特許第5961802号(P5961802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961802
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A63F7/02 315A
   A63F7/02 317
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-85218(P2012-85218)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-212321(P2013-212321A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】水野 博康
【審査官】 芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−118424(JP,A)
【文献】 特開2005−118425(JP,A)
【文献】 特開2006−239251(JP,A)
【文献】 特開2004−357759(JP,A)
【文献】 特開2006−15066(JP,A)
【文献】 特開2004−329306(JP,A)
【文献】 特開2008−212181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞することにより乱数を取得可能な始動口と、
前記乱数に基づいて当否判定を実行する当否判定手段とを備えた遊技機であって、
前記当否判定手段として、
大当りであるか判定する大当り判定手段と、
小当りであるか判定する小当り判定手段とを備え、
前記大当り判定手段の結果により大当りであると判定されると大当り遊技を実行する第1大当り遊技実行手段と、
前記小当り判定手段の結果により小当りであると判定されると小当り遊技を実行する小当り遊技実行手段と、
少なくとも小当り遊技時に開放され、内部に特定領域を備えた大入賞口と、
前記特定領域に遊技球が入球することにより、大当り遊技を実行させる第2大当り遊技実行手段と、
前記当否判定手段の結果を図柄により表示する図柄表示装置と、
を備えた遊技機において、
遊技者が操作可能な操作手段
該操作手段の操作によって可動する前記大入賞口内部に設けられた可動役物と、
前記大入賞口に入球した遊技球を前記可動役物方向に放出させる遊技球放出手段とを備え
前記遊技球放出手段は小当り遊技時に図柄表示装置に表示される図柄の種類により放出される遊技球の速度を変更させる放出速度変更手段を備え、
前記遊技球放出手段により放出させられた遊技球を、前記可動役物を可動させることで前記特定領域に導くことが可能とされたことを特徴とした遊技機。
【請求項2】
前記特定領域は大入賞口内に複数設けられており、
前記特定領域に入球することで計数する入球計数手段と、
第2大当り遊技実行手段は入球計数手段による計数が所定値に達すると大当り遊技を実行することを特徴とした請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記複数設けられた特定領域には前記入球計数手段により計数される値がそれぞれ異なる設定がされ、
該異なる設定がされた計数される値の合算値が前記所定値に達すると大当り遊技を実行することを特徴とした請求項2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小当り中に大入賞口内部に設けられた特定領域に入球することで大当り遊技が発生する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機では始動口への入賞に起因して当否判定用の乱数を取得し、その当否判定乱数を基に当否判定を実行する。また近年では当否判定に大当り判定と小当り判定があり、当否判定で大当りであれば遊技者に有利な大当り遊技へと移行させる遊技性と、小当りであれば小当り遊技に移行し、小当り遊技中に大入賞口内に設けられた特定領域に入球させることで大当り状態へと移行させる遊技性を兼ね備えた遊技機がある。
【0003】
しかしこのような遊技機においては、遊技球を発射しているだけにすぎず遊技者には面白みを与えづらいものがあった。
そこで、遊技機前面に設けられた操作手段を遊技者が操作することにより入賞装置内に設けられた可動部材を可動させることで遊技球の流れを変化させ、特定領域に入球させることで大当りを発生させる発明もなされている。
このような構成とすることで、遊技者は技量により大当りを発生させたことによる達成感を与えることが可能になるので遊技者に面白みを与えることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−239251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような遊技機とした場合においては、遊技球は所定のタイミングで可動物の方へ放出されるに過ぎないので、熟練した遊技者にはほぼ100%の確率で特定領域に導くことが出来てしまう恐れがある。
その結果、熟練した遊技者と熟練していない遊技者とで獲得出玉に差が付きすぎてしまい、熟練していない遊技者が遊技しづらい構成になりかねない。
そこで本発明は遊技者に技術介入による差別化を与えると共に、熟練した遊技者が有利になり過ぎない構成を付与することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1記載の遊技機は、入賞することにより乱数を取得可能な始動口と、前記乱数に基づいて当否判定を実行する当否判定手段とを備えた遊技機であって、前記当否判定手段として、大当りであるか判定する大当り判定手段と、小当りであるか判定する小当り判定手段とを備え、前記大当り判定手段の結果により大当りであると判定されると大当り遊技を実行する第1大当り遊技実行手段と、前記小当り判定手段の結果により小当りであると判定されると小当り遊技を実行する小当り遊技実行手段と、少なくとも小当り遊技時に開放され、内部に特定領域を備えた大入賞口と、前記特定領域に遊技球が入球することにより、大当り遊技を実行させる第2大当り遊技実行手段と、前記当否判定手段の結果を図柄により表示する図柄表示装置と、を備えた遊技機において、遊技者が操作可能な操作手段、該操作手段の操作によって可動する前記大入賞口内部に設けられた可動役物と、前記大入賞口に入球した遊技球を前記可動役物方向に放出させる遊技球放出手段とを備え、前記遊技球放出手段は小当り遊技時に図柄表示装置に表示される図柄の種類により放出される遊技球の速度を変更させる放出速度変更手段を備え、前記遊技球放出手段により放出させられた遊技球を、前記可動役物を可動させることで前記特定領域に導くことが可能とされたことを特徴とした遊技機である。
【0007】
