【文献】
Nokia,"Group Synchronized DCF",IEEE 802.11-12/0329r1,2012年 3月12日
【文献】
I2R,"Supporting Low Power Operation",IEEE 802.11-12/0409r2,2012年 3月13日
【文献】
LG Electronics,"Uplink Channel Access General Procedure",IEEE 802.11-12/0831r0,2012年 7月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2フレームは、前記RAW内でEDCA(Enhanced Distributed Channel Access)に基づいて伝送される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明を実施できる唯一の実施形態を示すものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には、本発明がそれらの具体的な細部事項なしにも実施可能であるということが理解される。
【0027】
以下の各実施例は、本発明の各構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別の言及がない限り、選択的なものとして考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合されない形態で実施可能である。また、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の各実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部の構成や特徴は、別の実施例に含まれてもよく、別の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
【0028】
以下の説明で使用される特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されたもので、これらの特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更可能である。
【0029】
場合によっては、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置を省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示することができる。また、本明細書全体にわたって同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0030】
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムのうち少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
【0031】
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM(登録商標) Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下ではIEEE 802.11システムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
【0032】
(WLANシステムの構造)
図1は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
【0033】
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素で構成することができ、これらの相互作用によって上位層に対してトランスペアレントな移動性を支援するWLANを提供することができる。基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。
図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれること(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれる)を例示的に示している。
図1において、BSSを示す楕円は、該当のBSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を示すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、該当のBSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
【0034】
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAだけで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている
図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当し得る。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、予め計画して構成されるものではなく、LANが必要な場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
【0035】
STAがついたり消えたりすること、STAのBSS領域に/から入ったり出たりなどすることから、BSSでのSTAのメンバーシップが動的に変更されてもよい。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程を用いてBSSにジョインすることができる。BSS基盤構造の全てのサービスにアクセスするためには、STAはBSSに関連付けられて(associated)いなければならない。このような関連付け(association)は動的に設定することができ、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含むことができる。
【0036】
図2は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。
図2は、
図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、アクセスポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
【0037】
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHY性能によって制限されることがある。ある場合には、このような距離の限界が十分であるが、場合によっては、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
【0038】
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、
図1のようにBSSが独立して存在する代わりに、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素としてBSSが存在してもよい。
【0039】
DSは論理的な概念であり、分配システム媒体(DSM)の特性によって特定することができる。これと関連して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)と分配システム媒体(DSM)とを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は互いに異なる目的のために使用され、互いに異なる構成要素によって使用される。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は多様に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立的に当該LAN構造を特定することができる。
【0040】
DSは複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱うために必要な論理的サービスを提供することによって移同期器を支援することができる。
【0041】
APは、関連付けられた各STAに対してWMを通じてDSへのアクセスを可能にし、且つSTA機能性を有する個体を意味する。APを通じてBSSとDSとの間のデータ移動を行うことができる。例えば、
図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、関連付けられた各STA(STA1及びSTA4)をDSにアクセスさせる機能を提供する。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するので、APはいずれもアドレス可能な個体である。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
【0042】
APに関連付けられたSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに伝送されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)で受信され、IEEE 802.1Xポートアクセス個体によって処理されてもよい。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、伝送データ(又は、フレーム)はDSに伝達されてもよい。
【0043】
図3は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの更に他の例示的な構造を示す図である。
図3では、
図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
【0044】
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークがDS及びBSSで構成されてもよい。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合に該当し得る。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点が特徴である。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
【0045】
IEEE 802.11では、
図3でのBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に利用される形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同じ位置に位置することができ、これはリダンダンシーを提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在することができる。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合や、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合や、同じ位置で2つ以上の互いに異なるアクセス及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態に該当し得る。
【0046】
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。
図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例が示されている。
【0047】
図4の例示において、BSS1及びBSS2がESSを構成する。無線LANシステムにおいてSTAは、IEEE 802.11のMAC/PHY規定に従って動作する機器である。STAはAP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。Non−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機のように、一般にユーザが直接扱う機器に該当する。
図4の例示において、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
【0048】
以下の説明において、non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶこともできる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応する概念である。
【0049】
(リンクセットアップ過程)
図5は、一般のリンクセットアップ(link setup)過程を説明するための図である。
【0050】
STAがネットワークに対してリンクをセットアップし、データを送受信するためには、まず、ネットワークを発見(discovery)し、認証(authentication)を行い、関連付け(association)を確立(establish)し、保安(security)のための認証手順などを行わなければならない。リンクセットアップ過程をセッション開始過程、セッションセットアップ過程と呼ぶこともできる。また、リンクセットアップ過程における発見、認証、関連、保安設定の過程を総称して関連付け過程と呼ぶこともできる。
