特許第5961799号(P5961799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高尾の特許一覧

<>
  • 特許5961799-遊技機 図000002
  • 特許5961799-遊技機 図000003
  • 特許5961799-遊技機 図000004
  • 特許5961799-遊技機 図000005
  • 特許5961799-遊技機 図000006
  • 特許5961799-遊技機 図000007
  • 特許5961799-遊技機 図000008
  • 特許5961799-遊技機 図000009
  • 特許5961799-遊技機 図000010
  • 特許5961799-遊技機 図000011
  • 特許5961799-遊技機 図000012
  • 特許5961799-遊技機 図000013
  • 特許5961799-遊技機 図000014
  • 特許5961799-遊技機 図000015
  • 特許5961799-遊技機 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961799
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-241501(P2014-241501)
(22)【出願日】2014年11月28日
(62)【分割の表示】特願2010-252511(P2010-252511)の分割
【原出願日】2010年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-37753(P2015-37753A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】茨田 悦臣
(72)【発明者】
【氏名】有田 武
【審査官】 足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−004950(JP,A)
【文献】 特開2007−151951(JP,A)
【文献】 特開2005−334043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御装置に搭載されたCPUがプログラムに従って遊技の制御を行う遊技機において、
主制御装置のCPUは、
前記プログラムの命令により読取り可能なCPU固有の識別情報を記憶せしめた記憶手段と、
遊技機の電源投入後に、プログラムの命令によって前記識別情報を読取り、前記識別情報を出力せしめる出力手段と、
を備え、
前記主制御装置は、
前記識別情報の出力終了後に、遊技機外の外部機器による前記識別情報が正しいか否かを示す真贋判定の結果を受けると、該真贋判定の結果に基づいて、表示出力又は/および音声出力を制御するサブ制御装置へ向けて報知指示コマンドを送信し、
遊技機の電源投入後において遊技状態を初期状態にするRAMクリアの実行時に、前記真贋判定の結果として、前記識別情報が正しいことを指す結果を受けるまで前記プログラムにおける通常の遊技処理へと移行せず、前記識別情報の出力終了から所定時間が経過するまでの間に、前記識別情報が正しいことを指す前記真贋判定の結果を受信しないときはCPUを停止せしめ、
遊技機の電源投入後において前記RAMクリアの非実行時には、前記真贋判定の結果を受けるか否かにかかわらず前記プログラムにおける通常の遊技処理へと移行し、
前記サブ制御装置は、
電源投入から所定時間が経過するまでの間に、前記真贋判定の結果として、前記識別情報が正しいことを指す結果に基づく前記報知指示コマンドを受信しないときに異常報知を実行する報知手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やパチスロ機(回胴式遊技機)などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機やパチスロ機においては、遊技の制御を司る主制御装置内部で定期的に更新される乱数カウンタから始動入賞やレバー動作時に応じて乱数値を取得し、該乱数値に基づいて当否判定が行われ、判定結果が当選であれば、賞球やコインの獲得に有利な特別遊技に移行する構成である。
これに対して、一部の悪質な遊技者によって、前記特別遊技を不正に引き当てるために、主制御装置やそのCPUを前記当選の確率が高いものに交換する不正行為が行われている。
【0003】
従来の遊技機では、主制御装置やCPUの不正な交換に対して、遊技機用データ配信サーバと遊技機との間で、遊技機の主制御装置のCPUの識別情報を照合して、遊技機の正当性を確認することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−58306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、本来、ユーザー(遊技者や遊技場管理者)からの要求に応じて画像表示装置等に表示される演出内容等を変更する構成で、変更する演出内容のデータを遊技機用データ配信サーバから遊技機へ送信する際に、遊技機の正当性を確認するものである。従って、前記識別情報の照合処理はユーザーの要求時にのみ行われるので、照合処理を行う頻度が低く、主制御装置やCPUの不正交換を発見するのに充分とはいえない
【0007】
そこで本願発明は、前記事情に鑑み、主制御装置やCPUの不正交換を確実に発見できる遊技機を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
主制御装置に搭載されたCPUがプログラムに従って遊技の制御を行う遊技機において、
主制御装置のCPUは、
前記プログラムの命令により読取り可能なCPU固有の識別情報を記憶せしめた記憶手段と、
遊技機の電源投入後に、プログラムの命令によって前記識別情報を読取り、前記識別情報を出力せしめる出力手段と、
を備え、
前記主制御装置は、
前記識別情報の出力終了後に、遊技機外の外部機器による前記識別情報が正しいか否かを示す真贋判定の結果を受けると、該真贋判定の結果に基づいて、表示出力又は/および音声出力を制御するサブ制御装置へ向けて報知指示コマンドを送信し、
