(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961747
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための射出成形機および対応する製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/16 20060101AFI20160719BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20160719BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20160719BHJP
B29C 45/28 20060101ALI20160719BHJP
B29L 11/00 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/14
B29C33/12
B29C45/28
B29L11:00
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-502246(P2015-502246)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2015-514608(P2015-514608A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013056114
(87)【国際公開番号】WO2013144025
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年6月29日
(31)【優先権主張番号】102012205196.1
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509076753
【氏名又は名称】スミトモ (エスエイチアイ) デマーク プラスチックス マシナリー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】リュック アンドレ
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−54822(JP,A)
【文献】
特開2002−355869(JP,A)
【文献】
特開2010−12655(JP,A)
【文献】
実開平1−64411(JP,U)
【文献】
特開平5−220787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/16
B29C 33/12
B29C 45/14
B29C 45/28
B29L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための、特に光学部品を製造するための射出成形機であって、
可塑化スクリュー(7)を備えた1つの可塑化ユニット(1)と、
これから材料の供給を受ける射出成形金型(10)と、
を備えた前記射出成形機において、
前記射出成形金型(10)内の少なくとも1対の型キャビティ(13,15)であって、そのうち第1のキャビティである上流側キャビティ(13)が一次射出成形品(14)のために特定され、第2のキャビティである下流側キャビティ(15)が一次射出成形品(14’)の上へ射出成形される二次射出成形品(16)のために特定されている、前記少なくとも1対の型キャビティ(13,15)と、
前記可塑化ユニット(1)の噴射ノズル(20)の下流側に位置するように前記射出成形金型(10)内に設けられ、前記可塑化ユニット(1)の前記噴射ノズル(20)を2つの分岐ランナー(23,25)を介してそれぞれ前記上流側キャビティ(13)および前記下流側キャビティ(15)と結合させている分配器(21)と、
前記2つの分岐ランナー(23,25)内にそれぞれ設けられる制御可能な密閉機構(24,26)と、
が設けられ、射出成形の際に次の作動工程を含み、すなわち
前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(25)内に設けた前記密閉機構(26)を閉じた状態で前記上流側キャビティ(13)内で前記一次射出成形品(14)を射出成形する工程と、
前記可塑化スクリュー(7)の同じ噴射行程で、前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(25)内の前記密閉機構(26)を開き、同時に前記上流側キャビティ(13)内に着座している前記一次射出成形品(14)を冷却しながら、前記二次射出成形品(16)を、プレショットから生じて前記下流側キャビティ(15)内に着座している一次射出成形品(14’)へ射出成形する工程と、
