特許第5961734号(P5961734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961734
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】軸駆動発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20160719BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20160719BHJP
   H02P 101/35 20150101ALN20160719BHJP
   H02P 103/20 20150101ALN20160719BHJP
【FI】
   H02P9/04 N
   H02P9/04 J
   H02P101:25
   H02P101:35
   H02P103:20
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-155923(P2015-155923)
(22)【出願日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】廣納 秀年
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−36496(JP,A)
【文献】 特開2014−227105(JP,A)
【文献】 特開2006−180653(JP,A)
【文献】 特開昭63−18991(JP,A)
【文献】 特開平2−131399(JP,A)
【文献】 特開昭59−223599(JP,A)
【文献】 特表2013−535181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00−9/48
H02P 101/35
B63J 3/02
B63H 21/17
B63H 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機エンジンと、前記主機エンジンに主機クラッチを介して連結される推進用プロペラ及び軸駆動発電機兼推進電動機と、前記軸駆動発電機兼推進電動機と船内母線との間を接続し、その間の電力周波数を変換する他励式電力変換器と、前記他励式電力変換器と前記船内母線との間に接続され、前記他励式電力変換器及び前記船内母線に無効電力を供給する同期調相機とからなる軸駆動発電システムにおいて、
前記主機クラッチで前記主機エンジンを前記推進用プロペラに連結し、前記軸駆動発電機兼推進電動機によって発電された出力電力を前記他励式電力変換器で前記船内母線の周波数に応じた電力に変換し前記船内母線へ供給する発電モードから、前記主機クラッチで前記主機エンジンを前記推進用プロペラから切り離し、前記船内母線の電力を前記他励式電力変換器で前記軸駆動発電機兼推進電動機の回転数指令値に応じた周波数の電力に変換し、前記軸駆動発電機兼推進電動機を駆動する電気推進モードへ、あるいは、前記電気推進モードから前記発電モードへ切り替える場合に、前記同期調相機を前記船内母線に接続して駆動させた状態で、前記軸駆動発電機兼推進電動機の出力電圧がゼロになったことを確認して当該モード切替えを行う
ことを特徴とする軸駆動発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶内の軸駆動発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶内の軸駆動発電システムに関し、軸駆動発電機が発電した電力を船内母線に供給するための種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、軸駆動発電システムに高調波抑制装置として二重巻線交流リアクトルを適用する技術について開示している。特許文献1の技術は、軸駆動発電機が発電した電力を電力変換器で周波数変換した際に生じる高調波が船内母線へ流出することを抑制可能としている。
【0004】
特許文献2は、軸駆動発電システムにおける外部からの励磁電源を直流バッテリからの初期励磁のみとし、その他の励磁電源を全て軸駆動発電機の出力から供給する技術について開示している。特許文献2の技術は、船内母線喪失時においても軸駆動発電機を非常用発電機として使用可能としている。
【0005】
また、主機エンジン故障を想定し、軸駆動発電機を推進電動機として使用する軸駆動発電システムについても、種々の技術が提案されている。軸駆動発電機を推進電動機として使用する軸駆動発電システムでは、船内母線を介して供給される電力が電力変換器で周波数変換され、軸駆動発電機に供給される。これにより、主機エンジン故障時においても推進電動機によって推進力を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−197269号公報
【特許文献2】特開2006−166494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、従来の軸駆動発電システムは、以下のような点について検討の余地がある。
【0008】
近年では、環境破壊への配慮から、船舶の排ガス規制が強化されることが予想されている。排ガス規制に対する対策として、船舶を運航する速度領域に応じて、主機エンジンによる推進と、軸駆動発電機を推進電動機として使用した電気推進による推進とを使い分けることが考えられる。一例としては、湾内のような低速度領域では主機エンジンを停止して船舶を電気推進させ、一定速度以上の中高速度領域では主機エンジンを駆動して主機エンジンで船舶を推進させることが考えられる。
【0009】
ところで、軸駆動発電機は、主機エンジンで航行中は、“発電モード”で運転されており、軸駆動発電機を推進電動機として“電気推進モード”で使用するには、制御の切替えが必要となる。
