(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961827
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】充電ケーブルの自動巻取装置
(51)【国際特許分類】
H02G 11/02 20060101AFI20160719BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20160719BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
H02G11/02
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L11/18 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-164366(P2012-164366)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-27725(P2014-27725A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一浩
【審査官】
甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−510602(JP,A)
【文献】
特開昭52−106480(JP,A)
【文献】
特開平05−083838(JP,A)
【文献】
特開平01−163789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00−11/02
H02J 7/00− 7/12
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用充電装置に設置された充電ケーブルの自動巻取装置であって、
充電ケーブルの断面形状に対応した溝部を備え、充電ケーブルを挟持して送る一対のローラと、
これらの一対のローラを互いに逆方向に駆動する駆動機構と、この駆動機構の後側にローラを円弧状に配置して、充電ケーブルを下方の充電ケーブル収納部に導く規制部とを備えたことを特徴とする充電ケーブルの自動巻取装置。
【請求項2】
前記一対のローラを上下に配置させたことを特徴とする請求項1記載の充電ケーブルの自動巻取装置。
【請求項3】
前記駆動機構の駆動源を、充電ケーブルの移動方向と同一平面上に配置したことを特徴とする請求項2記載の充電ケーブルの自動巻取装置。
【請求項4】
駆動機構の駆動源の回転は内部ギヤを介して双方のローラに伝達したことを特徴とする請求項2または請求項3記載の充電ケーブルの自動巻取装置。
【請求項5】
前記一対のローラを内蔵する上下に分割された筐体を備え、上側のローラを支持する上部筐体を下部筐体に対して引き起こし可能としたことを特徴とする請求項2記載の充電ケーブルの自動巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への充電を行うために用いられる車両用充電装置に形成される充電ケーブルの自動巻取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充電ケーブルを介して車両への充電を行う車両用充電装置においては、充電に使用されていない充電ケーブルは特許文献1、2等に示すように充電スタンドの側面に巻かれ、その先端の充電コネクタは充電スタンドのホルダに引掛けて収納されている。しかし、利用者によっては充電ケーブルをきちんと巻き取らずに放置することがある。そのような場合には雨等で充電ケーブルに泥等が付着し、次に使用する人の手や服を汚すおそれがある。また場合によっては、充電ケーブル自体が損傷される可能性もある。
【0003】
また特許文献3に示すように、充電ケーブルを自動巻取りする装置も提案されている。この装置は、モータ駆動されるドラムにより充電ケーブルを自動巻取りするものであるが、常に一定方向に巻き取るために充電ケーブルに巻き癖が付きやすく、引き出したときに充電ケーブルが湾曲してしまうという問題がある。また比較的大型のドラムに巻き取るため、大型のモータが必要となるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−19609号公報
