(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961764
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】通信経路選択のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/723 20130101AFI20160719BHJP
H04L 12/70 20130101ALI20160719BHJP
H04L 12/753 20130101ALI20160719BHJP
H04L 12/46 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
H04L12/723
H04L12/70 D
H04L12/753
H04L12/46 V
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-534616(P2015-534616)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公表番号】特表2015-534393(P2015-534393A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013061589
(87)【国際公開番号】WO2014052395
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年5月15日
(31)【優先権主張番号】13/631,169
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレンタイン,スティーブン
【審査官】
速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0063979(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0106347(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102143041(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0039161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/723
H04L 12/46
H04L 12/70
H04L 12/753
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信グループのために、複数の連続する通信経路を備えるネットワークを通る送信元ノードから宛先ノードまでの通信経路を選択するための方法であって、複数の連続する通信経路から最小コスト経路を決定するステップと、V mod Nを決定するステップと、その結果を、複数の通信経路のそれぞれに一意のインデックスを関連付ける経路選択テーブル中のインデックスと比較するステップと、その結果と等しいインデックスに関連する経路を選択するステップとを含み、Nが複数の経路の最小コスト経路数であり、Vがグループ識別子である、方法。
【請求項2】
通信グループがVLANである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
経路選択テーブル中のインデックスに経路を関連付ける前に、ブリッジ識別子によって経路を順序づけるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
送信元ノードと宛先ノードとの間に経路Nがいくつ存在するかを決定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
経路選択テーブルに選択した経路を格納するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の通信経路が、EHEC経路である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
選択した経路に沿って、送信元ノードで受信したデータトラフィックを宛先ノードへ転送するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサと、非信号メモリデバイスとを備えるネットワークノードであって、メモリデバイスが、プログラム命令が実行されるとき、複数の通信経路から最小コスト経路を決定するステップと、V mod Nを決定するステップと、その結果を、複数の通信経路のそれぞれに一意のインデックスを関連付ける経路選択テーブル中のインデックスと比較するステップと、その結果と等しいインデックスに関連する経路を選択するステップとを可能にするプログラム命令を含み、Nが複数の経路の最小コスト経路数であり、Vがグループ識別子である、ネットワークノード。