【0010】
従来の発電モードから電気推進モードへの切替えは、主機エンジン故障時の運用を想定しているため、軸駆動発電システムを一旦停止させた後に、電気推進モードへ切替える手順となっている。したがって、従来の軸駆動発電システムでは、発電モードから電気推進モードへの切替え、あるいは、その逆へのモード切替えに、長時間を要し、その点について検討の余地がある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、発電モードから電気推進モードへ、あるいは、その逆へのモード切替えに要する時間を短縮し得る軸駆動発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態の軸駆動発電システムは、主機エンジンと、上記主機エンジンに主機クラッチを介して連結される推進用プロペラ及び軸駆動発電機兼推進電動機と、上記軸駆動発電機兼推進電動機と船内母線との間を接続し、その間の電力周波数を変換する他励式電力変換器と、上記他励式電力変換器と上記船内母線との間に接続され、上記他励式電力変換器及び上記船内母線に無効電力を供給する同期調相機とからなる軸駆動発電システムにおいて、上記主機クラッチで上記主機エンジンを上記推進用プロペラに連結し、上記軸駆動発電機兼推進電動機によって発電された出力電力を上記他励式電力変換器で上記船内母線の周波数に応じた電力に変換し上記船内母線へ供給する発電モードから、上記主機クラッチで上記主機エンジンを上記推進用プロペラから切り離し、上記船内母線の電力を上記他励式電力変換器で上記軸駆動発電機兼推進電動機の回転数指令値に応じた周波数の電力に変換し、上記軸駆動発電機兼推進電動機を駆動する電気推進モードへ、あるいは、上記電気推進モードから上記発電モードへ切替える場合に、上記同期調相機を上記船内母線に接続して駆動させた状態で、上記軸駆動発電機兼推進電動機の出力がゼロになったことを確認して当該モードの切替えを行うよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施形態に係る軸駆動発電システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】同実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
図3】同実施形態における発電モードから電気推進モードへのモード切替えの動作の一例を示すフローチャートである。
図4】同実施形態における軸発運転開始/停止制御の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】同実施形態における電気推進モードから発電モードへのモード切替えの動作の一例を示すフローチャートである。
図6】従来の軸駆動発電システムの構成の一例を示すブロック図である。
図7】同実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
図8】同実施形態における発電モード制御演算回路の構成の一例を示すブロック図である。
図9】同実施形態における電気推進モード制御演算回路の構成の一例を示すブロック図である。
図10】同実施形態における発電モードから電気推進モードへのモード切替えの動作の一例を示すフローチャートである。
図11】同実施形態における軸発運転開始/停止制御の動作の一例を示すフローチャートである。
図12】同実施形態におけるモード切替え許可制御の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】同実施形態におけるスイッチ切替え制御の動作の一例を示すフローチャートである。
図14】同実施形態における電気推進モードから発電モードへのモード切替えの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について図面を用いて説明するが、その前に、従来の軸駆動発電システムにおける発電モードと電気推進モードとの切替え制御について、構成例を示し説明する。
【0015】
図6は、従来の軸駆動発電システムの構成の一例を示すブロック図である。軸駆動発電システム1は、主機エンジン11、主機クラッチ12、軸駆動発電機(SGS:Shaft Generator System)兼推進電動機(SGM:Shaft Generator Motor)13、推進用プロペラ14、他励式電力変換器15、二重巻線交流リアクトル16、同期調相機17、ポニーモータ18、ポニーモータ駆動用インバータ19、制御部20、遮断器21,22,23、船内母線24、船内ディーゼル発電機25、界磁巻線26,27、自動電圧調整器(AVR:Automatic Voltage Regulator)28,29、変圧器30,31、位置検出器32、及び回転数検出器33を備えている。なお、以下の説明において、軸駆動発電機兼推進電動機13は、軸発13と読替えるものとする。軸駆動発電システム1を発電モードで制御する場合は、主機クラッチ12で主機エンジン11と推進用プロペラ14及び軸発13を連結し、主機エンジン11により船舶を推進させると共に、軸発13によって発電された出力電力を他励式電力変換器15で周波数変換して船内母線24へ供給する。電気推進モードで制御する場合は、主機クラッチ12で主機エンジン11と軸発13とを切り離し、主機エンジン11を停止させると共に、他励式電力変換器15で船内母線24の電力を回転指令値に応じた周波数の電力に周波数変換して軸発13へ出力し、軸発13で推進用プロペラ14を駆動し、船舶を推進させる。
【0016】
主機エンジン11は、通常は主機クラッチ12を介して軸発13及び推進用プロペラ14と連結されている。主機エンジン11は、船舶内におけるディーゼル機関等のエンジンであり、推進用プロペラ14を駆動させることで船舶を推進させる。主機エンジン11の故障が検知されると、船体操作盤34からの指令信号により主機クラッチ12を脱状態とする。これにより、主機エンジン11は、軸発13及び推進用プロペラ14から切り離される。
