(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961733
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】脈動流体または断続流体の生成装置
(51)【国際特許分類】
B05B 1/08 20060101AFI20160719BHJP
B05B 12/06 20060101ALI20160719BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20160719BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B05B1/08
B05B12/06
E03C1/084
B08B3/02 G
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-150970(P2015-150970)
(22)【出願日】2015年7月30日
【審査請求日】2015年10月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507255994
【氏名又は名称】高野 雅彰
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅彰
【審査官】
平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−132957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/08
7/00 〜7/32
12/06
B08B 3/02
E03C 1/084
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または気体の流体を噴射する噴射機構と、前記噴射機構の下流に位置する閉鎖空間であり、その下方に流体排出部、その側面に外気を導通する通気路につながる導通孔を備え、その内部が外気で満たされた空間キャビティを備え、
前記噴射機構の噴射流体の噴射先または前記噴射流体の前記空気キャビティ壁面での衝突による変化により、前記噴射流体の一部が前記導通孔を一時的に覆いつつ流れて前記導通孔からの外気の通気量を制限するよう前記噴射流体を形成する構成であり、
前記空間キャビティ内を前記噴射流体が下方に流れることにより生じる前記空間キャビティ内の一時的な圧力低下と、前記導通孔からの外気の吹き込みによる前記空間キャビティ内の一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、前記外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、前記噴射機構から前記流体の脈動流または断続流を生成することを特徴とする脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項2】
前記流体排出部が、前記噴射機構から噴射される噴射流体によって全面が覆われつつ前記流体が排出され、下方から外気が逆流しない径および形状を備えたものである請求項1に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項3】
前記外気の吹き込みの強弱リズムのうち強い期間において、前記外気の吹き込みの強さが、前記導通孔近傍を通過する前記流体を切断する強さであることを特徴とする請求項1または2に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項4】
前記流体が内部に流れる本体構造物に対して、その外側を取り囲む外側体を備え、前記本体構造物と前記外側体に設けられた間隙によって前記通気路が形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項5】
前記空間キャビティが前記噴射流体の通り道として設けられ、系内に流入するものが前記噴射機構を介した前記噴射流体と前記導通孔を介した前記外気のみで、系外へ流出するものが前記流体排出部からの前記脈動流体または前記断続流体のみであり、前記空間キャビティはそれ以外の流入および流出がない閉鎖空間であり、前記噴射流体が流れ込んだ状態でも密閉状態にて空気が充満された状態が保持されるものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項6】
前記噴射機構が、下流側に打ち出される前記噴射流体が周回方向に連続した立体的な周回液流膜となるよう周回帯状の噴射口を備えており、前記周回液流膜が前記導通孔の近傍を通過するものである請求項5に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項7】
前記流体が水流から導かれた水であり、前記外気が空気であり、前記流体排出部から排出されるものが泡沫水の脈動流体または断続流体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項8】
前記流体が除菌液混合水であり、前記外気が空気であり、前記流体排出部から排出されるものが、除菌液含有の泡沫洗浄水の脈動流体または断続流体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項9】
前記流体がガス流体であり、前記外気が空気であり、前記流体排出部から排出されるものが、ガス空気混合気体の脈動流体または断続流体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項10】
前記流体が溶質混合の溶媒液であり、前記外気が気体であり、前記流体排出部から排出されるものが、溶質混合溶媒液の脈動流体または断続流体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項11】
前記流体が溶質混合の溶媒気体であり、前記外気が気体であり、前記流体排出部から排出されるものが、溶質混合溶媒気体の脈動流体または断続流体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の単数の脈動流体または断続流体の生成装置を複数セット含み、それぞれの前記流体排出部を所定間隔空けて配設した構造とし、各々の前記流体排出部から出射する各々の前記脈動流体または前記断続流体の流れの強弱リズムを同期させずランダムとしたことを特徴とする複数の脈動流体または断続流体の生成装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の脈動流体または断続流体の生成装置を含む機械装置。
【請求項14】
液体または気体の流体を噴射する噴射機構と、前記噴射機構の下流に位置する閉鎖空間であり、その下方に流体排出部、その側面に外気を導通する通気路につながる導通孔を備え、その内部に外気が満たされた空間キャビティを備えた脈動流体または断続流体の生成装置を用い、
前記噴射機構のの噴射流体の噴射先または前記噴射流体の前記空気キャビティ壁面での衝突による変化により、噴射流体の一部が前記導通孔を一時的に覆いつつ流れて前記導通孔からの外気の通気量を制限するよう前記噴射流体を形成せしめ、
前記空間キャビティ内を前記噴射流体が下方に流れることにより生じる前記空間キャビティ内の一時的な圧力低下と、前記導通孔からの外気の吹き込みによる前記空間キャビティ内の一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、前記外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、前記噴射機構から前記流体の脈動流または断続流を生成することを特徴とする脈動流体または断続流体の生成方法。
【請求項15】
前記脈動流体または断続流体の生成装置を複数セット用い、それぞれの前記流体排出部を所定間隔空けて配設した構造とし、各々の前記流体排出部から出射する各々の前記脈動流体または前記断続流体の流れの強弱リズムを同期させずランダムとしたことを特徴とする請求項14に記載の脈動流体または断続流体の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や気体の連続流体から脈動流体または断続流体を生成する装置に関する。流体としては水に限らず、様々な液体、気体を対象とすることができる。
【背景技術】
【0002】