【請求項9】
ネットワーク通信用の複数のポートをさらに備える、請求項8に記載のネットワークノード。
【請求項10】
1つまたは複数のVLANに関連する識別子を格納するためのVLANテーブルをさらに備える、請求項8に記載のネットワークノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、通信ネットワークの分野に関し、より詳細には、特にSPB(shortest path bridging:最短経路ブリッジング)動作環境で、送信元ブリッジから宛先ブリッジまでのネットワークにわたるEHEC(equal−hop、equal−cost:等ホップ、等コスト)パスなど通信経路の選択を最大限にするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次の略号がこれをもって定義され、これらのうち少なくともいくつかは、現況技術および本発明の以降の説明で参照される。
ECT(Equal Cost Tree):等コストツリー
EHEC(Equal−Hop、Equal−Cost):等−ホップ、等−コスト
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers):米国電気電子学会
I−SID(service instance identifier):サービスインスタンス識別子
LAN(Local Area Network):ローカルエリアネットワーク
SPB(Shortest Path Bridging):最短経路ブリッジング
VID(VLAN ID):VLAN識別子
VLAN(Virtual Local Area Network):仮想ローカルエリアネットワーク
WAN(Wide Area Network):広域ネットワーク
【0003】
LAN(ローカルエリアネットワーク)およびWAN(広域ネットワーク)などの通信ネットワークは、多くの相互接続デバイスを含むことが多い。これらのデバイスは、ネットワークを通して互いに通信することができ、その結果たとえばPC(パーソナルコンピュータ)などのクライアントワークステーションは、そこに格納された情報にアクセスするためまたはそれらのより大きな計算資源を利用するために、互いにまたはサーバと通信することができる。こうしたネットワークの例には、企業、または病院および大学などの公的もしくは私的な機関によって配備されたものが含まれる。
【0004】
このタイプの通信環境では、一般に、ネットワークがよほど小さくない限り、各ネットワークデバイスは他の各デバイスに直接接続されない。ほとんどの設備では、こうしたデバイスは一般に、ブリッジ、ハブおよびスイッチなどのいくつかの、時には多くのノードを通して互いに通信する。これらのデバイスが相互接続される手法のために、ネットワークを通る通信は2つ以上の経路のうちのいずれか1つを選ぶことができる。したがって、適切な受信部に通信を方向づける効率的な手法が重要となる。
【0005】
STP(spanning tree protocol:スパニングツリープロトコル)および多数のその変形が、ネットワークを通る効率的な経路をマッピングし、また、ネットワークを横断するデータトラフィックを送信元から宛先まで送信しようとする間そのトラフィックが同一のノードに1回より多く転送され得るようなループを防止するためにも開発された。ループを防止し、利用可能な最低コストの経路を見つけることが有利であるが、STPは、冗長なネットワーク間のいくつかのリンクの使用をブロックすることが多くなる。リンクまたはネットワークの失敗が起こると、経路が再計算され冗長リンクが利用され得るが、そうでない場合は、それらはネットワーク資源の非効率な使用を示す。
【0006】
より最近では、プロトコルIEEE802.1aqで主として説明されているSPB(最短経路ブリッジング)が、所与の送信元ブリッジから特定の宛先ブリッジまでのネットワークと考えられるいくつかのEHEC(等コスト、等ホップ)パスを決定し、各VLAN(仮想ローカルエリアネットワーク)を1つまたは複数のEHECパスのうちの1つに割り当てることによって冗長経路を利用するパスマッピング方式を使用する。VLANは、VLANトラフィックの使用向けに、一定の中間ブリッジを識別することによってネットワークを通るイーサネット(登録商標)トラフィック用のブロードキャストドメインを作成する。VLANは、たとえば特定の部門または顧客に関連付けられ得る。ループは、データトラフィックが常に指定された経路を選ぶので避けられる。同時に、他のVLANがネットワークを通る別の冗長経路に割り当てられ得る。
