特許第5961795号(P5961795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961795
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A63F7/02 308H
   A63F7/02 312A
   A63F7/02 301C
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-129704(P2012-129704)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-252285(P2013-252285A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】久保 慶太
(72)【発明者】
【氏名】千村 直彦
【審査官】 澤田 真治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−200268(JP,A)
【文献】 特開2006−255311(JP,A)
【文献】 特開平10−015157(JP,A)
【文献】 特開昭61−143083(JP,A)
【文献】 特開2004−148020(JP,A)
【文献】 特開2002−248220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域の上部に遊技球発射装置が設置された遊技機であって、
前記遊技球の発射力を遊技者の操作により調整する発射力調整手段と
発射される遊技球が載置される発射レールと、
該発射レールに遊技球を供給する球送り手段と、
発射レール上の遊技球を打撃して発射する打撃手段と、
を備え、
前記発射レールは発射方向に向かって下り勾配に設置されたものであり、
前記球送り手段により前記発射レールに供給された遊技球を、前記打撃手段による前記遊技球の打撃が可能な位置に保持する保持部を備え、
該保持部は、少なくとも前記発射方向に可撓性を有するものであり、保持している遊技球が前記打撃手段により打撃された際には、前記可撓性により前記保持部が発射方向に退避することにより、遊技球の移動経路が確保されて該遊技球が発射されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記退避が可能に前記保持部を支持する可動部と、
前記保持部による前記保持が可能な位置と不可能な位置の間で前記保持部を移動させる保持部移動部と、
を備え、
前記球送り手段により前記遊技球が前記発射レールに供給された後に、前記打撃手段が該遊技球を打撃し、該打撃の後、前記保持部移動部が前記可動部を前記保持の不可能な位置まで移動させ、次の遊技球が前記球送り手段により前記発射レールに供給される前に、前記保持部移動部が前記可動部を前記保持の可能な位置まで移動させる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技領域の上部に遊技球発射装置が設置された遊技機であって、
前記遊技球の発射力を遊技者の操作により調整する発射力調整手段と
発射される遊技球が載置される発射レールと、
該発射レールに遊技球を供給する球送り手段と、
発射レール上の遊技球を打撃して発射する打撃手段と、
を備え、
前記発射レールは発射方向に向かって下り勾配に設置されたものであり、
前記打撃手段は、前記発射レール上を前記下り勾配により転動中の遊技球を打撃するものであって、
該打撃手段による前記遊技球の打撃が不可能となる位置まで該遊技球が転動する前に、該打撃手段を駆動する打撃制御手段
を備えたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものであり、詳細には遊技領域の右上又は左上に発射装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技領域の左上に発射装置を備えた遊技機として、特許文献1に記したような遊技機が提案されている。このような構成にすることにより、発射された球が遊技領域に至る距離を短くすることができ、下方に発射装置が設けられた遊技機のように発射した球が戻ってくるといった状況の発生を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−200268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように構成しても、発射した球が戻ってくる可能性がある。特に封入式と呼ばれる、遊技機内で遊技球が循環する構成とした場合には、遊技者の持ち球の個数(実際にはデータ)を厳格に管理する必要がある(例えば、打撃した遊技球が遊技領域に達することなく発射位置などに戻ってきた場合、その遊技球はまだ使用可能な筈だが、「発射された」と遊技機に誤認識されて持ち球数がゼロになり、追加投資が必要になる可能性がある)。