液体や気体を流体として利用することは様々な装置において求められている。水やガスという流体は水道管やガス管を通じて家庭やオフィスでも広く使用されており、また、その他にも様々な液体の流体、気体の流体は様々な装置において利用され、製造現場や試験研究機関などで使用されている。
【0003】
以下、一例として、水の流体を取り上げて説明する。
従来から一般家庭や商業施設などにおいて水道水が広く使用されている。
水道蛇口から流れ出る流水などは、物理的に完全に均一で滑らかな流体というわけではなく揺らぎや乱れなどもあるが、通常の状態では流れが途切れることのない連続流体となっている。
【0004】
水の重要な用途の一つに洗浄がある。手や食器類の洗浄などでは洗浄に適した泡沫水が求められている。泡沫水は手を洗った際には優しい手触りであり、ガラス類や陶器類を洗った際にも優しい水流であるためにガラス類や陶器類を傷づけるおそれがないため重用されている。また、泡沫水は洗浄の際にガラス類や陶器類に当たっても跳ね返りが少なく、周囲に水を飛ばしたり周囲の環境に影響を与えたりするおそれがないので、一般家庭のみならず、駅や公共施設の水道蛇口、研究施設の実験室での水道蛇口等、幅ひろく用いられている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−095985号公報
【特許文献2】特開2000−104300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体としての水による洗浄という面から考察する。
物体表面の洗浄において、その表面に水道水をかけて洗浄することが一般的に行われている。洗浄の効果を上げるために洗剤とスポンジなどの洗浄具を用いて擦浄することも多いが、基本的には物体表面を流れ落ちる水により表面上の汚れを押し流すことにより洗浄する。
【0007】
ここで、従来の洗浄水の動きを観察する。
図16は従来の連続流水を用いた洗浄の様子を分かりやすく示した図である。水道蛇口から物体表面にかけ落とした水は切れ目なく連続しているため、物体表面に到達した水は物体表面上に沿って周囲に拡散してゆくが、当然、強く当たった水は物体表面で反射もするので、
図16(b)および
図16(c)に示すように、物体表面のやや上方の空間で落下してくる水と物体表面で跳ね返った水が衝突して勢いを相殺する状況が発生する。そのため、いわば物体表面の上に水膜が形成され、また表面張力も働く。そのため
図16(d)に示すように、上から切れ目なく連続して流れてきた流水は、跳ね返りの水で勢いを相殺された上、その盛り上がった水膜の上を滑るように横方向に移動するようになり、水道水が汚れに対して直接当たる割合が減り、横に逃げる割合が増えるという現象が発生する。
つまり、洗浄に用いた水のうち、汚れに対して直接当接して当該汚れを押し流す洗浄水の割合が少なく、
図16(e)に示すように多くの割合の洗浄水が当該汚れの上に形成される水膜の上を滑るように移動するようになる。
【0008】
ここで、洗浄水のうち、如何に汚れに対して直接当接して当該汚れを押し流す洗浄水の割合を増やし、当該汚れの上に形成される水膜の上を滑るように移動する洗浄水の割合を減らし、洗浄に適した洗浄水を形成することが課題となる。
【0009】
発明者高野雅彰は、連続流体である流水に代えて、流水から断続流または脈動流を作り、その断続流または脈動流の水を用いて洗浄することにより効率的な洗浄ができることに気付いた。
しかし、従来技術において、連続流体である流水を断続流または脈動流に変化させる技術に乏しいことが分かった。
【0010】
もっともシャワーのように細い流水を長い距離空中に放散すると自然と水流が空中で途切れて断続流に変化するが、それは流体の径に比べてかなり長い距離にわたって空中に放散しなければならない。
その他に、排出口通過直後から断続流または脈動流に変化させるものとしては、例えば、電気的なアクチュエーターを利用し、噴射ポンプのオンオフを繰り返したり、いわゆる洗浄機能付き便座などでピエゾ素子を用いた微小噴射のオンオフを繰り返したりする技術があるが、装置が複雑かつ電気的駆動が必要となってしまう。そこで、装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減した状態で脈動流や断続流を形成することが求められている。
【0011】
連続流体から装置を脈動流や断続流を形成する技術は、洗浄用の水流のみならず、多様な技術分野で求められている。例を挙げれば枚挙にいとまがないが、一例を挙げてみる。
【0012】
例えば、加工技術の分野においても脈動流や断続流の形成が必要とされている。
製造技術として脈動流または断続流の形成が求められる。例えば、半導体製造において、キャリア流体を用いて出発化合物を反応チャンバに導入する際などにも脈動流や断続流の形成が必要とされている。ここでキャリア流体は不活性気体などがある。また、一例としては、金属製の構造部材表面に対するウォータージェットピーニングにおいて脈動流や断続流を形成する際にも如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0013】
また、清掃技術や除去技術としても求められている。従来のスクレーパーに代えて脈動流または断続流の媒質を用いて清掃したり不要物を除去したりする技術や、製造過程で生じた切削残渣やカレットを除去するため脈動流または断続流の媒質を当てて飛ばす技術があるが、ここでも脈動流や断続流を形成する際にも如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0014】
また、計測技術や測定技術においても脈動流や断続流が求められている。例えば、試験系における気体媒質や液体媒質の流れの影響を分析する装置や、脈動流による影響をシミュレーションするために媒体の脈動流を形成する測定装置があるが、その脈動流や断続流を形成する際にも如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0015】
また例えば、ガスの燃焼効率を挙げるためガスタービン燃焼器や蓄熱式ラジアントチューブバーナやジェットエンジンなどにおいて脈動ガス流を生成し、圧縮機を介した流れを安定化する技術があるがその脈動流や断続流を形成する際にも如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0016】
また、医療機器や手術機器としても求められる。例えば、生体組織を切開または切除する流体噴射装置においても脈動流や断続流を形成する際に如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0017】
この他にも生体は血液、体液、水分に関するものであるため、それら媒質を脈動流または断続流として測定や加工を行うことがある。例えば、組織化学用自動反応装置などのマイクロ流体デバイスにおいて脈動流が利用されるが、脈動流や断続流を形成する際に如何に装置を簡素化しかつ電気的駆動要素を低減することが求められている。
【0018】
このように、連続流体から脈動流や断続流を生成する技術は要素技術として多様な技術分野に用いられることに鑑み、発明者高野雅彰は、多様な技術分野への適用を意図して本発明を開発した。本発明は、連続流体から脈動流や断続流を生成する技術として多様な技術分野の多様な装置に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記本発明の目的を達成するため、本発明にかかる脈動流体または断続流体の生成装置は、液体または気体の流体を噴射する噴射機構と、前記噴射機構の下流に位置する閉鎖空間であり、その下方に流体排出部、その側面に外気を導通する通気路につながる導通孔を備え、その内部に外気が満たされた空間キャビティを備えた構成において、前記噴射機構
の噴射流体の噴射先または前記噴射流体の前記空気キャビティ壁面での衝突による変化により、前記噴射流体の一部が前記導通孔を
一時的に覆いつつ流れて前記導通孔からの外気の通気量を制限するよう前記噴射流体を形成する構成であり、前記空間キャビティ内を前記噴射流体が下方に流れることにより生じる前記空間キャビティ内の一時的な圧力低下と、前記導通孔からの外気の吹き込みによる前記空間キャビティ内の一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、前記外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、前記噴射機構から前記流体の脈動流または断続流を生成することを特徴とするものである。
【0020】
