特許第5961700号(P5961700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961700易剥離性粘着剤及びそれを用いた易剥離性粘着材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961700
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】易剥離性粘着剤及びそれを用いた易剥離性粘着材料
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20160719BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C09J133/06
   C09J7/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-546926(P2014-546926)
(86)(22)【出願日】2013年10月29日
(86)【国際出願番号】JP2013079198
(87)【国際公開番号】WO2014077115
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-253553(P2012-253553)
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】三山 敏史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和司
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/092906(WO,A1)
【文献】 特開2010−184979(JP,A)
【文献】 特開平09−251273(JP,A)
【文献】 特開2011−003794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温で粘着性であり低温で非粘着性である易剥離性粘着剤であって、
鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーとを含み、
前記非結晶性ポリマーが以下の単量体(b)、(d)及び(e):
(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;
(d)一般式(IV);CH=CHC(=O)OR
(ここで、Rは炭素数10以下のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び
(e)一般式(V);CH=CH(CH)C(=O)OR
(ここで、Rはメチル基、エチル基、イソブチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基及びイソボニル基からなる群から選ばれる1の置換基である)で示されるアクリル系単量体;
を含み、前記非結晶性ポリマーのガラス転移温度が20℃と前記側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内にある、易剥離性粘着剤。
【請求項2】
請求項1記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーが、以下の単量体(a):
(a)一般式(I);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;
を含み、前記側鎖結晶性ポリマーの融点が40℃以上である、易剥離粘着剤。
【請求項3】
請求項1記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーが、以下の単量体(c):
(c)一般式(III);CH=CH(R)OC(=O)R
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるビニル系単量体;
を含み、前記側鎖結晶性ポリマーの融点が40℃以上である、易剥離性粘着剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の易剥離性粘着剤において、前記単量体(b)の含有率が0.05〜10重量%である、易剥離性粘着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の易剥離性粘着剤において、前記易剥離性粘着剤における前記非結晶性ポリマーの含有率が90重量%以下である、易剥離性粘着剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーと前記非結晶性ポリマーが架橋している、易剥離性粘着剤。
【請求項7】
請求項6記載の易剥離性粘着剤において、多官能イソシアネートで架橋される、易剥離性粘着剤。
【請求項8】
支持体と前記支持体に担持された請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記易剥離性粘着剤とを含む、易剥離性粘着材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易剥離性粘着剤及びそれを用いた易剥離性粘着材料に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープや粘着シート等の粘着材料の用途は、包装用、貼付け用、建設機材用、医療用、電気製品を含む各種製品の表面保護用等であり、幅広く展開されている。このような粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等があげられる。そして、上記各用途に適する粘着力を備えた粘着剤の開発が続けられている。
【0003】
また、上記用途とは異なる粘着材料の適用例として、電子機器の固定用粘着剤、例えば、ダイシングテープがあげられる。ダイシングテープとは、半導体ウエハのダイシング工程時にウエハを保護及び固定し、ピックアップ工程まで保持するためのテープをいう。このように、当該固定用粘着剤では剥離性が特に重要である。すなわち、ダイシング工程において、ウエハを固定する加工工程では、ウエアを固定及び保護するために粘着性が要求され、ウエハをピックアップする剥離工程では、ウエハの剥離を容易にするために非粘着性が要求されるからである。従って、加工工程では粘着性であり、剥離工程では非粘着性である易剥離性粘着材料が必要とされる。近年では、例えば、特許文献1には、紫外線等で照射して非粘着性になる易剥離性粘着材料が記載されている。また、特許文献2には、発泡現象を利用して非粘着性になる易剥離性粘着材料が記載されている。これらの材料では粘着は1回しか行うことができず、不可逆的である。さらに、特許文献3には、側鎖結晶性ポリマーの融解現象を利用した、高温時に粘着性であり低温時に非粘着性である易剥離性粘着材料が開示されており、粘着力を可逆的に制御できる粘着材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−12468号公報