【特許文献2】特開2012−19610号公報
【特許文献3】特開2003−244832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、充電完了後に充電ケーブルを容易に巻き取ることができ、充電ケーブルに変形や損傷を与えることがなく、しかも大型のモータを必要としない充電ケーブルの自動巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、車両用充電装置に設置された充電ケーブルの自動巻取装置であって、充電ケーブルの断面形状に対応した溝部を備え、充電ケーブルを挟持して送る一対のローラと、これらの一対のローラを互いに逆方向に駆動する駆動機構
と、この駆動機構の後側にローラを円弧状に配置して、充電ケーブルを下方の充電ケーブル収納部に導く規制部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のように、前記一対のローラを上下に配置した構造とすることが望ましい、なお、請求項3のように、前記駆動機構の駆動源を、充電ケーブルの移動方向と同一平面上に配置した構造とすることが好ましい。また請求項4のように、駆動機構の駆動源の回転は内部ギヤを介して双方のローラに伝達する構造とすることが好ましい。また請求項5のように、前記一対のローラを内蔵する上下に分割された筐体を備え、上側のローラを支持する上部筐体を下部筐体に対して引き起こし可能とすることが
好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の充電ケーブルの自動巻取装置は、互いに逆方向に駆動される一対のローラ間に充電ケーブルを挟持し巻き戻しを行う。このため充電ケーブルに変形や損傷を与えることがない。また一対のローラは充電ケーブルの断面形状に対応した溝部を備えているのでローラから充電ケーブルへの駆動力の伝達ロスが小さく、大型のモータを必要としない。さらにローラを逆転させれば送り出し装置としても機能させることができる。
更に、充電ケーブルを円弧状に配置された複数のローラからなる規制部により、下方の充電ケーブル収納部に導く構造としたので、充電ケーブルに負担を掛けることなく充電ケーブル収納部に収納させることができる。
【0009】
請求項2のように一対のローラを上下に配置した構造や、請求項3のように駆動源を充電ケーブルの移動方向と同一平面上に配置した構造としておけば、装置の小型化を図ることができる。また請求項4のように、駆動機構の駆動源の回転は内部ギヤを介して双方のローラに伝達する構造とすれば、単一の駆動モータで動作させることができる。また請求項5のように、一対のローラを内蔵する上下に分割された筐体を備え、上側のローラを支持する上部筐体を下部筐体に対して引き起こし可能としておけば、メンテナンス作業を容易に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】自動巻取装置を備えた充電装置の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の自動巻取装置を備えた充電装置の全体図であり、スタンド筐体1の下部に自動巻取装置が設けられ、その下方が充電ケーブル収納部35となっている。この自動巻取装置から延びる充電ケーブル2はその先端に充電コネクタ3を備え、この充電コネクタ3は非充電時には
図1のようにスタンド筐体1のホルダ(図示せず)に引掛けてある。充電の際には充電ケーブル2をスタンド筐体1から引き出して充電コネクタ3を自動車側のコネクタに差し込むとともに、操作部4から必要な操作を行って充電を開始する。そして充電が完了したときには、自動巻取装置により充電ケーブル2を巻き取るようになっている。
【0012】
図2と
図3は実施形態の自動巻取装置の外観を示すもので、固定部であるベース5の上に平行な2枚の垂直板を備えた筐体6が形成されており、この筐体6の内部に一対のローラである上部ローラ7と下部ローラ8とが水平軸のまわりに回転できるように取り付けられている。
図5に示すとおり、これらのローラ7、8は充電ケーブル2の断面形状に対応した溝部9、10を備え、充電ケーブル2を上下方向から挟持して送ることができる位置に配置されている。
【0013】
以下に、その駆動機構を説明する。
図3、
