(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961773
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】澱粉糊
(51)【国際特許分類】
C09J 103/00 20060101AFI20160719BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
C09J103/00
C09J11/08
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-34113(P2016-34113)
(22)【出願日】2016年2月25日
【審査請求日】2016年2月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000205498
【氏名又は名称】オー・ジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 泰助
(72)【発明者】
【氏名】酒井 靖弘
【審査官】
松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−091669(JP,A)
【文献】
特開2009−178634(JP,A)
【文献】
特開平10−192868(JP,A)
【文献】
特開2004−307581(JP,A)
【文献】
特開2005−054051(JP,A)
【文献】
オルフロック,日本,オルガノ社,2002年 7月,Cat.No.Y−1−13,カタログ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉を主成分として含有すると共に、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有しており、
前記4級アンモニウム塩含有モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、及び、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド4級塩の少なくとも一つであることを特徴とする澱粉糊。
【請求項2】
前記アニオン性モノマーは、α,β−不飽和カルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載の澱粉糊。
【請求項3】
前記α,β−不飽和カルボン酸は、2−プロペン酸であることを特徴とする請求項2に記載の澱粉糊。
【請求項4】
前記両性ポリマーを100ppm以上5000ppm以下含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の澱粉糊。
【請求項5】
原料シートが波形加工されて形成された少なくとも一つの波形シートと、該波形シートの少なくとも一方の面に貼り合わされる少なくとも一つのライナーシートとから構成される段ボールを製造する際に、前記波形シートとライナーシートとの貼り合わせに用いることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の澱粉糊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉糊に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、澱粉を主成分とする澱粉糊が種々の分野で使用されている。例えば、一般的な段ボールの製造ラインにおいて、原料シートが波形加工されて形成された波形シートと、該波形シートを挟むように配置される一対のライナーシートとを貼り合わせる際に澱粉糊が使用されている。
【0003】
より詳しく説明すると、段ボールの製造ラインとしては、原料シートを波形加工して波形シートを形成する工程と、波形シートの一方の面における山の頂点部に澱粉糊を塗工する工程と、該澱粉糊を介して波形シートの一方の面に一方のライナーシートを貼り合わせて加熱することで片面段ボールを形成する工程と、片面段ボールの波形シートの他方の面における山の頂点部に澱粉糊を塗工する工程と、該澱粉糊を介して波形シートの他方の面に他方のライナーシートを貼り合わせて加熱することで両面段ボール(即ち、段ボール)を形成する工程とが連続して行われるものが知られている(特許文献1参照)。そして、形成された段ボールは、ロール状に巻き回されたり、所定サイズに切断されたりした後(後加工された後)、製品として出荷される。
【0004】
上記のような段ボールの製造ラインで使用される澱粉糊としては、例えば、澱粉を主成分として含有すると共に、添加剤としてアクリルポリマーを含有した澱粉糊が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−088423号公報
【特許文献2】特開2004−307581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような段ボールの製造ラインにおいては、片面段ボールや両面段ボールを形成してしばらくは、波形シートとライナーシートとの貼り合わせ強度が十分に発現されていない状態であるため、斯かる状態の片面段ボールや両面段ボールを後の工程(両面段ボールを形成する工程や後加工工程)に供給すると、波形シートからライナーシートが剥離してしまう虞がある。このため、波形シートとライナーシートとの貼り合わせ強度が十分に発現してから片面段ボールや両面段ボールが後の工程に供給されるように、製造ラインの速度を制御する(低速にする)ことが必要となる。このため、段ボールの製造をより高速で行うことが困難となっている。
