(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の貫通孔が形成された第1の筒状体であると共に、前記第1の貫通孔と連通した第1のピン孔と、前記第1の筒状体の前記第1のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第1の貫通孔と連通した第2のピン孔と、前記第1のピン孔の下方に同第1のピン孔と略平行に位置し前記第1の貫通孔と連通した第1のスクリュー孔と、前記第1の筒状体の前記第1のスクリュー孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第1の貫通孔と連通した第2のスクリュー孔が形成された髄内釘と、
該髄内釘の内側に収容可能かつ第2の貫通孔が形成された第2の筒状体であると共に、前記第2の貫通孔と連通した第3のピン孔と、前記第2の筒状体の前記第3のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第2の貫通孔と連通した第4のピン孔が形成された第1の制御部材と、
該第1の制御部材の一端側に位置し、同第1の制御部材の一端方向に突出して形成された嵌合凸部と、
前記第1の制御部材の他端側に位置し、同第1の制御部材を前記髄内釘に固定可能な第1の固定部と、
前記髄内釘の内側かつ同髄内釘の前記第1のピン孔及び前記第2のピン孔から見た前記第1のスクリュー孔及び前記第2のスクリュー孔と反対側の端部に位置して前記第1の貫通孔を閉塞する第2の制御部材と、
該第2の制御部材に設けられ、同第2の制御部材を前記髄内釘に固定可能な第2の固定部と、
前記第2の制御部材から突出して前記第1の制御部材の他端側から前記第2の貫通孔の内部に挿入可能な突出部とを備え、
前記髄内釘の内周面の前記第1の固定部が固定される第1の内周領域と、同髄内釘の内周面の前記第2の固定部が固定される第2の内周領域との間に間隙を有し、
前記第1の固定部及び前記第2の固定部は、前記髄内釘の内周面とネジ構造で固定され、
前記髄内釘の前記第1の内周領域及び前記第2の内周領域の間の領域はその内径が同第1の内周領域及び同第2の内周領域の内径よりも大きく形成された第1の窪み部であり、
前記突出部の一部を囲繞可能な切れ目を有するリング状であると共に、前記第1の制御部材との間に所定のクリアランスを有して位置し、前記第1の窪み部を埋めて同第1の窪み部に嵌合する止め輪部を有する
骨接合具。
前記第1の固定部は、その外径が前記第1の内周領域の内径と略同等の大きさであり、前記第1の制御部材の短手方向側から見た断面が切れ目のない略ドーナツ状であると共に、前記第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有し、
前記第1の制御部材は前記第1の嵌合部を内装可能な第2の嵌合部を有し、
前記第1の嵌合部の少なくとも一部の外径の大きさが、前記第2の嵌合部の対応する領域の内径の大きさよりも大きく形成された
請求項1に記載の骨接合具。
前記第1の固定部は、その外径が前記第1の内周領域の内径と略同等の大きさであり、前記第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有すると共に、前記第2の貫通孔の内周面から前記第1の固定部の外周面に貫通したスリットと、同第2の貫通孔の内周面から同第1の固定部の外周面に向けて位置する第2の窪み部とが形成され、
前記第1の制御部材は前記第1の嵌合部を内装可能な第2の嵌合部を有し、
前記突出部は、前記第2の窪み部に嵌合可能かつ同突出部の突出方向にかけて径が小さくなるテーパ部を有する
請求項1に記載の骨接合具。
前記第1の固定部は、その外径が前記第1の内周領域の内径より大きく形成されかつ弾性を有し、前記第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有すると共に、前記第2の貫通孔の内周面から前記第1の固定部の外周面に貫通したスリットと、同第2の貫通孔の内周面から同第1の固定部の外周面に向けて位置する第2の窪み部とが形成され、
前記第1の制御部材は前記第1の嵌合部を内装可能な第2の嵌合部を有し、
前記突出部は、前記第2の窪み部に嵌合可能かつ同突出部の突出方向にかけて径が小さくなるテーパ部を有する
請求項1に記載の骨接合具。
【背景技術】
【0002】
従来から、骨折治療の現場において、髄内釘とラグスクリューを組み合わせた骨接合具が使用されている。髄内釘は、施術対象骨の長手方向に沿って挿入されるものであり、特に大腿部の骨折などの治療のために用いられる。
【0003】
髄内釘及びラグスクリューを組み合わせた骨接合具に、施術後の日常生活動作等により荷重がかかり、骨片及び骨片に係合したラグスクリューに対する回転方向の力が加わって回旋することがある。この結果、骨片が再度分離したり、骨折部位の癒着が遅れたりする症例が報告されている。
【0004】
このような症状を回避するための一案として、ラグスクリューと略平行な向きに髄内釘に取付けられるサブピンが併用されている。サブピンは尖鋭の棒状部材であり、尖った先端が骨内の海綿質に進入することで、骨片及びラグスクリューの回旋を生じにくくする。
【0005】
また、ラグスクリューの外周面上に長手方向に沿って溝を形成し、その溝と嵌合する制御部材を用いて回旋を抑える構造も存在する。制御部材はラグスクリューの溝に嵌合する突出部を有し、髄内釘の内部に配置されてラグスクリューの溝と嵌合する。
【0006】
制御部材の突出部とラグスクリューの溝が嵌合することで、ラグスクリューは長手方向を中心軸とした回転運動が規制されるものとなる。
【0007】
この制御部材による固定度は、別途の調整部材を用いて調整される。例えば、髄内釘の内部かつ制御部材の上方に調整部材を取り付けて制御部材と接触させる構成がある。調整部材の髄内釘への侵入深さを調整し、その侵入深さにより、制御部材のラグスクリューに対する固定度を異ならせるものとなっている。
【0008】
しかしながら、前述したような、サブピンを併用する構造体では、ラグスクリューの制御部材による固定度は調整可能であるが、サブピンの固定はなされていなかった。従って、サブピンの固定度を制御する構造も採用されていなかった。
【0009】
サブピンの固定が不充分であると、骨内に挿入されたサブピンの回旋や長手方向前後への摺動が生じる。特に、先端方向側にサブピンが移動し、骨頭を突き破ってしまう症例が報告されていた。
【0010】
こうしたなか、ラグスクリューやサブピン等の骨片に係合する複数の係合部材を同時に制御することを試みた骨接合具が存在し、例えば、特許文献1に記載された骨接合具が提案されている。
【0011】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、特許文献1に記載された骨接合具100は、髄内釘本体101、制御部材102、キャップ103を備えている。髄内釘本体101には複数の孔が設けられ、主ラグスクリュー104及び副ラグスクリュー105が挿入される。
【0012】
制御部材102は先端に突出部106を有し、突出部106が主ラグスクリュー104の溝107に嵌合して回旋が抑えられるものとなっている。制御部材102は、髄内釘本体101の内周面にネジ構造で取り付けられたキャップ103の動きにより、下方に押し込まれるものとなる。
【0013】