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、遊技領域の上部に発射装置を設けた遊技機において、戻り球を確実に防ぐことが可能な遊技球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明は、遊技領域の上部に遊技球発射装置が設置された遊技機であって、前記遊技球の発射力を遊技者の操作により調整する発射力調整手段と、発射される遊技球が載置される発射レールと、該発射レールに遊技球を供給する球送り手段と、発射レール上の遊技球を打撃して発射する打撃手段とを備え、前記発射レールは発射方向に向かって下り勾配に設置されたものであり、前記球送り手段により前記発射レールに供給された遊技球を、前記打撃手段による前記遊技球の打撃が可能な位置に保持する保持部を備え、該保持部は、少なくとも前記発射方向に可撓性を有するものであり、保持している遊技球が前記打撃手段により打撃された際には、前記可撓性により前記保持部が発射方向に退避することにより、遊技球の移動経路が確保されて該遊技球が発射されることを特徴とする。
【0006】
ここで可撓性とは、撓むことができるとか柔軟性があるという意味に限らず、保持部自体は剛体だが上から吊り下げられたり蝶番により軸支されたりすることにより、発射方向に退避可能な構成となっていて、該退避により遊技球の移動経路(発射経路)を確保可能な態様も含む。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記退避が可能に前記保持部を支持する可動部と、前記保持部による前記保持が可能な位置と不可能な位置の間で前記保持部を移動させる保持部移動部と、を備え、前記球送り手段により前記遊技球が前記発射レールに供給された後に、前記打撃手段が該遊技球を打撃し、該打撃の後、前記保持部移動部が前記可動部を前記保持が不可能な位置まで移動させ、次の遊技球が前記球送り手段により前記発射レールに供給される前に、前記保持部移動部が前記可動部を前記保持が可能な位置まで移動させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、遊技領域の上部に遊技球発射装置が設置された遊技機であって、前記遊技球の発射力を遊技者の操作により調整する発射力調整手段と、発射される遊技球が載置される発射レールと、該発射レールに遊技球を供給する球送り手段と、発射レール上の遊技球を打撃して発射する打撃手段とを備え、前記発射レールは発射方向に向かって下り勾配に設置されたものであり、前記打撃手段は、前記発射レール上を前記下り勾配により転動中の遊技球を打撃するものであって、該打撃手段による前記遊技球の打撃が不可能となる位置まで該遊技球が転動する前に、該打撃手段を駆動する打撃制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の遊技機によれば、保持部により遊技球が打撃位置に保持されるので、打撃位置が(後述の請求項3に比べて)安定し、確実に打撃動作を行なうことができる。なお、打撃時に保持部はそれ自身の可撓性により発射方向に退避するので、打撃を妨げない。また、発射力調整手段により遊技者が設定した発射力が弱すぎて、発射できなかった遊技球は、発射レールが発射方向に向かって下り勾配となっているため、発射レールにそって転動し、遊技領域に流出(発射)される。従って戻り球の数をゼロとすることができる。
【0010】
請求項2に記載の遊技機では、保持部が退避可能に可動部に支持されており、この可動部が保持部移動部により移動可能に構成されている。この保持部移動部により可動部は、保持部による保持が可能な位置と不可能な位置の間で移動される。そして球送り手段により遊技球が発射レールに供給された後に、打撃手段が遊技球を打撃し、打撃の後、保持部移動部が可動部を保持の不可能な位置まで移動させ、次の遊技球が球送り手段により発射レールに供給される前に、保持部移動部が可動部を保持の可能な位置まで移動させる。
このように構成された遊技機によれば、万が一、遊技球が発射されずに発射レール上に残った場合も、可動部が保持部移動部により移動されることにより、遊技球は発射レールの下り勾配により転動して発射されるので、戻り球をゼロにすることができる。
【0011】
請求項3に記載の遊技機では、発射力が小さ過ぎて打撃を受けなかった遊技球が存在しても、その遊技球は発射レールの下り勾配により転動して遊技領域に流出(発射)されるので、戻り球の数をゼロにすることができる。また、遊技球が発射レールから遊技領域に落下するので、発射装置の真下方向にも容易に遊技球を発射することができる。保持部が存在しないので、構成が簡素となり、保持部や可動部などの不具合による未発射が発生する虞もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1のパチンコ機50の正面図