上記構成により、空間キャビティ内を噴射流体が下方に流れることにより生じる空間キャビティ内の気圧低下と、外気の吹き込みによる空間キャビティ内の気圧回復との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、噴射流体から脈動流または断続流を生成することができる。
【0021】
なお、上記構成において、流体排出部が、噴射機構から噴射される噴射流体によって全面が覆われつつ流体が排出され、下方から外気が逆流しない径および形状を備えたものであることが好ましい。流体排出部からの外気の逆流がなくなり、空間キャビティにおける気圧低下と気圧回復の繰り返しの変動が鈍らずにシャープになるからである。
【0022】
ここで、噴射流体と導通孔から吹き込まれる外気との関係については、幾つかのパターンあり得る。
第1のパターンは、噴射流体が導通孔前面を沿って流れて導通孔前面を瞬間的に完全に塞ぎ、気圧低下が大きくなると導通孔から外気を吹き込み力が強くなって噴射流体を破って内部に通気するものであり、これを繰り返すパターンである。いわゆる外気の通気と噴射流体の破断のオンオフを繰り返すパターンである。
第2のパターンは、噴射流体と導通孔前面との間が完全には塞がれておらずに小さな隙間があり、小さな隙間を介した通気はあるもののその通気量が制御されているパターンである。いわゆる外気の通気が大小を繰り返し、通気量大のときに外気が噴射流体を破って大きく通気するパターンである。
第3のパターンは、外気と噴射流体または噴射飛沫が導通孔付近で衝突し合って外気の通気量が制御されるものである。いわゆる外気の通気が大小を繰り返し、通気量大のときに外気が噴射流体を押し破って大きく通気するパターンである。
上記構成により、衝突により生じる振動または脈動により外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、噴射流体から脈動流または断続流を生成することができる。
【0023】
上記構成にかかる脈動流体または断続流体の生成装置により生成された脈動流体または断続流体は、例えば、略玉状の液塊となっており、その液塊が断続状態または一部エッジ同士がつながっている連続状態で吐出される状態となる。このように、連続流体を略玉状の液塊とし、液塊を断続的または連続状態にて吐出することができる。なお、液塊の間隔であるが、時間的には非常に短い間隔程度であり肉眼では連続しているように見える程度の間隔で良い。例えば、秒あたり少なくとも数パルス、好ましくは十数パルスから数百パルス程度の時間間隔であれば良い。
【0024】
なお、外気の吹き込みの強さであるが、外気の吹き込みの強弱リズムのうち強い期間において導通孔近傍を通過する噴射流体を切断する強さであれば、脈動流または断続流が形成されやすくなる。
【0025】
ここで、外気の吹き込みの強さを大きくするため、流体が内部に流れる本体構造物に対して、その外側を取り囲む外側体を備える構成が好ましい。本体構造物と外側体に設けられた間隙によって通気路が形成されるため、導通孔が単に外気に開放されている場合に比べ、吸気の流速が速くなって導通孔に向けて外気が流入する勢いが得られる。
【0026】
空間キャビティへの液体や気体の流入と流出の関係において、空間キャビティが噴射水流の通り道として設けられており、系内に流入するものが噴射機構を介した噴射水流と導通孔を介した外気のみで、系外へ流出するものが流体排出部からの脈動流体または断続流体のみであり、間キャビティにはそれ以外の流入および流出がない閉鎖空間であり、噴射水流が流れ込んだ状態でも密閉状態にて空気が充満された状態が保持されるものである。このような空間キャビティであれば、空間キャビティ内を噴射流体が下方に流れることにより生じる空間キャビティ内の気圧低下と外気の吹き込みによる空間キャビティ内の気圧回復との繰り返しの変動がシャープとなり、外気の吹き込みの強弱リズムを生じやすく、噴射流体から脈動流または断続流を効率的に生成することができる。
【0027】
さらに、上記構成の脈動流体または断続流体の生成装置を複数セット含み、それぞれの流体排出部を所定間隔空けて配設した構造とし、各々の流体排出部から出射する各々の脈動流体または断続流体の流れの強弱リズムを同期させずランダムとした複数化した脈動流体または断続流体の生成装置とすることもできる。
上記構成により、脈動流体または断続流体が複数本出射されるが、それぞれの脈動流体または断続流体の強弱がランダムとなり、物体表面に当接すれば当接の勢いのある箇所が水平方向にも変動するような特性のある脈動流体または断続流体が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の脈動流体または断続流体の生成装置によれば、脈動流または断続流の流体を形成することができる。
例えば、水道栓に取り付ける泡沫水生成コマに組み込めば、洗浄効果に優れた脈動水流または断続水流の洗浄水を生成することができる。その他にも様々な水流利用装置に組み込むことができる。
例えば、加工技術の分野の装置に組み込むこともできる。例えば、半導体製造において、キャリア流体を用いて出発化合物を反応チャンバに導入する際などにもキャリア流体を脈動流や断続流とする装置として適用できる。ここでキャリア流体は不活性気体などがある。また、金属製の構造部材表面に対するウォータージェットピーニングにおいて水流を脈動流や断続流として形成する装置に組み込むことができる。その他にも様々な加工装置に組み込むことができる。
また、清掃技術や除去技術としても求められている。従来のスクレーパーに代えて脈動流または断続流の媒質を用いて清掃したり不要物を除去したりする装置や製造過程で生じた切削残渣やカレットを除去するための装置に組み込むこともできる。その他にも様々な機械装置に組み込むことができる。
また、計測装置や測定装置に組み込むことができる。例えば、試験系における気体媒質や液体媒質の流れの影響を分析する装置や、脈動流による影響をシミュレーションするために媒体の脈動流を形成する測定装置がある。その他にも様々な計測装置や測定装置に組み込むことができる。
また、例えば、ガスの燃焼効率を挙げるためガスタービン燃焼器や蓄熱式ラジアントチューブバーナやジェットエンジンなどにおいて脈動ガス流を生成する装置に組み込むことができる。その他にも様々なガス利用機器に組み込むことができる。
また、医療機器や組織化学用自動反応装置などのマイクロ流体デバイスにおいて脈動流発生装置として組み込むことができる。その他にも様々な医療機器に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例1にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100の一構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示した脈動流体または断続流体の生成装置100に対して水流を流した状態を簡単に示す図である。
【
図3】排出部150付近を取り出して、排出部150内を流れる泡沫液塊と空気塊を分かりやすいように図示したものである。
【
図4】本発明の脈動流体または断続流体の生成装置100により生成された泡沫水流が高い洗浄効果を示すことを簡単に説明する図である。
【
図5】従来の単なる連続水流による洗浄の様子を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2にかかる本発明の脈動流体または断続流体の生成装置100aの一構成例を示す図である。
【
図7】
図6に示した実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100aに水流を流した状態を示す図である。
【
図8】液流膜が導通孔前面を掠めるように流れて少し隙間があり通気はあるもののその通気量が制限される状態を分かりやすく示した図である。
【
図9】本発明の実施例3にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100bの一構成例を示す図である。
【
図10】脈動流体または断続流体の生成装置100bに対して水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
【
図11】本発明の実施例4にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100cの一構成例を簡単に示した図である。
【
図12】脈動流体または断続流体の生成装置100cに対して水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
【