【0017】
軸発13は、発電モードでは、主機エンジン11から供給される軸トルクによって交流電力を発電し、その出力電力を他励式電力変換器15、二重巻線交流リアクトル16、同期調相機17、及び遮断器22を介して、最終的に船内母線24に供給する。また、電気推進モードでは、軸発13は、推進電動機として動作し、他励式電力変換器15を介して船内母線24から給電される電力で、推進用プロペラ14を駆動する。
【0018】
なお、軸発13の界磁巻線26には、自動電圧調整器28が設けられ、軸発13の出力電圧を一定電圧に調整している。
【0019】
また、軸発13には、軸発13の回転子の位置を検出するための位置検出器32が設けられ、軸発13の回転子の位置の情報を位置検出信号NSGM0として検出し、制御部20に出力している。
【0020】
また、軸発13と他励式電力変換器15との間の電路には、軸発13の出力電圧VSGを検出するための変圧器30が接続され、制御部20にその出力電力VSGを出力している。
【0021】
他励式電力変換器15は、サイリスタコンバータ151及びサイリスタインバータ152を備えている。他励式電力変換器15は、軸発13と船内母線24との間の電路に接続され、制御部20からサイリスタゲートパルス(以下、ゲートパルスという。)を受信する。ここで、ゲートパルスは、サイリスタコンバータ151に入力されるコンバータゲートパルス、及びサイリスタインバータ152に入力されるインバータゲートパルスを含む。他励式電力変換器15は、受信したゲートパルスに基づき、他励式電力変換器15に入力される電力を周波数変換する。
【0022】
具体的には、発電モードでは、他励式電力変換器15は、軸発13によって発電された出力電力を受け、ゲートパルスに基づき、船内母線24の周波数に応じた周波数の電力に変換する。この場合、サイリスタコンバータ151は、制御部20から受信したコンバータゲートパルスに基づき、軸発13から送出された電力を直流電力に変換し、サイリスタインバータ152に送出する。サイリスタインバータ152は、制御部20から受信したインバータゲートパルスに基づき、サイリスタコンバータ151から送出された直流電力を船内母線24の周波数に応じた周波数の交流電力に変換し、船内母線24に出力する。
【0023】
また、電気推進モードでは、他励式電力変換器15は、船内母線24の電力を受け、ゲートパルスに基づき、図示しない軸発13の回転数指令値NSGMに応じた周波数の電力に変換し、軸発13へ出力する。この場合、サイリスタコンバータ151は、サイリスタインバータとして動作し、サイリスタインバータ152は、サイリスタコンバータとして動作する。すなわち、サイリスタコンバータとして動作するサイリスタインバータ152は、コンバータゲートパルスとして動作するインバータゲートパルスに基づき、船内母線24から送出された電力を直流電力に変換し、サイリスタインバータとして動作するサイリスタコンバータ151に送出する。サイリスタコンバータ151は、コンバータゲートパルスに基づき、サイリスタインバータ152から送出された直流電力を図示しない軸発13の回転数指令値NSGMに応じた周波数の交流電力に変換し、軸発13を駆動する。
【0024】
なお、サイリスタインバータ152と二重巻線交流リアクトル16との間の電路には、サイリスタインバータ152の交流電圧を検出するための変圧器31が接続され、制御部20にその検出電圧を出力している。
【0025】
同期調相機17は、他励式電力変換器15と船内母線24との間に設けられている二重巻線交流リアクトル16の中間タップに接続され、他励式電力変換器15及び船内母線24へ無効電力を供給する。また、同期調相機17は、二重巻線交流リアクトル16との組合せにより、他励式電力変換器15から出力される出力電圧の波形歪みを抑制する。
【0026】
なお、同期調相機17の界磁巻線27には、自動電圧調整器29が設けられ、同期調相機17の出力電圧を一定電圧に調整する。また、同期調相機17は、ポニーモータ18からトルクを供給されて、停止した状態から始動させることが可能である。なお、ポニーモータ18は、遮断器21を介して船内母線24に接続されたポニーモータ駆動用インバータ19によって駆動される。
【0027】
また、同期調相機17には、同期調相機17の回転速度を検出する回転数検出器33が設けられ、同期調相機の回転数NSCを制御部20に出力している。
【0028】
なお、船内母線24には、遮断器23を介して船内ディーゼル発電機25が接続され、船内ディーゼル発電機25から出力電力が供給される。
【0029】
船体操作盤34は、船内を統括的に制御するための指令信号を送信する機能を有し、主配電盤等で構成される。船体操作盤34は、発電モードと電気推進モードとの相互のモード切替えに際して、制御部20に複数の指令信号を送信する。ここで、複数の指令信号は、軸発運転信号又は軸発停止信号(以下、軸発制御信号という。)、発電モード信号又は電気推進モード信号(以下、モード信号という。)を含む。また、複数の指令信号は、軸発13の回転数指令値NSGM及び同期調相機17の回転数指令値NSCを含む。
【0030】
船体操作盤34は、主機エンジン11の故障を検知した場合、主機クラッチ12を脱状態として主機エンジン11を軸発13及び推進用プロペラ14から切り離すと共に、軸発制御信号、すなわち、軸発停止信号を制御部20へ出力し、他励式電力変換器15の制御を停止させる。その後、遮断器22を開き、同期調相機17を船内母線24から解列させ、発電モードを停止させる。そして、電気推進モードへ切替えて軸発13を推進電動機として駆動する場合は、ポニーモータ18を駆動して、停止した同期調相機17を再始動し、同期調相機17を船内母線24へ遮断器22を介して接続する。その後、軸発制御信号、すなわち、軸発運転信号を制御部20へ出力し、他励式電力変換器15を制御して、船内母線24の電力を軸発13の回転数指令値NSGMに応じた周波数の電力に変換し、軸発13を駆動する。
