特許第5961751号(P5961751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961751
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20160719BHJP
【FI】
   F24F1/00 321
   F24F1/00 311
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-508232(P2015-508232)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2014055809
(87)【国際公開番号】WO2014156541
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-63915(P2013-63915)
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】我科 賢二
(72)【発明者】
【氏名】白川 暢介
(72)【発明者】
【氏名】須藤 昭久
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−071841(JP,U)
【文献】 特開昭58−128916(JP,A)
【文献】 特開平08−094108(JP,A)
【文献】 特開2008−014607(JP,A)
【文献】 特開2011−122782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換室および送風室を有する空気調和機本体と、
前記空気調和機本体の前記熱交換室に配置された熱交換器と、
前記空気調和機本体の前記送風室に配置され、前記熱交換器に空気を送る送風装置と、を具備し、
前記送風装置は、回転軸を有するファンモータと、当該ファンモータの前記回転軸に軸方向に並べて装着された複数のファンと、前記ファンを夫々収容するとともに前記ファンの回転に伴って前記ファンから吹き出す空気を案内するファンケースと、を含み、
前記ファンケースおよび前記ファンモータは、夫々取付け脚を有し、前記ファンケースの前記取付け脚と前記ファンモータの前記取付け脚とは、互いに重ね合わせた状態で前記空気調和機本体に固定具を介して固定された空気調和機。
【請求項2】
前記空気調和機本体の内部を前記熱交換室と前記送風室との二室に区画する仕切り板をさらに備え、前記ファンモータの一端部が前記仕切り板に固定され、前記ファンモータの他端部に前記取付け脚が設けられた請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記ファンケースの一端部が前記仕切り板に固定され、前記ファンケースの他端部に前記取付け脚が設けられた請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記ファンモータの前記取付け脚および前記ファンケースの前記取付け脚に夫々前記固定具が貫通する孔が設けられ、前記ファンケースの前記取付け脚に設けられた前記孔は、前記仕切り板と直交する方向に沿う長孔である請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記固定具は、ねじである請求項1又は請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記ファンの間で前記回転軸を支承する軸受具をさらに備えた請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記軸受具は、取付け脚を有するとともに、前記ファンケースは、前記軸受具の前記取付け脚に重ね合わされる取付け脚を有し、前記軸受具の前記取付け脚および前記ファンケースの前記取付け脚は、互いに重ね合わせた状態で固定具を介して前記空気調和機本体に固定された請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記ファンモータの前記取付け脚および前記軸受具の前記取付け脚の夫々の板厚は互いに同一であり、
前記ファンケースの前記取付け脚は、前記空気調和機本体に重ね合わせて固定される第1の取付け部と、前記ファンモータの前記取付け脚もしくは前記軸受具の前記取付け脚に重ね合わせて固定される第2の取付け部と、を一体に備え、前記第2の取付け部は、前記第1の取付け部との間に前記ファンモータの前記取付け脚もしくは前記軸受具の前記取付け脚の板厚に相当する段差を有して前記第1の取付け部から折り曲げられた請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
熱交換室および送風室を有する空気調和機本体と、
前記空気調和機本体の前記熱交換室に配置された熱交換器と、
前記空気調和機本体の前記送風室に配置され、前記熱交換器に空気を送る送風装置と、を具備し、
