(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961812
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】重心位置計測装置
(51)【国際特許分類】
G01M 1/12 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
G01M1/12
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-186194(P2015-186194)
(22)【出願日】2015年9月23日
【審査請求日】2016年2月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508216404
【氏名又は名称】株式会社メジャーテックツルミ
(74)【代理人】
【識別番号】100186288
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 英信
(72)【発明者】
【氏名】横須賀 健治
(72)【発明者】
【氏名】津田谷 護
(72)【発明者】
【氏名】横須賀 英樹
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0166373(US,A1)
【文献】
特許第156596(JP,C2)
【文献】
特開平10−076027(JP,A)
【文献】
特開昭60−085347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測体全体を支持する治具と、
前記治具を支持する移動受け具と固定受け具を配した固定台と、を備え、
前記治具を介した前記被計測体の重量を、前記移動受け具と前記固定受け具で計測することで、前記被計測体の重心位置を計測するとともに、前記移動受け具は水平方向に移動して位置決め可能に設けられ、前記固定受け具は水平方向に固定的とした重心位置計測装置において、
前記移動受け具と前記治具とが点接触しており、前記移動受け具または前記治具の何れか一方の接触部分は、平面であり、前記固定受け具は固定台に対して治具を回転させる回転軸を有し、当該回転軸は、前記平面と同じ高さであることを特徴とする重心位置計測装置。
【請求項2】
前記平面は、前記移動受け具の接触部分であることを特徴とする請求項1に記載の重心位置計測装置。
【請求項3】
前記治具は、複数の支持ポイントを備え、当該複数の支持ポイントから任意の支持ポイントを選択して前記移動受け具と点接触させることで、被計測体に合わせた計測を可能としたことを特徴とする請求項2に記載の重心位置計測装置。
【請求項4】
前記治具は、前記固定台から取り外すことができることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の重心位置計測装置。
【請求項5】
衝撃吸収装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の重心位置計測装置。
【請求項6】
前記衝撃吸収装置は、上下方向に調整可能であることを特徴とする請求項5に記載の重心位置計測装置。
【請求項7】
前記治具はジェラルミンからなることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の重心位置計測装置。
【請求項8】
前記被計測体は、蒸気タービン、ガスタービンや水力タービン等のタービンのロータ外周に装着される動翼であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の重心位置計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測体の重心位置を高精度に計測する重心位置計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な技術分野において、被計測体の重心位置を高精度に計測する技術が要求されている。特に、蒸気タービン、ガスタービンや水力タービン等のタービンの技術分野では、タービンのロータ外周に装着される動翼や圧縮動翼をロータ外周に装着する際、装着後のロータのアンバランスを少なくするために、翼を装着する前に、翼単体で、翼の重心位置を高精度に計測し、それに伴うモーメントウェイトを算出して翼の装着順序等を判断している。
【0003】
このようなモーメントウェイト計測装置として従来のものは、
図10に示すように、計測時にタービン翼Wの翼頂部を翼頂部重量計測用の電子秤201上でローラ202 付きの受け具203で支持しながら、翼根部は、翼根部重量計測用の電子秤204上でピン205付きの受け具206で支持を行っている。
これより、タービン翼Wの翼頂部重量と翼根部重量が計測され、これらが図示しないパソコンに入力され、このパソコンにより予め入力されていたローラ202とピン205との距離からタービン翼Wの重心位置が計測されるので、これを基にモーメントウェイトを算出することができる。
【0004】
しかしながら、このようにタービン翼Wの翼根部がピン205付きの受け具206で支持されている形態では、ピン205とタービン翼Wの接触部で垂直方向以外の力が作用してコゼが生じて摩擦によるモーメントが働きタービン翼Wの水平保持が困難となることから、タービン翼Wをピン205付きの受け具206に乗せる際の置き方によって、計測値が大きくばらつき、タービン翼Wの真の重心位置が計測されないという不具合があった。
【0005】