【0031】
制御部20は、発電モードから電気推進モードへのモード切替え、及び電気推進モードから発電モードへのモード切替えを制御する機能を有する。制御部20は、船体操作盤34から複数の指令信号を受信し、各部30,31,32,33から複数のセンサ情報をそれぞれ受信する。ここで、センサ情報は、位置検出器32から受信する位置検出信号NSGM0、回転数検出器33から受信する同期調相機回転数NSC、変圧器30から受信する軸発13の出力電圧VSG、及び変圧器31から受信するサイリスタインバータ152の交流電圧を含む。制御部20は、受信した各指令信号に基づいてゲートパルスを生成し、他励式電力変換器15に送信する。
【0032】
具体的に、制御部20は、図7に示す如く、軸発システム運転/停止切替え回路201、モード選択回路202、モード切替え許可回路203、回転数演算器204、発電モード制御演算回路205、電気推進モード制御演算回路206、及びゲート切替えスイッチ207,208を備えている。
【0033】
軸発システム運転/停止切替え回路201は、船体操作盤34から軸発制御信号、すなわち、軸発運転信号を受信した場合は、“1”を軸発判定信号として生成し、また、軸発停止信号を受信した場合は、“0”を軸発判定信号として生成する。軸発システム運転/停止切替え回路201は、この生成した軸発判定信号を発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206に出力する。
【0034】
モード選択回路202は、船体操作盤34からモード信号、すなわち、発電モード信号、電気推進モード信号を受信し、当該モード信号に応じてモード判定信号を生成する。モード選択回路202は、発電モード信号を受信した場合は、“A”をモード判定信号として生成し、電気推進モード信号を受信した場合は、“B”をモード判定信号として生成する。モード選択回路202は、この生成したモード判定信号をゲート切替えスイッチ207,208に送信する。
【0035】
モード切替え許可回路203は、変圧器30から軸発13の出力電圧VSGを受信し、回転数検出器33から同期調相機17の回転数NSCを受信する。モード切替え許可回路203は、同期調相機17及び軸発13の停止を確認した後、モード切替え許可信号を生成する。具体的には、モード切替え許可回路203は、同期調相機17の回転数NSCが“0”であり、かつ軸発13の出力電圧VSGが“0”である場合、モード切替え許可信号を生成し、ゲート切替えスイッチ207,208に送信する。
【0036】
回転数演算器204は、位置検出器32から位置検出信号NSGM0を受信して軸発13の回転位相および回転数NSGMを算出し、電気推進モード制御演算回路206に送信する。
【0037】
発電モード制御演算回路205は、船体操作盤34から同期調相機17の回転数指令値NSC、すなわち、同期調相機17が船内母線24の周波数に応じた回転数で回転する指令値と、回転数検出器33から検出される同期調相機17の回転数NSCと、軸発システム運転/停止切替え回路201から出力される軸発判定信号を受信し、軸発判定信号が“1”の場合は、回転数指令値NSCと回転数NSCとの差に応じたコンバータゲートパルス及びインバータゲートパルスを生成し、それぞれゲート切替えスイッチ207,208の端子“A”に送信する。具体的には、発電モード制御演算回路205は、図8に示すように、制御演算器2051、及びゲートパルス生成回路2052,2053を備え、回転数指令値NSCと回転数NSCとの差を制御演算器2051に入力して、制御演算器2051に軸発運転信号である“1”を受信すると、その差の大きさに応じた制御演算値β,β、すなわち、軸発13から出力される電力を変換し、その周波数が船内母線24の周波数と同じになるような演算値を算出し、制御演算値βをゲートパルス生成回路2052に、制御演算値βをゲートパルス生成回路2053にそれぞれ送信する。また、制御演算器2051は、軸発停止信号である“0”を受信すると、制御演算値β,βを演算せずに、それぞれのゲートパルス生成回路2052,2053は、ゲートパルスを生成しない。
【0038】
電気推進モード制御演算回路206は、船体操作盤34から軸発13の回転数指令値NSGMと、回転数演算器204から出力される軸発13の回転数NSGMと、軸発システム運転/停止切替え回路201から出力される軸発判定信号とを受信し、軸発判定信号が“1”の場合は、回転数指令値NSGMと回転数NSGMとの差に応じたコンバータゲートパルス及びインバータゲートパルスを生成し、それぞれゲート切替えスイッチ207,208の端子“B”に送信する。具体的には、電気推進モード制御演算回路206は、図9に示すように、制御演算器2061、及びゲートパルス生成回路2062,2063を備え、回転数指令値NSGMと回転数NSGMとの差を制御演算器2061に入力して、軸発運転信号である“1”を受信すると、軸発13の回転数指令値NSGMと回転数NSGMとの差の大きさに応じた制御演算値β,β、すなわち、軸発13の回転数NSGMが回転数指令値NSGMとなるように制御する演算値を算出し、制御演算値βをゲートパルス生成回路2062に、制御演算値βをゲートパルス生成回路2063にそれぞれ送信する。また、制御演算器2061は、軸発停止信号である“0”を受信すると、制御演算値β,βを演算せずに“0”を代入し、それぞれのゲートパルス生成回路2062,2063は、ゲートパルスを生成しない。
【0039】
