特許第5961791号(P5961791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961791
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A63F7/02 308F
   A63F7/02 308H
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-120063(P2012-120063)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-244209(P2013-244209A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】久保 慶太
【審査官】 青▲柳▼ 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−332(JP,A)
【文献】 特開2006−149754(JP,A)
【文献】 特開2002−346067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を発射する発射装置を遊技領域の上部且つ側部に備え、
前記発射装置は、前記遊技領域の左右中央方向に向けて所定の傾斜角度で上り傾斜して設けられる発射レールと、該発射レールに載置された遊技球を保持する球保持部と、該球保持部に保持された遊技球を弾球する発射槌と、該発射槌を発射駆動する発射駆動手段と、該発射駆動手段を駆動制御する発射駆動制御手段と、遊技球を前記発射レールに載置可能に送出する球送り装置と、を備えた弾球遊技機において、
前記発射レールを駆動するレール駆動手段を備え、
前記発射レールは、レール駆動手段により駆動することで、前記所定の傾斜角度で上り傾斜した姿勢であって且つ載置された遊技球を前記球保持部により保持可能な第1状態と、前記載置された遊技球を前記遊技領域に自然落下させて送出する第2状態と、に変位可能であることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記レール駆動手段を駆動制御するレール駆動制御手段を備え、
レール駆動制御手段は、前記球送り装置により遊技球が送出されたことに基づいて前記発射駆動制御手段により発射駆動手段を駆動制御し、発射駆動手段により発射槌が発射駆動されたことに基づいて前記レール駆動手段を駆動することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、
前記発射レールは、上り傾斜上方の一端部にて該発射レールを遊技領域に対して平行に回動可能とする回転軸を備え、
前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態の傾斜角度が前記第1状態の前記所定の傾斜角度よりも急傾斜となると共に前記球保持部との間隙が遊技球の直径より大きくなることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、
前記発射レールは、上り傾斜下方の一端部にて該発射レールを遊技領域に対して平行に回動可能とする回転軸を備え、
前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態の傾斜角度が前記第1状態の前記所定の傾斜角度とは逆傾斜となることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、
前記発射レールは、一端部又は他端部にて該発射レールを遊技領域に対して垂直に回動可能とする回転軸を備え、
前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態としたとき、発射レールの上面部が前方に向かって下り傾斜となることを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射レールを具備してなる発射装置を備えた弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ機に代表される弾球遊技機では、遊技領域下方に設けられた発射装置から発射された遊技球を内レール及び外レールで構成される案内部材により遊技領域上部へと、比較的長い距離を誘導する構成が一般的であった。
これに対して、発射装置を遊技領域上部位置に配設することにより、案内部材による遊技球の誘導行程を短くすることで、遊技球と案内部材との摩擦を生じ難くし、遊技球をより安定して発射することが出来る遊技機(例えば、特許文献1)が考案されている。
この特許文献1に記載された遊技機のように、発射装置を遊技領域上部位置に配設した構成では、案内部材を短く(遊技球の誘導行程を短く)出来ることで、ファール球(発射後に遊技領域まで到達しない遊技球)の発生を低減させる効果も期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−298342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されるような発射装置を遊技領域上部位置に配設した遊技機であったとしても、ファール球の発生が完全に防止されるものではない。