【0007】
IEEE802.1aqは、経路を個々のVLANに割り当てるためにいくつかのECT(equal cost tree:等コストツリー)プロトコルを指定している。これらのプロトコルがこの機能を実行するが、このプロトコルは、状況によっては、経路の割当てを行うとき利用可能な全ての経路を完全に利用することに失敗する。したがって、これらの制限を少なくとも避け、ネットワーク資源をよりロバストに使用させる経路割当てを行う手法が必要とされる。
【0008】
既存のまたは可能なものとして、本明細書で説明する技術または方式について本発明の背景として示すが、これによって、これらの技術および方式が、これまで発明者以外の他者に対して商業化されまたは知られてきたと認めるものではないことに留意されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、VLANまたはデータトラフィックの他のグループ用にネットワーク通信経路を選択することに関連する前述の欠点および他の欠点に対処することが必要とされてきており、依然必要とされる。これらのまたは他の必要性は、本発明により満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、LANまたは類似の通信ネットワークを通る通信トラフィック経路を選択する手法を対象とする。一態様では、本発明は、通信グループのために、複数の隣接する通信経路を備えるネットワークを通る送信元ノードから宛先ノードまでの通信経路を選択するための方法であって、方法が、V mod Nを決定するステップと、その結果を、複数の通信経路のそれぞれに一意のインデックスを関連付ける経路選択テーブル中のインデックスと比較するステップと、その結果と等しいインデックスに関連する経路を選択するステップとを含み、Nが複数の経路の経路数であり、Vがグループ識別子である。多くの実施では、通信グループがVLANであり、方法が、識別子をVLANに割り当てるステップを割り当てるステップを含むことができる。他の実施では、グループが、1つより多くのVLANを含むことができる。割り当てられるVLAN識別子は、好ましくは順次割り当てられ、VLAN識別子は、VLANテーブルに格納され得る。方法が、送信元ノードのプロセッサによって実行され、テーブルが、プロセッサによって評価可能なメモリデバイスに記憶される。
【0011】
この態様では、本発明が、経路選択テーブル中のインデックスに経路を関連付ける前に、ブリッジ識別子によって経路を順序づけるステップと、送信元ノードと宛先ノードとの間に経路Nがいくつ存在するかを決定するステップとをさらに含むことができる。好ましい実施形態では、方法が、経路選択テーブルに選択した経路を格納するステップも含む。方法が、選択した経路に沿って、送信元ノードで受信したデータトラフィックを宛先ノードへ転送するステップをさらに含む。
【0012】
別の態様では、本発明が、プロセッサと、非信号(non−signal)メモリデバイスとを含むネットワークノードであって、メモリデバイスが、プログラム命令が実行されるとき、V mod Nを決定するステップと、その結果を、複数の通信経路のそれぞれに一意のインデックスを関連付ける経路選択テーブル中のインデックスと比較するステップと、その結果と等しいインデックスに関連する経路を選択するステップとを可能にするプログラム命令を含み、Nが複数の経路の経路数であり、Vがグループ識別子である。ノードが、ネットワーク通信用の複数のポートを含むこともできる。好ましい実施形態では、ネットワークノードが、1つまたは複数のVLANに関連する識別子を格納するためのVLANテーブルも含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、送信元ブリッジでトラフィックを受信するステップと、トラフィック用に宛先ブリッジを決定するステップと、トラフィックに関連するVLANを決定するステップと、VLANがネットワークを通るEHEC経路に関連があるかどうかを判定するために、経路選択テーブルをチェックするステップとを含む、ネットワークのデータトラフィックをハンドリングする方法である。関連がある場合は、トラフィックが、それに応じて転送され得る。VLANが通信経路に関連がない場合、方法が、V mod Nを決定するステップと、その結果を、複数の通信経路のそれぞれに一意のインデックスを関連付ける経路選択テーブル中のインデックスと比較するステップと、その結果と等しいインデックスに関連付けられた経路を選択するステップとをさらに含み、Nが複数の経路の経路数であり、Vがグループ識別子である。方法が、シーケンシャルID番号をVLANに割り当てるステップをさらに含むことができる。この態様によれば、本発明が、好ましくは、選択した経路に沿ってトラフィックを転送するステップも含む。