制御部材102は張出部108を有し、これに対向する髄内釘本体101の内周面の領域は下方に向けて径が小さくなる窪み109となっている。キャップ103の動きに伴い、張出部108と窪み109が接触抗力を生じながら、制御部材102が下方に押しこまれていく。すると、制御部材102の割れ目110の間隔が狭くなっていく。
【0014】
割れ目110の間隔が狭くなると、副ラグスクリュー105が挿通された挿通路111が狭くなり、挿通路111の内壁面が副ラグスクリュー105に接触する。最終的に、挿通路111の接触圧力が副ラグスクリュー105の摺動と回転を規制するものとなる。即ち、骨接合具100では、制御部材102が主ラグスクリュー104及び副ラグスクリュー105を同時に固定するものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載された骨接合具では、主ラグスクリュー及び副ラグスクリューの両方が、制御部材とそれを調整するキャップによって固定度の調整がなされている。制御部材の固定に緩みが生じた場合には、両方の係合部材が回旋または摺動するおそれがある。
【0017】
また、制御部材は、主ラグスクリューにかかる荷重と、副ラグスクリューにかかる荷重の両方の影響を受けるものとなる。即ち、施術後の患者の動作等により、主ラグスクリューと副ラグスクリューの両方に荷重がかかり、両方の係合部材からの振動等が制御部材に伝わるため、制御部材がより緩みやすいものとなっている。
【0018】
また、副ラグスクリューの固定が、制御部材の押し込みに伴う張出部と窪みの接触抗力の発生から制御部材の割れ目の狭小化へと段階的に生じるものとなっている。制御部材の動きが直接サブピンを固定するものではないため、サブピンの固定が不充分になることが予想される。
【0019】
また、従来の骨接合具では、制御部材の上側に髄内釘の貫通孔を閉塞するエンドキャップと呼ばれる部材が取り付けられる。骨接合具を取り扱う向きによっては、エンドキャップの取り付け前に、制御部材が髄内釘の内側から外部に抜け落ちてしまうおそれもあった。
【0020】
更に、従来の骨接合具には、ネジ構造で髄内釘の内周面に制御部材を取り付け、制御部材を回転させて髄内釘の長手方向での進退を調整する構造が存在する。制御部材は髄内釘の内部に収容されて使用に供されるが、使用前の輸送の振動等で制御部材が髄内釘の奥深く、ネジ構造の端部にまで入る場合がある。
【0021】
この際、制御部材を回転させる専用のドライバーを用いて、所定の高さ位置まで制御部材を引き上げる作業が生じ、手術時の手間を増やすものとなる。別途、シリコン製のストッパー部材を取り付け、使用前に取り除く対応も行われているが、ストッパー部材の準備が必要となる点や、取り外しの際の手間がかかるものとなっていた。
【0022】
また、使用方法によっては、ラグスクリューの回旋方向の動きを制御し、長手方向の後端側への動きは許容する「スライディングを許容する固定」を可能とするために、制御部材を完全に締めた状態から緩める方向に4分の1回転戻した位置とする場合がある。この際、制御部材が髄内釘の貫通孔において必要以上に進退せず、わずかに緩めた位置を保つことが重要となる。
【0023】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、使用時の取扱い性に優れ、かつ、施術部位における骨片の回旋を充分に抑えることが可能な骨接合具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、本発明の骨接合具は、第1の貫通孔が形成された第1の筒状体であると共に、前記第1の貫通孔と連通した第1のピン孔と、前記第1の筒状体の前記第1のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第1の貫通孔と連通した第2のピン孔と、前記第1のピン孔の下方に同第1のピン孔と略平行に位置し前記第1の貫通孔と連通した第1のスクリュー孔と、前記第1の筒状体の前記第1のスクリュー孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第1の貫通孔と連通した第2のスクリュー孔が形成された髄内釘と、該髄内釘の内側に収容可能かつ第2の貫通孔が形成された第2の筒状体であると共に、前記第2の貫通孔と連通した第3のピン孔と、前記第2の筒状体の前記第3のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し前記第2の貫通孔と連通した第4のピン孔が形成された第1の制御部材と、該第1の制御部材の一端側に位置し、同第1の制御部材の一端方向に突出して形成された嵌合凸部と、前記第1の制御部材の他端側に位置し、同第1の制御部材を前記髄内釘に固定可能な第1の固定部と、前記髄内釘の内側かつ同髄内釘の前記第1のピン孔及び前記第2のピン孔から見た前記第1のスクリュー孔及び前記第2のスクリュー孔と反対側の端部に位置して前記第1の貫通孔を閉塞する第2の制御部材と、該第2の制御部材に設けられ、同第2の制御部材を前記髄内釘に固定可能な第2の固定部と、前記第2の制御部材から突出して前記第1の制御部材の他端側から前記第2の貫通孔の内部に挿入可能な突出部とを備え、前記髄内釘の内周面の前記第1の固定部が固定される第1の内周領域と、同髄内釘の内周面の前記第2の固定部が固定される第2の内周領域との間に間隙を有し、前記第1の固定部及び前記第2の固定部は、前記髄内釘の内周面とネジ構造で固定され、前記髄内釘の前記第1の内周領域及び前記第2の内周領域の間の領域はその内径が同第1の内周領域及び同第2の内周領域の内径よりも大きく形成された第1の窪み部であり、前記突出部の一部を囲繞可能な切れ目を有するリング状であると共に、前記第1の制御部材との間に所定のクリアランスを有して位置し、前記第1の窪み部を埋めて同第1の窪み部に嵌合する止め輪部を有するものとなっている。
【0025】
ここで、髄内釘が第1の貫通孔が形成された第1の筒状体であることによって、第1の貫通孔の内部に別部材を入れることが可能となる。即ち、第1の制御部材や第2の制御部材を収容可能となる。
【0026】
また、髄内釘に、第1の貫通孔と連通した第1のピン孔と、第1の筒状体の第1のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し第1の貫通孔と連通した第2のピン孔とが形成されたことによって、第1のピン孔及び第2のピン孔に骨片への係合部材を挿通させることが可能となる。なお、ここでいう係合部材とは、例えば、既知のサブピンや副ラグスクリューを含むものである。
【0027】
また、髄内釘に、第1のピン孔の下方に第1のピン孔と略平行に位置し第1の貫通孔と連通した第1のスクリュー孔と、第1の筒状体の第1のスクリュー孔の反対側かつ同軸状に位置し第1の貫通孔と連通した第2のスクリュー孔が形成されたことによって、第1のスクリュー孔及び第2のスクリュー孔に主ラグスクリューを挿通させることが可能となる。
【0028】
また、第1の制御部材が、髄内釘の内側に収容可能であることによって、髄内釘の内側に第1の制御部材を配置することができる。
【0029】
また、第1の制御部材が、髄内釘の内側に収容可能かつ第2の貫通孔が形成された第2の筒状体であることによって、髄内釘の内側に配置された状態で、さらに第1の制御部材の内部に別部材を入れることが可能となる。即ち、突出部を挿通させることができる。
【0030】
