特許第5961701号(P5961701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961701側方視野方向を有するビデオ内視鏡、及び、ビデオ内視鏡の取付け方法
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  • 特許5961701-側方視野方向を有するビデオ内視鏡、及び、ビデオ内視鏡の取付け方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961701
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】側方視野方向を有するビデオ内視鏡、及び、ビデオ内視鏡の取付け方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160719BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A61B1/00 300Y
   A61B1/04 372
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-547741(P2014-547741)
(86)(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-505708(P2015-505708A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2012005023
(87)【国際公開番号】WO2013091782
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】102011089157.9
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591228476
【氏名又は名称】オリンパス ビンテル ウント イーベーエー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユングバウアー セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥーレ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シェル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヒュブル ロニー
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−292713(JP,A)
【文献】 特開平07−110449(JP,A)
【文献】 特開2000−316794(JP,A)
【文献】 特開2009−207754(JP,A)
【文献】 特開平08−082766(JP,A)
【文献】 特開平06−209904(JP,A)
【文献】 特開2009−251574(JP,A)
【文献】 特開平10−127562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方視野方向を有するビデオ内視鏡(1)であって、
被覆チューブ(3)を有する内視鏡軸部(2)と、
前記被覆チューブ(3)の遠位端部にて前記被覆チューブ(3)に気密に接続された入口窓(4)と、
側方視野光学サブアセンブリ、及び、光学センサ(21)を有するセンサモジュール(20)と、を備えており、
前記センサモジュール(20)が、前記被覆チューブ(3)に対して回転可能なように取付けられ長手方向に延びる前記センサモジュール搬送具(30)の遠位側部に設置され、
前記側方視野光学サブアセンブリが、連結具(10)として設計され、前記連結具は、前記センサモジュール(20)、及び前記センサモジュール搬送具(30)の少なくとも一方の遠位に差込まれ、前記連結具は、前記センサモジュール(20)、及び前記センサモジュール搬送具(30)の少なくとも一方に対して、回転可能なように取付けられ、
前記連結具(10)が、前記被覆チューブ(3)に対して回転可能に固定されるよう、前記連結具(10)が、前記被覆チューブ(3)上の少なくとも一つの固定手段(5)とそれに相互作用する対応の少なくとも一つの固定手段(15)を有する
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオ内視鏡であって、前記入口窓(4)は、前記被覆チューブ(3)の長手軸に対して斜めに設置されていることを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
前記センサモジュール搬送具(30)、及び前記センサモジュール(20)の少なくとも一方が、二つの滑り軸受(25、32)を介して、前記被覆チューブ(3)に対して回転可能なように取付けられ
とを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項4】
