ヘキシルパラベン>オクチルパラベンであった。したがって、これらのパラベン、例えばブチルパラベン、ヘキシルパラベン、及びオクチルパラベンの形成速度は、製剤中で使用される対応するアルコールの、溶媒(アルコール)の炭素鎖(炭素の数)によって決まる(ブタノール(C4)>ヘキサノール(C6)>オクタノール(C8)など)ことが見出された。セチルパラベンの形成は、3週目まで検出されなかった。これらのパラベンの収量は、時間が経つにつれ向上することが見出された。
【0203】
新たなパラベン類似体の形成における全細胞ブロス(WCB)の役割を理解するために、別の一連の実験を実施した。4つの異なる実験は、製剤中で以下の変化をつけて実施した。
実験1:プロピルパラベン(メチルパラベンなし)+WCB+他の原料
実験2:メチルパラベン(プロピルパラベンなし)+WCB+他の原料
実験3:パラベンなし(両方とも)+WCB+他の原料。
実験4:メチルパラベン+プロピルパラベン+他の原料+WCBなし。
LCMSを用い、前記の製剤を別々に抽出し、次いで、得られた粗抽出物を分析した。ヘキシルパラベンの形成は、最初の2つの実験においてのみ観察された。したがって、これらの実験から、これらのパラベンの形成においてWCBは非常に重要な役割を果たすことが示唆された。
[実施例3]
【0204】
テンプラゾールA及びBの分離
方法及び材料
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の細胞培養物から抽出されたテンプラゾールA及びBの精製には、以下の手順を用いる(図3を参照のこと):
【0205】
Hy soy成長培地中の10−L発酵ブルクホルデリア(Burkholderia)(A396)に由来する培養ブロスを、Amberlite XAD−7樹脂(Asolkarら、2006)で抽出するが、この抽出は、細胞懸濁液を該樹脂と共に室温にて225rpmで2時間振盪することにより行った。樹脂及び細胞塊を、チーズクロスを通したろ過により回収し、脱イオン水で洗浄して塩を除去する。次いで、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトンに2時間浸漬し、その後アセトンをろ過し、回転式蒸発装置を用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物を得る。次いで、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント90:10から0:100%へ)を用いることによりこの粗抽出物を分画して、11画分を得る。次いで、回転式蒸発装置を用いてこれらの画分を濃縮乾燥させ、その結果得られる乾燥残留物の生物活性を、96ウェルプレートでのレタス播種アッセイ(lettuce seeding assay)を用いてスクリーニングする。次いで、活性のある画分を、逆相HPLC(Spectra System P4000(Thermo Scientific)にかけて純粋化合物を得、次いでこれを、前述のバイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を位置付ける/同定する。化合物の同一性を確認するために、追加的な分光学的データ、例えばLC/MS及びNMRを記録する。
【0206】
活性のある画分5を、HPLC C−18カラム(Phenomenex、Luna 10u C18(2)100A、250×30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分は80%水性CHCN、10〜25分は80〜65%水性CHCN、25〜50分は65〜50%水性CHCN、50〜60分は50〜70%CHCN、60〜80分は70〜0%水性CHCN、80〜85分は0〜20%水性CHCN)を流速8mL/分及び、UV検出210nmの条件で用いることによりさらに精製すると、保持時間46.65分でテンプラゾールBが得られる。同様に、他の活性のある画分7を、HPLC C−18カラム(Phenomenex、Luna 10u C18(2)100A、250×30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分は80%水性CHCN、10〜25分は80〜60%水性CHCN、25〜50分は60〜40%水性CHCN、50〜60分は40%CHCN、60〜80分は40〜0%水性CHCN、80〜85分は0〜20%水性CHCN)を流速8mL/分及びUV検出210nmの条件で用いて精製すると、保持時間70.82分でテンプラゾールAが得られる。
【0207】
純粋化合物の質量分析法による分析を、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で陽イオン化モードと陰イオン化モードの両方をフルスキャンモード(m/z100〜1500Da)にて使用する、Thermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置で実施する。Finnigan Surveyor PDAプラスディテクター、オートサンプラープラス、MSポンプ、及び4.6mm×100mmのLuna C18 5μmカラム(Phenomenex)が装備されたThermo高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなる。移動相は、10%溶媒Bで始めて、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させてから4分間保ち、最後に、3分かけて10%溶媒Bに戻して3分間保つ。流速は、0.5mL/分である。注入体積は10μLであり、試料は、オートサンプラー中で室温に保つ。化合物は、LC及び逆相クロマトグラフィーを利用したLC−MSにより分析する。本化合物の質量分析法による分析を、以下の条件下で実施する:窒素ガスの流速は、シースガス及びaux/スイープガスの流速について、それぞれ30arb及び15arbで固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000V、キャピラリー電圧を35.0Vにセットして、実施した。キャピラリー温度は400℃にセットした。データは、Xcaliburソフトウェアで分析した。活性化合物テンプラゾールAは、分子量が298であり、陰イオン化モードにおいて297.34でm/zイオンを示した。テンプラゾールBについてのLC−MSクロマトグラムから、分子量は258であり、陰イオン化モードにおいて257.74でm/zイオンを呈したことが示唆される。