【0051】
図5を参照して例示的なリンクセットアップ過程について説明する。
【0052】
ステップS510において、STAはネットワーク発見動作を行うことができる。ネットワーク発見動作はSTAのスキャニング(scanning)動作を含むことができる。すなわち、STAがネットワークにアクセスするためには、参加可能なネットワークを探さなければならない。STAは無線ネットワークに参加する前に互換可能なネットワークを識別しなければならないが、特定領域に存在するネットワーク識別過程をスキャニングという。
【0053】
スキャニング方式には、能動的スキャニング(active scanning)と受動的スキャニング(passive scanning)がある。
【0054】
図5では、例示として能動的スキャニング過程を含むネットワーク発見動作を示す。能動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAは、チャネルを移りながら周辺にどのAPが存在するかを探索するためにプローブ要請フレーム(probe request frame)を伝送し、それに対する応答を待つ。応答者(responder)は、プローブ要請フレームを伝送したSTAに、プローブ要請フレームに対する応答としてプローブ応答フレーム(probe response frame)を伝送する。ここで、応答者は、スキャニングされているチャネルのBSSで最後にビーコンフレーム(beacon frame)を伝送したSTAであり得る。BSSでは、APがビーコンフレームを伝送するので、APが応答者となり、IBSSでは、IBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを伝送するので、応答者が一定でない。例えば、1番チャネルでプローブ要請フレームを伝送し、1番チャネルでプローブ応答フレームを受信したSTAは、受信したプローブ応答フレームに含まれたBSS関連情報を格納し、次のチャネル(例えば、2番チャネル)に移動して同一の方法でスキャニング(即ち、2番チャネル上でプローブ要請/応答の送受信)を行うことができる。
【0055】
図5には示していないが、スキャニング動作は受動的スキャニング方式で行われてもよい。受動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながらビーコンフレームを待つ。ビーコンフレームは、IEEE 802.11において管理フレーム(management frame)の一つであって、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを探して無線ネットワークに参加できるように、周期的に伝送される。BSSでAPがビーコンフレームを周期的に伝送する役割を果たし、IBSSではIBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを伝送する。スキャニングを行うSTAはビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれたBSSに関する情報を格納し、他のチャネルに移動しながら各チャネルでビーコンフレーム情報を記録する。ビーコンフレームを受信したSTAは、受信したビーコンフレームに含まれたBSS関連情報を格納し、次のチャネルに移動して同一の方法で次のチャネルでスキャニングを行うことができる。
【0056】
能動的スキャニングと受動的スキャニングとを比較すれば、能動的スキャニングが受動的スキャニングに比べてディレイ(delay)及び電力消耗が小さいという利点がある。
【0057】
STAがネットワークを発見した後に、ステップS520で認証過程を行うことができる。このような認証過程は、後述するステップS540の保安セットアップ動作と明確に区別するために、第1の認証(first authentication)過程と呼ぶことができる。
【0058】
認証過程は、STAが認証要請フレーム(authentication request frame)をAPに送信し、これに応答してAPが認証応答フレーム(authentication response frame)をSTAに送信する過程を含む。認証要請/応答に用いられる認証フレーム(authentication frame)は管理フレームに該当する。
【0059】
認証フレームは、認証アルゴリズム番号(authentication algorithm number)、認証トランザクションシーケンス番号(authentication transaction sequence number)、状態コード(status code)、検問テキスト(challenge text)、RSN(Robust Security Network)、有限循環グループ(Finite Cyclic Group)などに関する情報を含むことができる。これは、認証要請/応答フレームに含まれ得る情報の一例示に過ぎず、他の情報で代替するか、または追加の情報がさらに含まれてもよい。
【0060】
STAは認証要請フレームをAPに送信することができる。APは、受信された認証要請フレームに含まれた情報に基づいて、当該STAに対する認証を許容するか否かを決定することができる。APは認証処理の結果を認証応答フレームを通じてSTAに提供することができる。
【0061】
STAが成功的に認証された後に、ステップS530で関連付け過程を行うことができる。関連付け過程は、STAが関連付け要請フレーム(association request frame)をAPに伝送し、それに応答してAPが関連付け応答フレーム(association response frame)をSTAに伝送する過程を含む。
【0062】
例えば、関連付け要請フレームは、様々な能力(capability)に関する情報、ビーコン聴取間隔(listen interval)、SSID(service set identifier)、支援レート(supported rates)、支援チャネル(supported channels)、RSN、移動性ドメイン、支援オペレーティングクラス(supported operating classes)、TIM放送要請(Traffic Indication Map Broadcast request)、相互動作(interworking)サービス能力などに関する情報を含むことができる。
【0063】
例えば、関連付け応答フレームは、様々な能力に関する情報、状態コード、AID(Association ID)、支援レート、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット、RCPI(Received Channel Power Indicator)、RSNI(Received Signal to Noise Indicator)、移動性ドメイン、タイムアウト間隔(関連付けカムバック時間(association comeback time))、重畳(overlapping)BSSスキャンパラメータ、TIM放送応答、QoSマップなどの情報を含むことができる。
【0064】
これは、関連付け要請/応答フレームに含まれ得る情報の一例に過ぎず、他の情報で代替するか、または追加の情報がさらに含まれてもよい。
【0065】
STAがネットワークに成功的に関連付けられた後に、ステップS540で保安セットアップ過程を行うことができる。ステップS540の保安セットアップ過程は、RSNA(Robust Security Network Association)要請/応答を通じた認証過程ということもでき、上記のステップS520の認証過程を第1の認証(first authentication)過程とし、ステップS540の保安セットアップ過程を単純に認証過程と呼ぶこともできる。
【0066】
ステップS540の保安セットアップ過程は、例えば、EAPOL(Extensible Authentication Protocol over LAN)フレームを通じた4−ウェイ(way)ハンドシェーキングを通じて、プライベートキーセットアップ(private key setup)を行う過程を含むことができる。また、保安セットアップ過程は、IEEE 802.11標準で定義しない保安方式によって行われてもよい。
【0067】
(WLANの進化)
無線LANで通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的に、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援し、また、伝送エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端と受信端の両方に多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
【0068】
無線LANの普及が活性化され、また、それを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近は、IEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの次のバージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であって、MACサービスアクセスポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために最近に新しく提案されているIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
【0069】
次世代無線LANシステムは、無線チャネルを効率的に利用するために複数のSTAが同時にチャネルにアクセスするMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の伝送を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを伝送することができる。
【0070】
また、ホワイトスペース(white space)で無線LANシステム動作を支援することが議論されている。例えば、アナログTVのデジタル化による遊休状態の周波数帯域(例えば、54〜698MHz帯域)のようなTVホワイトスペース(TV WS)での無線LANシステムの導入は、IEEE 802.11af標準として議論されている。しかし、これは例示に過ぎず、ホワイトスペースは、許可されたユーザ(licensed user)が優先して使用できる許可された帯域といえる。許可されたユーザは、許可された帯域の使用が許可されたユーザのことを意味し、許可された装置(licensed device)、プライマリユーザ(primary user)、優先的ユーザ(incumbent user)などと呼ぶこともできる。
【0071】
例えば、WSで動作するAP及び/又はSTAは、許可されたユーザに対する保護(protection)機能を提供しなければならない。例えば、WS帯域で特定帯域幅を有するように規約(regulation)上分割されている周波数帯域である特定WSチャネルを、マイクロホン(microphone)のような許可されたユーザが既に使用している場合、許可されたユーザを保護するために、AP及び/又はSTAは当該WSチャネルに該当する周波数帯域は使用することができない。また、AP及び/又はSTAは、現在フレーム伝送及び/又は受信のために使用している周波数帯域を許可されたユーザが使用するようになると、当該周波数帯域の使用を中止しなければならない。
【0072】
そのため、AP及び/又はSTAは、WS帯域内の特定周波数帯域の使用が可能であるか否か、すなわち、当該周波数帯域に許可されたユーザが存在するか否かを把握する手順を先行しなければならない。許可されたユーザが特定周波数帯域に存在するか否かを把握することをスペクトルセンシング(spectrum sensing)という。スペクトルセンシングメカニズムとして、エネルギー探知(energy detection)方式、信号探知(signature detection)方式などが活用される。受信信号の強度が一定値以上であると、許可されたユーザが使用中であると判断したり、DTVプリアンブル(preamble)が検出されると、許可されたユーザが使用中であると判断することができる。
【0073】
また、次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11無線LANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信は、一つ以上のマシン(Machine)が含まれる通信方式を意味し、MTC(Machine Type Communication)又は事物通信と呼ばれることもある。ここで、マシンとは、人間の直接的な操作や介入を必要としない個体(entity)を意味する。例えば、無線通信モジュールが搭載された検針機(meter)や自動販売機のような装置はもとより、ユーザの操作/介入無しに自動でネットワークに接続して通信を行うことができるスマートフォンのようなユーザ機器もマシンの例示に該当し得る。M2M通信は、デバイス間の通信(例えば、D2D(Device−to−Device)通信)、デバイスとサーバー(application server)間の通信などを含むことができる。デバイスとサーバー間の通信の例示としては、自動販売機とサーバー、POS(Point of Sale)装置とサーバー、電気、ガス又は水道検針機とサーバー間の通信が挙げられる。その他にも、M2M通信ベースのアプリケーション(application)には、保安(security)、運送(transportation)、ヘルスケア(health care)などが含まれてもよい。このような適用例の特性を考慮すると、一般に、M2M通信は、数多くの機器が存在する環境でたまに少ない量のデータを低速で送受信することを支援できるものでなければならない。