前記上流側キャビティ(13)および前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(23,25)内の前記密閉機構(24,26)を開き、同時に前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)を冷却しながら、前記可塑化スクリュー(7)の前記同じ噴射行程の終了時に前記上流側キャビティ(13)と前記下流側キャビティ(15)とに保持圧力を同時に作用させる工程と、
前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)をさらに冷却し、前記可塑化スクリュー(7)を後退させて該可塑化スクリュー(7)の次の噴射行程のためにプラスチック材を処理している間に前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)を前記射出成形金型(10)から取り出す工程と、
を含んでいることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記射出成形金型(10)内の前記分配器(21)が、前記可塑化ユニット(1)の前記噴射ノズル(20)と前記分岐ランナー(23,25)との間に配置されるホットランナー(22)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記二次射出成形品(16)を噴射している間に、前記上流側キャビティ(13)に通じている前記分岐ランナー(23)内の前記密閉機構(24)が閉鎖されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記二次射出成形品(16)を噴射している間に、前記上流側キャビティ(13)に通じている前記分岐ランナー(23)内の前記密閉機構(24)が開いていることを特徴とする、請求項1または2に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記分岐ランナー(23,25)内の前記密閉機構がニードル弁(24,26)として構成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の射出成形機。
【請求項6】
前記上流側キャビティ(13)から取り出した一次射出成形品(14)をダイレクトに前記下流側キャビティ(15)へ移し替えて、これに続く前記可塑化スクリュー(7)の噴射行程で前記二次射出成形品(16)でパッキングすることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の射出成形機。
【請求項7】
射出成形機で単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための、特に光学部品を製造するための方法であって、前記射出成形機が、可塑化スクリュー(7)を備えた可塑化ユニット(1)と、これから材料の供給を受ける射出成形金型(10)とを有し、該射出成形金型が、
少なくとも1対の型キャビティ(13,15)であって、そのうち第1のキャビティである上流側キャビティ(13)が一次射出成形品(14)のために特定され、第2のキャビティである下流側キャビティ(15)が一次射出成形品(14’)の上へ射出成形される二次射出成形品(16)のために特定されている、前記少なくとも1対の型キャビティ(13,15)と、
前記可塑化ユニット(1)の噴射ノズル(20)の下流側に設けられ、前記可塑化ユニット(1)の前記噴射ノズル(20)を2つの分岐ランナー(23,25)を介してそれぞれ前記上流側キャビティ(13)および前記下流側キャビティ(15)と結合させている分配器(21)と、
前記2つの分岐ランナー(23,25)内にそれぞれ設けられる制御可能な密閉機構(24,26)と、
を有している、前記方法において、
前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(25)内に設けた前記密閉機構(26)を閉じた状態で前記上流側キャビティ(13)内で前記一次射出成形品(14)を射出成形するステップと、
前記可塑化スクリュー(7)の同じ噴射行程で、前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(25)内の前記密閉機構(26)を開き、同時に前記上流側キャビティ(13)内に着座している前記一次射出成形品(14)を冷却しながら、前記二次射出成形品(16)を、プレショットから生じて前記下流側キャビティ(15)内に着座している一次射出成形品(14’)へ射出成形するステップと、
前記上流側キャビティ(13)および前記下流側キャビティ(15)へ通じる前記分岐ランナー(23,25)内の前記密閉機構(24,26)を開き、同時に前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)を冷却しながら、前記可塑化スクリュー(7)の前記同じ噴射行程の終了時に前記上流側キャビティ(13)と前記下流側キャビティ(15)とに保持圧力を同時に作用させるステップと、