【0208】
H、13C、及び2D NMRスペクトルを、Brukerの500MHz及び600MHzのグラジエントフィールド分光計で測定した。基準は、内部標準であるテトラメチルシラン(TMS、0.00ppm)に設定する。
【0209】
テンプラゾールAの構造解明のために、分子量298の精製化合物を、500MHzのNMR装置を用いてさらに分析すると、H NMRのδ値は、8.44、8.74、8.19、7.47、7.31、3.98、2.82、2.33、1.08であり、13C NMRのδ値は、163.7、161.2、154.8、136.1、129.4、125.4、123.5、123.3、121.8、121.5、111.8、104.7、52.2、37.3、28.1、22.7、22.7である。テンプラゾールAは、UV吸収帯が226nm、275nm、327nmにあり、このことから、インドール環及びオキサゾール環の存在が示唆された。分子式C1718は、H、13C NMRの解釈、及びHRESI MSのデータであるm/z299.1396(M+H)(Calcd for C1719、299.1397)により決定されたものであり、DBE値が10であることにより示される高度の不飽和を伴う。13C NMRスペクトルから、2個のメチル、1個のメトキシ、1個のメチレン炭素、1個の脂肪族メチン、1個のエステルカルボニル、及び11個の芳香族炭素を含む全17個の炭素シグナルが明らかになった。H−H COSY及びHMBCのスペクトルデータから、3’−置換インドールの存在が明らかになった。H−H COSY及びHMBCから、カルボン酸メチルエステル基及び−CH−CH−(CH側鎖の存在も示された。H−H COSY、13C、及びHMBCのデータの詳細な分析から、この化合物はオキサゾール核を含有することが導かれた。2D分析から、イソブチル側鎖がC−2位、カルボン酸メチルエステルがC−4位、インドール単位がC−5位に結び付いてテンプラゾールAとなっていることが見出された。
【0210】
500MHzのNMR装置を用いて、第2の殺草活性化合物である分子量258のテンプラゾールBをさらに分析すると、H NMRのδ値は、7.08、7.06、6.75、3.75、2.56、2.15、0.93、0.93であり、13C NMRのδ値は、158.2、156.3、155.5、132.6、129.5、129.5、127.3、121.8、115.2、115.2、41.2、35.3、26.7、21.5、21.5である。分子式は、H、13C NMR及び質量データの解釈により決定されるC1518を割り当てる。13C NMRスペクトルから、2個のメチル、2個のメチレン炭素、1個の脂肪族メチン、1個のアミドカルボニル、及び9個の芳香族炭素を含む全15個の炭素シグナルが明らかになった。この構造の一般的な性質は、H及び13C NMRスペクトルから、パラ置換芳香環を示すと推定された[δ7.08(2H,d,J=8.8Hz)、6.75(2H,d,J=8.8Hz)、及び、132.7、129.5、115.2、127.3、115.2、129.5]。この構造のH NMRスペクトルは、H−H COSY及びHSQCスペクトルと一緒に、イソブチル部分の特徴的なシグナルを示した[δ0.93(6H,d,J=6.9Hz),2.15(1H,sept.,J=6.9Hz),2.57(2H,d,J=6.9Hz)。加えて、H及び13C NMRスペクトルにおいて、さらに、オレフィンプロトン/芳香族プロトンが(δ7.06、s)に、また、カルボニル炭素基が(δ158.9)に、見出された。HMBCスペクトルを検査したところ、イソブチル部分におけるH−1’シグナルはオレフィン炭素(C−2、δ156.3)と相関があり、オレフィンプロトンH−4は、(C−5、δ155.5;C−2、156.3;及びC−1”、41.2)と相関があった。δ3.75に見られるメチレンシグナルは、パラ置換芳香族部分のC−5、C−4、並びにC−2”と相関があった。これらの観察された相関はすべて、示したとおりの構造の骨格のイソブチル部分とパラ置換ベンジル部分の間に連結があることを示唆した。加えて、カルボキサミド基は、H−4”位及びH−6”位にある芳香族プロトンからのHMBC相関に基づき、ベンジル部分のパラ位に割り当てられる。したがって、前述のデータに基づき、この構造をテンプラゾールBと命名した。
[実施例4]
【0211】
FR901228の単離
組成未知の成長培地中のブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵に由来する全細胞ブロスを、Amberlite XAD−7樹脂(Asolkarら、2006)で抽出するが、この抽出は、細胞懸濁液を該樹脂と共に室温にて225rpmで2時間振盪することにより行った。樹脂及び細胞塊を、チーズクロスを通したろ過により回収し、脱イオン水で洗浄して塩を除去する。次いで、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトンに2時間浸漬し、その後アセトンをろ過し、回転式蒸発装置を用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物を得る。次いで、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント90:10から0:100%へ)を用いることによりこの粗抽出物を分画して、11画分を得る。次いで、回転式蒸発装置を用いてこれらの画分を濃縮乾燥させ、その結果得られる乾燥残留物の生物活性を、昆虫バイオアッセイ(insect bioassay)と殺草バイオアッセイの両方を用いてスクリーニングする。次いで、活性のある画分を、逆相/順相HPLC(Spectra System P4000;Thermo Scientific)にかけて純粋化合物を得、次いでこれを、以下に記載する殺草バイオアッセイ、殺虫バイオアッセイ、及び殺線虫バイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を位置付ける/同定する。化合物の同一性を確認するために、追加的な分光学的データ、例えばLC/MS及びNMRを記録する。