【0074】
具体的に、M2M通信は多数のSTAを支援できるものでなければならない。現在定義されている無線LANシステムでは、一つのAPに最大2007個のSTAが関連付けられる場合を仮定するが、M2M通信では、それよりも多い個数(約6000個)のSTAが一つのAPに関連付けられる場合を支援する方案が議論されている。また、M2M通信では、低い送信速度を支援/要求するアプリケーションが多いと予想される。これを円滑に支援するために、例えば、無線LANシステムでは、TIM(Traffic Indication Map)要素に基づいてSTAが自身に送信されるデータの有無を認知できるが、TIMのビットマップサイズを減らす方案が議論されている。また、M2M通信では、送信/受信間隔が非常に長いトラフィックが多いと予想される。例えば、電気/ガス/水道の使用量のように長い周期(例えば、1ケ月)ごとに非常に少ない量のデータをやり取りすることが要求される。また、M2M通信では、ダウンリンク(即ち、APから非−AP STAへのリンク)を介して提供された命令に応じてSTAの動作が行われ、その結果、データがアップリンク(即ち、非−AP STAからAPへのリンク)を介して報告される構造を有するので、M2M通信では、主要データが伝送されるアップリンクでの改善された通信方式が主に扱われる。また、M2M STAは、主にバッテリーで動作し、ユーザがよく充電しにくい場合が多いので、バッテリー消耗を最小化することによって長寿命が保障されるようにすることが要求される。また、M2M STAは、特定状況でユーザが直接操作しにくいと予想されるので、自ら復旧する機能を有することが要求される。そのため、無線LANシステムでは、一つのAPに関連付けられ得るSTAの個数は非常に多くなっても、一つのビーコン周期の間にAPから受信するデータフレームが存在するSTAの個数が非常に少ない場合を効率的に支援し、STAの消耗電力を減少させる方案が議論されている。
【0075】
このように無線LAN技術は急速に進化しつつあり、前述の例示に加えて、直接リンクセットアップ、メディアストリーミング性能の改善、高速及び/又は大規模の初期セッションセットアップの支援、拡張された帯域幅及び動作周波数の支援などのための技術が開発されている。
【0076】
(1GHz未満(sub−1GHz)で動作するWLAN)
前述したように、M2M通信をユースケース(use case)とするIEEE 802.11ah標準が議論中にある。IEEE 802.11ah標準は、1GHz未満(sub−1GHz)の動作周波数においてTVホワイトスペース帯域(white space band)を除外した非免許(unlicensed)帯域で動作し、既存の室内(indoor)カバレッジを主に支援していたWLANに比べて遥かに広いカバレッジ(例えば、最大1km)を有することができる。すなわち、既存の2.4GHzや5GHzの周波数で動作していたWLANとは異なり、sub−1GHz(例えば、700〜900MHz)の動作周波数帯域でWLANが使用されると、当該帯域の伝搬特性により、同一伝送電力においてAPのカバレッジが略2〜3倍拡張される。この場合、一つのAP当たり非常に多くの数のSTAが接続できるという特徴を有する。IEEE 802.11ah標準で考慮しているユースケースを要約すると、次の表1の通りである。
【0077】
【表1】
上記表1のユースケース1によれば、様々な種類のセンサー/メーター装置が802.11ah APに接続されてM2M通信を行うことができる。特に、スマートグリッド(smart grid)の場合、最大6,000個のセンサー/メーター装置が一つのAPに接続することができる。
【0078】
上記表1のユースケース2によれば、広いカバレッジを提供する802.11ah APがIEEE 802.15.4gのような他のシステムのバックホールリンク(backhaul link)の役割を果たす場合である。
【0079】
上記表1のユースケース3によれば、拡張されたホームカバレッジ(Extended home coverage)、キャンパスの広さのカバレッジ(Campus wide coverage)、ショッピングモール(Shopping malls)のような室外の拡張された範囲のホットスポット(outdoor extended range hotspot)通信を支援することができる。また、ユースケース3によれば、802.11ah APがセルラー移動通信のトラフィックオフローディング(traffic offloading)を支援することによって、セルラートラフィックの過負荷を分散させる機能を果たすこともできる。
【0080】
このようなsub−1GHz帯域での通信のための物理層(PHY)の構成は、既存のIEEE 802.11ac PHYを1/10ダウンクロッキング(down−clocking)することによって具現することができる。この場合、802.11acでの20/40/80/160/80+80MHzのチャネル帯域幅は、1/10ダウンクロッキングを通じて、sub−1GHz帯域で2/4/8/16/8+8MHzのチャネル帯域幅を提供することができる。これによって、ガード区間(Guard Interval;GI)は、0.8μsから8μsに10倍増加するようになる。下記の表2は、802.11ac PHYと、1/10ダウンクロッキングされたsub−1GHz PHYとの処理量(throughput)を比較したものである。
【0081】
【表2】
(媒体アクセスメカニズム)
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本アクセスメカニズムは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(Distributed Coordination Function、DCF)とも呼ばれるが、基本的に「listen before talk」アクセスメカニズムを採用している。このような類型のアクセスメカニズムによれば、AP及び/又はSTAは、伝送を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)をセンシング(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。センシングの結果、媒体が遊休状態(idle status)と判断されると、当該媒体を通じてフレーム伝送を始める。一方、媒体が占有状態(occupied status)と感知されると、当該AP及び/又はSTAは自分の伝送を開始せず、媒体アクセスのための遅延期間(例えば、任意のバックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム伝送を試みることができる。任意のバックオフ周期の適用により、複数のSTAはそれぞれ異なった時間待った後にフレーム伝送を試みることが期待されるので、衝突(collision)を最小化することができる。
【0082】
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式アクセス方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するためのアクセス方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリング(polling)メカニズムを用いた非競合ベースのチャネルアクセス方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体アクセスメカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを伝送することができる。
【0083】
図6は、バックオフ過程を説明するための図である。
【0084】
図6を参照して任意のバックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態であった媒体が遊休(idle)状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)伝送を試みることができる。このとき、衝突を最小化するための方案として、STAは、それぞれ任意のバックオフカウントを選択し、それに該当するスロット時間だけ待機した後、伝送を試みることができる。任意のバックオフカウントは、擬似−任意の整数(pseudo−random integer)値を有し、0〜CWの範囲の値のいずれか一つで決定され得る。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、伝送失敗の場合(例えば、伝送されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ伝送に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功する場合にはCWmin値にリセットされる。CW、CWmin及びCWmax値は2n−1(n=0,1,2,…)に設定されることが好ましい。
【0085】
任意のバックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値に応じてバックオフスロットをカウントダウンする間に続けて媒体をモニタする。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
【0086】
図6の例示において、STA3のMACに伝送するパケットが到達した場合に、STA3は、DIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを伝送することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタし、待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも伝送するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択した任意のバックオフカウント値に応じてバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。
図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム伝送を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、止めていたバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間だけの残りのバックオフスロットをカウントダウンした後にフレーム伝送を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短かったため、STA5がフレーム伝送を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも伝送するデータが発生し得る。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択した任意のバックオフカウント値によるカウントダウンを行い、フレーム伝送を始めることができる。
図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4の任意のバックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生することがある。衝突が発生する場合には、STA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ伝送に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後に任意のバックオフカウント値を選択し、カウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の伝送によって媒体が占有状態である間に待機し、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム伝送を開始することができる。
【0087】
(STAのセンシング動作)