また、第1の制御部材に、第2の貫通孔と連通した第3のピン孔と、第2の筒状体の第3のピン孔の反対側かつ同軸状に位置し第2の貫通孔と連通した第4のピン孔が形成されたことによって、第3のピン孔及び第4のピン孔に骨片への係合部材を挿通させることが可能となる。なお、ここでいう係合部材とは、例えば、既知のサブピンや副ラグスクリューを含むものである。また、第3のピン孔は第1の制御部材の第1のピン孔に、第4のピン孔は第1の制御部材の第2のピン孔にそれぞれ対応するものとなる。また、第3のピン孔及び第4のピン孔における直線状の位置とは、既知のサブピン等がまっすぐに挿入可能であり、サブピン等がラグスクリューと略平行な位置関係で配置可能となるものであれば充分である。
【0031】
また、第1の制御部材の一端側に位置し、第1の制御部材の一端方向に突出して形成された嵌合凸部によって、第1の制御部材を、髄内釘の第1のスクリュー孔及び第2のスクリュー孔に挿入される部材の固定具とすることができる。即ち、例えば、第1のスクリュー孔及び第2のスクリュー孔に主ラグスクリューが挿入された際に、主ラグスクリューの外周面上の長手方向に形成された溝部に嵌合凸部を嵌合させ、第1の制御部材によって主ラグスクリューの回旋の動きを規制するものとなる。
【0032】
また、第1の制御部材の他端側に位置し、第1の制御部材を髄内釘に固定可能な第1の固定部によって、第1の制御部材を髄内釘に固定することができる。
【0033】
また、髄内釘の内側かつ髄内釘の第1のピン孔及び第2のピン孔から見た第1のスクリュー孔及び第2のスクリュー孔と反対側の端部に位置して第1の貫通孔を閉塞する第2の制御部材によって、髄内釘の内側に第1の制御部材を配置しながら、髄内釘の第1の貫通孔への異物の混入を防ぐことができる。
【0034】
また、第2の制御部材に設けられ、第2の制御部材を髄内釘に固定可能な第2の固定部によって、第2の制御部材を髄内釘に固定することができる。
【0035】
また、髄内釘の内周面の第1の固定部が固定される第1の内周領域と、髄内釘の内周面の第2の固定部が固定される第2の内周領域との間に間隙を有することによって、第1の制御部材が髄内釘に対して過度に固定されず、第1の制御部材が抜去不能になりにくくなる。例えば、髄内釘がチタンで形成された際には、ネジ構造等の固定部の長さが長いと、固定する部材がかみこみ過ぎて分離不可能となることがあるが、前述したように、第1の内周領域と第2の内周領域の間に間隙があり非連続な固定部とすることで、過度なかみこみが生じにくくすることができる。
【0036】
また、第1の固定部及び第2の固定部が髄内釘の内周面とネジ構造で固定されることによって、第1の制御部材及び第2の制御部材を回転させて、髄内釘に固定することができる。なお、この際のネジ構造における回転動作は、例えば、多角形のドライバーと、それに嵌合する嵌合孔との組み合わせによって行いうるものとなる。
【0037】
また、髄内釘の第1の内周領域及び第2の内周領域の間の領域はその内径が第1の内周領域及び第2の内周領域の内径よりも大きく形成された第1の窪み部であり、突出部の一部を囲繞可能な切れ目を有するリング状であると共に、第1の制御部材との間に所定のクリアランスを有して位置し、第1の窪み部を埋めて窪み部に嵌合する止め輪部を備えることによって、止め輪部を介して第1の制御部材の抜け落ちを防ぐことができる。即ち、髄内釘に第1の制御部材及び止め輪部が収容され、第2の制御部材が取り付けられていない状態の際に、第1の制御部材が回転して第1の貫通孔から抜ける方向に移動しても、第1の窪み部に位置する止め輪部に接触して、その先には移動できないものとなる。また、止め輪部で第1の制御部材の抜け落ちを防止しながら、第2の制御部材を第1の制御部材の方向にネジ構造で充分に締めていくことが可能となる。即ち、第1の窪み部の位置で髄内釘の内周面のネジ溝が一旦途切れ、窪み部に止め輪部が配置されていることから、連続したネジ溝上に止め輪部を配置する構造では不充分となる第2の制御部材のネジ締めが、充分に行えるものとなる。この結果、髄内釘に対する第2の制御部材の固定、第2の制御部材と突出部によるサブピンの固定及び第1の制御部材の緩み防止が確実なものとなる。
【0038】
また、第1の固定部は、その外径が第1の内周領域の内径と略同等の大きさであり、第1の制御部材の短手方向側から見た断面が切れ目のない略ドーナツ状であると共に、第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有し、第1の制御部材は第1の嵌合部を内装可能な第2の嵌合部を有し、第1の嵌合部の少なくとも一部の外径の大きさが、第2の嵌合部の対応する領域の内径の大きさよりも大きく形成された場合には、第1の嵌合部と第2の嵌合部との間で締め代が生じるものとなる。この結果、第1の固定部が第1の内周領域に対して回転する際、即ち、第1の固定部及び第1の制御部材が髄内釘の第1の貫通孔に対して進退動作する際に第1の嵌合部と第2の嵌合部との間で摩擦抵抗力が生じ、振動等の弱い力では第1の固定部が髄内釘に対して回転しにくいものとなる。つまり、第1の固定部及び第1の制御部材の髄内釘の貫通孔における位置が保持されやすいものとなる。これにより、第1の制御部材の過度な挿入や緩みが生じにくい構造となる。
【0039】
また、突出部が、その先端が第2の貫通孔の第3のピン孔及び第4のピン孔で挟まれた領域まで届く長さを有する場合には、第2の制御部材を、第1のピン孔乃至第4のピン孔に挿入される部材の固定具とすることができる。即ち、例えば、第1のピン孔乃至第4のピン孔にサブピンが挿入された際に、サブピンの外周面に突出部を接触させ、その圧力で固定し、第2の制御部材によってサブピンの摺動及び回旋の動きを規制するものとなる。
【0040】
また、突出部が、その先端が第2の貫通孔の第3のピン孔及び第4のピン孔で挟まれた領域より第1の制御部材の他端側に位置する長さを有する場合には、第2の制御部材及び突出部で構成される部材をコンパクトなものにすることができる。即ち、例えば、サブピンを併用せずに、髄内釘とラグスクリューで骨を接合する際に用いることができる。
【0041】
また、第1の固定部は第1の制御部材に対して回転自在に内装される場合には、髄内釘の第1のピン孔及び第2のピン孔と、第1の制御部材の第3のピン孔及び第4のピン孔との位置を合わせやすいものとなる。即ち、例えば、第1の固定部を専用ドライバーと嵌合させて回転させることで、第1の制御部材は回転することなく髄内釘の第1の貫通孔に進退動作するものとなり、第3のピン孔及び第4のピン孔の位置が変わりにくくしながら、第1の制御部材を髄内釘の所定位置に固定することが可能となる。
【0042】
また、第1の固定部は第1の制御部材に対して回転自在に内装され、第1の制御部材は、その内周面かつ第1の固定部と第3のピン孔及び第4のピン孔との間の領域にネジ溝が形成された場合には、第1の制御部材のみを髄内釘に対して進退動作させることが可能となる。即ち、例えば、第1の固定部と第1の制御部材が分離し、そのままの使用が不可能になった際にも、第1の制御部材のネジ溝に専用のドライバーを嵌合させ、髄内釘から取り出すことが可能となる。この結果、第1の制御部材によるラグスクリューの固定状態を解除可能なものとなる。
【0043】