【0212】
アクティブなピークの質量分析法による分析を、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で陽イオン化モードと陰イオン化モードの両方をフルスキャンモード(m/z100〜1500Da)にて使用する、Thermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置で実施する。Finnigan Surveyor PDAプラスディテクター、オートサンプラープラス、MSポンプ、及び4.6mm×100mmのLuna C18 5μmカラム(Phenomenex)が装備されたThermo高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなる。移動相は、10%溶媒Bで始めて、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させてから4分間保ち、最後に、3分かけて10%溶媒Bに戻して3分間保つ。流速は、0.5mL/分である。注入体積は10μLであり、試料は、オートサンプラー中で室温に保つ。化合物は、LC及び逆相クロマトグラフィーを利用したLC−MSにより分析する。本化合物の質量分析法による分析を、以下の条件下で実施する:窒素ガスの流速は、シースガス及びaux/スイープガスの流速について、それぞれ30arb及び15arbで固定する。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000V、キャピラリー電圧を35.0Vにセットして、実施する。キャピラリー温度は400℃にセットする。データは、Xcaliburソフトウェアで分析する。LC−MS分析に基づけば、陰イオン化モードにおいて、画分6由来の、活性のある殺虫化合物の分子量は、540である。
【0213】
構造解明のために、500MHzのNMR装置を用いて、分子量540の画分6由来の精製された殺虫化合物をさらに分析すると、H NMRの値は、6.22、5.81、5.69、5.66、5.65、4.64、4.31、3.93、3.22、3.21、3.15、3.10、2.69、2.62、2.26、2.23. 1.74、1.15、1.12、1.05、1.02であり、13C NMRの値は、172.99、172.93、169.57、169.23、167.59、130.74、130.12、129.93、128.32、73.49、62.95、59.42、57.73、38.39、38.00、35.49、30.90、30.36、29.26、18.59、18.38、18.09、17.93、12.51である。NMRデータから、この化合物は、アミノ基、エステル基、カルボン酸基、脂肪族メチル基、エチル基、メチレン基、オキシメチレン基、メチン基、オキシメチン基、及びイオウ基を含有することが示される。詳細な1D及び2D NMR分析から、この化合物の構造は、既知の化合物と同じFR901228と確認される。
[実施例5]
【0214】
テンプラアミドA、B、FR901465、及びFR901228の単離
方法及び材料
Hy soy成長培地中の10−L発酵ブルクホルデリア(Burkholderia)(A396)に由来する培養ブロスを、Amberlite XAD−7樹脂(Asolkarら、2006)で抽出するが、この抽出は、細胞懸濁液を該樹脂と共に室温にて225rpmで2時間振盪することにより行った。樹脂及び細胞塊を、チーズクロスを通したろ過により回収し、脱イオン水で洗浄して塩を除去する。次いで、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトンに2時間浸漬し、その後アセトンをろ過し、回転式蒸発装置を用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物を得る。次いで、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント90:10から0:100%へ)を用いることによりこの粗抽出物を分画して、11画分を得る。次いで、回転式蒸発装置を用いてこれらの画分を濃縮乾燥させ、その結果得られる乾燥残留物の生物活性を、96ウェルプレートでのレタス播種アッセイ(殺草性)及び三齢初期のシロイチモジヨトウ幼虫(殺虫性)アッセイを用いてスクリーニングする。次いで、活性のある画分を、逆相HPLC分離(Spectra System P4000(Thermo Scientific)に繰り返しかけて純粋化合物を得、次いでこれを、前述のバイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を位置付ける/同定する。化合物の同一性を確認するために、追加的な分光学的データ、例えばLC/MS、HRMS、及びNMRを記録する。
【0215】
活性のある画分6を、HPLC C−18カラム(Phenomenex、Luna 10u C18(2)100A、250×30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分は80%水性CHCN、10〜25分は80〜65%水性CHCN、25〜50分は65〜50%水性CHCN、50〜60分は50〜70%水性CHCN、60〜80分は70〜0%水性CHCN、80〜85分は0〜20%水性CHCN)を流速8mL/分及びUV検出210nmの条件で用いることによりさらに精製すると、保持時間55.64分でテンプラアミドA、保持時間63.59分でFR901465、保持時間66.65分でFR90128が、それぞれ得られる。同様に、他の活性のある画分6を、HPLC C−18カラム(Phenomenex、Luna 10u C18(2)100A、250×30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分は70〜60%水性CHCN、10〜20分は60〜40%水性CHCN、20〜50分は40〜15%水性CHCN、50〜75分は15〜0%CHCN、75〜85分は0−70%水性CHCN)を流速8mL/分及びUV検出210nmの条件で用いて精製すると、保持時間38.55分でテンプラアミドBが得られる。