請求項3に記載のビデオ内視鏡であって、
近位に配置された前記滑り軸受(32)が、流体封止を有する、及び水密に設計される、の少なくとも1つである
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
記固定手段(5、15)が、横断面において、形状による固定、及び強度による固定の少なくとも一方の方法で設計される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項6】
請求項5に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
前記固定手段(5,15)が、突部と溝部、及び溝部とばねを予荷重したばねの少なくとも一方として設計される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
前記被覆チューブ(3)の前記固定手段(5)が、前記被覆チューブ(3)の、長手方向に延びる一部分にわたって延長される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
滑り軸受(24)が、前記センサモジュール(20)と前記連結具(10)との間に配置される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項9】
請求項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
前記連結具(10)が、その近位側部で前記センサモジュール(20)、及び、前記滑り軸受(24)を受けるように設計され、
前記センサモジュール(20)を軸方向に固定するために、形状による固定、及び強度による固定の少なくとも一方で、前記センサモジュール(20)、又は、前記センサモジュール搬送具(30)の対応する構造と連結するための保持構造(14)が、近位縁部に備えられる
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)であって、
前記センサモジュール搬送具(30)が、剛性信号線搬送具、又は、内部チューブとして設計される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記ビデオ内視鏡(1)を取付ける方法であって、
入口窓(4)が、前記被覆チューブ(3)に気密に接続され、さらに、前記センサモジュール(20)を、前記センサモジュール搬送具(30)に、回転可能に固定して接続し、前記連結具(10)を、前記センサモジュール(20)と回転可能なように接続することで、摺動する集合体(10、20、30)を形成し、
前記摺動する集合体(10、20、30)が、前記被覆チューブ(3)内に挿入され、
挿入の際に、前記連結具(10)上の、前記少なくとも一つの固定手段(15)が、前記被覆チューブ(3)上の、前記少なくとも一つの固定手段(15)と係合する
ことを特徴とする取付け方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記入口窓(4)、及び前記被覆チューブ(3)の少なくとも一方が、前記摺動する集合体(10、20、30)が前記被覆チューブ(3)内に押込まれる前に、前記入口窓(4)と、前記被覆チューブ(3)との気密接続に起因する不純物が取り除かれている
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法であって、
前記連結具(10)の光学系、及び前記センサモジュール(20)の光学系の少なくとも一方の焦点が、前記摺動する集合体(10、20、30)が前記被覆チューブ(3)に押込まれる前に、並びに、前記連結具(10)が前記センサモジュール(20)と接続される前、及び後の少なくとも一方に合わせられる
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、側方視野方向を有するビデオ内視鏡であって、被覆チューブを有する内視鏡軸部と、被覆チューブの遠位端部にて被覆チューブに気密に接続され、具体的には、被覆チューブの長手軸に対して斜めに設置される入口窓と、側方視野光学サブアセンブリ、及び、光学センサを有するセンサモジュールとを備えており、ここで、センサモジュールが、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられ長手方向に延びるセンサモジュール搬送具の、遠位側部に設置されることを特徴とするビデオ内視鏡に関する。本発明はさらに、本発明による当該ビデオ内視鏡の取付け方法にも関する。
【0002】
側方視野方向を有するビデオ内視鏡は、内視鏡手術時の解剖学的空間、又は、術野それぞれにおいて、利用可能な空間が減少した結果、特定の臓器の領域を検査するために用いられる。こうした型の内視鏡を使用する際、操作者には、慣習的に、長手方向に回転可能な内視鏡が提供される。そのため、操作者、又は、手術者それぞれが、最大限の快適さを得られるように、内視鏡内にシステムが組込まれることがあり、それにより、撮像素子の方向を保持でき、従って、内視鏡が内視鏡自体の長手軸を中心に回転する間の画像の方向を保持できる。結果として、操作者が術野における操作者自身の方向感を保つことは、より容易である。