図5に示すように、上部ローラ7の中心軸は筐体6の外側に貫通しており、第1の伝達ローラ11がこの中心軸に固定されている。また筐体6の外側には第2の伝達ローラ12が回転自在に配置され、これらの第1の伝達ローラ11と第2の伝達ローラ12との間には第1の伝達ベルト13が張設されている。さらに第2の伝達ローラ12には第3の伝達ローラ14が一体的に設けられており、第2の伝達ベルト15を介して上部ローラ駆動軸16に固定された第4の伝達ローラ17に連結されている。この上部ローラ駆動軸16は筐体6の内側位置にかさ歯車18を備えており、このかさ歯車18は内部ギヤである駆動側のかさ歯車19の片側と噛み合っている。
【0014】
駆動側のかさ歯車19は第5の伝達ローラ20により駆動されるもので、この第5の伝達ローラ20は駆動源である駆動モータ21の駆動ローラ22と駆動ベルト23により連結されている。このため、駆動側のかさ歯車19が
図5に矢印で示す時計方向に回転すると、上部ローラ7は矢印で示すように反時計方向に回転することとなる。
【0015】
一方、
図4、
図6に示すように下部ローラ8は筐体6の反対側に第6の伝達ローラ24を備えており、この第6の伝達ローラ24は下部ローラ駆動軸25に固定された第7の伝達ローラ26に第3の伝達ベルト27により連結されている。上記と同様に、下部ローラ駆動軸25は筐体6の内側位置にかさ歯車29を備えており、このかさ歯車29は内部ギヤである駆動側のかさ歯車19の反対側と噛み合っている。このため、駆動側のかさ歯車19が
図5に矢印で示す時計方向に回転すると、下部ローラ8は矢印で示すように上部ローラ7とは逆方向に回転することとなる。つまり、かさ歯車19が時計方向に回転することにより、下部ローラ8を駆動させるかさ歯車29は時計方向に、上部ローラ7を駆動させるかさ歯車18は反時計方向に回転させ、上下一対のローラ7、8は互いに逆方向に回転させるものである。
【0016】
このように、駆動機構によって上部ローラ7と下部ローラ8は互いに逆方向に駆動されるので、充電ケーブル2を巻き取ることができ、また駆動モータ21を逆転させれば充電ケーブル2を送り出すこともできる。充電ケーブル2は外周面を上部ローラ7と下部ローラ8とによって覆われた状態で送られるので脱落するおそれがなく、また充電ケーブル2との間に十分な摩擦力が作用するため、必要以上の押圧力を加えなくてもよく、充電ケーブル2を損傷させたり、湾曲させることがないうえ、大型の駆動モータ21を使用する必要もない。また、充電ケーブル2を引き出す場合においては、操作ボタンが押されたり、充電ケーブル2に一定のテンションが加わった場合に、駆動モータを逆回転させて自動で引き出すようにするものであっても良い。更に、充電ケーブル2を引き出す場合に、上部ローラ7が上下方向に移動可能に形成しておけば、充電ケーブル2と上下一対のローラ7、8との摩擦が小さくなるので容易に引き出すことが可能になるものである。
【0017】
なお上記した駆動機構は、駆動源である駆動モータ21を充電ケーブル2の移動方向と同一平面上に配置している。このため巻取装置全体の横幅を狭くすることができ、スタンド筐体1の内部にコンパクトに収納することが可能となる。また、駆動モータ21から上下一対のローラ7、8に駆動を与える、駆動源である駆動モータ21から直接回転させる第5の伝達ローラ20及び駆動ローラ22と駆動ベルト23からなる駆動部は充電ケーブル2の移動方向に配置させているので更に横幅を狭くすることができるものである。また、駆動源の回転を内部ギヤである駆動側のかさ歯車19を介して双方のローラ7、8に伝達する構造としたので、単一の駆動モータ21で動作させることができる。なお、第2の伝達ローラ12、第3の伝達ローラ14、第4の伝達ローラ17、第7の伝達ローラ26、は略同一の形状で第1の伝達ベルト13、第2の伝達ベルト15、第3の伝達ベルト27は略同じ長さからなるものである。そのため、第4の伝達ローラ17から伝わる上部ローラ7の回転速度と、第7の伝達ローラ26から伝わる下部ローラ8の回転速度は略同一となる。略同一の回転速度で充電ケーブル2の巻き取りを可能にするものであるため、充電ケーブル2を巻き込むなどの問題点が発生することなく使用することが可能である。それぞれ異なるサイズで形成すると上下一対のローラ7、8はそれぞれ異なる回転速度で回動することになる。
【0018】