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接センシングする物理的キャリアセンシング(physical carrier sensing)以外に、仮想キャリアセンシング(virtual carrier sensing)も含む。仮想キャリアセンシングは、隠れたノード問題(hidden node problem)などのように媒体アクセスで発生し得る問題を補完するために用いられる。仮想キャリアセンシングのために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当ベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を使用していたり又は使用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体が使用可能な状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに指示(indicate)する値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを伝送するAP及び/又はSTAによって媒体の使用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間の間媒体アクセス(又はチャネルアクセス)が禁止(prohibit)または延期(defer)される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダ(header)の「duration」フィールドの値によって設定されてもよい。
【0088】
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入された。これについて
図7及び
図8を参照して説明する。実際にキャリアセンシング範囲と伝送範囲は同一でないこともあるが、説明の便宜のため両者は同一であると仮定する。
【0089】
図7は、隠れたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
【0090】
図7(a)は、隠れたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前にキャリアセンシングを行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの伝送(即ち、媒体占有)をSTA Cの位置ではセンシングできないこともあるからである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受けるので、衝突が発生することになる。このとき、STA AをSTA Cの隠れたノードということができる。
【0091】
図7(b)は、露出されたノード(exposed node)に対する例示であり、STA BがSTA Aにデータを伝送している状況で、STA CがSTA Dに伝送する情報を持っている場合である。この場合、STA Cがキャリアセンシングを行うと、STA Bの伝送によって、媒体が占有された状態であると判断することがある。そのため、STA CがSTA Dに伝送する情報を持っていても、媒体占有状態とセンシングされたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあるため、STA Cからの伝送とSTA Bからの伝送とがSTA Aの立場では衝突しないこともあるので、STA Cは、STA Bが伝送を止めるまで不必要に待機することになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
【0092】
図8は、RTSとCTSを説明するための図である。
【0093】
図7のような例示的な状況で衝突回避(collision avoidance)メカニズムを効率的に利用するために、RTS(request to send)とCTS(clear to send)などの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を利用することができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにして、前記周囲のSTAが前記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを伝送しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを伝送すると、データを受けるSTAは、CTSフレームを周囲のSTAに伝送することによって、自身がデータを受けることを知らせることができる。
【0094】
図8(a)は、隠れたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA CがいずれもSTA Bにデータを伝送しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA Bは、CTSを自身の周囲にあるSTA A及びSTA Cの両方に伝送する。その結果、STA Cは、STA AとSTA Bのデータ伝送が終わるまで待機し、衝突を避けることとなる。
【0095】
図8(b)は、露出されたノード問題を解決する方法に対する例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS伝送をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは、自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないことと判断することができる。すなわち、STA Bは周囲の全てのSTAにRTSを伝送し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを伝送するようになる。STA CはRTSを受信できるだけで、STA AのCTSは受信できないため、STA AはSTA Cのキャリアセンシング外にあるということがわかる。
【0096】
(電力管理)
前述したように、無線LANシステムでは、STAが送受信を行う前にチャネルセンシングを行わなければならないが、チャネルを常にセンシングすることはSTAの持続的な電力消耗を引き起こす。受信状態での電力消耗は送信状態での電力消耗と大差がなく、受信状態を持続することも、電力の制限された(即ち、バッテリーによって動作する)STAには大きな負担となる。したがって、STAが持続的にチャネルをセンシングするために受信待機状態を維持すると、無線LAN処理率の面で特別な利点もなく電力を非効率的に消耗することになる。このような問題点を解決するために、無線LANシステムではSTAの電力管理(power management;PM)モードを支援する。
【0097】
STAの電力管理モードはアクティブ(active)モード及び節電(power save;PS)モードに区別される。STAは基本的にアクティブモードで動作する。アクティブモードで動作するSTAは、アウェイク状態(awake state)を維持する。アウェイク状態は、フレーム送受信やチャネルスキャニングなどの正常動作が可能な状態である。一方、PSモードで動作するSTAは、スリープ状態(sleep state)(又は、ドーズ(doze)状態)とアウェイク状態(awake state)を切り替え(switch)ながら動作する。スリープ状態で動作するSTAは、最小限の電力で動作し、フレーム送受信はもとより、チャネルスキャニングも行わない。
【0098】
STAがスリープ状態でできるだけ長く動作するほど電力消耗が減少するので、STAの動作期間が増加する。しかし、スリープ状態ではフレーム送受信が不可能なため、無条件に長く動作するわけにはいかない。スリープ状態で動作するSTAが、APに伝送するフレームが存在する場合、アウェイク状態に切り替えてフレームを送信することができる。一方、APがSTAに伝送するフレームがある場合、スリープ状態のSTAはそれを受信できないことはもとより、受信するフレームが存在するということも把握できない。したがって、STAは、自身に伝送されるフレームの存在有無を確認するために(また、存在するならそれを受信するために)、特定周期に従ってアウェイク状態に切り替える動作が必要なことがある。
【0099】
図9は、電力管理動作を説明するための図である。
【0100】
図9を参照すると、AP 210は、一定の周期でビーコンフレーム(beacon frame)をBSS内のSTAに伝送する(S211、S212、S213、S214、S215、S216)。ビーコンフレームには、TIM(Traffic Indication Map)情報要素(Information Element)が含まれる。TIM情報要素は、AP 210が自身と関連付けられたSTAに対するバッファされたトラフィックが存在し、フレームを伝送する旨を知らせる情報を含む。TIM要素には、ユニキャスト(unicast)フレームを知らせるために用いられるTIMと、マルチキャスト(multicast)又はブロードキャスト(broadcast)フレームを知らせるために用いられるDTIM(delivery traffic indication map)がある。
【0101】
AP 210は、3回のビーコンフレームを伝送する度に1回ずつDTIMを伝送することができる。STA1 220及びSTA2 230はPSモードで動作するSTAである。STA1 220及びSTA2 230は、所定の周期のウェイクアップインターバル(wakeup interval)ごとにスリープ状態からアウェイク状態に切り替えて、AP 210によって伝送されたTIM要素を受信できるように設定されてもよい。それぞれのSTAは、自身のローカルクロック(local clock)に基づいてアウェイク状態に切り替える時点を計算することができ、
図9の例示では、STAのクロックがAPのクロックと一致すると仮定する。
【0102】
例えば、前記所定のウェイクアップインターバルは、STA1 220がビーコンインターバルごとにアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信できるように設定されてもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が最初にビーコンフレームを伝送するとき(S211)、アウェイク状態に切り替わり得る(S221)。STA1 220は、ビーコンフレームを受信し、TIM要素を取得することができる。取得されたTIM要素が、STA1 220に伝送されるフレームがある旨を指示すると、STA1 220は、AP 210にフレーム伝送を要請するPS−Poll(Power Save−Poll)フレームをAP 210に伝送することができる(S221a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してフレームをSTA1 220に伝送することができる(S231)。フレーム受信を完了したSTA1 220は、再びスリープ状態に切り替わって動作する。
【0103】
AP 210が2番目にビーコンフレームを伝送するにあたって、他の装置が媒体にアクセスしているなど、媒体が占有された(busy medium)状態であるため、AP 210は正確なビーコンインターバルに合わせてビーコンフレームを伝送できず、遅延された時点に伝送することがある(S212)。この場合、STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせて動作モードをアウェイク状態に切り替えるが、遅延送信されるビーコンフレームを受信できず、再びスリープ状態に切り替わる(S222)。
【0104】
AP 210が3番目にビーコンフレームを送信する時、当該ビーコンフレームはDTIMと設定されたTIM要素を含むことができる。ただし、媒体が占有された(busy medium)状態であるので、AP 210はビーコンフレームを遅延して伝送する(S213)。STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせてアウェイク状態に切り替わって動作し、AP 210によって伝送されるビーコンフレームからDTIMを取得することができる。STA1 220が取得したDTIMは、STA1 220に伝送されるフレームはなく、他のSTAのためのフレームが存在する旨を指示する場合を仮定する。この場合、STA1 220は、自身が受信するフレームがないことを確認し、再びスリープ状態に切り替わって動作することができる。AP 210はビーコンフレーム伝送後にフレームを該当のSTAに伝送する(S232)。
【0105】
AP 210は、4番目にビーコンフレームを伝送する(S214)。ただし、STA1 220は、以前の2回にわたるTIM要素受信から、自身に対するバッファされたトラフィックが存在するという情報が取得できなかったため、TIM要素受信のためのウェイクアップインターバルを調整することができる。又は、AP 210によって伝送されるビーコンフレームにSTA1 220のウェイクアップインターバル値を調整するためのシグナリング情報が含まれた場合、STA1 220のウェイクアップインターバル値が調整されてもよい。本例示において、STA1 220はビーコンインターバルごとにTIM要素受信のために運営状態を切り替えたが、3回のビーコンインターバルごとに1回起床するように運営状態を切り替えるように設定してもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が4番目のビーコンフレームを伝送し(S214)、5番目のビーコンフレームを伝送する時点に(S215)スリープ状態を維持するため、TIM要素を取得することができない。