【0007】
そこで、本発明は、十分な貼り合わせ強度を貼り合わせ後の早期に発現させることができる澱粉糊を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る澱粉糊は、澱粉を主成分として含有すると共に、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有
しており、前記4級アンモニウム塩含有モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、及び、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド4級塩の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0009】
斯かる構成によれば、澱粉を主成分とする澱粉糊において、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有することで、十分な貼り合わせ強度を貼り合わせ後の早期に発現させることができる。これにより、例えば、澱粉糊を使用する貼り合わせ工程を備える製造ラインの高速化を図ることができる。
【0011】
前記アニオン性モノマーは、α,β−不飽和カルボン酸であることが好ましい。
【0012】
前記α,β−不飽和カルボン酸は、2−プロペン酸であることが好ましい。
【0013】
前記両性ポリマーを100ppm以上5000ppm以下含有することが好ましい。
【0014】
原料シートが波形加工されて形成された少なくとも一つの波形シートと、該波形シートの少なくとも一方の面に貼り合わされる少なくとも一つのライナーシートとから構成される段ボールを製造する際に、前記波形シートとライナーシートとの貼り合わせに用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、十分な貼り合わせ強度を貼り合わせ後の早期に発現させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
本発明に係る澱粉糊は、澱粉を主成分として含有すると共に、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有するものである。両性ポリマーの数平均分子量としては、特に限定されるものではなく、例えば、10万以上500万以下であることが好ましい。
【0018】
澱粉糊中の両性ポリマーの含有量としては、特に限定されるものではないが、例えば、(有効成分当たり)100ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、150ppm以上450ppm以下であることがより好ましい。また、澱粉糊中の澱粉に対する両性ポリマーの量としては、特に限定されるものではなく、例えば、(有効成分当たり)500ppm以上25000ppm以下であることが好ましく、750ppm以上2250ppm以下であることがより好ましい。また、澱粉糊中の澱粉に対する両性ポリマーの量としては、特に限定されるものではなく、澱粉100質量部に対して、両性ポリマーが0.05質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることがより好ましい。
【0019】
前記澱粉としては、特に限定されるものではなく、例えば、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等から選択される一つ又は複数の未加工澱粉や、それらに酸処理、酸化、エーテル化、エステル化、グラフト化、酵素変性等を施した加工澱粉、又はそれらのうちの複数を混合したものから選択される一つ又は複数が挙げられる。あるいは、これらに少量のアルファー化澱粉を混合したものでもよい。
【0020】
前記4級アンモニウム塩含有モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、2級アミノ基又は3級アミノ基から選択される一つ又は複数を含有するモノマーを塩化メチル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化アリル、ジメチル硫酸等から選択される一つ又は複数で4級化したものが挙げられる。特には、4級アンモニウム塩含有モノマーとしては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド4級塩(ジメチルアミノエチルアクリレートをメチルクロライドで4級化したアンモニウム塩)、又は、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド4級塩(ジメチルアミノエチルメタクリレートをメチルクロライドで4級化したアンモニウム塩)の少なくとも一つを用いることが好ましい。
【0021】
4級化される2級アミノ基を含有するモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアリルアミン、ジアリルアミン、ジメチルアミンなどから選択される一つ又は複数の2級アミノ基含有モノマー又はその塩が挙げられる。
【0022】