【特許文献2】特公平6−79812号公報
【特許文献3】特開平2002−322448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、粘着材料の新たな応用分野を開発し、さまざまな用途展開を行うにあたっては、粘着力を可逆的に制御する技術の開発が望まれていた。
【0006】
現在、可逆的に粘着力を制御できる易剥離性粘着材料を繰り返し使用すると、使用回数の増大にともない、易剥離性粘着材料の粘着力が徐々に低下していくという問題があった。この粘着力の低下は、作業時に粘着材料に粘着対象物を固定した場合や、環境からの塵埃が徐々に付着して蓄積することが原因であることが顕微鏡観察等で明らかになっている。当該不利益を克服するための方策として、粘着材料が非粘着状態の場合に付着物を除去することが考えられる。すなわち、粘着材料を室温で非粘着状態にして、布などで粘着材料表面をクリーニングすることにより除去するという方策である。しかし、その場合でも、クリーニングを行っても一度付着した塵埃等は除去するのは難しく、また、当該クリーニングにより粘着材料の粘着力が低下するという欠点もあった。このように、従来の粘着力を可逆的制御できる易剥離性粘着材料は、繰り返し使用が制限されるという問題があった。特に、従来の易剥離性粘着材料はゴム状態であるため、塵埃が付着しやすく、一度付着した塵埃を除去する作業が困難であるという問題があった。そのため、可逆的に粘着力を制御できる易剥離性粘着材料を繰り返し使用するため、従来とは異なる粘着力を可逆的に制御する技術を開発することが望まれていた。
【0007】
さらに、粘着材料の適用例としては、印刷装置等の給紙装置に用いる粘着剤もあげられる。ここで、当該給紙装置で用いられる粘着剤は、特に、読込み時には粘着性であり、排出時には非粘着性であることに加え、排出される枚数が正確であることも要求される。
【0008】
このように、本発明は、粘着材料を室温で布などによりクリーニングすることにより容易に粘着力を回復でき、使用回数が大幅に増大した易剥離性粘着剤及びそれを用いた易剥離性粘着材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、易剥離性粘着剤の融点が40℃以上で、ガラス転移温度が20℃から前記易剥離性粘着剤の融点より20℃高い温度の範囲内である、従来とは異なる高温で粘着性であり低温で非粘着性である易剥離性粘着剤を開発して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0011】
(1) 高温で粘着性であり低温で非粘着性である易剥離性粘着剤であって、前記易剥離性粘着剤は、融点が40℃以上であり、かつ、ガラス転移温度が20℃から前記易剥離性粘着剤の融点より20℃高い温度の範囲内であることを特徴とする、易剥離性粘着剤。
【0012】
(2) (1)記載の易剥離性粘着剤において、側鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーとを含む、易剥離性粘着剤。
【0013】
(3) (2)記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーが、以下の単量体(a)及び(b):
(a)一般式(I);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び
(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;
を含み、前記側鎖結晶性ポリマーの融点が40℃以上である、易剥離性粘着剤。
【0014】
(4) (2)記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーが、以下の単量体(b)及び(c):
(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び
(c)一般式(III);CH=CH(R)OC(=O)R
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるビニル系単量体;
を含み、前記側鎖結晶性ポリマーの融点が40℃以上である、易剥離性粘着剤。
【0015】
(5) (2)〜(4)いずれか1記載の易剥離性粘着剤において、前記非結晶性ポリマーが以下の単量体(b)、(d)及び(e):
(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR
(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;
(d)一般式(IV);CH=CHC(=O)OR
(ここで、Rは炭素数10以下のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び
(e)一般式(V);CH=CH(CH)C(=O)OR
(ここで、Rはメチル基、エチル基、イソブチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基及びイソボニル基からなる群から選ばれる1の置換基である)で示されるアクリル系単量体;
を含み、前記非結晶性ポリマーのガラス転移温度が20℃と前記側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内にある、易剥離性粘着剤。
【0016】
(6) (3)〜(5)いずれか1記載の易剥離性粘着剤において、前記単量体(b)の含有率が0.05〜10重量%である、易剥離性粘着剤。
【0017】
(7) (2)〜(6)いずれか1記載の易剥離性粘着剤において、前記易剥離性粘着剤における前記非結晶性ポリマーの含有率が90重量%以下である、易剥離性粘着剤。
【0018】
(8) (2)〜(7)いずれか1記載の易剥離性粘着剤において、前記側鎖結晶性ポリマーと前記非結晶性ポリマーが架橋している、易剥離性粘着剤。
【0019】
(9) (8)記載の易剥離性粘着剤において、多官能イソシアネートで架橋される、易剥離性粘着剤。
【0020】
(10) 支持体と前記支持体に担持された(1)〜(9)いずれか1項記載の易剥離性粘着剤とを含む、易剥離性粘着材料。
【発明の効果】
【0021】
本発明の易剥離性粘着剤は、従来の易剥離性粘着剤とは異なり、ガラス状態で非粘着化するため、塵埃が付着しにくく、かつ、付着した塵埃を容易に除去することができる。従って、本発明によれば、ゴム状態で非粘着化する従来の易剥離性粘着剤を用いることで生じる上記問題を解決できる。