図13】実施例5にかかる脈動流体または断続流体生成装置100−2の外観を示す図である。
【
図14】複数化された脈動流体または断続流体生成装置100−2から出射された脈動流体または断続流体による汚れ除去の様子を簡単に示す図である。
【
図15】4本の脈動流体または断続流体が落下して物体表面に衝突する瞬間を物体表面上の平面において示した様子を示す図である。
【
図16】従来の連続流水を用いた洗浄の様子を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の脈動流体または断続流体の生成装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明の実施例1にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100の一構成例を示す図である。
図1は、脈動流体または断続流体の生成装置100の一部のみを取り出して示した図となっている。
図1では、噴射機構110、空間キャビティ120、連続流体管130、通気路140と導通孔141、脈動流体または断続流体の排出部150が図示されている。
【0032】
液体導入管130は、連続流体の液体の供給装置に接続され、連続流体を受け取って下方へ引き込む管である。
図1では、噴射機構110の上方にある空間として描かれているが、液体供給源と噴射機構110の間をつなぐ管路となっている。
図1では液体供給装置およびそのアタッチメント部材は図示を省略している。
【0033】
噴射機構110は、連続水流が通過する面積を狭く絞ることにより噴射液流として勢いよく噴射する機構である。この構成例では、液体導入管130の下面に設けられ、液体導入管130から連続流体を受け取って径を絞り込んで下方へ噴射する部材となっている。
噴射機構110の噴射角度が、その噴射先または噴射飛沫先が導通孔141またはその近傍に当接し、跳ね返りながらその一部が導通孔141を含む側壁面を覆いつつ下方に流れる水流となる角度となっている。
【0034】
空間キャビティ120は、上面に噴射機構110が配置され、下面に脈動流体または断続流体の排出部150が配置され、内部に導通孔141から流入した気体で満たされた密閉空間を形成しているものである。空間キャビティ120に対する流入および流出は、噴射機構110からの噴射流体の流入と、導通孔141からの外気の流入と、排出部150からの脈動流体または断続流体の流出以外はなく、その他は閉鎖されて気密が維持されているものとする。
【0035】
図2は、
図1に示した脈動流体または断続流体の生成装置100に対して、液体供給装置から液体を供給して連続流体を流した状態を簡単に示す図である。
図2に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ120内に、噴射機構110から勢いよく噴射流体が流入し、空間キャビティ120内部の気体を巻き込みつつ排出部150から水が流出して行くものとなっている。
噴射機構110から流入した噴射流体が空間キャビティ120内部の空気を巻き込んで押し流しつつ排出部150から排出されるので、空間キャビティ120内の気圧が低下する。そのため、気圧低下に伴って導通孔141を介して通気路140から外気が高速に吹き込まれることとなる。
【0036】
ここで、噴射機構110は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔141またはその近傍に当接し、跳ね返りながらその一部が導通孔141を含む側壁面を覆いつつ下方に流れる水流となる角度となっている。
図2の構成例では、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔141のやや上方となっている。噴射流体が空間キャビティ120の側壁面に当たると反射して拡がるが、その一部は空間キャビティ120の側壁面に沿って流れる。空間キャビティ120の側壁面には導通孔141が含まれているため、
図2に示すように、導通孔141の開口が下方に流れる噴射流体で封止される状態が現れる。
【0037】
ここで、空間キャビティ120内の気圧の変化に注目する。
図2に示すように、空間キャビティ120内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ120内の気圧低下が生じる。空間キャビティ120内から噴射流体とともに気体が下方に押し出されてゆき、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下すること理解されよう。
【0038】
一方、通気路140を通じて導通孔141から空間キャビティ120内に向けて外気の吹き込みがある。この外気の吹き込みは空間キャビティ120内の気圧低下により引き起こされる。空間キャビティ120内に外気が吹き込まれると、低下した空間キャビティ120内の気圧が回復する。
ここで、この気圧低下と気圧回復は整然と平衡状態を保つものではなく、導通孔141の開口を塞いでいる噴射流体の液流膜があることから、
図2(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0039】
図2(b)の左側の状態は、導通孔141の開口を噴射流体により形成される液流膜で封止される状態である。この状態では瞬間的に導通孔141から外気の吹き込みが停止しており、空間キャビティ120内から空気が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下してゆく。
【0040】
図2(b)の右側の状態は、空間キャビティ120内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔141の開口を封止している液流膜に打ち勝ち、液流膜を切り裂いて空間キャビティ120内に外気が吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に噴射流体の液流膜が途切れ、導通孔141から吹き込まれた外気が挟み込まれる状態となっており、外気の吹き込みにより空間キャビティ120内の気圧が回復してゆく。
空間キャビティ120内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔141の開口を沿って流れる液流膜の勢いが勝り、導通孔141の開口を液流膜が封止する
図2(b)左側の状態に戻る。
このように、
図2(b)左側の外気の吹き込みがない気圧低下進行状態と、
図2(b)右側の外気の吹き込みがある気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流の泡沫水が生成される。
【0041】
なお、導通孔141と噴射流体との関係については、
図1および
図2の構成例では、
図2(b)左側の状態では噴射流体による液流膜が導通孔141前面を沿うように流れて完全に塞いで通気量がなくなる例であるが、液流膜が導通孔前面を沿うように流れて完全に塞ぐものではなく、液流膜が導通孔前面を掠めるように流れて少し隙間があり、その小さな隙間を介した通気はあるもののその通気量が制限されるという構成であっても良い。このケースについては実施例2で説明する。
【0042】
なお、噴射流体に対して空間キャビティ120内の気体や、噴射流体に対して側方の導通孔141から外気が打ち込まれるため、空間キャビティ120内を通過する液体は外気と混合され、泡沫状の外気混合液に変化し得る。導通孔141からの外気の吹き込みが特に強くなった瞬間、噴射流体が外気により破断されたり薄くなったりする。その結果、通過する噴射流体が脈動流または断続的に途切れたパルス状の泡沫液塊となり得る。特に、噴射流体の形状そのものが元々薄い液膜状のものとして噴射されたものであれば、噴射流体に吹き込まれる外気の流れの強弱が繰り返されることによって切れ目が生じて液塊が形成されやすい。
【0043】
また、生成された液塊は空間キャビティ120内の気体を巻き込んで押し流しながら下流に向かって排水路150の入り口に到達するが、その間、空間キャビティ120内の気圧は強弱を繰り返しているため、空間キャビティ120内の気圧が比較的強いときには、泡沫液塊が排水路150近くの気体を排水路150に押し込みやすくなり、液塊によって押し込まれた気体が気体塊として排水路150に押し込まれることもあり得る。
【0044】
図3は、排出部150付近を取り出して、排出部150内を流れる液塊と気体塊を分かりやすいように図示したものである。