可動役物は棒状の部材の一方の端に垂直に設けられて回転軸を備えて回転軸を回転させることで、遊技球放出手段により放出させられた遊技球を棒部材で弾き返す構成が考えられるが、これ以外にも可動役物を特定領域とし、特定領域の位置を可動させることにより、遊技球放出手段から放出された遊技球を特定領域で受け入れる構成など、操作手段の操作で可動する可動役物の動きにより、特定領域に入球させる構成であれば良い。
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項2記載の遊技機は、前記特定領域は、大入賞口内に複数設けられており、特定領域に入球することで計数する入球計数手段を備え、第2大当り遊技実行手段は入球計数手段による計数が所定値に達すると大当り遊技を実行することを特徴とした請求項1記載の遊技機である。
【0009】
入球計数手段による計数は、大当り遊技が発生する又は所定回数小当りが発生することによりクリアされる構成が好適である。こうすることで、遊技者に所定回数の小当りを引くまでに大当りにしないといけないという、緊張感を与えることで面白みをだすことが可能である。
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項3記載の遊技機は、前記複数設けられた特定領域には前記入球計数手段により計数される値がそれぞれ異なる設定がされ、該異なる設定がされた計数される値の合算値が前記所定値に達すると大当り遊技を実行することを特徴とした請求項2記載の遊技機である。
【0011】
特定領域には入球計数手段による計数値は関係なく入球すると大当り遊技を発生させるものがあっても良い。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の遊技機では、大入賞口内に備えた可動役物を遊技者が操作手段を操作することで可動可能としたので、遊技球放出手段から放出された遊技球を遊技者の操作に合わせて可動させることで特定領域に遊技球を導かせることが可能となり、遊技者に技術介入の要素を与えることで、遊技者に面白みを与えることが可能となる。
また、放出速度変更手段により、遊技球放出手段から放出される遊技球の速度が異なるので、熟練した遊技者でも容易に特定領域に導くのが困難となり、熟練した遊技者が有利になり過ぎることはない。
【0013】
請求項2に記載の遊技機では、大入賞口内に複数の特定領域が設けられ、入球計数手段による特定領域への入球数の計数が所定値になることにより第2大当り遊技実行手段による大当り遊技を実行させる構成としたため、熟練していない遊技者でも特定領域自体に入球させるのを容易な構造にすることが可能であり、熟練した遊技者との差を出づらくすることで、不慣れな遊技者でも、敬遠せずに遊技することが可能である。
【0014】
請求項3に記載の遊技機では、大入賞口内に設けられた複数の特定領域にはそれぞれ計数値が異なる設定がされているので、遊技者にどの特定領域に入球するかの楽しみを与えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】パチンコ機50の正面図
図2】パチンコ機50の遊技盤1の正面図
図3】センターケース5の拡大図
図4】センターケース5内部の平面図
図5】パチンコ機50の背面図
図6】パチンコ機50の電気構成図
図7】パチンコ機50の主制御装置80で実行されるメインルーチンの概要を示すフローチャート
図8】主制御装置80が行う始動入賞確認処理のフローチャート
図9】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート1
図10】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート2
図11】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート3
図12】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート4
図13】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート1
図14】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート2
図15】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート3
図16】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート4
図17】主制御装置80が実行する小当り遊技処理のフローチャート1
図18】主制御装置80が実行する小当り遊技処理のフローチャート2
図19】主制御装置80が実行する小当り遊技処理のフローチャート3
図20】主制御装置80が実行する大入賞口内役物可動処理のフローチャート
図21】特別図柄とそれにより発生する小当り遊技の内容や大当りが発生した場合における大当り遊技後の遊技状態を示すテーブル
図22】パチンコ機50の主な仕様を示す説明図
図23】小当り遊技状態の発生に係るタイミングチャート
図24】小当り遊技中における演出図柄表示装置6の表示例
図25】小当り遊技中に演出図柄表示装置6に表示されるキャラクタの選択率を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を適用した弾球遊技機たるパチンコ遊技機の第1の実施形態を説明する。図1は本パチンコ遊技機の正面図を示す。図1に示すように、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠51には、左側の上下の位置に設けたヒンジ53を介して、前枠52および後述の内枠(図5の70)が開閉可能に設けてある。
前枠52には板ガラス61が取り外し自在に設けてあり、板ガラス61の奥には上記内枠に保持された遊技盤1(図2)が設けてある。
【0017】
前枠52の上部の左右両側位置および外枠51の下部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ66が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠52には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
前枠52の下半部には上皿55と下皿63とが一体に形成してある。下皿63の右側には発射ハンドル64が設けてあり、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置(後述)が作動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0018】
下皿63は上皿55から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。下皿63の左側には、遊技者が操作可能な打球役物可動ボタン67が設けてあり、遊技者が小当り遊技期間中に打球役物可動ボタン67を操作することで、打球役物103が可動するようになっている。