図5に示すように、上部ローラ7と下部ローラ8の後側には、規制部である多数のガイドローラが所定間隔で配置されている。充電ケーブル2を巻き取る際には、充電ケーブル2の上側の円弧状位置に配置された上部ガイドローラ31、32、33、34が充電ケーブル2を湾曲させながら下方の充電ケーブル収納部35に導く。このような構造により充電ケーブル2に負担を掛けることなく収納させることが可能となるものである。なお巻取り終了後には充電ケーブル2は自重により垂れ下がるので、充電ケーブル2の下側の円弧状位置に配置された下部ガイドローラ36、37、38が支えるようになっている。これらの下部ガイドローラ36、37、38は充電ケーブル2を所定位置に保持することにより、充電ケーブル2が第2の伝達ローラ12や第3の伝達ローラ13等と接触したり、巻き込まれたりすることを防止している。なお、これらのガイドローラも上部ローラ7や下部ローラ8のように充電ケーブル2の断面形状に対応した溝部を持たせ、回転可能に支持させておくことが好ましい。また、本実施形態においては上部ガイドローラ31、32、33、34及び下部ガイドローラ36、37、38が規制部となるものであるが、充電ケーブル2が硬い材質、太いものであれば上部ガイドローラ31、32、33、34が規制部として充電ケーブル収納部35に導くものであっても良いし、充電ケーブル2が軟らかい材質、細いものであれば下部ガイドローラ36、37、38が規制部として充電ケーブル収納部35に導くものであっても良いものである。
【0019】
上記した実施形態では自動巻取装置の筐体6は開閉することができない構造であったが、
図8に示す他の実施形態では、筐体6は上部筐体6aと下部筐体6bとに分割されている。上部ローラ7は上部筐体6aに設けられ、下部ローラ8は下部筐体6bに設けられている。
また、上部ローラ7はかさ歯車19からの駆動を下部筐体6bに形成された第4の伝達ローラ17から第2の伝達ローラ12と第3の伝達ローラ14を介して回転させるものであり、下部ローラ8はかさ歯車19からの駆動を第7の伝達ローラ26から直接回転させるように形成している。このため、第2の伝達ローラ12と第3の伝達ローラ14が設けられた軸を中心として上部筐体6aに形成した上部ローラ7を回転可能に形成しているものである。この上部筐体6aを上方に開ける構造としておけば、第1の伝達ベルト13や第2の伝達ベルト15を掛けたままで上部筐体6aを下部筐体6bに対して引き起こして開くことができ、使用中に引っ掛かりを生じたような場合に障害を取り除いたり、日常のメンテナンスを行ううえで便利である。また、充電ケーブル2の引き出しをする際に、上部筐体6aを上方に引き起こすようにしておけば、充電ケーブル2と上下一対のローラ7、8との摩擦が少なくなるので容易に引き出すことが可能になるものである。なお、定期点検等を行なう場合には、伝達ベルトを取外して全体を分解することも可能である。ここで、筐体6を開閉する必要がない場合には、上部ローラ7を回転させる第2の伝達ローラ12と第3の伝達ローラ14を省略し、第4の伝達ローラ17から直接上部ローラ7を回転させるものでも良い。
【0020】
以上に説明したように、本発明によれば、充電完了後に駆動モータ21を駆動することにより、充電ケーブル2を容易に巻き取ることができるので、従来のように充電完了後の充電ケーブル2が放置されることがなくなる。また、上部ローラ7と下部ローラ8とによって充電ケーブル2を挟み込むように移動させる構造であるから、充電ケーブル2に変形や損傷を与えることがない。しかも充電ケーブル2に対する動力伝達ロスも少ないため、大型のモータを必要としない利点もある。
【符号の説明】
【0021】
1 スタンド筐体
2 充電ケーブル
3 充電コネクタ
4 操作部
5 ベース
6 筐体
6a 上部筐体
6b 下部筐体
7 上部ローラ
8 下部ローラ
9 溝部
10 溝部
11 第1の伝達ローラ
12 第2の伝達ローラ
13 第1の伝達ベルト
14 第3の伝達ローラ
15 第2の伝達ベルト
16 上部ローラ駆動軸
17 第4の伝達ローラ
18 かさ歯車
19 駆動側のかさ歯車
20 第5の伝達ローラ
21 駆動モータ
22 駆動ローラ
23 駆動ベルト
24 第6の伝達ローラ
25 下部ローラ駆動軸
26 第7の伝達ローラ
27 第3の伝達ベルト
29 かさ歯車
31 上部ガイドローラ
32 上部ガイドローラ
33 上部ガイドローラ
34 上部ガイドローラ
35 充電ケーブル収納部
36 下部ガイドローラ
37 下部ガイドローラ
38 下部ガイドローラ