したがって、ファール球が発生すると、発射レール(案内部材)の上に残留してしまい、更に球送り装置から次の遊技球が送出されることで、複数の遊技球による球突き状態(所謂「ジャムり」状態)が発生してしまう。一旦、球突き状態が起きると、発射動作により球突き状態にある複数の遊技球の全てを遊技領域に発射して一掃しない限り、球突き状態が解消されないか、或いは球突き状態が更に悪化することになる。
また、球突き状態はファール球の発生のみに起因するわけではなく、一旦遊技領域に進出してから戻ってくる戻り球の発生によっても起きる危険性がある。
そこで、ファール球や戻り球の発生に起因した球突き状態を確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1に記載の弾球遊技機は、遊技球を発射する発射装置を遊技領域の上部且つ側部に備え、前記発射装置は、前記遊技領域の左右中央方向に向けて所定の傾斜角度で上り傾斜して設けられる発射レールと、該発射レールに載置された遊技球を保持する球保持部と、該球保持部に保持された遊技球を弾球する発射槌と、該発射槌を発射駆動する発射駆動手段と、該発射駆動手段を駆動制御する発射駆動制御手段と、遊技球を前記発射レールに載置可能に送出する球送り装置と、を備えた弾球遊技機において、前記発射レールを駆動するレール駆動手段を備え、前記発射レールは、レール駆動手段により駆動することで、前記所定の傾斜角度で上り傾斜した姿勢であって且つ載置された遊技球を前記球保持部により保持可能な第1状態と、前記載置された遊技球を前記遊技領域に自然落下させて送出する第2状態と、に変位可能であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の弾球遊技機は、請求項1に記載の弾球遊技機において、前記レール駆動手段を駆動制御するレール駆動制御手段を備え、レール駆動制御手段は、前記球送り装置により遊技球が送出されたことに基づいて前記発射駆動制御手段により発射駆動手段を駆動制御し、発射駆動手段により発射槌が発射駆動されたことに基づいて前記レール駆動手段を駆動することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の弾球遊技機は、請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、前記発射レールは、上り傾斜上方の一端部にて該発射レールを遊技領域に対して平行に回動可能とする回転軸を備え、前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態の傾斜角度が前記第1状態の前記所定の傾斜角度よりも急傾斜となると共に前記球保持部との間隙が遊技球の直径より大きくなることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の弾球遊技機は、請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、前記発射レールは、上り傾斜下方の一端部にて該発射レールを遊技領域に対して平行に回動可能とする回転軸を備え、前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態の傾斜角度が前記第1状態の前記所定の傾斜角度とは逆傾斜となることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の弾球遊技機は、請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機において、前記発射レールは、一端部又は他端部にて該発射レールを遊技領域に対して垂直に回動可能とする回転軸を備え、前記レール駆動手段は、発射レールを回転駆動させて前記第2状態としたとき、発射レールの上面部が前方に向かって下り傾斜となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の遊技機によれば、第1状態にて球保持部が保持した遊技球を発射槌により発射し、第2状態にてファール球や戻り球の発生により発射レール上に載置された遊技球を、発射レール上から下方に自然落下させて排除することで、球突き状態を確実に防止することが出来る。
【0011】
また、レール駆動手段により第1状態と第2状態に変位することで、遊技球の発射を従来通り可能にしつつ、球突き状態の解消が可能となり、極めて安定した発射状態を実現できる。
【0012】
また、発射レール上から排除した遊技球は、下方に位置する遊技領域に送出(排出)することで、一旦、球送り装置により発射レール上に送り出された遊技球は、確実に遊技領域へ送り出すことが可能となる。これにより、球送り装置により送り出されたが遊技領域に進出しない遊技球、或いは進出したが戻ってきた遊技球、を処理する構成や制御を備える必要が無くなる。
【0013】
請求項2に記載の遊技機によれば、球送り装置による遊技球の送出、発射駆動手段の駆動、に続いてレール駆動制御手段によりレール駆動手段が駆動されて前記第1状態から第2状態へ変位して遊技球を遊技領域に送出し、再度、第1状態に復帰するように制御されることで、発射後の戻り球やファール球を確実に排除して、球突き状態を確実に解消する。