【0019】
本パチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属し
ており、パチンコ機50には下皿63の左側に貸出ボタン57、精算ボタン58および残高表示器59が設けてある。
なお、図1の39は、前枠52および上記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して上記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠52を開放する。
【0020】
図2に示すように、遊技盤1には、外ガイドレール2aおよび内ガイドレール,2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けてある。遊技領域3には左上に位置する外ガイドレール2aと内ガイドレール2b端末との間の発射口35から遊技球が遊技領域3へ発射される。遊技領域3には図示しない多数の遊技釘が打ち付けてある。
【0021】
遊技領域3の中央には大型のセンタケース5が設置してある。センターケース5の下方には普通図柄作動ゲート17が設けられ、その左右方向には第1始動口11が設けられ、普通図柄作動ゲート17の下方には第2始動口12が設けられている。なお、普通図柄作動ゲート17と第2始動口12はユニット化されて、一体的に遊技領域に設けられている。また、センターケース5の左方には左入賞口31、右方には右入賞口33が設けられている。第2始動口12は普通電動役物として構成されており、上部に入球規制部が設けられているため普通電動役物が開放状態とならないと第2始動口12への入球が不可能に構成されている。一方、その他の入賞口、すなわち第1始動口11、左入賞口31、および右入賞口33は常に入球可能に構成されている。
【0022】
センタケース5の両側には一対の羽根部材14が設けられており、第1始動口11、第2始動口12に入球して小当り(後述)が発生すると、左側の羽根部材14Lがその下端を軸として左回りに回動し、右側の羽根部材14Rがその下端を軸として右回りに回動し、センターケース5内に入球可能となる。以下、羽根部材14L,14Rのこのような回動を、大入賞口(羽根部材)14の開放という。小当りした際の羽根部材14の開放時間は1秒であり、この時間が経過すると各羽根部材14が前記と逆方向に回動し、センターケース5内に遊技球が入れない状態となる。以下、羽根部材14L,14Rのこの逆方向の回動を羽根部材14の閉鎖という。また、センターケース5には演出図柄表示装置6が設けられている。
遊技盤右側下部には、普通図柄、特別図柄を表示する図柄表示装置7、18や普通図柄、特別図柄の保留記憶を表示する保留数表示装置8,9が設置してある。
【0023】
図3はセンターケース5の正面図で図4はセンターケース5の平面図である。図3に示すように、センターケース5は入賞装置となっており、内部には特別遊技領域200へと誘導するための左第1大入賞口14Lに入賞した遊技球が通る球通路100Lと、右第1大入賞口14Rに入賞した遊技球が通る球通路100Rが設けられ、球貯留部101に導かれる。球貯留部101には遊技機前面側へ遊技球を放出する放出口102が設けられ、放出口102の遊技機手前側に打球役物103が設けられている。さらに打球役物103手前には遊技機裏側へ遊技球を排出するアウト口110が設けられる。打球役物103は、遊技者が打球役物可動ボタン67aを操作することによって図4に示す回転軸215を中心に左回りに回動する。なお、打球役物103は図示しないが打球役物ソレノイド215aが作動することにより回転軸を回転させ、作動を停止することで元の位置に戻る機構となっている。
【0024】
球貯留部101奥側には図4が示すように中央に第1特定領域105、その左右に第2特定領域106、更にその端にはアウト口111が設けられ、遊技球を打球役物103により振り分けられるようになっている。
図4の特別遊技領域200の略中央にあるのが球貯留部101を備える遊技球放出装置210である。図示しないが遊技球放出装置210には遊技球貯留部101に貯留された遊技球を放出装置ソレノイド210aにより可動する打球槌があり、それにより遊技球貯留部101に貯留された遊技球を弾くことで放出口102から打球役物103方向へと放出される。後述するが、この槌の弾く強さは複数種類ある。
特別遊技領域200は遊技機手前に傾いた傾斜になっており、打球役物103は図4に示すように平面から見ると回転軸215から斜め下に傾いている。この構成により打球役物103を可動させなかった場合の遊技球は打球役物103に止まらずにアウト口110に導かれることになる。また遊技球放出装置210の略左右両側には遊技球の通過を妨げる妨害柱205が設けられる。妨害柱205に正面から衝突した遊技球は勢いをなくし手前側のアウト口110に導かれることになる。また第1特定入球口105は打球役物103から見て遊技球放出装置210の後ろにあり妨害柱の横側に弾かせないと入球させることが困難な構成となっている。
なお、図示しないが遊技球放出装置210の球貯留部101には遊技球1個のみ貯留可能となっており、1回の小当り遊技中に複数個の遊技球が第1大入賞口14に入賞した場合は、貯留された遊技球以外は貯留されずに遊技機外部に放出される構成となっている。
【0025】
図5に示すように、パチンコ機50の裏側は、上記遊技盤1を脱着可能に取付ける内枠70が上記外枠51に上下のヒンジ37により開閉可能に収納されている。内枠70には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク71、タンクレール72、払出ユニット73が設けられ、払出ユニット73の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤1の入賞口に遊技球が入球すれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出装置73により払出球流下通路を通り上記上皿55に払い出される。また、本実施形態では上記賞球を払い出す払出装置73により貸出ボタンの操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
【0026】
また、パチンコ機50の裏側には、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は副制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられ、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85は内枠70に設けられている。図4では発射制御装置84が描かれていないが、払出制御装置81の下に設けてある。