【0003】
このような内視鏡の、耐加圧蒸気滅菌性を確実にするため、可動式光学部品を、密封された空間に配置しなければならない。こうすることは、光学システム内への水分の浸透を防ぐために必要である。内視鏡先端から光学系の握り手部分まで延びる密封された空間、又は、密封された体積それぞれに、すべての光学部品が備えられる。
【0004】
望ましい耐加圧蒸気滅菌性を有効にするための、内視鏡軸部の気密封止の必要条件を確保するためには、通常、内視鏡の遠位先端に位置する、傾斜があり、具体的には、平面であってよい入口窓、又は、例えば、具体的には、半球状形に設計されたドーム状のガラス等を、内視鏡軸部に、具体的には、内視鏡軸部の被覆チューブに、全周にわたって接続する。気密接続は、例えば、はんだ付け等によって確立する。はんだ付けは、内視鏡軸部内に導入されたサブアセンブリの取付け後に行われる。従ってこの場合、ガラスの主に内側に不純物が生じる原因となる。この種のシステムでは、事後に不純物を取り除くことはできない。
【0005】
気密封止を確立するもう一つの可能性は、内視鏡先端の全体を後から接続することである。光学サブアセンブリに規定許容値がある場合は、熱入力が原因で、接続中に変形が生じる可能性があるため、この接続は非常に複雑で、相応して高価である。
【0006】
この最先端技術とは対照的に、本発明の課題は、ビデオ内視鏡を手早く清潔に、かつ、規定許容値の範囲内で製造でき、ビデオ内視鏡の耐加圧蒸気滅菌性が確保されるビデオ内視鏡、及び、ビデオ内視鏡の取付け方法を提供することである。
【0007】
この課題を解決するのは、側方視野方向を有するビデオ内視鏡であって、被覆チューブを有する内視鏡軸部と、被覆チューブの遠位端部にて被覆チューブに気密に接続され、具体的には、被覆チューブの長手軸に対して斜めに設置される入口窓と、側方視野光学サブアセンブリ、及び、光学センサを有するセンサモジュールとを備えており、ここで、センサモジュールが、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられ長手方向に延びるセンサモジュール搬送具の、遠位側部に設置され、ここで、側方視野光学サブアセンブリが、連結具として設計され、連結具は、センサモジュールに、及び/又は、センサモジュール搬送具に遠位に差込まれてよく、又は、差込まれ、連結具はまた、センサモジュール、及び/又は、センサモジュール搬送具に対して、回転可能なように取付けられ、ここで、連結具が被覆チューブに対して回転可能に固定されるよう、連結具が、被覆チューブ上の少なくとも一つの固定手段と対応する、少なくとも一つの固定手段を有することを特徴とするビデオ内視鏡である。
【0008】
本発明は、連結具の使用に基づくものである。連結具は、延長具とも呼ばれることがあり、プリズム保持具上、又は、ミラー保持具上に、プリズム、又は、ミラーを備え、センサモジュール上、又は、センサモジュール搬送具上に挟んで留められ、又は、取付けられてよい。連結具は、例えば、滑り軸受等を用いて、回転可能なように取付けられる。それにより、被覆チューブ内に設置する必要のある部品を組み合わせて、すべてまとめて摺動する集合体として被覆チューブ内へ押込むことが、初めて可能となった。この結果、例えば、はんだ付け等により、入口窓を有する被覆チューブの気密封止を確立することが可能になり、それに続いて、センサモジュールがプリズム保持具、又は、ミラー保持具と共に押込まれる前の、空の被覆チューブ内から、例えば、入口窓等を清潔にすることも可能になる。
【0009】
側方視野ビデオ内視鏡の場合には、視野方向と、これに従い、被覆チューブ内のプリズム、又は、ミラーの方向もまた重要であるため、連結具は固定手段も備えており、固定手段は、被覆チューブ内の対応する固定手段と共に機能し、連結具内のプリズム、又は、ミラーが、押込まれた後に、被覆チューブに対して捩れないようにする。プリズム、又は、ミラー自体はそれぞれ、被覆チューブ内の固定手段と、ハンドルへの剛性接続を介して動く。光学センサを有するセンサモジュールは、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられ、プリズム、又は、ミラーに対して回転可能なようにも取付けられる。こうした回転は、例えば、作動装置、又は、磁気カップリング等の、近位に配置された回転手段等から、センサモジュール搬送具を介して、センサモジュールへ伝達される。
【0010】
本発明の枠組みにおいては、被覆チューブと呼ばれるチューブは、プリズム、又は、ミラーそれぞれと、回転可能に固定して接続され、センサモジュールは、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられる。代替の変形案において、この方法で設計された被覆チューブは、内視鏡軸部の内部チューブにもなり得る。従って、本特許出願における「被覆チューブ」という用語は上記の機能を指しており、必ずしも、最外部で内視鏡軸部を包み込むチューブ、という役割を指してはいない。