【0014】
本発明のさらなる態様について、一部が以降の詳細な説明、図面およびいずれかの特許請求の範囲で提示され、一部は詳細な説明から導かれ、または、本発明の実践によって学ぶことができる。前述の概略的な説明と以降の詳細な説明は双方とも、単に例示上かつ説明上のものであり、開示される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0015】
添付の図面と併せて以降の詳細な説明を参照することによって本発明のより完全な理解が得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態が有利に使用され得る、通信ネットワークの選択した一部を示す簡略化したブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態が有利に使用され得る、通信ネットワークの選択した一部を示す簡略化したブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるネットワークを通る通信経路を選択する方法を示す流れ図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による方法を示す流れ図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるネットワークノードの選択した構成要素を示す簡略化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(広域ネットワーク)または類似の通信ネットワークを通る通信トラフィック経路を選択する手法を対象とする。本発明は、IEEE802.1aqなどの既存のSPB(最短経路ブリッジング)プロトコルが、可能な限り効率的にトラフィックを必ずしも常に分配しない大型の高度なメッシュ型ネットワークにおいて特に有利である。
図1を参照して実例を提供する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態が有利に使用され得る、通信ネットワーク100の選択した一部を示す簡略化したブロック図である。ネットワーク100のノードは、たとえば光ファイバケーブルを使用して、図示するように互いに直接リンクされる。一例として、ノード0の1つのポートがノードAに、第2のポートがノード3に、第3のポートがノード2にリンクされる。データトラフィックは、ノード0を介して(または別法で、この例ではノード1を通って)ノードAからノード2まで通過する。
【0019】
図1の例では、ノードAとノードBが、それぞれ送信元ブリッジと宛先ブリッジとみなされ得る。すなわち、これらは、クライアントデバイスもしくはサーバ、または他のネットワークもしくはサブネットワーク(図示せず)におそらくリンクする、ルータまたはいくつかのエッジデバイスの形態となり得る。目下予期されるトラフィックは、送信元ブリッジAで受信され、1つの経路または別の経路によって宛先ブリッジBに通信されなければならない。
図1に示すブリッジは、他の形態のID番号を有することができるが、ここで説明の簡略化のために単一の記号によってそれぞれを参照することに留意されたい。
【0020】
図1に見ることができるように、最小のホップ数を使用する、送信元ブリッジAから送信元ブリッジBまでのデータトラフィック用に利用可能な4つの経路がある。これらの経路は、0:2、0:3、1:2および1:3とラベルを付けることができ、このラベルは、各径路を構成するノードから導かれる。4つの経路のそれぞれが送信元ブリッジと宛先ブリッジとの間の2つのノードを含むので、これらの経路は、EHEC経路と呼ばれ得る(今日使用される多くのネットワークで当てはまるように、各リンクのコストが等しいと仮定される)。他の経路たとえば0:3、1:2は、利用可能であるが、より少ないコストの経路が利用可能であるときは通常避けられる。
【0021】
当然、実際のネットワークでは、データトラフィックはブリッジBからブリッジAへも流れることができる。本明細書で説明したものに似たマッピングがこのトラフィック用に行われるが、別途説明する必要はない。これに関しては、他のブリッジのうちのいくつかが、送信元ブリッジまたは宛先ブリッジとして機能することもでき、これらのためにその役割で同様に似たマッピングがなされ得る。
【0022】
一般的に言えば、
図1のネットワーク100などのネットワークは、固定的ではなく、これらの構成は、現在の要求に適合するため、保守運用を容易にするため、または機器障害の結果として変更され得る。上記に示唆したように、IEEE802.1aqで提示されたSPBは、ネットワーク100の最初のトポロジの発見および利用可能経路の決定を提供する。ただし、