前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)をさらに冷却し、前記可塑化スクリュー(7)を後退させて該可塑化スクリュー(7)の次の噴射行程のためにプラスチック材を処理している間に前記一次射出成形品(14)および前記二次射出成形品(16)を前記射出成形金型(10)から取り出すステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記二次射出成形品(16)を射出成形中に、前記上流側キャビティ(13)に通じる前記分岐ランナー(23)内の前記密閉機構(24)が閉じられていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二次射出成形品(16)を射出成形中に、前記上流側キャビティ(13)に通じる前記分岐ランナー(23)内の前記密閉機構(24)が開いていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記上流側キャビティ(13)から取り出した前記一次射出成形品(14)をダイレクトに前記下流側キャビティ(15)へ移し替えて、これに続く前記可塑化スクリュー(7)の噴射行程で前記二次射出成形品(16)でパッキングすることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための、特に光学部品を製造するための射出成形機、および、このような多層のプラスチック成形部品を製造するための方法に関するものである。
本発明には、独国特許出願DE102012205196.1の内容を関連するものとして取り込む。
本発明は、たとえば自動車のLED照明装置用のレンズのような光学部品の製造と関連して格別な役割を果たす。これらのレンズの光学的性能はとりわけ使用するプラスチック材の壁厚、屈折率に依存しており、特にレンズ表面の構成に依存している。使用目的に応じてはこの種のレンズの壁厚は5ないし50mmのオーダーに達し、プラスチック射出成形においては「厚壁」と見なされる。
【背景技術】
【0002】
このような厚壁の部材を製造する場合、厚い部材は金型内で長い冷却時間を必要とするので、たとえばサイクル時間のかなりの延長といった種々の問題が生じる。また、厚壁のプラスチック部品には十分長い時間にわたって金型内で保持圧力を作用させねばならず、プラスチック材が注出領域で硬化しないようにしなければならない。さらに、流線等を回避するには、射出成形金型内のキャビティの均質で緩速な充填が重要である。
【0003】
上記の問題を解消するため、厚壁のレンズのための製造技術としていわゆる多層射出成形が考えられる。多層射出成形では、複数の層から成る単一の熱可塑性プラスチックから部品が歩進的に射出成形される。多層射出成形では、とりわけ壁厚分布、それぞれの層の配置、「部分ショット」の順番、射出成形金型の個々のキャビティ内での金型温度の相違に依存して、単層射出成形に比べて部品の品質を良くすることができるとともに、サイクル時間のかなりの短縮を達成できる。サイクル時間を短縮できるのは、製造される部品の壁厚が二次式に依存して冷却時間の算出に取り込まれるからである。
【0004】
多層射出成形の利点は、非特許文献1から明らかになった。これから明らかなことは、たとえば2つの単層レンズに対する600秒のサイクル時間を、2つの2層レンズに対する580秒のサイクル時間を経て、2つの3層レンズに対する480秒のサイクル時間へ短縮することができる点である。同時に、このような多層部品の場合、収縮ポテンシャルと、これに対応して冷却および圧力によって生じる収縮差と、応力とが減少する。さらに、非特許文献1によれば、そこに開示されたサンドイッチ3層射出成形法の場合、さほど精確に一次射出成形品を作製する必要がないのが利点である。
【0005】
機械技術的には、技術水準から、異なる射出成形品に対し、これら射出成形品に同じプラスチック材が使用されるにもかかわらず、2成分射出成形技術に対応して2つの異なる可塑化ユニットを射出成形金型に使用することが知られている。このような2成分機械技術の場合、通常は、一次射出成形品を移し替えるために回転皿または転向板が使用されるが、これには射出成形機用に付加的なスペースを必要とし、光学部品の製造の場合、射出成形機は比較的小型である。
【0006】
総じて、単一の熱可塑性プラスチックから多層プラスチック成形部品を製造するための公知の機械技術的アプローチは不必要に無駄があり、よって高コストである。
【0007】
他の欠点は、1つの部品の、単一のプラスチック材から成る異なる層が、異なる可塑化ユニットから噴射され、その結果これらの可塑化ユニット内での材料の滞留時間が場合によっては非常に長くなることである。しかしながら、光学材料の場合、このような長い滞留時間は材料の熱による悪化の点で不具合である。
【0008】