【0216】
純粋化合物の質量分析法による分析を、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で陽イオン化モードと陰イオン化モードの両方をフルスキャンモード(m/z100〜1500Da)にて使用する、Thermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置で実施する。Finnigan Surveyor PDAプラスディテクター、オートサンプラープラス、MSポンプ、及び4.6mm×100mmのLuna C18 5μmカラム(Phenomenex)が装備されたThermo高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用いる。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなる。移動相は、10%溶媒Bで始めて、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させてから4分間保ち、最後に、3分かけて10%溶媒Bに戻して3分間保つ。流速は、0.5mL/分である。注入体積は10μLであり、試料は、オートサンプラー中で室温に保つ。化合物は、LC及び逆相クロマトグラフィーを利用したLC−MSにより分析する。本化合物の質量分析法による分析を、以下の条件下で実施する:窒素ガスの流速は、シースガス及びaux/スイープガスの流速について、それぞれ30arb及び15arbで固定する。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000V、キャピラリー電圧を45.0Vにセットして、実施する。キャピラリー温度は300℃にセットする。データは、Xcaliburソフトウェアで分析する。活性化合物テンプラアミドAは、陽イオン化モードにおけるm/zピークが556.41[M+H]及び578.34[M+Na]にみられることに基づき、分子量が555である。テンプラアミドBについての陽イオン化モードにおけるLC−MS分析からは、m/zイオンが538.47[M+H]及び560.65[M+Na]にみられることに基づき、分子量は537であることが示唆される。化合物FR901465及びFR901228の分子量は、LCMS分析に基づいて、それぞれ523及び540として割り当てられる。
【0217】
H、13C及び2D NMRスペクトルを、Brukerの600MHzのグラジエントフィールド分光計で測定する。基準は、内部標準であるテトラメチルシラン(TMS、0.00ppm)に設定する。
【0218】
テンプラアミドAの構造解明のために、600MHzのNMR装置を用いて、分子量555の精製化合物をさらに分析すると、H NMRのδ値は、6.40、6.39、6.00、5.97、5.67、5.54、4.33、3.77、3.73、3.70、3.59、3.47、3.41、2.44、2.35、2.26、1.97、1.81、1.76、1.42、1.37、1.16、1.12、1.04であり、13C NMRのδ値は、173.92、166.06、145.06、138.76、135.71、129.99、126.20、123.35、99.75、82.20、78.22、76.69、71.23、70.79、70.48、69.84、60.98、48.84、36.89、33.09、30.63、28.55、25.88、20.37、18.11、14.90、12.81、9.41である。13C NMRスペクトルは、6個のメチル、4個のメチレン炭素、及び、5つのspを含む13個のメチン、4個の第四級炭素に起因すると考えられる28個の別個の炭素シグナルを呈する。H、13C NMR及びHRESI MSのデータの解釈により、分子式C2845NO10が決定される。H−HCOSY、HMBC、及びHMQCのスペクトルデータの詳細な分析から、以下の下部構造(I〜IV)及び2個の離れたメチレン基及び一重項のメチル基が明らかになる。これらの下部構造を、後で、キーとなるHMBC相関を用いて結び合わせて化合物の平面(planer)構造を得るが、この化合物は、文献でこれまでに報告されておらず、テンプラアミドAと命名する。このポリケチド分子は、2個のテトラヒドロピラノース環及び1個の共役アミドを含有する。
【0219】
【化37】
下部構造I〜IVは、1D及び2D NMRの分光学的データの分析により割り当てられる。
【0220】
第2の殺草化合物についての(+)ESIMS分析では、m/zイオンは、分子量537に対応する538.47[M+H]及び560.65[M+Na]に示される。ESIMS及びNMRのデータ分析の解釈により、分子式C2843NOが決定される。この化合物のH及び13C NMRは、テンプラアミドAのデータに似ているが、但し、テンプラアミドAにある結合していないメチレン基の代わりに、新たな単独の−CH−が現れる。4.3Hzという小さいジェミナル(germinal)結合定数は、エポキシドメチレン基が存在する場合の特徴である。このエポキシドの存在は、テンプラアミドAでの60.98から分子量537の化合物での41.07への13C NMRシフトにより、さらに確認される。これらの2種類の化合物間の分子式の違いは、水分子の脱離に続いてエポキシドが形成されることにより合理的に説明される。したがって、ベースとなるNMR及びMS分析に基づいて新たな化合物の構造を割り当て、テンプラアミドBと命名した。
【0221】
構造の解明のために、600MHzのNMR装置を用いて、分子量523の、画分6由来の精製化合物をさらに分析すると、H NMRの値は、6.41、6.40、6.01、5.98、5.68、5.56、4.33、3.77、3.75、3.72、3.65、3.59、3.55、3.50、2.44、2.26、2.04、1.96、1.81、1.75、1.37、1.17、1.04であり、13C NMRの値は、172.22、167.55、144.98、138.94、135.84、130.14、125.85、123.37、99.54、82.19、78.28、76.69、71.31、70.13、69.68、48.83、42.52、36.89、33.11、30.63、25.99、21.20、20.38、18.14、14.93、12.84である。化合物の詳細なH及び13C NMR分析から、この化合物は、化合物テンプラアミドBとかなり類似していることが示唆された。唯一の差はエステル側鎖にあり、側鎖中には、プロピオナート部分の代わりにアセタート部分が存在した。詳細な1D及び2D NMR分析から、この化合物の構造は、既知の化合物と同じFR901465と確認される。