前記送風装置は、回転軸を有するファンモータと、当該ファンモータの前記回転軸に軸方向に並べて装着された複数のファンと、前記ファンを夫々収容するとともに前記ファンの回転に伴って前記ファンから吹き出す空気を案内するファンケースと、前記ファンの間で前記回転軸を支承する軸受具と、を含み、
前記ファンケースおよび前記軸受具は、夫々取付け脚を有し、前記ファンケースの前記取付け脚と前記軸受具の前記取付け脚とは、互いに重ね合わせた状態で前記空気調和機本体に固定具を介して固定された空気調和機。
【請求項10】
前記空気調和機本体の内部を前記熱交換室と前記送風室との二室に区画する仕切り板をさらに備え、前記軸受具の一端部が前記仕切り板に固定され、前記軸受具の他端部に前記取付け脚が設けられた請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記ファンケースの一端部が前記仕切り板に固定され、前記ファンケースの他端部に前記取付け脚が設けられた請求項10に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば天井吊り下げ形の室内ユニットを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内ユニットと室外ユニットとを備えた空気調和機において、室内ユニットが天井裏の梁等から吊り下げられた空気調和機では、室内ユニットがほとんど天井板に密着した状態で取り付けられている。このため、いわゆる壁掛け形の室内ユニットのように、室内ユニットが部屋の壁面から突出することはなく、室内で圧迫感を感じさせることがない。
【0003】
この種の空気調和機は、室内ユニットのユニット本体(筐体)の高さ方向の寸法を可能な限り短縮する必要がある反面、ユニット本体の幅方向に対しては寸法的な制約が少ない。そのため、ユニット本体を幅方向に広く形成し、送風装置は天井面に沿った広い範囲から熱交換器と熱交換した空気を吹き出すことで、熱交換効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送風装置は、二本の回転軸を有するとともに当該回転軸が両側面から突出されたファンモータと、前記回転軸に装着された複数のファンと、前記ファンを個々に収容するとともに前記ファンの回転に伴って熱交換空気を案内するファンケースと、を備えている。一方の回転軸に複数のファンを装着した場合は、ファンの間で回転軸を支承する軸受具が必要となる。
【0006】
したがって、送風装置は数多くの部品を備え、これら部品を一つずつ正確に位置を決めて固定しなくてはならない。よって、送風装置の組み立てに必然的に手間がかかる。さらに、ファンケースは、ファンに対して中心軸を合わせる必要があるとともに、ファンモータおよび軸受具に対する位置合わせも実行しなくてはならず、ファンケースの取り付け作業が極めて面倒である。ファンケースの位置がずれてしまうと、送風効率が低下するのを否めない。
【0007】
このような事情から、少なくともファンケースとファンモータの取付けに手間を要せず、組立時の作業性が向上するとともに、位置合わせ精度を高めて送風効率の低下を防止できる空気調和機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の空気調和機は、熱交換室および送風室を有する空気調和機本体と、前記空気調和機本体の前記熱交換室に配置された熱交換器と、前記空気調和機本体の前記送風室に配置され、前記熱交換器に空気を送る送風装置と、を備えている。
【0009】
前記送風装置は、回転軸を有するファンモータと、当該ファンモータの前記回転軸に軸方向に並べて装着された複数のファンと、前記ファンを夫々収容するとともに前記ファンの回転に伴って前記ファンから吹き出す空気を案内するファンケースと、を含む。前記ファンケースおよび前記ファンモータは、夫々取付け脚を有する。前記ファンケースの前記取付け脚と前記ファンモータの前記取付け脚とは、互いに重ね合わせた状態で前記空気調和機本体に固定具を介して固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態において、空気調和機を構成する室内ユニットの外観を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態の室内ユニットの縦断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の室内ユニットの一部を示す底面図である。
図4図4は、第1の実施形態の室内ユニットに用いられる送風装置の斜視図である。
図5図5は、第2の実施形態の室内ユニットの底面図である。
図6図6は、図5の一部を拡大して示す底面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係る送風装置の斜視図である。
図8図8は、図7の送風装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