ゲート切替えスイッチ207,208は、図示しないロック機構を備え、モード切替え許可回路203からモード切替え許可信号を受信すると、当該ロック機構を解除し、スイッチ切替えが実行できる状態となる。ゲート切替えスイッチ207,208がモード切替え許可信号を受信した状態で、それぞれモード選択回路202からモード判定信号、すなわち、発電モード信号である “A”を受信すると、端子“A”を閉に切替え、電気推進モード信号である“B”を受信すると、端子“B”を閉に切替える。
【0040】
これにより、ゲート切替えスイッチ207,208の端子“A”を介して発電モード制御演算回路205とサイリスタコンバータ151、サイリスタインバータ152とを接続し、端子“B”を介して電気推進モード制御演算回路206とサイリスタコンバータ151、サイリスタインバータ152とを接続する。
【0041】
また、ゲート切替えスイッチ207,208は、端子の開閉が切替えられると、自動的にスイッチ切替えをロックしてもよい。
【0042】
次に、以上のように構成された従来の軸駆動発電システム1のモード切替え動作について説明する。まず、発電モードから電気推進モードへのモード切替え動作について、図10乃至図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0043】
ステップST110において、船体操作盤34は、主機エンジン11に故障が発生したことを検知する。船体操作盤34は、主機クラッチ12を脱状態とし、主機エンジン11を軸発13及び推進用プロペラ14から切り離すと共に、ステップST120において、軸発停止信号を制御部20の軸発システム運転/停止切替え回路201に出力し、発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206の演算制御を止める軸発運転停止制御を行う。これにより、他励式電力変換器15は、電力変換機能を停止するので、ステップST130において、遮断器22を開とし、同期調相機17を遊転させ、停止させる。
【0044】
軸発システム運転/停止切替え回路201は、図11に示すフローチャートにしたがい、ステップST131−ST132,ST134を実行する。
【0045】
ステップST131において、軸発停止信号が船体操作盤34から入力されると、ステップST132で、軸発運転信号でないと判定し(ST132;no)、ステップST134に進む。ステップST134は、軸発判定信号として“0”を生成し、発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206に送信(出力)する。発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206は、受信した軸発判定信号“0”に応じてゲートパルスを生成せず、他励式電力変換器15へのゲートパルス出力を停止する。これにより、他励式電力変換器15は、軸発13から出力される電力を周波数変換する機能を停止する。以上で、ステップST131−ST132,ST134の軸発運転停止制御が終了する。
【0046】
その後、図10のステップST140のモード切替え許可制御で軸発13の出力電圧がゼロとなったこと、同期調相機17の回転が停止していること、すなわち、発電モードから電気推進モードへ切替えても問題ないことを確認する。具体的には、図12に示すフローチャートにしたがい、ステップST141−ST143を実行する。
【0047】
ステップST141において、回転数検出器33から同期調相機17の回転数NSCを受信し、当該回転数NSCが“0”であるか否かを判定する。回転数NSCが“0”でない場合(ST141;no)、ステップST141に戻り、回転数NSCが“0”である場合(ST141;yes)、ステップST142に進む。
【0048】
ステップST142において、変圧器30から軸発13の出力電圧VSGを受信し、当該出力電圧VSGが“0”であるか否かを判定する。出力電圧VSGが“0”でない場合(ST142;no)、ステップST142に戻り、出力電圧VSGが“0”である場合(ST142;yes)、ステップST143に進む。ステップST143において、同期調相機17及び軸発13が停止したことを確認し、モード切替え許可信号を生成する。以上により、モード切替え許可回路203は、生成したモード切替え許可信号をゲート切替えスイッチ207,208に送信する。ゲート切替えスイッチ207,208は、受信したモード切替え許可信号に応じて、スイッチ切替えのロックを解除する。
【0049】
次に、図10のステップST150において、スイッチ切替え制御を実行する。具体的には、モード選択回路202が図13に示すフローチャートにしたがい、ステップST151−ST152,ST154を実行する。
【0050】
ステップST151において、モード信号として電気推進モード信号が船体操作盤34から入力されると、モード信号が発電モード信号でないと判定し(ST152;no)、ステップST154において、モード判定信号として“B”を生成し、ゲート切替えスイッチ207,208に送信(出力)する。この時、ゲート切替えスイッチ207,208は、モード切替え許可回路203Aからモード切替え許可信号を入力しており、スイッチ切替えのロックを解除しているので、ゲート切替えスイッチ207,208は、受信したモード判定信号に応じて、スイッチを“A”から“B”に切替える。以上で、ステップST151−ST152,ST154のスイッチ切替え制御が終了する。
【0051】
この状態で図10のステップST160に移り、船体操作盤34は、ポニーモータ18を駆動して、停止している同期調相機17を再始動させ、遮断器22を投入して同期調相機17を船内母線24に同期投入する。同期調相機17が同期投入に達したことを確認した後ステップST170において、船体操作盤34から軸発運転信号が軸発システム運転/停止切替え回路201へ出力され、図11に示すフローチャートにしたがい、ステップST131−ST133を実行する。
【0052】