遊技機の電源投入後において遊技状態を初期状態にするRAMクリアの実行時に、前記真贋判定の結果として、前記識別情報が正しいことを指す結果を受けるまで前記プログラムにおける通常の遊技処理へと移行せず、前記識別情報の出力終了から所定時間が経過するまでの間に、前記識別情報が正しいことを指す前記真贋判定の結果を受信しないときはCPUを停止せしめ、
遊技機の電源投入後において前記RAMクリアの非実行時には、前記真贋判定の結果を受けるか否かにかかわらず前記プログラムにおける通常の遊技処理へと移行し、
前記サブ制御装置は、
電源投入から所定時間が経過するまでの間に、前記真贋判定の結果として、前記識別情報が正しいことを指す結果に基づく前記報知指示コマンドを受信しないときに異常報知を実行する報知手段を備えるように構成する。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、電源投入時に識別情報を機外へと出力する構成としたことで、機外に接続された外部機器にて早期に主制御装置やCPUの真贋を判断することが可能となり、不正行為の発見ができる。よって不正行為によって遊技場が被る被害を最小限に抑えることができる
【0011】
そして、電源投入後のRAMクリアの実行時には、機外の外部機器による真贋判定の結果を待つように構成し、識別情報の出力終了後に即座に通常の遊技処理を行うのではないため、機外の外部機器による処理時間のバラツキによって、主制御装置のCPUの動作開始(リセット信号の入力)から、プログラムの遊技用メインルーチン(通常の遊技処理)を実行するタイミングを変化させることができる。
【0013】
また、真贋判定の結果が明確でないとき又は識別情報が正しくないことが明確なときに
CPUを停止する構成としたので、不正行為が行われた可能性のある状態での遊技を不能
とし、損害の拡大を防ぐことができる。
また、真贋判定の結果が明確でないとき又は識別情報が正しくないことが明確なときに、異常報知を実行する構成としたので、不正行為の可能性が高い遊技機を判別することが可能となる。
また、電源投入後のRAMクリアの非実行時には、前記真贋判定の結果を受けるか否かにかかわらずプログラムにおける通常の遊技処理へと移行するため、遊技中に不意に瞬間的な停電時( 瞬停時) が発生しても、遊技の停止時間が短く遊技者に違和感を与えずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用した第1の実施形態の遊技機の正面図である。
図2】前記遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記遊技機の電気構成を示すブロック図である。
図4】前記遊技機の電源まわりの構成を示すブロック図である。
図5】前記遊技機の主制御装置で実行される電源投入処理1の制御内容を示すフローチャートである。
図6】前記主制御装置の作動を示すタイミングチャートである。
図7】前記主制御装置で実行される識別情報出力を示すタイミングチャートである。
図8】前記主制御装置で実行される継続処理1の制御内容を示すフローチャートである。
図9】前記主制御装置で実行される継続処理2の制御内容を示すフローチャートである。
図10】前記遊技機のサブ制御装置で実行される不正報知処理1の制御内容を示すフローチャートである。
図11】本発明を適用した第2の実施形態の遊技機の主制御装置で実行される電源投入処理2の制御内容を示すフローチャートである。
図12】本発明を適用した第3の実施形態の遊技機の主制御装置で実行される継続処理3の制御内容を示すフローチャートである。
図13】本発明を適用した第4の実施形態の遊技機の電気構成を示すブロック図である。
図14】前記遊技機の主制御装置で実行される継続処理4の制御内容を示すフローチャートである。
図15】前記遊技機のサブ制御装置で実行される不正報知処理2の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を適用した遊技機たるパチンコ機を説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造としてある。
外枠51には、左側の上下の位置に設けたヒンジ53を介して、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および後述の内枠が開閉可能に設けてある。
前枠52の板ガラス61の奥には前記内枠に保持された遊技盤10(図2)が設けてある。
【0020】
前枠52の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ66が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠52には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
前枠52の下半部には上皿55と下皿63とが形成してある。下皿63の右側には発射ハンドル64が設けてあり、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤10に向けて発射される。
【0021】
下皿63は上皿55から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。
【0022】
本パチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には上皿55の右側に貸出ボタン57、精算ボタン58および残高表示器59が設けてある。また上皿55の中央部には演出ボタン67とその外周を囲むジョグダイヤル68が設けてある。
尚、図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠52を開放する。
【0023】
図2に示すように、遊技盤10には外レール11と内レール12とによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その中央部から右半部を覆うように大型のセンターケース14が装着されている。センターケース14は中央に演出図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。またセンターケース14には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