【0027】
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けてあり、外部接続端子板78により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。なお、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板78を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信しているが、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いる構成でもよい。
【0028】
図6は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83および発射制御装置84においては、詳細の図示は省略するが、これらの制御装置はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、主制御装置80には後述する各種乱数を抽出する乱数カウンタ等も備わっている。
【0029】
主制御装置80は、裏配線中継端子板75および外部接続端子板78を介して遊技場のホールコンピュータ87と電気的に接続される。主制御装置80には、遊技盤中継端子板74や裏配線中継端子板75を介して、前枠52や内枠70が閉じていることを検出するガラス枠開放SW(スイッチ)16a、内枠開放SW16b、第1、第2の始動口11,12への入球を検出する第1、第2始動口SW11a,12a、遊技球がゲート17を通過したことを検出する普通図柄作動SW17a、第1、第2の大入賞口14、15への入賞球をそれぞれ検出する第1、第2カウントSW14a,15a、入賞口31、33への入賞球を検出する入賞口SW31a,33a、および打球役物可動ボタン67の操作を検出する打球役物可動ボタンSW67aと第1特定領域105の遊技球の通過を検出する特定入球口SW105a、第2特定領域106の遊技球の通過を検出する第2特定入球口SW106a等の検出信号が入力される。
【0030】
また主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81や、演出中継端子板65を介してサブ統合制御装置83にコマンドを出力し、図柄表示装置中継端子板90を介して特図表示装置9、特図保留数表示装置18、普通図柄表示装置7、普図保留数表示装置8の表示制御を行なう。
主制御装置80は、第1、第2の大入賞口14,15の開閉板を駆動する第1、第2大入賞口ソレノイド14b,15bを制御して第1、第2の大入賞口14,15を開放作動せしめる。また第2の始動口12を開閉する普通電動役物ソレノイド12bの作動を制御する。また有効期間中における打球役物可動ボタンSW67aの検出により打球役物103を駆動させる打球役物ソレノイド215aと小当り遊技中の所定タイミングで球貯留部101に貯留された遊技球を放出させるための図示しない打球槌を駆動させる放出装置ソレノイド210aの作動を制御する。
【0031】
払出制御装置81は、裏配線中継端子板75や払出中継端子板76を介して、球タンク71が空状態になったことを検出する球切れSW23、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW21、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW22などの検出信号が入力される。また払出制御装置81は主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて遊技球を払い出させる。更に、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と電気的に接続され、精算表示装置25を介して球貸SW57および精算SW58による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニット56とデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータ20を稼働させて貸球を払い出させ、CRユニット56に挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。なお本実施例では遊技球を上皿に払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに遊技媒体数として記憶する封入式の構成にしても良い。
【0032】
発射制御装置84は、発射停止SW29、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW28などの検出信号が入力される。払出制御装置81を介して主制御装置80から送られてくるコマンド(タッチSWの信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータ30を制御して遊技球を発射および停止させ、タッチランプの点灯を制御する。
【0033】
サブ統合制御装置83は、音量調節SW83aなどの検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて、スピーカ66を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ26の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する演出図柄や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0034】
演出図柄制御装置82は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置6を構成している。上記LCDパネルはLCDパネルユニットの一部である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0035】
次にパチンコ機50の作動を説明する。
本パチンコ機50は、第1始動口11又は第2始動口12への入球に起因して各種の乱数が抽出され、これらの乱数を特別図柄(以下、単に特図という)の保留記憶として記憶し、特図の保留記憶に基づいて特図の当否判定を行う。特図の判定結果は特図表示装置9に大当たり図柄、小当たり図柄、はずれ図柄を表示するとともに、演出図柄表示装置6に特図の擬似図柄を表示して遊技者に報知する。
特図の判定結果が大当りであれば、第2大入賞口15を開放する大当り遊技に移行する。判定結果が小当りであれば、第1大入賞口14を開放する小当り遊技に移行する。更に小当りにより第1大入賞口14に遊技球が入球して入賞装置の特定領域たる第1特定入球口105aに入球すると、大当りとなって第2の大入賞口15を開放する大当り遊技に移行するように構成してある。このように本パチンコ機50は第1種と第2種の機能を備えた複合機である。