図2】パチンコ機50の電気構成図
図3】発射装置3の正面図
図4】発射装置3の発射槌10が遊技球を打撃している様子を示す説明図
図5】発射制御基板84が、球送りソレノイド22に送信する駆動指令と、発射モーター11に送信する発射指令を示すタイミングチャート
図6】実施例2の発射装置3の正面図
図7】実施例3の発射装置3の正面図
図8】実施例3のパチンコ機50の電気構成図
図9】実施例3の発射制御基板84が、球送りソレノイド22に送信する駆動指令と、発射モーター11に送信する発射指令と、保持部駆動部49に送信する駆動指令を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0014】
図1に示すように、パチンコ機1は、本体の下方右側には発射ハンドル2が取り付けられており、該発射ハンドル2を時計回りに回動操作することによって本体左上の発射装置3が可動して、遊技球が遊技盤4に向けて発射される。
【0015】
詳細には説明しないが、パチンコ機1は封入式の遊技機であり、CRユニット5に挿入されたICカード(プリペイドカード)の金額の範囲内で遊技球が持ち球として貸し出され、遊技球が発射される毎に持球数が減算され、賞球があれば持球数に賞球数が加算される。なお、実際にはこの持ち球数はデータであり、例えば遊技者が当りを引き当てて実質1000個の賞球を得ても、パチンコ機1で用いられる遊技球の数が1000個増えるわけではなく、その遊技者の持ち球数を示すデータが1000個分増加する。
【0016】
そして実際の遊技球は、遊技者に払い出されることはなく、封入された遊技球が本体内を循環する。アウト口6から排出される遊技球又は入賞した遊技球は、図示しない揚送装置により発射装置3の近辺のタンクに貯留される。このように賞球の払い出しも持ち球の使用(発射)も、持ち球データを増減を行うことであり、実際の遊技球を遊技者に対して付与したり減数したりするわけではないが、従来の封入式でない遊技機に倣い、「賞球を払い出す」「持ち球を発射する」などと表現するものとする。
【0017】
遊技盤4には、発射された遊技球が入球したタイミングで当否乱数を抽出する始動口8が設けられている。始動口8は、盤面の垂直方向の中央、水平方向の中央近辺に設けられている。演出図柄表示装置9は液晶表示装置であり、遊技盤4の略中央に設けられ、抽出された当否乱数の当否結果を示す。演出図柄表示装置9の左方にはゲート7が設けられており、ここを遊技球が通過すると、図示しない普通図柄表示装置にて普通図柄が変動を開始し、該変動が終わって普通図柄が当り態様にて停止されると、普通電動役物12が短時間、開放して始動口8に入球し易い状態となる。遊技盤4面には、天釘Kg等の遊技釘が多数植設されている。始動口8の下方には大入賞口14が設けられており、始動口8への入球に起因して行なわれた抽選結果が当りの場合には、大当り遊技が開始され、所定回数、大入賞口14が開放される。なお、大入賞口14の左方に1個、右方に2個設けられているのは一般の入賞口31であり、ここに入球した場合には当否乱数の抽選も普通図柄の変動も行なわれず、賞球が遊技者に払い出されるのみである。
【0018】
パチンコ機1の本体の上方右側には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機1から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ26も設けられている。パチンコ機1の本体の下方左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、該演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置9に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。演出ボタン67の左には、球貸ボタン57、精算ボタン58及び精算表示装置25が備わっている。
【0019】
このパチンコ機50の電気的構成は、図2のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御基板84のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0020】