【0106】
AP 210が6番目にビーコンフレームを伝送する時(S216)、STA1 220はアウェイク状態に切り替わって動作し、ビーコンフレームに含まれたTIM要素を取得することができる(S224)。TIM要素は、ブロードキャストフレームが存在する旨を指示するDTIMであるので、STA1 220は、PS−PollフレームをAP 210に伝送することなく、AP 210によって伝送されるブロードキャストフレームを受信することができる(S234)。一方、STA2 230に設定されたウェイクアップインターバルはSTA1 220に比べて長い周期に設定されてもよい。したがって、STA2 230は、AP 210が5番目にビーコンフレームを伝送する時点(S215)にアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信することができる(S241)。STA2 230は、TIM要素から、自身に伝送されるフレームが存在することがわかり、フレーム伝送を要請するためにAP 210にPS−Pollフレームを伝送することができる(S241a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してSTA2 230にフレームを伝送することができる(S233)。
【0107】
図9のような節電モードの運営のために、TIM要素には、STAに伝送されるフレームが存在するか否かを指示するTIM、又はブロードキャスト/マルチキャストフレームが存在するか否かを指示するDTIMが含まれる。DTIMは、TIM要素のフィールド設定によって具現することができる。
【0108】
図10乃至
図12は、TIMを受信したSTAの動作を詳細に説明するための図である。
【0109】
図10を参照すると、STAは、APからTIMを含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、受信したTIM要素を解釈して、自身に伝送されるバッファされたトラフィックがあることを確認できる。STAは、PS−Pollフレームの伝送のための媒体アクセスのために他のSTAと競合(contending)を行った後に、APにデータフレーム伝送を要請するためにPS−Pollフレームを伝送することができる。STAによって伝送されたPS−Pollフレームを受信したAPは、STAにフレームを伝送することができる。STAは、データフレームを受信し、それに対する確認応答(ACK)フレームをAPに伝送することができる。その後、STAは再びスリープ状態に切り替わり得る。
【0110】
図10のように、APは、STAからPS−Pollフレームを受信した後、所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))後にデータフレームを伝送する即時応答(immediate response)方式によって動作することができる。一方、APが、PS−Pollフレームを受信した後に、STAに伝送するデータフレームをSIFS時間の間に用意できなかった場合は、遅れた応答(deferred response)方式によって動作することができ、これについて
図11を参照して説明する。
【0111】
図11の例示において、STAがスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってAPからTIMを受信し、競合を経てPS−PollフレームをAPに伝送する動作は、
図10の例示と同一である。APが、PS−Pollフレームを受信したが、SIFSの間にデータフレームを用意できなかった場合、データフレームを送信する代わりにACKフレームをSTAに伝送することができる。APは、ACKフレーム伝送後にデータフレームが用意されると、競合を行った後、データフレームをSTAに伝送することができる。STAは、データフレームを成功的に受信したことを示すACKフレームをAPに伝送し、スリープ状態に切り替わり得る。
【0112】
図12は、APがDTIMを伝送する例示に関するものである。STAは、APからDTIM要素を含むビーコンフレームを受信するために、スリープ状態からアウェイク状態に切り替わり得る。これらのSTAは、受信したDTIMから、マルチキャスト/ブロードキャストフレームが伝送されることがわかる。APは、DTIMを含むビーコンフレームの伝送後に、PS−Pollフレームの送受信動作無しに直ちにデータ(即ち、マルチキャスト/ブロードキャストフレーム)を伝送することができる。これらのSTAは、DTIMを含むビーコンフレームを受信してから引き続きアウェイク状態を維持しながらデータを受信し、データ受信が完了した後再びスリープ状態に切り替わり得る。
【0113】
(TIM構造)
図9乃至
図12を参照して上述したTIM(又は、DTIM)プロトコルに基づく節電モード運営方法において、STAは、TIM要素に含まれたSTA識別情報から、自身のために伝送されるデータフレームが存在するか否かを確認することができる。STA識別情報は、STAとAPとの関連付け(association)時にSTAに割り当てられる識別子であるAID(Association Identifier)に関する情報であり得る。
【0114】
AIDは、一つのBSS内ではそれぞれのSTAに対する固有の(unique)識別子として使用される。一例として、現在無線LANシステムにおいてAIDとしては1から2007までのいずれか一つの値を割り当てることができる。現在定義されている無線LANシステムでは、AP及び/又はSTAが伝送するフレームにはAIDのために14ビットを割り当てることができ、AID値は16383まで割り当てることができるが、2008〜16383は予備(reserved)値として設定されている。
【0115】
既存の定義によるTIM要素は、一つのAPに多数(例えば、2007個を超える)のSTAが関連付けられ得るM2Mアプリケーションの適用には適していない。既存のTIM構造をそのまま拡張すると、TIMビットマップのサイズが大きくなりすぎるため、既存のフレームフォーマットでは支援することができず、また、低い伝送レートのアプリケーションを考慮するM2M通信に適していない。また、M2M通信では、一つのビーコン周期の間に受信データフレームが存在するSTAの個数は非常に少ないと予想される。したがって、上記のようなM2M通信の適用例を考慮すれば、TIMビットマップのサイズは大きくなるが、大部分のビットが0値を有する場合が多く発生すると予想されるため、ビットマップを効率的に圧縮する技術が要求される。
【0116】
既存のビットマップ圧縮技術として、ビットマップの先頭部分に連続する0を省略し、オフセット(offset)(又は、開始点)値で定義する方案がある。しかし、バッファされたフレームが存在するSTAの個数は少ないが、それぞれのSTAのAID値の差が大きい場合には圧縮効率が高くない。例えば、AIDが10と2000の値を有するただ2つのSTAに伝送するフレームのみがバッファされている場合、圧縮されたビットマップの長さは1990であるが、両端を除いてはいずれも0の値を有することになる。一つのAPに関連付けられ得るSTAの個数が少ない場合にはビットマップ圧縮の非効率性があまり問題にならないが、STAの個数が増加する場合は、このような非効率性が全体システム性能を阻害する要素になることもある。
【0117】
これを解決するための方案として、AIDを複数のグループに分けてより効果的なデータ伝送を行うようにすることができる。各グループには、指定されたグループID(GID)が割り当てられる。このようなグループベースで割り当てられるAIDについて
図13を参照して説明する。
【0118】
図13(a)は、グループベースで割り当てられたAIDの一例を示す図である。
図13(a)の例示では、AIDビットマップの先頭部におけるいくつかのビットを、GIDを示すために用いることができる。例えば、AIDビットマップにおける先頭の2ビットを用いて4個のGIDを示すことができる。AIDビットマップの全長がNビットである場合、先頭の2ビット(B1及びB2)の値は当該AIDのGIDを示す。
【0119】
図13(b)は、グループベースで割り当てられたAIDの他の例を示す図である。
図13(b)の例示では、AIDの位置によってGIDを割り当てることができる。このとき、同一のGIDを使用するAIDはオフセット(offset)及び長さ(length)の値で表現することができる。例えば、GID 1がオフセットA及び長さBで表現されると、ビットマップ上でA乃至A+B−1のAIDがGID 1を有するということを意味する。例えば、
図13(b)の例示において、全体1乃至N4のAIDが4個のグループに分割されると仮定する。この場合、GID 1に属するAIDは1乃至N1であり、このグループに属するAIDはオフセット1及び長さN1で表現することができる。次に、GID 2に属するAIDをオフセットN1+1及び長さN2−N1+1で表現することができ、GID 3に属するAIDをオフセットN2+1及び長さN3−N2+1で表現することができ、GID 4に属するAIDをオフセットN3+1及び長さN4−N3+1で表現することができる。
【0120】
このようなグループベースで割り当てられるAIDが導入されると、GIDによって異なる時間区間にチャネルアクセスを許容できるようにすることによって、多数のSTAに対するTIM要素不足の問題を解決すると同時に、効率的なデータの送受信を行うことができる。例えば、特定時間区間では特定グループに該当するSTAにのみチャネルアクセスが許容され、残り他のSTAにはチャネルアクセスが制限(restrict)されてもよい。このように、特定STAにのみアクセスが許容される所定の時間区間を、制限されたアクセスウィンドウ(Restricted Access Window;RAW)と呼ぶこともできる。
【0121】
GIDによるチャネルアクセスについて
図13(c)を参照して説明する。
図13(c)では、AIDが3個のグループに分けられている場合、ビーコンインターバルによるチャネルアクセスメカニズムを例示的に示す。1番目のビーコンインターバル(又は、1番目のRAW)は、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスが許容される区間であり、他のGIDに属するSTAのチャネルアクセスは許容されない。これを具現するために、1番目のビーコンにはGID 1に該当するAIDのみのためのTIM要素が含まれる。2番目のビーコンフレームにはGID 2を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって、2番目のビーコンインターバル(又は、2番目のRAW)の間には、GID 2に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。3番目のビーコンフレームには、GID 3を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって、3番目のビーコンインターバル(又は、3番目のRAW)の間には、GID 3に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。4番目のビーコンフレームには再びGID 1を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって、4番目のビーコンインターバル(又は、4番目のRAW)の間には、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。続いて、5番目以降のビーコンインターバル(又は、5番目以降のRAW)のそれぞれにおいても、当該ビーコンフレームに含まれたTIMで指示される特定グループに属したSTAのチャネルアクセスのみが許容されてもよい。
【0122】
図13(c)では、ビーコンインターバルによって許容されるGIDの順序が循環的又は周期的である例示を示しているが、これに制限されるものではない。すなわち、TIM要素に特定GIDに属するAIDのみを含めることによって、特定時間区間(例えば、特定RAW)の間に、これら特定AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセスを許容し、残りのSTAのチャネルアクセスは許容しない方式で動作することができる。
【0123】
前述したようなグループベースのAID割当方式は、TIMの階層的(hierarchical)構造と呼ぶこともできる。すなわち、全体AID空間を複数個のブロックに分割し、0以外の値を持つ特定ブロックに該当するSTA(即ち、特定グループのSTA)のチャネルアクセスのみが許容されるようにすることができる。これによって、大きいサイズのTIMを小さいブロック/グループに分割して、STAがTIM情報を維持しやすくし、STAのクラス、サービス品質(QoS)、又は用途によってブロック/グループが管理しやすくなる。
図13の例示では2−レベルの階層を示しているが、2つ以上のレベルの形態で階層的構造のTIMが構成されてもよい。例えば、全体AID空間を複数個のページ(page)グループに分割し、それぞれのページグループを複数個のブロックに区別し、それぞれのブロックを複数個のサブ−ブロックに分割してもよい。このような場合、