【0011】
センサモジュール搬送具は、剛性信号線搬送具、又は、内部チューブとして設計されるのが好ましい。相当する剛性信号線搬送具、又は、信号導体搬送具は、例えば、本出願人のドイツ特許出願第10 2010 044 786.2号、及び、ドイツ特許出願第10 2011 076 077.6号等に示されており、これら特許出願における開示内容をすべて、本特許出願に引用して援用する。開示内容には絶縁導体搬送具が含まれ、絶縁導体搬送具上、又は、絶縁導体搬送具内に、信号線、又は、導体経路それぞれが配置される。剛性信号線搬送具は、具体的には円筒状で長手方向に延びており、例えば、鋳造、又は、射出成形技術等によって製造することができる。導体経路は、例えば、成形回路部品の製造技術等に応用される。代案として、剛性信号線搬送具は、剛性平型導体経路としても設計できる。さらに代案として、センサモジュール搬送具は、内部チューブとして設計でき、内部チューブは、被覆チューブ内において同心円状に、回転可能なように取付けられる。被覆チューブは、その内部、又は、外部に、例えば、信号導体等を有することもできる。
【0012】
センサモジュール搬送具、及び/又は、センサモジュールは、二つの滑り軸受を介して、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられるのが好ましく、ここで、具体的には、近位に配置された滑り軸受が、流体封止を有する、及び/又は、水密に設計される。センサモジュール搬送具、及び、センサモジュールは、二つの滑り軸受によって、被覆チューブ内に回転可能なように取付けられる。センサモジュール搬送具、及び、センサモジュールは、被覆チューブ内で傾かないよう同時に固定される。
【0013】
内視鏡内への蒸気の浸透、並びに、プリズム、及び、センサモジュールのガラス上に水滴が落ちることを防ぐため、流体封止が備えられるのが好ましい。この型の流体封止は、磁気を帯びた磁性流体封止として設計されてよい。こういった磁気を帯びた磁性流体封止は、リング型磁石を備えており、リング型磁石は、例えば、センサモジュール搬送具等の、封止する部分の周囲に配置され、センサモジュール搬送具との間に隙間がある状態にしている。この隙間には、強磁性の材料から作られるナノ粒子懸濁液からなる強磁性流体が配置される。ナノ粒子の直径は、強磁性磁区よりも小さい。この場合、混濁液の溶媒は、オイルであることが好ましい。ナノ粒子の小ささ故に、混濁液溶媒中で分子のブラウン運動が起きやすく、粒子同士が付着し難い。ナノ粒子の凝集作用もまた、対応する表面処理をナノ粒子に施すことで防止できる。
【0014】
強磁性流体が隙間をすべて塞ぐように、ナノ粒子は、リング型磁石の磁場に適宜配列されている。磁場もまた、強磁性流体が隙間の外へ到達しないように、強磁性流体を隙間内に留めている。周囲の気圧、又は、水蒸気圧に対する抵抗を高めるために、幾つかの流体封止、又は、対応する強磁性流体を有する縦に繋がった幾つかの環状開口部がそれぞれ、リング型磁石上に備えられてもよい。
【0015】
最後に、加圧蒸気滅菌中に液体水が浸透するのを防ぐため、近位滑り軸受もまた、水密に設計されてよい。
対応する固定手段は、横断面において、基本的に、形状による固定、及び/又は、強度による固定の方法、具体的には、突部と溝部、又は、溝部と、ばねを予荷重したばねとして設計されるのが好ましい。対応する固定手段のうちの、形状による固定、及び/又は、強度による固定は、連結具、又は、搬送具それぞれの、被覆チューブに対する周方向のいかなるぶれをも防ぐ。従って、連結具上に溝部が備えられ、被覆チューブに、対応する相補的形状が備えられてよく、又は、その反対でもよい。
【0016】
固定手段は、被覆チューブの長手方向に延びる部分にわたり、被覆チューブ上で有利に延長される。それにより、センサモジュールに取付けられた連結具が被覆チューブ内へ押込まれる際に、被覆チューブに対するプリズム、又は、ミラーの方向を早く把握し、押込む間中、その方向を保つことが可能である。こういった場合、具体的には、被覆チューブ内の固定手段に、連結具の固定手段を重ねることによって、被覆チューブの近位端部に、すでに連結具を装着することができており、後に、内視鏡軸部の遠位端部近くで回転させずともよくなる。
【0017】
滑り軸受は、センサモジュールと連結具との間に配置されるのが好ましい。従って、連結具とセンサモジュールは、互いに直接取付けられており、結果的に、空間を節約した構造となる。
【0018】