主制御装置80には、始動口8に入球した遊技球を検出する始動口スイッチ8a、ゲート7に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ7a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、入賞口31に入球した遊技球を検出する入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0021】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置15、及び普通図柄表示装置16の表示、普通図柄保留数表示装置17、及び特別図柄保留数表示装置18の点灯を制御する。なお、図示しなかったが特別図柄表示装置15、及び普通図柄表示装置16は、それぞれ7セグメント表示装置により構成され、普通図柄保留数表示装置17、及び特別図柄保留数表示装置18はそれぞれ4個のLEDにより構成されている。
【0022】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図2では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで普通電動役物12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0023】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じてCRユニット5に賞球データを生成させる。CRユニット5はICカードに持ち球データなどを書き込んだり読み出したりするためのICカードリーダライタ23(図2ではICカードR/Wと表記)を備えている。そしてCRユニット5はCRユニット端子板24を介して精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、球貸ボタン57、精算ボタン58が接続されている。
【0024】
また、払出制御基板は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御基板84に対して発射停止信号や球送り動作禁止コマンド等を送信する。
【0025】
発射制御基板84は球送りソレノイド22を制御して、遊技球を発射レール(後述)に送り込み、発射モーター11を制御して遊技球を遊技領域に発射する。なお、発射制御基板84には払出制御基板以外に発射ハンドル2の回動量を示すハンドルボリューム21からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ19から発射停止信号等が入力される。なお、ハンドルボリューム21は現在の発射ハンドル2の回動量の値(例えば発射ハンドル2が50度回動された、120度回動された等)を検出可能に構成されている。なお、タッチ信号が発射制御基板84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル2を触っていても遊技球は発射できないようになっている。また、持ち球データがゼロの場合も遊技球は発射できないようになっている。
【0026】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0027】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置9を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置9の画面に表示させる。
【0028】
図3は発射装置3の正面図である。なお、本図では発射槌10や発射レール34など一部の構成を透視して示している。遊技球の発射は、発射レール34に載置された遊技球を発射槌10が打撃することにより行なわれる。発射槌10は発射モーター11により駆動され、発射モーター11の回転軸周りに回動されることにより発射槌10の先端で、本図において遊技球の左端を打撃する。発射レール34の断面は浅いV字型をしている。このV字の窪みで遊技球の本図に垂直な方向の位置を規定している。発射レール34は右下がりに傾斜されており、この発射レール34に供給された遊技球は打撃を受けなくとも右方に転動し、発射装置3の外部、すなわち遊技盤4に放出される。発射槌10は、遊技球が発射レール34に供給されて間もなく、該遊技球が発射槌10の可動範囲から外れる前に遊技球を打撃することになる。
【0029】
符号13は発射レール34の奥方向に当該図面と平行に構成された壁面に形成された球送り穴であり、略長方形の孔となっている。符号33は前記壁面の奥方向に設けられ、遊技球を発射レール34に送る球送り部である。球送り部33は、位置Pを軸として揺動可能に構成されており、遊技球が丁度1個入る大きさの匚型の凹部43を備えている。球送り部33を揺動させるのが球送りソレノイド22(図2参照)であり、球送りソレノイド22が励磁されて、球送り部33の上部に設けられた鉄板(図示しない)を吸着することにより球送り部33を本図に示す姿勢から約20度上方へ揺動させる。球送り部33が上方へ揺動されると、本図の奥方向から手前へ供給された遊技球が、球送り部33の右側から凹部43へと入り込む。なお、この「入り込み」は、球送り部33の奥方向から行なわれるように構成し直してもよい。球送りソレノイド22の励磁が解けると、球送り部33が自重で下方へ揺動して本図に示す姿勢となる。すると球送り部33の凹部43と球送り穴13の位置が整合して、凹部43内の遊技球が球送り穴13をくぐって発射レール34に供給される。