【0014】
また、1回の遊技球の保持及び発射駆動の後に、これに対応して遊技球の排出処理を実行するように制御するので、1回の発射毎に、確実に球突き状態の解消が可能となり、確実な球突き状態の防止が出来る。
【0015】
請求項3に記載の遊技機によれば、第2状態に変位して遊技球の直径より大きな間隙が球保持部と発射レールとの間に形成されることで、該間隙を遊技球が通過して排出が可能となり、球突き状態の防止が可能となる。
【0016】
また、第1状態よりも第2状態の傾斜角度が急傾斜となることで、発射レール上を流下している遊技球や球保持部で保持されている遊技球を、勢い良く排出することが可能となる。
【0017】
また、第2状態は、第1状態と同じく上り傾斜の姿勢であるが、急傾斜に変化するだけであるので、角度の変位が比較的小さくて済み、速やかな状態移行及び遊技球の排除が可能となる。
【0018】
また、第2状態となると、発射レールと球保持部との間隙が遊技球の直径より大きく形成されて遊技球が排出されるので、遊技球が球保持部にて保持されている場合には、速やかに排出することが出来る。
【0019】
また、球保持部と発射レールの下流端との間隙から遊技球が排出されることで、遊技領域の比較的に側部領域に向けて遊技球を送出することが出来、遊技球の流下経路として遊技領域の側部領域も無駄なく使用することが出来る。
【0020】
更に、正常な発射によって上述した側部領域への流下を促す流路を設けない場合には、該側部領域への流下は発射レールの第2状態への移行を起因とした排出にのみ可能となり、側部領域を狙った発射として故意に極めて弱い発射を行ってファール球を発生させるという、遊技者の技術介入の余地を創出することが出来る。
【0021】
請求項4に記載の遊技機によれば、第2状態に変位して第1状態の傾斜とは逆の傾斜、すなわち遊技領域の中央方向に向けての下り傾斜となることで、発射レール上を流下している遊技球や球保持部で保持されている遊技球を、排出することが可能となり、球突き状態の防止が可能となる。
【0022】
また、遊技領域の中央方向に向けて遊技球を排出するので、正常な発射状態に近い発射軌道を取ることが出来、ファール球や戻り球となってしまっても、概ね正常な発射と同等の発射状態とすることが出来る。
【0023】
請求項5に記載の遊技機によれば、第2状態に変位すると、発射レールの遊技球が載置される上面部が、手前側すなわち遊技者側に向けて下り傾斜することで遊技球を排除する。したがって、完全に発射レール上から排除されるまでに一定の流下を必要とせず、発射レール上の何れの位置に遊技球があっても、その位置から排除されることで、速やかな排除が行えることとなり、球突き状態の防止が可能となる。
【0024】
また、排除された遊技球が遊技領域の何れの位置に送出されるかは、第2状態に変位した際に、遊技球が発射レール上の何れの位置にあるか、によって不定となり、送出される遊技球の遊技領域における流下態様に係るバリエーションを豊富にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る実施例1のパチンコ機1の正面図
図2】本実施例の発射装置3の概略構成を示す正面図
図3】本実施例の可動発射レール15の作用を示す作用説明図
図4】本実施例の発射制御処理についてのフローチャート
図5】本発明に係る実施例2の発射装置3の概略構成を示す正面図
図6】本実施例の可動発射レール115の作用を示す作用説明図
図7】本発明に係る実施例3の発射装置3の概略構成を示す正面図
図8】本実施例の可動発射レール215の作用を示す作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0027】
図1は、本発明に係る実施例1のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、実施例1のパチンコ機1は、前面視略縦長矩形状に形成された本体を備え、該本体の左側方にはカードユニット5が設けられている。
詳述は避けるが、本実施例のパチンコ機1は封入式遊技機として構成されており、カードユニット5の所定のカード挿入口にICカード(プリペイドカード)が挿入されることにより、該ICカードに記憶された金額の範囲内で遊技球が持ち球として貸し出され、発射毎に持ち球数が減算され、賞球が発生すれば賞球数が持ち球数に加算されるように構成されている。そして、賞球や持ち球は、遊技者に払い出されることなく、本体内に封入されて内部を循環する構成となっている。遊技球の循環に関しては後述する。
【0028】
パチンコ機1の本体の略上半分の殆どの領域を占めるようにして略異型状の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の上部且つ左側部には、本発明の要部に係る発射装置3が設けられている。尚、発射装置3の下方には、遊技領域4が展開されるように構成されている。また、本体の下部且つ右側部には、発射装置3による遊技球の発射及び停止や、発射力を調整する発射ハンドル2が設けられている。
【0029】