センターケース14の左側には普通図柄の始動ゲート(通過口)21と、その下方に風車20が設置されている。
【0024】
センターケース14の直下には第1の特別図柄始動口22Aがあり、その直下位置にはチューリップ式普通電動役物からなる第2の特別図柄の始動口22Bが設置されている。
【0025】
第1の特別図柄始動口22Aは第1の特別図柄(単に第1特図という)の抽選を実行する始動口である。第1特図始動口22Aは上方へ向けて開放し、常時、遊技球が入球可能な入球口(入賞口)であり、第1特図始動口22Aに遊技球が入球すると大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数などの複数種類の乱数が抽出され、第1特図の保留記憶として記憶される。
【0026】
第2の特別図柄始動口22Bは第2の特別図柄(単に第2特図という)の抽選を実行する始動口である。第2特図始動口22Bの普通電動役物(単に普電役物という)は、遊技球が始動ゲート21を通過したことに起因して実行される普通図柄(単に普図という)の抽選で当りとなると所定の時間開放する。そして、第2特図始動口22Bに遊技球が入球すると大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数などの複数種類の乱数が抽出され、第2特図の保留記憶として記憶される。第1特図および第2特図の保留記憶に基づいて大当りか否かの当否抽選が実行される。
【0027】
第1および第2特図始動口22A,22Bの左側位置には複数の普通入賞口24が配されている。また、第2特図始動口22Bの下方には、通常、開閉板にて閉鎖され、前記第1および第2特図の当否抽選で当りのときに開放される大入賞口25が配されている。大入賞口25の開放時には多数の賞球の獲得が期待できる。大入賞口25の下方の盤面最下部にはアウト口28が設けられている。
尚、遊技盤10の遊技領域13には、多数の遊技釘が植設されている。
【0028】
また遊技盤10の右下端部には、レール12の外部に、第1特図表示装置、16A、第2特図表示装置16B、第1特図保留数表示装置17A、第2特図保留数表示装置17B、普通図柄表示装置18、普図保留数表示装置19が設けてある。
【0029】
図3は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83および発射制御装置84においては、詳細の図示は省略するが、これらの制御装置は何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0030】
主制御装置80は、そのCPUが、搭載されたROMに書込まれているユーザープログラムを実行し、これに従って遊技を実行するものである。
主制御装置80のCPUには、CPUを判別するための固有の識別情報(所謂、ユニークID)が記憶されている。該ユニークIDは、前記ROMのユーザープログラムを書込む領域とは異なる領域(特許請求範囲に記載の記憶手段に相当)に記憶されている。ユニークIDは、前記ユーザープログラムの要求に応じて読取り可能である。このように読取ったユニークIDを照合して、不正な交換がなされていないかと言った不正行為の発見、防止に使用される。
また、CPUにはユニークIDとは別に、ユーザープログラムの命令では読取り不可能であり、専用機器により読取り照合させるIDナンバーを有する。
【0031】
主制御装置80は、裏配線中継端子板および外部接続端子板78を介してパチンコ機外で遊技施設の外部機器90と電気的に接続される。これにより主制御装置80から外部機器90へ前記ユニークIDの送信が可能としてある。また外部機器90には送信されたユニークIDの真贋を判定する機能が設けられている。そして、該真贋の判定信号を主制御装置80が受信するように構成してある。尚、本実施形態では外部機器90としては、ホールコンピュータ(管理PC)で構成するのが好適であるが、この他に、台間機(CRユニット、現金ユニット)、特図の変動回数や大当たり回数を表示する情報表示器などで構成してもよい。
【0032】
主制御装置80には、裏配線中継端子板や遊技盤中継端子板を介して、前枠(ガラス枠)52および内枠70が開放しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)、内枠開放SW、第1特図始動口22Aへの入球を検出する第1始動口SW、第2特図始動口22Bへの入球を検出する第2始動口SW、普図始動ゲート21への入球を検出する普図始動SW、大入賞口25への入球を検出するカウントSW、普通入賞口24への入賞球を検出する左入賞口SW等の検出信号が入力される。
【0033】
このように構成された主制御装置80は、前記ユーザープログラムに従って動作して、前記の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81や、演出中継端子板を介してサブ制御装置たるサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82にコマンドを出力し、図柄表示装置中継端子板を介して第1および第2特図表示装置16A,16B、第1および第2特図保留数表示装置17A,17B、普通図柄表示装置18および普図保留数表示装置19の表示制御を行なう。
主制御装置80は、大入賞口25の開閉駆動する大入賞口ソレノイドを制御して大入賞口を開放作動せしめる。また第2特図始動口22Bを開閉する普電役物ソレノイドの作動を制御する。
【0034】
払出制御装置81は、球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW等の検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータを稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニットと電気的に接続され、精算表示装置59を介して球貸および精算SW57,58による貸出要求、精算要求の操作信号に基づいて、CRユニットから出力される貸出要求信号に応じて払出モータを稼働させて貸球を払い出し、CRユニットに払出完了信号を出力する。CRユニットは、球貸および精算SW57,58による貸出要求、精算要求の操作信号および払出制御装置81からの払出完了信号に基づいて、挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0035】