図9図9は、第3の実施形態の室内ユニットの一部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の第1の実施形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
【0012】
図1は、空気調和機を構成する室内ユニットの外観を示す斜視図、図2は、室内ユニットの縦断面図である。
【0013】
図1は、空気調和機本体としてのユニット本体1を示している。ユニット本体1は、図示しない天井裏の梁等から吊り下げられた複数の吊りボルトに引っ掛けられている。ユニット本体1は、天井面に極めて近接した状態で室内に露出されている。ユニット本体1は、厚さ方向の寸法と比較して幅方向の寸法が極めて大きく形成されている。ユニット本体1の厚さ方向は高さ方向と言い換えることができる。同様に、ユニット本体1の幅方向は、水平方向と言い換えることができる。
【0014】
ユニット本体1は、下面を構成する底板部1aと、天井に近接された上面を構成する天板部1bと、底板部1aと天板部1bとを連結する左右一対の側板部1cおよび背面部1dと、を備えている。
【0015】
吸込み口2が底板部1aに設けられている。吸込み口2は、底板部1aの幅方向に沿う全長に亘るとともに、当該底板部1aの前後方向の略半分程度の大きさを有する。吸込み口2には、底板部1aの幅方向に沿ってグリル10およびフィルタ11が取り外し可能に嵌め込まれている。
【0016】
吹出し口3がユニット本体1の前面部に設けられている。吹出し口3には、水平ルーバ12が開閉可能に取り付けられている。さらに、吹出し口3の水平ルーバ12よりも奥方には、図示しない複数の縦ルーバが回動可能に取り付けられている。
【0017】
図2ないし図4に示すように、ユニット本体1の内部に仕切り板6が設けられている。仕切り板6は、グリル10が嵌め込まれた吸込み口2の一側縁に沿って起立されるとともに、ユニット本体1の天板部1bに当接するように延出されている。加えて、仕切り板6は、ユニット本体1の左右の側板部1cに当接するように延出されている。このため、仕切り板6は、ユニット本体1の内部を送風室Aと熱交換室Bとの二室に区画している。
【0018】
すなわち、送風室Aおよび熱交換室Bは、仕切り板6を間に挟んでユニット本体1の内部に並設されている。送風室Aは吸込み口2を有するとともに、当該送風室Aに送風装置Sおよび電気部品箱9等が配置されている。熱交換室Bは吹出し口3を有するとともに、当該熱交換室Bに室内熱交換器5およびドレン受け7が配置されている。
【0019】
送風室Aに配置された電気部品箱9は、送風装置S等の駆動を制御する電気部品類を収容している。電気部品箱9は、送風装置Sとユニット本体1の背面部1dとの間に形成された狭いスペースに位置するようにユニット本体1に固定されている。
【0020】
室内熱交換器5は、ユニット本体1の高さ方向に沿う寸法が制限されているため、強く前傾した姿勢で熱交換室Bに配置されている。ドレン受け7は、室内熱交換器5の下方に設置されている。ドレン受け7は、例えば厚肉の合成樹脂材で構成されているとともに、熱交換室Bの底面の略全ての領域を占有する面積を有している。そのため、ドレン受け7は、傾斜された室内熱交換器5から滴下する冷凍サイクル運転に伴って生成されたドレン水滴の全てを受け止めるようになっている。
【0021】
図2に示すように、熱交換室Bの上部には、室内熱交換器5の上端部を支持する上部断熱材30が設けられている。上部断熱材30は、室内熱交換器5の冷凍サイクル作用に伴う発熱(温熱・冷熱)がユニット本体1を形成する板材に伝達しないように、ドレン受け7と同様に厚肉に形成されている。
【0022】
次に、送風装置Sの構成・作用と、ユニット本体1に対する送風装置Sの取付け構造について説明する。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係る送風装置Sの取付け構造を説明するユニット本体1の一部の底面図、図4は、第1の実施形態に係る送風装置Sを上方から見た斜視図である。
【0024】
ユニット本体1に設けられる送風装置Sは、ユニット本体1の幅方向に沿う広い範囲に熱交換空気を吹き出すようにするため、両軸のファンモータ15を用いている。ファンモータ15は、その左右の側面から同軸状に突出された二本の回転軸a,aを備え、回転軸a,aに夫々ファン16が装着されている。すなわち、1台のファンモータ15に対して二つのファン16,16が回転軸a,aの軸方向に並べて設けられている。各ファン16は、ファンケース17に収容されている。
【0025】
ファンモータ15によりファン16が回転されると、ファン16は、軸方向から空気を吸い込んで周方向に吐き出す。ファンケース17は、回転軸aの周囲に吸込み用の開口部を備えるとともに、仕切り板6を貫通して熱交換室Bに突出するノズル部17aを一体に有している。
【0026】