ステップST131において、軸発運転信号が入力されると、ステップST132において、軸発制御信号が軸発運転信号であると判定し(ST132;yes)、ステップST133から、軸発判定信号である “1”を発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206に送信する。これにより、発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206は、それぞれ同期調相機17の回転数指令値NSCとその回転数NSC、軸発13の回転数指令値NSGMとその回転数NSGMの差に応じた制御信号を、それぞれゲート切替えスイッチ207,208へ出力する。ゲート切替えスイッチ207,208は、モード選択回路202からの信号により、それぞれ“B” に切替わっているので、電気推進モード制御演算回路206の制御信号を他励式電力変換器15へ出力し、軸発13を、回転数指令値NSGMとなるように駆動を開始する。以上により、発電モードから電気推進モードへのモード切替えが完了する。
【0053】
次に、電気推進モードから発電モードへのモード切替え動作について図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
ステップST210において、船体操作盤34から軸発停止信号が軸発システム運転/停止切替え回路201へ出力されると、図11のフローチャートにしたがって軸発運転停止制御が開始され、軸発システム運転/停止切替え回路201から、発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206へ、それぞれ“0”を出力してゲートパルスの生成を停止し、軸発13の回転を停止させる。その後、ステップST220において、船体操作盤34からの指示によって遮断器22を開き、同期調相機17を遊転、停止させる。
【0055】
次に、図14のステップST230のモード切替え許可制御を行い、軸発13の出力電圧がゼロになったこと、同期調相機17の回転が停止していること、すなわち、電気推進モードから発電モードへ切替えても問題ないことを確認し、ゲート切替えスイッチ207,208のロックを解除する。
【0056】
モード選択回路202は、図14のステップST240において、スイッチ切替え制御を実行する。具体的には、図13に示すフローチャートにしたがい、モード判定信号として“A”を生成し、ゲート切替えスイッチ207,208に送信(出力)する。この時、ゲート切替えスイッチ207,208は、モード切替え許可回路203Aからモード切替え許可信号を入力しており、スイッチ切替えのロックを解除しているので、ゲート切替えスイッチ207,208は、受信したモード判定信号に応じて、スイッチを“B”から“A”に切替える。
【0057】
これと共に、図14のステップST250において、船体操作盤34は、ポニーモータ18を駆動して、停止している同期調相機17を再始動させ、遮断器22を投入して同期調相機17を船内母線24に同期投入する。
【0058】
ステップST260において、船体操作盤34は、主機クラッチ12を連結させ、主機エンジン11を駆動させる。これにより軸発13は、主機エンジン11の回転数に応じた周波数の電力を他励式電力変換器15へ出力する。
【0059】
この状態で、ステップST270において、船体操作盤34から軸発開始信号が軸発システム運転/停止切替え回路201へ出力されると、図11のフローチャートが実行され、発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206から、それぞれゲート切替えスイッチ207,208へ制御信号が出力される。ゲート切替えスイッチ207,208は、モード選択回路202からの信号により、それぞれ“A”に切替わっているので、発電モード制御演算回路205の制御信号を他励式電力変換器15へ出力し、軸発13の出力電力を周波数変換して船内母線24の周波数になるよう、すなわち、同期調相機17の回転数Nscを回転数指令値NSCとなるように駆動を開始する。以上により、電気推進モードから発電モードへのモード切替えが完了する。
【0060】
このように従来の軸駆動発電システムは、発電モードから電気推進モードへ、あるいは、電気推進モードから発電モードへ切替えるときに、システム全体を一旦停止してモード切替えを行っており、スムーズな切替えが行えず、時間がかかっていた。
【0061】
(一実施形態)
本発明は、このような軸駆動発電システムを短時間に、しかも、スムーズに発電モードから電気推進モードへ、あるいは、その逆へ切替えるようにしたもので、その構成の一例を説明する。図1は、本実施形態に係る軸駆動発電システム1の構成の一例を示すブロック図で、図6に示す従来の軸駆動発電システム1と比較して、制御部20Aのみが異なっている。したがって、以下では、図6と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる機能について主に述べる。
【0062】
図2は、本実施形態に係る制御部20Aの構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る制御部20Aは、発電モードから電気推進モードへのモード切替えをする場合、または電気推進モードから発電モードへのモード切替えをする場合、同期調相機17を船内母線24に接続して駆動させたまま、軸発13の出力電圧VSGが“0”であることを確認したうえで、モード切替えを行う機能を付加したものである。すなわち、本実施形態に係る制御部20Aの構成は、図7に示す従来の制御部20と比較して、モード切替え許可回路を203Aとする点と、このモード切替え許可回路203Aに同期調相機17の回転数NSCの信号が入力されない点が異なっており、その他の点については、同様の構成である。したがって、以下では、図7に示す従来の制御部20と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる機能について主に述べる。