連結具はさらに、連結具の近位側部で、センサモジュール、及び、滑り軸受を受けるように設計されるのが好ましく、ここで、センサモジュールを軸方向に固定するために、形状による固定、及び/又は、強度による固定で、センサモジュール、又は、センサモジュール搬送具の対応する構造と連結するための保持構造が、近位縁部に備えられる。この保持構造は、縁形に備えられてよく、軸方向にも突部、又は、溝部を有して設計され、ここで、センサモジュール、又は、センサモジュール搬送具と、連結具との間に、同様にさねはぎ接続が実現されるように、センサモジュール、又は、センサモジュール搬送具が、その外周の遠位端部領域に、保持構造に対応する突部、又は、溝部を有する。接続によって、この二つの構成部品が、互いに対して軸方向に捩れることが可能となる。これにより、少なくとも予め設定した、又は、予め設定可能な消費力に至るまでは、軸方向に引き離されることを防ぐ。
【0019】
本発明の根本的な課題はまた、本発明による、前述のビデオ内視鏡の取付け方法によっても解決され、ここで、入口窓が、被覆チューブに気密に接続され、さらに、センサモジュールを、センサモジュール搬送具に、回転可能に固定して接続し、連結具を、センサモジュールと回転可能なように接続することで、摺動する集合体を形成し、ここで、摺動する集合体が、被覆チューブ内に挿入され、ここで、挿入の際に、連結具上の少なくとも一つの固定手段が、被覆チューブ上の少なくとも一つの固定手段と係合する。
【0020】
一方では摺動する集合体が形成され、他方では被覆チューブの遠位に気密封止が形成されることで、摺動する集合体が被覆チューブに押込まれる前に、被覆チューブ、又は、入口窓を、それぞれ内側から清潔にすることができる。同時に、被覆チューブの気密封止の際に、プリズム、又は、ミラーもまた汚れないように、摺動する集合体、具体的には、遠位に配置されたプリズム、又は、ミラーは、封止が設置される位置から離れている。
【0021】
摺動する集合体が被覆チューブ内に押込まれる前に、入口窓と被覆チューブとの気密接続に起因する不純物が、入口窓、及び/又は、被覆チューブから取り除かれているのが望ましい。メニスカスレンズもまた、摺動する集合体が押込まれる前に、プリズム、又は、ミラーの遠位端面に取付けられるのが望ましい。これは、プリズム、又は、ミラーが連結具に設置される前、若しくは、後に行われるか、又は、プリズム、又は、ミラーを有する連結具が、センサモジュール上に押入れられた後に行われてよい。
【0022】
連結具の光学系、及び/又は、センサモジュールの光学系の焦点は、摺動する集合体が被覆チューブに押込まれる前に、並びに、連結具がセンサモジュールと接続される前、及び/又は、後に、有利に合わせられる。即ち、例えば、メニスカスレンズ、プリズム、ミラー、及び他のレンズ等の、個々の光学部品は、所望の視野方向において、所望の鮮明な画像を得るために、センサの前の光学経路にて互いに整列する。
【0023】
本発明によるビデオ内視鏡の側方視野方向は、事前に恒久的に設定されるか、段階的に調整可能か、又は、連続的に変動可能である。これらに対応し、作動装置、又は、機械的手段を有する機械装置、又は、解決手段は知られており、これもまた、本発明に示す取付け構想を用いて設置することができる。
【0024】
本発明のさらなる特徴は、本発明の特許請求の範囲、及び、添付図面と共に、実施形態の記載から明らかになるであろう。本発明の実施形態は、個々の特徴、又は、幾つかの特徴の組合せを満たすことができる。
【0025】
本発明は、図面を参照する例示的な実施形態に基づき、本発明の大意を限定することなく下に記載されており、これにより出願人は、明細書中に十分詳しく説明されていない、本発明のすべての詳細の開示について、図面に明示的に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、長手方向に延びる内視鏡軸部2を有する、本発明によるビデオ内視鏡1の、例示的な実施形態を、概略的な断面図にて示す。明確にする目的上、近位に配置されるハンドルは図示していない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
内視鏡軸部2は被覆チューブ3を備えており、被覆チューブ3は、その遠位先端にて、平面入口窓4によって閉じられており、平面入口窓4は、気密封止を実現するために、周囲を被覆チューブ3とはんだ付けされている。これにより、加圧蒸気滅菌中に、水及び水蒸気が、遠位側から被覆チューブ3内に入り、被覆チューブ3内に配置される光学部品に損害を与えることは不可能となる。被覆チューブ3は、図1に示されていないチューブ又は層に、順に囲まれてよい。
【0028】
これらの光学部品は、組み合わされて、摺動する集合体となる。摺動する集合体は、遠位にプリズム11を有する連結具10を備え、プリズム11の上にメニスカスレンズ12が配置される。プリズム11は、軸方向の側方から入射する光線を偏向させる。プリズム11は、センサモジュール20上に取付けられるプリズム保持具13によって保持される。センサモジュール20は、センサ搬送具22上の光学センサ21と、センサ21の前に位置するレンズ23、23´とを備え、レンズ23、23´は、プリズム11によって偏向された光を、センサ21へ投射する。
【0029】