ファン16が回転すると、室内の空気が吸込み口2からグリル10およびフィルタ11を介してユニット本体1の送風室Aに吸い込まれる。送風室Aに吸い込まれた空気は、ファンケース17の開口部に吸い込まれるとともに、ノズル部17aから熱交換室Bへ吹き出す。すなわち、ファンケース17は、ファン16から吹き出す空気をノズル部17aに案内する。
【0027】
熱交換室Bに配置された室内熱交換器5は、ノズル部17aから吹き出す空気との熱交換により、当該空気を冷気もしくは暖気の熱交換空気に変える。熱交換空気は、縦ルーバおよび水平ルーバ12に案内されて吹出し口3から室内に吹き出す。これにより、室内の冷房又は暖房が実行される。
【0028】
図3および図4に示すように、ファンモータ15は、モータ固定装置18を介してユニット本体1に固定されている。モータ固定装置18は、ファンモータ15を支持するモータ支持台18aと、当該モータ支持台18aにファンモータ15の軸受部を押し付けて固定するモータ固定具18bと、を備えている。
【0029】
モータ固定装置18のモータ支持台18aは、一方の端部が仕切り板6に固定されているとともに、他方の端部がユニット本体1の天板部1bに固定されている。したがって説明の都合上、モータ支持台18aをファンモータ15に見立て、以下、モータ支持台18aであるファンモータ15がユニット本体1に固定されているとする。
【0030】
図3および図4に示すように、ファンモータ15の一方の端部に一対の第1の取付け脚20aが設けられている。第1の取付け脚20aは、仕切り板6に沿うように折り曲げられている。ファンモータ15の他方の端部に一対の第2の取付け脚20bが設けられている。第2の取付け脚20bは、ユニット本体1の天板部1bと平行となるようにファンモータ15の左右に突出されている。第2の取付け脚20bには、夫々取付け孔cが設けられている。
【0031】
各ファンケース17の一端部には、仕切り板6にねじで固定される取付け片部が一体に設けられている。各ファンケース17の他端部には、左右のケース取付け脚23がユニット本体1と平行となるように突出されている。ケース取付け脚23には、夫々長孔状の取付け孔dが設けられている。取付け孔dは、仕切り板6の長手方向と直交する方向に延びている。
【0032】
送風装置Sをユニット本体1に取り付ける手順について説明する。最初にファンモータ15の回転軸aにファン16を固定する。引き続いて、ファン16が一体化されたファンモータ15をユニット本体1の所定の位置に取付ける。詳しく述べると、ファンモータ15の第1の取付け脚20aを仕切り板6にねじで固定する。この際、第2の取付け脚20bは、天板部1bに固定することなくフリーの状態とする。
【0033】
次に、ファン16の軸方向に対するファンケース17の位置を合わせたうえで、当該ファンケース17をユニット本体1に固定する。ファンケース17に設けられた一方のケース取付け脚23は、ファンモータ15の第2の取付け脚20bに重ね合わされる。ファンケース17に設けられた他方のケース取付け脚23は、ユニット本体1の上にある。
【0034】
ファンケース17の位置をファン16の中心軸に合うように調整する際、ファンケース17を仕切り板6の長手方向と直交する方向にある程度移動させる必要がある。この際、図4に最もよく示されるように、ファンケース17の他端部に位置されたケース取付け脚23には、ファンケース17の移動方向と同じ方向に延びる長孔状の取付け孔dが設けられている。このため、ファンモータ15の第2の取付け脚20bに設けられた取付け孔cとケース取付け脚23の取付け孔dとの間の相対的な位置がずれることはない。
【0035】
ファンケース17の位置を調整する作業が終了したら、図3に示すようにファンケース17のケース取付け脚23が重ねられたファンモータ16の第2の取付け脚20bをユニット本体1に対し取付けねじeを用いて固定する。取付けねじeは、固定具の一例であって、第2の取付け脚20bの取付け孔cおよびケース取付け脚23の取付け孔dの双方を貫通する。ファンケース17の他方のケース取付け脚23は、そのまま取付けねじeを用いてユニット本体1に固定する。
【0036】
第1の実施形態によれば、従来のようにファンモータおよびファンケースをユニット本体に対して個々に固定する必要はない。言い換えると、第1の実施形態では、ファンモータ15およびファンケース17がユニット本体1に対し共通の取付けねじeで固定されるので、ファンモータ15およびファンケース17をユニット本体1に取付ける際の手間を軽減できる。
【0037】
さらに、ファンモータ15に対してファンケース17の位置を合わせる作業を、ユニット本体1へのファンモータ15およびファンケース17の固定と同時に行うことができる。したがって、ファンケース17の位置を合わせる作業を短時間のうちに効率よく行うことができる。それとともに、ファンケース17の位置が正確に定まるので、送風装置Sの送風効率を良好に維持することができる。
【0038】