図13(a)の例示の拡張として、AIDビットマップにおいて先頭のN1個のビットはページID(即ち、PID)を示し、その次のN2個のビットはブロックIDを示し、その次のN3個のビットはサブ−ブロックIDを示し、残りのビットがサブ−ブロック内のSTAビット位置を示す方式で構成されてもよい。
【0124】
以下に説明する本発明の例示において、STA(又は、それぞれのSTAに割り当てられたAID)を所定の階層的なグループ単位に分割し、管理する様々な方式が適用されてもよく、グループベースのAID割当方式が上記の例示に制限されるものではない。
【0125】
(U−APSDメカニズム)
U−APSD(Unscheduled−Automatic Power Save Delivery)メカニズムによれば、U−APSDサービス期間(service period;SP)を使用するために、STAは、APに要請伝送期間(requested transmission duration)を知らせることができ、APは、前記SPの間、STAにフレームを伝送することができる。U−APSDメカニズムによれば、STAは、自身のSPを用いて、APから一度に多数のPSDUを受信することができる。
【0126】
STAは、ビーコンのTIM要素から、APが自身に伝送しようとするデータがあることを認知することができる。その後、STAが所望の時点でトリガーフレーム(Trigger frame)をAPに伝送することによって、自身のSPが始まったことをAPに知らせながらAPにデータを伝送することを要請することができる。APは、トリガーフレームに対する応答としてACKを伝送することができる。その後、APは、競合を経てSTAにRTSを伝送し、STAからCTSフレームを受信してから、STAにデータを伝送することができる。ここで、APが伝送するデータは、一つ以上のデータフレームで構成されてもよい。APが最後のデータフレームを伝送するとき、当該データフレームでのEOSP(End Of Service Period)を1に設定してSTAに伝送すると、STAは、これを認知し、SPを終了することができる。これによって、STAは、APに成功的なデータ受信を知らせるACKを伝送することができる。このように、U−APSDメカニズムによれば、STAは、自身が望む時、自身のSPを始めてデータを受信することができ、一つのSP内で複数個のデータフレームを受信することができるので、より効率的なデータの受信が可能になる。
【0127】
(PPDUフレームフォーマット)
PPDU(Physical Layer Convergence Protocol(PLCP) Packet Data Unit)フレームフォーマットは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(SIGNAL)フィールド、及びデータ(Data)フィールドを含んで構成されてもよい。最も基本的な(例えば、non−HT(High Throughput)) PPDUフレームフォーマットは、L−STF(Legacy−STF)、L−LTF(Legacy−LTF)、SIGフィールド及びデータフィールドのみで構成されてもよい。また、PPDUフレームフォーマットの種類(例えば、HT−mixedフォーマットPPDU、HT−greenfieldフォーマットPPDU、VHT(Very High Throughput) PPDUなど)に応じて、SIGフィールドとデータフィールドとの間に追加的な(又は、他の種類の)STF、LTF、SIGフィールドが含まれてもよい。
【0128】
STFは、信号検出、AGC(Automatic Gain Control)、ダイバーシティー選択、精密な時間同期などのための信号であり、LTFは、チャネル推定、周波数誤差推定などのための信号である。STFとLTFを総称してPCLPプリアンブル(preamble)と呼ぶことができ、PLCPプリアンブルは、OFDM物理層の同期化及びチャネル推定のための信号ということができる。
【0129】
SIGフィールドは、RATEフィールド及びLENGTHフィールドなどを含むことができる。RATEフィールドは、データの変調及びコーディングレートに対する情報を含むことができる。LENGTHフィールドは、データの長さに対する情報を含むことができる。さらに、SIGフィールドは、パリティ(parity)ビット、SIG TAILビットなどを含むことができる。
【0130】
データフィールドは、SERVICEフィールド、PSDU(PLCP Service Data Unit)、PPDU TAILビットを含むことができ、必要に応じてパディングビットも含むことができる。SERVICEフィールドの一部のビットは、受信端でのデスクランブラの同期化のために使用することができる。PSDUは、MAC層で定義されるMAC PDUに対応し、上位層で生成/利用されるデータを含むことができる。PPDU TAILビットは、エンコーダーを0状態にリターンするために利用することができる。パディングビットは、データフィールドの長さを所定の単位に合せるために利用することができる。
【0131】
MAC PDUは、様々なMACフレームフォーマットに従って定義され、基本的なMACフレームは、MACヘッダー、フレームボディー、及びFCS(Frame Check Sequence)で構成される。MACフレームは、MAC PDUで構成されて、PPDUフレームフォーマットのデータ部分のPSDUを通じて送信/受信することができる。
【0132】
一方、ヌル−データパケット(NDP)フレームフォーマットは、データパケットを含まない形態のフレームフォーマットを意味する。すなわち、NDPフレームは、一般的なPPDUフォーマットにおいてPLCPヘッダー部分(即ち、STF、LTF及びSIGフィールド)のみを含み、残りの部分(即ち、データフィールド)は含まないフレームフォーマットを意味する。NDPフレームは、短い(short)フレームフォーマットと呼ぶこともできる。
【0133】
(スロットベースのチャネルアクセス方式)
図14は、既存のTIMベースのチャネルアクセス方式を説明するための図である。
【0134】
図14において、ビーコンフレームに含まれるTIM要素において1に設定されたビットに対応するSTAは、ビーコンインターバル内で自身に伝送されるデータが存在することがわかり、これによって、STAは、APにPS−Pollフレームまたはトリガーフレームを伝送することができる。
図14の例示では、一つのAPに多数の(例えば、2007個以上の)STAが関連付けられている場合(例えば、アウトドアスマートグリッドネットワーク等)を仮定する。ここで、TIM要素においてn個のビットが1に設定された場合に、ビーコンフレームが伝送された後の短い時間区間の間にn個のSTA(即ち、STA1、STA2、…、STAn)がAPにPS−Pollフレームまたはトリガーフレームの伝送を試みることになる。
【0135】
この場合、APのカバレッジ境界部分に多数のSTAが存在する場合に、当該STAのアップリンク伝送は互いに対して隠される問題が発生することがある。さらに、TIM要素の多数のビットが1に設定される場合に、数多くのSTAからのPS−Pollフレームまたはトリガーフレームの伝送がビーコンフレーム以降の短い時間区間の間に行われる場合、隠れたノード問題によって、STA同士の伝送の衝突問題が増加するという問題が発生する。
【0136】
本発明では、このような問題を解決するために、スロットベースのチャネルアクセス(slotted channel access)方式を提案する。基本的に、本発明では、より少ない個数のSTAのアップリンクチャネルアクセスが許容される特定時間区間(例えば、RAW)を設定するか、または多数のSTAのアップリンクチャネルアクセスの試みを広い時間区間の間に分散させる方式を通じて、衝突を減らし、ネットワーク性能を向上させる解決策を提案する。
【0137】
図15は、スロットベースのチャネルアクセス方式の基本的な概念を説明するための図である。
【0138】
APは、DTIM通知(announcement)及びそれに後続するTIM通知を通じて、AIDセグメント(segment)に対する情報をSTAに配信することができる。全体TIMビットマップは一つ以上のセグメントブロックに分割することができ、一つ以上のTIM要素の組み合わせで全体TIMビットマップを構成することができる。すなわち、セグメントブロックは全体TIMビットマップの一部に該当することができる。DTIM通知またはTIM通知に含まれるAIDセグメント情報は、例えば、セグメントブロックオフセット(offset)及びセグメントブロック範囲(range)、AIDセグメントに対するTIM、RAWのデュレーション(duration)などに関する情報を含むことができる。セグメントブロックオフセットはAIDセグメントの開始位置であり、セグメントブロック範囲はその長さを意味することができる。これによって、当該AIDセグメントによってカバーされるSTA(即ち、AIDセグメントに含まれるAIDを持つSTA)のみが、DTIMまたはTIM通知直後のRAW内でチャネルにアクセスするように許容される。
【0139】
また、一つのRAWは一つ以上の時間スロットに分割することができる。それぞれのRAWごとにスロットデュレーションを異ならせて設定することができる。ただし、一つのRAWが複数個のスロットを含む場合、複数個のスロットのデュレーションは同じ値に設定されてもよい。それぞれのRAWに対するスロットデュレーションに関する情報はビーコンフレームに含まれてもよく、ドーズモードのSTAは、TBTT(Target Beacon Transmission Time)にウェイクアップしてビーコンフレームを聴取(listen)することによって、RAWでのスロットデュレーション情報を獲得することができる。
【0140】
このように、DTIMまたはTIM通知を通じて提供されるAIDセグメントに該当するSTAは、自身がDTIMまたはTIM直後のRAWにおけるチャネルアクセスが許容されるSTAであることがわかり、スロットデュレーション情報から当該RAWでのスロットデュレーションがわかる。また、STAがRAWデュレーションに対する情報もまた知ることができれば、スロットデュレーション情報及びRAWデュレーション情報から当該RAWが幾つのスロットを含むかを類推または決定することができる。
【0141】
ここで、STAは、RAW内で自身がチャネルアクセスを行わなければならない(又は、チャネルアクセスが許容される)スロットの位置を、自身のAIDビット位置に基づいて決定することができる。STAは、自身のAIDビット位置を特定情報要素(Information Element;IE)から獲得することができる。本発明では、このようなIEを、STAのグループに対してのみ制限的に許容される媒体アクセスに必要なパラメーターのセットという意味で、RPS(RAW Parameter Set)IEと呼んだり、またはグルーピングパラメータセット(GrPS IE)と呼んだりする。
【0142】
図16は、RPS IEの例示的なフォーマットを示す図である。
【0143】
要素ID(element ID)フィールドは、当該IEがRPS IEであることを示す値に設定することができる。
【0144】
長さ(Length)フィールドは、長さフィールド以降のフィールドの長さを示す値に設定することができる。長さフィールドの値に応じて、後続するRAWフィールド(又は、RAW割当(assignment)フィールド)の個数が決定され得る。
【0145】
RPS IE内にN個のRAWフィールド(又は、RAW割当フィールド)が含まれてもよく、一つのRAWフィールドは一つのRAWに対するパラメーターを含む。
【0146】
図16で示す一つのRAWフィールドに含まれるサブフィールド(subfield)について、
図17を追加的に参照して具体的に説明する。
【0147】
図17は、本発明の一例に係るRAWの構成を説明するための図である。
【0148】
図16のグループID(Group ID)フィールドは、セグメントビットマップまたはブロックビットマップを含み、当該RAW区間内でアクセスが制限的に許容されるグループの識別情報を提供する。すなわち、グループIDフィールドは、AIDセグメントブロックを特定する情報(例えば、AIDセグメントブロックの開始インデックス、ブロックの長さ、または終了インデックス等)を含むことができる。このような意味で、グループIDフィールドはRAWグループフィールドと呼ぶこともできる。
【0149】
図16のRAW開始時点(RAW Start Time)フィールドは、STAグループの媒体アクセスが許容される開始時点に関する情報を含むことができる。RAW開始時点は、ビーコン伝送が終了された時点とRAWが始まる時点との差値(又は、その間のデュレーション値)で表現することができ、その単位はTU(Time Unit)であってもよい。TUは、マイクロ秒(μs)の単位で構成されてもよく、例えば、1024μsと定義することができる。もし、RAW開始時点が0値に設定される場合には、
図17の例示でのように、ビーコンフレームの終了直後RAWが始まってもよい。
【0150】
図16のRAWデュレーション(RAW Duration)フィールドは、STAグループの媒体アクセスが許容される時間の長さ(即ち、デュレーション)に対する情報を含むことができる。RAWデュレーションは、RAW開始時点とRAW終了時点との差値に該当し、その単位はTUであってもよい。