発射制御装置84は、発射停止SW、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW等の検出信号が入力される。払出制御装置81や、払出制御装置81を介して主制御装置80から送られてくるコマンド(エラーや遊技状態等の遊技状況を反映している)、タッチSWの信号、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータを制御して遊技球を発射および停止させ、タッチランプの点灯を制御する。
【0036】
サブ統合制御装置83は、音量調節SWや演出ボタン67、ジョグダイヤル68などの検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて、スピーカ66を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ65の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する擬似演出や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0037】
演出図柄制御装置82は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置15を構成している。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0038】
図4は電源基板87と主制御装置80の間の給電および信号系を示す。電源基板87は、パチンコ店側に設けられたAC24V電源を、電源スイッチ871を介して電源生成回路872が受けており、電源生成回路872が主制御装置80および他の制御装置へ給電する。
【0039】
電源生成回路872における全波24V出力は電源電圧監視回路873に入力し、電源電圧監視回路873による全波24V出力の有無の検出結果に基づいてリセット信号の出力もしくは解除を行う。すなわち、電源電圧監視回路873は所定の基準電圧以下の非出力状態が所定の時間、継続すれば全波24V出力停止と判断し、該判断に応じてリセット信号を出力する。一方、全波24V出力が開始されるとリセット信号は解除される。ここで、リセット信号の出力とはローレベルの信号を出力することであり、解除とはローレベルからハイレベルに変化することをいう。
リセット信号出力は主制御装置80の遅延回路を介してCPU801のリセット端子に出力される。これによりリセット信号の解除に所定の遅延時間が設けられる。
【0040】
電源基板87は、電源電圧監視回路873の判断に基づいて停電等の電源遮断時に停電信号を生成し、主制御装置80および他の制御装置のCPU801のNMI端子に出力するようになっている。停電信号は電源遮断に伴ってハイレベルからローレベルに変化する信号であり、リセット信号が出力するに先立って出力するように出力タイミングが設定されている。尚、前記停電信号は、主制御装置80や他の制御装置の入力ポートを介してCPUに入力される構成でもよい。
【0041】
また、電源基板87は、コンデンサを含み構成されたバックアップ電源生成回路878によりDC5Vのバックアップ電源(VBB)を生成する構成となっており、バックアップ電源(VBB)出力は主制御装置80および他の制御装置のCPU801のバックアップ端子(VBB)に出力され、停電時には主制御装置80のCPU801のRAMおよび他の制御装置のRAMの記憶内容を保持する。
【0042】
電源基板87はまた、RAMクリアスイッチ874を備えている。RAMクリアスイッチ874は主制御装置80のCPU801のRAMおよび他の制御装置のRAMに記憶されている内容をクリアするために設けられる。
【0043】
RAMクリアスイッチ874には押下時のみオンする押し釦タイプのものが用いられ、前記リセット信号の解除時にRAMクリアスイッチ874がオンであれば、ハイレベルの信号であるRAMクリア信号を主制御装置80および他の制御装置の入力ポートに一定時間、出力する。すなわち、RAMクリア信号はリセット信号が解除される電源投入時のみ出力される。ここで電源スイッチ871のオンからリセット信号解除までの遅延時間は例えば100msに設定され、RAMクリア信号を発生せしめるにはRAMクリアスイッチ874を押下しながら電源スイッチ871をオンすることになる。
【0044】
本パチンコ機50の電源投入時の処理について説明する。図5に主制御装置80のCPU801の電源投入時の概略制御のフローチャートを示す。セキュリティチェックが完了し内蔵RAMへのアクセスが許可されると(S100)、前記RAMクリアスイッチが操作されてRAMクリア信号がオンか否かの確認(S101)、電源遮断前のRAMの記憶内容が正確にバックアップされたことを示すバックアップフラグがオンか否かの確認(S102)に基づき、パチンコ機50を初期状態から起動するか、電源遮断前の状態から起動するかを判断する。
【0045】
先ず、S101の処理でRAMクリア信号がオンである場合は(S101:yes)、パチンコ機50を初期状態から起動するとの判断がなされる。またRAMクリア信号はオフ(S101:no)でもバックアップフラグがオフの場合(S102:no)には、何らかの原因でRAMの内容が壊れているので遊技状態を電源遮断前に戻すことが不可能となるのでパチンコ機50を初期状態から起動するとの判断がなされる。
【0046】
パチンコ機50を電源遮断前の状態から起動するRAMクリア時は、続くS103の処理において前記ユニークIDを読取り、更にS104の処理において読取ったユニークIDが外部接続端子78を介してパチンコ機50の機外の外部機器90へ送信される。この処理では、ユニークIDとともに、RAMクリアを伴う電源投入であることを外部機器90に知らせる。その際、RAMクリアを伴う電源投入であるか、バックアップを伴う電源投入であるかを判別可能であれば良く、例えば、ユニークIDの信号の先頭、又は後尾にRAMクリアを伴う電源投入である旨を示す信号を設けておくことが望ましい。