【0063】
モード切替え許可回路203Aは、変圧器30からの軸発13の出力電圧VSGのみを受信する。モード切替え許可回路203Aは、軸発13の出力電圧VSGが“0”である場合、モード切替え許可信号をゲート切替えスイッチ207,208に送信する。すなわち、モード切替え許可回路203Aは、モード切替え許可制御において、同期調相機17の停止を確認する手順を実行することなく、モード切替え許可信号を生成する機能を有する。
【0064】
船体操作盤34は、主機エンジン11の故障を検知しない場合においても、主機クラッチ12を脱状態として主機エンジン11を切り離すと共に、制御部20Aにモード切替え指令信号を送信する機能を有する。なお、船体操作盤34は、モード切替えに際し、遮断器22を閉としたまま、モード切替え指令信号を制御部20Aに送信する。
【0065】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る軸駆動発電システム1のモード切替え動作について説明する。なお、モード切替え動作時、主機エンジン11に故障は発生しておらず、軸駆動発電システム1は、発電モードで通常運航中であるとする。まず、発電モードから電気推進モードへのモード切替え動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
船体操作盤34からのモード切替え指令信号を受け、ステップST310において、主機クラッチ12を脱状態とし、主機エンジン11を軸発13及び推進用プロペラ14から切り離す。この時、船体操作盤34は、遮断器22を閉としたままの状態を保ち、同期調相機17は、船内母線24に接続されて駆動したままの状態である。
【0067】
ステップST320において、制御部20Aは、軸発運転停止制御を実行する。具体的には、軸発システム運転/停止切替え回路201は、図11に示すフローチャートにしたがい、ステップST131−ST134を実行し、“0”を、それぞれ発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206へ出力する。これにより、他励式電力変換器15は、電力変換機能を停止し、発電モードを停止する。なお、軸発運転停止制御の動作は、従来と同様のため、説明を省略する。
【0068】
ステップST330において、制御部20Aは、モード切替え許可制御を実行する。具体的には、モード切替え許可回路203Aは、図4に示すフローチャートにしたがい、ステップST331−ST332を実行する。
【0069】
モード切替え許可回路203Aは、ステップST331において、変圧器30から受信した軸発13の出力電圧VSGが“0”であるか否かを判定する。モード切替え許可回路203Aは、出力電圧VSGが“0”でない場合(ST331;no)、ステップST331に戻り、出力電圧VSGが“0”である場合(ST331;yes)、ステップST332に進む。
【0070】
ステップST332において、モード切替え許可回路203Aは、軸発13の出力電圧VSGが“0”であることを確認し、ゲート切替えスイッチ207,208にモード切替え許可信号を送信する。ゲート切替えスイッチ207,208は、受信したモード切替え許可信号に応じて、スイッチ切替えのロックを解除する。以上で、ステップST331−ST332のモード切替え許可制御が終了する。
【0071】
図3のステップST340において、制御部20Aは、スイッチ切替え制御を実行する。具体的には、モード選択回路202は、図13に示すフローチャートにしたがい、ステップST151−ST154を実行し、“B”を出力する。この時、ゲート切替えスイッチ207,208は、モード切替え許可回路203Aからモード切替え許可信号を入力しており、スイッチ切替えのロックを解除している。これにより、ゲート切替えスイッチ207,208は、“B”へ切替わる。なお、スイッチ切替え制御の動作は、従来と同様のため、説明を省略する。
【0072】
ステップST350において、制御部20Aは、軸発運転開始制御を実行する。具体的には、軸発システム運転/停止切替え回路201は、図11に示すフローチャートにしたがい、ステップST131−ST133を実行し、“1”を、それぞれ発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206へ出力する。なお、軸発運転開始制御の動作は、従来の実施形態と同様の動作のため、説明を省略する。
【0073】
以上により、他励式電力変換器15へは、ゲート切替えスイッチ207,208の端子“B”を介して、電気推進モード制御演算回路206から軸発13の回転数指令値NSGMと回転数NSGMとの差に応じた制御信号が出力され、軸発13は、他励式電力変換器15によって、軸発13の回転数指令値NSGMに応じた回転数で、電動機として運転を開始し、同期調相機17を船内母線24に接続して駆動させたままの状態で、発電モードから電気推進モードへのモード切替えが完了する。
【0074】
次に、電気推進モードから発電モードへのモード切替え動作について図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
船体操作盤34は、モード切替え指令信号を制御部20Aに送信する。この時、船体操作盤34は、遮断器22を閉としたままの状態を保ち、同期調相機17は、船内母線24に接続されて駆動したままの状態である。
【0076】