【0022】
本発明によれば、粘着剤の繰り返し使用の回数を大幅に増大させることができ、長期にわたって粘着性を維持できるため、費用対効果が高い。
【0023】
また、本発明の易剥離性粘着剤は、幅広い用途に適する粘着力を備えるため、包装用、貼付け用、建設機材用、医療用、電気製品を含む各種製品の表面保護用、ダイシング、印刷装置や給紙装置等の幅広い分野に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の易剥離性粘着剤材料の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明の易剥離性粘着剤
本発明は、高温で粘着性であり低温で非粘着性である易剥離性粘着剤に関し、前記易剥離性粘着剤は、融点が40℃以上であり、ガラス転移温度が20℃から前記粘着剤の融点より20℃高い温度の範囲内であることを特徴とする。このような粘着剤を含む粘着材料は、塵埃が付着しにくく、さらに、付着した塵埃も室温で布等を用いて簡単にクリーニングできる。
【0026】
本発明の易剥離性粘着剤は、具体的には、主成分である高分子の側鎖に結晶性のアルキル鎖、エチレンオキサイド基、フルオロ基などを導入し、それらの側鎖の融解・相転移現象を利用して粘着性を発現させるような粘着剤をいう。または、高分子ネットワーク中に結晶性成分を含有させて、それらの含有成分の融解・相転移現象を利用して粘着性を発現させるような粘着剤でもよい。
【0027】
本発明の易剥離性粘着剤は、好ましくは、側鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーとを含む。具体的には、当該側鎖結晶性ポリマーの融点が40℃以上であり、当該非結晶性ポリマーのガラス転移温度が20℃と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内であると、高温で粘着性であり低温で非粘着性である易剥離性粘着剤が得られる。このため、上記のように、本発明の易剥離性粘着剤は室温でガラス状態になり、布等で容易クリーニングすることができ、かつ、塵埃も付着しにくいという利点がある。
【0028】
ここで、本発明の上記易剥離性粘着剤の当該非結晶性ポリマーのガラス転移温度は、20℃と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス10℃の範囲内、より好ましくは、20℃と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス5℃の範囲内である。又は、室温と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20、10又は5℃の範囲内であってもよい。
【0029】
(1)本発明に関する側鎖結晶性ポリマー
1)本発明に関する側鎖結晶性ポリマーとしては、以下の単量体(a)及び(b):(a)一般式(I);CH=CH(R)C(=O)OR(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体を含み、融点が40℃以上のポリマーがあげられる。当該側鎖結晶性ポリマーは、当該単量体(a)及び(b)を共重合して得られるアクリル系共重合プレポリマーでもよい。このように、本発明の易剥離性粘着剤には様々な単量体を用いることができる。従って、当該易剥離性粘着剤を用いた粘着材料等の適用範囲は広いという利点がある。
【0030】
当該単量体(a)において、Rを炭素数18以上のアルキル基にすることにより、側鎖結晶性ポリマーの融点を40℃以上にすることができる。当該単量体(a)としては、オクタデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ドコシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ドコシルメタクリレート等があげられるが、これらに限定されない。
【0031】
当該単量体(b)としては、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル等があげられるが、これらに限定されない。
【0032】
また、単量体(b)の本発明の易剥離性粘着剤における含有率が0.05〜10重量%であると、架橋処理により、側鎖結晶性ポリマーの融点を40℃以上に維持することができる。架橋処理については、「(4)側鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの架橋」で説明する。以下同様である。
【0033】
2)本発明に関する側鎖結晶性ポリマーとしては、以下の単量体(b)及び(c):(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;及び(c)一般式(III);CH=CH(R)OC(=O)R(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数18以上のアルキル基である)で示されるビニル系単量体;を含み、融点が40℃以上のポリマーもあげられる。当該側鎖結晶性ポリマーは、当該単量体(c)及び(b)を共重合して得られるビニルーアクリル系共重合プレポリマーでもよい。このように、本発明の易剥離性粘着剤には様々な単量体を用いることができる。従って、当該易剥離性粘着剤を用いた粘着材料等の適用範囲は広いという利点がある。
【0034】
当該単量体(c)において、Rを炭素数15以上のアルキル基にすることにより、側鎖結晶性ポリマーの融点を40℃以上にすることができる。当該単量体(c)としては、パルチミン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等があげられるが、これらに限定されない。
【0035】
当該単量体(b)は上記のとおりである。単量体(b)の含有率が0.05〜10重量%であると、架橋処理により、側鎖結晶性ポリマーの融点を40℃以上に維持することができる。
【0036】
(2)本発明に関する非結晶性ポリマー