また、第1の固定部に、その内周面に第1の制御部材の長手方向に沿って第1の制御部材の短手方向側から見た断面が略六角形となる6つの溝が形成された場合には、第1の固定部の回転動作をより確実に行えるものとなり、使い勝手を向上させることができる。ここでは、6つの溝に嵌合する専用の六角ドライバーを使用するものとなるが、例えば、ドライバーの嵌合箇所が二面のものなどに比べ、ドライバーが第1の固定部に対して滑りにくいものとなる。
【0044】
また、第1の固定部は、その外径が第1の内周領域の内径と略同等の大きさであり、第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有すると共に、第2の貫通孔の内周面から第1の固定部の外周面に貫通したスリットと、第2の貫通孔の内周面から第1の固定部の外周面に向けて位置する第2の窪み部とが形成され、第1の制御部材は第1の嵌合部を内装可能な第2の嵌合部を有し、突出部は、第2の窪み部に嵌合可能かつ突出部の突出方向にかけて径が小さくなるテーパ部を有する場合には、第1の制御部材が緩みにくいものとすることができる。即ち、第1の固定部の第2の窪み部に突出部のテーパ部が接触して食い込むことで、第1の固定部のスリット部分が広がり、接触圧が第1の固定部に均一にかかるものとなる。この結果、第1の固定部と髄内釘の内周面との接触する圧力が増し、第1の制御部材を緩みにくくすることができる。また、第2の制御部材を下方に下げて固定するほど、第1の制御部材は緩みにくいものとなる。
【0045】
また、第1の固定部は、その外径が第1の内周領域の内径より大きく形成されかつ弾性を有し、第1の制御部材に内装可能な第1の嵌合部を有すると共に、第2の貫通孔の内周面から第1の固定部の外周面に貫通したスリットが形成された場合には、髄内釘に第1の固定部及び第1の制御部材を挿入した際に、第1の固定部と第1の内周領域との間に抵抗力が生じ、第1の固定部及び第1の制御部材の髄内釘の貫通孔における位置が保持されやすいものとなる。より詳細には、第1の固定部の外径は、髄内釘に挿入される前は第1の内周領域より大きいが、髄内釘への挿入時には、径の大きさの関係により、第1の内周領域との接触でスリット部分の距離が縮まり、第1の固定部の外径が小さくなる。この結果、弾性により第1の固定部には元の外径の大きさに戻ろうとする付勢力が生じ、第1の固定部が髄内釘の第1の内周領域を押す方向の力となる。なお、第1の固定部と第1の内周領域との間に生じる抵抗力の大きさは、別途の取り付け器具による第1の固定部及び第1の制御部材の髄内釘へのネジ構造による挿入や抜去を妨げるような大きな力ではない。例えば、外部からの振動等の軽微な外力に対して第1の固定部が勝手に回転しない程度の抵抗力を生むものであればよい。
【0046】
上記の観点からは、例えば、髄内釘への第1の固定部及び第1の制御部材の挿入前に、第1の固定部のスリットを専用治工具で広げる加工を行って、第1の固定部の外径を第1の内周領域よりもわずかに大きくする方法が採用し得る。
【0047】
また、第1の嵌合部の少なくとも一部の外径の大きさが、第2の嵌合部の対応する領域の内径の大きさよりも大きく形成された場合には、第1の嵌合部と第2の嵌合部との間で締め代が生じるものとなる。この結果、第1の固定部が第1の内周領域に対して回転する際、即ち、第1の固定部及び第1の制御部材が髄内釘の第1の貫通孔に対して進退動作する際に第1の嵌合部と第2の嵌合部との間で摩擦抵抗力が生じ、振動等の弱い力では第1の固定部が髄内釘に対して回転しにくいものとなる。つまり、第1の固定部及び第1の制御部材の髄内釘の貫通孔における位置が保持されやすいものとなる。これにより、第1の制御部材の過度な挿入や緩みが生じにくい構造となる。
【0048】
また、突出部は、その先端が第2の貫通孔の第3のピン孔及び第4のピン孔で挟まれた領域まで届く長さを有する場合には、第2の制御部材を、第1のピン孔乃至第4のピン孔に挿入される部材の固定具とすることができる。即ち、例えば、第1のピン孔乃至第4のピン孔にサブピンが挿入された際に、サブピンの外周面に突出部を接触させ、その圧力で固定し、第2の制御部材によってサブピンの摺動及び回旋の動きを規制するものとなる。
【0049】
また、突出部は、その先端が第2の貫通孔の第3のピン孔及び第4のピン孔で挟まれた領域より第1の制御部材の他端側に位置する長さを有する場合には、第2の制御部材及び突出部で構成される部材をコンパクトなものにすることができる。即ち、例えば、サブピンを併用せずに、髄内釘とラグスクリューで骨を接合する際に用いることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る骨接合具は、使用時の取扱い性に優れ、かつ、施術部位における骨片の回旋を充分に抑えることが可能なものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の実施の形態に係る骨接合具の側面視断面図およびその部分拡大図である。なお、本発明の構成は以下に示す内容に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0053】
図1に示すように、本発明を適用した骨接合具の一例である骨接合具1は、髄内釘2と、セットスクリュー3と、エンドキャップ4を備えている。また、髄内釘2には、骨片に係合する係合部材として、ラグスクリュー5と、サブピン6が挿入されている。骨接合具1はいずれも外科手術に利用可能な金属部材で形成されている。
【0054】
髄内釘2は、骨折した部位が治癒するまでに骨片がずれて癒着したり、あるいは、分離したりしないように骨片間を連結する部材である。また、骨内でラグスクリュー5等の係合部材を保持する部材である。
【0055】
髄内釘2には、ピン孔7及びピン孔8と、スクリュー孔9及びスクリュー孔10が形成され、ラグスクリュー5と、サブピン6がそれぞれ挿入される。ラグスクリュー5は、図示しない施術対象骨内の海綿質に食い込んで先後方向への抵抗力を生じさせ、骨頭の脱落防止及び回旋防止効果を生じさせる。
【0056】
ラグスクリュー5の先端は外周面に雄ネジ11が形成され、この雄ネジ11が骨内海綿質に食い込む部分となる。また、ラグスクリュー5の胴部外周面には、長手方向に沿って、スクリュー溝12が形成されている。
【0057】
スクリュー溝12は、後述するセットスクリュー3の先端の突出片13と嵌合する部分である。また、スクリュー溝12は、ラグスクリュー5の胴部外周面の円周上に一定間隔で複数形成されている。
【0058】
サブピン6は、尖鋭な棒体であり、先端部分が施術対象骨内の海綿質に容易に進入し、骨に大きな孔を開けることなく、骨内に位置するものとなる。骨内でラグスクリュー5と略平行に位置し、骨頭の回旋を抑えるものとなる。
【0059】
サブピン6は、ラグスクリュー5よりも短く形成されている。また、その胴体部分は円柱状に形成されている。
【0060】
髄内釘2の下端には、図示しない横止め孔が形成され、下端位置において横止めスクリューが挿入され、髄内釘2が骨内に固定されている。
【0061】
図1に示すように、髄内釘2の軸心には貫通孔14が形成されている。貫通孔14には、前述したラグスクリュー5及びサブピン6の一部が位置する。また、貫通孔14の内部には、セットスクリュー3、ワッシャー16及びエンドキャップ4が取り付けられる。
【0062】
セットスクリュー3は髄内釘2の内周面に固定され、ラグスクリュー5の回旋を抑える部材である。セットスクリュー3の先端には突出片13が形成され、ラグスクリュー5のスクリュー溝12と嵌合する。
【0063】