【0036】
図22に示すように、本パチンコ機50は、大当りとなる確率は1/300に設定してある。
小当りとなる確率は、1/1.003に設定してある。
また本パチンコ機50は、大当り終了後には開放延長状態設定手段により大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態に設定する構成である。該開放延長機能は、普通図柄の当り確率を高確率に変動させ、第2の始動口12の普通電動役物の開放時間を延長させる開放延長機能が付与される。開放延長機能の突入率は50%であり、開放延長機能は、特図の当否判定が10回実行されるまで継続するように構成してある。また開放延長中に大当りした場合は必ず開放延長が10回付与される構成である。
その他、賞球、大入賞口のラウンド回数、大入賞口の開放時間、規定入賞数、普通図柄の当り確率、普通電動役物の開放時間は図22に示すとおりに設定してある。
【0037】
以下、図7ないし図20に示すフローチャートに基づいて作動の詳細を説明する。図7に示すように、主制御装置80(厳密には、そのCPU)が実行する「メインルーチン」は本処理(S10〜S65)と残余処理(S70)とで構成され、2ms(または4ms)周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S10)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(NO)なら初期設定(S15)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0038】
正常割り込みなら(S10:YES)、初期乱数の更新処理(S20)、大当り決定用乱数の更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数の更新処理(S30)、普通図柄の当り決定用乱数の更新処理(S35)、リーチ判定用乱数の更新処理(S40)、変動パターン決定用乱数の更新処理(S45)、入賞確認処理(S50)、当否判定処理(S55)、各出力処理(S60)および不正監視処理(S65)を行い、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には、初期乱数の更新処理(S70)をループ処理する。
【0039】
以下、主制御装置80で実行される処理で、本発明にかかる入賞確認処理(S50)、当否判定処理(S55)、各出力処理(S60)の一部のサブルーチン処理や副制御装置たる演出図柄制御装置82で実行されるプログラム処理について説明する。
なお、主制御装置80は、上記当否判定を実行する当否判定手段たる大当り判定手段および小当り判定手段、上記遊技状態設定手段たる開放延長状態設定手段を具備する。
【0040】
図8に示す「始動入賞確認処理」は入賞確認処理(S50)のサブルーチンで、先ず、第1始動口11又は第2始動口12に入球があるか確認する(S100)。入球があれば(S100:YES)、特図の保留記憶について、保留記憶が満杯か確認する(S105)。満杯でなければ(S105:NO)、第1始動口11又は第2始動口への入球時に抽出された各種の乱数を特図の保留記憶として記憶する(S110)。なお各種乱数とは大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数など、当否判定や図柄変動の決定に用いるための乱数である。
第1始動口又は第2始動口に入賞していない場合や(S100:NO)、特図の保留記憶が満杯(4個)であった場合は(S105:YES)、本処理を終了する。
【0041】
図9ないし図12は「当否判定処理」のフローチャートを示す。「当否判定処理」は図9に示すように、特別電動役物が作動中か確認し(S200)、作動していなければ、図柄が変動中か確認し(S205)、変動中でなければ、確定図柄が表示されているか確認する(S210)。なお、特別電動役物が作動中(S200:YES)であれば「特別遊技処理」に移行する。
【0042】
確定図柄が表示中でなければ(S210:NO)、図10に示すように、特図の保留記憶があるか確認する(S250)。特図の保留記憶があれば(S250:YES)、特図の保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う(S255)。
特図の保留記憶がなければ(S250:NO)、「特別遊技処理」に移行する。
【0043】
次にS255でシフト処理された保留記憶の大当り判定用乱数と、当否判定用テーブルの判定値とを対比して当否判定を行う(S260)。
大当りであれば(S265:YES)、大当り図柄決定処理(S270)において上記保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定し、変動パターン決定処理(S275)において、上記保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンの決定処理を行う。続く大当り情報設定処理では、大当り図柄により設定される大当り情報(開放パターンなど)や大当り後の遊技状態の設定を行なう。
【0044】
「大当り情報設定処理」に続いて、図10のS315の処理において、特図の変動開始コマンドをサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82へ送信する。その後、特別遊技処理に移行する。なお変動開始コマンドには当否判定の結果や変動に関するデータなどが含まれておりサブ統合制御基板83はこれを基に演出表示を実行する。
【0045】
S265の当否判定において大当りでなければ、小当りか否か判定を行う(S285)。判定結果が小当りであれば(S285:YES)、上記大当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を決定し(S290)、上記変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S295)。続く小当り情報設定処理では(S300)、小当り図柄により設定される小当り情報(開放パターンや特定領域に入球した場合に発生する大当り時の開放パターンなど)などの設定を行い、開放延長中であれば開放延長回数を−1する。上記「開放延長回数」とは、回数が0になると開放延長状態を終了させるために用いるカウンタである。
大当りでなく(S265:NO)、小当りでもなく(S285:NO)ない場合はハズレとなり、変動パターンを決定し(S305)、ハズレ設定処理(S310)により、開放延長中であれば開放延長回数を−1する。
S300、S310の処理後はS315にて特図変動開始コマンド送信処理を行う。
【0046】