上記欠点を回避するため、いわゆるタンデム型射出成形もすでに知られている。このタンデム型射出成形では、可塑化スクリューを備えたただ1つの可塑化ユニットが設けられているにすぎないが、この可塑化ユニットは、射出成形金型の1つのキャビティを、たとえば一次射出成形品のために噴射工程、保持圧力工程、配量工程とをまとめた1つの完結的な独自の工程で操作するものである。この射出成形サイクルが終了すると、射出成形部品に対する冷却段階に並行して、二次噴射成形品のための第2のキャビティを空にして、その後適当な噴射圧および保持圧力を供給する。この第2のキャビティの冷却段階は第1のキャビティの配量と脱型に関連付けられ、引き続いて新たなダブルサイクルが始まる。
【0009】
このタンデム型射出成形での欠点は、十分に長い冷却時間が常に必要であり、両キャビティが可能な限り同じ長さでなければならないという事実である。
【0010】
しかも、多層に構成される光学部品の場合、上記の要求は矛盾している。というのは、通常はレンズの厚いコアを成す第一次射出成形品は、第2のキャビティ内で一次射出成形品に射出成形される、レンズのより薄い表面層の形態の二次射出成形品よりも、かなり大きな壁厚を有しているからである。壁厚が異なっているために、一次射出成形品の冷却段階と二次射出成形品の冷却段階とは著しく異なっている。両冷却段階を統一することには限界があり、とりわけ二次射出成形品が非常に薄い場合にそうである。二次射出成形品が薄いことは、レンズの表面を型どるうえで非常に重要である。また、一次射出成形品に対する品質要求が低いという事実もある。というのは、一次射出成形品は寸法安定性に関しあまり問題にならないからである。一次射出成形品は二次射出成形品によってパッキングされ、これによって一次射出成形品の不均一な収縮が補償される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ドイツ、バーデンバーデン、2011年11月8,9日、ドイツ技術者協会の第2回専門家会議「光学システムのプラスチック」における工学士オラフ・ツェルナー(レーベルクーゼン在Bayer Material Siecnce AG)の講演「多層射出成形による熱可塑性プラスチック製光学成形部品の製造」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、技術水準の上記欠点から出発し、サイクル時間を改善して機械的技術コストが少ない、単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための射出成形機および対応する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、請求項1または請求項7に記載した機械技術に関わる構成または方法技術に関わる構成によって解決される。これによれば、単一の熱可塑性プラスチックから多層のプラスチック成形部品を製造するための本発明による射出成形機は、可塑化スクリューを備えたただ1つの可塑化ユニットと、これから材料の供給を受ける射出成形金型とを含んでいる。射出成形金型は、少なくとも1対の型キャビティを有し、そのうち第1のキャビティ(以下では上流側キャビティと記す)は一次射出成形品のために特定され、第2のキャビティ(以下では下流側キャビティと記す)は一次射出成形品の上に射出成形される二次射出成形品のために特定されている。射出成形金型は、さらに、可塑化ユニットの噴射ノズルの下流側に設けられ、可塑化ユニットの噴射ノズルを2つの分岐ランナーを介してそれぞれ上流側キャビティおよび下流側キャビティと結合させている分配器を有している。2つの分岐ランナー内にはそれぞれ制御可能な密閉機構が設けられている。
【0014】
本発明による射出成形機とこれに対応する製造方法とは、射出成形の際の次の作動工程またはステップを特徴としている。すなわち
下流側キャビティへ通じる分岐ランナー内に設けた密閉機構を閉じた状態で上流側キャビティ内で一次射出成形品を射出成形する工程と、
【0015】
可塑化スクリューの同じ噴射行程で、下流側キャビティへ通じる分岐ランナー内の密閉機構を開き、同時に上流側キャビティ内に着座している一次射出成形品を冷却しながら、二次射出成形品を、プレショットから生じて下流側キャビティ内に着座している一次射出成形品へ射出成形する工程と、
【0016】
上流側キャビティおよび下流側キャビティへ通じる分岐ランナー内の密閉機構を開き、同時に一次射出成形品および二次射出成形品を冷却しながら、可塑化スクリューの前記同じ噴射行程の終了時に上流側キャビティと下流側キャビティとに保持圧力を同時に作用させる工程と、
【0017】
一次射出成形品および二次射出成形品をさらに冷却し、可塑化スクリューを後退させて該可塑化スクリューの次の噴射行程のためにプラスチック材を処理している間に一次射出成形品および二次射出成形品を射出成形金型から取り出す工程と、
を含んでいる。
【0018】