また、セットスクリュー3にはピン孔18及びピン孔19が形成され、前述した髄内釘2のピン孔7及びピン孔8と同一直線上に位置して、サブピン6が挿入される部分となっている。
【0064】
セットスクリュー3は径大な張出部20を有し、その外周面上にネジ溝21が形成されている。ネジ溝21は、髄内釘2の内周面のネジ溝22と嵌合し、セットスクリュー3はネジ構造にて髄内釘2に固定される。また、張出部20は、髄内釘2の段差23に嵌合する。
【0065】
また、セットスクリュー3の中心には、長手方向にかけて貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、エンドキャップ4の一部が挿入される部分となる。
【0066】
セットスクリュー3の張出部20の内周面には、貫通孔24と略平行なスリットが形成されている。スリットの形状については後述する。
【0067】
ここで、セットスクリュー3のピン孔18及びピン孔19の形状は特に限定されるものではなく、サブピン6がまっすぐ挿入可能かつラグスクリュー5と略平行な位置にくるものとなっていれば充分である。
【0068】
セットスクリュー3の上方にワッシャー16が配置される。ワッシャー16は、セットスクリュー3の貫通孔14の外側への抜け落ちを抑える部材となる。ワッシャー16は切れ目を有するリング状の部材で、エンドキャップ4の一部を囲繞可能な径に形成されている。
【0069】
また、ワッシャー16は髄内釘2の内周面の窪み25に配置されている。窪み25はワッシャー16よりもやや大きめに形成され、ワッシャー16は余裕をもって嵌合するものとなる。
【0070】
髄内釘2の内周面において、セットスクリュー3固定用のネジ溝22と後述するエンドキャップ固定用のネジ溝26との間に窪み25が位置している。即ち、髄内釘2の内周面では、ネジ溝が非連続に形成されたものとなっている。
【0071】
セットスクリュー3及びワッシャー16の上方にエンドキャップ4が取り付けられている。エンドキャップ4は、髄内釘2の内周面に固定され、貫通孔14を閉塞する部材である。また、エンドキャップ4の突出部27が髄内釘2に挿入されたサブピン6を固定する部分となる。
【0072】
エンドキャップ4は、突出部27と、テーパ部28と、ネジ溝部29と、頭部30を有している。突出部27は、セットスクリュー3の貫通孔24に挿入可能な径であり、その先端は半球状に形成されている。この半球状の部分が、サブピン6の円柱状の外周面に接触し、サブピン6を固定する。
【0073】
ネジ溝部29は、外周面にネジ溝が形成され、髄内釘2の内周面のネジ溝26と嵌合し、エンドキャップ4はネジ構造にて髄内釘2に固定される。また、頭部30は内側にドライバー孔が形成され、エンドキャップ4の取り付け時に、ドライバーが嵌合する部分となる。なお、セットスクリュー3の張出部20の内周にも、ドライバーと嵌合する孔が形成されている。
【0074】
髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成されている。より具体的には、ネジ溝22が5.8mm、ネジ溝26が4mmの長さとなっている。
【0075】
ここで、必ずしも、エンドキャップ4の突出部27の先端が半球状に形成される必要はない。例えば、サブピンの外周面上に、ラグスクリューと同様のスクリュー溝を形成した場合には、エンドキャップ4の突出部27の先端をスクリュー溝に嵌合する突出片とすることも可能である。
【0076】
また、必ずしも、髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成される必要はない。また、ネジ溝22が5.8mm、ネジ溝26が4mmの長さに限定されるものではない。但し、セットスクリューの固定度を高めることができる点から、髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成されることが好ましい。
【0077】
上述した骨接合具1の各構成部材をそれぞれの図面で説明する。
【0078】
図2は、エンドキャップの概略正面図(a)及びその他のエンドキャップの構造を示す概略正面図(b)である。
【0079】
前述したように、エンドキャップ4は、突出部27と、テーパ部28と、ネジ溝部29と、頭部30を有している。ネジ溝部29の領域が最も径が大きく、この位置で髄内釘2の内周面に固定されると共に、貫通孔14を閉塞する。
【0080】
また、
図2(b)に示すようなエンドキャップ31が使用されることもある。エンドキャップ31は突出部32が短く形成され、サブピンを併用しない場合や、サブピンを固定しない場合の髄内釘2に取付けられる。
図2(b)の示すエンドキャップ31を用いる骨接合具の構造については、後述する。
【0081】
図3は、髄内釘の概略断面図(a)及び髄内釘をラグスクリューの挿入方向の手前側から見た概略図(b)である。また、
図4は、その他の髄内釘の形状を示す概略断面図である。
【0082】
図3(a)に示すように、髄内釘2は長手方向に貫通孔14が形成され、それに連通してラグスクリュー5及びサブピン6の挿入用の各孔が形成されている。また、髄内釘2の下端には、横止め孔33及び横止め孔34が形成され、横止めスクリューが挿入される。
【0083】
また、髄内釘2の内周面の上部には、セットスクリュー3を固定するためのネジ溝22と、エンドキャップを固定するためのネジ溝26が形成されている。
【0084】
図3(b)に示すように、サブピン挿入用のピン孔7及びピン孔8や、ラグスクリュー挿入用のスクリュー孔9及びスクリュー孔10は、サブピンやラグスクリューが挿入可能な範囲の形状を有するものとなっている。
【0085】
図4に示す髄内釘41は、上部側の中心軸に対して下部側が4°程曲げられた形状となっている。より具体的には、大腿骨の中心軸線上に沿って髄内釘を真っ直ぐ挿入することが難しい場合があり、挿入により新たな骨折の原因となることがある。そのため、大腿骨の中心軸線上ではなく、大腿骨の大転子頂部から髄内釘を挿入可能とすべく、上記の形状が採用される。このような髄内釘41にも、前述したセットスクリュー3及びエンドキャップ4を使用することができる。
【0086】
図5には、サブピンの概略図(a)及びラグスクリューの概略図(b)を示している。
【0087】
図5(a)に示すように、サブピン6は、尖鋭な棒状体であり、反対側の端部には、髄内釘への挿入時に使用される孔が形成されている。また、
図5(b)に示すように、ラグスクリュー5は、先端の外周面に雄ネジ11が形成されている。また、外周面にはスクリュー溝12が形成されている。なお、
図5(a)及び
図5(b)の左側の図は、各係合部材を挿入方向と反対側の端部から見た図である。
【0088】
図6には、セットスクリューの側面側から見た断面図及びセットスクリュー及びワッシャーの側面概略図(a)、ワッシャーの概略図(b)、セットスクリューの頭部側の概略図(c)及びセットスクリューの胴体側の概略図(d)を示している。
【0089】
図6(a)〜
図6(d)から明らかなように、セットスクリュー3は頭部35と、胴体部36から構成されている。頭部35は嵌合片37を有し、嵌合片37が胴部36の嵌合溝38に、一定の力に対して分離不可能に取り付けられている。また、頭部35は胴体部36に対して回転自在に取り付けられている。即ち、嵌合片37及び嵌合溝38で長手方向への分離が規制されるが、長手方向を軸心とする回転は可能となっている。