図9のS205の処理で図柄変動中のときは(S205:YES)、図11に示すように、図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S400:YES)、確定図柄表示設定処理(S405)により特図表示装置9に特図を確定表示させ、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ擬似図柄を確定表示させるようにコマンドを送信する。
【0047】
続いて確定表示させた特図が大当りになる組合せであるか否か確認し(S410)、大当りになる組合せであったときは(S410:YES)、開放延長フラグが1であれば(S415:YES)、開放延長フラグを0にセットする(S430)。
続いて条件作動装置の作動を開始させ(S425)、役物連続作動装置の作動を開始させて(S430)、大当り開始演出処理(S435)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
【0048】
S410の処理で、大当りになる組合せでなければ(S410:NO)、開放延長フラグが1か確認し(S440)、開放延長フラグが1であり(S440:YES)、開放延長回数が0であれば(S445:YES)、開放延長フラグを0にセットする(S450)。
続いてS455の処理では特図が小当りになる組合せか確認し、小当りになる組合せであったときは(S455:YES)、特別電動役物の作動を開始させ(S460)、小当り開始演出処理(S465)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ小当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
なおS400の処理、S455の処理でNO判定であれば「特別遊技処理」へ移行する。
【0049】
図9のS210の処理で確定図柄表示中のときは(S210:YES)、図12に示すように、確定図柄の表示時間が経過したことを確認すると(S480:YES)、確定図柄表示終了処理(S485)により特図表示装置9、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ確定図柄の表示を終了させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行する。
【0050】
図13に示すように、「特別遊技処理」は、先ず、役物連続作動装置が作動中か確認し(S500)、作動中であれば(S500:YES)、S505の処理で大入賞口が開放中か確認する。役物連続作動装置が作動中でなければ(S500:NO)後述の「小当り遊技処理」へ移行する。
S505の処理で大入賞口が開放中でなければ(S505:NO)、インターバル中か確認し(S510)、インターバル中でなければ(S510:NO)、大当り終了演出中か確認し(S515)、大当り終了演出中でなければ(S515:NO)、大当り開始演出時間が経過したか確認し(S520)、大当り開始演出時間が経過していれば(S520:YES),S525で第2大入賞口15の開放処理を実行してリターンする。
【0051】
S505の処理で大入賞口開放中であれば(YES)、図14に示すように、第2大入賞口15に10個(規定数)の入賞があったか否かの確認(S530)、または第2大入賞口15の開放時間が終了したか否かを確認して(S535)、いずれか確認できれば第2の大入賞口15を閉鎖し(S540)、大当りインターバル処理を実行して(S545)リターンする。なお本実施例における大当り遊技の大入賞口の開放時間は図22に示すように29秒である。
【0052】
図13のS510の処理でインターバル中であれば(YES)、図15に示すように、大当りインターバル時間が経過したか否か確認し(S550)、経過していれば(S550:YES)、最終ラウンドかどうか確認し(S555)、最終ラウンドであれば、(S555:YES)、大当り終了演出の処理(S560)を実行してリターンする。一方、最終ラウンドでなければ、(S555:NO)、第2の大入賞口の開放処理(S565)を実行してリターンする。
【0053】
図13のS515の処理で大当り終了演出中であれば(YES)、図16に示すように、大当り終了演出時間が経過したか否か確認し(S570)、経過していれば(S570:YES)、役物連続作動装置の作動を停止する処理(S575)を実行し、条件装置の作動を停止する処理(S580)を実行する。
【0054】
続くS585の処理では、S280の大当り情報設定処理において開放延長設定がされているか否か、即ち開放延長機能を付与するか否かを確認する。開放延長機能を付与する設定であれば(S585:YES)、次の開放延長回数設定処理(S590)では、開放延長状態が継続される期間、即ち大当り抽選が何回繰り返されるまで開放延長状態を継続させるといった設定回数を決める(本実施例では10回)。そして開放延長フラグを1にセットする(S595)。
S595の処理後またはS585の処理でNO判定の後は、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り終了コマンドを送信して大当り遊技を終了して(S600)、リターンする。
【0055】
図13の「特別遊技処理」のS500から「小当り遊技処理」に移行すると、図17に示す処理を行なう。「小当り遊技処理」では、特別電動役物が作動中(S605:YES)で、小当り開始演出中(S610:YES)であり、小当り開始演出時間が経過していれば(S615:YES)、第1の大入賞口14の開放処理(S620)を実行する。S620の処理後はS645にて後述する大入賞口内役物可動処理を実行し、リターンする。
【0056】
S610で小当り開始演出中でなければ(S610:NO)、第1の大入賞口14が開放中か確認する(S625)。S625の処理で開放中であれば(YES)、第1の大入賞口14に10個(規定数)の入賞があったか否かの確認し(S630)、第1の大入賞口の開放時間が終了したか否かの確認(S635)を行う。規定数の入賞または開放時間の終了が確認できれば第1の大入賞口14の閉鎖(S640)を実行する。S640の処理後又はS635が否定判断であった場合は大入賞口内役物可動処理を実行し(S645)、リターンする。なお本実施例の小当り遊技の大入賞口の開放時間は図22に示すように1秒となっている。
【0057】