発射ハンドル2の構成及び作用について説明する。発射ハンドル2は図示しないタッチスイッチ及び発射停止スイッチを具備してなり、遊技者により把持されて回動可能に構成されている。また、時計回りに回動させることで発射装置3による発射強度が強くなり、反時計回りに回動することで弱くなるよう構成されており、更に常時、反時計回りに向かって付勢されている。このように構成される発射ハンドル2を、把持することでタッチスイッチにより接触を感知させて、時計回りに回動させ且つ発射停止スイッチが操作されていないことを条件として、発射装置3は遊技球を遊技領域4に向けての発射を可能としている。
【0030】
本実施例の遊技領域4は、下レール10及び上レール11によって略異型状に区画形成された領域であり、図示しない遊技盤の前面部の領域で構成されている。
遊技領域4には、以下の各種装置が設けられている。
遊技領域4の略中央には略横長矩形状に形成されて、後述する始動口8への入賞に基づく特別図柄に対応した装飾図柄等の変動表示や、各種演出表示を実行する表示装置9が設けられている。
表示装置9の直下には、変動入賞装置で構成される本実施例の始動口8、次いで大入賞口12、更にその直下にアウト口6が設けられている。大入賞口12の左右側方には、入球により所定個数の賞球を発生させる入賞口が、それぞれ2個設けられている。また、遊技領域4の全域に亘って、遊技球の流下方向に影響を与える遊技釘kgが植設(一部のみ図示)されている。
【0031】
およそ上述したように構成される遊技領域4に向けて、発射ハンドル2の回動操作に基づいて発射装置3から遊技球が発射されると、発射された遊技球は、遊技釘kg等に接触しながら様々な経路を辿って遊技領域4を流下する。
流下する遊技球が始動口8に入球すると、入球に起因して特別図柄の当否乱数を抽出し、抽出した乱数が予め定められた大当り乱数と合致するか否かに応じて、特別図柄の変動表示を実行した後に大当り又はハズレに対応した図柄を確定表示する。上述した表示装置9には、特別図柄に対応した装飾図柄の変動表示及び確定表示等が実行される。
大当り図柄が表示されると、大入賞口12が、遊技球の入球可能な開放状態となり、当該開放状態を複数回だけ断続的に実行することで多くの入賞を発生可能とする大当り遊技状態が実行される。
入賞口7に遊技球が入球すると、所定数の賞球が発生する。
発射装置3から遊技領域4に発射された遊技球が、上述した始動口8、大入賞口12、及び入賞口7の、何れの装置にも入球しなかった場合、アウト口6に取り込まれる。
【0032】
上述したように本実施例のパチンコ機1は、封入式遊技機として構成されている。このため封入された遊技球は概ね以下のような循環経路を辿るように構成されている。
遊技領域4に送り出されて流下する遊技球は、上述した始動口8、大入賞口12、入賞口7の、及び、アウト口6の何れかに取り込まれ、本体内部に設けられた所定箇所に集積された後、球揚送装置(図示しない)によって発射装置3の近傍付近に設けられた球貯留装置(図示しない)まで揚送される。揚送され球貯留装置に貯留された遊技球は、発射装置3によって発射されて、再度遊技領域4を流下することで、循環可能な構成となっている。
【0033】
次に、本発明の要部である発射レールとしての可動発射レールを具備してなる発射装置3について、図2乃至図4を参照して説明する。
図2は、本実施例の発射装置3の概略構成を示す正面図である。
本実施例の発射装置3は、前面視略横長矩形のケース(箱)状に形成される。発射装置3のケース状筐体の、少なくとも右側面部には、発射された遊技球Bが遊技領域4に進出するための開口部(図示しない)が、また、下側面部の一部或いは全部は、後述する可動発射レールの可動によって排出された遊技球Bが下方の遊技領域4に送出されるための開口部或いは開口が開設されている。
【0034】
発射装置3は、内部に以下の構成を備える。
発射装置3は、外郭と略同形状の平板部で前後空間が区画されており、平板部の後面側には上述した球貯留装置から遊技球Bを取り込んで1個ずつ送出する球送り装置20が設けられている。平板部の前面側略中央には、球送り装置20からの遊技球Bが前方に向かって送出される略正方形状の球送出口21が開設されている。球送出口21の下方には、本発明の要部である可動発射レール15が設けられている。可動発射レール15については、後で詳述する。続いて球送出口21の左方には、略三角柱状に形成されて可動発射レール15と協働して遊技球Bを発射位置にて保持する球保持部材25を備える。また、球保持部材25の左上方には、球保持部材25により保持された遊技球Bを弾球して発射するための発射槌30が回動可能に枢設されて設けられている。可動発射レール15の右側方には、発射後に一旦遊技領域4に進出してから戻ってくる遊技球Bの逆行を阻止する球戻り防止片33を備えている。該球戻り防止片33は、発射後に遊技領域4に向かう遊技球Bの進行は阻止しないが、遊技領域4からの逆行は阻止可能に構成されている。更に、球保持部材25の下左方には、下レール11(図1参照)の上端部の一部が進入した状態で設けられており、同様に上レール11の左端部が発射装置3の右側部から左方向に向かって下り傾斜して進入して形成され、その端部が球保持部材25の右上部にて一体的に連結して構成されている。本実施例では一体的に連結した構成を例示しているが、別体で当接する構成であっても無論良い。
【0035】
発射槌30について詳述する。