【0151】
図16のRAWスロットデュレーション(RAW Slot Duration)フィールドは、一つのRAWに含まれるチャネルアクセススロットそれぞれの時間の長さ(即ち、デュレーション)に関する情報を含むことができる。前述したように、一つのRAWが一つのスロットで構成されてもよく、一つのRAWが複数個の時間スロットで構成されてもよく、この場合、一つのRAWに含まれる複数個のスロットのデュレーションは同じ値を有する。
図17では、一つのRAWデュレーション内で6個のスロットが定義される場合を示し、6個のスロットのデュレーションは同じ値に設定される。
【0152】
図16のRAWスロット境界(RAW Slot Boundary)フィールドは、伝送機会(Transmission Opportunity;TXOP)またはTXOP内での伝送がスロット境界をまたいで含む(extend across)こと(又は、越える(cross)こと)が許容されるか否かを示す値に設定することができる。スロット境界は、
図17で示すように、連続するスロットを区分する基準となる時点を意味する。このような意味で、RAWスロット境界(RAW Slot Boundary)フィールドは、クロススロット境界(cross slot boundary)フィールドと呼ぶこともできる。
【0153】
TXOP(又は、TXOP内の伝送)がスロット境界を越える(cross)ことが許容されない場合に、TXOP(又は、TXOP内の伝送)はスロット境界以前に終了しなければならない。例えば、
図17の例示において、1番目のスロットでチャネルアクセスを試みる(即ち、アップリンクフレーム(PS−Pollまたはトリガーフレーム))を伝送するSTAは、APからデータをダウンリンクフレームを通じて受信し、これに応答してACKフレームをAPに伝送することができるが、TXOP(又は、TXOP内の伝送)がスロット境界を越えることが許容されない場合には、このようなACKフレームの伝送まで該当スロット内で完了しなければならない。また、APは、それぞれのRAW別に、上記のようなTXOP規則(即ち、TXOP(又は、TXOP内の伝送)がスロット境界を越えることが許容されない)が適用されるか否かを知らせることができ、このようなTXOP規則が適用される場合に、STAは、スロット境界で起床した時、プローブディレイ(ProbeDelay)だけ待たなくてもよい。
【0154】
図16のRAWスロットAID(RAW Slot AID)フィールドは、TIM要素において当該STAのAIDに該当するビットが1に設定されたSTAのみがチャネルアクセスが許容されるか否かを示す値に設定することができる。すなわち、TIMビットマップにおいてビット値が1に設定された(即ち、ページングされた(paged))AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセス(即ち、アップリンクフレーム伝送)が許容されるか、またはTIMビットマップにおいてビット値が1に設定されるか否かに関係なく(即ち、ページングされる、またはページングされないSTAの全てに)チャネルアクセス(即ち、アップリンクフレーム伝送)が許容されるか否かが、RAWスロットAIDフィールドによって指示されてもよい。このような意味で、RAWスロットAIDフィールドは、ページングされたSTAのみにアクセスが制限される(Access Restricted to Paged STAs Only)フィールドと呼ぶこともできる。
【0155】
図16のGrPS IEまたはRPS IEに含まれるフィールドは単なる例示に過ぎず、上述したフィールドと実質的に同一の情報を含むフィールドが他の形態で構成される場合も、本発明の範囲に含まれる。また、本発明で提案するGrPS IEまたはRPS IEのフォーマットは、前記
図16のフィールドに制限されるものではなく、
図16のフィールドのうち一部を含むか、または
図16に図示していない他のフィールドをさらに含む形態も含む。
【0156】
また、
図16を参照して説明したGrPS IEまたはRPS IEは、ビーコンフレーム、プローブ応答フレームなどを通じて伝送することができる。ビーコンフレームを通じて伝送される場合は、APによってGrPS IEまたはRPS IEがブロードキャストされるものと表現することもでき、プローブ応答フレームを通じて伝送される場合は、APによってGrPS IEまたはRPS IEがユニキャストされるものと表現することもできる。
【0157】
(スロット割当(slot assignment))
STAは、自身に割り当てられたチャネルアクセススロット以前にはドーズ(又は、スリップ)状態で動作することができる。STAは、自身に割り当てられたチャネルアクセススロットのスロット境界でウェイクアップしてEDCA方式で(即ち、競合方式で)チャネルアクセスを始めることができる。
【0158】
ここで、どのSTAがどのスロットに割り当てられるのかは、次のような方式で決定することができる。
【0159】
それぞれのSTAのチャネルアクセススロットは、基本的に当該STAのAID及び当該RAWの全体スロットの個数のモジュロ(modulo)演算によって決定することができる。例えば、STAは、チャネルにアクセスを始めることが許容されるスロットのインデックス(i
slot)を、次のような数式に基づいて決定することができる。
【0160】
【数1】
上記数式1において、f(AID)は、当該STAのAIDに基づいて決定された値である。例えば、f(AID)は、AID自体の値を利用したり、AIDの一部のビットを利用する形態で定義されてもよい。
【0161】
上記数式1において、N
RAWは、当該RAWの全体スロットの個数であり、N
RAW=T
RAW/T
slotによって計算することができる。ここで、T
RAWはRAWデュレーション値であり、T
slotはスロットデュレーション値である。
【0162】
上記数式1において、modは、モジュロ(modulo)演算を意味し、A mod Bは、AをBで割った残りの値を意味する。A mod BはA%Bと表現することもできる。
【0163】
上記数式1の例示において、f(AID)にSTAの全体AID(full AID)が利用されてもよい。または、f(AID)にAIDの代わりに部分AID(Partial AID)が利用されてもよい。Partial AIDは、STAの固有でない(non−unique)識別子であり、全体AIDの一部のビットを利用したハッシング関数によって決定することができる。
【0164】
スロット割当の計算においてPartial AIDが利用される場合に、複数個のSTA(例えば、連続するAID値を持つSTA)が同一のチャネルアクセススロットを使用するように割り当てられてもよい。例えば、上記数式1において、f(AID)は、AID[a:b]に基づいて決定されるものと定義することができる。ここで、AID[a:b]は、二進数AIDのBit[a]からBit[b]までを意味する。a又はbの値は、APによってそれぞれのスロットに提供されてもよい。
【0165】
例えば、AID[3:12]を使用してスロット割当が決定される場合を仮定することができる。AID[3:12]は、全体14ビット(即ち、Bit0からBit13まで)のAIDのうちBit3からBit12を意味する。この場合、AIDのBit0、Bit1、Bit2、Bit13の値に関係なく、AIDのBit3〜Bit12の値が同一である全てのSTAが、当該スロットでのチャネルアクセスが許容されるものと動作することができる。
【0166】
または、後述する
図20でのような例示において、TIM要素のビットマップ上でビット値が1であるビットに該当するAIDを持つSTA(即ち、ページングされたSTA)に制限的にRAWが割り当てられる場合には、上記数式1においてf(AID)は、TIM要素におけるAIDビットの位置インデックス(position index)値に基づいて決定されてもよい。すなわち、
図20のような例示において、TIMビットマップのうち総4個のビット(即ち、1番目、3番目、6番目及び9番目のビット)が1に設定される場合に、1番目のビットに該当するAID1の位置インデックスは1であり、3番目のビットに該当するAID3の位置インデックスは2であり、6番目のビットに該当するAID6の位置インデックスは3であり、9番目のビットに該当するAID9の位置インデックスは4であると決定することができる。すなわち、TIM要素においてビット値が1であるAIDを増加する順に整列した場合に、その順序値が前記位置インデックスに該当することができる。これによって、AID1を持つSTAはRAW内で1番目のスロットが割り当てられ、AID3を持つSTAはRAW内で2番目のスロットが割り当てられ、AID6を持つSTAはRAW内で3番目のスロットが割り当てられ、AID9を持つSTAはRAW内で4番目のスロットが割り当てられる。
【0167】
これに比べて、前述したように、f(AID)値がSTAのAID(又は、Partial AID)を利用するものと定義される場合は、TIM要素のビットマップ上でビット値が1であるビットに該当するAIDを持つSTA(例えば、ページングされたSTA)にのみRAWが制限的に割り当てられない場合に利用されるものと定義されてもよい。すなわち、任意の(any)STA(例えば、ページングされたか否かに関係なく、全てのSTA)にRAWでのチャネルアクセスが許容される場合に、当該STAのAIDに基づいて、当該RAW内でのどのスロットが当該STAに割り当てられるかが決定されてもよい。
【0168】
前述したようなスロット割当に関する情報は、前記
図16のGrPSまたはRPS IEに追加的に(例えば、スロット割当(slot assignment)というフィールドの形態で)含まれてもよい。
【0169】
(スロットベースのチャネルアクセスの例示的な動作)
図18は、本発明に係るスロットベースチャネルアクセスの一例を説明するための図である。
【0170】
図18の例示において、RAW1に対するGrPSまたはRPS IEは、次のような条件を満たすSTAのみがRAW1上でチャネルアクセスが許容されることを指示するものと仮定する。
【0171】
−RAW Slot AIDフィールド:STAのAIDに該当するTIM要素のビット値による制限が適用されること(即ち、TIM要素においてSTAのAIDビット値が1に設定された(即ち、ページングされた)STAのチャネルアクセスのみが許容される)を指示する。
図18では、TIMビットマップにおいて1番目、3番目、6番目、9番目のビットに該当するAIDを持つSTAのみがRAW1でチャネルにアクセスすることが許容される場合を例示的に示す。
【0172】
−RAW Slot Durationフィールド:T
s1に設定される(ここで、T
s1=PS−Pollフレームの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ、またはT
s1=Null Data Trigger frameの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ)。
【0173】
−RAW Slot Boundaryフィールド:TXOP(又は、TXOP内での伝送)がスロット境界を越える(cross)ことが許容されないことを指示する。
【0174】
上記のように設定される場合、
図18のRAW1は、PS−Pollまたはヌル−データ(Null−Data)トリガーフレームのためにのみ使用することができる。
【0175】
一方、
図18の例示において、RAW2に対するGrPSまたはRPS IEは、次のような条件を満たすSTAのみがRAW2上でチャネルアクセスが許容されることを指示するものと仮定する。
【0176】
−RAW Slot AIDフィールド:STAのAIDに該当するTIM要素のビット値による制限が適用されること(即ち、TIM要素においてSTAのAIDビット値が1に設定された(即ち、ページングされた)STAのチャネルアクセスのみが許容される)を指示する。
図18では、TIMビットマップにおいて1番目、3番目、6番目、9番目のビットに該当するAIDを持つSTAのみがRAW2上でチャネルにアクセスすることが許容される場合を例示的に示す。
【0177】
−RAW Slot Durationフィールド:T
s2に設定される(ここで、T
s2≧データフレームの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ)。
【0178】
−RAW Slot Boundaryフィールド:TXOP(又は、TXOP内での伝送)がスロット境界を越える(cross)ことが許容されないことを指示する。
【0179】
上記のように設定される場合、
図18のRAW2は、TIMビットマップにおいてビット値が1であるビットに該当するAIDを持つSTAにAPがデータフレームを伝送するために使用することができる。
【0180】
図19は、本発明に係るスロットベースのチャネルアクセスの他の一例を説明するための図である。
【0181】
図19の例示において、RAW1に対するGrPSまたはRPS IEは、次のような条件を満たすSTAのみがRAW1上でチャネルアクセスが許容されることを指示するものと仮定する。
【0182】