S625で第1の大入賞口14が開放中でなければ(S625:NO)、図18に示すように入賞装置であるセンターケース5内に設けられた第1特定入球口105への入球があったか確認する(S645)。第1特定入球口105への入球がなければ(S645:NO)、第2特定入球口106への入球があったか確認する(S650)。第2特定領域にも入球していなければ(S650:NO)、小当り終了演出時間が経過したか確認する(S655)。時間が経過していれば(S655:YES)、特別電動役物の作動を停止し(S660)、サブ統合制御装置83へ小当り終了コマンドを送信する(S665)。そして特別カウンタが加算されたか判断し(S668)、加算されていなければ(S668:YES)、無入賞カウンタを+1して(S670)、無入賞カウンタが4であるか確認する(S675)。4であれば(S675:YES)、無入賞カウンタ及び後述する特別カウンタをクリアし(S680)、リターンする。S668又はS675が否定判断の場合もリターンする。なお、小当り終了時間経過していなかった場合は(S655:NO)、図17の大入賞口内役物可動処理を実行する(S645)。
【0058】
第2特定入球口106への入球がある場合は(S650:YES)、特別カウンタが+1され(S685)、特別カウンタが4以上であると(S690:NO)、図19のS700に移行する。なお、S645で第1特定入球口105への入球がある(S645:YES)と判定された場合もS700に移行する。S700では特別カウンタが設定されていれば0にクリアし(S700)、そして開放延長フラグが1であるか判断し(S705)、開放延長フラグが1であれば(S705:YES)、開放延長フラグを0にする(S710)。続いて条件作動装置の作動を開始させ(S715)、役物連続作動装置の作動を開始させて(S720)、大当り開始演出処理によりサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し(S725)、リターンする。
特別カウンタが4未満であると(S690:NO)、サブ統合制御装置83へ特別カウンタが加算されたことを示すようにコマンドを送信し(S695)、リターンする。
【0059】
上記小当り遊技処理によると、第1特定入球口105へ入球することで大当りになり、第2特定入球口106へ入球することで特別カウンタを+1して、特別カウンタが4になることで大当りになる。しかし特定入球口105、106に入球しないと無入賞カウンタが+1され、無入賞カウンタの値が4になると、特別カウンタをクリアする構成である。よって、第2特定入球口106の入球による大当りを引くには無入賞カウンタが4になる前に、特別カウンタを4にしないと大当りを引けないということになる。
また第1特定入球口105に入球すると特別カウンタが4加算されるわけではなく大当りになる構成だが、特別カウンタが4加算される構成としてもよい。この場合、特別カウンタが4以上で当りになることがあるが(特別カウンタが3のときに第1特定入球口105へ入球した場合は7になる。)、この数値が大きいほど大当り価値の大きいものが選択される構成でもよい。
【0060】
図20はS645で実行される大入賞口内役物可動処理である。この処理ではまず、打球役物103が可動中であるか判断する(S800)。打球役物103が可動中かとは打球役物ソレノイド215aを作動させて回転軸215を回転し打球役物103を可動させている状態かということである。可動中であれば(S800:YES)、打球役物可動期間が終了か判断する(S805)。終了であると(S805:YES)、打球役物停止処理により可動していた打球役物ソレノイド215aの作動を停止させて、打球役物103を初期位置に戻す(S810)。打球役物103が可動中でない場合は(S800:NO)、打球役物可動ボタン67の操作が有効な期間であるか判断し(S815)、有効期間中であれば(815:YES)、打球役物可動ボタン67が操作されたか判断する(S820)。操作された場合は打球役物可動処理により打球役物ソレノイド215aを作動させ、回転軸215が回転することで可動役物103が可動する。なお、本実施例では打球役物103を回転させると打球役物可動期間が終了するまでもとの位置に戻らない構成であるので、1回操作したらその小当り遊技中は可動させることが出来なくなる構成である。しかしこれに限らず、1回の小当り遊技中に何回でも可動させることが可能な構成としても良い。
【0061】
S810、S825の処理が終了又はS805、S815、S820で否定判断されると、遊技球が未放出か判断する(S830)。未放出であれば(S830:YES)、球放出開始期間か判断する(S835)。球放出期間であると(S835:YES)、小当り図柄が速の図柄であるか判定する(S840)。「速の図柄」とは、表示されると、速い速度で遊技球を放出口102から放出することが設定される小当り図柄であり、「速の図柄」以外の小当り図柄として「中の図柄」「遅の図柄」がある。肯定判断であると(S840:YES)、放出装置可動速処理により放出口から放出させる速度を速の設定で遊技球放出装置210を可動させることで遊技球を球貯留部101から放出させる(S845)。S840で否定判断であると、小当り図柄は放出速度の設定が中の図柄であるか判定する(S850)。肯定判断であると(S850:YES)、放出装置可動中処理により放出口から放出させる速度を中の設定で遊技球放出装置210を可動させることで遊技球を球貯留部101から放出させる(S855)。S850で否定判断であると、小当り図柄は放出速度の設定が遅の図柄であることになり、放出装置可動遅処理により放出口から放出させる速度を遅の設定で遊技球放出装置210を可動させる(S860)。
なお、S830の遊技球未放出とは、S845、S855、S860の処理により遊技球放出装置(放出装置ソレノイド210a)が作動済みであるかということである。本実施例では第1大入賞口14に入賞せずに球貯留部101に遊技球がなくても遊技球放出装置210は一連の動作として作動する。
【0062】
本実施例では図21に示すように10種類の小当り図柄を備えており、放出速度の設定が速の図柄は小当り図柄1、2、6の3種類となり、放出速度の設定が中の図柄は、小当り図柄3、4、7、8の4種類、放出速度の設定が遅の図柄は、小当り図柄5、9、10の3種類となる。小当りになるといずれかの図柄が1/10の確率で選択されるようになっている。
開放延長機能未作動時に大当りとなった場合は開放延長に突入する図柄と突入しない図柄でわかれており、小当り図柄1〜5による大当りでは突入し、小当り図柄6〜10による大当りでは突入しない。よって、球放出速度が速の場合は66%、中の場合は50%、遅の場合は33%で開放延長に突入することになる。比較的打球役物103により特定入球口に打ち返しづらい放出速度が速い場合は開放延長に突入しやすく、特定入球口に打ち返し易い放出速度が遅い場合は開放延長に突入しにくい構成となっており、難しいほうを攻略したほうが報酬(開放延長)が与えられる可能性を高くしたので、技術介入による違いを与えることで面白みを与えることが可能である。
放出速度の違いは遊技球放出装置210内に設けられた放出装置ソレノイドの作動により図示しない打球槌の可動する力の違いにより、球貯留部101内に貯留された遊技球を弾くことで変化させている。なお第2特定入球口106により大当りが発生した場合は特別カウンタの値が4となったときの小当り図柄に基づいて大当りが設定される。無論この構成に限らず、特別カウンタを加算することになった小当り図柄の履歴などで大当りを設定する構成でもよいし、新たに大当りの種類を抽選する構成でも良い。