本実施例の発射槌30は、断面略逆ヘ字状に形成されており、頂部近傍に回転軸を備え、回転軸を中心にして図示した状態から反時計回りに回動駆動することで、図示左下側部によって遊技球を弾球する。図示した状態は待機状態であり、該待機状態と発射状態とを反復継続して移行する。図示した2個のストッパにより、待機状態と発射状態が位置決め可能となっている。
また、発射槌30は、上述した回転軸を介して回転駆動のための回転駆動力を発生させる発射駆動手段としての発射ソレノイド(図示しない)を備え、該発射ソレノイドは発射駆動制御手段としての制御基板(図示しない)によって制御される。制御基板は、例えば図示しない発射制御装置の発射制御基板である。
【0036】
次に、可動発射レール15の構成について、詳述する。
本実施例の可動発射レール15は、図示上面部に遊技球Bの軌道を規制するためのV字状の溝部を左右方向に条設してなる。また、可動発射レール15は、略横長の柱状に形成されて、図示右方向、換言すれば遊技領域4の左右中央方向に向かって、所定の傾斜角度(例えば、15度)で上り傾斜した状態で構成されている。さらに、上り傾斜の上端部には、該可動発射レール15を遊技領域4の平面に対して平行に回転して駆動することが可能とするための可動発射レール回動軸16(図3参照)を備える。該可動発射レール回動軸16は、遊技領域4に対して略垂直に設けられている。更に、可動発射レール回動軸16の裏面側には、該可動発射レール回動軸16を介して可動発射レール15を回転駆動させるための駆動モータ17が設けられている。該駆動モータ17は、制御基板(図示しない)によって駆動制御されるように構成されている。制御基板は、例えば図示しない発射制御装置の発射制御基板である。
【0037】
図3を参照して、本実施例の可動発射レール15の作用について説明する。図3は、本実施例の可動発射レール15の作用を示す作用説明図であって、(A)は第1状態を、(B)は第2状態を示す。
図3(A)に示す本実施例の第1状態は、球送り装置20が遊技球Bを1個だけ球送出口から前方且つ下方にある可動発射レール15に向けて送出し、送出された遊技球Bが、可動発射レール15の上面部のV字状溝部に載置されると共に球保持部25によって、それ以上下り傾斜を流下不能に阻止されることで発射位置にて保持されて、発射槌30による弾球を待つ状態である。
第1状態では、球保持部材25の下部と、可動発射レール15の左側上部との間隙aの大きさが、遊技球Bの直径よりも小さく設定されていることにより、遊技球Bが一定の発射位置で保持可能となっている。
【0038】
本実施例では、第1状態において球保持部材25により保持された遊技球Bを発射槌30により弾球すると、駆動モータ17の回動力により可動発射レール15が、可動発射レール回動軸16を中心として、反時計回り(図示矢印方向)に回動して、図3(B)に示す本実施例の第2状態に変位する。第2状態では、第1状態の傾斜角度(例えば、15度)よりも急な勾配(例えば、45度)となるように構成されている。
【0039】
図3(B)に示す本実施例の第2状態は、第1状態で弾球された遊技球Bがファール球となって、可動発射レール15の上面部のV字状溝部に載置されている場合に、上述したように可動発射レール15が、可動発射レール回動軸16を中心として、反時計回り(図示矢印方向)に回動して、遊技球Bを可動発射レール15上から排除すると共に、排除した遊技球Bを発射装置3の下方に位置する遊技領域4に向けて送出する状態である。
第2状態では、球保持部材25の下部と、可動発射レール15の左側上部との間隙bの大きさが、遊技球Bの直径よりも大きく設定されていることにより、遊技球Bを図示左斜め下方に向けて排除可能となっている。
【0040】
次いで、図4を参照して本実施例の発射装置3に係る制御を一括して発射制御処理として概要を説明する。図4は、本実施例の発射制御処理についてのフローチャートである。
本実施例の発射制御処理が実行されると、先ず現状が発射可能な状態であるか否かを判断する(S10)。具体的には、タッチスイッチがON状態すなわち遊技者による接触が有るか否か、また、発射停止スイッチがOFF状態すなわち遊技者により発射停止スイッチが押下されていないか否か、さらに発射ハンドル2が所定の回転角度以上回動されているか否か、等を判断して、発射可能な状態であると判断したら(S10:yes)、S20へ移行し、発射可能な状態ではないと判断したら(S10:no)、リターンする。
S20では、球送り装置20が遊技球Bを1個だけ球送出口21から可動発射レール15の上面部に向けて送り出す処理を実行して、S30に移行する。
S30では、S20で送り出されて可動発射レール15の上面部に載置された後、傾斜を流下して球保持部材25によって発射位置にて保持された状態となったら、所定のタイミングで発射ソレノイドを駆動させることで発射槌30を回転駆動させて遊技球Bを弾球して発射する処理を実行する。