【0030】
発射槌10が遊技球を打撃した瞬間の拡大図を図4に示す。実線で示した遊技球38は発射槌10で打撃されたときの位置を示し、2点鎖線で示した遊技球39は、球送り部33により発射レール34に供給された直後の位置を示す。但しこれらの遊技球38,39の位置はいずれも一例であり、遊技球39の位置は、球送り部33や遊技球自身の振動などの要因により僅かに変化する可能性があり、遊技球38の位置も、前記要因に加え、発射強度により変化する。例えば、本図に示した場合よりも発射力が大きければ(つまり発射ハンドル2の回動量が多ければ)、発射槌10が速い速度で揺動され、図4に示した位置よりもやや左の位置で打撃される。何れにせよ発射槌10による打撃は、発射レール34上を転動中の遊技球に対して行なわれることになる。本図は発射力が最小の場合を示しており、これよりも発射力が小さい場合は、発射槌10が遊技球に追いつく前に、遊技球が発射槌10の可動域よりも下流に転動していき、発射槌10は遊技球を打撃することができない。そして遊技球は重力により発射レール34を転動した勢いで発射装置3の外部へ出る(発射される)。
【0031】
図5に発射制御基板84が球送りソレノイド22に送信する駆動指令(上段のパルス波形)と、発射制御基板84が発射モーター11に送信する発射指令(下段のパルス波形)のタイミングチャートを示す。発射ハンドル2を回動させると、1分間に100回のペースで球送りソレノイド22に駆動指令が送信され、同じペースで発射モーター11に発射指令が送信される。つまり各指令は600msを周期として、発射制御基板84から送信される。両指令は図5に示すようにt1 sだけずれており、遊技球が発射レール34に送られてからt1 s経過してから発射槌10が揺動を開始する。これら各指令の送信タイミングは、発射制御基板84が備えるROM(Read Only Memory)に記録されており、発射ハンドル2の回動角度に依らず一定のタイミングとなっている。一方、摩擦や遊技球の振動などを無視すれば、発射レール34に供給された遊技球は一定速度で発射レール34上を転動していく。従って発射ハンドル2の回動角度が大きくなると、発射力を大きくすべく発射槌10の揺動速度が上がり、遊技球をより早い時点で打撃することになる。既述したように、発射ハンドル2の回動角度が小さ過ぎる場合は、発射槌10が遊技球に追いつく前に、遊技球が発射槌10の可動域外へ転動していき、発射槌10は遊技球を打撃することができない。
【0032】
このように構成された遊技機によれば、発射ハンドル2の回動角度が小さすぎて打撃を受けなかった遊技球が存在しても、その遊技球は発射レール34の下り勾配により転動して遊技領域に流出(発射)されるので、戻り球の数をゼロにすることができる。また、遊技球が発射レール34から遊技領域に落下するので、発射装置3の真下方向にも容易に遊技球を発射することができる。
【0033】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。球送り部33及び球送りソレノイド22が本発明の「球送り手段」に相当し、発射槌10及び発射モーター11が本発明の「打撃手段」に相当し、発射ハンドル2が本発明の「発射力調整手段」に相当し、発射制御基板84が本発明の「打撃制御手段」に相当する。
[実施例2]
【0034】
本発明の第2実施例について図6を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
【0035】
図6は第2実施例の発射装置3の正面図である。本実施例の発射装置3は、球送り部33により発射レール34に供給された遊技球を保持する保持部41を備えている。保持部41は柔軟性を有する合成樹脂にて形成された板状部材で、上方から垂らされた状態で固定されており、遊技球に下流方向から接することにより遊技球が打撃位置(発射槌10の可動域)から外れないように保持する。発射制御基板84が、球送りソレノイド22に送信する駆動指令、および発射モーター11に送信する発射指令のタイミングは、実施例1と同様である。
【0036】
発射槌10が揺動されると、遊技球が保持部41に保持されていることにより確実に遊技球を打撃する。すると、打撃された遊技球は保持部41を右方へ押しやって発射される。このとき、保持部41は自身の柔軟性により右方へめくれ上がり、遊技球が発射レール34上を走り去ると、保持部41は再び自身の柔軟性により、上方から垂らされた状態に戻る。そして球送り部33が揺動して次の遊技球が発射レール34に供給されると、再び本図に示すように保持部41にて遊技球を打撃位置に保持する。