図3に示すように、排水路150の中においては液塊の先に気体塊が押し込まれた状態となる。このように液塊の間に気体塊が存在すると、あたかも先行する液塊と後続の液塊が独立し、その間に気体塊が入り込んだ状態となり、脈動流またはパルス状の断続流として排出部150から系外へ放出されることとなる。
【0045】
図3では分かりやすいように泡沫水が排出部150内で1つ1つ完全に独立した液塊となっているように図示したが、このような独立した液塊となったり、完全には切れ目が生じずにまたは後方の液塊とエッジ同士がつながった連続液塊となったりする場合もあるが、いずれにせよ均一な連続流体ではなく脈動流または断続流となり得る。
【0046】
図4は、本発明の脈動流体または断続流体の生成装置100により生成された脈動流体または断続流体が水であり、洗浄用途に用いた場合の洗浄効果を簡単に説明する図である。
図4では、脈動流体または断続流体の洗浄効果を説明するために、瞬間を切り取って図示するとともに、泡沫状の液塊として連続して当たり続けることを強調して図示している。
【0047】
図4(a)は、本発明の脈動流体または断続流体の生成装置100により生成された脈動流体または断続流体の泡沫水流が物体表面の汚れに向かって当たり始める様子を示している。ここでは、高速に流れ落ちる脈動流体または断続流体のうち独立した液塊が当たり始めている。
【0048】
図4(b)は、先頭の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。独立した泡沫液塊の1つが汚れに当たり、跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり横方向に押し広げる。
【0049】
図4(c)は、次に到来した先頭の泡沫液塊が当たり始める様子を示す図である。
【0050】
図4(d)は、後続の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。先行する泡沫液塊が汚れに当接した状態で存在するが、泡沫水であるので盛り上がるような水膜は形成されておらず、汚れの上面が剥き出しに近い状態となっている。この汚れに対して後続の泡沫液塊が汚れに当たり、跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり、汚れをさらに横方向に押し広げる。
【0051】
図4(e)は次に到来した先頭の泡沫液塊が当たり始める様子を示す図、
図4(f)は後続の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。
図4(d)の状態よりさらに汚れが横方向に押し広げられている。このように独立した泡沫液塊が断続的に汚れに当たり続けることにより汚れが効率的に横方向に押し流されていく。
泡沫水であるので、先行する泡沫液塊によって盛り上がるような水膜は形成されておらず、常に汚れの上面が剥き出しに近い状態となっており、次々と到来する泡沫液塊が汚れに直接打撃を加え続け、泡沫液塊のエネルギーが汚れに印加され続ける。このように、本発明の脈動流体または断続流体生成装置100により生成された泡沫水流が高い洗浄効果を示す。
【0052】
一方、
図5は、従来の単なる連続水流による洗浄の様子を示す図である。
図5(a)は、連続水流が物体表面の汚れに当たり始める様子を示す図である。
【0053】
図5(b)は、連続水流が物体表面の汚れに当たった直後の様子の瞬間を示す図である。
図5(b)に示すように、汚れに当たった連続水流は一部が上方へ跳ね返り、後続の連続水流に衝突し、勢いが相殺し合う。また、周囲に飛沫が飛び散りやすい。
【0054】
図5(c)は、
図5(b)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、周囲への飛沫の飛び散りが多く、汚れの上に水膜を形成され始める。
【0055】
図5(d)は、
図5(c)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、汚れの上に水膜が形成され、連続水流の一部は水膜の上を滑るように横方向に流れやすくなる。
【0056】
図5(e)は、
図5(d)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、汚れの上に水膜が形成され、連続水流の一部は水膜の上を滑り、汚れが水膜の下に隠れるようになる。
【0057】
図5(e)に至るとその後は
図5(e)の状態が持続されてゆく。
この
図5に示した従来の単純な連続水流の洗浄効果に比べて、
図4に示した本発明の脈動流体または断続流体の生成装置100により生成された泡沫水流の持つ高い洗浄効果が理解されよう。
以上に説明したように、脈動流体または断続流体の生成装置の第1の原理を適用することにより連続流体から脈動流体または断続流体が生成される。
【実施例2】
【0058】
実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置の動作原理を説明する。
図6は、本発明の実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100aの一構成を簡単に示した図である。
図6は、脈動流体または断続流体の生成装置100aの一部を取り出して示した図となっている。
図6に示すように、噴射機構110a、空間キャビティ120、液体導入管130、通気路140aと導通孔141a、脈動流体または断続流体の排出部150が図示されている。
図6に示した構成要素のうち、空間キャビティ120、液体導入管130、脈動流体または断続流体排出部150は
図1の構成と同様であり、ここでの詳しい説明は省略する。
【0059】
図6に示した構成要素のうち噴射機構110aの噴射角度は、導通孔141aが設けられている側壁面に対して略平行または若干の角度をもって打ち出される角度となっている。
実施例1の
図1に示した構成例では噴射機構110の噴射先に対向する側壁面に導通孔141が設けられていた例であるが、本実施例2の構成例では、噴射機構110aの噴射先と略平行に位置する側壁面に導通孔141が設けられていた例となっている。
【0060】
図7は、
図6に示した脈動流体または断続流体の生成装置100aに対して、液体供給装置から液体を供給して噴射流体を流した状態を簡単に示す図である。
図7に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ120内に、噴射機構110aから勢いよく水流が流入し、内部の気体を巻き込みつつ排出部150から水が流出して行く点は実施例1と同様である。
噴射機構110aから流入した噴射流体が空間キャビティ120内部の空気を巻き込んで押し流しつつ排出部150から排出されるので、空間キャビティ120内の気圧が低下する。そのため、気圧低下に伴って導通孔141aを介して通気路140aから外気が高速に吹き込まれることとなる。
【0061】
ここで、噴射機構110aから打ち出された噴射流体は導通孔141が設けられている側壁面に対して略平行または若干の角度をもって空間キャビティ120の側壁面に沿って流れる。噴射機構110aの打ち出し角度が空間キャビティ120の側壁面に対して平行ではなく若干の角度をもって打ち出された場合も、打ち出し口と空間キャビティ120の側壁面付近で回折や表面張力などの影響により噴射流体の一部が空間キャビティ120の側壁面に沿う方向に曲がって流れることもあり得る。
図7では噴射流体の一部が空間キャビティ120の側壁面付近で回折や表面張力などの影響により側壁面に沿う方向に曲がって流れる様子が描かれている。
図7に示すように、導通孔141aの開口が下方に流れる噴射流体で封止される状態が現れる。
【0062】
ここで、空間キャビティ120内の気圧の変化に注目する。
図7に示すように、空間キャビティ120内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ120内の気圧低下が生じ得る。噴射流体の形や勢いにもよるが空間キャビティ120内から気体が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下すること理解されよう。
【0063】
一方、
図7(a)に示すように、通気路140を通じて導通孔141aから空間キャビティ120内に向けて外気の吹き込みがある。この外気の吹き込みは空間キャビティ120内の気圧低下により引き起こされる。空間キャビティ120内に外気が吹き込まれると、低下した空間キャビティ120内の気圧が回復する。
ここで、導通孔141の開口を塞いでいる噴射流体の液流膜があることから、