本発明による射出成形機の構成と、これに有効な一連の製造方法とにより、一次射出成形品と二次射出成形品とが、互いにダイレクトに続いている2つの射出成形段階であって、一次射出成形品と二次射出成形品とに対する1つの共通の保持圧力段階によって連続する前記2つの射出成形段階で製造されるという利点が生じる。この場合、両キャビティには同時に保持圧力が供給され、その結果総じてサイクル時間がかなり短縮する。さらに、可塑化スクリューの同じ噴射工程で上流側キャビティと下流側キャビティとの双方が充填されるので、単位時間当たりの質量流が増大する。対応的に、可塑化ユニット内でのプラスチック材の滞留時間が短くなり、このことは、光学部品の製造に関して材料品質にかなり好適になる。最後に、この時間は一次射出成形品および二次射出成形品の冷却に利用でき、その取り出しは可塑化スクリューを復帰させるために利用でき、プラスチック材の処理は次のショットのために利用できる。
【0019】
要約すると、本発明を用いると、従来よりも機械技術的コストが低く、サイクル時間が短く、部品品質が高い、単一の熱可塑性プラスチックから成る多層プラスチック成形部品を、材料にやさしく製造される。制御工程において2つの可塑化ユニットを互いに整合させる必要がないので、製造プロセスが簡単に実現される。可塑化スクリューの適当な配量時間と適当な圧力推移とを備えた1つのスクリュークッションのみを多層噴射行程の間に制御技術的に使いこなせばよい。
【0020】
射出成形機の有利な実施態様によれば、射出成形金型内の分配器は、可塑化ユニットの噴射ノズルと分岐ランナーとの間に配置されるホットランナーを有している。これにより一次射出成形品および二次射出成形品に対する異なる噴射段階の間での熱可塑性材料の搬送能が補助される。
【0021】
射出成形機とこれに有効な作動方法との択一的な実現可能性によれば、二次射出成形品を噴射している間に、上流側キャビティに通じている分岐ランナー内の密閉機構は閉鎖され、または、開いていてよい。
【0022】
上流側キャビティに通じる分岐ランナーが閉じている場合、二次射出成形品の充填工程の非常に正確な調整を達成できるが、この工程の間、一次射出成形品にマスプレッシャー(Massedruck)を、よって保持圧力を作用させてはならず、これによって一次射出成形品はひけマークが生じるような収縮に曝されるという制限を伴う。
【0023】
逆に、上流側キャビティに通じる分岐ランナーが開いている場合には、充填時間の間、一次射出成形品には並行的に、二次射出成形品の充填に必要なマスプレッシャーと同じマスプレッシャーが供給され、これが収縮を阻止し、よってひけマークの発生を阻止することができる。しかしながら、一方では、これによって二次射出成形品の充填工程の正確な調整を困難にすることがあり、これも二次射出成形品の品質変動を生じさせることがあり、他方では、二次射出成形品が非常に薄壁の場合、一次射出成形品に非常に高いマスプレッシャーが作用することがあり、このことも一次射出成形品に品質上の問題を生じさせることがある。いずれにしろ、適当な実施態様の選択は一次射出成形品および二次射出成形品の部品としての幾何学的形態に依存している。
【0024】
射出成形機の機械技術的な更なる構成によれば、分岐ランナー内の密閉機構はニードル弁として構成されている。これにより、上流側キャビティまたは下流側キャビティ内への溶融液状プラスチック材の供給を機械技術的および制御技術的に簡単に好適に行うことができる。
【0025】
最後に、機械技術的および生産技術的な更なる構成によれば、上流側キャビティから取り出した一次射出成形品をダイレクトに下流側キャビティへ移し替えて、これに続く可塑化スクリューの噴射行程で二次射出成形品でパッキングする。これにより、一次射出成形品に対する操作コストが最小化される。さらに、一次射出成形品は前回の射出成形のために温度が上昇しており、このことは、一次射出成形品と二次射出成形品との間の阻害性境界層なしで二次射出成形品によるコーティングを支援する。
【0026】
本発明の更なる構成、詳細、利点は、添付の図面を用いた、射出成形機および対応する作動方法に関する実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】方法に関わる第1実施形態において、光学部品を製造するための3つの連続する生産中間ステップの1つにおける射出成形機の断面図である。
【
図2】方法に関わる第1実施形態において、光学部品を製造するための3つの連続する生産中間ステップの1つにおける射出成形機の断面図である。
【
図3】方法に関わる第1実施形態において、光学部品を製造するための3つの連続する生産中間ステップの1つにおける射出成形機の断面図である。
【
図4】生産方法に関わる第2実施形態における
図1に対応する図である。
【
図5】生産方法に関わる第2実施形態における
図2に対応する図である。
【
図6】生産方法に関わる第2実施形態における
図3に対応する図である。
【
図7】多層方法で製造した光学レンズの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1ないし