【0222】
LC−MS分析に基づけば、画分6由来の他の化合物の分子量は、陰イオン化モードでは540である。構造の解明のために、500MHzのNMR装置を用いて、分子量540の、画分5由来の精製化合物をさらに分析すると、H NMRの値は、6.22、5.81、5.69、5.66、5.65、4.64、4.31、3.93、3.22、3.21、3.15、3.10、2.69、2.62、2.26、2.23、1.74、1.15、1.12、1.05、1.02であり、13C NMRの値は、172.99、172.93、169.57、169.23、167.59、130.74、130.12、129.93、128.32、73.49、62.95、59.42、57.73、38.39、38.00、35.49、30.90、30.36、29.26、18.59、18.38、18.09、17.93、12.51である。NMRデータから、この化合物は、アミノ基、エステル基、カルボン酸基、脂肪族メチル基、エチル基、メチレン基、オキシメチレン基、メチン基、オキシメチン基、及びイオウ基を含有することが示される。詳細な1D及び2D NMR分析から、この化合物の構造は、既知の化合物と同じFR901228と確認される。
【0223】
画分F8由来の他の活性化合物(F8H17)の分子量は、陽イオン化ESIモードでは分子イオンピークが1081.75(M+H)に見られたことに基づいて1080と割り当てられ、ベースピークが1079.92に見られた陰イオン化ESIMSにより、さらに確認された。この化合物は、234nmでUV吸収を示した。
[実施例6]
【0224】
殺藻剤としてのブルクホルデリア属(Burkholderia)の種
ブルクホルデリア属(Burkholderia)のA396種を、組成未知のミネラル培地中で5日間(25℃、200rpm)生育する。細胞を8,000gでの遠心分離により上清から分離し、この無細胞上清を使用して、単細胞藻の種(P.サブカピタータ(P. subcapitata))及びラン藻の種(アナベナ属(Anabaena)の種)に対する殺藻(algaicidal)活性を試験する。特定の増加量の上清を、750マイクロリットルのGorham培地中で成長している特定の藻類が入っている24ウェルのポリスチレンプレートのウェル中に加えて、各藻類のタイプについて試験上清の用量応答曲線を決定する。各処理は、複製を2つずつ用いて行い、ブランク成長培地を陰性対照として用いる。プレートは、蓋を閉め、一定した生育光下で室温にて48時間インキュベートした。48時間後、SpectraMax Gemini XSプレートリーダーを用いて各ウェル中の懸濁液の蛍光(700nmで)を測定し、未処理対照に対する蛍光減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させる。以下の表9に記載する結果から、単細胞藻の優れた制御、及び、ラン藻に対する良好な制御又は静藻効果が示される。
【0225】
【表9】
[実施例7]
【0226】
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の粗抽出物及び画分によるコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)の制御。
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の粗抽出物を分画することにより得た画分を、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)に対する殺藻活性について試験した。増加体積の画分(濃度は20mg/mL、エタノール中)を、750マイクロリットルの特定の藻類が成長している透明な48ウェルのポリスチレンプレートに加えた。各処理は、複製を2つずつ用いて行い、溶媒(エタノール)を陰性対照として用いた。プレートは、蓋を閉め、一定した光の下で室温にて72時間インキュベートした。72時間後、各ウェル中の懸濁液の蛍光(680nmで)を、SpectraMax M2プレートリーダーを用いて測定し、陰性対照に対する蛍光減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させた。各試料は、陰性対照と視覚的に比較して、陰性対照より視覚的に透明度の高いウェルは、活性ありと評点付けた。以下の表10に示す結果から、画分5、6、7、8、及び9を用いた場合の特定の藻類の制御が示される。試験は複製を2つずつ用いて行い、制御率(%)は、陰性対照に対する680nmでの蛍光減少率として算出した。各試料は、陰性対照と視覚的に比較して、陰性対照より視覚的に透明度の高いウェルは、活性ありと評点付けた。
【0227】
【表10】
[実施例8]
【0228】
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種から得られた粗抽出物及び多様な画分の、P.サブカピタータ(P. subcapitata)に対する殺藻効果。
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種から得られた粗抽出物並びに画分を、単細胞藻の種(P.サブカピタータ(P. subcapitata))に対する殺藻活性について試験した。既知量の材料(10mg/mLの濃度)を再溶解することにより得られる、各試料に対応する増加体積の純粋エタノール溶液を、750マイクロリットルのGorham培地中で成長している特定の藻類が入っている24ウェルのポリスチレンプレートのウェル中に加えて、単細胞藻類に対する試料(抽出物/画分)の殺藻効果を決定する。各処理は、複製を3つずつ用いて行い、純粋エタノールを陰性対照として用いた。混合した後、プレートは、蓋を閉め、一定した生育光下で室温にて48時間インキュベートした。48時間後、各ウェル中の懸濁液の蛍光(700nmで)を、SpectraMax Gemini XSプレートリーダーを用いて測定し、未処理対照に対する蛍光減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させた。以下の表11に記載する結果から、画分F5、F6、及びF7を用いた場合は単細胞藻の優れた制御が示されるが、他の試料では、実質的な殺藻効果は得られなかった。