図7(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0064】
図7(b)の左側の状態は、導通孔141aの開口を噴射流体により形成される液流膜で封止される状態である。この状態では瞬間的に導通孔141aから外気の吹き込みが停止しており、空間キャビティ120内から空気が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下してゆく。
【0065】
図7(b)の右側の状態は、空間キャビティ120内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔141aの開口を封止している液流膜に打ち勝ち、液流膜を切り裂いて空間キャビティ120内に外気が吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に噴射流体の液流膜が途切れ、導通孔141aから吹き込まれた外気が挟み込まれる状態となっており、外気の吹き込みにより空間キャビティ120内の気圧が回復してゆく。
【0066】
空間キャビティ120内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔141aの開口を沿って流れる液流膜の勢いが勝り、導通孔141の開口を液流膜が封止する
図7(b)左側の状態に戻る。
このように、
図7(b)左側の外気吹込みがない気圧低下進行状態と、
図7(b)右側の外気吹込みがある気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流が生成される。
【0067】
なお、導通孔141aと噴射流体との関係については、噴射流体が導通孔前面を沿うように流れて完全に塞ぐものではなく、液流膜が導通孔前面を掠めるように流れて少し隙間が
ある構成であっても良い。
ここで、図8に示すように、噴射機構110aからの噴射流体は空気キャビティ120の壁面に衝突し、内部の空気キャビティ120の大きさが過剰に大きくなく壁面の形状や角度の条件によっては噴射流体が勢いよく反射し、散乱することがあり得る。そしてその跳ねた噴射飛沫が導通孔141aを覆うことがある。ここでは、空気キャビティ120の形状や角度がその散乱条件が満たしているものとする。
図8ではその散乱している噴射水流の一部によって導通孔141aを塞ぐように描かれている。
【0068】
なお、この噴射水流の散乱は、偶然に内部の飛沫が導通孔付近に飛散するというものではなく、噴射機構110aの角度付けと空気キャビティ120の形状や角度の関係により意図的に連続して導通孔141aの封止が起きるように制御されたものである。
図8(b)の左側の状態は、導通孔141aの開口が散乱噴射液流により形成される液流膜により封止されている状態である。この状態では瞬間的に導通孔141aから外気の吹き込みが停止または低下しており、その一方、空間キャビティ120内から空気が下方に押し出されてゆくため、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下してゆく。
空間キャビティ120内の気圧変化により、図8(b)の左側の状態と右側の状態を繰り返す点は、上記図7(b)と同様である。
【実施例3】
【0069】
実施例3にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100bの動作原理を説明する。
図9は、本発明の実施例3にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100bの一構成例を簡単に示した図である。
【0070】
図9は、実施例3にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100bの一部のみを取り出して示した図となっている。
図9では、節水コマ本体110の噴射機構110b、空間キャビティ120、液体導入管130、通気路140bと導通孔141b、脈動流体または断続流体の排出部150が図示されている。
図9に示した構成要素のうち、空間キャビティ120、液体導入管130、脈動流体または断続流体の排出部150は
図2の構成と同様であり、ここでの詳しい説明は省略する。
【0071】
図9に示した構成要素のうち噴射機構110bの噴射角度は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔141bまたはその近傍となり、導通孔141bから吹き込む外気と衝突する角度となっている。
【0072】
図10は、
図9に示した脈動流体または断続流体の生成装置100bに対して、水道蛇口など水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
図10に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ120内に、噴射機構110bから勢いよく水流が流入し、内部の空気を巻き込みつつ排出部150から水が流出して行くものとなっている。
【0073】
噴射機構110bから流入した水流が泡沫水となって空間キャビティ120内部の空気を巻き込んで押し流しつつ排出部150から排出されるので、空間キャビティ120内の気圧が低下する。そのため、気圧低下に伴って導通孔141bを介して通気路140から外気が高速に吹き込まれることとなる。
【0074】
ここで、
図10に示すように、噴射機構110bは、噴射流体の噴射先または噴射飛沫が導通孔141bまたはその近傍となるように噴射角度が付けられているため、導通孔141bまたはその近傍において、勢い良く噴射されている噴射流体の一部または噴射飛沫と、勢いよく吹き込まれる外気とが衝突することとなる。斜めに角度が付いた噴射機構110bの出射口エッジの状態によるが、一部の水流はエッジ部分で一部が散乱され、散乱水流や散乱飛沫が生じ得る。
図10ではその散乱水流や散乱飛沫と外気とが衝突するように描かれている。
なお、この衝突は、偶然に内部の飛沫が導通孔付近に飛散するというものではなく、噴射機構110bの角度付けにより意図的に連続して衝突を起こすよう制御されたものである。
【0075】
ここで、空間キャビティ120内の気圧の変化に注目する。
図10に示すように、空間キャビティ120内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ120内の気圧低下が生じ得る。噴射流体の形や勢いにもよるが空間キャビティ120内から空気が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下すること理解されよう。
【0076】
一方、
図10に示すように、通気路140を通じて導通孔141bから空間キャビティ120内に向けて外気の吹き込みがある。この外気の吹き込みは空間キャビティ120内の気圧低下により引き起こされる。空間キャビティ120内に外気が吹き込まれると、低下した空間キャビティ120内の気圧が回復する。
【0077】
ここで、噴射流体と吹き込まれる外気との衝突がある。この衝突と、空間キャビティ内の気圧低下と気圧回復は整然と平衡状態を保つものではなく、衝突は微細な粉末飛沫の量や方向などが完全な一定ではなく、瞬間ごとに微妙な違いが生じている。この衝突は勢いがあるので、噴射流体の流れの中にある揺らぎや凹凸、外気の流れの中にある揺らぎや疎密などの影響により、内部の空気を動的に振動または脈動させるものとなる。そのため、
図10(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0078】
図10(b)の左側の状態は、導通孔141bの開口が噴射流体により形成される液流膜との衝突で制限されている状態である。この状態では瞬間的に導通孔141bから外気の吹き込みが停止または低下しており、その一方、空間キャビティ120内から空気が下方に押し出されてゆくため、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下してゆく。
【0079】
図10(b)の右側の状態は、空間キャビティ120内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔141bに衝突する噴射流体または噴射飛沫の勢いに打ち勝ち、空間キャビティ120内に外気が多く吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に噴射流体が飛ばされ、導通孔141bから吹き込まれた外気が挟み込まれる状態となっており、外気の吹き込みにより空間キャビティ120内の気圧が回復してゆく。