本発明に関する非結晶性ポリマーとしては、以下の単量体(b)、(d)及び(e):(b)一般式(II);CH=CH(R)C(=O)OR(ここで、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は少なくとも1個の水酸基を有する炭素数2〜14のアルキル基である)で示されるアクリル系単量体;(d)一般式(IV);CH=CHC(=O)OR(Rは炭素数10以下のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体;及び(e)一般式(V);CH=CH(CH)C(=O)OR(Rはメチル基、エチル基、イソブチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基及びイソボニル基からなる群から選択される置換基である)で表されるガラス転移温度が40℃以上のアクリル系単量体;を含み、当該非結晶性ポリマーのガラス転移温度が20℃と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内にあるようなポリマーがあげられる。ここで、当該非結晶性ポリマーは、当該単量体(b)、(d)及び(e)を共重合して得られるアクリル系共重合プレポリマーでもよい。これにより、本発明の組成物の粘着力や弾性率を良好に制御することができる。
【0037】
当該単量体(d)としては、具体的には、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシルがあげられる。このように、当該単量体(d)のRが炭素数10以下のアルキル基であり、単量体(e)のRが置換基としてメチル基、エチル基、イソブチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボニル基等である場合、非結晶性ポリマーガラス転移温度を20℃と側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内にすることができる。
【0038】
当該単量体(e)としては、具体的には、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシルがあげられる。
【0039】
当該単量体(b)は上記のとおりである。単量体(b)の非結晶性ポリマーにおける含有率が0.05〜10重量%であると、非結晶性ポリマーガラスの転移温度を、20℃から側鎖結晶性ポリマーの融点プラス20℃の範囲内にすることができる。
【0040】
また、非結晶性ポリマーの含有率は本発明の易剥離性粘着剤の90重量%以下である。具体的には、85重量%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.1%である。
【0041】
(3)ポリマーの重合
上記のように、本発明に関する側鎖結晶性ポリマーは、単量体(a)及び(b)を重合して得られるアクリル系重合プレポリマーや当該単量体(c)及び(b)を重合して得られるビニルーアクリル系重合プレポリマーである。また、非結晶性ポリマーは単量体(b)、(d)及び(e)を重合して得られるアクリル系重合プレポリマーである。好ましくは、単量体(a)及び(b)を共重合して得られるアクリル系共重合プレポリマー、単量体(c)及び(b)を共重合して得られるビニルーアクリル系共重合プレポリマー、又は、非結晶性ポリマーは単量体(b)、(d)及び(e)を共重合して得られるアクリル系共重合プレポリマーである。
【0042】
アクリル系重合プレポリマーやビニルーアクリル系重合プレポリマーを重合させる方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合や懸濁重合等の公知のいかなる重合方法をも用いることができる。
【0043】
この場合、重合で用いる重合開始剤としては、アゾ系化合物、過酸化系化合物の熱重合開始剤やアセトフェノン系化合物やベンゾインエーテル系化合物等があげられるが、これらに限定されない。これらの重合開始剤のうち、とくに、アゾ系化合物、過酸化系化合物の熱重合開始剤が好ましい。具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、クメンヒドキシパーベンゾエート、ジアセチルパーオキサイド等があげられるが、これらに限定されない。
【0044】
(4)側鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの架橋
上記のように、本発明に関する上記側鎖結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーとを架橋してもよい。用いられる架橋剤としては、架橋部位がアクリル酸、メタクリル酸の場合には、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等があげられるが、これらに限定されない。架橋部位が2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートの場合には、多官能イソシアネート、尿素樹脂等があげられるが、これらに限定されない。このような架橋により、本発明の易剥離性粘着剤の粘着力や弾性率を制御することができる。
【0045】
本発明の架橋としては、多官能イソシアネートを用いるのが好ましい。用いられる多官能イソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート及び1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及び1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等があげられるが、これらに限定されない。
【0046】
これらの多官能イソシアネートのうち、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましい。
【0047】
上記多官能イソシアネートは単独で又は組み合わせて用いることができる。また、用いる多官能イソシアネートは、本発明に関するアクリル系共重合プレポリマー又はビニルーアクリル系共重合プレポリマーのうち、活性化された水酸基1個に対してイソシアネート基が1当量以上の割合で配合されるのが好ましい。
【0048】
2.易剥離性粘着剤を用いた易剥離性粘着剤材料
本発明は、支持体と前記支持体に担持された易剥離性粘着剤とを含む易剥離性粘着剤材料に関する。
【0049】
易剥離性粘着剤材料は、粘着シートや粘着テープ等をいう。さらに、粘着シートの形状は、平面状のシートに限られず、ロール状等の形状の表面に易剥離性粘着剤が塗布されたものであってもよい。
【0050】
易剥離性粘着剤は上記『1.易剥離性粘着剤』に記載した易剥離性粘着剤をいう。本発明の易剥離性粘着剤は、好ましくは、架橋性粘着材料である粘着剤のプレポリマーである。
【0051】
本発明の易剥離性粘着剤を用いた易剥離性粘着剤材料の一例を図1に示す。図1は、本発明の易剥離性粘着剤(1)に支持体(2)が重層している易剥離性粘着剤材料である。ここで、支持体としては、紙、布、プラスチックフィルム、不織布、ガラス、金属箔等があげられるが、これらに限定されない。また、易剥離性粘着剤と支持体の間に下塗層があってもよい。下塗層とは、粘着剤が支持体からはがれにくくするために用いられるもので、親水性と疎水性を兼ね備えたポリマーが使用される。具体的にはマレイン酸共重合物とポリビニルブチラールの混合物、ポリビニルアルコールのオクタデシルイソシアネート付加物などが挙げられる。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明の易剥離性粘着剤の合成例及び当該易剥離性粘着剤の易剥離性粘着性に関する実施例を示す。