図1の例では、IEEE802.1aqで提供されるECT(等コストツリー)プロトコルは、2つの経路0:2、1:3のみ選択することができるが、他の2つは無視する。これが起こると、トラフィックのグループ化(たとえばVLAN)が、経路0:3、1:2に全く割り当れられない。より高度なメッシュ型ネットワークでは、いくつ利用可能かにかかわらず16経路のみが計算される。上記に述べたように、本発明は、これに対処し、送信元ブリッジAと宛先ブリッジBとの間の利用可能な経路の完全な選択を設ける有利な手法を提供する。ここで、本発明の一実施形態について、
図2を参照して説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態が有利に使用され得る、通信ネットワーク200の選択した一部を示す簡略化したブロック図である。明らかであるように、ネットワーク200は、ネットワーク100に類似するが、より多くのノードおよびリンクを含み、したがってより高度なメッシュ型とみなされる。「ネットワーク」と呼ぶが、ネットワーク200は、単に、より大型のネットワークのサブネットワークとすることもできる。重ねて、主な経路考察は、ノードからノードへのホップ数であるように、各リンクに割り当てられたコストは等しいことが仮定される。ただしこれに関して、この仮定は異常とはみなされないとはいえ、これは、特定の一実施形態で明確に提示されない限り本発明の要件とならないことに留意されたい。
【0024】
図2の実施形態では、ネットワーク200が、この説明のために、送信元ブリッジCおよび宛先ブリッジDと呼ぶノードCおよびノードDを含み、これらがネットワークでの他の役割を同様にもつことができることを認める。明らかであるように、全てのノードおよびリンクが動作可能であると仮定すると、送信元ブリッジCから宛先ブリッジDまでの9つの経路がある。これは、幅優先探索ならびにIEEE802.1aqで指摘されているように、ECTアルゴリズムおよび関係するプロトコル中に、たとえば送信元ノードCによってネットワーク中で発見可能である。ECTアルゴリズムに従って、選択した経路は、EHECであり、ネットワークを横断する最小コストの経路であることに留意されたい。
図2に示すノードのいずれかが動作可能でない場合、経路発見プロセスがこれを判定し、経路選択は、そのとき存在するトポロジに基づく。一般に、ネットワークトポロジの変更にはその経路発見および割当てが再度実行されることが必要である。
【0025】
この実施形態では、選択するのに利用可能な9つの経路が、以下の表に示す送信元ブリッジCの経路選択テーブルに格納される(
図4参照)。この実施形態では、経路選択テーブル中で、経路が、経路番号の順に格納され、示されるように整理されたセットを形成する。
【0027】
本発明のこの実施形態によれば、次いで各径路が、以インデックスに関連付けされて、これらも以下に示すように経路選択テーブルに格納される。
【0029】
図2の実施形態によれば、ここで、VLANごとに経路が選択され得る。この実施形態では、12個のVLANが割当てを要求すると考えられ、そのVLANに、この場合099で始まるシーケンシャルID番号Vをそれぞれ割り当てる。これらの識別子が送信元ノードCのVLANテーブルに格納される。
【0031】
好都合な任意のシーケンス番号Vが、第1のVLAN(VLAN0)用に使用され得ることに留意されたい。VLANは、必ずしも全て最初に識別される必要はない。VLANは、テーブルに追加され、その後これらにシーケンシャルID番号を割り当てることができる。いくつかの実施では、シーケンシャルVLAN IDが、既に使用中であり、個別の番号が割り当てられる必要がない。便宜上、各VLANが一意に(好ましくは順次)識別さえされれば、既存のVLAN番号は切り捨てられ得る。
【0032】
図2のこの実施形態によれば、ここで、経路選択は、アルゴリズムVモジュラスNを使用して達成することができ、Vが、所与のVLAN用のシーケンシャルID番号であり、Nが、選択のための利用可能な経路の総数である。好ましくは、VLAN選択が経路選択テーブルに格納される。
【0034】
この実施形態では、1つより多くのVLANが、1つの選択した経路を使用することができることに留意されたい。ただし、明らかであるように、本発明の利用により、最大限の経路選択が可能となる。ここで、本発明による方法について説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態によるネットワークを通る通信経路を選択する方法300を示す流れ図である。方法300について、単一の送信元ブリッジの観点から(たとえば