【0080】
空間キャビティ120内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔141bの開口に到達する噴射流体または噴射飛沫の勢いが勝り、導通孔141bの開口付近まで噴射流体または噴射飛沫が到達して衝突し、外気の吹き込みを弱めて、
図10(b)左側の状態に戻る。
このように、
図10(b)左側の外気吹込みが少ない気圧低下進行状態と、
図10(b)右側の外気吹込みが多い気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流の泡沫水が生成される。その結果、通過する噴射流体も脈動流となったり、断続的に切れたパルス状の断続流となったりする。
【0081】
排水路150の中において液塊の先に気体塊が押し込まれた状態となれば、あたかも先行する液塊と後続の液塊が独立し、その間に気体塊が入り込んだ状態となり、脈動流またはパルス状断続流として排出部150から系外へ放出されることとなる。この状態は
図3と同様である。
【実施例4】
【0082】
実施例4にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100cの動作原理を説明する。
図11は、本発明の実施例4にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100cの一構成例を簡単に示した図である。
【0083】
図11は、実施例4にかかる脈動流体または断続流体の生成装置100cの一部のみを取り出して示した図となっている。
図11では、節水コマ本体110の噴射機構110c、空間キャビティ120、液体導入管130、通気路140cと導通孔141c、脈動流体または断続流体の排出部150が図示されている。
図11に示した構成要素のうち、空間キャビティ120、液体導入管130、脈動流体または断続流体の排出部150は
図2の構成と同様であり、ここでの詳しい説明は省略する。
図11に示した構成要素のうち噴射機構110cの噴射角度は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔141cのやや下方となっている。
【0084】
図12は、
図11に示した脈動流体または断続流体の生成装置100cに対して、水道蛇口など水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
図12に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ120内に、噴射機構110cから勢いよく水流が流入し、内部の空気を巻き込みつつ排出部150から水が流出して行くものとなっている。
【0085】
ここで、
図12に示すように、噴射機構110cは、噴射流体の噴射先または噴射飛沫が導通孔141cのやや下方となるように噴射角度が付けられて壁面に衝突するが、内部の空気キャビティ120の大きさが過剰に大きくなく壁面の形状や角度の条件によっては噴射流体が勢いよく反射し、散乱することがあり得る。そしてその跳ねた噴射飛沫が導通孔141cを覆うことがある。ここでは、空気キャビティ120の形状や角度がその散乱条件が満たしているものとする。
図12ではその散乱している噴射水流によって導通孔141cを塞ぐように描かれている。
【0086】
なお、この噴射水流の散乱は、偶然に内部の飛沫が導通孔付近に飛散するというものではなく、噴射機構110cの角度付けと空気キャビティ120の形状や角度の関係により意図的に連続して導通孔141cの封止が起きるように制御されたものである。
【0087】
図10(b)の左側の状態は、導通孔141cの開口が散乱噴射液流により形成される液流膜により封止されている状態である。この状態では瞬間的に導通孔141cから外気の吹き込みが停止または低下しており、その一方、空間キャビティ120内から空気が下方に押し出されてゆくため、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下してゆく。
【0088】
ここで、空間キャビティ120内の気圧の変化に注目する。
図12(b)の左図に示すように、空間キャビティ120内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ120内の気圧低下が生じ得る。噴射流体の形や勢いにもよるが空間キャビティ120内から空気が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ120内の気圧が低下すること理解されよう。
【0089】
一方、噴射機構110cから流入した水流が泡沫水となって空間キャビティ120内部の空気を巻き込んで押し流しつつ排出部150から排出されるので、空間キャビティ120内の気圧が低下する。そのため、気圧低下に伴って導通孔141cを介して通気路140から外気が高速に吹き込まれることとなる。
【0090】
一方、
図12(b)右側に示すように、気圧低下が大きくなると導通孔141cを封止している散乱水流を打ち破って導通孔141cから空間キャビティ120内に向けて外気が吹き込むこととなる。つまり、
図12(b)の右側の状態は、空間キャビティ120内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔141cを封止していた散乱噴射流体の勢いに打ち勝ち、導通孔141cから空間キャビティ120内に外気が吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に散乱噴射流体が吹き飛ばされ、外気の吹き込みにより空間キャビティ120内の気圧が回復してゆく。
【0091】
空間キャビティ120内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ120内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔141cの開口に到達する散乱噴射流体の勢いが勝り、導通孔141cの開口付近まで噴射流体または噴射飛沫が到達し、
図12(b)左側の状態に戻る。
【0092】
このように、
図12(b)左側の外気吹込みが少ない気圧低下進行状態と、
図12(b)右側の外気吹込みが多い気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流の泡沫水が生成される。その結果、通過する噴射流体も脈動流となったり、断続的に切れたパルス状の断続流となったりする。
【0093】
排水路150の中において液塊の先に気体塊が押し込まれた状態となれば、あたかも先行する液塊と後続の液塊が独立し、その間に気体塊が入り込んだ状態となり、脈動流またはパルス状断続流として排出部150から系外へ放出されることとなる。この状態は
図3と同様である。
【0094】
なお、前述した実施例1、2、3においては噴射水流の壁面衝突後の散乱などについては記載していないが、同様に条件によっては散乱が起き、導通孔141を覆うことがあり得るが、各実施例において本実施例4と同様、
図12(b)左側の外気吹込みが少ない気圧低下進行状態と、
図12(b)右側の外気吹込みが多い気圧回復進行状態との繰り返しの変動は起こり得る。
【実施例5】
【0095】
実施例5は、脈動流体または断続流体生成装置から複数本の脈動流体または断続流体を生成し、それらをランダムに流すことにより、広い面積の洗浄を行うという応用例を示す。流体として流水を用いた例を説明する。
上記した実施例1から4に記載した脈動流体または断続流体生成装置を用いることにより、脈動流体または断続流体が出射される。ここでは水を用いた例であるので脈動流体または断続流体は泡沫化されており、例えば、
図4に示したような脈動流体または断続流体の泡沫液塊流となっている。
【0096】
ここで、脈動流体または断続流体の泡沫液塊流により洗浄効果が得られる範囲は、
図4の例において、
図4(b)から
図4(f)の変化に見るように、徐々に汚れを周囲に押し流し、洗浄範囲が徐々に広がっていくことが理解されるが、1本の脈動流体または断続流体の泡沫液塊流では、その洗浄範囲の広がりにはその径に応じてある程度の限界がある。そこで、脈動流体または断続流体生成装置から出射する脈動流体または断続流体の泡沫液塊流を複数化し、複数本の脈動流体または断続流体の泡沫液塊流を出射する構成とする。
【0097】