4級化される3級アミノ基を含有するモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミドプロピルアクリルアミドなどのジメチルアミノアルキルアクリルアミドなどから選択される一つ又は複数の3級アミノ基含有モノマー又はその塩が挙げられる。
【0023】
アニオン性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、α,β−不飽和カルボン酸や、不飽和スルホン酸等から選択される一つ又は複数を用いることができる。α,β−不飽和カルボン酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、2−プロペン酸、2−メチルプロパ−2−エン酸、イタコン酸、又は、マレイン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。また、不飽和スルホン酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。また、上記の各アニオン性モノマーは、ナトリウム塩、カリウム塩、又は、アンモニウム塩の何れかであってもよい。また、アニオン性モノマーとしては、上記の各物質から選択される一つ又は複数であってもよい。また、アニオン性モノマーとしては、特に、2−プロペン酸を用いることが好ましい。
【0024】
なお、上記の両性ポリマーは、上記の4級アンモニウム塩含有モノマーと上記のアニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体であってもよい。ノニオン性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコールなどの(メタ)アクリル酸エステルや、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミドなどから選択される一つ又は複数が挙げられる。
【0025】
そして、本発明に係る澱粉糊は、種々の用途に用いることが可能であり、例えば、段ボールの製造に用いることができる。段ボールは、原料シートが波形加工されて形成された波形シートと、該波形シートを挟むように波形シートと貼り合わされる一対のライナーシートとから構成されている。そして、本発明に係る澱粉糊は、波形シートとライナーシートとを貼り合わせる糊として使用することができる。
【0026】
段ボールの製造ラインとしては、原料シートを波形加工して波形シートを形成する工程と、波形シートの一方の面における山の頂点部に澱粉糊を塗工する工程と、該澱粉糊を介して波形シートの一方の面に一方のライナーシートを貼り合わせて加熱する(熱プレスする)ことで片面段ボールを形成する工程と、片面段ボールの波形シートの他方の面における山の頂点部に澱粉糊を塗工する工程と、該澱粉糊を介して波形シートの他方の面に他方のライナーシートを貼り合わせて加熱する(熱プレスする)ことで両面段ボール(即ち、段ボール)を形成する工程とが連続して行われる。そして、形成された段ボールは、ロール状に巻き回されたり、所定サイズに切断されたりした後(後加工された後)、製品として出荷される。
【0027】
以上のように、本発明に係る澱粉糊によれば、十分な貼り合わせ強度を貼り合わせ後の早期に発現させることができる。
【0028】
即ち、澱粉を主成分とする澱粉糊において、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有することで、十分な貼り合わせ強度を貼り合わせ後の早期に発現させることができる。これにより、例えば、澱粉糊を使用する貼り合わせ工程(例えば、段ボールを製造する際の波形シートとライナーシートとを貼り合わせる工程)を備える製造ライン(例えば、段ボールの製造ライン)の高速化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明に係る澱粉糊は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、他の各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0030】
例えば、上記実施形態では、段ボールは、波形シートの両面にライナーシートが貼り合わされて形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、波形シートの一方の面にのみライナーシートが貼り合わされて形成されてもよく、複数の波形シートと複数のライナーシートとが交互に貼り合わされて形成されてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、澱粉糊は、波形シートとライナーシートとの貼り合わせに用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、波形シート同士を貼り合わせる際に用いられてもよく、ライナーシート同士を貼り合わせる際に用いられてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、澱粉糊は、段ボールの製造に用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、封筒の製造等の紙加工用途にも用いることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
=実施例1
,2、参考例1、比較例1〜6=
<使用材料>
・片面段ボール:
波形シート(サイズ:5cm×8cm、重量:120g/m
2、波数:片面側で9個又は10個)の片面にライナーシート(サイズ:5cm×8cm、重量:220g/m