一方、上記不具合に対して、被計測体の長手方向に該被計測体の重心を挟んで同被計測体をピンでなく回転体で支持する一対の受け具を配することや、一方の受け具をスライド台上に設け他方の受け具に対し移動可能とすることも提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、コゼを無くして被計測体を水平に保持でき、安定した計測が図れると共にサイズの異なる種々の被計測体への柔軟な対応を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−50846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1においても、従来のものと同様に受け具が被計測体を直接支持しているので、被計測体の形状による計測誤差や、設置誤差等の発生を抑えることは困難であった。また、受け具が移動することで、それぞれの受け具間の距離が可動となっていることに起因する誤差が生じてしまい、受け具間の正確な位置合わせをするのが難しかった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、計測精度の向上が図れると共に治具数の削減も行うことができ、さらには作業者の労力低減を確保しながら、作業効率の良い耐久性の高い重心位置計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的達成のために、本発明に係る重心位置計測装置は、被計測体全体を支持する治具と、前記治具を支持する移動受け具と固定受け具を配した固定台と、を備え、前記治具を介した前記被計測体の重量を、前記移動受け具と前記固定受け具で計測することで、前記被計測体の重心位置を計測するとともに、前記移動受け具は水平方向に移動して位置決め可能に設けられ、前記固定受け具は水平方向に固定的としたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、被計測体全体が治具でしっかりと支持される一方で、固定台に設けられた移動受け具と固定受け具は、治具を介して被計測体を計測するので、被計測体の形状に依存せず、精度の高い計測が得られる。また、移動受け具が水平方向に移動することによって、移動受け具と固定受け具間の距離を変化させることができるので、1つの治具を様々なサイズの被計測体の測定に使用することができ、被計測体のサイズに合わせた治具を別途用意する必要がなく、治具数が削減する。
【0011】
なお、本発明において、「水平方向」というのは、重力が働く方向に垂直な面である水平面に対して平行な方向を意味しており、物理的に「厳密な水平方向」はもちろん、技術常識からみて「水平方向」にみられる「略水平方向」をも含む概念である。また、特に言及がない場合には、重量を計測するもの、例えば、電子秤等は受け具の構成の一部であり、該受け具は固定台の構成の一部である。また、固定台は治具を支持する形態であればいかなる形態であってもよい。例えば、机や床も本発明の固定台となりうる。
【0012】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記移動受け具と前記治具とが点接触しており、前記移動受け具または前記治具の何れか一方の接触部分は、平面であることを特徴とする。
【0013】
この構成により、移動受け具の位置を広がりが殆どない点接触部分とすることで、測定の基準となる移動受け具と固定受け具間の距離について、誤差の少ない計測が行え、また、水平面方向に生ずる摩擦力を何れの方向にも均等に抑えることができるので、計測精度を高めることができる。
なお、本発明において、「平面」というのは、物理的に「厳密な平面」はもちろん、技術常識からみて「平面」にみられる「略平面」をも含む概念である。
【0014】
また、本発明の点接触の「点」について、面積のない幾何学的な「点」だけでなく、荷重の圧力による接触部分の変形としてある面積を持った「面」も含んでいる。
即ち、本発明の点接触は、円形接触面も含むものである。
【0015】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記平面が、前記移動受け具の接触部分であることを特徴とする。
この構成により、可動する移動受け具と固定受け具との位置関係が、可動しない治具側に設けられた点接触部分と固定受け具との位置関係に基づいて求めることができるようになる。即ち、可動部である移動受け具の配置誤差が計測時に反映されなくなるのでさらに精度の高い計測が実現できる。
【0016】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記治具が、複数の支持ポイントを備え、当該複数の支持ポイントから任意の支持ポイントを選択して前記移動受け具と点接触させることで、被計測体に合わせた計測を可能としたことを特徴とする。
この構成により、治具に設けられた複数の支持ポイント毎に、可動部である移動受け具の配置誤差を反映させずに移動受け具と固定受け具間の距離を変化させて計測できるので、様々なサイズの被計測体に合わせた精度の高い計測が実現できる。
【0017】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記固定受け具が、回転軸を有し、当該回転軸は、前記平面と同じ高さであることを特徴とする。
ここで、「同じ高さ」というのは、物理的に「厳密な同じ高さ」はもちろん、技術常識からみて「同じ高さ」にみられる「略同じ高さ」をも含む概念である。
この構成により、それぞれの受け具にかかる重量の配分を正確に行うことができ、また、治具は回転軸により回転可能なので、移動受け具を移動させる時の操作性の向上及び、正確な位置合わせが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記治具を前記固定台から取り外すことができることを特徴とする。