図5および図6は、ユニット本体1に対する送風装置Saの取付け構造に関する第2の実施形態を開示している。
【0039】
図5は、第2の実施形態に係る室内ユニットの断面図であり、図6は、図5の一部をさらに拡大して示す底面図である。
【0040】
送風装置Saは、二本の回転軸a,aを有する両軸のファンモータ15と、一方の回転軸aに装着された単一の第1のファン16aと、他方の回転軸aに装着されて当該回転軸aの軸方向に並んだ一対の第2のファン16b,16cと、第1のファン16aおよび第2のファン16b,16cを個々に収容した三つのファンケース17と、第2のファン16b,16cの間で他方の回転軸aを支承する軸受具25と、を備えている。
【0041】
すなわち、第2の実施形態に係る送風装置Saは、第1のファン16aおよび第2のファン16b,16cを備えて、第1の実施形態の送風装置Sよりも多くの熱交換空気を吹き出すとともに、熱交換効率の向上を図るように構成されている。ファンモータ15と、当該ファンモータ15に対するファンケース17の固定の仕方は、図3および図4で説明した第1の実施形態と同様であるため、図3および図4を適用して新たな説明は省略する。
【0042】
第2の実施形態によると、軸受具25と、軸受具25を間に挟んで隣り合う二つのファンケース17とは、以下のようにしてユニット本体1に固定されている。軸受具25は、他方の回転軸aを支承する軸受部と、当該軸受部に一体に設けられた取付け脚と、を備えている。取付け脚は、支持台26に固定されている。支持台26は、一端が仕切り板6に固定され、他端がユニット本体1の天板部1bに固定されている。
【0043】
したがって説明の都合上、支持台26を軸受具25に見立て、以下、支持台26である軸受具25がユニット本体1に固定されているとする。
【0044】
軸受部25の一方の端部に第1の取付け脚27aが設けられている。第1の取付け脚27aは、仕切り板6に沿うように折り曲げられている。軸受具25の他方の端部に一対の第2の取付け脚27bが設けられている。第2の取付け脚27bは、ユニット本体1の天板部1bと平行となるように軸受具25の左右に突出されている。第2の取付け脚27bには、夫々取付け孔が設けられている。
【0045】
このような送風装置Saの場合は、最初に軸受具25の位置を決めてから、第1の取付け脚27aを仕切り板6に固定する。この際、第2の取付け脚27bは、天板部1bに固定することなくフリーの状態とする。
【0046】
次に、ファンケース17の一方の端部を仕切り板6に固定する。この後、前記第1の実施形態と同様の手順でファン16に対するファンケース17の位置を調整し、ファンケース17のケース取付け脚23を軸受具25の第2の取付け脚27bに重ね合わせる。この状態で、ファンケース17のケース取付け脚23および軸受具25の第2の取付け脚27bを共通の取付けねじeを用いてユニット本体1に固定する。
【0047】
このような第2の実施形態によれば、軸受具25およびファンケース17をユニット本体1に対して個々に固定する必要はない。言い換えると、軸受具25およびファンケース17がユニット本体1に対し共通の取付けねじeで固定されるので、軸受具25およびファンケース17をユニット本体1に取付ける際の手間を軽減できる。
【0048】
さらに、軸受具25に対するファンケース17の位置を合わせる作業を、ユニット本体1への軸受具25およびファンケース17の固定と同時に行うことができる。したがって、ファンケース17の位置を合わせる作業を短時間のうちに効率よく行うことができる。加えて、ファンケース17の位置が正確に定まるので、送風装置Saの送風効率を良好に維持することができる。
【0049】
図7ないし図9は、ユニット本体1に対する送風装置Sの取付け構造に関する第3の実施形態を開示している。
【0050】
図7は、第3の実施形態に係る送風装置Sを上方から見た斜視図であり、図8は、図7の一部を拡大して示す斜視図である。さらに、図9は、第3の実施形態に係る室内ユニットの一部を示す底面図である。
【0051】
送風装置Sは、一対の回転軸aを有する両軸のファンモータ15と、ファンモータ15の各回転軸aに1個ずつ装着されたファン16と、各ファン16を収容したファンケース17と、を備えている。ファンモータ15の第2の取付け脚20bは、前記第1の実施形態と同様の構成を有するのに対し、ファンケース17のケース取付け脚23Aは、以下のように構成されている。
【0052】
図8および図9に示すように、ケース取付け脚23Aは、ユニット本体1に直に接するとともにユニット本体1にねじで固定される第1の取付け部230aと、当該取付け部230aに一体に形成された第2の取付け部230bと、を備えている。第2の取付け部230bは、第1の取付け部230aとの間にファンモータ15の第2の取付け脚20bの板厚に相当する段差を有して第1の取付け部230aから折り曲げられている。第1の取付け部230aおよび第2の取付け部230bには、夫々仕切り板6の長手方向と直交する方向に沿う長孔状の取付け孔dが設けられている。