次に前記ユニークIDの送信が終了したか確認し(S105)、送信が終了したことが確認されれば(S105:yes)、続くS106の処理において継続処理1へ移行する。この場合、継続処理1へ移行するまでにユニークID送信時間分の待ち時間が設けられることとなる。
【0047】
一方、S102の処理においてバックアップフラグがオンの場合は(S102:yes)、パチンコ機50を電源遮断前の状態に戻して起動するとの判断がなされる。電源遮断前の状態に戻して起動するバックアップ時は、続くS110の処理においてユニークIDの読取り、更にS111の処理において読取ったユニークIDが外部機器90へ送信される。この処理では、ユニークIDとともに、バックアップを伴う電源投入であることを外部機器90に知らせる。その際、RAMクリアを伴う電源投入であるか、バックアップを伴う電源投入であるかを判別可能であれば良く、例えば、ユニークIDの信号の先頭、又は後尾にバックアップを伴う電源投入である旨を示す信号を設けておくことが望ましい。
次に前記ユニークIDの送信が開始されたか確認し(S112)、送信開始が確認されれば(S112:yes)、続くS113の継続処理2へ移行する。この場合、継続処理2へ移行するまでにユニークID送信時間分の待ち時間は生じない。
【0048】
図6はRAMクリアにより初期状態から起動する場合と電源遮断前の遊技状態から起動する場合(バックアップ時)における主制御装置80の作動状態を示す。
図6(a)に示すように、RAMクリアスイッチを操作しながら電源を投入すると、電源投入からTa時間後にリセット信号が立ち上がり、更にTb時間後に主制御装置80のCPU801の作動が開始する。CPU801は作動後、前記S100、S101の処理で、内蔵RAMのアクセス許可を行い、RAMクリア信号を確認すると、ユニークIDを読取った後に、外部機器90へユニークIDを送信する。ユニークIDの送信が完了すると(Tc時間経過した後)、CPU801は継続処理を実行する。
一方、図6(b)に示すバックアップ時では、電源投入後、CPU801がユニークIDを読取ると、これを外部機器90へ送信開始するとともに、継続処理を実行する。
このようにバックアップ時では、ユニークIDの送信開始から継続処理の開始までに待ち時間が無いが、RAMクリア時にはユニークIDの送信開始から継続処理の開始までにユニークID送信時間(Tc時間)分の待ち時間がある。
【0049】
CPU801は、前記S104、S111の処理において外部機器90へユニークIDを送信する場合、ユニークIDの出力をデジタル信号のシリアル通信とし、ハイレベル信号(”1”信号)とローレベル信号(”0”信号)の出力時間を変えて出力する。例えば、図7に示すように、ハイレベル信号の出力時間を約100msecとして、ローレベル信号の出力時間を約50msecとする。
図7(a)に示すようにユニークIDが2バイトの74F6(H)の場合は出力時間(Tc時間)が約1.3秒となり、図7(b)に示すようにユニークIDが2バイトの8881(H)の場合は出力時間(Tc時間)が約1秒となる。このようにユニークIDの出力時間は、各パチンコ機ごとに異なることとなる。尚、一般的にユアユニークIDは4バイトのデータで構成される。
【0050】
RAMクリア時の前記「継続処理1」では、図8に示すように、外部機器90からの前記真贋判定の判定信号を受信したか否かを確認する(S200)。判定信号としては、ユニークIDが正しいもので主制御装置80およびCPU801が正規のものであると判断された正判定信号のみ、又はユニークIDが偽のもので主制御装置80およびCPU801が不正であると判断された不正判定信号のみが外部機器90から発信される構成でもよいし、正判定信号、不正判定信号の2種類が発信される構成でもよい。
判定信号を受信していれば(S200:yes)、判定信号はCPU801が正規のものであることを示す正判定信号であるか否かを確認する(S201)。正判定信号であれば(S201:yes)、スタックの設定処理(S202)、RAMの作業領域のクリア処理(S203)を実行し、作業領域を初期化する(S204)。続いて、サブ統合装置83を介して演出図柄制御装置82および演出図柄表示装置15へ、初期画面を表示する旨のコマンドを送信し(S205)、サブ統合装置83へ各種LED、ランプ等に初期装飾を表示すべき旨のコマンドを送信する(ステップS206)。以降、通常の遊技処理となる。
【0051】
尚、通常の遊技処理では、各種乱数の初期値乱数の更新を繰り返す残余処理、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号(INT信号)に起因してユーザープログラムの遊技用メインルーチン(本処理)が実行される。また、NMI信号(停電信号)に起因してユーザープログラムのバックアップルーチン(バックアップ処理)が実行される。
残余処理では、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの初期値乱数が更新される。
遊技用メインルーチンでは、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの更新処理、遊技球の各種入賞口への入球を確認する入賞確認処理、特図や普通図柄の当否抽選を行う当否判定処理、大入賞口や電動役物の駆動、画像、音声、ランプ類の制御等を指示する各出力処理、不正な入賞や不正な賞球などを監視する不正監視処理などが実行される。
バックアップルーチンでは、電源遮断前の遊技状態を記憶するためにRAMのバックアップを行う。
【0052】