【0229】
【表11】
[実施例9]
【0230】
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵ブロス由来の精製化合物によるコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)の制御
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵ブロス由来の精製化合物を、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)に対するアルガイシダル活性について試験した。増加体積の該精製化合物(20mg/mL、エタノール中)を、750マイクロリットルの特定の藻類が成長している透明な48ウェルのポリスチレンプレートに加えた。各処理は、複製を2つずつ用いて行い、溶媒を陰性対照として用いた。プレートは、蓋を閉め、一定した光の下にて室温で72時間インキュベートした。72時間後、各ウェル中の懸濁液の蛍光(680nmで)を、SpectraMax M2プレートリーダーを用いて測定し、陰性対照に対する蛍光減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させた。各試料は、陰性対照と視覚的に比較して、陰性対照より視覚的に透明度の高いウェルは、活性ありと評点付けた。以下の表12に記載する結果から、テンプラアミドB(分子量537)、FR901228(分子量540)、テンプラゾールA(分子量298)、及びF8H18(分子量1080)を含有する各試料を用いた場合の特定の藻類の制御が示される。試験は複製を2つずつ用いて行い、制御率(%)は、陰性対照に対する680nmでの蛍光減少率として算出した。各試料は、陰性対照と視覚的に比較して、陰性対照より視覚的に透明度の高いウェルは、活性ありと評点付けた。
【0231】
【表12】
テンプラゾールAは、このバイオアッセイでは2回試験した。
[実施例10]
【0232】
熱処理されたブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵上清によるセネデスムス・クアドリカウダ(Scenedesmus quadricauda)の制御。
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種は、前述のとおり、発酵ブロス中で生育した。ブロスは、発酵の終了時点で熱処理して、すべての細胞を不活性化させた。この無細胞上清を、セネデスムス・クアドリカウダ(Scenedesmus quadricauda)に対する殺藻活性について試験した。増加体積の上清を、750マイクロリットルの特定の藻類が成長している透明な48ウェルのポリスチレンプレートに加えた。各処理は、複製を2つずつ用いて行い、ブランク成長培地を陰性対照として用いる。プレートは、蓋を閉め、一定した光の下で室温にて72時間インキュベートする。72時間後、各ウェル中の懸濁液の蛍光(680nmで)を、SpectraMax M2プレートリーダーを用いて測定し、未処理対照に対する蛍光減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させる。以下の表13に記載する結果から、特定の藻類の制御が示される。試験は複製を2つずつ用いて行い、制御率(%)は、未処理対照に対する680nmでの蛍光減少率として算出した。
【0233】
【表13】
[実施例11]
【0234】
熱殺菌されたブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵上清によるオシラトリア・テニウス(Oscillatoria tenius)の制御
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種は、前述のとおり、発酵ブロス中で生育した。ブロスは、発酵の終了時点で熱処理して、すべての細胞を不活性化させた。この無細胞上清を、オシラトリア・テニウス(Oscillatoria tenius)に対する殺藻活性について試験した。増加体積の上清を、750μLの特定の藻類が成長している透明な48ウェルのポリスチレンプレートに加えた。各処理は、複製を2つずつ用いて行い、ブランク成長培地を陰性対照として用いる。プレートは、蓋を閉め、一定した光の下で室温にて72時間インキュベートする。72時間後、680nmでの吸光度を、SpectraMax M2プレートリーダーを用いて各ウェル中で測定し、未処理対照に対する吸光度減少率を、藻類成長の制御率(%)に変換させる。以下の表14に記載する結果から、特定の藻類の制御が示される。試験は複製を2つずつ用いて行い、制御率(%)を、未処理対照に対する680nmでの吸光度減少率として算出した。
【0235】
【表14】
[実施例13]
【0236】
マリーゴールド植物を侵襲するナミハダニに対するブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の有効性