【0090】
頭部35が胴体部36に対して回転自在となっていることから、髄内釘2の貫通孔14にセットスクリュー3を入れた際に、ピン孔18及びピン孔19の位置を変更することなく、頭部35のみを回転させて、髄内釘2の内周面にネジ固定することが可能となる。
【0091】
また、
図6(c)から明らかなように、頭部35には、スリット39及びスリット40が形成されている。スリット39は、頭部35の内周面側から外周面側に向けて頭部35を部分的に削ったものである。スリット40はスリット39より細く、頭部35の内周面から外周面にかけて貫通して形成されている。
【0092】
また、頭部35の外径の大きさは、頭部35と胴体部36を一体化させる前後で変わるように加工が施されている。具体的には、スリット40をわずかに広げ、頭部35の外径を大きくする加工が施されている。
【0093】
まず、頭部35と胴体部36を一体化させる前は、頭部35の外径の大きさは、髄内釘2のネジ溝22とほぼ同程度の大きさとなっている。即ち、頭部35を専用の取り付け工具で回転させてほぼ抵抗なく頭部35が回転し、セットスクリュー3が貫通孔14の内周面上の位置を変えることが可能な外径の大きさとなっている。
【0094】
頭部35を胴体部36に対して専用の工具で圧入し、嵌合片37を嵌合溝38に嵌合させる。その後、スリット40の箇所に楔状の専用治工具を入れ、スリット40をわずかに広げる加工を行う。加工後は工具を取り除いた状態でスリット40が広がり、これに伴って頭部35の外径が大きくなる。
【0095】
加工の後、頭部35の外径の大きさは、髄内釘2のネジ溝22の位置の内周面の大きさよりもわずかに大きいものとなる。そして、頭部35は弾性を有する金属で形成されているため、スリット40のスリット距離を縮める方向の外力、即ち、頭部35の外径が小さくなる方向に外力が働くと、元の外径の大きさに戻ろうとする付勢力が生じる。
【0096】
頭部35の外径の大きさは、髄内釘2のネジ溝22の位置の内周面の大きさよりもわずかに大きくなっているため、セットスクリュー3を髄内釘2の貫通孔14に挿入する際に上述の付勢力が生じる。付勢力は、頭部35がネジ溝22を押す方向の力として働き、頭部35と髄内釘2の内周面との間に生じる抵抗力となる。この結果、髄内釘2にセットスクリュー3を挿入した後に、頭部35が回転しにくいものとすることができる。つまり、セットスクリュー3の髄内釘2の内周面における位置が保持しやすいものとなる。
【0097】
図7(a)〜(c)を用いて、更に詳細な構造を説明する。
図7(a)に示す胴体部36の嵌合溝38における位置55の内径φDAと、
図7(b)に示す頭部35の位置56における外径φDBとの大きさの関係で、頭部35と胴体部36との間の摩擦抵抗力が異なるものとなる。頭部35と胴体部36との間の摩擦抵抗力が大きくなることで、頭部35が回転しにくくなり、この結果、セットスクリュー3の髄内釘2の内周面における位置が保持しやすいものとなる。
【0098】
上述したように位置56における外径φDBを大きくすることで頭部35と胴体部36との間の摩擦抵抗力を高めることができる。例えば、
図7(b)や
図7(c)に示すように、頭部35の嵌合片37は4つの爪部57を有しているが、爪部57の枚数や厚み(符号t1)、長さ(符号h1)を調整することで爪部57の弾性が高まるものとなる。爪部57の弾性が高まることで、頭部35の胴体部36と接触する箇所の外径φDBがより大きくなり、摩擦抵抗力を高めることができる。爪部の調整については後述する。
【0099】
なお、本発明の第1の実施の形態では、φDAとφDBの関係について、φDA>φDBの構造と、φDA<φDBの構造のいずれもが採用しうるが、摩擦抵抗力を高める点からは、φDA<φDBの構造が採用されることが好ましい。
【0100】
また、胴体部36の嵌合溝38の凹部58と、頭部35の爪部57の先端形状は、爪部57が嵌合溝38に内装される方向にのみ進み進みやすい形状となっている。換言すれば、爪部57が凹部58から引き抜かれる方向、即ち、頭部35が胴体部36から抜け出る方向への動きが凹部58と爪部57の引っ掛かりにより規制されるものとなる。これにより、頭部35と胴体部36の嵌合状態が保持されるものとなる。
【0101】
図6(b)に示すように、ワッシャー16には切れ目が形成されている。この切れ目は、髄内釘2の内周面のネジ構造部分の螺旋のスレッドリード角に沿ってワッシャーが進めるように設けたものである。
【0102】
図8(a)及び
図8(b)には、本発明で適用しうるワッシャーのその他の形状を示している。
図6(b)に示すワッシャー16以外にも、ほぼ円形の外形を有するワッシャー59や、切れ目の近傍に略平坦な形状を有するワッシャー60が利用可能である。
【0103】
以上までで説明した骨接合具におけるラグスクリューとサブピンを挿入した状態での具体的な機能を説明する。
【0104】
まず、ラグスクリューに対する2種類の固定態様について触れる。ラグスクリューの固定態様としては、「スタティックな固定」と、「スライディングを許容する固定」の2種類が存在する。いずれも、ラグスクリューの回旋を抑える点では共通しているが、骨折の症例によって、2つの異なる固定態様が使い分けられている。
【0105】
「スタティックな固定」とは、ラグスクリューの回旋方向の動きと、スライディングと呼ばれる長手方向の後端側への動きの両方を固定するものである。
【0106】
「スライディングを許容する固定」とは、ラグスクリューの回旋方向の動きは制御し、長手方向の後端側への動きは許容するものである。
【0107】
通常のセットスクリューによるラグスクリューの固定では、ネジ構造でセットスクリューを回転不能となるまで締めた後に、ラグスクリューの長手方向への移動を許容するために、セットスクリューを緩める方向に4分の1回転戻し、「スライディングを許容する固定」とする。緩めることで、セットスクリューの先端とラグスクリューのスクリュー溝との間にわずかにクリアランスが生じて、ラグスクリューの回旋は規制されるが、長手方向への移動は許容するものとなる。
【0108】
ネジ構造でセットスクリューを回転不能となるまで締めたままにすると、ラグスクリューの回旋方向の動きと、スライディングが制御され、ラグスクリューは強固に固定された「スタティックな固定」となる。
【0109】
「スライディングを許容する固定」を行うと、骨頭に係合したラグスクリューが動き、骨折の隙間を埋めて、骨癒合を促進させることができるため、本固定も重要な固定態様となっている。
【0110】
このように、ラグスクリューを併用する骨接合具では、「スタティックな固定」及び「スライディングを許容する固定」の両方が行えることが望ましい。しかし、「スライディングを許容する固定」では、セットスクリューを緩める作業を伴うため、外力等が作用することで、ラグスクリューの回旋も規制できないほどのセットスクリューの緩みにつながることがある。
【0111】
本発明の第1の実施の形態では、セットスクリュー3の構造で、スリット40をわずかに広げて頭部35の外径を大きくして、髄内釘2への挿入時に頭部35の弾性力を利用することにより、髄内釘2の内周面におけるセットスクリューの位置が保持しやすいものとなっている。また、φDA<φDBの関係となる構造にすることで、頭部35と胴体部36との間で、頭部35の回転に対して摩擦抵抗力が生じるため、髄内釘2の内周面におけるセットスクリューの位置が保持しやすいものとなっている。即ち、「スライディングを許容する固定」の状態とする、セットスクリューを緩める方向に4分の1回転戻した位置が保持しやすいものとなっている。