前記S200の処理において判定信号を受信していなければ(S200:no)、外部機器90へのユニークIDの送信を終了してから予め設定された所定の待ち時間が経過したか否かを確認する(S210)。待ち時間が経過していなければ(S210:no)、S200の処理に戻る。待ち時間が経過している場合(S210:yes)、又は前記S201の処理において判定信号が正判定信号でない場合(S201:no)には、サブ統合装置83へ、CPU801が正規のものでない表示(不正報知)を演出図柄表示装置15等に表示させる旨のコマンドを送信し(S211)、CPU801の停止処理(S212)を実行する。CPU801の停止処理では、CPU自体が停止するのではなく、CPUがユーザープログラムの実行を停止するのである。停電などが発生してCPU801がNMI信号(停電信号)を受信すると、CPU801はRAMのバックアップ処理を行う。
尚、S211の処理で発信される不正報知コマンドには、RAMクリア時であることを示す信号を追加してサブ統合装置83に知らせる構成が望ましい。
また正判定信号を受信した時には(S201:yes)、サブ統合装置83へ、CPU801が正規のものであるコマンドを送信するように構成してもよい。
【0053】
バックアップ時の前記「継続処理2」では、図9に示すように、外部機器90からの前記真贋判定の判定信号を受信したか否かを確認する(S220)。判定信号としては、ユニークIDが正しいもので主制御装置80およびCPU801が正規のものであると判断された正判定信号のみ、又はユニークIDが偽のもので主制御装置80およびCPU801が不正であると判断された不正判定信号のみが外部機器90から発信される構成でもよいし、正判定信号、不正判定信号の2種類が発信される構成でもよい。
判定信号を受信していれば(S220:yes)、判定信号はCPU801が正規のものであることを示す正判定信号であるか否かを確認する(S221)。正判定信号であれば(S221:yes)、電源復帰時の処理が実行され(ステップS222)、バックアップされたパチンコ機の遊技状態を示す情報に基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開され、通常の遊技処理となる。ここでも「継続処理1」と同様に、各種乱数の初期値乱数の更新を繰り返す残余処理、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号(INT信号)に起因してユーザープログラムの遊技用メインルーチンが実行される。
【0054】
前記S220の処理において判定信号を受信していなければ(S220:no)、外部機器90へのユニークIDの送信を終了してから予め設定された所定の待ち時間が経過したか否かを確認する(S230)。待ち時間が経過していなければ(S230:no)、S220の処理に戻る。待ち時間が経過している場合(S230:yes)、又は前記S221の処理において判定信号が正判定信号でない場合(S221:no)には、サブ統合装置83へ、CPU801が正規のものでない表示(不正報知)を演出図柄表示装置15等に表示させる旨のコマンドを送信し(S231)、CPU801の停止処理(S232)を実行する。CPU801の停止処理では、CPU自体が停止するのではなく、CPUがユーザープログラムの実行を停止するのである。停電などでCPU801がNMI信号(停電信号)を受信すると、CPU801はRAMのバックアップ処理を行う。
尚、S231の処理で発信される不正報知コマンドには、バックアップ時であることを示す信号を追加してサブ統合装置83に知らせる構成が望ましい。
また正判定信号を受信した時には(S221:yes)、サブ統合装置83へ、CPU801が正規のものであるコマンドを送信するように構成してもよい。
【0055】
図10は電源投入時にサブ統合装置83が実行する「不正報知処理1」を示し、この処理では、先ず主制御装置80から不正報知コマンドを受信したか否かを確認する(S300)。コマンドを受信していなければ(S300:no)、パチンコ機の電源投入後にサブ統合装置83が作動してから予め設定された所定の待ち時間が経過したか否かを確認する(S301)。待ち時間が経過していなければ(S301:no)、S300の処理へ戻る。
【0056】
S300の処理において不正報知コマンドを受信していれば(S300:yes)、受信したコマンドが不正を報知させるものであるか否かを確認する(S302)。
S302の処理において不正を報知するコマンドである場合(S302:yes)、又はS301の処理において待ち時間が経過していれば(S301:yes)、演出図柄表示装置15等にCPU801が不正に交換されている可能性があることを表示(異常報知)させる処理を行う。
【0057】
本実施形態によれば、主制御装置80や主制御装置80のCPU801の不正交換を行う場合には、一旦電源を落とし、電源を再投入する必要がある。そこで、電源投入時にCPU固有のユニークIDを機外へと出力する構成としたことで、機外に接続された外部機器90にて早期にユニークIDの真贋を判定して主制御装置80やCPU801が不正に交換されていないか判断することが可能となり、不正行為の発見、防止すると言った効果を奏する。よって不正行為によって遊技場が被る被害を最小限に抑える。
【0058】
外部機器90へ送信するユニークIDの出力をデジタル信号のシリアル通信とし、ハイレベル信号とローレベル信号の出力時間を変えて出力する構成としたので、送信に要する時間を遊技機ごとに異ならせることができる。これにより、主制御装置80のCPU801への割り込みが許可されるタイミング(ユーザープログラムの遊技用メインルーチンを実行するタイミング)を変化させ、CPU801の動作開始(リセット信号の入力)から大当り判定用乱数などの乱数カウンタが大当り値となるまでのタイミングを変化させることができ、RAMクリア後に大当り値を狙い撃つ不正行為を困難にできる。
【0059】
また外部機器90からの真贋判定の判定信号を主制御装置80に入力する構成とし、RAMクリア時には、ユニークIDの出力終了後に即座に継続処理を行うのではなく判定信号を受信するまでは継続処理を実行しないため、外部機器90による処理時間のバラツキを利用して、主制御装置80のCPU801への割込みが許可されるタイミングを変化させ、CPU801の動作開始から大当り判定用乱数などの乱数カウンタが大当り値となるまでのタイミングを変化させることができ、RAMクリア後に大当り値を狙い撃つ不正行為を困難とすることができる。
【0060】