図2に示すノードCを参照)大部分を説明するが、プロセスは、種々のネットワークノードによって繰りかえされ得ることに留意されたい。スタートで、本発明を実行するための構成要素が、この実施形態に従って利用可能および動作可能であると仮定する。次いで、ネットワーク経路計算が必要と判定される(ステップ305)と、プロセスが開始する。ネットワークを再計算する必要性は、たとえば新たにインストールしたネットワークまたは構成の変更のため、または1つまたは複数のリンクまたはノードの障害のために生じ得る。
【0036】
この実施形態では、ネットワーク経路再計算が必要であると判定された場合、送信元ブリッジが、各ポートに直接接続されたネイバノード、および、好ましくは幅優先探索で1つまたは複数のホップを介してネイバノードを介して到達可能なノードを検出する(ステップ310)。ネットワークトポロジが発見されると、次いで各送信元ブリッジが、送信元ブリッジから所与の宛先ブリッジまでのEHEC経路を決定する(ステップ315)。多くの場合、各リンクのコストは等しく、そのため経路コストが経路を形成するホップ数によって決定される。この場合、IEEE802.1aqのSPBプロトコルによれば、これらのEHEC経路は、送信元ブリッジから所与の宛先ブリッジまでの最小のホップ数を表す。より高いコストの経路が同様に識別され得るが、これらは多くの場合利用されないことに留意されたい。たとえば1つの最小コスト経路のみが識別されるような、例外が起こり得るので、その場合、これは、比較的大きな数のより高いコストの経路があるかどうか判定するのに役立つことができる。
【0037】
図3の実施形態では、EHEC経路が識別されると、この情報が経路選択テーブルに格納され(ステップ320)、インデックス番号(上記表1から表3を参照)に関連付けられる(ステップ325)。好ましい実施形態では、経路選択テーブルに入れられたEHEC経路が、一意の識別子によって識別され、順にリスト化されて、整理されたリストを形成する。
【0038】
送信元ブリッジから宛先ブリッジまで通過する全てのトラフィック用に、単一の経路が当然選択され得る。ただし、これは、通例でも好ましくもない。ほとんどの実施では、通信トラフィックのグループがそれぞれ、別々の経路に割り当てられてトラフィック負荷を広げ、より効率的にネットワーク資源を使用する。VLANは、グループ化トラフィックの1つの手法方法であり、たとえば、I−SIDなどの特定のグループの全てのトラフィックが、特定のVLANに関連付けられ、それとして識別される。
【0039】
図3の実施形態によれば、送信元ノードから宛先ノードまでの経路が、存在する経路の全て(この実施形態では、これは経路選択テーブルで識別される)を利用するように、VLAN(または他の識別可能な通信グループ)ごとに選択される。この実施形態では、識別された各VLANが、まだシーケンシャルIDをもたない場合は、識別された各VLANに、シーケンシャルIDを割り当てる(ステップ330)。VLANおよびその関連するID番号は、送信元ブリッジのVLANテーブルに格納される(別途図示しない)。
【0040】
この実施形態では、次いで経路が、宛先ブリッジに転送されるべき、送信元ブリッジで受信される任意のVLANトラフィック用に選択される。まず、オペレーションV mod Nが実行され(ステップ335)、V=VLANまたは他のグループ用のシーケンシャルIDであり、Nが、送信元ブリッジから宛先ブリッジまでの利用可能なEHEC通信経路の総数である。次いで、このオペレーションの結果が、経路選択テーブル中のインデックス番号にマッピングされる(ステップ340)。次いで、VLAN IDが、選択された経路に関連する経路選択テーブルに格納される(ステップ345)。宛先ブリッジに向けられた受信した任意のVLANトラフィックが、経路選択テーブルで反映されるように、選択した経路にそって転送される(ステップ350)。
【0041】
次いでこのプロセスが、他のVLANまたはネットワークを横断する他の通信グループのための経路選択を提供し続ける。ただし、経路選択のプロセスが、同時にいくつかのVLANのために進行していてよく、いずれかのトラフィックを転送する前に全てのVLAN用の経路選択を完了させる必要はないことに留意されたい。
【0042】
図4は、本発明の別の実施形態による方法400を示す流れ図である。スタートで、本発明を実行するための構成要素が、この実施形態に従って利用可能および動作可能であると仮定する。次いで、プロセスが、データトラフィックたとえばデータフレームが送信元ブリッジで受信される(ステップ405)と開始する。送信元ブリッジが、データトラフィック用に意図された宛先を決定し(ステップ410)、関連するVLANまたは他の通信グループを識別もする(ステップ415)。ここで、データトラフィックが、事実上関連付けられていると仮定されており、そうでない場合には、VLANに割り当てるための手順、または関連しないトラフィック用の経路を選択するための手順(ステップを図示しない)があり得ることに留意されたい。