図13は、実施例5にかかる脈動流体または断続流体生成装置100−2の外観を示す図である。内部には実施例1から4に示した構成を複数化し、出射する脈動流体または断続流体を複数本とした脈動流体または断続流体生成装置100−2である。
【0098】
図13に示すように、この構成例では、大きな一つのハウジングの中に実施例2で説明した脈動流体または断続流体生成装置100aが4セット(100a1〜100a4)組み込まれており、それぞれの排出部150が見えている。
この内部構造が複数化された脈動流体または断続流体生成装置100−2からは4本の脈動流体または断続流体が出射される。
【0099】
図14は、複数化された脈動流体または断続流体生成装置100−2から出射された脈動流体または断続流体による物体表面の汚れ除去の様子を簡単に示す図である。
図14では簡単に説明するため、並列に流れる3本の脈動流体または断続流体が落下する瞬間を側面から見た様子を示している。
【0100】
図14(a)は、3本の脈動流体または断続流体をそれぞれランダムに非同期に出射させた場合の物体表面の汚れに対する当接の瞬間を簡単に示している。
図14(a)の上図では、中央の脈動流体または断続流体の泡沫液塊の1つが物体表面の汚れに当接している。
図14(a)の上図は、
図4に示したように、一つ泡沫液塊が跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり、その運動エネルギーが汚れに与えられ、その運動エネルギーのすべてが汚れを横方向に押しのける力として使用され、汚れが表面から効率的に剥がれる様子が分かる。次に、
図14(a)の下図は、その後、左側の脈動流体または断続流体の泡沫液塊の1つが物体表面の汚れに到達した状態を示している。
図14(a)の下図も、
図4に示したように、一つ泡沫液塊が跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり、その運動エネルギーが汚れに与えられ、その運動エネルギーのすべてが汚れを横方向に押しのける力として使用され、汚れが表面から効率的に剥がれる様子が分かる。
【0101】
また、
図15は、4本の脈動流体または断続流体が落下して物体表面に衝突する瞬間を物体表面上の平面において示した様子を示している。
図15(a)には4つの円が破線で描かれているが、これは、落下してくる脈動流体または断続流体の落下中心の位置を簡単に示したものである。
【0102】
まず、
図15(b)に示すように、右上の位置に一つの液塊が物体表面に到達して衝突したとする。液塊が衝突すると
図4または
図14に示したように液塊が潰れ、液塊の持つ運動エネルギーが物体表面上を拡散してゆく液膜の運動エネルギーに変換される。
図15(b)は物体表面上を拡散してゆく液膜が図示されている。
【0103】
次に、引き続き、
図15(c)に示すように、左上の位置に一つの液塊が物体表面に到達して衝突したとする。液塊が衝突すると
図15(b)と同様、
図4または
図14に示したように液塊が潰れ、液塊の持つ運動エネルギーが物体表面上を拡散してゆく液膜の運動エネルギーに変換される。
図15(c)は物体表面上を拡散してゆく液膜が図示されている。
次に、引き続き、
図15(d)に示すように、右下の位置に一つの液塊が物体表面に到達して衝突し、
図15(e)に示すように、左下の位置に一つの液塊が物体表面に到達して衝突し、さらに、
図15(f)に示すように、左下の位置に一つの液塊が物体表面に到達して衝突している。このように、液塊が様々な位置にランダムに物体表面に到達する。
【0104】
このように、泡沫液塊が次々とランダムに物体表面の汚れに到達すれば、各々の泡沫液塊の運動エネルギーのすべてが汚れを横方向に押し流す力として汚れに与えられ、洗浄が進んでゆく。ここで、ランダムに力が発生する場所が変わりつつ、汚れが左右に押し流され洗浄されてゆくので、あたかも、布などの洗浄具で物体表面を細かく“ゴシゴシ”と左右に擦るような“水拭き”効果が得られる。つまり、一か所に泡沫液塊の力を与えるよりも、ランダムに泡沫液塊を衝突させてゆく方が、汚れを押し流す力が左右に行き来する“水拭き”の洗浄効果が得られるメリットがある。
【0105】
一方、
図14(b)は、比較のため、脈動流体または断続流体を相互に同期させて出射した場合を簡単に示している。
図14(b)の上図に示すように、脈動流体または断続流体の泡沫液塊が同期して一斉に物体表面に到達して一斉に汚れに当接する。この場合、一つ泡沫液塊が跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり、その運動エネルギーが汚れに与えられるが、同時に横方向に潰れ合うので、隣接し合う泡沫液塊が同時に横方向に拡散するので相互の衝突が起きやすく、運動エネルギーのロスが生じることがあり得る。また、
図14(b)下図に示すように、一斉衝突の後は次の一斉衝突まで泡沫液塊が物体表面に到達せず、瞬間的には洗浄が休止しているような状況も生じ得る。これは、脈動水流または断続水流の上下方向の間隔と、先行する泡沫液塊が横方向に汚れを押し流している時間との兼ね合いもあるが、
図14(b)下図の状態も生じ得る。
【0106】
このように、実施例5の構成のように、脈動流体または断続流体生成装置を複数セット設けることにより、複数本の脈動流体または断続流体を生成し、それらをランダムに流すことにより、汚れを押し流す力が左右に行き来するゴシゴシと擦る“水拭き”のような洗浄効果が得られ、より広い面積をより効率よく洗浄することができる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態を、噴射流体を水流、外気の気体を空気として説明したが、本発明は、噴射流体が他の液体や気体による流体、外気の気体が他の気体により構成することができることは言うまでもない。
本発明の脈動流体または断続流体生成装置を組み込む装置も多様であり、例えば、例えば、水道栓に取り付ける泡沫水生成コマに組み込めば、洗浄効果に優れた脈動水流または断続水流の洗浄水を生成することができる。
例えば、加工技術の分野の装置に組み込むこともできる。例えば、半導体製造装置に組み込めば、キャリア流体を用いて出発化合物を反応チャンバに導入する際などにも脈動流や断続流の形成装置として適用できる。また、金属製の構造部材表面に対するウォータージェットピーニング装置に組み込めば、ピーニング用の脈動流や断続流を形成する装置に組み込むことができる。
また、清掃装置や不要物の除去装置にも組み込み可能である。従来のスクレーパーに代えて脈動流または断続流の媒質を用いて清掃したり、また、製造過程で生じた切削残渣やカレットなどの不要物を除去したりすることができる。
また、計測装置や測定装置に組み込むことができる。例えば、試験系における気体媒質や液体媒質の流れの影響を分析する装置や、脈動流による影響をシミュレーションするために媒体の脈動流を形成する測定装置がある。
また例えば、ガスの燃焼効率を挙げるためガスタービン燃焼器や蓄熱式ラジアントチューブバーナやジェットエンジンなどにおいて脈動ガス流を生成する装置に組み込むことができる。
また、医療機器や手術機器や組織化学用自動反応装置などのマイクロ流体デバイスにおいて脈動流発生装置として組み込むことができる。
これら装置の例は一例に過ぎず、脈動流または断続流を必要とする装置は限定されず多様にあり、本発明の脈動流体または断続流体の生成装置を様々な装置に対して組み込むことができる。
【0108】
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0109】
100 脈動流体または断続流体の生成装置
110 節水コマ
111 噴射機構
120 空間キャビティ
140 通気路
141 導通孔
150 排出部
【要約】 (修正有)
【課題】電気的な稼働部分を用いることなく、連続流体の圧力により連続流体から脈動流や断続流を生成することができる装置を提供する。
【解決手段】液体または気体の流体を噴射する噴射機構110と、閉鎖空間であり内部が外気で満たされた空間キャビティ120、下方の流体排出部150、通気路140につながる導通孔141を備えている。噴射機構110の噴射先が導通孔141の近傍であり、噴射流体の一部が導通孔141を含む側壁面表面を覆いつつ下方に流れて導通孔141からの外気の通気量を制限するよう噴射流体を形成し、噴射流体が下方に流れることにより生じる空間キャビティ120内の一時的な圧力低下と、導通孔141からの外気の吹き込みによる一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、噴射機構110から流体の脈動流または断続流を生成する。
【選択図】
図2