真贋判定の結果を待つ待ち時間が経過して判定結果が明確でないとき又はユニークIDが正しくないことが明確なときに、CPU801を停止する構成としたので、不正行為が行われた可能性のある状態での遊技を不能とし、不正行為による損害の拡大を防ぐことができる。
また、真贋が明確でないとき又はユニークIDが正しくないことが明確なときに、異常報知を実行する構成としたので、不正行為の発見、防止の効果を奏する。
【0061】
本実施形態において、前記「継続処理1」および「継続処理2」の不正報知コマンド送信処理(S211,S231)にいて不正報知コマンドを送信するときは不正報知フラグをセットするように構成することが望ましい。これは、その後のCPU停止処理(S212,S232)によりCPU801が停止し、電源が遮断されても、前記NMI信号(停電信号)によるバックアップで、不正報知フラグは記憶され、電源遮断前に異常報知がなされたことを記憶できる。
そして電源再投入時に不正報知フラグがセットされているときは、サブ統合装置83へ不正報知コマンドを再送信し、再度、異常報知をさせるように構成することが望ましい。
【0062】
また本実施形態において、前記「継続処理1」および「継続処理2」のCPU停止処理(S212,S232)によりCPU801が停止した場合であっても、電源を一旦遮断した後の電源再投入時に、正判定信号確認処理(S201,S221)にて肯定判定がなされたときには、正常に遊技が立ち上がる構成とする。この場合、前記不正報知フラグがセットされているときは、正判定信号の受信後に不正報知フラグをクリアする。このとき、不正報知フラグがセットされていることを条件に、サブ統合装置83に不正報知コマンドを送信するようにしてもよい。これによれば、パチンコ機と外部機器との単なる接続や接触の不良によってS210,S230で否定判定がなされてCPUが停止したとき、不正行為を行っていない遊技者に不利益を与える可能性があるが、電源の再投入により即座に復旧することができれば不利益を軽減でき、遊技者保護が図れる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のパチンコ機は、RAMクリア時は勿論、バックアップ時においてもユニークIDの送信終了を待ってから継続処理へ移行するように構成したもので、本パチンコ機の基本構成は前記第1の実施形態のそれとほぼ同じである。図11は本実施形態の主制御装置80で実行される「電源投入処理2」の制御内容を示し、前記「電源投入処理1」との相違点中心に説明する。
【0064】
「電源投入処理2」では、バックアップ時(S122:yes)、ユニークID読取り(S130)、および外部機器90へ送信(S131)後、ユニークIDの送信が終了したか確認し(S132)、送信が終了したことが確認されれば(S132:yes)、続くS133の処理で継続処理2へ移行する。この場合、継続処理2へ移行するまでにユニークID送信時間分の待ち時間が設けられることとなる。
【0065】
本実施形態によれば、瞬停時に遊技の停止期間が発生するものの、前記第1の実施形態と同様、不正行為の発見、防止の作用効果が得られる。またRAMクリア時およびパックアップ時のいずれの場合も、パチンコ機ごとに異なるユニークIDの送信完了待ちの待ち時間ができるので、これによりCPU801の動作開始(リセット信号の入力)から大当り判定用乱数などの乱数カウンタが大当り値となるまでのタイミングを変化させることができ、大当り値を狙い撃つ不正行為を防止することができる。
また、前記第1の実施形態と同様に、不正報知コマンドを送信するときは不正報知フラグをセットする構成、およびCPU801停止からの電源再投入によって正判定信号の確認がなされたときには遊技を正常に立ち上げる構成とすることが望ましい。
【0066】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。前記第1の実施形態のパチンコ機では、バックアップ時において、外部機器90によるユニークIDの真贋判定が不正判定の時にはCPU801を停止する構成であるが、主制御装置80やCPU801の不正交換を行ったときは必ずRAMクリアされると言った観点から、バックアップ時は不正行為ではないと言える。そこで本実施形態では、バックアップ時のCPU801の停止処理をなくして制御を簡素にしたものである。本実施形態のパチンコ機は前記第1の実施形態と同様の基本構成を具備し、「電源投入処理1」(図5)のS112の肯定判定の後、図12に示すようにバックアップ時の「継続処理3」に移行し、電源復帰時の処理が実行され(ステップS240)、バックアップされたパチンコ機の遊技状態を示す情報に基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開され、通常の遊技処理となる。ここでも「継続処理1」と同様に、各種乱数の初期値乱数の更新を繰り返す残余処理、2ms周期又は4ms周期のINT信号に起因してユーザープログラムの遊技用メインルーチンが実行される。また、NMI信号に起因してユーザープログラムのバックアップ処理が実行される。
【0067】
本実施形態によれば、前記第1の実施形態とほぼ同様、不正行為の発見、防止の作用効果が得られる上、バックアップ時の制御処理を簡素化できる。
バックアップ時にはユニークIDの出力待ち時間も外部機器90からの判定信号の待ち時間もなく、ユニークIDの送信開始(図5のS112の処理)から電源復帰時の処理を経てすぐに通常の遊技処理となるので、電源投入から通常の遊技処理を開始するまでの間に要する時間を短縮でき、遊技中に不意に瞬間的な停電(瞬停)が発生しても、遊技の停止時間が短く遊技者に違和感を与えずにすむ。
尚、第1の実施形態の「継続処理2」(図9)で実行されるユニークIDの真贋の判定信号の確認に関する処理S220,S221,S230〜S232を、本実施形態では「継続処理3」からの通常の遊技処理において実行するようにしてもよい。通常の遊技処理の残余処理又は/およびメインルーチンで判定信号が正しいか否かを判定することで、万が一にバックアップ時に不正があってもこれを発見することができる。