【0043】
図4の実施形態では、次いで送信元ブリッジが、VLANが送信元ブリッジの経路選択テーブルに格納された経路に関連があるかどうかを判定する(ステップ420)。その場合、すなわちデータ経路がVLAN用に以前に選択されていた場合、データトラフィックが、経路選択テーブル中のVLANに関連する経路に沿って転送される(ステップ425)。経路との関連がみあたらない場合、VLANに、(それがシーケンシャルID番号をもたない場合)シーケンシャルID番号を割り当て、VLANテーブルに格納する(ステップ430)。
【0044】
この実施形態では、次いで経路が、送信元ブリッジで受信したデータトラフィック用に選択される。この実施形態では、ネットワークトポロジが発見され、宛先ブリッジごとの経路選択テーブルが送信元ブリッジで確立されたと仮定されることに留意されたい。オペレーションV mod Nが実行され(ステップ435)、VがVLANまたは他のグループ用のシーケンシャルIDであり、Nが、適切な経路選択テーブル(適切な経路選択テーブルとはステップ410で決定した宛先ブリッジに関連するもの)中の、送信元ブリッジから宛先ブリッジまでの利用可能なEHEC通信経路の総数である。次いで、このオペレーションの結果が、経路選択テーブル中のインデックス番号にマッピングされる(ステップ440)。次いで、受信したVLANトラフィックは、選択した経路、すなわち経路選択テーブル中のマッピングされたインデックスに関連する経路、に沿って宛先ブリッジへ転送される(ステップ425)。好ましくは、次いで、VLAN IDが、選択した経路に関連する経路選択テーブルに格納される(ステップ445)。
【0045】
図3および
図4に示したオペレーションのシーケンスは例示的な実施形態を表すことに留意されたい。いくつかの変形形態が、本発明の他の実施形態で可能である。たとえば、さらなるオペレーションが、
図3および
図4に示したものに追加されてよく、いくつかの実施では、示した1つまたは複数のオペレーションが省略されてもよい。加えて、方法のオペレーションは、確定したシーケンスが特定の実施形態で記述されない限りは、任意の論理的一貫性のある順序で実行され得る。
【0046】
代替の実施形態(図示せず)では、
図3および
図4のシーケンスのいくつかまたは全てが、VLAN/経路が関連付けられトラフィックがその関連に従って転送されるように組み合わせられ得る。この代替実施形態では、トラフィックが受信されるときそのトラフィックのためのVLAN/経路の関連が全く存在せず、そのトラフィックは単純にドロップされ得る。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態によるネットワークノード500の選択した構成要素を示す簡略化した概略図である。ネットワークノード500は、たとえば本発明による送信元ブリッジとして働くことができる。この実施形態によれば、ネットワークノード500が、プロセッサ500とメモリデバイス510とを含む。メモリデバイス510に併せて経路選択テーブル515およびVLANテーブル520が明示されているが、これらの機能については上記で説明してきた。プログラム命令がネットワークノード500に記憶され、その命令の実行時に、本明細書で説明する機能を少なくとも実行する。単一の経路選択およびVLANテーブルのみを示すが、追加のテーブルも同様に形成され得る。いくつかの実施では、組み合わせたテーブルが使用され得る。ネットワークノードが配備され得るネットワークとの接続、または他の接続用に、ポート525aから525dが設けられる。
【0048】
この実施形態では、プロセッサ505は、たとえば非一時的メモリデバイス510に記憶されたプログラム命令による、ノード500の様々な他の構成要素のオペレーションを制御するためのものである。プロセッサ505とノード500の他の構成要素との間の示した接続は、これらの構成要素の相互接続を表すが他の構成も可能である。ノード500の構成要素は、ハードウェアもしくはハードウェアデバイスで実行するソフトウェア、またはその両方の組合せで実施される。
【0049】
本発明の複数の実施形態について、添付の図面に示し、先の「発明を実施するための形態」で説明してきたが、本発明が、開示した実施形態に限定されず、以降の特許請求の範囲によって提示および定義された本発明の範囲から逸脱することなしに、多数の再構成、改変および代替が可能であることが理解されるべきである。