【0053】
(合成例1)
合成例1は、側鎖結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。オクタデシルアクリレート4.9g(アルドリッチ)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定から、得られたアクリル系共重合プレポリマーは重量平均分子量230,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析及びニコン製偏光顕微鏡による観察により、このアクリル系共重合プレポリマーの融点は50℃であることが示された。
【0054】
(合成例2)
合成例2は、側鎖結晶性ポリマーのビニルーアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。ステアリン酸ビニル4.9g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定から、得られたビニルーアクリル系共重合プレポリマーは重量平均分子量170,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析及びニコン製偏光顕微鏡による観察により、このビニルーアクリル系共重合プレポリマーの融点は56℃であることが示された。
【0055】
(合成例3)
合成例3は、非結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。メチルアクリレートを2.5g(東京化成)、メチルメタクリレートを2.5g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱光重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定により、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量は310,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析により、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度は45℃であることが示された。
【0056】
(合成例4)
合成例4は、非結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。メチルアクリレートを1.7g(東京化成)、シクロヘキシルメタクリレートを3.3g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱光重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定により、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量は310,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析により、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度は45℃であることが示された。
【0057】
(合成例5)
合成例5は、非結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。メチルアクリレートを1.5g(東京化成)、ベンジルメタクリレートを3.5g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱光重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定により、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量は250,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析により、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度は45℃であることが示された。
【0058】
(合成例6)
合成例6は、側鎖結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。オクタデシルアクリレート2,5g(アルドリッチ)、メチルアクリレートを2.5g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温にて乾燥させた。GPCによる測定により、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量は490,000であることが示された。熱分析及び偏光顕微鏡観察により、このアクリル系共重合プレポリマーの融点は50℃であり、ガラス転移温度は10℃であることが示された。
【0059】
(合成例7)
合成例7は、非結晶性ポリマーのアクリル系共重合プレポリマーの合成例を示す。メチルアクリレートを4.9g(東京化成)、メチルメタクリレートを0.1g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、及び熱光重合開始剤として2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃で10時間撹拌した。室温に戻してメタノールで再沈殿させた後、生成物を濾別して室温で乾燥させた。GPCによる測定により、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量は310,000であることが示された。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析から、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度は0℃であることが示された。
【0060】
(実施例1)