【0063】
図23は小当り遊技状態に関するタイミングチャートであり、これを基に本実施例の小当り遊技の流れを説明する。始動口の検出により特別図柄が変動し、小当り図柄が停止されることで特別電動役物が作動し、小当り開始演出を行い、第1大入賞口を開放させる。本実施例では小当り時の開放時間は1秒開放であるので1秒経過すると第1大入賞口は閉鎖する。なお本実施例では大入賞口開放することで打球役物有効期間が開始されるので打球役物可動ボタン67を操作することで打球役物103が可動されることになる。
第1大入賞口が閉鎖して所定時間経過すると、球貯留部101に貯留された遊技球が遊技球放出装置210の作動により打球役物103方向に放出される。遊技者は所定のタイミングを見計らい、打球役物可動ボタン67を操作することで、打球役物103を可動させて、遊技球を打ち返す。打ち返した球が第1特定領域に入球すれば大当り遊技が発生し、第2特定入球口に入球すれば、特別カウントが加算され、カウントが4であれば大当り遊技を実行させる。
どちらの特定入球口に入球しなかった場合は打球役物有効期間が終了して間もなく特別電動役物の作動を停止させ、小当り遊技状態は終了する。
打球役物103は一度可動すると、打球役物有効期間が終了するまで元の位置に戻らない。
【0064】
本実施例は小当り遊技時に図24が示すように演出表示装置6にキャラクタを表示する構成である。本実施例ではキャラクタA、B,Cを備え、それぞれ出現したキャラクタにより放出速度を予測させることが可能となる。
図24(a)はキャラクタAが選択されたときの図である。キャラクタAの出現率は図25に示すように小当り図柄で球放出速度が速い図柄が選択されたときは、6/10すなわち60%の確率で選択され、放出速度が中の図柄が選択されたときは2/10すなわち20%の確率で選択され、放出速度が遅い図柄においては1/10すなわち10%の確率で選択される。
図24(b)はキャラクタBが選択されたときの図である。キャラクタBの出現率は図25に示すように小当り図柄で球放出速度が速い図柄が選択されたときは、4/10すなわち40%の確率で選択され、放出速度が中の図柄が選択されたときは4/10すなわち40%の確率で選択され、放出速度が遅い図柄においては3/10すなわち30%の確率で選択される。
図24(c)はキャラクタCが選択されたときの図である。キャラクタCの出現率は図25に示すように小当り図柄で球放出速度が速い図柄が選択されたときは選択されず、放出速度が中の図柄が選択されたときは4/10すなわち40%の確率で選択され、放出速度が遅い図柄においては6/10すなわち60%の確率で選択される。
【0065】
よって、キャラクタAは放出速度が速い図柄である場合に出現しやすいため、最も大当りにする確率が低くなるキャラクタということになる。逆にキャラクタCは放出速度が速いときには出現せず放出速度が遅いときに出現しやすいため、最も大当りとしやすいキャラクタということになる。また、キャラクタBは平均的にどの放出速度でも選択されることになる。
このような構成にすることで、遊技者は小当り時に出現したキャラクタを見ることで、球の放出速度をある程度予測して、タイミングを取る構成とすることが出来る。また同じキャラクタでも様々な放出速度が選択されるので、熟練した遊技者でもキャラクタを見ることで、確実に放出速度を読んで、特定入球口105に導かせることは困難である。
【0066】
以上が本実施例の構成であるが、遊技者が打球役物可動ボタン67の操作に基づいて打球役物103を可動させて遊技球放出装置210から放出された遊技球を打ち返すことで第1特定入球口105又は第2特定入球口16に入球させる構成としたので、遊技者に技術介入させることで面白みを与え、また特定入球口に入球させることで従来の自然に特定入球口に入球させる構成よりも達成感と喜びを得ることが可能となる。
また小当り図柄の種類により、遊技球放出装置210から放出される球のスピードが異なるので、タイミングを把握することが困難となり、特定の操作タイミングを把握することで熟練した遊技者が高確率で特定領域にいれることが可能となってしまい初心者の遊技者と差が付きすぎてしまうといったこともなくなる。
また特定入球口を第1と第2と複数設けたので、特定入球口に入球させることが比較的容易となり、初心者だからといって大当りを引けないなんてことはなくなる。また特定入球口を入球難易度が高い第1特定入球口は1回の入球で大当りとし、入球難易度の低い第2特定入球口を4回入球させないと大当りとならないので、容易に大当りを引け過ぎて飽きてきてしまうのを防ぐことが可能である。
【0067】
本実施例では一度打球役物103を可動させると、その小当り遊技時においては可動させることが不可能となる構成としたが、これに限定されず、可動後すぐ、元の位置に戻る構成として時間の限り何回でも可動させられる構成としてもよい。こうすることで、誤って打球役物可動ボタン67を操作してしまった場合においても、やり直しが効くことになる。
また第1特定領域105の左右に設けられた第2特定入球口106への入球により特別カウントが1加算される構成としてが、どちらか片方へ入球した場合は特別カウントを2加算するようにしても良い。また無入賞カウンタが4になると特別カウントをクリアする構成であるため、特別カウンタが4になるまえに4回アウト口に入球又は大入賞口に入賞しない場合が発生することで、第2特別入球口による当りを引けない構成としたが、この無入賞カウンタを設けずに純粋に第2特定入球口に4回入球させることができれば大当りとなる構成でも良い。
なお本実施例では大当りはいずれも15ラウンドが最終ラウンドとなっているがこれに限定されず、最終ラウンドの異なる大当りの種類を複数備えてもよい。この場合第1特定入球口105への入球による大当りと第2特定入球口106への入球による大当りで、最終ラウンドが異なるものが設定される構成としてもよいし、最終ラウンドの選択率が異なるようにしてもよい。
【0068】
本実施例では遊技球放出装置210から放出される遊技球を遊技者が打球役物103を操作することで特定入球口に導く構成であったが、この構成に限定されず、特定入球口自体を遊技者が操作できるようにし、遊技球放出装置210から放出された遊技球を特定入球口に導かせる構成としてもよく、遊技者の操作により大当りを発生させられる構成であれば特に限定されない。
【符号の説明】
【0069】
11 第1始動口
12 第2始動口
14 第1大入賞口
15 第2大入賞口
67 打球役物可動ボタン
101 球貯留部
103 打球役物
105 第1特定入球口
106 第2特定入球口
210 遊技球放出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25