S40では、S30によって遊技球Bが発射された後、ファール球や戻り球が発生した場合に可動発射レール15上に残留して載置された遊技球Bを、可動発射レール15上から排除するための発射レール駆動処理が実行される。上述したように、駆動モータ17が回転駆動することで、可動発射レール回動軸16を動力伝達手段として、第1状態にある可動発射レール15を反時計回りに回転駆動して第2状態に変位させる。当該変位によって球保持部材25と可動発射レール15の左側端部が離隔して、間隙aが間隙bに増加することで、遊技球Bは間隙bから自然落下する。自然落下する遊技球Bは、発射装置3の下部の開口又は開口部から更に下方に位置する遊技領域4に向けて流出して送り出される。第2状態に変位した後、再度、駆動モータ17が逆の回転駆動を行うことで、第2状態にある可動発射レール15を時計回りに回転駆動して第1状態に変位して復帰させて処理を終了する。
【0041】
本実施例の発射制御処理では、S20の球送出処理、S30の発射槌駆動処理、及びS40の発射レール駆動処理を、当該順序に従って実行するようにする。また、少なくとも、S30の発射槌駆動処理、及びS40の発射レール駆動処理は、1つのセットとして、すなわちS30を実行した場合には必ずS40を実行するように構成し、これにより毎回の発射処理の後には可動発射レール15上の遊技球Bを排除して、球突き状態を確実に防止する。
【0042】
また、S20の球送出処理の実行後に所定の遅延時間Aを設定して、遅延時間A経過後にS30の発射槌駆動処理を実行するように制御している。これにより、送出処理により送出された遊技球Bが確実に発射位置に保持された状態で発射を待機することで、安定した発射状態を維持することが可能となっている。
同様に、S30の発射槌駆動処理の実行後に所定の遅延時間Bを設定して、遅延時間B経過後にS40の発射レール駆動処理を実行するように制御している。これにより、発射された遊技球Bが確実に遊技領域4に進出した後に、可動発射レール15の駆動が実行される。このため、可動発射レール15の駆動が、発射槌30の駆動や、発射後の遊技球Bの進行を阻害せず、安定した発射状態を維持することが可能となっている。
【0043】
次に本発明の実施例2について説明する。尚、上述した実施例1と同様の構成である場合には同じ符号を付して説明を割愛し、相違点を中心に説明するものとする。
[実施例2]
【0044】
本実施例の発射装置3について、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、本実施例の発射装置3の概略構成を示す正面図である。
本実施例の発射装置3の基本構成は、上述した実施例1と略同様であり、本発明の発射レールに係る構成において相違する。以下、その構成及び作用について説明する。
【0045】
本実施例の可動発射レール115は、図示上面部に遊技球Bの軌道を規制するためのV字状の溝部を左右方向に条設してなる。また、可動発射レール115は、略横長の柱状に形成されて、図示右方向、換言すれば遊技領域4の左右中央方向に向かって、所定の傾斜角度(例えば、15度)で上り傾斜した状態で構成されている。さらに、上り傾斜の下端部には、該可動発射レール115を遊技領域4の平面に対して平行に回転して駆動することが可能とするための可動発射レール回動軸116(図6参照)を備える。該可動発射レール回動軸116は、遊技領域4に対して略垂直に設けられている。更に、可動発射レール回動軸116の裏面側には、該可動発射レール回動軸116を介して可動発射レール115を回転駆動させるための駆動モータ117が設けられている。該駆動モータ117は、制御基板(図示しない)によって駆動制御されるように構成されている。
【0046】
図6を参照して、本実施例の可動発射レール115の作用について説明する。図6は、本実施例の可動発射レール115の作用を示す作用説明図であって、(A)は第1状態を、(B)は第2状態を示す。
図6(A)に示す本実施例の第1状態は、球送り装置20が遊技球Bを1個だけ球送出口から前方且つ下方にある可動発射レール115に向けて送出し、送出された遊技球Bが、可動発射レール115の上面部のV字状溝部に載置されると共に球保持部25によって、それ以上下り傾斜を流下不能に阻止されることで発射位置にて保持されて、発射槌30による弾球を待つ状態である。
第1状態では、球保持部材25の下部と、可動発射レール115の左側上部との間隙(図示しない)の大きさが、遊技球Bの直径よりも小さく設定されていることにより、遊技球Bが一定の発射位置で保持可能となっている。
【0047】
本実施例では、第1状態において球保持部材25により保持された遊技球Bを発射槌30により弾球すると、駆動モータ117の回動力により可動発射レール115が、可動発射レール回動軸116を中心として、時計回り(図示矢印方向)に回動して、図6(B)に示す本実施例の第2状態に変位する。第2状態では、第1状態の傾斜角度(例えば、15度)とは逆の勾配(逆傾斜として、例えば、−45度)となるように構成されている。
上述した第1状態から第2状態への変位が行われるとき、球戻り防止片33を保持する球戻り防止片保持部材と可動発射レール115の右端部とが離隔していって、第2状態では図示したように間隙cが形成される。
【0048】
図3(B)に示す本実施例の第2状態は、第1状態で弾球された遊技球Bがファール球となって、可動発射レール115の上面部のV字状溝部に載置されている場合に、上述したように可動発射レール115が、可動発射レール回動軸116を中心として、時計回り(図示矢印方向)に回動して、遊技球Bを可動発射レール115上から排除すると共に、排除した遊技球Bを発射装置3の下方に位置する遊技領域4に向けて送出する状態である。