2)を貼り合わせたもの。
・ライナーシート:
サイズ:5cm×8cm、重量:200g/m
2
・澱粉:
昭和産業社製 製品名:コーンスターチ
・添加剤:
下記表1参照
・イオン交換水
・水酸化ナトリウム
・硼砂
【0035】
<澱粉糊の作製>
1.40℃に加温したイオン交換水250ccへ澱粉を23gと水酸化ナトリウム5gを添加し、20分間撹拌してキャリアー糊を作製した。
2.また、40℃に加温したイオン交換水410ccに澱粉177gを添加し、撹拌混合してメイン糊を作製した。
3.そして、前記キャリアー糊を前記メイン糊へ撹拌しつつ徐々に添加し、10分間撹拌後、硼砂を3.5g添加し、さらに20分間撹拌した。
4.その後、下記表1の各添加剤を添加して、5分間撹拌し、各実施例
、参考例1、及び、各比較例の澱粉糊を作製した。なお、各澱粉糊中の添加剤の含有量と各実施例
、参考例1、及び、各比較例の関係を下記表2に示す。
【0036】
<粘着強度試験>
1.上記の各澱粉糊をガラス板に塗布した(Wet20g/m
2)。
2.片面段ボールにおける波形シートの一方の面(各波の頂点部)が前記ガラス板上の澱粉糊に接するように片面段ボールをガラス板上に載置し、波形シートの一方の面(各波の頂点部)に澱粉糊を転写した。
3.波形シートの一方の面にライナーシートを貼り合わせ、温度104℃、圧力17g/cm
2の条件で熱プレスした。熱プレスの時間は、下記表3〜6に示す。
4.熱プレス後、直ちに、波形シートの一方の面に貼り合わせたライナーシートを片面段ボールから剥離し、波形シートの波の頂点部(ライナーシートが貼り合わされていた部分)における起毛(紙繊維の毛羽立ち)の状態を評価した。具体的には、波形シートの各波の頂点部における起毛の本数を目視にてカウントし、本数が最大であった頂点部における起毛の本数が1〜2本であった場合を「△」、3本以上であった場合を「○」とし、各頂点部に起毛が生じなかった場合を「×」として評価した(定性評価)。また、片面段ボールにおける波形シートの波の総数に対する起毛が生じた波の個数の割合を算出した(定量評価)。定性評価及び定量評価の結果については、下記表3〜6に示す。なお、定性評価の評価結果は、上記の剥離試験をN=10で行った際の最も多い評価結果であり、定量評価の結果は、上記の剥離試験をN=10で行った際の平均値である。また、比較例2−1〜3−7,5−1〜6−7の澱粉糊には、目視可能なサイズの固形物(粒子)が生じたため、正確な剥離試験を行うことができなかった。また、実施例2の澱粉糊では、両性ポリマーが150ppm以上になると目視可能なサイズの固形物(粒子)が生じたため、固形物が生じたものについては正確な剥離試験を行うことができなかった。このため、「N/A」とした。
【0037】
<粘性試験>
各添加剤の含有量が300ppmの各実施例
、参考例1、及び、各比較例の澱粉糊に対して、アタゴ社製の粘度計(製品名:デジタル粘度計「BASE L」)を使用し、ローターNo.3(回転数/60rpm)の測定条件で粘度の測定を行った。比較例1の測定結果を100とした場合の測定結果を下記表7に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
<まとめ>
上記の表3〜6の定量評価を見ると、各熱プレス時間において、比較例1よりも各実施例の方が数値が大きいことが認められる。言い換えれば、比較例1よりも各実施例の方が起毛の生じた波の数が多いことが認められる。ここで、起毛は、波形シートとライナーシートとの貼り合わせが強固である程生じやすくなる。つまり、定量評価の数値の大きい各実施例の方が比較例1よりも貼り合わせが強固であることが認められる。
従って、本発明に係る澱粉糊のように、特定の両性ポリマーを含有することで、添加剤を含有しない場合よりも早期に貼り合わせ強度を発現させることが可能となる。
【0046】
また、比較例2−1〜3−7,5−1〜6−7の澱粉糊を見ると、目視可能なサイズの固形物(粒子)が生じることが認められた。ここで、斯かる固形物は、澱粉糊の貼り合わせ強度を低下させると共に、例えば、段ボールの製造工程において澱粉糊を塗工する設備に目詰まりを生じさせる要因となる。これに対し、各実施例の澱粉糊では、そのような固形物(粒子)が生じなかった。つまり、本願発明のように、特定の両性ポリマーを澱粉糊に含有させることで、澱粉糊中に固形物(粒子)を生じさせることなく、十分な貼り合わせ強度を早期に発現させることが可能となる。
【0047】
また、上記の表3〜6の定量評価の結果を見ると、熱プレス時間及び含有量によっては、各実施例の方が比較例4よりも数値が大きくなることが認められる。つまり、本願発明のように、特定の両性ポリマーを澱粉糊に含有させることで、他の添加剤を澱粉糊中に含有させる場合よりも、十分な貼り合わせ強度を早期に発現させることが可能となる。
【0048】
更に、上記の表7を見ると、各実施例の方が比較例4−5よりも粘度が低いことが認められる。つまり、本願発明のように、特定の両性ポリマーを澱粉糊に含有させることで、澱粉糊中に固形物(粒子)を生じさせることなく、他の添加剤を用いた場合よりも粘度の低い澱粉糊を得ることが可能となる。
【要約】
【課題】より早期に貼り合わせ強度を発現させることができる澱粉糊を提供することを課題とする。
【解決手段】澱粉を主成分として含有すると共に、少なくとも1種の4級アンモニウム塩含有モノマーと少なくとも1種のアニオン性モノマーとの共重合体である両性ポリマーを含有することを特徴とする。
【選択図】なし