6”コンテナ中で生育した、マリーゴールドの一種であるセンジュギク(Tagetes erecta)を、宿主植物(綿)から摘み取った葉を試験植物上に置くことにより、ナミハダニ、すなわちテトラニクス・ウルチケ(Tetranychus urticae)に侵襲させた。30〜40匹のハダニが居るおよそ10枚の葉を、試験植物の多様な部位上に14日間置いた。試験植物は、侵襲の後、個々にケージに入れて、ハダニ集団を構築させた。宿主葉を試験植物から除去した。試験植物には、試験剤施用以前には、殺有害生物剤を施用しなかった。100gpaに目盛を調整されたGen3スプレーブースを使用して、スプレー剤施用を行った。各複製は、施用後、直ちに個々にケージに入れた。ケージの説明:ワイヤー製のトマト用ケージ、高さ30”×直径12”、抗ウイルス性の昆虫よけ網で覆ったもの。試験植物には、試行期間にわたり、自然光が当たるようにした。試験植物は、必要に応じ、24時間ごとに土に灌水した。植物を、施用前(事前計数)、施用の3日後、5日後、及び7日後に評価した。各複製から、評価される表面の区域が合計6cm角となる4枚の葉を無作為に選択して採取した。生きているナミハダニ及び死んでいるナミハダニについて、実際の計数値を記録した。ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種は、TSSMの若虫と成虫の両方に対して、わずかな活性を示した。この活性は、TSSMに対する生物系殺有害生物剤製剤としての潜在能力を示すものである。この処理により、試料上で観察された生きているダニの数も減少した。このことは、MBI206が、TSSMに対する生物系殺有害生物剤製剤としての潜在能力を示すことの説得力のある証拠である。
[実施例14]
【0237】
ブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の発酵上清の、マリーゴールド植物を侵襲するナミハダニに対する有効性
6”コンテナ中で生育した、マリーゴールド植物を、宿主植物(綿)から摘み取った葉を試験植物上に置くことにより、ナミハダニに侵襲させた。およそ30〜40匹のナミハダニが居る8〜10枚の葉を、試験植物の多様な部位上に14日間置いた。試験植物は、侵襲の後、個々にケージに入れて、ダニ集団を構築させた。宿主葉を試験植物から除去した。試験植物には、試験剤施用以前には、殺有害生物剤を施用しなかった。植物は、100%上清又は10%上清(水中)のいずれかで処理した。スプレー剤施用は、使い捨ての手動噴霧器を用いて、流出させずに全体を覆うように施用した。試験植物は、研究用温室の、金網を立ち上げたベンチ上に置き、完全なランダム化されたブロック状のデザインに並べた。研究用温室を、Procom、Micro Grow Greenhouse System温度制御システムによりモニタリングする。環境条件の平均値は、試行日の間、高温が85F〜低温が72Fであった。湿度レベルの平均値の範囲は、40%〜75%であった。試験植物には、試行期間にわたり、自然光が当たるようにした。試験植物は、必要に応じ、24時間ごとに土に灌水した。植物を、施用前(事前計数)、施用の3日後、5日後、7日後、及び14日後に評価した。評価は、1複製当たり合計6cm角の区域について行った。生きている/死んでいるナミハダニ若虫、及び、生きている/死んでいるナミハダニ成虫について、実際の計数値を記録した。
[実施例14]
【0238】
イチゴにおけるナミハダニ(TSM、two spotted spidermite)の制御についてのブルクホルデリア属(Burkholderia)の種の製剤(MBI206)の有効性:圃場データ。
圃場条件下でのTSM制御について、5種類の伝統的な化学由来品及びMBI206の有効性を評価した。「Strawberry Festival」の移植苗を、圃場内の、高さ13インチ、上部の幅27インチで苗床の間隔が4フィートの、プラスチックのマルチングを施された苗床に植えた。植えた後、頭上潅水を10日間施して、移植苗の定着を促した。残りの実験には、点滴潅水を用いた。各12.5フィートの区画は、1床当たり10本の苗の畝が2列で、20本の苗からなっていた。この区画を、1本の苗当たり10〜20匹の運動性を有するTSMに、4回のセッションで、実験室のコロニーから侵襲させた。各セッションで、本実験の1ブロックの侵襲を達成した。実験は、殺ダニ剤の施用の多様な比率及びスケジュールの処理からなっており、いくつかはアジュバントと組み合わせ、1つは非処理の基準とした。処理は、RCBデザインで4回複製された。TSMの密度が閾値レベル(6Jan)に達する前にSavey及びAcramite処理を施し、処理プログラムの残りは、2週間後に始めた。処理は、45度のコア及び4番ディスクを含有するノズルが備えられているスプレー棒付きの手持ちタイプの噴霧器を用いて施した。噴霧器は、COにより40psiに加圧し、1エーカー当たり100galを送達するように目盛を調整した。処理前の試料を1日目に採取し、試料採取は、処理の最終施用の2週間後まで週1回継続した。試料は、1区画当たり10枚の無作為に選択した小葉からなり、苗の中間の3分の1の層から採集した。試料は、実験室に運び、そこで、運動性を有するTSM、及びTSMの卵を、小葉から、回転中の粘着性のディスク上にブラシではらい落し、ディスク表面の1/10上で計数して、小葉1枚当たりの平均数を推定した。生存能力のある卵とない卵とを区別することができなかったので、卵の合計数を記録した。最も高率(3gal/エーカー)のMBI206では、卵の数は、化学制御剤のうち少なくとも2つに匹敵するレベルで減少を示す。
【0239】
【表15】
[実施例15]
【0240】
フィールド(filed)条件下での柑橘類におけるミカンハダニ(フィロコプトルタ・オレイボラ(Phyllocoptruta oleivora))の制御
MBI206(ブルクホデリア(Burkhoderia)種の製剤化されたブロス)を、0.25%v/v/のLI−700(表面活性物質)と組み合わせて、1エーカー当たり1ガロン、2ガロン、及び3ガロンでバレンシアスイートオレンジ上にスプレーし、100GPAの体積で送達した。単一の処理を送達させ、未処理試料と比較した。処理前、次いで、処理の1日後、7日後、10日後、及び14日後に、ダニの計数を実施した。ダニの計数値は、1箇所の試料採取時点について1処理当たり果実10個の平均値とした。MBI206処理では、未処理対照(1回の計数当たりダニおよそ16匹)と比較すると、1エーカー当たり1ガロン及び2ガロンのMBI206を用いた処理の14日後時点で、ダニの存在数が減少している(1回の計数当たりダニおよそ6〜8匹)ことが観察された。
[実施例16]
【0241】
ミルクウィードバグに対するテンプラアミド、FR901465、及びFR901228の殺虫(吸汁接触毒性の)活性。