【0053】
第3の実施形態によると、ファンケース17からファンモータ15に向けて突出するケース取付け脚23Aは、ユニット本体1に直接重なり合う第1の取付け部230aと、ファンモータ15の第2の取付け脚20bが重なり合う第2の取付け部230bと、を備えることになる。
【0054】
第1の取付け部230aと第2の取付け部230bとの間の段差は、ファンモータ15の第2の取付け脚20bの板厚に相当する。この結果、第2の取付け部230bが第2の取付け脚20bに対し密に接触し、これら第2の取付け部230bと第2の取付け脚20bとを、共通の取付けねじを用いてユニット本体1に固定することができる。
【0055】
ファンケース17における他方のケース取付け脚23Aは、第1の取付け部230aがユニット本体1に重なり合い、第2の取付け部230bは、ユニット本体1に対し段差に相当する隙間を存して向かい合っている。したがって、第1の取付け部230aを取付けねじを介してユニット本体1に固定することができる。
【0056】
第3の実施形態に係る送風装置Sが第2の実施形態と同様の軸受具25を備えている場合でも、ファンケース17のケース取付け脚23Aは、第1の取付け部230aと、当該第1の取付け部230aに一体に形成された第2の取付け部230bと、を備えている。第2の取付け部230bは、第1の取付け部230aとの間に軸受具25の第2の取付け脚27bの板厚に相当する段差を有して第1の取付け部230aから折り曲げられている。
【0057】
軸受具25の第2の取付け脚27bが重なり合うファンケース17のケース取付け脚23Aは、段差を有する第2の取付け部230bとし、軸受具25の無い側に突出するファンケース17のケース取付け脚23Aは、第1の取付け部230aをユニット本体1に重ね合わせて、取付けねじでユニット本体1に固定される。
【0058】
先に説明した第1および第2の実施形態においては、ファンケース17のファンモータ15の側、もしくは軸受具25の側に突出するケース取付け脚23は、ファンモータ15の第2の取付け脚20b、もしくは軸受具25の第2の取付け脚27bの板厚に相当する隙間の分だけユニット本体1から離れている。
【0059】
すなわち、ユニット本体1から浮いた状態となっているファンケース17のケース取付け脚23を、取付けねじeが強制的にユニット本体1に押し付けて固定することになる。この結果、ファンケース17が微妙に傾いてしまい、ファンケース17の位置がずれる虞がある。そこで、実際には、ユニット本体1とファンケース17のケース取付け脚23との間にスペーサを介在させ、ファンケース17の傾きを矯正する必要がある。
【0060】
第3の実施形態では、ファンモータ15の第2の取付け脚20bおよび軸受具25の第2の取付け脚27bの板厚が互いに同一であることを前提としている。ここでファンケース17のケース取付け脚23Aは、ユニット本体1にねじで固定される第1の取付け部230aと、ファンモータ17の第2の取付け脚20bもしくは軸受具25の第2の取付け脚27bに重ね合わせてねじで固定される第2の取付け部230bと、を一体に備えている。第2の取付け部230bは、ファンモータ17の第2の取付け脚20bもしくは軸受具25の第2の取付け脚27bの板厚に相当する段差を有するように第1の取付け部230aから折り曲げられている。
【0061】
この構成によれば、ファンケース17からファンモータ15とは反対側、もしくは軸受具25とは反対側に突出されてユニット本体1に固定されるケース取付け脚23Aは、実際にはその第1の取付け部230aがユニット本体1に対し直に重ね合わせて固定される。したがって、ケース取付け脚23Aとユニット本体1との間に隙間は生じない。この結果、専用のスペーサを省略できるとともに、ファンケース17の微妙な傾きを解消することができ、送風効率を良好に維持することができる。
【0062】
上記実施形態では、天井吊り下げ形の空気調和機を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、天井板の裏側に設置され、吸込み口および吹き出し口に夫々ダクトが接続された天井埋め込み形の空気調和機に対しても同様に適用が可能である。
【0063】
以上、本実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、実施形態の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…空気調和機本体(ユニット本体)、5…熱交換器、6…仕切り板、15…ファンモータ、16…ファン、17…ファンケース、20b…第2の取付け脚、23,23A…ケース取付け脚、25…軸受具、27b…第2の取付け脚、230a…第1の取付け部、230b…第2の取付け部、A…送風室、B…熱交換室、S,Sa…送風装置、a…回転軸、e…固定具(取付けねじ)。
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