第2状態では、間隙cは、遊技球Bの直径より大きく設定されていることで、可動発射レール115の上面部に載置された遊技球Bは図示右斜め下方に向けて排除可能となっている。
【0049】
次に本発明の実施例3について説明する。尚、上述した実施例1と同様の構成である場合には同じ符号を付して説明を割愛し、相違点を中心に説明するものとする。
[実施例3]
【0050】
本実施例の発射装置3について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、本実施例の発射装置3の概略構成を示す正面図である。
本実施例の発射装置3の基本構成は、上述した実施例1と略同様であり、本発明の発射レールに係る構成において相違する。以下、その構成及び作用について説明する。
【0051】
本実施例の可動発射レール215は、図示上面部に遊技球Bの軌道を規制するためのV字状の溝部(図8参照)を左右方向に条設してなる。また、可動発射レール215は、略横長の柱状に形成されて、図示右方向、換言すれば遊技領域4の左右中央方向に向かって、所定の傾斜角度(例えば、15度)で上り傾斜した状態で構成されている。さらに、上り傾斜の下端部には、該可動発射レール215を遊技領域4の平面に対して垂直に回転して駆動することが可能とするための可動発射レール回動軸216(図8参照)を備える。該可動発射レール回動軸216は、前面視前記所定の傾斜角度で且つ遊技領域4に対して略平行な状態で、可動発射レール215の左側端面部に設けられている。更に、可動発射レール回動軸216の図示左側には、該可動発射レール回動軸216を介して可動発射レール215を回転駆動させるための駆動モータ217が設けられている。該駆動モータ217は、制御基板(図示しない)によって駆動制御されるように構成されている。
更に、本実施例では可動発射レール215が駆動する際に、可動発射レール215が干渉しないように可動発射レール駆動用凹部が設けられている。
【0052】
図8を参照して、本実施例の可動発射レール215の作用について説明する。図8は、本実施例の可動発射レール215の作用を示す作用説明図であって、(A)は第1状態を、(B)は第2状態を、概略正面図及び概略側面図で示す。
図8(A)に示す本実施例の第1状態は、球送り装置20が遊技球Bを1個だけ球送出口から前方且つ下方にある可動発射レール215に向けて送出し、送出された遊技球Bが、可動発射レール215の上面部のV字状溝部に載置されると共に球保持部25によって、それ以上下り傾斜を流下不能に阻止されることで発射位置にて保持されて、発射槌30による弾球を待つ状態である。
第1状態では、球保持部材25の下部と、可動発射レール215の左側上部との間隙(図示しない)の大きさが、遊技球Bの直径よりも小さく設定されていることにより、遊技球Bが一定の発射位置で保持可能となっている。
【0053】
本実施例では、第1状態において球保持部材25により保持された遊技球Bを発射槌30により弾球すると、駆動モータ217の回動力により可動発射レール215が、可動発射レール回動軸216を中心として、側面図で示す反時計回り(図示矢印方向)に回動して、図8(B)に示す本実施例の第2状態に変位する。第2状態では、側面図で示すように、可動発射レール215のV溝を備えた上面部が、前方(側面図では左方)すなわち遊技者側に向けて下り傾斜して、略対向する姿勢となるように構成されている。
上述した第1状態から第2状態への変位が行われるとき、可動発射レール215は、可動発射レール駆動用凹部内において、干渉せずに状態変位する。
【0054】
図8(B)に示す本実施例の第2状態は、第1状態で弾球された遊技球Bがファール球となって、可動発射レール215の上面部のV字状溝部に載置されている場合に、上述したように可動発射レール215が、可動発射レール回動軸216を中心として、側面図で示す反時計回り(図示矢印方向)に回動して、遊技球Bを可動発射レール215上から排除すると共に、排除した遊技球Bを発射装置3の下方に位置する遊技領域4に向けて送出する状態である。
第2状態では、可動発射レール215の上面部に載置された遊技球Bが何れの位置にあっても、当該位置から速やかに下方に向けて排除可能となっている。
【0055】
このように、本発明の各実施例によって、球突き状態を確実に防止する効果を奏することが出来ると共に、球突き状態が防止出来る効果から次のような効果も奏し得る。弾球遊技機が上述した各実施例のような封入式で構成される場合には、貸し球や賞球を遊技者に払い出す構成の通常の遊技機と違って、厳密にイン/アウト管理を行う必要が考えられる。このようなイン/アウト管理を行う上では、例えば球送り装置によって発射可能な位置に送出された段階や、発射された遊技球が遊技領域に進入した段階等でインと判断して、入賞口やアウト口に取り込まれた段階でアウトと判断する構成が考えられる。本発明によれば、球送り装置で送出された遊技球は、その後の発射処理後に発射レール上にファール球或いは戻り球として残留しても、第1状態から第2状態に変位することで遊技領域に送出することで、入賞口やアウト口に取り込まれるようになる。したがって、インと判断されたが、正常に遊技領域に進出出来なかった遊技球のための特別な処理或いは装置を備えずとも、全てを遊技領域へ送り出すことで、イン/アウト管理を容易にする効果も奏するものである。