【0112】
また、エンドキャップ4のネジ構造による固定は、ワッシャー16が窪み25に余裕をもって嵌合しているため、充分に締めることが可能となる。そのため、サブピンの固定力が担保される。
【0113】
ここで、本発明を適用した骨接合具のその他の実施の形態として、
図2(b)に示すようなエンドキャップ31でセットスクリュー3の緩みを抑える構造も採用しうる。この場合、サブピンは使用しない状態、またはサブピンは固定されない状態でエンドキャップによりセットスクリューの回転が抑えられる構造となる。また、ラグスクリューの回転の規制は第1の実施の形態と同様である。
【0114】
詳細には、エンドキャップ31がセットスクリュー3の頭部35の内周面に挿入され、エンドキャップ31のテーパ部66の途中で挿入が止まる。この際、頭部35のスリット39にテーパ部66が食い込むものとなる。テーパ部66がスリット39に食い込むと、頭部35の外径が広がる方向に力がかかるが、スリット40があることで、頭部35の径が大きくなり、セットスクリュー3の固定状態が緩みにくいものとすることができる。即ち、セットスクリュー3の髄内釘2に対する回転が抑えられるものとなる。
【0115】
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以後の本発明の実施の形態については、上述した構造と同様の部材については同一の符号を用いて説明を行うものとする。
【0116】
本発明の第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態とは、セットスクリューの構造が異なるものとなる。より詳細には、セットスクリューを構成する頭部及び胴体部の構造が第1の実施の形態と異なる。以下、構造について説明する。
【0117】
本発明の第2の実施の形態の骨接合具は、髄内釘2と、セットスクリュー42と、エンドキャップ4を備えている。また、髄内釘2には、骨片に係合する係合部材として、ラグスクリュー5と、サブピン6が挿入されている。
【0118】
髄内釘2には、ピン孔7及びピン孔8と、スクリュー孔9及びスクリュー孔10が形成され、ラグスクリュー5と、サブピン6がそれぞれ挿入される。
【0119】
ラグスクリュー5の先端は外周面に雄ネジ11が形成され、この雄ネジ11が骨内海綿質に食い込む部分となる。また、ラグスクリュー5の胴部外周面には、長手方向に沿って、スクリュー溝12が形成されている。
【0120】
スクリュー溝12は、後述するセットスクリュー42の先端の突出片43と嵌合する部分である。また、スクリュー溝12は、ラグスクリュー5の胴部外周面の円周上に一定間隔で複数形成されている。
【0121】
サブピン6は、尖鋭な棒体であり、先端部分が施術対象骨内の海綿質に容易に進入し、骨に大きな孔を開けることなく、骨内に位置するものとなる。骨内でラグスクリュー5と略平行に位置し、骨頭の回旋を抑えるものとなる。
【0122】
サブピン6は、ラグスクリュー5よりも短く形成されている。また、その胴体部分は円柱状に形成されている。
【0123】
髄内釘2の下端には、図示しない横止め孔が形成され、下端位置において横止めスクリューが挿入され、髄内釘2が骨内に固定されている。
【0124】
髄内釘2の軸心には貫通孔14が形成されている。貫通孔14には、前述したラグスクリュー5及びサブピン6の一部が位置する。また、貫通孔14の内部には、セットスクリュー42、ワッシャー16及びエンドキャップ4が取り付けられる。
【0125】
セットスクリュー42及びワッシャー16の上方にエンドキャップ4が取り付けられている。エンドキャップ4は、髄内釘2の内周面に固定され、貫通孔14を閉塞する部材である。また、エンドキャップ4の突出部27が髄内釘2に挿入されたサブピン6を固定する部分となる。
【0126】
エンドキャップ4は、突出部27と、テーパ部28と、ネジ溝部29と、頭部30を有している。突出部27は、セットスクリュー3の貫通孔24に挿入可能な径であり、その先端は半球状に形成されている。この半球状の部分が、サブピン6の円柱状の外周面に接触し、サブピン6を固定する。
【0127】
ネジ溝部29は、外周面にネジ溝が形成され、髄内釘2の内周面のネジ溝26と嵌合し、エンドキャップ4はネジ構造にて髄内釘2に固定される。また、頭部30は内側にドライバー孔が形成され、エンドキャップ4の取り付け時に、ドライバーが嵌合する部分となる。
【0128】
髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成されている。より具体的には、ネジ溝22が5.8mm、ネジ溝26が4mmの長さとなっている。
【0129】
ここで、必ずしも、エンドキャップ4の突出部27の先端が半球状に形成される必要はない。例えば、サブピンの外周面上に、ラグスクリューと同様のスクリュー溝を形成した場合には、エンドキャップ4の突出部27の先端をスクリュー溝に嵌合する突出片とすることも可能である。
【0130】
また、必ずしも、
図2(a)に示すようなエンドキャップ4が用いられる必要はない。例えば、
図2(b)に示すようなエンドキャップ31が使用されることもある。エンドキャップ31は突出部32が短く形成され、サブピンを併用しない場合や、サブピンを固定しない場合の髄内釘2に取付けられる。
【0131】
また、必ずしも、髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成される必要はない。また、ネジ溝22が5.8mm、ネジ溝26が4mmの長さに限定されるものではない。但し、セットスクリューの固定度を高めることができる点から、髄内釘2のネジ溝22とネジ溝26では、ネジ溝22がネジ溝26よりも長く形成されることが好ましい。
【0132】
図9を用いてセットスクリュー42の構造について説明する。
図9は、本発明の第2の実施の形態におけるセットスクリューの側面側から見た断面図及びセットスクリュー及びワッシャーの側面概略図(a)、ワッシャーの概略図(b)、セットスクリューの頭部側の概略図(c)及びセットスクリューの胴体側の概略図(d)を示している。
【0133】
図9(a)〜
図9(d)に示すように、セットスクリュー42は頭部44と、胴体部45から構成されている。頭部44は嵌合片46を有し、嵌合片46が胴体部45の嵌合溝47に、一定の力に対して分離不可能に取り付けられている。また、頭部44は胴体部45に対して回転自在に取り付けられている。即ち、嵌合片46及び嵌合溝47で長手方向への分離が規制されるが、長手方向を軸心とする回転は可能となっている。
図9(a)の上の図は断面図、下の図は概略図である。
【0134】
頭部44が胴体部45に対して回転自在となっていることから、髄内釘2の貫通孔14にセットスクリュー42を入れた際に、後述するピン孔48及びピン孔49の位置を変更することなく、頭部44のみを回転させて、髄内釘2の内周面にネジ固定することが可能となる。
【0135】
セットスクリュー42は髄内釘2の内周面に固定され、ラグスクリュー5の回旋を抑える部材である。セットスクリュー42の先端には突出片43が形成され、ラグスクリュー5のスクリュー溝12と嵌合する。
【0136】