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例3で得られた非結晶性ポリマー1.0g、及び架橋剤としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.9N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0061】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作により、付着したベビーパウダーは除去された。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.8N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作により回復されたことが示された。
【0062】
(実施例2)
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例4で得られた非結晶性ポリマー1.0g、及び架橋剤としてのジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び1.2N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0063】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作により、付着したベビーパウダーは除去された。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び1.1N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作により回復されたことが示された。
【0064】
(実施例3)
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例5で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.8N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0065】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作により、付着したベビーパウダーは除去された。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.8N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作により回復されたことが示された。
【0066】
(実施例4)
合成例2で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例3で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.9N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0067】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作により、付着したベビーパウダーは除去された。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.9N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作により回復されたことが示された。
【0068】
(比較例1)
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例7で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び1.2N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0069】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作を行っても付着したベビーパウダーは除去されなかった。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.0N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作によっても回復されなかったことが示された。
【0070】
(比較例2)
合成例6で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと架橋剤としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解した。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。この粘着シートの粘着力を評価した。粘着力は日本計測のフォースゲージを用いて評価した。10mm幅の粘着シートのサンプルをホットプレート上に置き、フォースゲージ側に丸型の金属性のアタッチメントを取りつけて評価を行った。粘着シート作製時の20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び1.0N/25mmであった。これより、この粘着シートは加熱操作により粘着力を制御できることが確認された。
【0071】
次に、この粘着シートにベビーパウダーを付着させた場合の粘着力を測定した。パウダー付着時の65℃での粘着力は、0.0N/25mmであった。これより、ベビーパウダーが付着すると粘着力が阻害されることが示された。このベビーパウダーの付着した粘着シートを20℃でナイロン製の布を用いて粉末を除去するクリーニング操作を行った。このクリーニング操作を行っても付着したベビーパウダーは除去されなかった。クリーニング後のこの粘着シートの20℃及び65℃での粘着力は、各々0.0N/25mm及び0.0N/25mmであった。これより、この粘着シートの粘着力は、室温でのクリーニング操作によっても回復されなかったことが示された。
【0072】
以上の実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

表1の結果から、実施例1〜4で用いた本発明の易剥離性粘着剤を用いた粘着シートにパウダーを付着させてからクリーニングした場合の粘着力は、初期状態の粘着力とほぼ同程度に回復されたのに比して、比較例の粘着剤を用いた粘着シートにパウダーを付着させてからクリーニングした場合の粘着力は初期状態の粘着力までには回復されないことが示された。これより、本発明の易剥離性粘着剤は、繰り返し使用によっても付着した塵埃を容易に除去することができることが示された。
【0074】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施例は、本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の一部に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…易剥離性粘着剤
2…支持体
図1