この構成により、治具が固定台に配置された状態だと治具に被計測体を支持し難い場合であっても、治具を固定台から取り外すことによって、被計測体を治具にしっかりと固定支持させることができる。また、1つの治具だけでなく、複数の治具の利用も可能となる。
【0019】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、衝撃吸収装置を備えたことを特徴とする。
この構成により、被計測体を治具に支持する際、及び、固定台に治具を設置する際の衝撃を和らげることができ、機器の故障や計測時の誤動作等を少なくすることができる。
【0020】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記衝撃吸収装置が、上下方向に調整可能であることを特徴とする。
この構成により、被計測体を治具に支持する際、及び、固定台に治具を設置する際の衝撃をさらに和らげることができ、機器の故障や計測時の誤動作等を少なくすることができる。
【0021】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記治具がジェラルミンからなることを特徴とする。
この構成により治具の重量が軽くなるので操作しやすくなり、また頑丈に構成することができる。
【0022】
また、本発明に係る重心位置計測装置は、前記被計測体が、蒸気タービン、ガスタービンや水力タービン等のタービンのロータ外周に装着される動翼であることを特徴とする。
この構成により、前記タービンのロータ外周に装着される動翼の重心位置の計測を高精度に効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、計測精度の向上が図れると共に治具数の削減も行うことができ、さらには作業者の労力低減を確保しながら、作業効率の良い耐久性の高い重心位置計測装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の重心位置計測装置を示した説明図(正面図)である。
【
図2】本発明の治具を固定台から取り外す際の説明図(正面図)である。
【
図3】本発明の治具を固定受け具の回転軸回りに回転させた際の説明図(正面図)である。
【
図4】本発明の移動受け具を隣接する治具の支持ポイントまで移動させた際の説明図(正面図)である。
【
図5】本発明の実施形態による重心位置計測装置を示す正面図である。
【
図6】
図5における重心位置計測装置を示す平面図である。
【
図7】
図6における重心位置計測装置を示す側面図である。
【
図10】従来の重心位置計測装置を示す説明図(正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る重心位置計測装置について図を用いて説明する。
【0026】
本発明の原理を
図1〜
図4の説明図にて説明する。ここで、説明の都合上、
図2〜
図4においては被計測体Wの記載を省略しているが、被計測体Wとしては、様々な形状のものが想定され得る。なお、実施形態を示す
図5〜
図7と上記説明図及び原理図において、同じ符号は同一の部材を意味している。
【0027】
図1に示すように、被計測体Wは全体として治具2に固定支持されている。そして、固定台1に設置された固定受け具4と移動受け具3により治具2が支持されている。ここで、治具2が1つの部材として一体的に構成されていると、計測精度が高くなり、好ましい。
【0028】
固定受け具4と移動受け具3の両者は間隔を開けて配置され、移動受け具3が水平方向に移動することによって、両者の距離が変化する。固定受け具4の治具受け部(治具側)4dと治具2の接触部分は、しっかりと固定され、両者が水平方向に移動しないように構成されている。実際の移動受け具3に対しての固定受け具4の水平方向の位置としては、治具2との接触部分の中心線(
図8参照)や回転軸4c(
図1参照)を基準とすることが望ましい。ここの具体的な構造としては、両者が水平方向に移動しないようになっていればどのような構造でも良い。例えば、治具受け部(治具側)4dの接触部分に凸部10を、治具2の接触部分に凹部9を設け、これら凸部10と凹部9が結合するような構成としてもよい(特に
図2参照)。
【0029】
このように、治具2と治具受け部(治具側)4dとは、水平方向に固定的に設置されている一方、移動受け具3の支持ポイント受け部3aの治具側側面は平面に形成され、治具2に設置された支持ポイント5の先端部5aと点接触していて水平方向に可変となっている。先端部5aは、前記平面と点接触すればどのような構造でも良く、例えば、点接触時において、先端部5aには支持ポイント受け部3aの移動に伴って回転する球体が嵌め込められ、その球体の一部と前記平面が点接触していてもよい。
【0030】
なお、治具2には複数の支持ポイント5が固定受け具4との位置関係において、高精度に設けられており、移動受け具3を水平方向に移動させ、任意の支持ポイント5の先端部5aと点接触させることができる。こうすることによって、1つの治具であっても、複数の被計測体Wに合わせた計測が可能となる。移動受け具3及び、固定受け具4にはそれぞれ重量計測用の電子秤3b、4bが配備され、被計測体Wの重量は、治具2を介してこれらの電子秤3b、4bで計測される。これら電子秤3b,4bの計測値は図示しない重量表示器にそれぞれ表示されると共に図示しないパソコンに入力される。
【0031】
[作用]このように構成されるため、被計測体Wの重心位置を計測するにあたっては、先ず、
図2に示すように、治具を固定台1から取り外して、被計測体Wを治具2に設けられたサポート部材7とサポート部材8により、垂直方向を固定支持し、サポート部材7の凸部側面に被計測体Wを押し当てる事により、水平方向を固定支持する。ここで、サポート部材7、8は被計測体に合わせて、一方だけ、又は、それぞれが垂直方向、又は水平方向に移動する構成としてもよい。