【0056】
以上、本発明に係る各実施例を説明してきた。上述した実施例では、発射レール及び該発射レールを具備した発射装置を遊技領域の左上部に備えた例を示した。しかし、遊技領域側部から遊技領域の中央方向に向かって遊技球を弾球する構成であれば、遊技領域の上部の左側でも右側でも良い。更には、双方に設けても良い。
このように構成することで、パチンコ機の様々な遊技性や操作性を実現するに最も好適な位置に発射装置を備えることが出来、パチンコ機の遊技領域の構成を設計する上での自由度が増す。
【0057】
また、図4に説明した発射制御処理では、遅延時間Aや遅延時間Bを設定する構成を例示した。しかし、このような構成に限定せず、例えば発射レール上の遊技球或いは発射位置の遊技球を検出する検出手段を備えて、球送り装置から送り出された後に発射位置の遊技球の存否を検出して該検出結果に基づいて発射駆動処理を実行したり、発射駆動後に発射レール上の遊技球の存否を検出して該検出結果に基づいて発射レール駆動処理を実行するようにしてもよい。
このように構成することで、球送り装置から送出されて発射位置に保持されるまでの時間や、ファール球になって保持位置まで流下するまでの時間、或いは、遊技領域へ一旦進出してから戻り球として逆行してくる時間等、様々に時間が不定となる状態に対しても、遊技球の存否確認に基づいて各処理を実行するので、処理の確実性が向上する。
【0058】
また、レール駆動手段として、モータを採用した例を示したが、他の駆動手段でも良い。例えば、ロータリーソレノイド等でも良い。更に、実施例は、駆動手段と回転軸を直結した構成で示したが、他の伝達機構を介して構成しても良く、適宜、好適な構成を採用することが可能である。
【0059】
また、発射槌として、所定の回転軸を中心に回転駆動して遊技球を弾球するものを例示したが、これに限定するものではない。例えば、待機状態と弾球状態を直線的に往復運動する、所謂ピストン運動によって弾球する構成のもの等でも良い。
このような構成にすることで、比較的狭い設置空間であっても発射槌を容易に設けることが可能となる。
【0060】
また、そのようなピストン運動に因る発射を行う発射槌を備えた場合、発射槌の先端部が、発射後に上り傾斜した発射レールの上端部付近すなわち、上端部から少なくとも遊技球の半径より小さい寸法位置まで進出するように構成しても良い。
このように構成することで、発射レール上に残留した遊技球が発射直後に遊技領域に一掃され、更にその後で、発射レールが第2状態に移行して、確実に発射レール上の遊技球を排除することが可能となり、更に確実な球突き状態の防止を実現出来る。
【0061】
また、上述した実施例では何れも球戻り防止片を備えた構成であった。しかし、本発明では、球戻り防止片を備えない構成であっても良い。つまり、ファール球の発生に加えて、遊技領域からの戻り球の発生に対しても、本発明は効果を奏するものである。
【0062】
また、実施例3では、可動発射レール215を遊技者側に回転駆動する構成としたが、次のような変形例も考えられる。発射レールを、少なくとも発射装置に固定されて左右方向に横長に設けられてなる基体部と、該基体部の前面側すなわち遊技者側の左右方向に横長に設けられた可動壁部で構成し、基体部と可動壁部の当接部に遊技球の軌道を規制可能な溝部を条設し、第1状態から第2状態へ変位すると、可動壁部のみが遊技者側に傾倒して遊技球を下方の遊技領域に自然落下させる構成としても良い。このとき、可動壁部の遊技者とは反対側にて常時、遊技球を支持するよう構成しておくと尚好適である。
このように構成することで、可動壁部が前方に可動するのに合わせて遊技球は支持状態を維持しようとして速やかに前方且つ下方に自然落下するため、発射レール自体を回動変位させる場合よりも迅速な遊技球の排除が可能となる。
【0063】
さらに、上述した実施例では、弾球遊技機として代表的なパチンコ機を例示した。しかし、これに限定することはなく、発射レールを具備してなる発射装置を備える弾球遊技機であれば、アレンジボール遊技機や、じゃん球遊技機等の他の遊技機であっても良い。
【0064】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0065】
可動発射レール15、115、及び215が、発射レールに相当する。
球保持部材25が、球保持部に相当する。
発射ソレノイドが、発射駆動手段に相当し、制御基板が、発射駆動制御手段及びレール駆動制御手段に相当する。
【0066】
また、可動発射レール回動軸16、116、及び216が、回転軸に相当する。
また、駆動モータ17、117、及び217が、レール駆動手段に相当する。
【符号の説明】
【0067】
1: パチンコ機(弾球遊技機)
3: 発射装置
4: 遊技領域
15、115、215: 可動発射レール(発射レール)
16、116、216: 可動発射レール回動軸(回転軸)
17、117、217: 駆動モータ(レール駆動手段)
20: 球送り装置
25: 球保持部材(球保持部)
30: 発射槌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8