その際、S220およびS221は残余処理に設け、各種乱数の初期値乱数の更新の前又は後の処理とし、S230およびS231はメインルーチンに設けることが望ましい。また、S232に相当する処理としては、CPUを停止させることで遊技状態をバックアップすることができなくなるため、NMI信号(停電信号)が入力されるまで、メインルーチンの入賞確認処理、当否判定処理等を実行せず、遊技機としての実質的な遊技停止状態とすることが望ましい。
また、前記第1の実施形態と同様に、不正報知コマンドを送信するときは不正報知フラグをセットする構成、およびCPU801停止からの電源再投入によって正判定信号の確認がなされたときには遊技を正常に立ち上げる構成とすることが望ましい。
尚、本実施形態は前記第2の実施形態を基本構成としてもよい。
【0068】
図13ないし図15に従って、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態のパチンコ機は外部機器90の真贋判定の判定信号をサブ統合装置83で受信する構成である。そして、受信した判定信号においてユニークIDが偽のもので主制御装置80およびCPU801が不正であると判断された不正判定信号である場合に異常報知を行うようにした。本パチンコ機の基本構成は前記第1の実施形態のそれとほぼ同じで、以下に相違点を説明する。
【0069】
図13に示すように、本パチンコ機の電気的構成では、主制御装置80が裏配線中継端子板、外部接続端子板78を介して外部機器90と接続され、主制御装置80からユニークIDが外部機器90へ送信される。一方、外部機器90は外部接続端子板78を介してサブ統合装置83とも接続され、外部機器90で真贋判定された判定信号はサブ統合装置83が受信する構成としてある。
【0070】
本パチンコ機の電源投入時には、前記第1の実施形態と同様に「電源投入処理1」(図5)を実行し、S105の肯定判定の後、図14に示すようにRAMクリア時の「継続処理4」に移行する。この処理では、スタックの設定処理(S250)、RAMの作業領域のクリア処理(S251)を実行し、作業領域を初期化する(S252)。次いで、サブ統合装置83を介して演出図柄制御装置82および演出図柄表示装置15へ、初期画面を表示する旨のコマンドを送信し(S253)、サブ統合装置83へ各種LED、ランプ等に初期装飾を表示すべき旨のコマンドを送信する(ステップS254)。以降、通常の遊技処理となる。ここでも「継続処理1」と同様に、各種乱数の初期値乱数の更新を繰り返す残余処理、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号(INT信号)に起因してユーザープログラムの遊技用メインルーチンが実行される。
【0071】
一方、「電源投入処理1」(図5)のS112の肯定判定の後には、前記第3の実施形態と同様に、図12に示すようにバックアップ時の「継続処理3」に移行する。
【0072】
電源投入時、サブ統合装置83では、図15に示す「不正報知処理2」が実行される。「不正報知処理2」では、先ず外部機器90から真贋判定の判定信号を受信したか否かを確認する(S310)。判定信号としては、ユニークIDが正しいもので主制御装置80およびCPU801が正規のものであると判断された正判定信号のみ、又はユニークIDが偽のもので主制御装置80およびCPU801が不正であると判断された不正判定信号のみが外部機器90から発信される構成でもよいし、正判定信号、不正判定信号の2種類が発信される構成でもよい。
判定信号を受信していなければ(S310:no)、パチンコ機の電源投入後にサブ統合装置83が作動してから予め設定された所定の待ち時間が経過したか否かを確認する(S311)。待ち時間が経過していなければ(S311:no)、S310の処理へ戻る。
【0073】
S310の処理において判定信号を受信していれば(S310:yes)、受信した判定信号が不正判定信号であるか否かを確認する(S312)。
S312の処理において不正判定信号である場合(S312:yes)、又はS311の処理において待ち時間が経過していれば(S311:yes)、演出図柄表示装置15等にCPU801が不正に交換されている可能性があることを表示させる不正報知(異常報知)処理を行う。
尚、S310の処理で受信する判定信号には、RAMクリア時であること、またはバックアップ時であることを示す信号を追加してサブ統合装置83に知らせる構成が望ましい。
この場合、CPU801から外部機器90へ送信するユニークIDにRAMクリア時であること、またはバックアップ時であることを示す信号を追加して外部装置に知らせることが必要となる。
【0074】
本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様、不正行為の発見、防止の作用効果が発揮される上、サブ制御装置(サブ統合装置83)は、外部機器がユニークIDを受信して識別情報が正しいか否かの真贋判定を行った後に出力する判定信号を受信するようになし、かつサブ制御装置には、電源投入から所定時間が経過するまでの間に前記判定信号を受信しないとき、又は識別情報が正しくないことを指す判定信号を受信したときに異常報知を実行する構成としたので、異常報知を好適に行うことができる。そして異常報知により主制御装置80やCPU801が不正に交換された可能性が高いことを示すことができる。
また外部機器90からの信号の入力先が遊技機の遊技性能に影響がないサブ統合装置83であるため、主制御装置80に信号を入力する場合に比べて他の不正行為への安全性を高めることができる。
更にまた、仮に瞬停時に接触不良や断線等によって判定信号が正常に入力されなかった場合であっても、異常報知は実行されるが遊技機の遊技性能に影響はなく、遊技者に不利益を与えることはない。この場合には原因を排除し、電源再投入で元の遊技に復帰させることができ、遊技者保護が図れる。
【0075】
尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、パチンコ機に限らず、パチスロ機(回胴式遊技機)に適用してよい。
【符号の説明】
【0076】
50 パチンコ機(遊技機)
80 主制御装置(記憶手段、出力手段)
801 CPU
83 サブ制御装置(サブ統合装置、報知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15