−RAW Slot AIDフィールド:STAのAIDに該当するTIM要素のビット値による制限が適用されないこと(即ち、TIM要素においてSTAのAIDビット値が1に設定されるか否かに関係なく(即ち、ページングされるか否かに関係なく)、RAW1で全てのSTAのチャネルアクセスが許容される)を指示する。
図19では、TIMビットマップにおいて1番目、3番目、6番目、9番目のビットに該当するAIDを持つSTAはもとより、そうでない他のSTAのチャネルアクセスがRAW1で許容される。
【0183】
−RAW Slot Durationフィールド:T
s1に設定される(ここで、T
s1=PS−Pollフレームの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ、またはT
s1=Null Data Trigger frameの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ)。
【0184】
−RAW Slot Boundaryフィールド:TXOP(又は、TXOP内での伝送)がスロット境界を越える(cross)ことが許容されないことを指示する。
【0185】
上記のように設定される場合、
図19のRAW1は、任意のSTAのPS−Poll、ヌル−データ(Null−Data)トリガーフレームまたは任意の(any)小さい制御フレームのために使用することができる。
【0186】
一方、
図19の例示において、RAW2に対するGrPSまたはRPS IEは、次のような条件を満たすSTAのみがRAW2上でチャネルアクセスが許容されることを指示するものと仮定する。
【0187】
−RAW Slot AIDフィールド:STAのAIDに該当するTIM要素のビット値による制限が適用されないこと(即ち、TIM要素においてSTAのAIDビット値が1に設定されるか否かに関係なく(即ち、ページングされるか否かに関係なく)、RAW2で全てのSTAのチャネルアクセスが許容される)を指示する。
図19では、TIMビットマップにおいて1番目、3番目、6番目、9番目のビットに該当するAIDを持つSTAはもとより、そうでない他のSTAのチャネルアクセスがRAW2で許容される。
【0188】
−RAW Slot Durationフィールド:T
s2に設定される(ここで、T
s2≧データフレームの長さ+SIFS+ACKフレームの長さ)。
【0189】
−RAW Slot Boundaryフィールド:TXOP(又は、TXOP内での伝送)がスロット境界を越える(cross)ことが許容されないことを指示する。
【0190】
上記のように設定される場合、
図19のRAW2は、APまたは任意のSTAがデータフレームを任意のSTAまたはAPにそれぞれ伝送するのに使用することができる。
【0191】
(マルチキャスト/ブロードキャスト伝送スロット)
RAWを一つ以上の時間スロットに分割する場合に、一つのRAW内の先頭の一つ以上のスロットまたは最後の一つ以上のスロットは、マルチキャストまたはブロードキャストの用途に割り当てられてもよい。STAは、RAW内でマルチキャスト/ブロードキャストの用途に割り当てられたスロットの間には必ずアウェイク状態を維持しなければならない。
【0192】
そのために、RAW及びチャネルアクセススロットに対するパラメーターを定義するGrPSまたはRPS IEは、RAW Multicast/Broadcast Slot Durationフィールドをさらに含むことができる。
【0193】
RAWマルチキャスト/ブロードキャストスロットデュレーション(RAW Multicast/Broadcast Slot Duration)フィールドは、許容されるマルチキャスト/ブロードキャスト媒体アクセスのためのデュレーションに関する情報をSTAグループに知らせる用途に使用することができる。
【0194】
図20は、本発明の一例に係るRAWにおけるマルチキャスト/ブロードキャストスロット割当を説明するための図である。
【0195】
図20の例示では、RAW2の1番目のスロットがマルチキャスト/ブロードキャストの用途に割り当てられており、前記1番目のスロットでAPはマルチキャスト/ブロードキャストフレームを伝送することができる。前記1番目のスロットで全てのSTAがアウェイク状態である。
【0196】
また、マルチキャスト/ブロードキャストスロットは、RAWのスロット割当を再−設定(re−configuration)する用途に使用してもよい。
【0197】
例えば、
図20の例示では、ビーコンフレームのTIM要素及びGrPS要素(又は、RPS要素)を通じて、RAW1及びRAW2では特定STA(例えば、ページングされたSTA)に対してのみチャネルアクセスが許容されるものと設定され、前記特定STAに割り当てられるスロットが決定されてもよい。例えば、前述したように、AID1を持つSTAは1番目のスロットに、AID3を持つSTAは2番目のスロットに、AID6を持つSTAは3番目のスロットに、AID9を持つSTAは4番目のスロットに割り当てることができる。
【0198】
RAW1でページングされたSTA(即ち、ビーコンフレームのTIMビットマップにおいてAIDビットが1に設定されたSTA)は、PS−Pollフレームまたはトリガーフレームを伝送することによって、APにバッファされているダウンリンクフレームの伝送をAPに要請することができる。
【0199】
ここで、
図20に示したように、AID6を持つSTAが、RAW1の3番目のスロットが割り当てられたが、3番目のスロットが始まるスロット境界でドーズ状態からアウェイク状態に変更できず、3番目のスロットでPS−Pollフレームまたはトリガーフレームを伝送できなかった場合を仮定する。
【0200】
APの立場では、AID6を持つSTAへのダウンリンクフレームを伝送するためにRAW2でもスロット(例えば、3番目のスロット)を割り当てておいたが、RAW1でAID6を持つSTAからのPS−Poll/トリガーフレームを受信できなかったので、AID6を持つSTAへのスロット割当をそのまま置く場合には、RAW2においても当該スロットで当該STAがPS−Poll/トリガーフレームを伝送できないと予想することができる。したがって、APは、AID6を持つSTAのために割り当てたスロットを回収する必要がある。
【0201】
そのために、APは、マルチキャスト/ブロードキャストスロットとして割り当てておいたRAW2の1番目のスロットでRAW通知(announcement)フレームを伝送することができる。RAW通知フレームはGrPS IE(又は、RPS IE)を含む。すなわち、APは、RAW1でSTAからのPS−Poll/トリガーフレームが受信されるか否かに基づいて、次のRAW(即ち、RAW2)のRAWに対する設定(例えば、RAW Duration、RAW Slot Duration、slot assignment等)を新たに行うことができる。すなわち、ビーコンフレームではなくても、RAWの開始時に(at the beginning of the RAW)、RAWでの資源割当に関連する情報を伝送することができる。
【0202】
このような場合、STAに対するスロット割当は、割当可能な全体スロット(即ち、RAWに含まれた全体スロット)のうちマルチキャスト/ブロードキャストスロットを除外した残りのスロットを基準に決定される。例えば、
図20の例示において、RAW2の1番目のスロットは、STAに対するスロット割当から除外され、残りの3つのスロット(即ち、2番目、3番目及び4番目のスロット)に対してSTAにスロット割当が決定されてもよい。スロット割当情報は、前記RAWの開始時にRAW通知フレーム(即ち、当該RAWにおける資源割当に関する情報を含むフレーム)に含まれてもよく、スロット割当方式は、前述した方式と同様に決定されてもよい。
【0203】
図21は、本発明の他の一例に係るRAWにおけるマルチキャスト/ブロードキャストスロット割当を説明するための図である。
【0204】
上述した
図20の例示では、マルチキャスト/ブロードキャストスロットがRAWの開始時に常に位置することを仮定したが、
図21の例示では、マルチキャスト/ブロードキャストスロットがRAWの1番目のスロットはもとより、他のスロットにも位置できる方式を示している。
図21の例示では、マルチキャスト/ブロードキャストスロットがRAWにおける最後に位置する場合を示す。この場合、GrPS IE(又は、RPS IE)においてRAWマルチキャスト/ブロードキャストスロットデュレーションフィールドを定義するとき、マルチキャスト/ブロードキャストスロットの位置を指示する情報(即ち、RAWマルチキャスト/ブロードキャストオフセット(RAW Multicast/Broadcast Slot Offset))を含むフィールドが含まれてもよい。
【0205】
例えば、RAW1におけるN番目のスロットがマルチキャスト/ブロードキャストスロットとして割り当てられた場合、RAWマルチキャスト/ブロードキャストスロットオフセットフィールドの値はNに設定することができる。マルチキャスト/ブロードキャストスロットがRAWにおける最初に位置する場合には、RAWマルチキャスト/ブロードキャストスロットオフセットフィールドの値は0に設定され、マルチキャスト/ブロードキャストスロットがRAWにおける最後に位置する場合、RAWマルチキャスト/ブロードキャストオフセットフィールドの値が255に設定されてもよい。
【0206】
図22は、本発明の一例に係るチャネルアクセス方法を説明するための図である。
【0207】
ステップS2210において、第1のSTA(例えば、AP)から第2のSTA(例えば、non−AP STA)はRAW情報を受信することができる。RAW情報は、前述したGrPS要素またはRPS要素であってもよく、ビーコンフレームを通じて伝送されてもよい。
【0208】
ステップS2220において、第2のSTAは、RAW情報に基づいて、自身がRAWでチャネルアクセスが許容されるグループに属するか否か、自身のチャネルアクセスが許容されるRAWの時間上の位置及び長さ(即ち、RAW開始時点及びデュレーション)を決定し、当該RAW内で自身のチャネルアクセスが許容されるスロットがどれなのか、当該スロットの長さなどを決定することができる。また、RAW内でTXOPを獲得して伝送を行うときにスロット境界を越える伝送が許容されるか否か、ページングされたSTAのみのチャネルアクセスが許容されるか否かなどによってチャネルアクセス方式を決定することができる。
【0209】
ステップS2230において、第2のSTAはチャネルアクセスを試みることができる。すなわち、第2のSTAは、EDCAに基づいて(即ち、競合方式で)チャネルにアクセスすることができる。
【0210】
図22を参照して説明したチャネルアクセス方法において、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよい。
【0211】
図23は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
【0212】
AP10は、プロセッサ11、メモリ12、送受信器13を備えることができる。STA20は、プロセッサ21、メモリ22、送受信器23を備えることができる。送受信器13及び23は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムに基づく物理層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、送受信器13及び21と接続されて、IEEE 802システムに基づく物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を行うように構成されてもよい。また、前述した本発明の様々な実施例に係るAP及びSTAの動作を具現するモジュールがメモリ12及び22に格納され、プロセッサ11及び21によって実行されてもよい。メモリ12及び22は、プロセッサ11及び21の内部に含まれてもよく、又はプロセッサ11及び21の外部に設けられて、プロセッサ11及び21と公知の手段によって接続されてもよい。
【0213】
このようなAP及びSTA装置の具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよく、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
【0214】
上述した本発明の実施例は様々な手段を用いて具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
【0215】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0216】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに格納され、プロセッサによって駆動されてもよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0217】
上述のように開示された本発明の好適な実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できるということが理解できる。したがって、本発明は、ここに開示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。