図6は同一の射出成形機を連続して示すもので、以下にこれを説明する。この射出成形機には、スクリューシリンダ2を備えた通常の可塑化ユニット1が設けられている。スクリューシリンダ2は温度調整スリーブ3によってその長さ方向において所定の温度プロファイルに調整される。充填ホッパー4を介して、加工されるべきプラスチック材(たとえば透明なポリカーボネート)5が顆粒形状で供給され、充填ゾーン6においてスクリューシリンダ2内へ装入される。
【0029】
スクリューシリンダ内には、通常のように可塑化スクリュー7がその長手軸線のまわりに回転可能に且つこれに対し平行に往復スクリューとして変位可能に支持されている。スクリューの回転によりプラスチック材5がスクリューシリンダ2内へ引き込まれ、該スクリューシリンダを貫通するように搬送され、可塑化スクリュー7の、充填ゾーン6とは逆の側にある先端部8手前で、材料が全体を10で示した射出成形金型内へ押し込むためのスクリュークッション9として使用されるまで、内部の剪断・摩擦力によって溶融され、均質化される。
【0030】
この射出成形金型10は2つの型半部分11,12を有し、これら型半部分は通常のように閉鎖ユニット(図示せず)によって開閉され、閉鎖圧を作用させることができる。両型半部分11,12は協働して2つのキャビティを形成し、すなわち第1の、一次射出成形品14のためのいわゆる上流側キャビティ13と、第2の、二次射出成形品16のためのいわゆる下流側キャビティ15とを形成している。一次射出成形品14とは、たとえば
図7に図示した光学レンズの平凸コア部分17であり、他方二次射出成形品16とは、このコア部分17の両側に取り囲むように射出成形された、平凸光学レンズ19の表面層18.1,18.2である。
【0031】
射出成形金型10に取り付けられている、スクリューシリンダ2の噴射ノズル20は、全体を21で示した、ノズル側にホットランナー22を有する分配器に開口している。ホットランナー22は一次キャビティ13側へ通じる分岐ランナー23に分岐しており、この場合この分岐ランナー23内にニードル弁24の形態の密閉機構が配置されている。分配器21の他の分岐ランナー25は二次キャビティ15へ通じている。この二次キャビティ25内にも密閉機構としてのニードル弁26が設けられている。
【0032】
図1ないし
図6による射出成形機で経過する作動方法の種々の実施形態を、
図1ないし
図3または
図4ないし
図6を用いて以下に詳細に説明する。
図1または
図4に図示したように、2つの実施形態において1つの状況から出発する。可塑化スクリュー7はその噴射行程の初期にあり、すなわちスクリュークッション9はまだ比較的大きな体積を有している。この段階で一次射出成形品14を射出成形し、このため分岐ランナー23内のニードル弁24を上流側キャビティ13に対して開口させ、他方分岐ランナー25内の第2のニードル弁26は下流側キャビティ15に対して閉鎖させる。可塑化スクリュー7の適当な部分行程により上流側キャビティ13が完全に充填されると、ニードル弁24を閉め、ニードル弁26を下流側キャビティ15に対し開口させる。そこには一次射出成形品14’があり、この一次射出成形品14’は、二次射出成形品16でレンズ19の両表面層18.1,18.2を形成するために噴射される事前のショットから形成されたものである。これは可塑化スクリュー7の同じ噴射行程で行われる。
【0033】
二次射出成形品16を射出成形するためのこの第2のプロセスステップで、
図2に示した方法の実施形態では、ニードル弁24を閉じ、その結果一次射出成形品14は保持圧力なしに冷える。
【0034】
図5に図示した実施形態では、ニードル弁26を開いて二次射出成形品16を射出成形する間、分岐ランナー23内のニードル弁24も上流側キャビティ13に対し開いたままであり、その結果そこの一次射出成形品14は、噴射システム内で支配的な圧力による作用で冷却される。
【0035】
図3または
図6に図示したような次のプロセスステップでは、両実施形態とも、分岐ランナー23,25内のニードル弁24,26は上流側キャビティ13、下流側キャビティ15に対し開いている。この時点で可塑化スクリュー7の噴射行程は、一次射出成形品14においても二次射出成形品16においても(一次射出成形品14’を含めて)収縮を補償する適当な保持圧力を提供する用を成す。この保持圧力段階の間、一次射出成形品14と二次射出成形品16とはさらに冷却される。
【0036】
次に、
図1ないし
図6には詳細に図示していないが、一次射出成形品14と二次射出成形品16とに対し適当な冷却時間が経過した後、通常の態様でこれら両部品を、型半部分11,12を開くことにより射出成形金型から取り出し、一次射出成形品14を下流側キャビティ15内へ移し替える。これと同時に加速スクリュー7をホームポジションへ後退させ、可塑化スクリュー7の次の噴射行程のためにプラスチック材料を装入して対応的に処理する。