また、セットスクリュー42にはピン孔48及びピン孔49が形成され、前述した髄内釘2のピン孔7及びピン孔8と同一直線上に位置して、サブピン6が挿入される部分となっている。
【0137】
ここで、必ずしも、セットスクリュー42が頭部44と、胴体部45から構成され、頭部44が胴体部45に対して回転自在に取り付けられる必要はない。例えば、頭部と胴体部を分離せずに一体化した構造も採用しうる。但し、上述したように、ピン孔48及びピン孔49の位置を変更することなくセットスクリュー42を所望の位置に取り付け、ピン孔同士を合わせる手間がなくなることから、セットスクリュー42が頭部44と、胴体部45から構成され、頭部44が胴体部45に対して回転自在に取り付けられることが好ましい。
【0138】
また、セットスクリュー42のピン孔48及びピン孔49の形状は特に限定されるものではなく、サブピン6がまっすぐ挿入可能かつラグスクリュー5と略平行な位置にくるものとなっていれば充分である。
【0139】
セットスクリュー42は径大な張出部50を有し、その外周面上にネジ溝51が形成されている。ネジ溝51は、髄内釘2の内周面のネジ溝22と嵌合し、セットスクリュー42はネジ構造にて髄内釘2に固定される。また、張出部50は、髄内釘2の段差23に嵌合する。
【0140】
また、セットスクリュー42の中心には、長手方向にかけて貫通孔52が形成されている。貫通孔52は、エンドキャップ4の一部が挿入される部分となる。
【0141】
また、胴体部45の貫通孔52の一部にはタップ加工が施され、溝部53が設けられた構造となっている。この溝部53は専用のドライバーと嵌合可能な箇所であり、セットスクリュー42の頭部44と胴体部45に大きな外力が働き、頭部44及び胴体部45が分離してしまった場合にも、胴体部45を髄内釘2の内部から取り外すことが可能となる。
【0142】
即ち、セットスクリュー42によるラグスクリュー5の固定状態を解除できるものとなる。頭部44の内周面にも溝部54が形成され、通常の使用時は、この溝部54が用いられる。つまり、頭部44及び胴体部45が一体化したセットスクリュー42の髄内釘2に対する回転は、この溝部54と専用ドライバーとの嵌合及び回転によって行われる。
【0143】
図9(a)の下の図に示すように、セットスクリュー42の上方にワッシャー16が配置される。ワッシャー16は、セットスクリュー42の貫通孔14の外側への抜け落ちを抑える部材となる。
図9(b)に示すように、ワッシャー16は切れ目を有するリング状の部材で、エンドキャップ4の一部を囲繞可能な径に形成されている。
【0144】
また、ワッシャー16は髄内釘2の内周面の窪み25に配置されている(
図1参照)。窪み25はワッシャー16よりもやや大きめに形成され、ワッシャー16は余裕をもって嵌合するものとなる。
【0145】
髄内釘2の内周面において、セットスクリュー42固定用のネジ溝22とエンドキャップ固定用のネジ溝26との間に窪み25が位置している。即ち、髄内釘2の内周面では、ネジ溝が非連続に形成されたものとなっている。
【0146】
また、
図9(c)に示すように、頭部44は、短手方向の断面視で略ドーナツ状に形成されている。即ち、頭部44には、前述した第1の実施の形態の頭部35とは異なり、スリット39及びスリット40は形成されず、切れ目のない形状となっている。
【0147】
図10(a)〜(c)及び
図11を用いて、更に詳細な構造を説明する。
図10(a)に示す胴体部45の嵌合溝47における位置61の内径φDAと、
図10(b)に示す頭部44の位置62における外径φDBとの大きさは、φDA<φDBとなるように形成されている。上述したように、外径φDBを大きくすることで頭部44と胴体部45との間の摩擦抵抗力が高まり、頭部44が回転しにくいものとすることができる。この結果、セットスクリュー42の髄内釘2の内周面における位置が保持しやすいものとなる。
【0148】
また、セットスクリュー42は、頭部44の爪部63の構造が、上述したセットスクリュー3と異なっている。まず、セットスクリュー42の頭部44は6つの爪部63を有している。また、爪部63の厚み(符号t2)は上述した爪部57の厚み(符号t1)よりも薄く形成されている。更に、爪部63の長さ(符号h2)は上述した爪部57の長さ(符号h1)よりも長く形成されている。
【0149】
即ち、爪部63は爪部57と比べて、爪の枚数が増え、厚みが薄くなり、より長い構造となっている。これにより、爪部63の弾性がより一層高まり、頭部44と胴体部45との摩擦抵抗力を高めることができる。また、弾性力が向上したことで、頭部44と胴体部45を一体化した状態、即ち、爪部63を嵌合溝47に圧入した際に爪部63がへたりが生じにくいものとすることができる。
【0150】
また、胴体部45の嵌合溝47の凹部64と、頭部44の爪部63の先端形状は、爪部63が嵌合溝47に内装される方向にのみ進み進みやすい形状となっている。換言すれば、爪部63が凹部64から引き抜かれる方向、即ち、頭部44が胴体部45から抜け出る方向への動きが凹部64と爪部63の引っ掛かりにより規制されるものとなる。これにより、頭部44と胴体部45の嵌合状態が保持されるものとなる。
【0151】
図11に左側の図は頭部44の概略図、右側の図はC−C線における断面図である。
図11の右側の図に示す、頭部44の爪部63の角65の部分12箇所は面取りがなされている。これにより、胴体部45と爪部63の接触箇所における摺動かじりを低減する構造となっている。
【0152】
また、頭部44の溝部54は断面で略六角形の形状であり、頭部44の貫通孔52に沿って長手方向に形成されている。本部分が専用の六角ドライバーと嵌合する箇所であり、セットスクリュー42に回転動作を生じる部分となる。
【0153】
ここで、必ずしも、溝部54の断面が略六角形となる6本の溝で構成される必要はなく、セットスクリュー42を回転可能な構造となっていれば充分である。但し、ドライバーとの間で滑りが生じにくく、より確実にセットスクリューを回転させることができる点から、溝部54の断面が略六角形となる6本の溝で構成されることが好ましい。
【0154】
図9(d)には、胴体部45の構造を示している。前述したように、胴体部45には、溝部53が形成されている。本発明は上述したような第2の実施の形態の構造も採用しうる。
【0155】
上述したように、本発明の第2の実施の形態では、セットスクリューの頭部及び胴体部との間に摩擦抵抗力がより生じやすい構造となっており、髄内釘の内周面におけるセットスクリューの位置がより一層保持しやすいものとなっている。また、「スライディングを許容する固定」のセットスクリューを4分の1回転戻した状態において、セットスクリューの位置がより一層保持しやすくなっている。
【0156】
以上のように、本発明の骨接合具は、使用時の取扱い性に優れ、かつ、施術部位における骨片の回旋を充分に抑えることが可能なものとなっている。
本発明を適用した骨接合具の一例である骨接合具1は、髄内釘2と、セットスクリュー3と、エンドキャップ4を備えている。また、髄内釘2には、骨片に係合する係合部材として、ラグスクリュー5と、サブピン6が挿入されている。エンドキャップ4は、突出部27と、テーパ部28と、ネジ溝部29と、頭部30を有している。突出部27は、セットスクリュー3の貫通孔24に挿入可能な径であり、その先端は半球状に形成されている。この半球状の部分が、サブピン6の円柱状の外周面に接触し、サブピンを固定する。