【0037】
このように構成された遊技機によれば、遊技球は保持部41により打撃位置に保持されるので、発射槌10によって確実に打撃される。保持部41により遊技球の打撃位置が一定となるため、発射力が安定する(これに対し実施例1では、発射レール34上での遊技球の挙動などにより微妙に打撃位置が変化する可能性があり、たとえ発射ハンドル2の回動量が一定でも、同じ発射力で打撃できるとは限らない。なお、この課題に関しては、発射力を再調整することにより対応できる。実施例2によれば、この再調整の手間を軽減できる)。そして打撃された遊技球は、発射力が小さくても、発射レール34の下り勾配により転動して遊技領域に流出(発射)されるので、戻り球の数をゼロにすることができる。
[実施例3]
【0038】
本発明の第3実施例について図7〜9を用いて説明する。なお、本実施例は実施例2と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
【0039】
図7(a)は第3実施例の発射装置3の正面図である。本実施例の発射装置3は、保持部44が可動式となっている点が実施例2と異なる。保持部44は図7(b)に示すように軸Qまわりに揺動可能に構成された板状部材で、引っ張りバネ48により、その先端は矢印A方向に付勢されている。ただしその付勢力は遊技球を1個、やっと支えられる程度の弱さに設定されている。保持部44は引っ張りバネ48等とともにハウジング46に対して上下動される可動部47を構成している。可動部47が下降された様子を示すのが図7(a)及び図7(b)であり、この状態では実施例2と同様、発射レール34に供給された遊技球を打撃位置に保持する。可動部47が上昇された様子を示すのが図7(c)であり、この状態では発射レール34上に遊技球を保持することができない。仮に発射レール34上に遊技球があれば、発射レール34の下り勾配にそってその遊技球は転動し、遊技領域に流出(発射)される。
【0040】
可動部47の上下動は、発射制御基板84が保持部駆動部49(図8参照)に対して指令を送信することにより行なわれる。なお、保持部駆動部49は図7には示されていないが、可動部47の奥方向に配置された直動式のソレノイドであり、そのプランジャが発射制御基板84の指令により上下動することにより、可動部47も上下動される。図9に、発射制御基板84が球送りソレノイド22に送信する駆動指令(上段のパルス波形)と、発射制御基板84が発射モーター11に送信する発射指令(中段のパルス波形)と、発射制御基板84が保持部駆動部49に送信する駆動指令(下段のパルス波形)のタイミングチャートを示す。いずれの指令も発射ハンドル2を回動させると、600msを周期として発生される。
【0041】
まず球送り部33への駆動指令が発せられ、凹部43内の遊技球が発射レール34へと供給される。該供給された遊技球は、保持部44により発射レール34上の転動を阻止されて打撃位置に保持される。球送り部33への駆動指令からt2 s遅れて発射モーター11への駆動指令が発せられ、発射槌10が遊技球を打撃する。該打撃された遊技球は、保持部44の付勢力(図7(b)参照)に抗して保持部44を反時計回りに回動させ、発射レール34に沿って発射装置3外へと発射される。反時計回りに回動された保持部44は、保持していた遊技球が発射されると、引っ張りバネ48の弾性力により時計回りに回動し、図7(a)および図7(b)の姿勢に戻る。
【0042】
発射モーター11への駆動指令から更にt3 s遅れて保持部駆動部49への駆動指令が発せられ、可動部47と共に保持部44が上昇し、図7(c)の状態になる。なお、前記3種類の指令は互いに独立して発せられるものであり、球送り部33への駆動指令が発せられないと発射モーター11への駆動指令が発せられないとか、発射モーター11への駆動指令が発せられないと保持部駆動部49への駆動指令が発せられないといったことはない。t2,t3 といった値は各指令の時間差を示しているに過ぎない。従って、何らかの不具合で発射モーター11への駆動指令が発せられず、発射レール34上に遊技球が残ってしまった場合も、保持部駆動部49への駆動指令が発せられれば、発射レール34上の遊技球は可動部47が上昇することにより発射レール34上を転動し、遊技領域に流出(発射)される。発射槌10が動いたものの、何かの理由で発射レール34上に遊技球が残ってしまった場合も同様で、可動部47が上昇することにより発射レール34上の遊技球は、遊技領域に発射される。
【0043】