それぞれ純粋化合物であるテンプラアミドB(MBI206、分子量537)、FR901465(MBI206、分子量523)、及びFR901228(MBI206、分子量540)の殺虫活性を、吸汁接触バイオアッセイ系を用いた実験室アッセイで試験した。これらの化合物を100%エタノールに溶解して、濃度を1mg/mLとした。四齢のミルクウィードバグ、すなわち、最後から2番目の若虫である幼虫を1匹ずつ、各タブに2個のヒマワリ種子の入った5C Rubbermaidコンテナ中に置き、水のカップ(水は、綿の芯でカップと接触している(water in contact cup with cotton wick))1個を各タブの中に入れた。Hamiltonマイクロピペットを使用して、1μL(1滴)の化合物をミルクウィードバグ(MWB、milkweed bug)の各幼虫の腹部上に施用する。タブをRubbermaidコンテナ中に置き、メッシュの蓋をかぶせた。1試料当たり8匹の幼虫を処理した。このアッセイを、25℃、12時間明/12時間暗の条件でインキュベートした。幼虫は、施用の4日後及び7日後時点で評点付けした。3種類の化合物はすべて、MWBに対する接触毒性の活性を呈したが、すべての昆虫が死んではおらず、多くは、明らかに影響を受けて動けなくなっていた。MWBの大半は7日目には脱皮しており、このことから、これらの化合物は、脱皮を阻害し得る又はMWBの正常な発達に影響を与え得ることが示唆される。こうして、FR901465は、ミルクウィードバグを、FR901228(分子量540)及びテンプラアミドBより良好(87.5%)に制御した(図4)。
[実施例17]
【0242】
二齢後期/三齢初期のリグス・ヘスペルス(Lygus hesperus)に対する純粋化合物の殺虫活性
ブルクホルデリア(Burkholderia)から単離された4種類の化合物、すなわち、テンプラアミドA、テンプラアミドB、FR901465、及びFR901228の殺虫活性を、処理されたサヤインゲンを12ウェルプレートに入れたバイオアッセイ系を用いた実験室アッセイで試験した。化合物を100%エタノールに溶解して濃度を1mg/mLとし、500μLのこの試料を3.5mLの水に加えて総体積4mLとした。含有されている化合物の濃度は0.25mg/mLである。サヤインゲンは、漂白剤溶液中で事前に洗浄し、次いで、水中に置いてすすいだ。豆は、使用前に乾燥させ、次いでハサミで切断して、12ウェルプレートのウェルに収めた。ピンセットを利用して、豆を、各処理を含有する15mLのプラスチック製ファルコンチューブ中に浸し、次いで、正確に1分間、処理中に沈めた。1つの豆片を各ウェル中に入れ、次いで、二齢後期/三齢初期のリグス・ヘスペルス(Lygus hesperus)を1匹ずつ、ブラシを利用してウェル中に置いた。プレートシーラーを使用してトレイを覆い、通気のためにプレートシーラーに孔をあけた。1ウェル当たりのリグス(Lygus)の数を計数し、プレートをベンチトップ(brench top)上に置いた。幼虫は、施用24時間後、48時間後、及び120時間後の時点で評点付けした。図5に示す結果に基づき、化合物FR901465は最も強力で致死率91.2%、続いて、テンプラアミドBが69.2%、FR901228が51.7%であることが見出された。テンプラアミドAは、リグス(Lygus)の摂食バイオアッセイでは不活性であった。この試験に用いた陽性対照は、比率が13μL/10mLのAvid(アベルメクチン(Avemectin))であった。
[実施例18]
【0243】
FR901228の殺線虫活性
FR901228の純粋な試料を、in vitroでの96ウェルのプラスチック細胞培養プレートを用いたバイオアッセイを用いて試験した。50μlの水溶液に入った15〜20匹の線虫を、3μlの20mg/ml FR901228溶液に、25℃で24時間曝露させた。インキュベーション期間が終了したらすぐに、化合物で処理した各ウェルに入った若齢の線虫(J2)の不動率の目視採点に基づいて結果を記録した。各処理を、4つのウェルの複製で試験した。各試行には3つの対照、すなわち、1つの陽性対照(1% Avid)及び2つの陰性対照(DMSO及び水)が含まれる。試行(T1)は、自由生活性線虫(FLN、Free living nematode)を用いて実施し、トレイル(trail)(T2)は、サツマイモネコブセンチュウ(M. incognita)という線虫を用いて実施し、試料は100%DMSOに溶解した。FR901228(分子量540)は、自由生活性線虫に対して不動率75%という優れた制御を示し、サツマイモネコブセンチュウ(M. incognita)では不動率は75%であった。
【0244】
微生物の寄託
以下の生物学的材料は、ブダペスト条約の条項に従い、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815N.、University Street、Peoria、Illinois、61604、USAに寄託され、以下の番号を与えられている:
寄託 ブルクホルデリア属(Burkholderia)のA396種
受託番号 NRRL B−50319
寄託日 2009年9月15日
【0245】
本株は、本株の培養物の利用は、米国特許規則第1.14条及び米国特許法第112条の下で米国特許商標庁長官によって権利を与えると決定された者に対して本特許出願の係属期間中も認められることが保証されるという条件で寄託されている。寄託物は、寄託株の実質的に純粋な培養物である。寄託物は、本出願の対応出願、又はその子出願が出願される国の外国特許法により、必要に応じて入手可能である。しかし、寄託物が入手可能であるということは、政府の決議により助成された特許権を制限する形での本発明の実行を許可するものではないことは理解されるべきである。
【0246】
特定の実施形態を参照して本発明を記載してきたが、その詳細は、限定的なものと解釈されるべきではなく、その理由は、多様な等価物、変形、及び改変形が使用される可能性があり、それらもやはり本発明の範囲内であることは明白だからである。
【0247】
本明細書を通じて多様な参考文献を引用しているが、各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0248】
(参考文献)






図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]