【0032】
次に被計測体Wを治具2の定位置にしっかりと固定支持したら、被計測体Wのサイズや形状等に合わせて移動受け具3を所定箇所に移動させ、固定台1に衝撃を与えないように衝撃吸収装置6の伸縮部6aを上方向に動かし、治具2を衝撃吸収装置6によって固定台1上に仮設置させる。その後、衝撃吸収装置6の伸縮部6aを下方向に動かし、治具2が移動受け具3と固定受け具4だけで支持されるようにすることで、完全に治具2が固定台1に設置されたら、電子秤3b,4bにより被計測体W の移動受け具3側の重量と固定受け具4側の重量が治具2を介してそれぞれ計測され、その計測値が図示しないパソコンに入力されると共に両者が表示される。
【0033】
実際には、測定される重量は治具及び受け具の重量を含んだものであるが、予めそれぞれに係る治具及び受け具の重量分を測定しパソコンのメモリに記憶させ、その重量分をそれぞれの測定値から差し引くことで、正確な重量を算出し、表示することができる。なお、これらの値から被計測体Wの具体的な重心位置を算出する方法は従来公知の方法を利用することが望ましい。
【0034】
このように、被計測体Wの全体が一体的に構成された治具2でしっかりと支持される一方で、固定台1に設けられた移動受け具3と固定受け具4は、治具2を介して被計測体Wを計測するので、被計測体Wの形状に依存せず、精度の高い計測が得られる。また、移動受け具3が水平方向に移動することによって、移動受け具3と固定受け具4間の距離を変化させることができるので、1つの治具2を様々なサイズの被計測体Wの測定に使用することができ、被計測体Wのサイズに合わせた治具2を別途用意する必要がなく、治具数が削減する。
【0035】
被計測体Wを計測するに際して、被計測体Wのサイズ等が合わない場合には、
図3に示すように固定受け具4の回転軸4cを中心に治具2を回転させ、治具2の移動受け具3側を上方向に動かすことによって、移動受け具3を水平方向に移動させることができるようになるので、被計測体Wのサイズ等に合う適切な支持ポイント5の位置まで移動受け具3を水平方向に移動させる。その後、治具2を元に戻して計測を行えば良い。
【0036】
ここで、支持ポイント5の先端部5aは、移動受け具3の支持ポイント受け部3aの治具側平面部分の任意の位置に点接触することになるが、その位置は、前記平面部分であれば何れの箇所でも構わない。即ち、前記平面部分の中心であろうが、端であろうが、電子秤3bが計測する値は同じだからである。このことは、移動受け具3の移動に伴う設置誤差が被計測体の計測に影響を与えないことを意味している。
【0037】
これにより、図示しないパソコンにより、被計測体Wの真の重心位置が計測され、特に、タービンのロータ外周に装着される動翼や圧縮動翼をロータ外周に装着する際には、これを基にモーメントウェイトが算出される。
【0038】
即ち、
図8に示すように、計測された移動受け具3側の重量A及び固定受け具4側の重量Bと、予め基準として測定されている移動受け具3と固定受け具4との距離L2(実際には、治具2に設置された支持ポイント5の先端部5aと固定受け具4との距離) とから被計測体Wの重心位置L1 を計測することができる。(実際には、測定される重量は治具及び受け具の重量を含んだものであるが、予めそれぞれに係る治具及び受け具の重量分を測定しパソコンのメモリに記憶させ、その重量分をそれぞれの測定値から差し引くことで、正確な重量A、Bを算出することができる。)例えば、重心位置L1は、L1=L2×B/(A+B)+Ld として求めることができる。ここで、Ldは固定受け具4からサポート部材7によって位置決めされた被計測体の端部(固定受け具4側)までの水平距離である。
【0039】
特に、タービンのロータ外周に装着される動翼や圧縮動翼をロータ外周に装着する際には、この重心位置L1に被計測体Wであるタービン翼が装着されるロータの半径Rをプラスした値と、前記重量Aと重量Bとからモーメントウェイトが算出され、これを基に
図9に示すように配列させることで、前記ロータにおける翼植え込み最適バランスを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、計測精度の向上が図れると共に治具数の削減も行うことができ、さらには作業者の労力低減を確保しながら、作業効率の良い耐久性の高い重心位置計測装置が実現できるという効果を有し、特に高い計測精度を必要とするタービンのロータ外周に装着される動翼や圧縮動翼等の被計測体の重心位置を計測するのに用いる測定対象物の重心位置計測装置等に有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 固定台
2 治具
3 移動受け具
3a 支持ポイントの受け部
3b 電子秤
4 固定受け具
4a 治具受け部(電子秤側)
4b 電子秤
4c 回転軸
4d 治具受け部(治具側)
5 支持ポイント
5a 先端部(接触点)
6 衝撃吸収装置
6a 衝撃吸収装置の伸縮部
7 サポート部材(固定受け具側)
8 サポート部材(移動受け具側)
9 凹部
10 凸部
G 重心
【要約】
【課題】計測精度の向上が図れると共に治具数の削減も行うことができ、さらには作業者の労力低減を確保しながら、作業効率の良い耐久性の高い重心位置計測装置を提供する。
【解決手段】被計測体全体を支持する治具と、前記治具を支持する移動受け具と固定受け具を配した固定台と、を備え、前記治具を介した前記被計測体の重量を、前記移動受け具と前記固定受け具で計測することで、前記被計測体の重心位置を計測するとともに、前記移動受け具は水平方向に移動して位置決め可能に設けられ、前記固定受け具は水平方向に固定的とする。
【選択図】
図1