このように構成された遊技機によっても、遊技球は保持部44により打撃位置に保持されるので、発射槌10によって確実に打撃され、保持部44により遊技球の打撃位置が一定となるため、発射力が安定する。そして打撃された遊技球は、発射力が小さくても、発射レール34の下り勾配により転動して発射されるので、戻り球の数をゼロにすることができる。万が一、遊技球が発射されずに発射レール34上に残った場合も、可動部47と共に保持部44が上昇されることにより、遊技球は発射レール34の下り勾配により転動して発射されるので、戻り球の数をゼロにすることができる。なお、保持部駆動部49が本発明の「保持部移動部」に相当する。
[他の実施例]
【0044】
発射の動力源は発射モーター11であったが、他のアクチュエータ(例:ロータリーソレノイド、リニアソレノイド等)を用いても良い。保持部駆動部49は直動式のソレノイドであったが他のアクチュエータ(例:ロータリーソレノイド、モーター、シリンダ等)を用いても良い。球送り機構も、図3図6図7に示した以外の機構を採用して構わない。また、発射力は発射ハンドル2の回動角度により調整していたが、その他のレバーや、タッチパネルによる操作により発射力を調整する構成としてもよい。
【0045】
パチンコ機1は封入式と呼ばれるタイプの弾球遊技機であったが、これ以外の構成、例えば旧来よりある封入式ではない遊技機に対しても、発射装置3が遊技盤の上部にある遊技機であれば、本発明を同様に適用することができる。なお、発射装置3が遊技盤の上部右側にある場合には、遊技球は発射装置から左方へ発射されることになるので、発射装置3の構成を前記実施例とは左右対称またはこれに近い構成とすると良い。例えば発射レール34は、その傾き方向を左下がりに構成することになる。
【0046】
図5図9に示したタイミングチャートは発射制御基板84が指令を送信することにより実現されるものであったが、払出制御基板が指令を送信する構成としてもよい。その際には、タッチスイッチ28の検出信号などが発射制御基板84を介さずに直接、払出制御基板に入力されるように構成しても良い。そして払出制御基板が発射制御基板84に球送り指令を送信することを持って持ち球データを減算するようにしても良い。また、発射指令などのタイミングを発射ハンドル2の回動角度に応じて変更しても構わない。更に近接センサ(光学センサや超音波センサ)などの検知手段で発射レール34に遊技球が供給されたことを検出した上で持ち球データを減数するように構成しても良い。
【0047】
保持部は、図6に示した保持部41や図7に示した保持部44のような構成または機構のものでなくてもよい。例えば、保持部はハウジング46から暖簾のように吊り下げられたものでもよく、遊技球は保持部自体の重量により保持し、打撃されると、遊技球が保持部を押し上げるようにして発射される。この構成で発射が完了すると、保持部は再び自身の重量によりハウジング46から暖簾のように吊り下げられた状態となり、遊技球を保持可能となる。この構成では、保持部駆動部を備えない実施例2のような構成とすることができる。また、保持部41は第2実施例では合成樹脂製であったが、暖簾のように吊り下げられる構成にするならば、柔軟性をあまり有しない材料(例:金属、セラミックなど)により構成しても良い。また、発射レール34上に遊技球の直径よりも小さい窪みまたは孔を形成し、この窪みまたは孔に遊技球がはまり込むことにより打撃位置に遊技球を保持する構成としてもよい。この構成において打撃を行なうと、遊技球は該窪みまたは孔から離脱してから、発射レール34に沿って走行し、遊技領域へと発射されることになる。
【0048】
前記検知手段を利用して、保持部駆動部49への駆動指令を発する契機を次のように設定しても良い。すなわち、発射モーター11への駆動指令が発せられてから所定遅延時間後より、球送りソレノイド22への駆動指令が発せられるまでの期間において、前記検知手段による遊技球の検知があった場合に、保持部駆動部49への駆動指令を発する。こうすると、発射槌10に遊技球が打撃された場合には、発射レール34上には遊技球が存在しなくなるので、検知手段は遊技球を検知できない。なお、前記「所定遅延時間」としては、発射モーター11への駆動指令が発せられてから遊技球が打撃され、その遊技球が検知手段の検知可能範囲から離脱するまでの時間を想定している。このように構成すると、打撃による発射が行なわれた場合には可動部47が駆動されなくなり、可動部47の上下動の頻度を必要最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1:パチンコ機
2:発射ハンドル
3:発射装置
4:遊技盤
10:発射槌
11:発射モーター
12:普通電動役物
13:球送り穴
22:球送りソレノイド
33:球送り部
34:発射レール
41,44:保持部
47:可動部
49:保持部駆動部
80:主制御装置
81:払出制御装置
82:演出図柄制御装置
83:サブ統合制御装置
84:発射制御基板
87:ホールコンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9