ステップST410において、制御部20Aは、軸発運転停止制御を実行する。具体的には、軸発システム運転/停止切替え回路201は、図11に示すフローチャートにしたがい、ステップST131−ST132,ST134を実行し、“0”を、それぞれ発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206へ出力する。これにより、他励式電力変換器15は、電力変換機能を停止し、電気推進モードが停止する。なお、軸発運転停止制御の動作は、従来と同様のため、説明を省略する。
【0077】
図5のステップST420において、制御部20Aは、モード切替え許可制御を実行する。モード切替え許可制御の動作は、本実施形態に係る発電モードから電気推進モードへのモード切替えにおける図4のステップST331−ST332と同じであり、軸発13の出力電圧が“0”であることを確認してモード切替え許可信号をゲート切替えスイッチ207,208へ送信し、スイッチ切替えのロックを解除する。
【0078】
ステップST430において、制御部20Aは、スイッチ切替え制御を実行する。具体的には、モード選択回路202は、図13に示すフローチャートにしたがい、ステップST151−ST153を実行し、“A”を出力する。この時、ゲート切替えスイッチ207,208は、モード切替え許可回路203Aからモード切替え許可信号を入力しており、スイッチ切替えのロックを解除している。これにより、ゲート切替えスイッチ207,208は、“A”へ切替わる。なお、スイッチ切替え制御の動作は、従来と同様のため、説明を省略する。
【0079】
ステップST440において、船体操作盤34は、主機クラッチ12を連結させ、主機エンジン11で軸発13と推進用プロペラ14を駆動させる。これにより、軸発13は、主機エンジン11の回転数に応じた周波数の電力を他励式電力変換器15へ出力する。
【0080】
ステップST450において、制御部20Aは、軸発運転開始制御を実行する。軸発運転開始制御の動作は、発電モードから電気推進モードへのモード切替えにおける図11のステップST131−ST133と同じであり、“1”をそれぞれ発電モード制御演算回路205及び電気推進モード制御演算回路206へ出力する。
【0081】
以上により、他励式電力変換器15へは、ゲート切替えスイッチ207,208の端子“A”を介して、発電モード制御演算回路205から同期調相機17の回転数指令値NSCと実際の回転数NSCとの差に応じた制御信号が出力され、同期調相機17が回転数指令値NSCに応じた回転数で回転、すなわち、軸発13の出力電力を船内母線24の周波数となるように変換して船内母線24へ電力が供給され、電気推進モードから発電モードへのモード切替えが完了する。
【0082】
上述したように、一実施形態によれば、制御部20Aは、発電モードから電気推進モードへ、または電気推進モードから発電モードへモード切替えを制御する場合、同期調相機17を船内母線24に接続して駆動させたままの状態で、軸発13の出力電圧がゼロになったことを確認して当該モード切替えを行うよう制御するようにしている。これにより、従来において必要とされた同期調相機17の停止、再始動、及び同期投入の手順を廃することができる。したがって、本実施形態によれば、発電モードから電気推進モードへのモード切替えに要する時間を短縮することができる。
【0083】
補足すると、船体操作盤34は、主機エンジン11の故障の検知のみをモード切替えの条件としない。このため、船体操作盤34は、同期調相機17を停止させることなく、モード切替えを実行することができる。また、船体操作盤34は、遮断器22を閉とした状態でモード切替え指令信号を制御部20Aに送信することができる。
【0084】
なお、本発明の一実施形態を説明したが、一実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。 このように、一実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。一実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1…軸駆動発電システム、11…主機エンジン、12…主機クラッチ、13…軸駆動発電機兼推進電動機(軸発)、14…推進用プロペラ、15…他励式電力変換器、16…二重巻線交流リアクトル、17…同期調相機、18…ポニーモータ、19…ポニーモータ駆動用インバータ、20,20A…制御部、21,22,23…遮断器、24…船内母線、25…船内ディーゼル発電機、26,27…界磁巻線、28,29…自動電圧調整器、30,31…変圧器、32…位置検出器、33…回転数検出器、34…船体操作盤、151…サイリスタコンバータ、152…サイリスタインバータ、201…軸発システム運転/停止切替え回路、202…モード選択回路、203,203A…モード切替え許可回路、204…回転数演算器、205…発電モード制御演算回路、206…電気推進モード制御演算回路、207,208…ゲート切替えスイッチ、2051,2061…制御演算器、2052,2053,2062,2063…ゲートパルス生成回路。
【要約】
【課題】発電モードから電気推進モードへ、あるいは、その逆へのモード切替えに要する時間を短縮する。
【解決手段】主機エンジン11、主機クラッチ12を介して連結される推進用プロペラ14及び軸発13、軸発13と船内母線24との間の電力周波数を変換する他励式電力変換器15、及び他励式電力変換器15と船内母線24とに無効電力を供給する同期調相機17を有する。主機クラッチ12で主機エンジン11を推進用プロペラ14に連結し軸発13の出力電力を船内母線24へ供給する発電モードから、主機クラッチ12で主機エンジン11を推進用プロペラ14から切り離し軸発13を駆動する電気推進モードへ、又は電気推進モードから発電モードへ切替える場合、同期調相機17を船内母線24に接続して駆動させた状態で軸発13の出力がゼロになったことを確認し当該モードの切替えを行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14