プリズム保持具13とセンサモジュール20との接続は、基本的にプラグ接続である。このプラグ接続により、プリズム保持具13が、センサモジュール20に対して軸方向に回転でき、その逆も同様に可能である。これは、前述の二つの部品の間に配置された滑り軸受24によって成り立つ。軸方向の分離を防ぐために、プリズム保持具13は、その近位端部の周囲に、張出し部14又は突出部を有し、張出し部14又は突出部は、その近位端部に内側に向いた縁を有している。センサモジュール20とプリズム保持具13とが結合している間、センサモジュール20と接続された滑り軸受24は、こうして形成される環状の中空空間に収容される。あるいは、滑り軸受24はまた、プリズム保持具13と接続されてもよく、プリズム保持具13の縁又は張出し部14をそれぞれ能動的に接続できる別の環状構造が、センサモジュール20上に存在してよい。
【0030】
図1による本発明の内視鏡においては、側方視野方向の変更を可能にするために、外被覆チューブ3を回転させる。このために、プリズム11は、連結具10のプリズム保持具13と接続され、留め具15を介して被覆チューブ3に接続される。このため、被覆チューブ3は溝部5を有し、溝部5内に留め具15が係合する。留め具15は、いわゆるばね、即ち、溝部に対する係合体であってよく、また、予荷重されたばねでもよい。留め具15が被覆チューブ3の溝部5に挿入されると、被覆チューブ3の回転がプリズム11に伝達されるように、プリズム保持具13の長手軸、及び、結果的にプリズム11の長手軸を中心とした、被覆チューブ3及び平面入口窓4に対する回転は、いずれも阻止される。
【0031】
センサモジュール20は、被覆チューブ3に対して回転可能なように取付けられる。このため、滑り軸受25は、内視鏡軸部2の遠位領域に備えられ、被覆チューブ3とセンサモジュール20との間に配置される。もう一つの滑り軸受32は、内視鏡軸部2の近位領域に配置され、センサモジュール搬送具30の近位部が、被覆チューブ3に対して回転可能なように取付けられる。これにより、連結具10、センサモジュール20、及び、センサモジュール搬送具30からなる摺動する集合体が、被覆チューブ3に対して傾くことが防止される。
【0032】
センサモジュール搬送具は、図1による例示的な実施形態において、長手方向に延びる剛性信号線搬送具であり、その近位領域31が延びているものとして設計されている。この剛性信号線搬送具の表面、又は、内側にある信号線経路は、図示されていない。この信号線搬送具は、例えば、出願人のドイツ特許出願第10 2010 044 786.2号、又は、ドイツ特許出願第10 2011 076 077.6号から知られている信号線搬送具等に相当する。
【0033】
滑り軸受32は、具体的には、例えば、磁気を帯びた強磁性流体封止等の、流体封止を備えており、流体封止は、滑り軸受32の遠位において、被覆チューブ3の内側を密封し、内視鏡1の加圧蒸気滅菌中に水蒸気が浸透するのを防ぐ。滑り軸受32はまた、さらに液体水も浸透できないように、又は、流体封止が、それぞれ液体水からも保護されるように、水密に設計されてもよい。
【0034】
図1に示す剛性信号線搬送具30の代わりに、例えば、センサモジュール20が遠位に配置される剛性導体板、又は、内部チューブ等もまた用いられてよく、これらもまた、滑り軸受25、及び、32によって、被覆チューブに対して回転可能なように取付けられる。この時、連結具10もまた、センサモジュール20を囲む内部チューブ上に取付けられてよい。
【0035】
図1の例示的な実施形態とは対照的に、摺動する集合体10、20、及び、30が押込まれる際に、留め具15が、溝部5にすでに入り込むことができるようにし、従って、摺動を開始するときには、すでに連結具10の方向が決定しているようにするために、被覆チューブ3の溝部5を、被覆チューブ3の全長にわたるよう、又は、被覆チューブ3の長さの大半にわたるように設計することも可能である。これにより、本発明による内視鏡1の取付けが容易になる。
【0036】
本発明によるビデオ内視鏡はまた、固定プリズムの代わりに、連続的に変動可能な側方視野方向、又は、段階的に調整可能な視野方向を有することもできる。例えば、制御動作の作動装置、若しくは、機械的伝達装置等といった、対応する制御手段は、連結具と繋がることができ、又は、制御手段自体が連結具上に配置されることができる。
【0037】
図示のみされているものを含む、すべての固有の特徴、及び、他の特徴と組み合わせて開示されている個々の特徴は、本発明にとって重要なものとして、個別に、及び、組み合わせで考慮される。本発明による実施形態は、個々の特徴、又は、幾つかの特徴の組み合わせによって実現できる。
[参照符号の説明]
1 ビデオ内視鏡
2 内視鏡軸部
3 被覆チューブ
4 平面入口窓
5 溝部
10 連結具
11 プリズム
12 メニスカスレンズ
13 プリズム保持具
14 張出し部
15 留め具
20 センサモジュール
21 光学センサ
22 センサ搬送具
23、23´ レンズ
24 滑り軸受
25 滑り軸受
30 センサモジュール搬送具
31 信号線搬送具の近位領域
32 流体封止付き滑り軸受
図1